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2005年3月発行の書籍

人気の作品

      ラッシュライフ

      伊坂幸太郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! tadahiko ooitee
      • 「陽気なギャングが地球を回す」を読んで伊坂作品を他にも読んでみたいと思っていながら後回しになってしまい、ようやく2作目。「陽気な~」のレビューを見返してみたら、なんと2012年でした。。時間が経つのが早くて恐ろしくなります。。

        ラッシュライフ。

        単行本の表紙がエッシャーのだまし絵になっていることと、他の方のレビューで気になっていましたが、まさにエッシャーのだまし絵のような印象の作品でした。読んでいくとパズルが1つ、また1つとはまっていくような感覚でした。

        お金で全てを買えると思っている画商と、若い画家の話。
        プロフェッショナルの泥棒の話。
        不倫をしていてお互いに相手を殺そうと企むカップル。
        失業して途方に暮れているおじさん。
        そして、新興宗教の幹部と若者。

        全く関係ない話が段々と交錯していく様子は読んでいて楽しかった。

        良い意味で、難しいこと抜きにして楽しめるエンタメ作品です。
        >> 続きを読む

        2019/09/09 by chao

      • コメント 2件
    • 他17人がレビュー登録、 121人が本棚登録しています
      二十四の瞳

      壷井栄

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • タイトルは昔から聞いたことがあって、先生と生徒たちとのお話で、舞台は沖縄で戦争が絡んだ少し悲しいお話、という先入観を持っていたのだが、読んだら瀬戸内だった。若い頃に短期間に担任した生徒たちが貧困や戦争で死んだりいろいろあったねと、40すぎに再度赴任してしみじみするのだが、文体が少し古くて読みづらい。映画とかで見たほうがいいかな。 >> 続きを読む

        2020/08/18 by 和田久生

    • 他4人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      失踪日記

      吾妻ひでお

      イースト・プレス
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.7
      いいね!
      • 私は少年チャンピオンで「ふたりと5人」を読んでいた世代。

        登場人物“先輩”の「形而上学的には…」で始まるセリフがオモシロイと思っていた。それが編集さんの提案だったとか、忙しくてコワレかけてた頃だったという記述には驚いた。
        そのあとアルコール依存で病院に入ってた事もこの本で知った。

        本人と家族にしてみれば悲惨な話なのに他人事のように笑って描かれてるのがスゴイし救い。

        「マンガ描くのやめよう」とか「配管工で食ってこう」とか言ってないのが本当に嬉しかった。


        ======================

        2011年に書いたレビューです。
        あの後、ツイッターで吾妻さんを見つけてフォローしていたのですが私の苦手なカエルの観察をツイートしていて…。遠ざけてしまいました。

        一昨日、訃報を聞いて驚いています。

        訃報へのコメントを読んでいると、あのワケわかんない変な笑いは皆に愛されて継がれているのだなぁと感じました。

        吾妻先生、お疲れ様でした。
        >> 続きを読む

        2019/10/25 by たたみ

    • 他4人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      世にも美しい数学入門

      藤原正彦 , 小川洋子

      筑摩書房
      カテゴリー:数学
      3.8
      いいね!
      • この本も齋藤孝さんの“本には順番がある”で読もうと思った一冊。
        途中までは良かったが折り返し点を過ぎてからは一気にペースダウン、最後は足がもつれながらのゴールイン。やはり数学の分野も不向きでおました。

        でも数学とか哲学とか文学とかはすぐに役に立たないものなんですと、数学者で実用に役立つというのは格下で恥ずかしいことだと、後世になって役立つという奥ゆかしい学問だと。例えばニュートンが初めて天体物理学を作りましたが、彼の書いた「プリンキピア」という本は、自ら発見した微分積分ではなく、ギリシャ時代の“”ユークリッド幾何学を使っていると、逆にいえばその“ユークリッド”が役に立つまで二年三年じゃなくて、二千年経ってからというのが数学の偉大なとこですな。

        例えば「フェルマー予想」という解けない難題があるのだが、350年にわたって有名無名の人が数多く攻撃してもすべて失敗。天才と言われた人が「フェルマー予想」に一生とりかかり、結局何もしないままに死んでしまったと、著者の藤原さんも大学院の時指導教官に「フェルマーだけはやるな。数学人生おしまいだよ」って、でもそれぐらい虜にするのは、数学や文学や芸術に美と感動があるからだと、いろんなところに魔物はいてますな・・・・。

