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伊坂幸太郎
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いろいろなところで評価が高かったので読んでみましたが、個人的には「ん~…」という感じでした。 読者は小説に描かれている内容を頭の中で映像化するということを利用した著者のトリックはすごいと思います。こんな方法をかつて取った小説家はいなかったのではないでしょうか。(不勉強なので、いらっしゃったらすみません) しかし、話自体がスッキリしないのです。一番 私的に受け入れがたいのは琴美という女性です。一見、ハツラツとしていて行動的で正義感のある女性が、自分のこととなると臆病者だったというのはあり得る話ですし、実際に 自分は臆病だったんだ と理解するこうした事例はあるのでしょうが、読み進めている間 非常にイライラします。勝手な意見で申し訳ありません。 それでも、小説としてはかなり挑戦的な作品でありながら 一定の成功を納めているようですので、私が云々 言うまでもなく良い作品なのでしょう。 映像化もされているようですが、先にも述べたトリックは映画やドラマでは通用しないと思うためどのように表現しているのか非常に気になります。機会があったら見てみようと思います。 >> 続きを読む
2019/10/30 by kengo
F・スコット・フィッツジェラルド , 村上春樹
語り手のニック・キャラウェイは戦争従軍後、証券会社で働くためにロングアイランドのウェストエッグに引越してきた。彼の隣に住むのは大規模なパーティーを毎晩のように開催する謎の大富豪、ギャツビー。彼の招待に応じてパーティーに参加する機会を得るが、その参加者はギャツビーについて正確なことは何一つ知らず…前半は読みづらさを感じ、なかなか物語に入れずにいました。いろいろな人物が登場しましたが、結局のところはニックとギャツビーの他はブキャナン一家、トム・ブキャナンの愛人のいるウィルソン一家、ニックの恋人ジョーダンに集約されます。ギャツビーがどのようにして成功者として成りあがったのか。そこから見えてくる当時のアメリカの景況感、東部と西部の格差、富裕層と貧困層の格差が浮き彫りになるのが興味深い。ギャツビーはトム・ブキャナンの妻デイジーを昔も結婚後も愛しており、彼女と恋に落ちることで、彼自身の人間の理念は失われてしまいました。その後いろんな不遇が重なり、彼の人生は混乱をきたし、秩序をなくしていきます。一人の手に入らない女性を純粋に愛する姿はロマンチックなようで、それが滑稽にも感じてしまう悲しさを伴うのは、デイジーがギャツビーのように純粋ではないから。いろんな物事をひっかきまわしておいて、あとは知らん顔をして奥に引っ込んでしまう「思慮を欠いた人々」だから。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではない」という父の教えがあったニックが、最後までギャツビーの傍にいたことが救いでした。ギャツビーが呼びかける「オールド・スポート」について、村上さんは「おそらく英国人の当時の言い回しだったのだろう」とあとがきで述べています。アメリカに帰ってきてからも、身に付いた口癖として、ある種の気取りとして、ギャツビーの生来の演技性を呼びかけの言葉で示唆していたと。なるほど、私も訳さない方がこの作品に合っていると思います。その言葉の曖昧さで受け取る方が、これという日本語に当てはめられるより伝わってくるような気がします。なんとなく、意味合いもわかりますしね。それにしても、このあとがきの長さですよ。村上春樹さんのこの作品への思い入れの深さが伝わってきます。映画「華麗なるギャツビー」のニックがトビー・マグワイア、監督がバズ・ラーマンということを今さら知ってドキドキしています。観たい!たぶん観ないけど!爆映画から遠のいて十何年…以前はアカデミー賞授賞式までチェックしていましたが、興味がなくなるとこんなもんです。 >> 続きを読む
2021/10/06 by あすか
