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東野圭吾
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同僚に薦められて読んだ、犯罪者の弟が主人公のお話。視野が広がりました。
2020/02/08 by mirio3
Arbinger Institute. , 冨永星 , 金森重樹
うまくいかないのは周りの人達のせいだ自分は被害者だそう思っていても何も変わらない箱の中と外では、同じ出来事に対して感じる事が全く違う自分への裏切りをした瞬間から自己正当化が始まり箱の中へ入ってしまう箱の外に居続けるにはどうしたらよいだろうかレビューにまとめようとしてもうまく書けない・・・でも周囲との関係に悩む人、自分自身を振り返ってみたい人には絶対読んでほしい! >> 続きを読む
2019/01/17 by アスラン
KastnerErich , 丘沢静也
ドイツのギムナジウム(中高一貫校)を舞台に、寮生活を送る五人の五年生(十五歳前後)の生徒たちを中心として、クリスマスまでの数日間が描かれます。五人の生徒たちには、正義漢の優等生、腕白な食いしん坊、やや理屈っぽい参謀タイプ、書名の"飛ぶ教室"の劇作を担当している作家志望の文学愛好家、女性的な外見の気弱な少年といった、それぞれわかりやすい属性が与えられており、彼らの友情やそれぞれに抱える悩みが本作のポイントとなります。そして、この五人のほかに彼らが慕う人物として、舎監を兼任する一教師である"正義さん"ことヨハン・ベーク先生と、学校付近にある、かつて列車として使われていた車両に住む謎の多い"禁煙さん"という二人の大人が存在し、彼ら尊敬するにふさわしい大人たちに見守られて少年たちが学園生活を送っていることも人物配置上の大きな特色です。登場人物の年齢がやや高いことや、女性がほぼ登場しないことを除けば、世界名作劇場の原作にでも選ばれそうな内容であり、正統派児童文学作品として読んで差し支えなさそうです。また、本書における訳の特徴かもしれませんが、あからさまに子供向けの文体とはなっていないため、大人でも違和感なく読み通すことができます。なお、書名の"飛ぶ教室"は、前述のとおり少年たちがクリスマスに演じる劇作品のタイトルであり、教室自体がさまざまな場所に移動して課外授業を行うというSFと呼ぶべき内容ですが、基本的に作品内の道具として扱われるだけで、作品のテーマを託すような特殊な要素を含んでいるようには見受けられませんでした。通読後の主な所感として、他校生徒との抗争における暴力やいじめのような行為も扱ってはいるものの、思春期の難しい年ごろの少年たちを主人公に据えているわりには葛藤が少なく、"正義さん"、"禁煙さん"といった大人たちが理想的すぎるうえ、彼らに対する子どもたちの反応があまりにも素直なため、かえって違和感があります。執筆当時のドイツはナチスの支配下にあったとされており、そのことは作品に直接的な影響はありませんが、優等生的な作品内容に落ち着いた一因だろうかなど、邪推しないでもありませんでした。補足として、まえがきとあとがきでは作者自身が登場して本文を挟む構成となっており、あとがきではささやかなサプライズが用意されています。 >> 続きを読む
2020/09/02 by ikawaArise
リチャード・アダムズ , 神宮輝夫
