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2006年4月発行の書籍

人気の作品

      雪国

      川端康成

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! Tukiwami
      • 数十年ぶりに読み返してみた。「いま長いトンネル抜けたよ。まっ白です。早く駒ちゃんに会いたいな」。もしスマホがある時代だったら、島村と駒子はLINEでやりとりをしていたかもしれない、なんて思いながら読んだ。

        東京在住、妻子ある金持ちおっさん(島村)が、北国で出会った若い芸者(駒子)が暮らす村を年一ペースで訪れ、逢瀬を繰り返す。

        ストーリーだけ追うと、若い娘とおっさんの切なく淡い不倫劇だが、情景や心象を映し出すおっさんの視点が高感度カメラでとらえた映像のように素晴らしく、雪の音まで聞こえてきそうな文章が映画以上に幻影的で叙情に満ちた映像美。

        この年齢になって読んだからか、全編に「縮まらない距離感」の美意識を感じた。男と女の距離感、都会と地方の距離感も今とまったく異なる時代。

        恋も旅も時間の流れが遅かったからこそ、雪国につながるトンネルはとても長く、その先にある風土、文化、歴史、愛人までも豊かな旅情を帯びる異文化世界としておっさんの目鮮明に写ったのではないだろうか。

        もしおっさんがスマホをいじりながら新幹線に乗って、駒子のもとへ通っていたなら、葉子の存在や鏡台に映り込むぼた雪など雪国の美しい移ろいにもにも気づかなかったかもしれないし、不朽の名作は生まれなかったかもしれない。

        本を閉じたあともクライマックスシーンの天の川の残像が不思議な余韻を残す。

        人と街の距離感が縮まったはずなのに、見えなくなってしまった日本の美質を映し出す鏡の残像のように美しい小説。

        流石、ワールドワイド文豪だぜ!
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        2019/01/19 by まきたろう

      • コメント 3件
    • 他11人がレビュー登録、 33人が本棚登録しています
      太陽の塔

      森見登美彦

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! shoko44n
      • 遠い昔の青春を思い起こさせてくれた。

        失恋して涙したことも失恋させて傷つけたことも色々あった。
        その時にフラッシュバックさせられたのは森見さんの瑞々しい文章に引き込まれたからだと思う。

        太陽の塔は憧れや自分の理想の象徴だと思ったけど若いときは空回りばかりする。でもその無駄なような悩んだ日々があったからこそ今の自分がいる。

        それを思い出させてくれたこの本に感謝したい。

        最初はただ面白いだけの本だと思ったけど・・・・(笑)
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        2019/04/16 by miko

    • 他11人がレビュー登録、 56人が本棚登録しています
      キャッチャー・イン・ザ・ライ

      村上春樹 , J・D・サリンジャー

      白水社
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! Tukiwami
      • 村上春樹がまたしても新訳本を出した。しかも今回はあの「ライ麦畑でつかまえて」だというから、驚いて単行本を購入してしまったのでした。(当時)本書出版までは野崎訳が「鉄板の名訳」ということになっていましたから。

        ホールデンの言葉遣いに対する違和感がきれいになくなって、ストーリーが読みやすいこと!
        野崎訳は何だったんだ?あれはもはや野崎氏アレンジの日本文学だったんだね。

        「ライ麦畑でつかまえて」のタイトルは確信犯的超訳です
        日本人でこの言葉を聞いた人のほとんどすべての人は
        「ライ麦畑で(私を)つかまえて(ごらん)」だと思うでしょう?
        でも「ライ麦畑の捕手(キャッチャー)」が直訳
        つかまえる側の人であってつかまえてほしい人ではないのです
        野崎より先に「ライ麦畑の捕手」という題名で翻訳出版した小説は全く売れなかった(はず)
        いかに日本人がタイトル(およびキャッチコピー)に弱い人種であるかという好例です。
        (「小さな王子」ではなく「星の王子様」だったからこその大ヒットと同じように)
        その「発明」は野崎の独自のもので、功績であることは間違いないです。
        なので村上春樹は自分の翻訳には野崎の「発明」を採用することをためらい、直訳もダサイので英語のまま発表したのです。
        遠慮と尊重と誤解の万延を断ち切るため。
        私はそれは正しいと思います。
        いまどき、有名作品の本作のタイトルを読み違う人はいないでしょうから。

