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東野圭吾
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時生と名付けた息子が難病で余命わずかの時、父親の拓実は実は過去に息子と会っていたと妻に明かす。ここから拓実の過去となり、時生との出会いから、同棲相手の千鶴。その後の騒動から舞台は名古屋、大阪へと変わっていく。基本的には未来は変えられない。その過程で言うのなら、過去の結末は想像がついてしまう。度々時生の懇願が明らかに意味深であり、拓実の鈍感さにも多少モヤモヤする。いわゆる輪廻転生なのだが、予想内で落ち着く中身には物足りなさが残る。 >> 続きを読む
2018/09/09 by オーウェン
三浦太郎
5か月の孫が、いないいないばあを読んであげると、キャッキャと声出して笑います。いないいないばあに対抗(なんの対抗なの?)できる絵本はないかと探した末、見つけた絵本がこれ!喜んでくれるかなあ(^∇^)早く持って行って読んであげたいなあ。 >> 続きを読む
2019/05/26 by shikamaru
角田光代
妻、夫、娘、息子、妻の母、夫の愛人で息子の家庭教師となった女の6人の視点から語られる家族の物語。表面上は一般的なのに、とても奇妙な家族の物語。直木賞の候補作品となったらしい。ちなみにこの時は受賞作なし、とのこと。書評によると、複数の人間からの視点でここまでリアリティを持って書けるというのはすごいことらしい。さすが角田光代、というものらしい。そうなのかもしれないが、私は読後何の感想もなかった。良い読書でもなかったし、時間を損したとまでは思わないけど、感想、特になし。好みの問題だと思う。しかし、この夫、アホだな・・・あ、感想、あった(笑) >> 続きを読む
2021/10/14 by URIKO
麻耶雄嵩
表紙は子供の絵本みたいだし、中身は漢字全てにフリガナが付いていて幼稚園児でも見れる。でも中身は救いがまるでない物語。小学4年生の芳雄の周囲では猫殺しの事件が多発していた。そこで芳雄は元から所属していた探偵団として事件を解決しようとする。芳雄はそこで転校して知り合った鈴木君の、僕は神様だという言葉を鵜呑みにする。主役が子供だからといって、安心なわけがないのは麻耶さんだから。しかし予想もしない展開だし、突然の悲劇など容赦ない残酷な中身。天誅という言葉でケリをつける神様の仕打ち。終盤恐るべき真相が暴かれるが、それを嘲笑うかのような神様の天誅。希望も何もないラストで、待つのは絶望しかないとは。 >> 続きを読む
2018/07/20 by オーウェン
重松清
「とんび」「流星ワゴン」などで知られる 重松清氏の作品で、テーマは死別。 友人や愛する人との病による別れに直面した いろいろなパターンの人たちを描いています。 7本のお話が収まった短編集なのですが、 最後の3本は主人公が同じでストーリーもしっかりつながっています。 でも、それ以外の4本も 微妙にラップしてくる部分があったりして、 読者をニヤリとさせるあたり やはり重松さんは上手いですね。 本の帯に「涙!涙!!涙!!!」と書かれていますが、 自他共にみとめる涙腺の弱い私が不思議と泣きませんでした。 最後のお父さんが清々しかったからかな。 お盆のお休みなどに読んでみると いい一冊かもしれません。 >> 続きを読む
2017/07/29 by kengo
米澤穂信
第42回神山高校文化祭、通称カンヤ祭が始まる。それに先駆けて、古典部も文集「氷菓」を作成。しかし「氷菓」は、無事完成するものの、30部の予定だった発行部数は、何かの手違いで200部出来上がってしまっていたのだ。自分のミスに青くなる伊原摩耶花。古典部の面々は、過剰在庫を捌くためにそれぞれに行動を始める。具体的には、古典部の名前を宣伝し、新しい売り場を求めるという作戦。そして、地学講義室の売り場は、折木奉太郎が担当することになる。しかしその文化祭で、なんと奇妙な盗難事件が発生する。占い研究会、アカペラ部、囲碁部、お料理研究会、園芸部などから小さな物がなくなり、それぞれの現場には「十文字」という署名のある、グリーティングカードが残されていたのだ-------。米澤穂信の「氷菓」、「愚者のエンドロール」に続く、古典部シリーズ3作目の作品「クドリャフカの順番 『十文字事件』」を読了。