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2006年10月発行の書籍

人気の作品

      夜は短し歩けよ乙女

      森見登美彦

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! sea 2kzzz ooitee
      • この小説を果たしてファンタジーと評していいものだろうか。何故か著者の妄想に付き合わされているように感じた。この作品を高評価する人の感覚がわからない。 >> 続きを読む

        2018/09/25 by konil

    • 他9人がレビュー登録、 37人が本棚登録しています
      世界の終わり、あるいは始まり

      歌野晶午

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! mizukiyuno
      • 多分問題作と呼んで差し支えないと思う。
        書いたのが歌野さんであることを考慮しても、かなり賛否両論な中身。

        同じ町内の知り合いの子供が誘拐され殺害された。
        富樫修はほっと胸をなでおろす。それは我が子でなくてよかったという安堵。

        もうこれだけでも富樫修というひねくれた男の本音が分かるが、実際にこの富樫が窮地に陥ってしまう展開。
        中盤あたりである意味変化球みたいな驚きが。

        こここそが一番のこの作品の売りでもあるのだが、正直この展開は望んでいたものではない。
        むしろ中盤までの展開が、終盤どういう風に進んでいくのかを期待しているからだ。

        タイトルでその後を示唆しているのだが、どういう結末を望むのかも自分の手に委ねられているというわけか。
        >> 続きを読む

        2019/06/16 by オーウェン

    • 他4人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      化物語

      西尾維新

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 初めて西尾維新さんの作品を読んでみました。
        アニメ化されたり、映画化されたりと人気のこの作品。
        まずは原作から読んでアニメを見たいと思って読んでみましたが、もしかしてこの作品は文章だからこそ面白い作品なのでは?!
        と思うくらい会話文が斬新で面白く、文面で見るからこそ分かる面白さがここにあるぞ!!!という感じでした。
        次々と登場してくるキャラクターの個性も豊かで、阿良々木くんのきれっきれのツッコミには本当に笑わされそうになりました。
        非現実的な話のわりに、すいすい入っていけるというか。現実逃避にはいいかもしれません。(もちろん現実逃避じゃなくてもいいですが。)
        結構面白かったです!
        >> 続きを読む

        2017/05/12 by ゆきの

    • 他4人がレビュー登録、 30人が本棚登録しています
      天国はまだ遠く

      瀬尾まいこ

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 内容紹介-------------------------------------------------
        仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。
        --------------------------------------------------------

        ちょっと外に出てみたり、いつもと違う環境に身を置くことで、普段の悩みがちっぽけに思えるような体験は私にもある。
        それは簡単に言えばリフレッシュしたということなのだと思う。
        しかしこの作品の主人公は、単純にリフレッシュして前向きになるのではなく、「ここは私の居場所ではない、だから戻らなければ」と考える。
        彼女は強い人なのだと思う。
        私がもし今の環境に疲れて、逃げ出した先でも受け入れられないようなことがあれば、きっとどうにもやっていけない。
        田村さんが主人公のことを「ほんま気楽な人やで」と言っていた。
        これは弱い人のための物語ではないのかもしれない。

        ただ、「私は私の日常をちゃんと作っていかなくちゃいけない」という言葉だけはしっかりと胸に響いた。
        これは自己責任だとか義務だとか、そういう厳しい言葉ではないと思う。
        「作っていかなくちゃいけない」のなら、自分で環境は変えられるはずだ。
        「君ならできる」というような、優しい言葉だと思う。

        >> 続きを読む

        2015/06/26 by ともひろ

      • コメント 2件
    • 他4人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      真相

      横山秀夫

      双葉社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • どの話も実は…とか裏には…という真相がある5つの話。

        表題作から不幸のつるべ打ちだが、家族の悲劇を鮮やかに転嫁させるラストの踏み出しに救われる格好。

        「18番ホール」
        村長選挙に担ぎ上げられた男。
        金も地位も投げ打って出たのだが、俄かにきな臭い情勢。
        男が持っていた秘密と皮肉なラストが特徴。

        他の3話もかなり危うい話が多いが、図らずの真相がある。
        やはり横山さんの話は一筋縄ではいかない。
        >> 続きを読む

        2019/02/10 by オーウェン

    • 他4人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める

      築山節

      NHK出版
      4.0
      いいね!
      • よくある仕事術の本を読むよりは、本書を読んだほうが実用的だと思った。なぜその方法が良いのかが、脳科学の分野から説明されているので納得しやすい。どのような状況が脳にとって苦手なのか、また最大限の力を発揮するための行動は何かなど簡単に行えるものが紹介されているので取り組みやすい。『すべての教育は「洗脳」である21世紀の脱・学校論』で堀江貴文さんは「ハマる」ためには、自分で決めたルールで動くことと言われているが、同じことを本書でも脳の力を働かせるために大切なこととして挙げられている。アイデアの出し方や失敗の分析方法なども扱われており、ビジネス書が好きな方にもおすすめする。 >> 続きを読む