        >> 続きを読む

        2021/01/16 by ごまめ

      • コメント 3件
    • 他3人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      クラインの壺

      岡嶋二人

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.8
      いいね!
      • 中盤から夢中になって読める。

        読みやすいけど練られていて情景が浮かびやすい文章だった。

        個人的にラストが好きな作品。
        >> 続きを読む

        2015/03/05 by わきや

    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      一日江戸人

      杉浦日向子

      新潮社
      カテゴリー:日本史
      3.6
      いいね!
      • 【まるで落語のような】
         江戸通として知られた、故杉浦日向子さんの楽しい一冊。
         江戸時代の様々な風俗、習慣をトピック仕立てで紹介してくれます。

         江戸時代の物価と収入なんていうのも計算されていて、米価換算で一月8万円もあれば余裕で生活できたそうですし、8万円稼ぐ程度なら零細商人でも月に10日~15日も働けば十分だったそうです。
         かなり余裕のある豊かな生活だったようですが、それでも江戸人はそれすら働くのを嫌がり、ちゃんと働きもせず、金が無くなれば大道芸の様なことをやって小銭を稼いだり、季節々に不要な家財を質入れして金を工面したりしていたそうです(夏になると冬布団を質に入れて金を借り、寒くなってくると蚊帳を質入れして冬布団を出してくるみたいに)。

         また、暑い夏の盛りに働くなんていうことはしなかったそうです(ちゃんとお勤めしなければならなかったのは、大店の店員=一流企業のサラリーマンか、武士=公務員くらいのものだったとか……いつの時代も哀しきかなは宮仕え……トホホ)。
         涼しくなる秋からまた頑張れば良いやってなもんです。
         それでも手元不如意な場合は、朝、夕の涼しい時間帯だけちょこっと働いて何とかなっちゃうとか。

         師走も余裕しゃくしゃくです。
         12月8日には事納めになり、その後、煤払い(大掃除ですな)、歳の市を回って正月用品を買い揃えるなどなど。

         食べていくだけなら、何もあくせく働かなくても十分にやっていけたようです。
         何だか現代よりも江戸時代の方がゆとりのある人間らしい生活をしていたのではないかと思えてきてしまいます。

        また、お酒の話にもびっくり。
         朝、仕事に出かける前に茶碗半分位を軽くひっかけ(縁起としてそうしていたのだとか)、午後、仕事が一段落すると昼食とおやつを兼ねてまた一杯。
         帰宅後、風呂上がりに晩酌をしてゆっくり夕食を済ませ、寝る前にまた一杯。
         大体毎日5合位は飲んでいたとか。江戸の町はいつもほろ酔いの男衆だらけだったとか。
         いいのか、それで!

         そう言えば、こんな小咄がありましたっけ(江戸小咄ではありませんが)。
         20年以上も連れ添ってきた夫婦なのですが、妻が突然離婚を切り出したのです。
         その理由を尋ねると、「亭主があんな呑んべえだとは知らなかった。」というのです。
         20年以上も連れ添ってきてそれはないだろうと問いただすと、「だって、夕べ初めて素面で帰ってきたんですもの。」だそうです(苦笑)。

         この本には、杉浦さんがお描きになったイラストが添えられており、それも楽しいのですが、残念なことに文庫化したためにちょっと小さくなってしまって見づらいかな。
         軽妙な、まるで落語のような語り口の一冊でした。
        >> 続きを読む

        2020/07/21 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      格闘する者に○

      三浦しをん

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 就活のお話。ん十年前に会社員となった身なので昨今の厳しさは、果たして当時の自分ならどうするのだろう?となかなか不安になる。

        でもやっぱりこの本の大学生達と同じように、身の丈〜ちょっと頑張った「格闘」をするしかないわけで、案外サバサバとマイペースでやってるかも。

        お話は、就活や込み入った家庭の事情に対して身の丈+αの格闘の後、『劇的なことは何もないままに』、それでもこれからまた続いていくことに、『諦めにも似た潔い決意』を抱きながら終わる。が、決して仰々しいものではなく爽やかな感じ。