この作品では、折木奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花の視点から順番に描かれていく。このそれぞれの視点に、それぞれの個性が感じられて、実に楽しいですね。特に、豪農のお嬢様・千反田えるが、いい味を出していますね。そして、福部里志の「データベースは結論を出せないんだ」や、伊原摩耶花と漫研の河内先輩のやりとりが痛かったですね。「なにしろ才能というものは、望んでいる人間にのみ与えられるものではないからな」という某映画のセリフを思い出してしまいました。モットーの省エネな生き方に基づいて、地学教室に残る奉太郎。しかし、売らなくてはならない文集「氷菓」に、文化祭での出来事がいい感じに絡んできます。特に楽しかったのが、奉太郎が姉にもらった万年筆から始まる「わらしべプロトコル」。お料理研究会のワイルドファイア・カップへの繋がりも楽しかったですし、一見お料理などしたことのなさそうな千反田えるの手際も、読んでいて楽しかったですね。しかも、そのオチも、あまりに千反田えるらしいですね。因みに、クドリャフカとは、スプートニク2号に乗って宇宙にいった犬のこと。人間の都合で、宇宙に送り出され、二度と帰ることのなかったロシアのライカ犬。その時は仕方のないことだったのかもしれませんが、身勝手な人間の行動が産んだ、悲しい出来事でしたね。しかし、この作品の中で、この「クドリャフカ」は十分生かされきっていなかったような気がします。それだけが少し残念でしたね。 >> 続きを読む
2021/07/10 by dreamer
これは名作だと思う。面白い。東野圭吾はあまりにもポピュラーなので、好きな作家と聞かれて「東野圭吾」と言うのを躊躇する時がある。もちろん彼の他にも優れた作家は沢山いるのも知っているつもり。面白い本は世の中に沢山あるし他の方に押し付ける気ももちろんないのだが、やはり東野圭吾も面白く、私たちを楽しませてくれる作家であることは間違いない。この作品はそんな彼が提供してくれるエンターテインメント性を再確認させてくれる。 >> 続きを読む
2012/11/15 by mahalo
奥泉光
三流女子短大の助教授・桑潟幸一は、文学事典に無名の童話作家・溝口俊平の項目を書いたことで、溝口の遺稿が引き金となった、奇怪な殺人事件に巻き込まれていく。と言っても、右往左往するだけの桑潟は、あまり役に立たないので、代わりに登場するジャズシンガーの北川アキと、離婚した元夫の諸橋倫敦のコンビが探偵役となって、謎を追うことになる。著者の奥泉光には、不可能犯罪を描いても、後半になると伝奇、SF風な展開になり、犯人やトリックが解明されないまま終わる作品も多いが、この作品は少なくとも冒頭に出てくる、首無し死体の謎だけは論理的に解明されるので、直球の本格ミステリとなっている。ただ、経営難に苦しむ地方の底辺大学の実像や、そこにコネで入った桑潟の無能ぶりを描く、大学暴露ネタがあるかと思えば、泣ける小説ブームへの皮肉といった文芸界の裏話もあり、こうした謎解きに関係あるのか無いのか微妙なエピソードが、とにかく面白いのだ。お馴染みのオカルトも満載で、謎解きの伏線とは別のレベルで計算された衒学趣味を堪能する余裕があれば、よりこの作品を愉しめると思う。 >> 続きを読む
2020/06/08 by dreamer
紺屋は紺屋S&R社という探偵社を開いたが、探すのは犬専門。ところが来た依頼は人探しと古文書の解読という二つ。しかし経過していくと実はこの二つに関連が。紺屋の過去だったり、妹がやってる喫茶店だったり、雇われる部下になるハンペーだったり。かなりキャラの設定が出来上がっており、それが謎解きの過程で魅力的になっていく。そしてラストである事態によって苦みが残る結末に。これは探偵としての能力なのか。限界なのか。だからこそ犬でも飼うかとなる。普通に続編は作れそうだけど、もう出てから10年以上経つし難しいかな。それにしてもGENよ。有能すぎだろ(笑) >> 続きを読む
2018/05/10 by オーウェン
ほしよりこ
久々に猫村さんに会いたくなって読み返しました。ほんと、かわいいなぁ。どんな事にも一生懸命で。ぼっちゃんが作ってくれた「Neco」エプロンの紐を縦結びにし身に付けて、犬神家の家政婦になった猫村さん。早くぼっちゃんに会えるといいね。 >> 続きを読む
2015/02/08 by すもも
弓場隆 , LockhartAlexander.