        2018/06/05 by Rumi

    • 他3人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      黒猫

      小川高義 , エドガー・アラン・ポー

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 森昌麿さんの黒猫シリーズを読んでいてポーも読みたくなりn回の挫折を経てついに楽しく読み切りました!なんで今まであんなに挫折したのか不思議なくらい読みやすく面白い。ポーの反省を反映して主人公たちは鬱屈しているがどこかユーモラスでなんだか自分語りの口ぶりにどれだけ自嘲があってもなんだか憎めません。
        お気に入りが以下
        【黒猫】
        昔英語で読んだことがあったのですが、日本語訳で読むとなおゾクゾクし、哀れ滑稽な男の告白のような見方をすれば怖いというより悲しく、色々な見方のできる作品でした。妻に対する悔恨、愛する動物たちへの悔恨が個人的には男に残った良心として印象に残り、怖いと言いながらもどこか男は黒猫を通して自分の罪を露出したい裁かれたいそして赦されたいとの思いがあったのではと考えてしまいました。
        【アモンティリャードの樽】
        復讐に見せかけて二人の友情の物語と黒猫に解釈されていたからか確かに悲しい掛け違えの友情の物語に感じました。主人公は固く復讐を決心したにも関わらず途中なんどか気持ちが揺らぎます。特に一度だけ最後の最後に名前で呼ばれたその時、かれはもう取り返しのつかないとことに来てしまっていたが彼のことを許し、己の罪を背負ったのではないかと感じました。安らかに眠れは長く時がたっても己の罪を忘れなかった主人公による友人への悼みだと感じました。
        【モルグ街の殺人】
        ごりごりの推理モノで登場人物に鬱屈とした気はあれどどの作品よりもエンタメ性に富んでわくわくする内容、文体dした。さすが初めて探偵小説を生んだだけあると読めて満足感にひたりました。パリの夜の街の様子は本当に自分がパリを歩いているような気持にさせ、二人の掛け合いはとても楽しくよいコンビです一方謎は私は途中まで気が付かずとても面白かったです。謎解きの仕方、解決の仕方どれもほんとうにかっこよくてスマートな紳士、デュパンに恋に落ちてしまいそうでした。
        >> 続きを読む

        2018/07/03 by kaoru-yuzu

    • 他3人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      飛ぶ教室

      KastnerErich , 池田香代子

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! Moffy
      • 本書のまえがきを読むと著者の人生と正義に関する読者への痛切なメッセージがあり、何かただならないものを感じる人も少なくないと思います。
        それはこの本が書かれた時代を反映しています。
        それは、著者の母国ドイツでナチスが台頭し、世界中が人類史上最悪の戦争に向かっていた時代です。
        著者はナチスに迫害されながらもドイツに留まり続け、次世代を担う子供たちの為に、メッセージを送り続けていたのです。

        元気の良い男子寄宿学生たちが繰り広げる物語。

        読み終わって感じたのは、懐かしさでした。
        昔の子供達ってこんな感じだったよなとしみじみ感じました。
        様々な背景を持った少年たちが一緒に喜んだり悲しんだり、時にケンカもあったりで、ちっともじっとしていない。
        生命力にあふれた少年たちの物語は、クリスマス集会での「飛ぶ教室」という題の劇の上演に向けて集束してゆく。
        彼らは、様々な経験をし、また人生の師とも呼べるような大人たちとの出会い等を通して人として成長してゆく。
        物語のエンディングはクリスマスにふさわしい素晴らしいもので、図らずも少しほろりとしてしまいました。
        >> 続きを読む

        2017/12/28 by くにやん

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      パンク侍、斬られて候

      町田康

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! KEMURINO
      • 最初からぶっとんでいました。でも最後は身悶えするほどかっこよくてずるいです!

        2018/12/15 by せぴあ

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      〈勝負脳〉の鍛え方

      林成之

      講談社
      カテゴリー:スポーツ、体育
      5.0
      いいね!
      • 漫画「Baby steps」を読んだことがある人は、本書を読んで「勝負脳」のという知能がまるで主人公・えいちゃんのことを言っているように感じると思う。結果に焦点を当てるのではなく、望む結果になるためには今どうしたら良いかに焦点を当てる方が勝負に強くなるポイントだと本書で語られている。まさにえいちゃんのテニス試合への取り組み方と重なるので面白い。また本書では脳の疲労を取り除く方法やどのような気持ちで日常生活を過ごしたら良いのか、脳だけではなく心の在り方まで言及されている。少し本書に対して構えてしまう人は、最初から読むのではなく「あとがき」にまず目を通してみると、本書が出来上がる過程が分かり本文に入りやすい。 >> 続きを読む

        2018/06/05 by Rumi

    • 他2人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      不連続殺人事件

      坂口安吾

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • アホみたいに多い登場人物が全員変人、昔の小説なので差別用語のオンパレードというキテレツ作品。でもストーリーやトリックはしっかりしててもう50年以上も前に書かれた作品なのに十二分におもしろい。ストリック的にも上手いこと撒いてる。
        最初の数ページ読んだ時に(こいつぁとんでもなく読みづらい文体だぞう…)と思ったけど途中から気にならなくなってスイスイと読めました。おもしろかったです。
        >> 続きを読む