        主人公の性格を決定する一人称の扱いは村上訳では文句なく「僕」
        野崎訳はおもしろくて、字の文では「僕」、男友達と話すときだけ「おれ」なんですね。
        大人や女の子と話すときも僕です。これはよく考えていると思いました。時によって人称を使い分けるってこと日本人はやっていますよね。

        言葉の端々の扱いも違います。
        野崎訳は原文の一語一句を意味や音として日本語に置換しようと創意工夫を凝らし四苦八苦しています。
        野郎とか必ずしも原文と一致しない言葉も多用して。
        一方村上訳ではテイスト重視だと感じました。
        意味のない英語の単語はあっさり省くなどしているように思います。
        結果、村上訳の方が、よりシンプルに原作の文に近づいているのではないでしょうか?
        先にも述べましたが野崎訳は「日本文学」なんです。筒井筒なんて言葉まで出てくるし。
        いっそ原文を読みたくなる謎な翻訳です。それはそれでありかも。

        さて本作の内容ですが主人公ホールデンは名門校の高校生
        アイビーリーグなんてインチキでまっぴらといいながらも言動は「アメリカの支配階級」に属する中流の上以上のクラスの人間のもの。
        くいっぱぐれは絶対にないし、ドロップアウトしても堕ちるという自覚はないです。
        持ち物は親の金で買った高級ブランド品で、金づかいも荒い。
        ニューヨークのセントラルパークの側のエレベーター係りがいるような高級アパートメントに暮らし、女中が住み込みで家事をしており、両親はパーティーなんかへ年中出かけている。夏休みは避暑地で長い休暇を楽しんだりして。
        そんな暮らしを当然と思っているおぼっちゃま君なので、ワルにも犯罪者にもなれないのです。
        また、きれいな生活と高級ブランド品は彼の好むものなので、捨てる気なんかさらさらないのです。
        スラングも最低な不良言葉ではなく
        「ちょっとだけ下品な言葉」を多用するのがテク。
        好例はcrap  くそ っていう意味なんだそうですが
        同意語のShit(排便・大便)ではなく、こっちを使うんですね。
        ひらがなで「くそ」って書くのと漢字で「糞」って書くのと汚さのイメージが違うじゃない?そういうことなのかしらね~。
        「若者言葉」で書かれた作品で問題図書になったという割には、そんなに大したことはないです。

        勉強をせずに落第と放校を繰り返すホールデン。
        でも学校で問題を起こしトラブルになることはしない。
        親をがっかりさせることはわかっていて心を痛めています。
        しつこく言いますが、ホールデンは不良ではないんです。
        放校から帰宅までの数日間の放浪の体験のうちの3日間を書き綴ったのが本書

        *フィービーに会ってからすぐに家に帰ったのではないです。
        そこから何日かの間に何が彼に起こったのかは語られていません。
        たぶんそこに気づいている人はあまりいなそうだけれど。
        実はその語られない時間の中で彼は壊れたんだと思います

        そこは語らぬまま、数か月病院で療養を受け治癒し、退院後は親のいいなりにまた別の高校へ入学することにとりあえず同意している。という時点で小説は終わっています。
        ホールデンがこの先どういう行動に出るのか、大人になるのか人間が崩壊するのかそんなこと、想像するのも無意味