        皆その時々でできる自分なりの「格闘」をちょっとづつ続けて今に至り、これからも…そしてそれができるのは結局自分だけ…というあたりを、解説にあるようにユーモアにくるみツッコミをまぶして、一歩引いて距離をとっているのがいい感じです。
        >> 続きを読む

        2014/12/14 by minomu-

      • コメント 1件
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      金色の死 谷崎潤一郎大正期短篇集

      谷崎潤一郎

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •    成熟のその手前

         暇さえあればオクタビオ・パス著の『弓と竪琴』を読んでいる。分からない、いくら読んでも分からない。引っ切りなしに引用される書名の波に押し流され、道をたずねても相手は聞いたこともない名前の学者や小説家たち。じぶんに理解できるのはじぶんが理解していないという事実だけ。つい昨日会ったばかりの人を持ち出すようにアリストテレスを引用する奇癖をもつ、このメキシコが生んだ、明哲で抜けめのない批評家の論考を、そう易々と飲みこめる私ではないが、それでも、繰り返し、繰り返し読むうちに何か味がしてくるから読書はおもしろくて、読書百篇ではないけれど、義自ら通じた先になぜか谷崎潤一郎がいた。
         前々から感じていて敢えて口に出してはいないが、もし、谷崎潤一郎から藝術家の才分が失われたとしたら、ただの変態、あるいは瘋癲老人になるだろう。藝術家とはそういうものかもしれない。それにしても、谷崎の女体崇拝はちょっと常軌を逸しており、どうして女性の足にそこまで執着するのか、とくに若い頃は不思議で仕方なかった。男性には見られない曲線美があるのは分かるし、僕もエスカレーターに乗ると、踵からふくらはぎ、その小丘からベルトが掛る腰までのラインを隈なく見ます。華のある歩き方をする人のラインには「美」が充溢していて、もうひとつの顔と呼べるほどの多様性と情報量に富み、そこには確かな個性がある。たとえば、パスピエの女性ヴォーカルの子がいい。「つくり噺」のPVの終わりのほうに、階段を昇っていくシーンがあって、歩き方と例のラインをじっくりと観察できる。しかも顔が隠れているから、その分よりいっそう美人に見える。いや、きっと美人と断定して間違いないと思う。これだから谷崎を読むのはイヤなんですね。話が逸れた。
         話を谷崎にもどして、肝心の作品論をしてみたい。いいえ、個別の作品論ではなく、総論としての、やや抽象的な戯言かもしれないが、谷崎の作品からは西洋文学を学んだペンだこがほとんど見受けられない。と言えば言い過ぎだが、大岡信がみずからの愛するポール・エリュアールの影響を自作からは隠すように、谷崎も(谷崎の愛した西洋の作家って誰だ?)そういう抑制する力をもっていたから、我が国の大古典である源氏をほんとうの意味で創作に活かせたのではないだろうか? ここで前述のオクタビオ・パスが、ポエムとポエジーを区別した事情を思い出すと、ポエジーの要素のなかでも「放棄」が詩学の世界では肝腎なのだろうか? 放棄するためには獲得しなければならず、獲得するためには対象を認識しなければならない。それとも「放棄」とは、捨てたあとに残ったものを指すのだろうか? もちろん、事はそう単純ではないし、詩学の世界では一体化するような事例もあり、例をあげると大岡昇平とスタンダールや、バルガス=リョサとフロベールなど。しかし、そういう作家であっても、ほんとうに輝いているときには、語りの言葉のうちに霊魂が宿り、その作家は人間として独り立ちしている。この立ち姿のことを人は文体と呼び、この立ち姿こそ谷崎文学の醍醐味である。それは初期作品といわれる、大正期の短篇でも変わらない。松子夫人の手ほどきを受けるまえで、あの息の長い調子は鳴りを潜めているけれど、これらの短篇には、ゆくゆくは大家になる自負心が推量され、円熟期を迎える萌芽が散りばめられている。
        「金色の死」は、これまでの藝術に対する内省とこれからの決意がテーマで、三島由紀夫っぽい友だちと主人公の二人舞台。この友だちがおもしろい。「母を恋うる記」と「富美子の足」、このふたつは題名から察してもらいたい。坂口安吾の作品のような「小さな王国」もなかなか読ませる。他に「人面疽」、「途上」、「青い花」。谷崎の初期短篇はすこし軽視されがちだけど、円熟期や後期にそれほど引けを取らないと私は思う。文豪と認められるまえの若い作家のつよい気魄や色々の意匠に、藝術家としての伸びしろや、成熟してゆく定められた未来を予感することができる。