        2017/12/03 by Jumpeichan

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      一瞬の風になれ

      佐藤多佳子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • みんな大好き青春スポーツ物ど真ん中。目が離せない展開、共感しまくって胸熱。根岸がいい味出してた。インハイ、谷口との関係、神谷兄が気になるところですが、想像膨らんでそれはそれでまた楽しい。 >> 続きを読む

        2017/06/16 by hiro2

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      No.6

      あさのあつこ

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • もともとファンタジー好きなので、今更ながらどハマりしました笑
        小さい時から気にはなっていたのですが、やっと手をつけられました
        ネズミかっこいい!
        紫苑の弱さに、思わずイライラしてしまうけど、二人でぶつかり合いながらも成長していくのが面白いです
        十分読み応えもあり、大人でも面白いと思いますよ!
        シェイクスピアの引用とかが結構あって、その辺りにも興味を惹かれました
        前はシェイクスピア挫折しましたが、再挑戦したいです

        >> 続きを読む

        2017/03/25 by 文子。

    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      ヒューマン・ファクター 新訳版

      GreeneGraham , 加賀山卓朗

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 時は冷戦時代。“外務省のとある部門”といえば『情報部』
        実際に諜報部の一員だったグレアム・グリーンが描くスパイ小説。
        スパイものを読むのが初めての人にお勧めの、入門書かもしれません。

        人は秘密を心の奥に抱えたまま、誰にも語らずに生きていけるものだろうか?
        孤独に蝕まれた心はいつか壊れはしないだろうか?

        人の心の揺れ動きを丁寧に描くこの小説は、スパイ小説というよりも、
        普遍的な文学作品として考えたほうがよいかもしれません。
         

        【内容】
        常に目立たぬことと行動の理由を説明できるように心がけている
        初老のベテラン情報部員カッスル。
        彼には愛する妻と息子がある。
        勤務地の南アフリカから7年前にイギリスへ連れてきたのだ。
        ロンドン郊外の我が家が今の彼のもっとも大切な世界だ。
        日常の普遍的な生活こそが。
        ある日「機密情報の漏洩疑惑」が持ち上がり、彼の部署が調査される。
        ジャガーに乗り、ポートワインを好み、競馬を愛するという理由で
        相棒のデイヴィスが疑われるが…。


        裏で交わされる秘かな言葉は

        MI5 保安部、工作員、二重スパイ、…排除…

        スキャンダルを避けたい。裁判も公表もなしだ。
        「ゲームだよ。やりすぎてもいけない」


        非情な世界を描きつつ、日々の職務を地味に送る末端公務員の実態も見せてくれます。

        「イアン・フレミングは暴力的すぎる」←ちょっと笑えます。

        「憎しみは往々にしてまちがいを引き起こす。愛と同じくらい危険だ。」(P215)

        など、数々の名言は本物を知っている彼ならではの説得力を持ちます。

        スパイは誰も、身内にさえ本音を語れない、友を持てない職業ともいえます。

        「ユーモアがわからず、やたらと良心的」と評される新任の保安担当者、デイントリー大佐  
        人間関係が不器用なこの大佐は、私には唯一魅力的な人に思えました。


        私は女性としてはスパイものは結構読んだ方だと思います。
        フリーマントル、フレミング、クランシー、モーム。
        でも正直言いますと、一番影響を受けたのが青池さんの漫画「エロイカより愛をこめて」
        情報部員が公務員であることが面白おかしくかけています。
        後期の最近作では文献、資料の読み込みはかなり深いレベルでされており、軍事情報も正確です。
        そして何よりもスパイものの王道は「Z」シリーズ。
        映画的手法で面白く切ないストーリー。機会があったらご一読を。
        非常に面白いです。

        この作品は…私がウラ読みし過ぎちゃってあっけなかったというか。期待しすぎたというか…(^^;;
        あと、翻訳も丸谷才一さんの翻訳の作品を先に読んでしまうと、文が固いような…。
        グレアム・グリーン独特のユーモアが伝えきれていない感じがして残念でした。
        「ヒューマン・ファクター」は、作家の方の評価が非常に高いプロ好みの作品らしいのですが、
        しかしこの翻訳で本当にグレアム・グリーンの文体の上手さが伝わっているのでしょうか?
        原文の英語で読まれたのでしょうか?
        名作といわれるだけに、その点がかえって気になりました。


        【おまけ】
        モルティーザーズ
        http://en.wikipedia.org/wiki/Maltesers
        さくさくチョコボール。食べたくなりました。
        キットカットよりおいしい。とカッスルがデイントリー大佐に教え、
        ハーグリーヴズ長官にABCで1ポンドものモルティーザーズを買い込んでお土産にするシーン。

        たぶん、翻訳しだいでもっと笑えるはず。
        (だってこの長官は貴族なんです!)