        日本において本作が「ライ麦畑でつかまえて」というタイトルで出版されたのは1964年。
        本作が執筆され1951年7月16日に出版されてから10年以上も経っています。
        その間にアメリカは別の時代になってしまっていた。
        ベトナム戦争です。
        ベトナム戦争を経験したアメリカはもはや以前の自信満々なアメリカではいられない。ということに国民全員が気づいてしまった時代なのです。
        一部の感受性の高い人間がマイノリティの立場から発信する「反戦」は、大衆受けするイデオロギーになってしまいました。

        なおかつ、日本で本書が爆発的に流行したのは70年代に入ってかららしいです。
        全共闘世代(団塊世代)の大学生が夢中になったんですね。おそらくは反抗のシンボルとしてまつり上げて。
        私が初読時に本作を「いちご白書」とかその時代の本と同一視してしまったのはこんな日本の特殊な時代背景が関係していたんですね~。
        なんて迷惑な話だ…。

        でも本作の舞台は戦争の挫折をしらない、勝利感に満ちたアメリカの、支配層が集中する大都会ニューヨークです。

        ホールデンは時代の代表者でも魂の救済者でも啓蒙者でもありません。
        しかしアメリカの支配階級のうちにいながら、そのイケイケな時代において違和感や反感を「初めて表明」したことに意味と衝撃があった。
        アメリカのバラ色の世界に初めて入ったひび。とでも申せましょう。

        敏感なホールデン少年は、世の中のおかしさに心で気づき、でも理念として理解しておらず、引き裂かれた価値観の中で行き場を失っています。
        その点に関しては、時代を限った事ではなく、今、この現実の世の中がおかしいと思っている人が一人でもいれば
        この小説はリアリティを失わないのです。
        小説が芸術として時代を超えるとはそういうことなんですね。
        でも、それを読み解くためには時代を正しく読み取らないといけないのではないかとも思います。

        真の反戦の実感とは、信念やイデオロギーではないと思います。
        70年代の日本でホールデンの本当の心を読み取れた日本人はいなかったのではないでしょうか。


        「戦争に行かなくちゃならないなんてことになったら、きっと僕は耐えられないだろうと思う。間違いなくだめだね。もし連中が君をただ表にひっぱり出してずどんと撃ち殺しちまうとかそういうことだったら、まだ我慢できるんだ。でも君は軍隊にうんざりするくらい長いあいだ入っていなくちゃならない。それがなにしろ困った点なんだよ。」
        原文ではこの部分は現在形で書かれているそうです。
        ホールデンが「読者に向かって」「今」語っている言葉がこれなのですね。

        彼はまた、徴兵されて戦場に送られるくらいなら、ただちに「銃殺隊の前に立たされる方がマシ」と言っています。

        兵役拒否の意志の軟派な表明
        無垢な子どもだけで構成される平和…それが「ライ麦畑」の象徴するものなのです。

        ホールデンは「今は17歳」
        1年以内に徴兵登録をして、2年以内に21カ月間の兵役につかなければならない立場でした。
        戦場は朝鮮だったことでしょう。
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        2019/06/27 by 月うさぎ

    • 他6人がレビュー登録、 30人が本棚登録しています
      鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール

      野口嘉則

      総合法令出版
      カテゴリー:人生訓、教訓
      3.7
      いいね!
      •  人生において何か非常に困った問題を抱えている方には
        その解決の一助になるかもしれない本です。
         
         他人の考え方や行動を変えることはできません。
        自分に変えることができるのは自分の考え方や行動だけです。
         
         「だからなんだ」「そんなの分かっている」
        とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、
        本書が端的に教えてくれることは
        現実に起こっていることはすべて自分の言動の結果である
        ということです。
         
         ですから「非常に困っている問題」もおおもとを正すと、
        自分ではまったく関係がないと考えていた
        なにかと深くつながっていることが往々にしてあるのです。
          
         本書は特に、何かとても許せないことやものがある方、
        誰かに対して根強い怒りをもっている方にオススメな本です。
        思いあたる方は是非 読んでみてください。
        宗教色はありませんので、その手の本が嫌いな方でも大丈夫です。 
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        2017/10/29 by kengo