チャールズ・ディケンズ , 池央耿
『スクルージは並はずれた守銭奴で、人の心を石臼ですりつぶすような情け知らずだった。 搾り取り、もぎ取り、つかみ取り、握りしめて、なお欲深い因業爺である。』これが本作主人公の人となりです。改めて書き出してみると、すごい表現ですね。そんなスクルージの前に現れたのは、七年前に亡くなった盟友マーリー。クリスマス・イヴにやってきた亡霊は、道を誤ったスクルージに警告し、三人の精霊について話します。予言通りに現れた精霊たちと、過去・現在・未来へと、宙を飛び旅立つ。自分の未来を知り、心を入れ替え人に施していく。わかりやすい物語です。いい話なんだろうけど…何か腑に落ちない。おそらくスクルージが人から言われるほど、悪い人とは思えなかったからだと思います。自分の稼いだお金を貯め込んで何が悪いの…なぜ他人から非難されなければいけないんでしょう。これ、相手がスクルージの取引先の人たちからも同じ悪評なのかが気になります。おそらく商売が成り立っている以上、問題ない仕事をしていると思います。本書の趣旨から外れますが。それにかつての盟友が亡くなってからも警告にきて、三人の精霊に来られて、見たくもない未来を見せつけられるほどの罪を犯しているのでしょうか。ここまで隣人や家族との交流に乏しい人が、寂しい未来を全く想定してないはずがない。―と、物語に反発ばかりしてしまって。スクルージがタイニー・ティムにとって「第二の父」になったことは良かったです。こんな感想しか持てなくて、名作にすみません、と謝りたい気持ちでいっぱいです。。 >> 続きを読む
2021/03/29 by あすか
北方謙三
●1回目 2007.8.18初巻では豹子頭林冲の苦闘を描いたが、第2巻では武松の煩悶と罪を描く。武松の暴力的な犯罪を描くには、作者にも相当気力がないと無理だろう。●2回目 2014.12.14第1巻は2007年と2008年と2014年で3回目だが、2度目の2008年は1巻だけで中断した。なので、これから以降の巻を読むのは2回目。とはいえ、ストーリーはすっかり忘れているので、実際は、初めて読むのと同じ。こういうのも、なかなか楽しい。豹子頭林冲の活躍で、梁山泊を奪取。晁蓋らが乗り込み、「替天行道」の旗が翻る。九紋竜史進登場。 >> 続きを読む
2017/10/07 by Raven
小尾芙佐 , シャーロット・ブロンテ
シャーロット・ブロンデ、1847年、英国がヴィクトリア朝時代の作品です。光文社古典新訳文庫では上下巻です。 ジェーン・エアという恵まれない生まれの女性主人公が、家庭教師として仕えるその家の主人と結ばれるまでの話です。 まず読んでいて驚くのが、主人公のジェーンの生きていく姿勢です。 両親を幼くして亡くしたジェーンは、伯父の家に引き取られます。しかしジェーンに対して理解のあった伯父は早くに帰らぬ人となります。 伯母とその子達は、言わば家族ではないジェーンのことをイジメ倒しますが、ジェーンはそれに負けず、言い返しやりかえします。 よくある孤児の物語だと(ある家に居候であれば)、いじめに堪え忍んで裏でシクシクと涙をながすのが常ですが、そうでないんです。 そこにその時代から考えると珍しいであろう、自立した女性が描かれています。 しかも18才になったジェーンはローウッドという40近い金持ちの家に家庭教師として住み込むのですが、そこに客としてくるローウッドのいい女(ひと)に対しても、"あんな人ローウッド様にはふさわしくないわ"と強気です。ジェーンは優れた美貌の持ち主でもないのですが、すごい自信なんです。上巻は家庭教師として赴任してまもなく、ローウッドに恋する所までの物語ですが、後半はどう描かれているのか、楽しみです。ちなみに、ディケンズと同時代のシャーロット・ブロンデですが、作品に描かれている生活文化が一緒なんで、"あー同じだ"とひとりほくそえんで読んでいます。登場人物がプディング食べていたりして。 >> 続きを読む
2017/12/31 by Reo-1971
森博嗣