これこそ、読書ログを始めなければ、読まなかったであろう本。読書ログ始めてよかったとしみじみ思った。これが児童書・・・?!と思うほど、内容が濃くて、話も長い。いや、いや、児童書どころか、絵本でさえも素晴らしい本はたくさんあるから、そんな枠組みで考えてはいけないのだけれど。(絵本で思いだしたけれど、この訳者・神宮輝夫さんは、「かいじゅうたちのいるところ」ですごく印象に残ってた方。知ってる人にとっては有名な方ですね。)ウサギたちが主役のウサギの話。考えること、行動することは、人間並みなのに、習性などがウサギそのものであるところがまた面白い。読み始めから、元凶は人間なんだろうな、と思っていたから、なんだか、ウサギ目線で語られる人間の行いが心に刺さる。ウサギの話なんだけれど、はるか昔の人間もこうやって村や集落を大きく繁栄させていったのかな、と思ってしまうほどの壮大なストーリー。次々と起こる困難に立ち向かうたびに、ウサギひとりひとりが大きく成長していることがすごくよくわかる。ヘイズルなんか、すっかり長(おさ)になっているし!個人的には、ヘイズルが「冒険がしたくなって」、農場の飼いウサギを連れ出しに行くところなんか、「もう、大人しく待っていればいいのに~」なんて思いながら読んでいて、結果的に代償はあるものの、この冒険は村のみんなに大きな意味のあることになって、時には大胆な行動力や冒険心が必要なことを、ヘイズルに教えられた気がする。「待っていればいいのに」と思った自分が、すごく自分を表しているな、とも思った。下巻も楽しみ。 >> 続きを読む
2020/08/27 by URIKO
サン・テグジュペリ , 野崎歓
再読。「ちいさな王子」というより「星の王子さま」というタイトルの方がピンとくるだろう。「星の王子さま」の新訳であるが、原題は「Le Petit Prince」であるため「ちいさな王子」の方が明らかに言語的には正しい。これは子どもが読んでもいいのだが、大人が読んだ方が感銘の度合いが大きい作品である。砂漠に不時着した飛行士とちいさな星からやってきた王子との対話が主な作品であるが、もう名言のオンパレードである。大人になって摩滅した感性にビンビン刺激を与えてくれる作品であろう。王子は7つの星を訪れるが、「虚勢を張る王」「うぬぼれや」「のんべえ」「ビジネスマン」「点灯夫」「地理学者」「地球」という様々なタイプの人たちがいる星である。僕は、もうこの中のクラスタでは完全に「のんべえ」である。酒を飲むことを恥ずかしく思いつつ、ひたすら酒を飲み続けている、という感じである。この本は今まで200カ国以上の国で翻訳され、総販売部数1億5千万冊を突破したらしいが、世界中の人口70億人に読んでもらうのにふさわしい傑作である。このように数字の事ばかり書くのも「ちいさな王子」の中で人間の不思議な習性として指摘されている。 >> 続きを読む
2019/09/18 by tygkun
上巻よりもっとハラハラドキドキ。まるで、ハリウッドのアクション映画を観ているかのようでした。ヘイズルの長としての決断、果敢な行動、自己犠牲・・・ビグウィグの、みんなのため、村のため、というゆるぎない意志による死闘・・・ビグウィグに関して言えば、こんなにすばらしいウサギに成長するとは、初めは想像していなかった。一番、ぐっときたのは、ブラッカバーを絶対に見捨てないと決めたところ。そのことで、より危険が迫るとういのに・・・。と、ひとつひとつを挙げだしたらキリがない。物語の主軸のほかにも、植物などの描写が素晴らしかった。植物名を聞いても知らないものが多かったけれど、美しい英国の風景が目の前に広がるようだった。それに、各章のはじめにある題辞からも作者の博識ぶりがよくわかった。そして、またすばらしかったのがエンディング。美しく洗練されたエンディング。圧巻の一言です。 >> 続きを読む
2020/09/07 by URIKO
北方謙三