基本的にはシビアな意見をバシッといってくれるような本が好きだが、迷ったりしている時はわかりきっているような優しい当たり前のことろ自分に言い聞かせたい時もある。そんな時に適した本だと思う。「あなたは素晴らしい可能性を秘めている。」という帯の言葉も好き。自分はダメなんだって思ってしまったら悲しすぎるし、自分を信じられるからこそ頑張ることもできると思うし、嬉しいことにも気付けるはずだから。 >> 続きを読む
2013/11/25 by mahalo
鳥山石燕
面白かった。 それまで、ふわっと存在していた一つ一つの妖怪に、形と背景を加えた妖怪集の古典。 あ、こんなのまで妖怪なんだ、と思うものが多く、また怖くないものが多いのも面白い点。 昔の人は、怖いもの=妖怪、ではない角度で捉えていたように感じます。 この作品には出てこないけれど、狐の嫁入りなんかも、好きな奇譚。 単なるにわか雨を、 狐が嫁入りする道すがら、見られないように雲をさーっと通して陰が出き、雨はお嫁さんの涙。 とする想像力、 昔の人は凄いなあ、と感嘆します。 こういう不思議で素敵な日常のファンタジーを集めて、子どもに教えてあげたいと思ってます。 >> 続きを読む
2017/08/18 by フッフール
石田衣良
ハッピーエンドの青春小説や切ない恋愛小説が多い石田衣良作品の中では異色のダーク系短編集。追い込まれた人たちのラストを綴っている。目を覆いたくなるような酷い7つの状況は読み進めるのが辛い。特に最終話の「ラストシュート」は重すぎて読了後の気分はかなり悪い。しかし、どれほど酷い状況であってもすぐ近くで起こりうる日本社会の現実。きつかったけど読んで良かったと思う。 >> 続きを読む
2012/11/04 by ybook
小畑健
【零】 7巻なので基本構造は割愛。 タイトルが今まで漢字二文字だったのが「零」と一文字に。 変革の巻。 物語が大きく変動した巻。 読者たちの多くが、漠然とこうなるであろうゴールは見えていたけれど、その過程まで看破できなかったあたりじゃないかと。 本格推理のカタルシス。 所謂「新章」に入った感じ。 構造が複雑化して、舞台も世界に広がるようだ。 デスノートの構造を読者がある程度理解したことを見越して、より複雑によりダイナミックに。 世界が広がると、大味になりがちだけど、この作品なら多分平気であろう。 デスノートの解説から派生した疑問。 〇〇正一 と 書いて・・・規定時間以内に一本戦を加えて、〇〇正二にした場合はどうなるんだろう。 正一と正二が双子で、顔はほぼ一緒であった場合死ぬのはどちらだ? また死後書き加え、それを第三者に発見されてしまうことで、死んだのが正一ではなく正二で、正一は生きていると誤認させることは可能か。 キラもこの手の実験を山ほど繰り返したんだろうな。 今後、このパターンは出てくるかな・・・。 世界が舞台になったら出にくいか。 >> 続きを読む
2020/10/20 by 猿山リム
松井優征
探偵ものの皮をかぶった娯楽漫画です。推理物では一切ありません。シュールギャグと犯人の豹変、現代風刺のような小さな挿絵、そしてなかなかな伏線を楽しむ漫画です。今暗殺教室がはやってますがネウロのほうがアクが強かったです。それが面白いと思うかは人次第です。ただ暗殺教室の際作者が語ってますが、暗殺教室が読まれる昨今はテレビ離れが進み挿絵を描くのが難しいそうです。ネタが分からないと笑ってもらえませんからね。その点ネウロの時代はそういったネタが多くありそれを多く作者が拾っているため小さなコマ一つ一つがとても面白いです。事件も日常もそういったちりばめられたギャグのために感じられるほどです。中身を難しく読もうとせずともそういった挿絵で笑うだけでも楽しい漫画だとは思います。絵はまだまだといったかんじです。 >> 続きを読む
2015/05/15 by mesh
島崎藤村