著者の作品は講談社文庫版を出版順に全部読んでここまで。 タイトルから、S&Mシリーズの後日譚をイメージしていたんだけど、前日譚なのね。 四季の子供時代を舞台に、S&MとVシリーズのキャラクターが絡んでくる構成。 謎は提示して、解けるヒントを散りばめるだけ。 本格のテーマを社会派の手法で料理したキャラクター小説。 食玩のお菓子の如くの謎で引っ張りつつ、キャラクターの配置で楽しませる、Vシリーズからミステリ要素を減らしたような構成な印象。 勝手に本格ミステリを期待してたので、ちょっと肩透かし。 >> 続きを読む
2019/10/31 by 猿山リム
S&Mシリーズの前日譚でありVシリーズとも絡む間賀田四季を主人公とする物語の2巻目。 「すべてがFになる」の直系的前日譚であり、前作までを読んだ読者は先の展開が分かった状態で読むことになるわけで歴史小説を読む感覚。 外伝として事件の背景を垣間見られるのは面白い構図ではあったが、推理小説(ミステリ)を期待すると、とうとう微塵も要素が無くなってしまった。 謎は提示もされず、解かれもしない。 ミステリファンとしては食玩のお菓子程度にでもミステリ要素を絡めて欲しかった。 ライバルが登場しないからかな。 >> 続きを読む
2020/01/22 by 猿山リム
西尾維新
前作「化物語」(上)が非常に面白かったので下巻も読んでみました。前回よりもさらに面白くなったような気がしました。個人的に撫子がすごく好きで、可愛いなぁと思いながら読み進めていきました。そして阿良々木くんとひたぎちゃんのデートもあってなんだか可愛い内容な感じがしました。個人的に好きだった言葉遊びも沢山取り入れられていて、会話が多い分内容が進みずらい傾向もありますがそれ以上に面白いやり取りだったので楽しく読めました。「物語」シリーズはすごく長い作品なので読み切れるか分かりませんがどんどん読み進めていきたいです。 >> 続きを読む
2017/05/12 by minase86
光文社古典新約文庫、上下巻の下巻。読んでいる最中、何度も心を打たれました。上巻はジェイン・エアの幼少期からローチェスターに出会うまでの物語でしたが、後半はその後、ジェイン(とローチェスター)が様々な紆余曲折を経て、二人が結ばれるまでが描かれています。下巻の始まりでは、二人は幸せいっぱいで愛に満ち溢れ結婚寸前までの状況になりましたが、実はローチェスターには家に監禁状態の妻がいる(それも気が違っている)ことが判り、ジェインは家を着の身着のままで飛び出します。その後ジェインは浮浪者状態となり死にかけますが、すんでのところでセント=ジョンに助けられ、そこで職を得て暮らします。一方ローチェスターは気が違った妻に家に火をかけられ、屋敷は全焼、自信も片腕と視力を失います。離ればなれになった2人だったが、ある日天からのローチェスターの声を聞いたジェインは、元の土地から移り住んでいたローチェスターを探し当て、二人は結婚します・・・。物語はどん底と絶頂を繰り返し、どん底の場面では物語の行く先が心配になり、絶頂の場面(ローチェスターとの運命的な出会い、そして奇跡的な再会)では心を揺さぶられました。作品は愛に充ち溢れ、ジェインの凛とした生き様が心に残りました。この小説の副題はシャーロット・ブロンデの"自伝"だそうです。ちなみにシャーロットは38歳という若さで亡くなっています。そのシャーロットの圧縮された人生の激しい情熱のようなものを、この物語から感じとれたような気がしています。今度、映画も観てみようと思っています。 >> 続きを読む
2018/01/05 by Reo-1971
あさのあつこ
あぁ高校生ってこんな感じだったかもなーって懐かしくもあり、爽やかな気分になりました。『演出も脚本も主演も、全部あたしがやる。他人の物語の中でいきていくことだけは、したくない』『無責任な覚悟のない優しさは、ただの憐れみにしかすぎない』など、読んでいてハッとさせられる部分もあり自分の高校生時代を振り返っても、そのときに感じたことって結構自分の人生に大きかったりもして、ここに出てくる高校生も、17年間の中で自分で考え感じた、価値観ができあがっているころで、それがとってもみずみずしく感じました。この子たちがこの先も大人になって社会に揉まれても、この頃と同じ気持ちで過ごせてるのかなーっと思っちゃいましたこの年頃に思ったことって忘れているだけで自分の根底にもあるのかもって、思い出させもらえた気がします。素敵な作品でした。 >> 続きを読む