    • 他6人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      夏期限定トロピカルパフェ事件

      米澤穂信

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 1回目の感想。2017.11.22
        小鳩君と小佐内さんが2年生になった夏休み、小佐内さんから住んでいる市内にあるスイーツのお店の制覇を夏休みにやろうと持ち掛けられる。しかし、ある事件をきっかけにして、その行動が小佐内さんがある目的を達成するために仕組まれたことが明らかになる。単なるキャッキャウフフ的な一夏の2人の高校生による健全な交際話を想像していたので、この構成には読んでいて「参った」としか言いようが無い。互恵関係を解消した二人の今後はどうなるのか?。「秋季限定~」も手元にあるのですぐにではないが今後読んでいきたいと思う。

        2回目の感想。2018.3.22
        2018/3 13冊目(通算44冊目)再読2回目。「秋限定~」を読むための話のおさらい目的。夏休み中に近所にあるスイーツを食べる目的の裏の意味が小佐内さんらしいと言えばらしいかと思う。結局どんな関わりがあるのかは明らかにされなかったが、「小佐内さん、怖い。」と思った。互恵関係を解消した二人はどうなるのか。「秋季限定~」を読みたいと思う。

        >> 続きを読む

        2017/11/22 by おにけん

    • 他5人がレビュー登録、 27人が本棚登録しています
      ブレイブ・ストーリー

      宮部みゆき

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! masa920 niwashi
      • アニメ未視聴。前々から気にはなっていた作品。実際読んでみたが、宮部さんらしいといえばらしい作品。(本題に入るまでの導入部分の描写にも文章を割いて記述している点で)ただ、今回の作品ではこれは必要なのかなと読んでいて疑問を感じた。冒険をする動機が離婚した両親を元に戻すという理由でも、そこまでに至る過程の描写は果たして必要なのかなと読んでいて思った。冒険に入ってからは、ファンタジーらしくなってきたなと思う。一応「ファンタジー」小説なので、これからのワタルがどうなるか読んでいきたいと思う。
        >> 続きを読む

        2017/12/07 by おにけん

    • 他4人がレビュー登録、 45人が本棚登録しています
      Zoo
      Zoo

      乙一

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • この赤の中には残酷さもある、グロさもある、弱さもある。けれど人のやさしさと、どうしようもない残酷な赤の中でも希望を諦めない人のたしかな強さも詰まった、そんな赤。

        ひっさびさにおもうところあってSOふぁーが読みたくなり、ついに買いました。初めて読んだ時は中学生で、なんとなく血生臭かったという印象があったためあまり読み返していませんでした。なのでクリスマスイブに読むものとしてはどうなんだ(苦笑)とは思いましたが、結果は前述のとおり、読んでよかった。読みたかったSofarは、両親の喧嘩から出た嘘によって少年は母のいない世界の父と生きる僕、と父のいない世界に生きる僕に分離してしまう。最終的にどちらかを選ぶことによって彼は相手が見えなくなってしまう。そんな話。個人的な事情で、仲良かった人と疎遠になり、このままお互い会わなかったらそのうちすれ違っても気づかない、お互いがほんとに見えない存在になるのかなと思った時にこの話を思い出して手に取りました。読んでよかったです。二つの世界を繋ぎ留めたかった。少年のやさしさに触れます。初見と印象が異なりすごく感動したのはSEVENSROOM、初見は怖かったのですが、今回は怖さよりどんな残酷な世界でも希望をすてない強さとやさしさの話に感じました。それは私の大好きなカザリとヨーコとも通じるもの。最後まで何かを信じること、誰かを想う事、そしてどうしようもない現実にどんな手を使ってでも歯向かって生き延びて幸せを探す事、どちらもそんなことを感じます。表題作のOO は人の弱さを正面から描いた話なんだと感じました。時が経つと受ける印象が変わります。最後に陽だまりの詩。よかったなー。つらいけど、少し未来のSF 世界の優しく悲しい終わりの話。人とは心とはなんだろう、と誰かにそばにいてほしいという根本的な思いについて改めて考えます。少し悲しいクリスマスイブに思いがけずそっと寄り添ってくれた作品でした。
        >> 続きを読む