        モルティーザーズは今は日本で売っていません。類似品はありますが(T_T)
        >> 続きを読む

        2013/05/27 by 月うさぎ

      • コメント 10件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      10ドルだって大金だ

      藤村裕美 , 谷崎由依 , 白須清美 , ジャック・リッチー

      河出書房新社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 「クライムマシン」に続くジャック・リッチーの短編集2作目。

        話の数が減ったためなのか、個人的に好みのラストも減少した感じ。
        それでも幕切れの切れ味は衰えておらず。

        「毒薬であそぼう」や表題作などはブラックに満ちているし、その中でも「とっておきの場所」は見事なブラックユーモア。
        妻を殺して敷地に埋めたと疑われる男。警察が掘り返していくが、その後の妻の行方と、夫の対応とは。

        他にもカーデュラの初登場作品や、勘違い捜査のターンバックル部長刑事シリーズが5編も。

        「クライムマシン」には及ばないが、それでも充分楽しめる中身です。
        >> 続きを読む

        2018/10/16 by オーウェン

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      イワン・イリイチの死

      望月哲男 , レフ・トルストイ

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • ●「イワン・イリイチの死」

        トルストイが死んだのは1910年。20世紀に入ってからである。

        シェイクスピアが活躍したのが1600年代で、日本でいえば江戸時代にあたる。にもかかわらず登場人物の言葉や行動が今のわれわれに強く訴えかけてくるのは驚くべきことで、ハムレットなどは、主人公が現代人であってもちっともおかしくない。それがシェイクスピアのすごさであり、普遍性なのだろう。

        ただシェイクスピアの戯曲の登場人物は、王様や王子や女王であることが多くて、これらの人々はわれわれの親類縁者にはあまりいない類の人々であるから普段どんな生活を送っていたかとなると、ほとんど知るところがない。別種の階級、別種の社会層に属する人間たちである。

        これがトルストイになると、登場人物はもうわれわれと同じ種類の人間である。本書に収められた2作品のうち、イワン・イリイチは官吏であり、クロイツェル・ソナタの主人公は貴族であるが、その生活感覚はわれわれと変わるところがない。シェイクスピアの作品そのものは現代的ではあるけれども、主人公たちはわれわれの毎日の生活から遠いところにいる神話の英雄やなにかのシンボルに思えるのに対し、トルストイの人物は、この社会で暮らしている一般の社会人となんら変わりがない。血肉を備えた生身の人間として、昇進の噂や世間づきあいに気を病み夫婦げんかに疲れた人間としてそこに描かれている。毎日われわれの隣で働いている人々とちっともかわらない人間として描かれている。

        「イワン・イリイチの死」は、ある高級官僚(裁判所の判事)の一生を描いた作品である。

        トルストイがこの作品を書いたのは58歳の時。すでに「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」を完成させ、文豪としての名声を確立した後、次第に宗教的傾向を深めつつあった時期の作品である。

        この作品は、そうした大作家が、悠々と自分の書きたいことを書きたいように書いたらこういうものができましたといった風の、自然でのびのびとした感じがする作品で、そこにはトルストイの作家としての自信や余裕がうかがえて、読んでいるこちらとしても大家の練達の話術に安心して身を任せておけば、知らず知らずにその先その先へとページをめくらざるをえなくなる、そういった興味深くて面白くてためになる物語である。あちこちにちょっとしたジョークがちりばめられていて、翻訳を通してなのでけらけら笑うというところまではいかないけれども、たぶんあちらの人が読んだらくすぐられる箇所が多いのではないかと思う。すくなくとも中盤までは。

        じつは内容は深刻なのである。
        官僚としてまっとうな一生を送ったはずの主人公が、死を前にして、自分の人生はなんであったのかという疑問にとらわれ、煩悶に煩悶を重ねたあげく、最後の瞬間にようやく救いを得、そして死ぬ、というのが粗筋である。

        彼の一生は、この社会に生きるわれわれとって、至極あたりまえの一生のように思える。あたりまえというよりむしろ模範的といえるかもしれない。彼にはなんのやましいところもないように思える。唯一欠点があるとすれば夫婦仲の悪いところであろうが、それでも彼はこういう心がけで臨んでいるわけであり、これはこれで立派な態度だと思う。

        結婚後わずか一年ばかりで、イワン・イリイチは次のことを理解した。つまり結婚生活は人生におけるある種の利便を提供してくれはするが、本質的には極めて複雑で困難な事業であって、そこで自らの義務を果たし、世に認められるような立派な生活を営むためには、ちょうど勤めに一定の姿勢が必要なのと同じように、結婚に対しても一定の姿勢を築きあげる必要があるのだ。(p42)

        問題は、彼が採った一定の姿勢というのが、ひたすら「自分一個の陣地である勤務の世界に逃げ込み、そこに快適さを見いだす」(p42)ことであったという点である。だが、これもそんなに責めるわけにはいかないだろう。そうでないような男性がこの世の中にそうたくさんいるとは思えないからだ。普通一般のサラリーマンが「仕事だから」といって家庭の義務から逃れようとするとき、そこで生起している心理現象の多くはトルストイのこの言葉によって説明できるのではないかと思うが、ただし私はそんなことを思ったためしがないので、正直いうとその点はよくわからない。あくまで推測で言っているだけである。

        それはともかく、病を得る前のイワン・イリイチに限らず、その妻、その娘たちの生活や感情を、トルストイは身も蓋もなく書いていて、作品の中で読むと、彼らがなんだか悪者のように思えるけれども、その行動は普段のわれわれがやっていることと変わりはない。