        付記
         我奈覇美奈さんの「With A Wish」という曲がなかなかいいです。歌声がなんか胸にくるものがあるし、繰り返し聴いても飽きにくい。女性ヴォーカルの魅力が詰まっている気がします。
         この本には既レヴューがありまして、過去のじぶんのノー天気なコメントをみて冷や汗が出ました。
        >> 続きを読む

        2016/06/11 by 素頓狂

      • コメント 12件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      きのう、火星に行った。

      笹生陽子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「BOOK」データベースより

        6年3組、山口拓馬。友だちはいらない、ヤル気もない。クールにきめていた。ところが突然、病気がちの弟・健児が7年ぶりに療養先から戻ってきて、生活が一変する。家ではハチャメチャな弟のペースに巻き込まれ、学校では体育大会のハードル選手にでくちゃんと選ばれる…。少年たちの成長に感動必至。


        やだわあ、こんなクールめかしたすかした小学生。
        なんに対しても冷めていて、生きているのもめんどくさい風情の子供は結構多いと思うし、自分もそういう時期ありました。
        でもですよ、彼なんにもしていないのになんでもできちゃうわけなんですよ。そういう同級生。全然一生懸命やっていないのになんでもさくさくできちゃう。しかもクラスで一番かわいい子に何故か好かれていて、ああそうですか、そういうことなのねふうんふうん。
        で、だんだんと熱くなっていって、そんな自分が好きになって行ってしまうわけですね。

        感動はしませんでした(キッパリ)でも少年漫画的には結構悪くないとは思いました。
        >> 続きを読む

        2015/08/15 by ありんこ

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ボトムズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

      ジョー・R・ランズデール

      4.5
      いいね!
      • 【黒人が殺されても犯罪ではない。しかし白人が殺されれば犯罪なんだ。】
         1930年代初頭、アメリカのテキサス州東部にある低湿地『ボトムズ』を舞台にしたサスペンス・ミステリ作品です。
         全編を通じて色濃く漂うのは、強烈な黒人差別、暴力的で偏見にまみれた人々の姿や、濃密な自然描写です。

         この時代、テキサス州東部にはまだ深い森が残り、そこにはヌママムシ、ヒルなどがうじゃうじゃとおり、また、トイレも家の外に作られ(もちろん水洗などではありません)、家畜も家のすぐ近くで飼っているためいつも悪臭が立ち込め、家のスクリーンドアなどには蠅が真っ黒にびっしりとたかっているというような状態なのです。

         そんな中で11歳のハリーとその9歳の妹トムは両親と共に生活していました。
         学校の先生がいなくなってしまったので学校に通うこともできなくなり、もっぱら家の手伝いをしている生活でした。
         ある日、二人は深い森の中で迷ってしまい、そこで全裸のまま有刺鉄線などで木に縛り付けられていた黒人女性の死体を発見してしまうのです。

         ハリーの父親のジェイコブは町の治安官を勤めていましたので、すぐに死体を回収しその死因を調べるため町の飲んだくれの医師に診てもらおうとしたのですが、その医師は、黒人なんか診療所に運び込んだら他の患者が来なくなると言い、これを拒否します。
         仕方なく、黒人だけが住んでいる隣町まで車で死体を運び、そこに住んでいる黒人医師に検分を依頼したのです。

         ところがどうしたわけかそこへのんだくれの医師もやって来て、検分に立ち会って勝手なことを言います。
         「これは動物の仕業だ」
         「動物がその後木に縛り付けたと言うのか?」
         こんな調子で邪魔にしかなりません。

         この時代の白人の多くはこんなものだったのです。
         黒人が殺されてもそれは事件じゃない。
         犯人が白人だとしても同じことだ。
         放っておけばいい。
         ただし、白人が殺されたらそれは事件だ。
         ましてや犯人が黒人なら裁判などいらない。吊るしてしまえ。
         というわけです。

         ジェイコブは黒人を差別しない公正な考えの持ち主であり、のんだくれの医師など我慢できなかったのでその場から叩き出してしまいます。
         黒人医師の見立てでは、被害者は凌辱されており、また体中に鋭利な刃物で付けられた傷跡がありました。
         おそらくその後、木に縛り付けられ、さらに身体を傷つけられたと思われると言うのです。