        2018/12/31 by kaoru-yuzu

    • 他4人がレビュー登録、 36人が本棚登録しています
      ブレイブ・ストーリー

      宮部みゆき

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね! niwashi
      • 2018/1 14冊目(通算14冊目)。冒険の旅の完結編。ワタルの願い事は「やっぱりね」という感じ。これだけ仲間ができて、自分の個人的な理由を押し通すことはできないなと考えていたからそれは予想通りの結果で良かったと思う。中・下巻が冒険ものとしてぐいぐい読ませる文章だったのでやっぱり上巻の第一部の現実パートは必要なのかなと思ったり。この作者の方の作品は「ソロモンの偽証」といい、本題に入る前の前フリが長いような気がします。それも良さと言えばそれまでですけど。機会があればアニメ版も鑑賞したいと思います。

        >> 続きを読む

        2018/01/24 by おにけん

    • 他3人がレビュー登録、 38人が本棚登録しています
      月の扉 長編推理小説

      石持浅海

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      2.8
      いいね! Tukiwami
      • 那覇空港で起きたハイジャック。
        それは離陸する前であり、3人のハイジャック犯の要求は師匠の釈放。
        だが機内のトイレで死体が発見される。

        座間味くんシリーズの第1弾。
        当初関係のなかった単なる乗客のはずだったが、いつの間にか事件を解決する探偵のような役割に。

        機内の事件なので当然犯人も機内にいる。
        そこでどのようなトリックを施したのかが頭を使わせる。
        犯人に関しては関係者が少ないせいか予測はすぐにつく。

        ただしハイジャック犯たちの目的には急に現実離れした印象しか感じないけど。
        >> 続きを読む

        2019/01/13 by オーウェン

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      陽気なギャングの日常と襲撃 長編サスペンス

      伊坂幸太郎

      祥伝社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 再読。前半は4人それぞれの短編。リンクするのが醍醐味でもあるけど、なんて狭い世の中だと思わなくもない。今回は久遠の活躍がよかった。成瀬はできすぎ。 >> 続きを読む

        2016/10/30 by tomolib

    • 他3人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      影との戦い

      Le GuinUrsula K , 清水真砂子

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 荒涼感がたまらない。
        師匠の野山を探索する日々とか。
        海をづっと進むのに酔いそうになるけど。。 >> 続きを読む

        2017/03/16 by Matching

    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      わたしを離さないで

      土屋政雄 , カズオ・イシグロ

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.8
      いいね!

      • カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」の語り手は、優秀な介護人キャシー・H。

        彼女は提供者と呼ばれる人々の世話をしています。
        キャシーが育ったのは、ヘールシャムという全寮制の施設。
        介護人として働きながら、キャシーはヘールシャムのことを思い出します。

        図画工作といった創造性の高い授業に力を入れたカリキュラム。
        毎週の健康診断。保護官と呼ばれる教師たちが、時に見せる奇妙な言動。
        生徒たちの優秀な作品を展示館に集めている、マダムと呼ばれる女性。

        恩田陸の学園ものの雰囲気に似たミステリアスな寄宿生活を送る中、キャシーは知ったかぶりのルースや、癇癪持ちのトミーと友情を深めていくのだが-------。

        ヘールシャムは、どんな目的で運営されているのか?
        提供者と介護人の関係は?