2017/01/23 by asa_chann
本田直之
著者の我流の読書法をまとめた本です。読書法は多読、速読、精読など様々ですが、このやり方は多読と速読の組み合わせといったところでしょうか。タイトルにある通り著者は読書を自己投資のための手段と考えています。そのため、文学のような読書自体を楽しんだり、学術本のような本のすべての内容に目を通す必要のある本に関しては効果がありません。本の選び方から、効率的な読み方、読んだことを実践に活かすためのメモの作り方が紹介されています。この読書法のユニークな点はメモの部分でしょう。著者は「ビジネス本は実践で使わなければ読んだ意味がない」と唱えているため、このメモの部分を特に重要視しているようです。あくまで我流の方法なので、参考にしながら自分でアレンジしてみるのがいいのではないでしょうか。 >> 続きを読む
2015/12/08 by Shin
Bloch Serge , Cali, Davide , 小山薫堂
とても深い、奥行きのある1冊。絵本であり、哲学書でもある。読む人の数だけ、とらえ方がある。待ってる。待っている対象(人・こと)がある。待っている対象があるのは、素晴らしいこと。そして、つながっていく。 >> 続きを読む
2020/03/21 by けんとまん
恒川光太郎
常川さんの「夜市」の不思議で幻想的な世界を読み、私の読書はこういった現実から少し遊離した世界に入れることが目的だったのいかと強く感じた。成人し気持ちが落ち着いてからも女流作家の作品をあまり手にとらなかったしエッセイなどは遠巻きに題名を眺める程度だった。常川さんの虚像に近い世界だけでなく、常に本の世界はフィクションだと決め付けて、これが非日常の中に暮らす人々の姿に、自分を繋げる手段だったのかもしれない。 「雷の季節の終わりに」はその「夜市」に続いて書かれたものだったが迂闊にも知らずにその後の作品を読んでいた。この話はどことなく世界観や雰囲気が「夜市」に似ていて別の作品の「風の古道」のようにも感じられる。そんな雰囲気が、馴染みやすかった。 古代ともいえる遠い時代から「穏」という街は存在していた。時空を異にしているので現実の世界からは見えず往来も無い。商人や時の隙間(高い塀で囲われているが)からたどり着いた人々の子孫が長い歴史の中で、育っていることもある。そこには冬の終わりから春が来るまでの間に雷季というものがあり、雷雲に閉ざされ、大きな音が鳴り響くその季節を、人々は護符を貼って扉を閉ざし息を潜めてやり過ごす。その年の雷季に、潜んでいた姉弟のうち姉が雷にさらわれて消えた。そのとき弟の賢也の隣りに抵抗なく滑り込んだ異物があった、「風のわいわい」と呼ばれる異界のものだが、彼はその気配を受け入れた。 忌み嫌われるこの憑きものは祓うことが出来なかった。 街(下界と呼ぶ)から来たと言う二人は老夫婦に育てられていた。「穏」は穏やかな暮らしやすい自然に恵まれた土地だった。 賢也が小学生になったとき、一緒に遊び、兄のようになついていた人を殺してしまう。男は殺人鬼と呼ばれるような裏の顔を持ち少女たちを殺していた。 賢也は禁断の塀の門をくぐり、高天原を通り、町を目指して逃亡する。そして苦難の末、現代の生活に逃げ込む。 賢也は過去を忘れているが、「穏」に来た経緯が別のストーリーで語られる。これも面白い。 最後は二つの物語がまさにきっちりとつながり、二つの世界に血が通ったような生き生きとした作品になっている。 「穏」の生活風景は鮮やかで穏やかで、そこに毎年短い奇怪な季節がおとずれる。 住んでいる人々は長い慣習を守って暮らしている。 賢也の逃げ込んだ外の世界は、現代の街の姿である。 追っ手は時空を行き来し、怪物の姿を垣間見せる。 「風わいわい」は時に人を導き、世間話をし、天空にある「風わいわい」の世界を話して聞かせる。このなんともいえない不思議な世界、SFとも言えずホラーでもない、それでいて風景の繊細で美しい描写や人々の欲望や希望や生命の巡りなどが目の前に開けてくるような世界に引き込まれた。 >> 続きを読む