        たとえば寝たきりになったイワン・イリイチの部屋を、舞台を見に行くために着飾った妻と娘とその婚約者が訪れ、憤怒に駆られた主人公との間に気まずい沈黙がながれ、彼らが立ち去ったあと「嘘は連中とともに去った」(p117)と描かれているが、だからといって妻や娘やその婚約者が悪いわけではあるまい。寝たきりの病人と健康な人間とでは活動に違いがあるのは当然だし、態度が嘘くさいので嫌だと言われたって、では当人の目の前でその人間の死について率直に語り合えるかといったらそんなことできるわけはない。それが偽善に映るなんていうのは単なる病人のわがままである。

        あるいは冒頭に出てくるイワン・イリイチの葬式の場面。同僚のピョートル・イワーノビッチは、葬儀に参列しながら、その後のトランプ・ゲームのことを考えているわけだが、こういう態度は不謹慎だという人がひょっとしたらいるかもしれないけれども、会社の関係で葬式に出たことのある人ならだれでも経験しているとおり、なにも葬式だからといって厳粛な気持ちになるなんてことはなくて、考えている内容といったら、次の会議に間に合うかどうかだったり、仕事の締め切りだったり久々に顔を合わせた昔の同僚と葬儀が終わった後でどこかで一杯やろうかということだったりするので、われわれと彼とは五十歩百歩である。登場人物たちの言動が不遠慮で不作法でありえないことだと思えるとしたら、それはたぶん社会的経験が少ない少年少女の読者たちだろうが、世の中というのはそういうものなんです。いい年をした大人でそれはおかしいなんて言う人がいたら、単にカマトトぶっているか、世間知らずの馬鹿である。

        つまりここで出てくる人々の姿は、まさにわれわれ自身の姿なのである。
        世の中とはそんなものである。そうしてそれが悪いとも思えない。

        しかしトルストイは違う。
        トルストイが主人公に語らせているのは、そういう生活は、人生は、無意味であり、偽善であり、嘘っぱちだということである。

        死を目前にしたイワン・イリイチは、煩悶する。
        煩悶して、次第に真相に近づいていく。

        結婚……そして思いがけない幻滅、妻の口臭、肉欲、偽善! それからあの死んだような勤め、それからあの金の苦労――こうして一年がたち、二年がたち、十年がたち、二十年がたった。そしていつも同じことの繰り返しだった。時がたてばたつほど、ますます生気が失われていった。(p121-122)

        「ひょっとしたら、私は生き方を誤ったのだろうか?」不意にそんな考えが浮かんだ。
        「しかし何でもそつなくこなしてきたのに、いったいどうして誤ったのだろう?」(p122)

        「だがいまさらそんなことを認めるわけにはいかない」自分の人生が法にかなった、正しい、立派な人生であったことを思い起こしながら、彼はそうつぶやいた。「そんなことは決して認めるわけにはいかないぞ」彼は唇を笑いにゆがめた。(p127)

        ふと彼の頭に、もしも本当に自分の全生涯が、物心ついてからの生涯が「過ち」だったとしたら、という考えが浮かんだ。(p130)

        彼の仕事も、生活設計も、家族も、社会の利益や職務上の利益も――すべて偽物かもしれない。彼はそう思う自分に対して、それらすべてのことを弁護しようとしてみた。すると不意に、自分の弁護がいかにも根拠薄弱だと感じられてきた。そもそも弁護すべきものが何もないのだった。
        「もしもその通りだとしたら」彼は自問した。「私は自分に与えられたものをすべて台無しにしてしまって、もはや取り返しがつかない、ということを自覚しながらこの世を去ることになる。その時はいったいどうなるのだろうか?」彼は仰向けに寝たまま、まったく新しい目で自分の全人生を振り返りはじめた。(p130-131)

        そして、ついに、

        翌朝、彼は従僕と顔を合わせ、それから妻と、娘と、医者と顔を合わせたが、彼らの一つ一つの動作、一つ一つの言葉が、夜のうちに見出された恐るべき真実を彼に実証してくれるものだった。彼らのうちに彼は自分を見出し、自分が生きがいとしてきたものをすべて見出した。そしてそうしたものがことごとくまやかしであり、生と死を覆い隠す恐るべき巨大な欺瞞であることを、はっきりと見て取ったのだった。(p131)

        死ぬ前にこんな心理状態になったらたまったものではない。
        イワン・イリイチはこの発見によってさらに苦しむ。

        この意識は彼の身体の苦痛を何倍にも強めることになった。彼は呻き、のたうち、自分の着衣をむしりとろうとした。着衣に胸を締め付けられ、押しつぶされるような気がしたのである。そしてそのせいで、彼はさらに周囲の者たちを憎んだ。(p131)

        その後の悽愴な描写は、破滅を自覚した精神の叫びである。

        では、どうなるのか。
        主人公は破滅したまま死んでしまうのか。
        絶望のままで終わるのか。

        ここで不思議なことが起こる
        解決はむこうからやってきた。

        彼は暴れていた。そして一瞬ごとに、いかに全力で抗おうとも、自分がどんどん恐怖の源へと近づいていくのを感じていた。
         彼は感じていた――自分が苦しむ理由は、この真っ暗な穴に吸い込まれようとしているからだが、しかしもっと大きな理由は、自分がその穴にもぐり込みきれないからだと。穴にもぐりこむのを邪魔しているのは、自分の人生が善きものだったという自覚であった。まさにその自分の人生の正当化の意識がつっかえ棒となって彼の前進を阻み、なによりも彼を苦しめているのだった。(p135)