●1回目 2007.8.15水滸伝といえば、まず思い浮かぶのが吉川英治。ずいぶん昔(たぶん中学か高校時代)読んだことがあり、それからずいぶんたって、中国語からの飜訳を筑摩書房だったかな、3分の2ぐらいまで読んだ。中国小説を読む順番としては、一般的には三国志が先だろうと思う。まず三国志を読んでこの世界の虜になり、あるいは小説の面白さに目覚め、それから水滸伝に進む。私の場合もそうだった。吉川英治の新しい全集が図書館にきたのをきっかけに、三国志、それから水滸伝、太閤記、宮本武蔵という順番で読んでいった。吉川英治で一番面白いのはやっぱり三国志。それから太閤記。水滸伝もおもしろかったが、宮本武蔵はそうでもなかった。宮本武蔵はマンガのバガボンドの方がかなり面白い。三国志や水滸伝は、いまでは横山光輝のマンガから入るのが普通かもしれない。同じマンガでも蒼天航路は三国志を扱った大傑作だが、小説を読む前はオススメできない。第一もったいない。すくなくとも三国志を3種類ぐらい読んでからでないと(さしあたり吉川英治、羅漢中、陳舜臣、北方謙三のうちの3つぐらいか。コーエーのシリーズは含まず)、その面白味や有難味が分からないと思う。三国志の通むけにつくられた作品だからだ。もし先に読んでしまった場合は、他の作品を読んだ後、もう一度読み直すべきだ。吉川英治の三国志から水滸伝に移ってびっくりしたのは、その血生臭さである。三国志は戦闘一辺倒で、男ばかりで殺伐とはしているものの、ある意味単純明快で清潔である。中高校にも読みやすい。だからゲームにもなったのだろう。ところが水滸伝になると、男女の痴情や裏切りがからんだ殺人が出てきて、その俗悪ぶりは三流週刊誌顔負け。田舎の子供には刺激が強すぎる。図書館にこんな本を置いておいていいのかなと思ったぐらいである。三国志も水滸伝も非常に長い物語だが、どうも最後がぱっとしないという印象で共通している。三国志の方は諸葛孔明が死んでしまうと、登場人物がみな小粒になって、話もだんだん尻すぼみになる。蜀が滅んでしまうという史実があるから、やむおえないことではあるが。水滸伝はもっと印象が薄くて、108人が梁山泊に集まって、それからたしか官軍として外敵と戦い、英雄達が次々に散っていく、そういう話らしいが、後半のその部分はぜんぜん覚えていない。吉川英二の作品では108人が集まるところまでだったのかな。筑摩書房版は途中で止めてしまったし。北方謙三の水滸伝。三国志は二度読み直した。この作者の水滸伝が面白くないわけがない。第一巻は豹子頭林冲が主人公。魯智深が副主人公扱い。なつかしい登場人物名である。革命家たちが蜂起するずっと前。地下のネットワークづくりから物語ははじまる。はやくも宋江が出てくる。晁蓋は覚えていないな。とりあえず、大長編小説のはじまりはじまり。●2回目 2008.8.31先日、ジュンク堂に立ち寄って、ヒマだったので手にとってみたら、思わず立ち読みのまま通巻してしまった。それだけのおもしろさはある本です。全19巻。まだ読んでいない方はぜひ読んでみましょう。絶対損はしません。●3回目 2014.12.92007年、2008年に続き、3度目の水滸伝。このシリーズは、19巻で完結の後、楊令伝、岳飛伝と続く。最初に水滸伝を読んだ時には、楊令伝がまだ3巻しか出てなかった。それを読み終わった後、連載中の「小説すばる」を毎月追っかけていたのだが、いつのまにか中断してしまった。このあいだ久々に雑誌の「岳飛伝」を見たら、九紋竜史進が、子午山の危機の救援に向かうところだった。子午山といえば、王進のもとで、史進や楊令が修業をした地。老いた勇将史進がそこに向かうとなれば、彼の最後も近いのかもしれない。雑誌には、その他にもたくさんの人物が出てくる。ほとんど知らない名前ばかりになっていた。この機会にもう一度読み直し、岳飛伝まで追いついてみるつもり。第一巻目は、王進の逃避行と豹子頭林冲の苦難を描く。 >> 続きを読む
2017/10/07 by Raven
伊勢英子
込められた思いは、伝わる力を持っている。
2015/09/23 by けんとまん
二木真希子 , 上橋菜穂子
あまりこうゆう作品は読まないが、話題なので読んでみた。いや面白かった。初めちょっとややこしそうかなと思ったが、どんどん引き込まれていき、後半一気に読んでしまった。こんなに面白いとは。 >> 続きを読む
2017/03/03 by Jun-Ya