         ジェイコブは、本業の理髪店の傍ら、捜査を始めるのですが、これと言った証拠は見つかりません。
         段々事件のことが人々の記憶から薄れていった頃、また黒人女性の全裸死体が発見されるのです。

         本作は、その後も発見される女性の全裸死体(中には白人の死体もありました)を巡り、ジェイコブとちょうど大人になりかかろうとしているハリー、そしてハリーの元気なおばあちゃんらによる捜査が描かれますが、本作には名探偵のようなものは出てきませんので、その捜査や推理はごくごく一般的なものにとどまります。

         そしてまた、ゴート・マンという謎の存在もちらつきます。
         これはヤギの姿をした、もしかしたら悪魔かもしれないと思われる謎の男で、森の奥深くにいると噂されている存在なのです。
         ハリーとトムは何度かゴート・マンと思われる者の姿を見たと思っており、一連の事件の犯人はゴート・マンに違いないと確信しているのです。
         しかし、ジェイコブは、ゴート・マンなどいないと言って取り合いません。

         巻末解説には、本書はホラー・ミステリであると紹介されていますが、私はホラー性はほとんど感じませんでした。
         ホラーだと言うのは、作者の他の作品の傾向と、本作に登場するゴート・マンの存在故だろうと思うのですが、私は、実はミステリ色すら薄い、一般作品という印象を強く持ったのです。

         黒人に対する白人たちの偏見、ちょうど大人になろうとしているハリーの成長、公正な心の持ち主だと思っていた父親ジェイコブの心の底にある偏見や名誉心、弱さ。
         優しい母親の過去、父と母とのセックスを知ること、濃密な自然や風俗の描写などなど、一般作品としても十分鑑賞に堪えられる内容を持った作品なのです。
        人間の醜悪な偏見、蔑視する心なども描き切った秀作だと思います。


        読了時間メーター
        □□□     普通(1~2日あれば読める)
        >> 続きを読む

        2021/01/14 by ef177

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      花まんま

      朱川湊人

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 表題作はジーンときて、さすがに良かった。妖精生物はイマイチ、摩訶不思議はコントぽくって好み。 >> 続きを読む

        2019/09/22 by hiro2

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      クリムトと猫

      CapattiBerenice , 森田義之 , MonacoOctavia

      西村書店
      カテゴリー:洋画
      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 東京美術館でクリムト展が開催されていたので目の前で見たいなと思いつつこの絵本を手にした。

        クリムトの人柄に触れることができる。
        どんなに絵や表現するということに執着してたのかが伝わってくる。
        新しい技法は受け入れるまで長い年数を要するが芸術家は「壊す」ことがスタートになるんだろうな。

        生涯独身だったなんてあんなステキな女性たちを描いてて意外だった。
        >> 続きを読む

        2019/07/03 by miko

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      コードコンプリート 完全なプログラミングを目指して

      クイープ , McConnell Steve

      日経BPソフトプレス
      カテゴリー:情報科学
      4.5
      いいね!
      • 数年間、ちょこちょこっと読んではそのままにしていたけれど、ついに意を決して読んだ!!!約600ページ、超分厚いけど、まだこれから下巻が待っているかと思うと色々な意味で震えます。。骨太。超骨太な技術書でした。

        これを読んで今猛烈に過去に書いた自分のコードを修正したくなってます。

        変数名のつけ方、メソッドの作り方、ループのネストは深くするな、重複するコードでなくても可読性をあげるためにメソッドにわける、変数の宣言は使う直前にする、コーディングする時に最初にコメントを書いて詳細設計とするなどなど、プログラマがコーディングする時にいかに他人が見てもわかりやすい(=品質の高い)コードを書くかが事細かに書かれています。例をあげただけでは基本中の基本ばかりな印象を受けるかもしれませんが、基本的なことでもそこは抜けてた・・・という項目も多々あります。たとえば私の場合なら、変数名にNumとNumberを混ぜないとか。Max、Totalなどをプレフィックスにするのか、そうでないかを統一するとか。条件文の中での変数と定数の書く順番とか。条件文は否定じゃない方が可読性が高いとか。たしかにあまり意識せずに書いていたけど、統一されていたら感覚的にも後から読む人は読みやすいと思う。