出だしから文章が難しく、心が折れそうになりましたが、なれてくると読み進められるようになります。えた、部落差別というテーマの話なのですが、その時代の差別の酷さにはぞっとするものがあります。読んでいて好感を持てるような登場人物も、権力者も、総じて部落出身者を汚いもののように見ているのですから、驚きです。しかし、そういった重たい部分を書きつつも、ストーリーの面白さがあるので、読んでいてついつい続きが気になります。差別は差別される側が行動を起こさない限りなくならないけれど、差別される側は社会的に立場が弱いのは皮肉です。現代でも、差別とまではいかなくても、偏見や、古くなった常識ってありますよね。そういったことについて知るのは大切だけど、自分の考えを持つことで他人の何気ない発言が引っかかったり、思わず反論したくなったり...。他人と価値観が違うのは当たり前だけど、それに折り合いをつけるのは難しいと思いました。 >> 続きを読む
2018/10/06 by りっか
向田和子
向田邦子さんの恋人へ宛てた五通の手紙。日常のことが、淡々と綴られているなかに、揺れ動く恋心が滲みでる。相手は妻子ある男、脳卒中で倒れ足が不自由に・・・・。そんな彼に、仕事に缶詰になったホテルから合間を縫って手紙を・・・。世間からは、仕事からは遠のいている彼、仕事でも、経済的にも支える邦子。尽くすことで、どこか満たされる邦子の思い。洪水のごとくドラマとラジオの原稿が押し寄せる中で、ご自分の生きがい、自分が尽くせる対象をずっと“秘め事”としてご自分の中へ。全ては、ご自分の・・・で、決して自己本位の自分ではなく、自分さえよければ、自分さえ我慢すれば・・・甘え、燃える女ではなく、強い、耐える女を演じる。その、二人のやりとりの手紙は、まさに向田邦子のドラマそのもので、言葉少なく、情念は濃い。この時代に、携帯電話があり、二人がメールを交わしていたら、どんな展開になっていたのか・・・・障害のある中での恋。向田邦子の世界は、私生活の中でも一途に展開されていた。 >> 続きを読む
2013/05/19 by ごまめ
BrautiganRichard , 藤本和子
【これはどういう作品として読めば良いのだろう?……と、しばし頭をひねってみる】 少なくとも、タイトルから想像するような釣の本ではありません。 いや、鱒釣のシーンはあちこちに登場はしますよ。 でも、釣について語った作品というわけでもないと思うのです。 幻想小説? 散文詩? すっごくとんがった小説? ユーモア小説? どれもそうであるような、そうではないような……。 本作は、大変短い章が連ねられて構成されています。 それぞれの内容は特に続いているというわけでもないのですが、同じテーマが描かれているものもあります。 少し読み始めて、一体どういう作品なのかよく分からなくなったので、巻末の訳者あとがきを読んでみたのですが、そこにもこれがどういう作品なのかという解説はほとんど書かれていません。 『連続と不連続のせめぎあい』って言われてもねぇ……よく分かりません。 あるいは、「『アメリカの夢の終末』を語る目的ででもなく、破壊された自然に捧げるエレジーとしてでもなく、文学の意匠や生活様式の変革を万能薬として説く断片化された想像力の結果としてでもなく、きわめてトータルな、それゆえに勇気ある企てとして、この『アメリカの鱒釣り』は生まれてきたのではなかったか。」ということなんだそうですが、やっぱりよく分かりません。 訳者はブローティガンと会ったのでしょうかね? ブローティガンから、「ユニオン広場に出かけていくと、若い読者がめざとく彼(ブローティガンのこと)を見つけ、ブローティガンが『アメリカの鱒釣り』というう小説でいったい何を書こうとしたのかを詳しく教えてくれる」と聞かされたのだそうですよ。 『アメリカの鱒釣り』というのは、原題の“Trout Fishing in America”からすれば、『アメリカでの鱒の釣り』なのでしょうけれど、人の呼称としても扱われています。 そのように、手紙の末尾に署名されていたりもしますし、登場人物(これはブローティガンのことか?)がそういう奴と会話したりもするのです。 その場合にはいわば『アメリカの鱒釣り野郎』とでもいうことなのでしょうか。 そういう個人を表す場合には、本書では<アメリカの鱒釣り>と表記されています。 作中には<アメリカの鱒釣りちんちくりん>という男も登場するのです(そういう章がいくつかあります)。 <ちんちくりん>は、鱒に足を噛み切られたということで、足がなく、車椅子に乗っています。 