こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


2005年3月発行の書籍

人気の作品

      ラッシュライフ

      伊坂幸太郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! tadahiko ooitee

      • 新進女性画家を仙台まで同行させる守銭奴の親爺。
        新興宗教の教祖を、文字通り解体しようとする男たち。

        同業者と鉢合わせになったプロの泥棒。
        轢死体を車のトランクに積んで走る不倫カップル。
        老犬に出会い拳銃を拾った失業者-------。

        バラバラ死体が復活して歩き出す謎は用意されているものの、それはこの本で、さほど大きなウエイトを占めていない。
        むしろ、並行する五つのストーリーが次第に交錯し組み上がる様子、パズル趣味に満ちた構成が、本格ミステリ好きにはたまらないんですね。

        発端と結末を繋ぐのは、傲慢な拝金主義者に、どん底の人間が意地を示し、一矢報いるまでの経過だ。
        それだけなら、よくありがちな「ちょっといい話だ」。

        ところが、発端と結末の中間に、皮肉な偶然に彩られたストーリーのパズルが挿入されているために、「ちょっといい」のニュアンスがずいぶん複雑になっていると思う。

        作中では、仙台駅近くの展望塔に関する言及が何回も出てくる。
        しかし、登場人物が塔に上り、下界を見渡す場面自体は、最後まで描かれない。

        このことは、各自のストーリーを生きる彼らが、五つのストーリー全部を展望する能力を持たないのを象徴している。
        それはまた、作中で名探偵と呼ばれる教祖が、解体の対象になっているのともパラレルだ。

        個々のストーリーに閉じ込められたラッシュライフ=豊潤な人生。
        パズル的な構成で書かれたゆえに浮かび上がる苦味が、この作品にはあると思う。

        >> 続きを読む

        2019/05/04 by dreamer

    • 他16人がレビュー登録、 119人が本棚登録しています
      格闘する者に○

      三浦しをん

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • まったりとした中に、強靱な意志がある可南子を「がんばれ!」とつい応援したくなります。面接の場面は、ハラハラドキドキ。200ページ過ぎからショックな出来事が次々に起こり、ストーリーにメリハリがあって飽きさせません。 >> 続きを読む

        2015/03/08 by 長元坊

    • 他3人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      クラインの壺

      岡嶋二人

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.8
      いいね!
      • 中盤から夢中になって読める。

        読みやすいけど練られていて情景が浮かびやすい文章だった。

        個人的にラストが好きな作品。
        >> 続きを読む

        2015/03/05 by わきや

    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      世にも美しい数学入門

      藤原正彦 , 小川洋子

      筑摩書房
      カテゴリー:数学
      4.0
      いいね!
      • *第一部 美しくなければ数学ではない
        *第二部 神様が隠している美しい秩序

        本書の第一部は資生堂のトークショー「ワードフライデイ」を元にした構成。
        第二部は小川さんが改めて藤原先生に伺ったお話をまとめたもの。

        数学が大の苦手で、一度も好きになったことがありません(^^;)
        ではなぜ手に取ったかというと、数学アレルギーの私でも興味の惹かれることがたくさん書いてあったからです。
        藤原先生と小川洋子さんのやりとりもおもしろく読ませてもらいました。

        ―三角形の内角の和は平べったい三角形を書いても、顕微鏡で見るような小さいのを書いても、校庭に馬鹿でかいのを書いても、どうやってもぴったり180度になる。

        ただ「こういうものだから!」と覚えるよりは、少し見方を変えるだけで興味がいろんな方向へ変化していく。数学に対してそんな印象を持ったのは初めてです。
        天才数学者のお話もそれぞれ良いのです。

        ―天才数学者の生まれる条件は
        1.何かにひざまずく心を持っている
        2.美の存在
        3.精神性を尊ぶ

        美しい定理をたくさん生み出したラマヌジャンのことが書かれていました。
        彼の育ったインド タミルナドゥ川の最南部には美しい寺院がたくさんある。
        ヒンズー教の深い地域でひざまずく心がある。
        そして彼の家はカーストの一番上の位で、精神性を尊ぶ。