        言語問わないベースの考え方の指南書なので、例文がC++だったり、VBだったり、Fortranだったりと、私が使っているJavaとは完全にマッチしない部分もあるけれど、そして細かい点では今はその機能はJavaでも使えるよーみたいな部分もあるけれど、言語を超えた本質的な考え方をこれだけみっちり教えてくれるのはありがたい。

        ずっと改修をやっていて今まであったソースをそのまま踏襲するコーディングがほとんどというプログラマや、なんとなく自分のスタイルができつつある若手などには特におすすめしたい。プログラミング始めたばかりの人には情報量が多すぎたり書かれていることがピンとこないかもしれないのでせめて半年くらい経過してからが良いかも。また、わかりやすいコードを書けるという自信のあるベテランさんにはこの分厚さ、読む時間、費用という面を考えると費用対効果はもしかしたら弱いかもしれない。でもたとえばコーディング規約を作る立場などだとしたら、この本は多いに役立つと思う。

        可読性大事!!とわかって気をつけていた方だとは思うけど、それでも急いでるからあんま良くない書き方だなーと思いながらそのまま書いてしまっていたコードとかたくさんある。だけど、それが今後の負債になっていくことを思えば、その時のちょっとした可読性を上げる一手間はやっぱり惜しんじゃダメだ。

        とにかく読み応えあったーーグッジョブわたし。
        >> 続きを読む

        2015/07/03 by gavin

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      コードコンプリート 完全なプログラミングを目指して

      クイープ , McConnell Steve

      日経BPソフトプレス
      カテゴリー:情報科学
      4.5
      いいね!
      • やっと読み終わった〜分厚かったーー。。。
        これだけ分厚いと達成感あるわ。

        前に挫折したから勝手に難解な本だと思っていたけど、上下巻ともとても読みやすい。レベル的にはプログラミング初めて半年とか1年の人が読むと1番得るものが多いのではないかと思う。とはいっても、数年コーディングしている私でもアンチパターンで良くないとわかっていながらもついついやっちゃってるーーと反省することも色々あって、コーディングする際の姿勢を正してもらった気がする。

        下巻は品質やデバッグ、リファクタリング、コードチューニングやレイアウト、コメントの書き方、読めばわかるコードといったテーマから、個人の資質というようなテーマまで。個人のスキルでコーディングやデバッグに10倍以上生産性の差があるという話など、わかってはいるけども改めて言われると危機感を感じずにはいられない話も。

        上巻と同じく情報が相当古いのでそこは読み替えが必要だけど、コードを書く上で知っておくべき視点、考え方を網羅できる非常に良い技術書だった。
        >> 続きを読む

        2015/07/14 by gavin

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      せかいでいちばんつよい国

      中川千尋 , McKeeDavid

      光村教育図書
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.3
      いいね!
      • とても面白い絵本だった。

        どこよりも強い大きな国があり、他の国々をつぎつぎと力で征服していく。

        そのうち、小さな国があったので、そこにも軍隊を連れて征服に行く。

        その小さな国は、武力では抵抗せず、暖かく大きな国の軍隊を迎え入れる。

        そして、料理のおいしさや、歌のうまさや、いろんな文化の力によって、いつの間にか大きな国の軍隊の人々の心をすっかりつかむ。

        大きな国の大統領も、いつの間にか、自分の国に帰ってから子どもにその小さな国の歌を自然と歌って聞かせていることにはっとなる。

        本当に一番強いものは、軍事力というハード・パワーではなく、歌や料理などの文化の力・ソフト・パワーだということを、生き生きとわかりやすく教えてくれる面白い絵本だと思う。

        これはしょせんは絵本の絵空事だと言うなかれ。
        実際の歴史には、いくらでもこのような事例がある。
        ローマ帝国を征服したゲルマン人は、いつの間にか、ローマの文化と法律とキリスト教に逆に征服された。
        鮮卑族や女真族など、中国に侵入した北方の民族は、いつの間にか中国の文化に同化した。
        日本においても、関東の武士などが天下をとっても、京都の朝廷は厳然と生き残り、武士は文化や権威の面でいつも朝廷に敬意を払い、心服していた。