メチャクチャ面白かった!精霊のより、断然こっちが面白かった。こっちの方が大人向け。かなりハマった。 >> 続きを読む
佐藤多佳子
それぞれキャラの持ち味が良い。守屋の引退にグッときた。連あたりが走れなくなると予想も別展開。さあ、完結編へ。 >> 続きを読む
2017/06/15 by hiro2
京極夏彦
これは先生、切れ味落ちてた。 コンセプトも姑獲鳥のコピーの域を出ないし、京極の活躍も最後に少しで物足りないしと。 良かったのは途中の儒学と姑獲鳥のあたりの会話でしょうか。 ただ、さすがだなと思わせるのは、あらゆる鳥の剥製で埋め尽くされる鳥屋敷と鳥伯爵を作り出して、その上で、「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志をしらんや」の一言を入れてきたあたり。 この諺をこうまで見事に使った場面や作品を知らない。 うまいなあと。 次作に期待です。 >> 続きを読む
2017/08/19 by フッフール
小峰元
小峰元の伝説的な第19回江戸川乱歩賞受賞作「アルキメデスは手を汚さない」を読了。妊娠中絶の失敗で、高校二年の少女が死んだ。男子生徒が、農薬入りの弁当を食べて倒れた。そして、退院した男子生徒の姉の不倫相手が消えた。ひとりの生徒の周囲で起こる怪事件の数々には、関連性はあるのか?警察の捜査は、クラスメイトや復讐を企てる少女の父親の思惑に振り回されながらも、着実に真相に近づいていく。しかし、物証を得て事件の構図を解明したところで、最後の反転が示されるのだった-------。この作品は、発刊当時の1970年代半ばの社会派ミステリ全盛の時代に、青春ミステリとして新しい風を吹き込んだのですが、何より高校生をはじめとする登場人物たちの会話が小気味良く、ページを繰る手が止まらない。本格ミステリとして読むと、事件の相互の関連づけが弱い上、冒頭にアンフェアとしか思えない表現があるなど、いくつか問題もあるが、時刻表まで挿入されたアリバイトリックは、単純な中にも細かい工夫がなされているし、最終章におけるいくつかの逆転やタイトルの寓意が分かる一節など、要所要所に本格ならではのテイストが感じられるんですね。 >> 続きを読む
2018/12/21 by dreamer
村山由佳
タイトルに反して、一瞬で読み終わりました。内容も一瞬で忘れそうです・・・映画「卒業」のサイドストーリーとして書かれた本なので、きっと映画を観てからのほうがいいのでしょう。優しい話と思うのですが、登場人物全員がもう少し素直になれたら、全然違う未来になったと思います。自分が引くのも美しいけれど、そればかりがいいわけじゃないと思うので。父娘の関係がもどかしかったです。 >> 続きを読む
2014/12/14 by あすか
ヤスダスズヒト
夜桜四重奏という如何にも音楽やってそうなタイトル。ジャケットに楽器を持った女の子。完全に騙されました、音楽まったく関係ない話でした。作者がヤスダスズヒトというイラストメインの人だけあって絵はとてもよいのですが、ストーリーは微妙かなという印象です。イラスト集だと思って読む分には悪くないと思います。 >> 続きを読む
2013/06/07 by janet
飛浩隆
【長い……約束】 著者の『象られた力』がいたく気に入ってしまったので、その著作を探していて見つかった一冊です。 いや、素晴らしい! 何と豊かで鋭い感受性の持ち主なのでしょう。 その描き出す世界は、みずみずしく、時に異様なほど込み入り、儚いものでした。 ここは、『夏の区界』。 多くの人びとが、平穏に暮らしている美しいリゾート地。 1000と50年もの間、何も変わらない。 人びとは年を取らず、永遠とも言える長さを同じように繰り返し生きています。 ここには夏しかありません。 空はどこまでも透き通るように青く、沸き立つ白い雲には薔薇色の光が。 白く続く砂浜と、その先にある紺碧の海。 