        そうした、早々に我々読者に明かされてしまう幾つかの謎なんか、実はどうでもいいのです。
        大切なのは、例えばこんなエピソードです。

        子供時代、一本のカセットテープに収録された「わたしを離さないで」という曲が気に入って、繰り返し聴いていたキャシー。

        ある日、何者かによって盗まれてしまったそのカセットテープと、キャシーは後年、トミーと共に再会することになるのです。
        この物語の感情的なキーポイントとなる、特別な場所で。

        この曲の歌詞は、物語の終盤でトミーのこんな言葉と呼応し合うんですね。
        「おれはな、よく川の中の二人を考える。どこかにある川で、すごく流れが速いんだ。で、その水の中に二人がいる。互いに相手にしがみついてる。必死でしがみついてるんだけど、結局、流れが強すぎて、かなわん。最後は手を離して、別々に流される。おれたちって、それと同じだろ?」

        この作品は、為す術もなく人生を奪われる"人間の存在理由"を描いて、厳しい物語だ。

        流れの速い川の中で、互いに「わたしを離さないで」としがみつくような愛を育んでも、否応なく引き裂かれるしかない運命を描いて、切ない恋愛小説だ。

        そして、子供時代をノスタルジックに描いて、その夢心地の筆致ゆえに残酷なビルドゥングスロマンになっているのだと思う

        「なぜ、彼らは理不尽な運命に逆らわないのか」という疑問を抱く人もいるかもしれません。
        けれど、この小説の舞台は、現実とは異なる歴史を持つ、もうひとつのあり得たかもしれない世界なんですね。

        今此処にある当たり前が、当たり前として通用しない世界に、今此処の常識を当てはめるのはフェアな態度ではないと思う。

        ラストシーンがもたらす深い悲しみと苦い読後感-----、いつまでも余韻を引きずりながら、心に残ります。

        >> 続きを読む

        2019/02/10 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      びりっかすの神さま

      岡田淳

      偕成社
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • この本が児童書の推薦図書として紹介されていて、読んでみました。

        1番になれたら確かにうれしいと思ってきたけれど、そもそも、それってなんの意味があるのか、と、考えてしまいました。

        主人公の始(はじめ)は、父親が仕事を必死に頑張り抜いた末に倒れて亡くし、母親に「あなたには父親のように頑張っては欲しくない」と言われ、転校先の慣れない環境でやる気をなくします。
        そんな時、教室でびりっかすという、小さな羽の生えたおじさんに会うのです。どうやらびりっかすは、最低点を取った人に見え、話ができるようになるということが分かった始は、またびりっかすさんに会いたいがために最低点を取ろうとします。

        どんな展開になっていくのか、ビリを肯定していいのか?果たしてビリに明るい未来はあるのか?と不思議に思いながらも、ぐいぐいと物語に引き込まれていきました。
        1番とか、ビリとか、競争(確かに時には競争も必要かも知れないけれど)に意味はあるのか、本当に大切なことは、一人一人が持っている力を出し、本気で出し切ることなのではないかと感じ取れました。



        >> 続きを読む

        2019/03/29 by taiaka45

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      ブレイブ・ストーリー

      宮部みゆき

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね! niwashi
      • 2018/1 2冊目(通算2冊目)。現実世界から幻界へと話の舞台は移り、いよいよ冒険譚らしくなってきた中巻。ワタルが酷い目に遭ったり、宝玉を見つけるために活躍したりと話はまるでRPGをプレイしているかのよう。ゲームが好きな人は面白いかも。幻界はファンタジーな世界観ながらどこか現実的な思想を元に舞台が作られているような感じがする。ワタル自身の希望を叶えるために幻界の人々を犠牲にしなければいけない展開に最後はどうなるんだろうとハラハラしながら読んでいる。下巻も読んでいきたいと思う。

        >> 続きを読む

        2018/01/05 by おにけん

    • 他1人がレビュー登録、 36人が本棚登録しています
      Dive!!