        現代においても、ソビエトや東欧は、結局ビートルズなどの西側の文化の魅力に負けたのかもしれない。

        日本も、戦後は戦前と異なり軽武装の平和国家として出発したが、たしかに、日本のアニメや歌や文化は、世界中に広まり、多くの人に愛好されるようになった。
        要は、このことにどれだけ自信を持ち、それ自体がひとつの力だという自覚を持って駆使するかが大事なのかもしれない。

        ちょうど八月十五日頃に読んで、あらためて考えさせられる、面白い一冊だった。
        >> 続きを読む

        2012/12/21 by atsushi

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      ちびくろ・さんぼ

      DobiasFrank. , BannermanHelen , 光吉夏弥

      瑞雲舎
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 私が子供のころに大好きだった「ちびくろサンボ」。
        差別問題で廃刊になったということを聞いて、複雑な想いでした。
        私の子供のころの記憶を思い起こしても差別につながるようなことがあるとは思えないし、
        差別を考えるならもっと別にやるべきことがあるような気がして。

        そして時を経て新たに出版されたこちらの「ちびくろサンボ」。
        中身は別物と月うさぎさんのレビューで拝見して、なんとなく読む気になれなかったのですが
        3歳の娘のクリスマスプレゼントを選んでいた時に、
        娘がまさに今楽しめるのではないかとこちらを選びました。

        読んでみて。
        中身のどこがどう変わったのかは正直わかりません。
        ですが、ワクワク、とても楽しく読むことができました。
        またこの本を読むことができて、本当によかった。

        トラがぐるぐるまわってバターになってしまうシーンももちろんインパクト大ですが、
        娘が好きなのは最後にホットケーキをたくさん食べるシーン。
        山盛りのホットケーキを見ていつもギャハハと笑います。

        なぜトラがバターになるのか謎だし、
        なぜいきなりお父さんがツボを持って現れるのか謎だし、
        よくこんな話を思いついたなぁと思ってしまうような本当に不思議な話だけども、
        こういう本を読んで親子で楽しめるのって、なにより幸せで贅沢な時間な気がします。

        何かを教えたいとか、こうしたいとか、そういった目的は何もなく
        ただただ絵本を読んで一緒に笑う。
        そういう時間こそが、ずっと心の奥底に残るんじゃないかな。
        >> 続きを読む

        2019/01/12 by chao-mum

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      自由と社会的抑圧 (岩波文庫)

      シモーヌ・ヴェイユ

      4.0
      いいね!
      • シモーヌ・ヴェイユといえば、まだティーンエイジャーだったころ、宮崎哲弥氏のウィキペディアを見ていたら「シモーヌ・ヴェイユに影響を受けた」と書いてあり、そのシモーヌ・ヴェイユは「キリスト教神秘主義」に属する哲学者であるとの情報も同時にインプットされ、洗礼を受ける前、キリスト教や、それに付随する哲学・思想の知識を深めようと、色々と本を読んでいましたが、その流れで約1年半前に本書を「シモーヌ・ヴェイユといえば、キリスト教神秘主義と関連付けられていたな」と、購入。

        しかし、なかなか読む機会がなくそのままにしてありましたが、1ヶ月ほど前から読み始め、昨晩、読了しました。

        内容は、、、やはり難解です。
        マルクスと、マルクス主義・科学的社会主義を批判しているのですが、マルクスの主著「資本論」を15歳の頃に読もうとして挫折して以来、読んでないので、批判されている肝心のマルクスの思想について、そもそも知識不足です。

        ですが、解説にも書いてあるように、本書が著された1934年の前後は、世界各国であらゆる「大事件」が起こっています。

        1929年にはソ連でスターリンの独裁が始まり、ニューヨークでの株の大暴落、世界的大恐慌、1931年にはその「とばっちり」がヨーロッパにまで及び、企業による労働者への搾取、抑圧が強化されます。失業する労働者、貧窮する労働者、、、

        その煽りを受け、ヨーロッパ各国では左翼政党が支持され、台頭してきます。(ドイツでは、その流れに抗うようにして、1933年、ヒトラーが政権を握りますが)

        このような時代の流れに沿って書かれた本書は、マルクスの描いた、共産主義、科学的社会主義を「この夢想もやはり実現されずに終わった。たとえそれが慰めになりえたとしても、阿片としての慰めにすぎない。」と、マルクスの「宗教は阿片だ」という言葉をそのまま借用し、強烈な皮肉として、マルクスの思想を徹底的に断罪します。