        そして、

        不意になにかの力が胸を突き、わき腹を突いて、さらに息苦しさがつのった。と、彼は穴の中を落下していった。そして前方の穴の果てに、なにかが光り出したのだ。汽車に乗っていると、前に向かって走っているつもりでいたところが実は後に向かっていて、突然本当の方向を自覚することがあるが、ちょうどそのようなことが彼の身に起こっていた。
        「そう、なにもかも間違っていた」彼は自分に語りかけた。「だがそれだってかまいはしない。」(p135)


        これはまさにイワン・イリイチが落下しながら光を見いだし、自分の人生は間違っていたが、まだ取り返しはつくという認識を得た瞬間のことであった。(p136)

        いったいなにが起こったのだろうか。

        死の代わりにひとつの光があった。
        「つまりこれだったのだ!」突然彼は声に出して言った。「なん歓ばしいことか!」
        彼にとってこのすべては一瞬の出来事だったが、この一瞬の意味はもはや変わることはなかった。(p138)

        そしてイワン・イリイチの死。

        やつれ果てた体はときどきびくっと錬磨していた。それからぜいぜいいう音もヒューヒューいう音も、徐々に間遠になっていった。
        「終わった!」誰かが彼の頭上で言った。
        彼はその言葉を聞き取り、胸の中で繰り返した。
        「死は終わった」彼は自分に言った。「もはや死はない」
        彼はひとつ息を吸い込み、吐く途中で止まったかと思うと、グッと身を伸ばしてそのまま死んだ。
        (p138)

        いったいここで作者は何を語っているのだろうか。
        われわれに何を呼びかけているのだろうか。

        答えは明らかだ。
        イワン・イリイチは最後に光を見出し、救いを得た。
        ここでそういう言葉は使われていないが、彼は「神」を見出した。そして自己の生があるがままで肯定されていることを、すなわちすでに救われていることを知った。それは自己の思い煩いによってそうであるのではなく、彼の思いに先立ってすでにそうだったのであり、すでにそこにあったのである。彼が自分で自分の人生を正当化している限り、前の方を向いていると思って実は反対方向を向いている限り得ることのできないものであった。彼が自分を完全に捨て去って(則天去私!)初めて発見できるなにかであった。そしてそこには死はなく、永遠の生があった。

        とまあ、なんだか分かったふうなことを言っているけれども、それについて私がなにか知っているというわけではない。これまでどっかで読んだ本の受け売りである。「そしてそこには死はなく、永遠の生があった」なんて書いたけれども、具体的な意味が分かって書いているわけではありません。

        けれども、この物語の後半部分、煩悶を経て主人公が光りを見出すに至った経緯は、トルストイの実体験に基づくものだろう。そうして、彼がここで描いている人々の暮らしは、何度も繰り返すようだけれども、われわれの暮らしそのものであって、そういったものが虚偽であるという指摘は説得性を持っている。というか、おそらくそれは正しいのだろう。

        では、そのことがわれわれにどういう意味をもつのか。
        トルストイはわれわれに何を呼びかけているのだろうか。

        イワン・イリイチの煩悶と苦悶を、われわれは皆、死ぬ寸前に抱えるだろうということだろうか。われわれも彼と同じように、自己の人生の意義に根本的な疑念を抱き、のたうち回るだろうということだろうか。死の寸前の断末魔の苦しみというのは、人々がこういうことを自覚して苦悶している姿なのだろうか。

        そうしてわれわれもまた、死の間際に光を見出すだろうということだろうか。

        そんなはずはない。
        まず、多くの人々にとって、トルストイの問いは問いにならない。呼びかけにもならない。イワン・イリイチの妻にも、娘にも、息子にとっても、その問いとは関係なく人生は過ぎていくだろう。われわれの多くにとってもそれは同じだろう。

        人によってはたしかに、同じような疑念が、死に至る寸前かも知れないし、トルストイ自身のように名声を極めた後かも知れないし、夏目漱石のようにロンドン留学中かも知れないけれども、そのような疑念が襲ってきて徹底的に苦しめられる、そういうことはあるだろう。多くの若い人々のように青年期にそのような疑問に囚われ、それが後々ふとした瞬間に頭をもたげてくるということはあるだろう。

        結局その問いは「おまえは何のために生きているのか」ということに尽きる。

        それは自分一個にかけられた問いであり、それにどう答えるかはそれぞれの問題である。
        はたしてトルストイはそれにうまく答えられたのだろうか。いやそれは僭越な問いだ。問題は一人一人にかけられている。トルストイの問題はトルストイ自身が解決しなければならず、われわれの問題はわれわれが解決しなければならない。そしてトルストイはその問題の彼なりの仕方での解決を、われわれの先達として、ここでわれわれに提示してくれているのだ。それをどうするかはわれわれ自身の問題だ。