        ・・・なんて。
        すごく興味をひかれませんか?
        頭の中に自然と入ってくる感覚を、数学で持てたことにびっくりしています。
        それぞれの定理を理解したかと言えばほぼ出来ていない・・・のですが、この美しさは自分の人生において、大きな発見です。
        >> 続きを読む

        2016/09/12 by あすか

      • コメント 18件
    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      失踪日記

      吾妻ひでお

      イースト・プレス
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.2
      いいね!
      • 友人から借用して。

        実話だと思うと笑えなかった。
        奥さん、家族の大変さを思うと…
        ドロドロに描かれていない分、実際は…と想像してしまい
        気が重くなった。

        こういう話はえてしてうちあたいするところが多いけれど
        私とはベクトルが違う方向なのか、そもそも違うジャンルなのか、共感しながら読むという感じではなかったな。
        >> 続きを読む

        2018/11/23 by ちっちゅう

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      金色の死 谷崎潤一郎大正期短篇集

      谷崎潤一郎

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •    成熟のその手前

         暇さえあればオクタビオ・パス著の『弓と竪琴』を読んでいる。分からない、いくら読んでも分からない。引っ切りなしに引用される書名の波に押し流され、道をたずねても相手は聞いたこともない名前の学者や小説家たち。じぶんに理解できるのはじぶんが理解していないという事実だけ。つい昨日会ったばかりの人を持ち出すようにアリストテレスを引用する奇癖をもつ、このメキシコが生んだ、明哲で抜けめのない批評家の論考を、そう易々と飲みこめる私ではないが、それでも、繰り返し、繰り返し読むうちに何か味がしてくるから読書はおもしろくて、読書百篇ではないけれど、義自ら通じた先になぜか谷崎潤一郎がいた。
         前々から感じていて敢えて口に出してはいないが、もし、谷崎潤一郎から藝術家の才分が失われたとしたら、ただの変態、あるいは瘋癲老人になるだろう。藝術家とはそういうものかもしれない。それにしても、谷崎の女体崇拝はちょっと常軌を逸しており、どうして女性の足にそこまで執着するのか、とくに若い頃は不思議で仕方なかった。男性には見られない曲線美があるのは分かるし、僕もエスカレーターに乗ると、踵からふくらはぎ、その小丘からベルトが掛る腰までのラインを隈なく見ます。華のある歩き方をする人のラインには「美」が充溢していて、もうひとつの顔と呼べるほどの多様性と情報量に富み、そこには確かな個性がある。たとえば、パスピエの女性ヴォーカルの子がいい。「つくり噺」のPVの終わりのほうに、階段を昇っていくシーンがあって、歩き方と例のラインをじっくりと観察できる。しかも顔が隠れているから、その分よりいっそう美人に見える。いや、きっと美人と断定して間違いないと思う。これだから谷崎を読むのはイヤなんですね。話が逸れた。
         話を谷崎にもどして、肝心の作品論をしてみたい。いいえ、個別の作品論ではなく、総論としての、やや抽象的な戯言かもしれないが、谷崎の作品からは西洋文学を学んだペンだこがほとんど見受けられない。と言えば言い過ぎだが、大岡信がみずからの愛するポール・エリュアールの影響を自作からは隠すように、谷崎も(谷崎の愛した西洋の作家って誰だ?)そういう抑制する力をもっていたから、我が国の大古典である源氏をほんとうの意味で創作に活かせたのではないだろうか? ここで前述のオクタビオ・パスが、ポエムとポエジーを区別した事情を思い出すと、ポエジーの要素のなかでも「放棄」が詩学の世界では肝腎なのだろうか? 放棄するためには獲得しなければならず、獲得するためには対象を認識しなければならない。それとも「放棄」とは、捨てたあとに残ったものを指すのだろうか? もちろん、事はそう単純ではないし、詩学の世界では一体化するような事例もあり、例をあげると大岡昇平とスタンダールや、バルガス=リョサとフロベールなど。しかし、そういう作家であっても、ほんとうに輝いているときには、語りの言葉のうちに霊魂が宿り、その作家は人間として独り立ちしている。この立ち姿のことを人は文体と呼び、この立ち姿こそ谷崎文学の醍醐味である。それは初期作品といわれる、大正期の短篇でも変わらない。松子夫人の手ほどきを受けるまえで、あの息の長い調子は鳴りを潜めているけれど、これらの短篇には、ゆくゆくは大家になる自負心が推量され、円熟期を迎える萌芽が散りばめられている。
        「金色の死」は、これまでの藝術に対する内省とこれからの決意がテーマで、三島由紀夫っぽい友だちと主人公の二人舞台。この友だちがおもしろい。「母を恋うる記」と「富美子の足」、このふたつは題名から察してもらいたい。坂口安吾の作品のような「小さな王国」もなかなか読ませる。他に「人面疽」、「途上」、「青い花」。谷崎の初期短篇はすこし軽視されがちだけど、円熟期や後期にそれほど引けを取らないと私は思う。文豪と認められるまえの若い作家のつよい気魄や色々の意匠に、藝術家としての伸びしろや、成熟してゆく定められた未来を予感することができる。