        そして本著が著された翌年の1935年に工場での就労をしたことからも、本著の文章からも、ヴェイユは「熟練労働者の働く姿は美である」と捉えているようで、自由への社会的抑圧の最中にある社会において「学問や芸術やスポーツのようにこのうえなく自由と見える活動でさえ、労働に固有の精確さ、厳密さ、細心さを模倣し、ときには凌駕しさえするのでなければ、なんの価値もない。」と説きます。

        本著では、読む前に抱いていた「キリスト教神秘主義」的な言説は、さほど感じられませんでしたが、その思想が顕著となるのは、どうやら晩年の著作のようで、引き続き、追っていきたい著述家です。そして、ヴェイユが目の敵にする、マルクスについても、知識を深めなければ、、、
        >> 続きを読む

        2018/02/21 by KAZZ

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      コモン・センス 他三編

      トーマス ペイン

      岩波書店
      カテゴリー:アメリカ合衆国
      4.0
      いいね!
      • この本には、「コモン・センス」の他に「厳粛な思い」「対話」「アメリカの危機」が収録されている。
        どれも、アメリカがイギリスから独立する頃、多くの人々の魂を揺さぶり、独立へ鼓舞した、当時非常に多くの人が読んだパンフレットだったそうだ。
        当時のアメリカの人口が250万人で、「コモン・センス」は50万部売れたというからたいしたものだ。

        内容もとても興味深い。

        政府よりも社会が先に存在し、重要だというペインの持論は、ずっと後年のアレントの「革命について」でアメリカ独立革命の重要な点として指摘されるところとまさに呼応している。

        聖書に基づく王制・世襲制批判や、イギリスの立憲制度への批判は、今日の日本人には縁の遠い話とはいえ、そのメラメラした熱烈さに、なんだか当時の共和主義の情熱や息吹みたいなものを感じさせられる。

        ペインの一連の文章における「イギリス」と「アメリカ」を、今の「アメリカ」と「日本」に置き換えてみたら、案外と面白いのではないかと読みながら思えた。

        隷従の拒否や、多元外交、自由貿易などを熱烈に説くペインは、今の日本を見てもおそらく同じことを言ったのではなかろうか。

        「対話」の中の、イギリスに逆らうことを恐れる議員に対して、

        「わたしは、隷属という破滅的な結果しか考えていません。
        戦争の災いは一時的なもので、その及ぶ範囲も限られています。
        しかし隷属の不幸は広い範囲に及び、またその影響も長引きます。」
        (107頁)

        という言葉は、なかなか戦後の日本では発せられにくい、しかし本当は一番大事な言葉ではないかと思う。

        「アメリカの危機」の中で、
        「ともかく、わたしが生きている間は平和であって欲しいんです。」
        という態度を退け、
        「もめごとが避けられないとすれば、わたしの時代にそれを片づけて、子供には平和な暮らしをさせてやりたい」
        という態度や精神をこそ唱えているのも、今の日本人の多くが聞くべき言葉ではないかと思った。

        人の魂を揺さぶる、正義感と独立への希求のこもった書物だと思う。
        >> 続きを読む

        2012/12/22 by atsushi

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      ことばの由来

      堀井令以知

      岩波書店
      カテゴリー:語源、意味
      4.0
      いいね!
      • 日本語を母語として話す者として、ことばの由来や意味には常に関心を持っていたい。別に豆知識をひけらかす為にではなく、自分が使っている言葉の意味もよく分からず話すのは恥ずかしいので。外国語も語源を理解しながら勉強するといいという。もっと早く知っておけば... >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

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      錢金について

      車谷長吉

      朝日新聞出版
      3.0
      いいね!
      • 直木賞作家のエッセイ集。

        わけがわからんなりに、「う~ん」と妙に納得してしまう。
        このくらい考え方が突出?していないと、創作者としては世に認められないんだなあ。。と思った。

        実に、著者が、作家として成功していてよかったと思う。
        老婆心ながら。

        蛭子能収や西村賢太、車屋長吉、太宰、と、とりあえず創作者として成功していなければ、何も取り柄がないロクデナシ(言い過ぎか)ばかりだ。
        >> 続きを読む

        2014/07/28 by 課長代理

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出版年月 - 2005年3月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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