      森絵都

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • 少年たちの飛び込みに対する思いや葛藤が爽快に書かれていて、読むのが楽しかった。

        んでいて私も少年時代に戻りたくなってしまった。 >> 続きを読む

        2016/02/11 by kanetaku

    • 他1人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      Zoo
      Zoo

      乙一

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 乙一さんの作品の中では珍しく、少し笑えるような作品が収録されていました。

        得に面白かった話は飛行機の話で、電車の中でニヤニヤしながら読んでいました。
        登場人物が魅力的で私はセールスマンが好きです笑
        ハッピーエンドというわけでもありませんが乙一さんの話では珍しく心が落ち着く(この表現であっているのかはわかりませんが)ような話でした

        クローゼットの話も展開が面白く、伏線も回収されていて良かったです。
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        2015/08/18 by iatt

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      ソラニン

      浅野いにお

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • いい漫画でした。絵で言葉で表されるユーモアに「ふふっ」と笑ったり、種田さんのお父さんの芽衣子さんを想う、やさしさに涙したり。。みんな、しあわせになぁれ。今回はレンタルで借りたけれど、買おうかな。って思っています。 >> 続きを読む

        2017/04/28 by pippi

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      ルームメイト

      今邑彩

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 息子と本屋に行ったら、ちょっと財布を出しているすきに、本作品をがじがじかぶりついていました…-.-;
        そんな経緯で購入した本作。
        事前情報0の状態で読みましたが、面白かったです!

        わかり易い展開と軽快なテンポにぐいぐい引き込まれて
        一気に読み終えました。

        私は気負わず読めたのでとても面白かったですが、
        ミステリとしては薄味かも。
        人によっては物足りなさを感じるかもしれません。
        が、私はまんまと引っ掛かりました。笑
        自分の推理が間違っていると気がついた時のドキドキ感ったら!
        今思えばわかりやすくキーワードが散らばっていたのになぁ。。

        モノローグ4に関しては、前置きの段階で想像をふくらましてしまったせいか、それほどの衝撃はありませんでした。


        読み終えた今、タイトルと表紙が意味深いです。
        >> 続きを読む

        2014/01/16 by ∵どた∵

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      無痛

      久坂部 羊

      3.5
      いいね!
      • 久坂部羊さん作品を連続して読んでます。どれも濃くてボリュームありますが、それを読ませる上手さがあります。

        本作品の焦点の一つは刑法第39条。心神喪失者の行為は罰しない。何となくしか知らなかったこの法律。関わる人にとっては最大の防御となったり、壁となったり、悪用の対象となったりする法律。久坂部さんならではの少しエグいくらいの描写でこの法にまつわる問題が浮き彫りにされています。

        また、久坂部さんの作品で共通して主張されているのは、医師、医療は万能ではないということ。お医者さんに縋る患者の心をリアルに表現してます。なんというか、身につまされる思いになることもしばしばです。

        面白かったのですが、軸になっている殺人事件に関する展開が今ひとつピンとこない感がありました。真相が解明されても納得しきれない、というか。その点だけ少し残念です。
        >> 続きを読む

        2015/04/18 by pechaca

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      交渉人

      五十嵐貴久

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 日本では珍しい存在の交渉人。
        その交渉人の訓練を受けながらも上司の石田に恋心を抱いてしまい、降格の憂き目にあった麻衣子。
        それから2年後、3人の不審者が病院に立てこもる籠城事件が起きる。

        単なる交渉事だけで終わらないことはすぐに分かる。
        何よりも途中から麻衣子が完全にサブキャラになっているから。

        そして籠城中の病院でも異常事態が起こり、ラストにはなぜそうなったのかが明かされていく。

        交渉人の仕事自体は映画で見たことがあるので、さほどスリリングな交渉術は見られない。
        でも話の節々に伏線が込められていることが最終的には分かる仕組みになっている。
        >> 続きを読む

        2019/06/13 by オーウェン

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出版年月 - 2006年4月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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