        付記
         我奈覇美奈さんの「With A Wish」という曲がなかなかいいです。歌声がなんか胸にくるものがあるし、繰り返し聴いても飽きにくい。女性ヴォーカルの魅力が詰まっている気がします。
         この本には既レヴューがありまして、過去のじぶんのノー天気なコメントをみて冷や汗が出ました。
        >> 続きを読む

        2016/06/11 by 素頓狂

      • コメント 12件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      きのう、火星に行った。

      笹生陽子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「BOOK」データベースより

        6年3組、山口拓馬。友だちはいらない、ヤル気もない。クールにきめていた。ところが突然、病気がちの弟・健児が7年ぶりに療養先から戻ってきて、生活が一変する。家ではハチャメチャな弟のペースに巻き込まれ、学校では体育大会のハードル選手にでくちゃんと選ばれる…。少年たちの成長に感動必至。


        やだわあ、こんなクールめかしたすかした小学生。
        なんに対しても冷めていて、生きているのもめんどくさい風情の子供は結構多いと思うし、自分もそういう時期ありました。
        でもですよ、彼なんにもしていないのになんでもできちゃうわけなんですよ。そういう同級生。全然一生懸命やっていないのになんでもさくさくできちゃう。しかもクラスで一番かわいい子に何故か好かれていて、ああそうですか、そういうことなのねふうんふうん。
        で、だんだんと熱くなっていって、そんな自分が好きになって行ってしまうわけですね。

        感動はしませんでした(キッパリ)でも少年漫画的には結構悪くないとは思いました。
        >> 続きを読む

        2015/08/15 by ありんこ

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      一日江戸人

      杉浦日向子

      新潮社
      カテゴリー:日本史
      3.5
      いいね!
      • 数年前、表紙が気に入って購入。以来、何気に何度か読み直しています。

        あまり知られていない江戸の文化、人々の暮らしが漫画家でもあった著者のイラストと読みやすい文章で楽しめます。

        なかでも"お江戸の人気動物""How toナンパ"は個人的に面白かったです。

        本書は人気があるようで新潮文庫の100冊に選ばれることが多く、購入もしやすいと思いますので、是非手にとって読んで下さい。オススメです。
        >> 続きを読む

        2017/08/29 by アーチャー

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      コードコンプリート 完全なプログラミングを目指して

      クイープ , McConnell Steve

      日経BPソフトプレス
      カテゴリー:情報科学
      4.5
      いいね!
      • 数年間、ちょこちょこっと読んではそのままにしていたけれど、ついに意を決して読んだ!!!約600ページ、超分厚いけど、まだこれから下巻が待っているかと思うと色々な意味で震えます。。骨太。超骨太な技術書でした。

        これを読んで今猛烈に過去に書いた自分のコードを修正したくなってます。

        変数名のつけ方、メソッドの作り方、ループのネストは深くするな、重複するコードでなくても可読性をあげるためにメソッドにわける、変数の宣言は使う直前にする、コーディングする時に最初にコメントを書いて詳細設計とするなどなど、プログラマがコーディングする時にいかに他人が見てもわかりやすい(=品質の高い)コードを書くかが事細かに書かれています。例をあげただけでは基本中の基本ばかりな印象を受けるかもしれませんが、基本的なことでもそこは抜けてた・・・という項目も多々あります。たとえば私の場合なら、変数名にNumとNumberを混ぜないとか。Max、Totalなどをプレフィックスにするのか、そうでないかを統一するとか。条件文の中での変数と定数の書く順番とか。条件文は否定じゃない方が可読性が高いとか。たしかにあまり意識せずに書いていたけど、統一されていたら感覚的にも後から読む人は読みやすいと思う。