        とはいえ、かりに人生が虚偽に満ちているとしても、その意義を問うことにどれだけの意味があるのだろうか。もしほんとうに人生が誤っているものだとしても、それをどうしようがあるのだろうか。

        この作品では、イワン・イリイチが最後の瞬間に光を見出し、ハッピーエンドの結末が訪れたことになっているが、はたしてほんとうにそうなのか。あそこでは光があった。あのようにトルストイは光を見出したのだろう。しかし答えを求めて得られない場合もあるのではないか。ひょっとしたらそういうことの方が多いのではないか。この問いを問うために出発しながら途中で遭難し、煩悶しながら倒れた人間の方が圧倒的に多いのではないか。だからそういうことはやらないほうがいいのではないか。

        いや、このような功利的な設問の仕方自体に実は問題があるのかもしれない。
        いや、しかしどうなのか。

        最初にこの作品は自然にできあがったふうにみえるといったが、実は巧みに構築されていて、われわれの行動や思考パターンも、すでに作者が予見しているようである。
        冒頭に置かれたイワン・イリイチの葬儀、同僚のピョートル・イワーノヴィチが死者の顔を眺める場面で、

        その顔は生前よりも美しく、そして肝心なことに、より威厳があった。そこには、なすべきことはなしてきた、しかも過たずなし遂げた、といった表情が浮かんでいた。
         おまけにその表情はさらに、生きている者に対する叱責ないし警告も含まれていた。その警告は、ピョートル・イワーノヴィチには場違いなもの、もしくは少なくとも自分には無関係なものと感じられた。
         なぜだか不快感を覚えた、ピョートル・イワーノヴィチは、もう一度そそくさと十字を切ると、われながら礼を失していると思われるほどの勢いでくるりと後ろを向き、そのままドアへと向かったのだった。(p17)

        われわれもドアから出て行くべきなのかもしれない。

        そして歳を取るということは、こうした問いや警告に対して、老獪になれるということでもあるのだが……



        ●「クロイツェル・ソナタ」

        クロイツェル・ソナタといえばべートーヴェンの有名な曲だけれども、どんな曲なのかは知らない。聴いたことがあるかもしれないけれどメロディは浮かんでこない。しかしこういうタイトルだから、きっとロマンチックなストーリーなんだろうなと思って読んでみたら性欲の話なのでびっくりした。こんなに有名で偉大で、しかも道徳的倫理的傾向が強いと思っていた作家の作品が、男女の肉体関係のことばかりだなんてスゴイ。

        だからといってセクシーな場面があるわけではないので念のため。トルストイはやっぱり真面目すぎるほど真面目だから、ここでのテーマは、男女の肉体関係および人としての正しい生き方とはどういうものか、ということのようである。

        この作品の中で、トルストイは女性が男性の性欲の対象としてしか扱われていないことを強調し、女性がそういうかたちでして生きていけない境遇を憐れむ一方で、そのために生じる女性の振舞いを浅ましいとして徹底的に非難する。

        「男が高尚な感情のことを持ち出すのは嘘をついているに過ぎず、男に必要なのはただ肉体だけである。したがって男はあらゆる醜行は許しても、無様であか抜けない悪趣味な服装は、許しはしない……商売女がこのことを意識的に知っているのに対して、穢れなき処女はみな、これを無意識に、つまり動物のような仕方で知っているのです。
         ここからメリヤスのセーターでボディ・ラインを露わにしたり、腰当てをつけてヒップをふくらましたり、肩や腰、はては胸までをむき出しにしたりといったファッションが生まれてくるのです。女性は、とりわけ男性経験から学んだ女性は、たいへんよくわきまえています――高尚な話題を巡る会話なぞはしょせんただのおしゃべりに過ぎず、男が必要としているのは肉体、および肉体をもっとも魅力的な光で浮き立たせてくれるものすべてであると。」(p180)

        「まったくこれはもう、遊歩道にも路地にもいたるところに罠が仕掛けられているようなものです。いやそれよりひどいくらいですよ! そもそも賭け事が禁止されている一方で、女性がまるで娼婦のような、性欲を刺激する衣装を着るのはどうして野放しにされているのでしょう! 女性のほうが千倍も危険でしょうに!」(p191-192)

        では作者にとって、理想的な男女の肉体関係のあり方というのはどういうものであるのか。それはただ、動物がそうであるように、子孫をもうけるためだけにおこなわれるガチンコ試合だけが、それにふさわしいものであるらしい。ところでトルストイが子供を13人ももうけたのは、そういうガチンコ試合がよっぽど好きだったせいではないか、おまけに私生児までもうけているのはいったいどういうことなんだ。トルストイの私生活を知った読者が必ず言ってみたくなりそうなことを私もここで言っておこう。

        トルストイはこの時61歳。単に若い者同士がいちゃつくのを許しておけない気難しいジジイと変わらない気もするが、そういう年寄りに限って、むかしは道楽をやり尽くしていたりする。それはともかくトルストイによれば、女性のそういう煽情的な態度や行動は、あくまで男性側に原因があるとする。女性を快楽の道具としか取り扱わないからだ。