『夏の区界』は、『客』のために創られた仮想空間のリゾート地です。 そこに住む人びとは、精妙にプログラミングされたAIでした。 一人一人に過去と役割が与えられ、『客』が心地よいバカンスを満喫できるように、組み立てられた者たち。 ある時、大途絶(グランド・ダウン)が起きました。 それまでひっきりなしに『夏の区界』を訪れていた『客』たちがぱったり途絶えてしまったのです。 それと引き替えのように、硝視体(グラス・アイ)が『数値海岸』で発見されるようになったのです。 硝視体は、様々な能力を持った輝く石でした。 最初は、興味本位で扱われていたものでしたが、そのうちに硝視体の力を使うことができるAIが出てきたのです。 ジュリーもその一人。 何故、大途絶が起きたのか誰にも分かりません。 もしかしたら、このリゾートを創っていた者がここを放棄したからかも。 それでも、『夏の区界』は、それまでと何も変わらないように存在し続けていったのですが。 それは、永遠の夏休みが続くように。 ……あの日が来るまでは。 ジュールは12歳の少年。 天才少年で、『夏の区界』にある鉱泉ホテルで毎年開かれるチェス大会の常連チャンピオン。 今朝も従姉のジュリーと、二人だけの秘密の場所である鳴き砂海岸に出かけるところ。 そこは硝視体がふんだんに見つかる場所です。 ところが、突然空が暗くなり始めます。 そして、無数の『蜘蛛』(そうとしか言いようがないのです。確かに蜘蛛のような形のモノもありますが、全く異なる形のモノもいます。でも、蜘蛛としか言いようがないのです)が空から降ってきました。 蜘蛛たちは、飢えをまき散らしました。 AI達や、『夏の区界』の地形をむさぼり喰い始めたのです。 生き残ったAI達は、区界の西にある鉱泉ホテルに逃げ込みました。 蜘蛛たちの侵攻は続きます。 一体、これは何者で、何のために区界を破壊するのか誰にも分かりません。 生き残ったAI達は、鉱泉ホテルを要塞と化し、生き残るための戦いを始めたのです。 そう、12時間に渡る壮絶な戦いを。 本作は、『廃園の天使』シリーズの第一作にあたるようです。 著者の描写は大変素晴らしい。 幻想的なイメージも脳内に炸裂します。 そもそもが、仮想空間である『夏の区界』を舞台にし、仮装人格のAI達が主人公というメタな構造になっているわけですが、これがまた余計に入り組んだ世界を描き出します。 鉱泉ホテルの描写も美しいです。 時に、『シャイニング』に出てきた、雪に閉ざされるオーバールック・ホテルを彷彿とさせるような。 硝視体使い達や蜘蛛に立ち向かうAI達のキャラも立っています。 盲目ですが美しいレースを編む達人のイヴ、年老いた三姉妹はまるでマクベスに出てくる三人の魔女のよう。 その他にも魅力的なキャラ満載です。 いや、大変素晴らしい作品でした。 速攻で『廃園の天使』シリーズを読み続けたいと思います。 絶賛オススメ! >> 続きを読む
2019/05/13 by ef177
堀茂樹 , アゴタ・クリストフ
「悪童日記」アゴタ・クリストフによる、26の掌篇集。180頁に短編、ショート・ショート、エッセイ(というより独白のよう)が収録されています。そぎ落とされた文章は、とても素っ気ないけれど嫌いじゃない。むしろ、親しみを感じ始めています。夢や期待、希望はほとんど描かれていません。誰かに読んでもらうという意志も感じられません。まるでモノクロ写真のよう。普通の短編集を期待したら、彼女の意図を探しながらの少ししんどい読書となりそうです。あとがきにも書いていますが、このうちのいくつかは修正を加えた上、長編作品に組み込まれています。「悪童日記」はもちろん、「昨日」など他の作品を読んでからの方が無難です。*家<小さな町>から<大きな町>へ、十五歳の時、少年は転居します。「悪童日記」を思い出します。*作家「ふたりの証拠」で作家の場面がやたらと長い理由がわかりました。*マティアス、きみは何処にいるのか?このタイトルに反応しない「悪童」ファンはいないでしょう。シリーズをぎゅっと凝縮したような印象を抱きました。*わが妹リーヌ、わが兄ラノエこちらを読み、「昨日」の購入を決意しました。とても楽しみ。 >> 続きを読む