        言語問わないベースの考え方の指南書なので、例文がC++だったり、VBだったり、Fortranだったりと、私が使っているJavaとは完全にマッチしない部分もあるけれど、そして細かい点では今はその機能はJavaでも使えるよーみたいな部分もあるけれど、言語を超えた本質的な考え方をこれだけみっちり教えてくれるのはありがたい。

        ずっと改修をやっていて今まであったソースをそのまま踏襲するコーディングがほとんどというプログラマや、なんとなく自分のスタイルができつつある若手などには特におすすめしたい。プログラミング始めたばかりの人には情報量が多すぎたり書かれていることがピンとこないかもしれないのでせめて半年くらい経過してからが良いかも。また、わかりやすいコードを書けるという自信のあるベテランさんにはこの分厚さ、読む時間、費用という面を考えると費用対効果はもしかしたら弱いかもしれない。でもたとえばコーディング規約を作る立場などだとしたら、この本は多いに役立つと思う。

        可読性大事!!とわかって気をつけていた方だとは思うけど、それでも急いでるからあんま良くない書き方だなーと思いながらそのまま書いてしまっていたコードとかたくさんある。だけど、それが今後の負債になっていくことを思えば、その時のちょっとした可読性を上げる一手間はやっぱり惜しんじゃダメだ。

        とにかく読み応えあったーーグッジョブわたし。
        >> 続きを読む

        2015/07/03 by gavin

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      コードコンプリート 完全なプログラミングを目指して

      クイープ , McConnell Steve

      日経BPソフトプレス
      カテゴリー:情報科学
      4.5
      いいね!
      • やっと読み終わった〜分厚かったーー。。。
        これだけ分厚いと達成感あるわ。

        前に挫折したから勝手に難解な本だと思っていたけど、上下巻ともとても読みやすい。レベル的にはプログラミング初めて半年とか1年の人が読むと1番得るものが多いのではないかと思う。とはいっても、数年コーディングしている私でもアンチパターンで良くないとわかっていながらもついついやっちゃってるーーと反省することも色々あって、コーディングする際の姿勢を正してもらった気がする。

        下巻は品質やデバッグ、リファクタリング、コードチューニングやレイアウト、コメントの書き方、読めばわかるコードといったテーマから、個人の資質というようなテーマまで。個人のスキルでコーディングやデバッグに10倍以上生産性の差があるという話など、わかってはいるけども改めて言われると危機感を感じずにはいられない話も。

        上巻と同じく情報が相当古いのでそこは読み替えが必要だけど、コードを書く上で知っておくべき視点、考え方を網羅できる非常に良い技術書だった。
        >> 続きを読む

        2015/07/14 by gavin

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      せかいでいちばんつよい国

      中川千尋 , McKeeDavid

      光村教育図書
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.5
      いいね!
      • とても面白い絵本だった。

        どこよりも強い大きな国があり、他の国々をつぎつぎと力で征服していく。

        そのうち、小さな国があったので、そこにも軍隊を連れて征服に行く。

        その小さな国は、武力では抵抗せず、暖かく大きな国の軍隊を迎え入れる。

        そして、料理のおいしさや、歌のうまさや、いろんな文化の力によって、いつの間にか大きな国の軍隊の人々の心をすっかりつかむ。

        大きな国の大統領も、いつの間にか、自分の国に帰ってから子どもにその小さな国の歌を自然と歌って聞かせていることにはっとなる。

        本当に一番強いものは、軍事力というハード・パワーではなく、歌や料理などの文化の力・ソフト・パワーだということを、生き生きとわかりやすく教えてくれる面白い絵本だと思う。