        だがまあ、そういう考え方も含めて、ここで語られているのはすべて男性側からの理窟だな。トルストイはへりくだって語っているけれども、その謙遜は傲慢さの裏返しでしかない。

        しかし、これはこれで面白い理窟だ。
        この作品も、読んでいて飽きさせない。

        後半は、主人公とその美しい妻とのあいだに起こった事件が物語られる。それも一気呵成に読める。

        二つの作品とも、大人向けの作品だと思う。
        これをもし20代で読んでいて、そのあと読まないでいるとしたら実にもったいない。30代、40代、あるいはもっと年を経てから読むと、とても面白いと思う。身につまされるところが多い。

        トルストイはかなり面白い。そういうことを再認識できた一冊だった。
        >> 続きを読む

        2017/12/04 by Raven

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      海に住む少女

      永田千奈 , SupervielleJules

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • この作家の作品ははじめて読みましたが、訳者があとがきで言っているように、「フランス版宮沢賢治」という紹介が一番近いのかもしれない。

        ただ、宮沢賢治には土着的なはだざわりを感じることができるけれども、シュペルヴィエルはもっと抽象的で透明感がある。

        それは、言葉のせいかもしれません。宮沢賢治の日本語をわれわれはそのまま読めるので、そう感じるのかもしれないけれども、シュペルヴィエルを原語で読むフランス人はどう感じているのだろう。

        逆に彼らがフランス語訳の宮沢賢治を読むときには、シュペルヴィエルよりも透明感があると思うのだろうか。
        >> 続きを読む

        2017/12/09 by Raven

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      動物園の鳥

      坂木司

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • あー読み終わってしまいました、
        ひきこもり探偵シリーズ3部作。

        本の見開きのあらすじに
        野良猫の虐待事件~とあって
        猫好きな私は不安になったのですがね。

        動物園から始まった話が、
        ひきこもりの過去に繋がり。
        鳥井くんも無事に飛び立ち?

        またこのシリーズ書いてほしいなぁ。
        >> 続きを読む

        2015/02/04 by すもも

      • コメント 2件
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      エンジニアのための時間管理術

      クイープ , Limoncelli, Tom

      オライリー・ジャパン
      カテゴリー:情報科学
      5.0
      いいね!
      • 時間に振り回されないようにするには何をすればいいのか。

        基本やるべきことを明確にして、自分をやる気にさせれば良いのですが、どうすればそれが継続してできるのか。この本には、その手段が具体的かつユーモアたっぷりに書かれています。

        非エンジニアの方でも「自分の生活が他人に振り回されている」と感じている方は、ぜひ一度手にとってみてください。

        よくある、時間管理系のHow To 本 とは全然違いますよ。
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        2017/05/24 by masan

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      イノック・アーデン

      アルフレッド テニスン

      4.0
      いいね!
      •   「噤む男と待つ男」
         
         ただの陳腐なメロドラマにすぎないと見なす人もいれば、これほど胸張り裂けるもの哀しい叙事詩はないと仰ぎみる人もいる。ブラウニングとともにヴィクトリア朝を代表する英国詩人アルフレッド・テニスンの、往々にして毀誉褒貶相半ばするこの労作を、いまのあなたはどう読みますか?

        〈幼なじみの仲良し三人、水夫の息子で孤児のイノック・アーデンと港きっての美少女アニー・リー、そして粉屋のひとり息子のフィリップ・レイ。男ふたりはアニーに恋い焦がれるが、フィリップは彼女の瞳にイノックへの恋慕を認め、乱れ狂う心を森のなかで鎮めて身を引いた。やがてイノックは腕ききの漁師となり、アニーに求婚する。ふたりは結婚して子宝にも恵まれ、幸せな家庭を築いた。ところが、イノックは足を怪我してしまい、仕事をどんどん競争相手に奪われて家計が苦しくなる。妻子との生活を守るため、アニーの反対を押し切ってイノックは遠い船旅に出てしまう。
         アニーは予感していた、二度とイノックが戻らないことを……〉

         人を好きになる容易さの半分でもいいから人を愛することの真実を知りたい。そう思いません? ふふふ、ぼくは思いませんね。だって、たとえ最愛の人がいたとしても、一キロ先から眺めるだけで精いっぱい、自分に自信ないもの。
         しかしね、この物語でイノックとフィリップが見せた、愛する人のために自分を抑えようとした意志、鋼のような自制心はもちたいと思う。通りすがりの勇気に背中を押されるのを待ちながら……。


        追記
         読書メーターに思わず唸ってしまった感想があったので、ひとつ引用してみたい。

        「たった百ページにも満たない短い詩の中に、ぎゅっと物語が入ってる。誰も悪くないし、誰かが誰かを思って行動する。全部が美しいはずなのに、その全部が哀しい」
                                  秋良さん

         もうひとつ余談になるが、夏目漱石もテニスンのこの叙事詩を高く評価していた。漂流した島でのイノックの描写に、本当の人間の感覚や情緒、生活があるとかナントカ。ちなみに、イノックは戻ってきますよ。
        >> 続きを読む

        2015/10/04 by 素頓狂

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出版年月 - 2006年10月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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