2017/01/18 by あすか
西沢保彦
一面の平野にぽつんと存在する施設で暮らし始めたマモル。そこはどうやら秘密裏の学校のようで、彼以外に五人の生徒が、授業や実習を受けていた。特に、その実習が変わっていて、用意された人物と事件の設定をもとに、ストーリーの結末を考えさせるというものだった。この奇妙な実習や紛失するお菓子の謎などから、生徒たちはこの学校が、本当は何なのか推理し始めるんですね。そんなある日、施設に新しくやってきた生徒を見て、マモルも他の生徒も気絶しそうなほどの眩暈を覚えるのだった。その原因がわからぬどころか、翌日、新入生は失踪してしまう。そして、これが学校に降りかかる惨劇の始まりだとは誰も知る由もなかった-------。この、いつもトリッキーな設定で、我々ミステリファンを楽しませてくれる西澤保彦の「神のロジック 人間のマジック」は、傾向の類似した作品もあるのだが、しかし、著者が過去にものしたSFミステリや仮説提示型のミステリなどの設定を、この作品でも巧みに使いながら、新たなミステリの形を描き出していると思う。作中で、マモルは他の生徒たちに渾名をつけるが、この作品は名前が持つ力の悲劇を描いたものだと言えるかもしれない。時に人は、渾名のようなものにさえ翻弄されるのだ。そして、その悲しみを読む者が知ることになるという仕掛けが施されているんですね。 >> 続きを読む
2018/09/17 by dreamer
山崎ナオコーラ
この作品でもグッときた。主人公(25歳独身女性)の現在と、中学時代が交差して書かれているのだが、だいたい、中学時代の話なんて、読んでいてしれっとすることが経験上多いが、この作品は読まてくれる。会話や考え方が大人びているが、いやいや私もこの時代、子供なんだけどいろいろ考えてたっけなあ。なんて思いだしたり。普通に物語が流れているようでいて、心を鷲掴みにされるセンテンスが含まれている。読んだ作品は少ないけれど、山崎ナオコーラ、好きです。 >> 続きを読む
2016/05/17 by shizuka8
中条省平 , BatailleGeorges
「目玉の話」はひどい話で、この新訳の前に代表的な訳とされていた「眼球譚 太陽肛門/供儀/松毬の眼」(生田耕作=訳)というタイトルから連想されるよりももっとサディステックなエロティシズムに彩られた凄惨な作品である。訳者の中条昇平氏はバタイユの作品を中学生のときに読んで衝撃を受けたそうだが、こんなとんでもない作家の作品をそんな年少の時に読んではまずかろうと思う。だが、当時氏が通っていた学校ではみんなが深刻な衝撃を受けていたそうだから、日本の少年たちの文化的成熟度と吸収力は大したものだ。でも自分の知っている子どもたちが中学生でバタイユを読んでたら相当いやだなあ。作家はどんな作品を描いてもいいし、書かなければならない必然性もって書いているのだろうけれども、この作品に限っていえば、その必然性は私の理解の外だ。なぜ「恐るべき放蕩や性的遊戯、さらには狂気と自殺、サディスティックな瀆聖と殺人」(中条昇平)をあれだけ全身全霊を傾けて描かねばならないのか想像もつかない。そしてそれが意味があることだとも思えない。だからこの作品に続編の草案があって、結局それが書かれずに済んだことは世界にとって幸いなことだったと思う。 >> 続きを読む
2017/12/02 by Raven
出版年月 - 2006年9月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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