        これはしょせんは絵本の絵空事だと言うなかれ。
        実際の歴史には、いくらでもこのような事例がある。
        ローマ帝国を征服したゲルマン人は、いつの間にか、ローマの文化と法律とキリスト教に逆に征服された。
        鮮卑族や女真族など、中国に侵入した北方の民族は、いつの間にか中国の文化に同化した。
        日本においても、関東の武士などが天下をとっても、京都の朝廷は厳然と生き残り、武士は文化や権威の面でいつも朝廷に敬意を払い、心服していた。

        現代においても、ソビエトや東欧は、結局ビートルズなどの西側の文化の魅力に負けたのかもしれない。

        日本も、戦後は戦前と異なり軽武装の平和国家として出発したが、たしかに、日本のアニメや歌や文化は、世界中に広まり、多くの人に愛好されるようになった。
        要は、このことにどれだけ自信を持ち、それ自体がひとつの力だという自覚を持って駆使するかが大事なのかもしれない。

        ちょうど八月十五日頃に読んで、あらためて考えさせられる、面白い一冊だった。
        >> 続きを読む

        2012/12/21 by atsushi

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ちびくろ・さんぼ

      DobiasFrank. , BannermanHelen , 光吉夏弥

      瑞雲舎
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 私が子供のころに大好きだった「ちびくろサンボ」。
        差別問題で廃刊になったということを聞いて、複雑な想いでした。
        私の子供のころの記憶を思い起こしても差別につながるようなことがあるとは思えないし、
        差別を考えるならもっと別にやるべきことがあるような気がして。

        そして時を経て新たに出版されたこちらの「ちびくろサンボ」。
        中身は別物と月うさぎさんのレビューで拝見して、なんとなく読む気になれなかったのですが
        3歳の娘のクリスマスプレゼントを選んでいた時に、
        娘がまさに今楽しめるのではないかとこちらを選びました。

        読んでみて。
        中身のどこがどう変わったのかは正直わかりません。
        ですが、ワクワク、とても楽しく読むことができました。
        またこの本を読むことができて、本当によかった。

        トラがぐるぐるまわってバターになってしまうシーンももちろんインパクト大ですが、
        娘が好きなのは最後にホットケーキをたくさん食べるシーン。
        山盛りのホットケーキを見ていつもギャハハと笑います。

        なぜトラがバターになるのか謎だし、
        なぜいきなりお父さんがツボを持って現れるのか謎だし、
        よくこんな話を思いついたなぁと思ってしまうような本当に不思議な話だけども、
        こういう本を読んで親子で楽しめるのって、なにより幸せで贅沢な時間な気がします。

        何かを教えたいとか、こうしたいとか、そういった目的は何もなく
        ただただ絵本を読んで一緒に笑う。
        そういう時間こそが、ずっと心の奥底に残るんじゃないかな。
        >> 続きを読む

        2019/01/12 by chao-mum

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      自由と社会的抑圧 (岩波文庫)

      シモーヌ・ヴェイユ

      4.0
      いいね!
      • シモーヌ・ヴェイユといえば、まだティーンエイジャーだったころ、宮崎哲弥氏のウィキペディアを見ていたら「シモーヌ・ヴェイユに影響を受けた」と書いてあり、そのシモーヌ・ヴェイユは「キリスト教神秘主義」に属する哲学者であるとの情報も同時にインプットされ、洗礼を受ける前、キリスト教や、それに付随する哲学・思想の知識を深めようと、色々と本を読んでいましたが、その流れで約1年半前に本書を「シモーヌ・ヴェイユといえば、キリスト教神秘主義と関連付けられていたな」と、購入。

        しかし、なかなか読む機会がなくそのままにしてありましたが、1ヶ月ほど前から読み始め、昨晩、読了しました。

        内容は、、、やはり難解です。
        マルクスと、マルクス主義・科学的社会主義を批判しているのですが、マルクスの主著「資本論」を15歳の頃に読もうとして挫折して以来、読んでないので、批判されている肝心のマルクスの思想について、そもそも知識不足です。

        ですが、解説にも書いてあるように、本書が著された1934年の前後は、世界各国であらゆる「大事件」が起こっています。

        1929年にはソ連でスターリンの独裁が始まり、ニューヨークでの株の大暴落、世界的大恐慌、1931年にはその「とばっちり」がヨーロッパにまで及び、企業による労働者への搾取、抑圧が強化されます。失業する労働者、貧窮する労働者、、、