エイハヴ船長か!? 彼はアル中です。 通りすがりの子供に車椅子を押させて酒屋まで連れて行かせ、そこで甘いワインを買っては飲んでいます。 もう<ちんちくりん>をワイン2、3ケースと一緒に箱詰めにして、ネルソン・オルグレン宛に送り付けちまおうかと思われていたりします。 ここはちょっと笑った。 ネルソン・オルグレンというのは、<鉄道ちんちくりん>について書いた男なんだそうですと。 で、ブローティガンは、ずっと、マヨネーズという言葉で終わる本を書きたいと思っていたのだそうです。 だから、本書の終わりの言葉はマヨネーズです。 う~ん……わからん。読了時間メーター□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK) >> 続きを読む
2020/12/11 by ef177
小山太一 , McEwanIan
この物語はある一人の女性の葬式から始まります。モリーという40代にして、痴呆性の難病にかかってしまい、最後には自分の事すらわからない「みじめな死」だったという。 モリーは、自由奔放というか、たくさんの男の人と関係し、その葬式には、今は大手新聞の編集長のヴァーノン・ハリディと現代クラッシック音楽の大家と言われるクライブ・リンリーが呼ばれました。 この2人は時代が違ってもかつてはモリーと暮らしていたという過去があります。最初はモリーの若すぎる死を悼む2人ですが、第三の男、外務大臣のガーモニーの登場に驚きます。 さらにこの2人のところにある写真が届く。その写真をめぐってモリーと関係があった、というだけの共通点の3人にさざなみが立ち、事件が起きます。 この3人は、大臣、編集長、音楽家と世間からみれば成功者であり、裕福です。The man of the world、日本語で仮に「有識者の集まり」などというものがあったとしたらこの3人は有識者に選ばれるでしょう。 しかし、この3人はそれぞれ、もう若くない身体を駆使してそれぞれの仕事をしている。特に描かれるのは、2000年、新世紀を迎えるにあたっての国を代表する交響曲を作曲しているクライブののたうつような作曲の姿。 そして、ライバルがたくさんいるなかで、生き馬の目を抜くような新聞の競争の中で、さらに売上をのばし、高級新聞編集長のプライドを持ちながらも、仕事に追われるヴァーノンの姿。 単語の羅列のような短いセンテンスの連続。それは、切れ味のよいナイフでまさに身を削っているような幻覚を覚えるほど、鋭い観察と考察と毒のある怜悧な言葉の連続で、ストーリーよりもその文章、音楽を、新聞記事の文章を創り上げる苦悩を描きます。 しかし、何故アムステルダムなのか?それは、最後になってわかるのですが、許されることが許されない、そうかと思うと許されないものが許される、そんな人間の苦渋の世界を甘えのない苦み走った文章で描き出します。 結局、モリーは最後の最後まで主人公だったのです。 冒頭、その葬式から始まったとしてもモリーから誰も逃れられなかったのだから。死んでも、死なず。死んでも、生きる。死んでも手玉にとる。死んでも、死んでも・・・モリーは死んでいない。それがこの物語の一番の恐怖だと思います。 >> 続きを読む
2018/06/24 by 夕暮れ
新城 カズマ
(2)とあるが前後編の後編。 前編でさんざん既存のタイムトラベル作品を吟味し、SFファンが納得できる構造を期待させておいて…。 全体的に、意味ありげな何かを散りばめつつ、殆ど意味のあるものはなかった印象。 そしてその意味のないモノたちにまぎれて、作品のテーマも見失ってしまった。 便利な金持ちたちや都合のいい頭脳を持った少年少女が、都合よく振舞った作品。 色々実験したり、推論を重ねたり、サイエンスなフィクションのような擬態はしているけれど…最後は不思議に逃げただけ。 結局、だからどうした。 >> 続きを読む
2020/08/30 by 猿山リム
出版年月 - 2005年7月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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