        その煽りを受け、ヨーロッパ各国では左翼政党が支持され、台頭してきます。(ドイツでは、その流れに抗うようにして、1933年、ヒトラーが政権を握りますが)

        このような時代の流れに沿って書かれた本書は、マルクスの描いた、共産主義、科学的社会主義を「この夢想もやはり実現されずに終わった。たとえそれが慰めになりえたとしても、阿片としての慰めにすぎない。」と、マルクスの「宗教は阿片だ」という言葉をそのまま借用し、強烈な皮肉として、マルクスの思想を徹底的に断罪します。

        そして本著が著された翌年の1935年に工場での就労をしたことからも、本著の文章からも、ヴェイユは「熟練労働者の働く姿は美である」と捉えているようで、自由への社会的抑圧の最中にある社会において「学問や芸術やスポーツのようにこのうえなく自由と見える活動でさえ、労働に固有の精確さ、厳密さ、細心さを模倣し、ときには凌駕しさえするのでなければ、なんの価値もない。」と説きます。

        本著では、読む前に抱いていた「キリスト教神秘主義」的な言説は、さほど感じられませんでしたが、その思想が顕著となるのは、どうやら晩年の著作のようで、引き続き、追っていきたい著述家です。そして、ヴェイユが目の敵にする、マルクスについても、知識を深めなければ、、、
        >> 続きを読む

        2018/02/21 by KAZZ

    • 1人が本棚登録しています
      コモン・センス 他三編

      トーマス ペイン

      岩波書店
      カテゴリー:アメリカ合衆国
      4.0
      いいね!
      • この本には、「コモン・センス」の他に「厳粛な思い」「対話」「アメリカの危機」が収録されている。
        どれも、アメリカがイギリスから独立する頃、多くの人々の魂を揺さぶり、独立へ鼓舞した、当時非常に多くの人が読んだパンフレットだったそうだ。
        当時のアメリカの人口が250万人で、「コモン・センス」は50万部売れたというからたいしたものだ。

        内容もとても興味深い。

        政府よりも社会が先に存在し、重要だというペインの持論は、ずっと後年のアレントの「革命について」でアメリカ独立革命の重要な点として指摘されるところとまさに呼応している。

        聖書に基づく王制・世襲制批判や、イギリスの立憲制度への批判は、今日の日本人には縁の遠い話とはいえ、そのメラメラした熱烈さに、なんだか当時の共和主義の情熱や息吹みたいなものを感じさせられる。

        ペインの一連の文章における「イギリス」と「アメリカ」を、今の「アメリカ」と「日本」に置き換えてみたら、案外と面白いのではないかと読みながら思えた。

        隷従の拒否や、多元外交、自由貿易などを熱烈に説くペインは、今の日本を見てもおそらく同じことを言ったのではなかろうか。

        「対話」の中の、イギリスに逆らうことを恐れる議員に対して、

        「わたしは、隷属という破滅的な結果しか考えていません。
        戦争の災いは一時的なもので、その及ぶ範囲も限られています。
        しかし隷属の不幸は広い範囲に及び、またその影響も長引きます。」
        (107頁)

        という言葉は、なかなか戦後の日本では発せられにくい、しかし本当は一番大事な言葉ではないかと思う。

        「アメリカの危機」の中で、
        「ともかく、わたしが生きている間は平和であって欲しいんです。」
        という態度を退け、
        「もめごとが避けられないとすれば、わたしの時代にそれを片づけて、子供には平和な暮らしをさせてやりたい」
        という態度や精神をこそ唱えているのも、今の日本人の多くが聞くべき言葉ではないかと思った。

        人の魂を揺さぶる、正義感と独立への希求のこもった書物だと思う。
        >> 続きを読む

        2012/12/22 by atsushi

    • 2人が本棚登録しています
      ことばの由来

      堀井令以知

      岩波書店
      カテゴリー:語源、意味
      4.0
      いいね!
      • 日本語を母語として話す者として、ことばの由来や意味には常に関心を持っていたい。別に豆知識をひけらかす為にではなく、自分が使っている言葉の意味もよく分からず話すのは恥ずかしいので。外国語も語源を理解しながら勉強するといいという。もっと早く知っておけば... >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

      • コメント 5件
    • 1人が本棚登録しています
      錢金について

      車谷長吉

      朝日新聞出版
      3.0
      いいね!
      • 直木賞作家のエッセイ集。

        わけがわからんなりに、「う~ん」と妙に納得してしまう。
        このくらい考え方が突出?していないと、創作者としては世に認められないんだなあ。。と思った。

        実に、著者が、作家として成功していてよかったと思う。
        老婆心ながら。

        蛭子能収や西村賢太、車屋長吉、太宰、と、とりあえず創作者として成功していなければ、何も取り柄がないロクデナシ(言い過ぎか)ばかりだ。
        >> 続きを読む

        2014/07/28 by 課長代理

      • コメント 3件
    • 1人が本棚登録しています
      二月二日ホテル (角川文庫)

      北方 謙三

      4.0
      いいね!
      • 冷笑的な言動、粗暴なシャッターの切り方…

        バーでグラスを傾ける仕草も、匕首で身体を切り刻まれた中年の悶絶も、
        平等な紙幅と温度で、淡々と描写していく「私」。

        脳裏に甦る総括と自己批判という過去。
        「私」が出会った被写体が自ら背負った不可避な未来。

        感情に訴えかけない文体。
        その文体で描いた、噎せ返るような人間臭さ。

        相容れない特徴の狭間で、
        突き放したかのようでもあり、優しくも感じる言葉を、時々こぼす「私」。。
        >> 続きを読む

        2018/05/02 by HIAC

    • 1人が本棚登録しています
      夢見るミノタウロス

      峯村利哉 , SherrillSteven

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 神話上の生き物、半人半牛のミノタウロスが現代に生きている。「M」と呼ばれ、ステーキハウスでコック見習いとして働いている。

        異形の生き物として人間の中で生きる「孤独」と「しんどさ」が溢れていた。

        人間にも獣にもなりきれない。心も体も引き裂かれているようで、とてもしんどい。侮辱する人間のことなんか食い殺してしまえばいいのに、ミノタウロスはそうしない。

        物事を投げ出さずに、やけにならずに、毎日をちゃんと生きる。

        p212 「神話の登場人物であろうがなかろうが、他のみんなと同様、ミノタウロスの人生も不調和と不合理に満ちている」

        続きが気になるラストだった。
        >> 続きを読む

        2015/05/05 by seimiya

      • コメント 1件
    • 1人が本棚登録しています
      デュラララ!!×2 (電撃文庫)

      成田 良悟

      3.0
      いいね!
      • 「ダラーズ」の創始者帝人、「黄巾賊」の元将軍正臣、妖刀「罪歌」を内に秘める杏里。その三勢力の対立を心待ちにしている臨也。「事件」として話を追いかけているうちは「どこが魅力なのだろうと思いながら読んでいたが、最後の方でメインの登場人物の「裏の顔」という物が明らかになったらこの作品の魅力が理解できたような気がする。2巻までは登場人物の「顔見せ」的な展開のようだ。次の巻からはそれぞれの登場人物の「裏の顔」が明らかになりどう運命が展開していくのか。読み続けていきたい。 >> 続きを読む

        2016/07/14 by おにけん

    • 3人が本棚登録しています
      やがて消えゆく我が身なら

      池田清彦

      角川グループパブリッシング
      いいね!
      • 189ページ: 老人介護の最大の問題点は、介護する方のマニュアル化されたパターナリスティックな行為と、介護をされる老人のニーズが、どうしたって齟齬を来すところにある。介護はもちろんサービスであるから、本来的には消費者(介護を受ける人)のニースに応えることが望ましい。しかし、介護される老人は様々な意味で弱者であり、真の決定権を持たないのが普通だろう。介護をする方は、いきおい消費者の代理人(介護を受ける人の家族)の意向を重視するようになる。そうなると、重視されるのは家族と介護人の都合ということになり、老人は単にパターナリズムの奴隷として生活せざるを得なくなる。 >> 続きを読む

        2015/03/19 by Neo*

    • 2人が本棚登録しています

出版年月 - 2005年3月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本

三鬼 三島屋変調百物語四之続