2016/06/11 by 空耳よ
熊谷達也
前作『邂逅の森』の方がずっと奥行きがあって面白く感じたのは、「時代」という背景がうまく作用していたからだろうか。今作は現代の話なのだが、登場人物のキャラクター、人間関係、起きる事件やそれに対する感情の動き方、などがどれもこれも「ありきたり」すぎて薄っぺらい。特に女性の主人公の造形が、「男が考えた現代キャリアウーマン」そのもので、読んでいて鼻じらんでしまう。クマとマタギという題材自体はとても面白いし、特に今作は前作の子孫の話になっているので、前作を読んでいると色々と発見がある。思うにこの作家は、「時代」という「虚構」を背景にした方が面白いものが書ける人なのではないだろうか。三部作の最後の作品はまた時代もののようなので、楽しみに読もうと思う。 >> 続きを読む
2020/09/15 by 室田尚子
山前譲
【実はみんな書きたかったのかもしれない】 日本の『文豪』と言われている人達が、実は書いていたミステリ短編集です。 収録されている『巨匠』たちは一般には純文のくくりに入っているわけですが、でも、本当はこんな作品も書いていたというわけです。 収録されている作家はと言えば…… 谷崎潤一郎 森鴎外 芥川龍之介 太宰治 三島由紀夫etc 大体、谷崎なんてある程度のところまで、乱歩と同調していたわけだし、川端だってファンタシー的要素がある作品を結構書いていたりしますよね。 芥川の『藪の中』もミステリであるという評価もあるわけですし。 こうして並べられてみると、『文豪』と呼ばれる人たちも、結構探偵小説には食指が動いていたのではないかと思ってしまいます。 もちろん、泉鏡花の『外科室』など、純粋にミステリ、探偵小説と分類して良いか?という作品もありますが、謎のテイストはしっかりと持っています。 なかなか読む機会が無いという点での私のイチオシは佐藤春夫の『オカアサン』でしょうか。 鳥を主題としたほのぼのとした推理が楽しめます。 >> 続きを読む
2022/01/15 by ef177
日高敏隆
日高先生の視線の柔らかさが、全編にわたって滲み出いている。表題に限らず、掌編のエッセイ集なのだが、エッセイに限らない思索に富んだものがたり集のように思う。とても穏やかで、読んでいるだけで、こころが落ち着いて、ゆったりっとした気分になれる。 >> 続きを読む
2020/04/05 by けんとまん
荻原浩
あきれるほどだめな部分が面白おかしく書かれている。楽しかった。
2016/03/09 by kurobasu
上橋菜穂子
作者あとがきにある通り、この物語は上橋さんの心の底にある〈なつかしい場所〉の物語です。桜や梅の咲き誇る日本のような国が舞台となっております。時代設定はないそうですが、強いて言うなれば安土桃山〜江戸時代といった感じでしょうか。ある2つの国のいがみ合いとそれに巻き込まれる小夜、野火、小春丸。両国の間にある深い憎しみ合いを終わらせることはできるのか。守り人シリーズの延長として読み始めたのが失敗だったか。長編と短編を比べる事自体ナンセンスだが、やはり物足りない。ボリュームが劣るのは致し方ないと思うが、もう少し話の奥行きが欲しかった。呪いについての細かい描写、その代償や小夜の才能についてもう少し詰めて欲しい。ぽっと出に呪いと言われても、どこか荒唐無稽で薄っぺらく感じてしまう。(上橋さんの頭の中には細かい設定があったのかもしれないけど)今作は憎しみ合うことの虚しさを描いている分、人物同士の関係性はシンプルになっている。そのため、守り人のような緻密さはあまりない。守り人のような世界観を求めているなら、今作には物足りなさを感じるかもしれない。逆に言えば、人物の心情や関係性は丁寧かつ分かりやすいので、上橋菜穂子入門としてはオススメと言える。 >> 続きを読む
2015/09/23 by 旅する葦
宮部みゆき
なんだろう、ファンタジーとミステリーがまざった不思議な世界観。主人公の少女が可愛い。相変わらず登場人物たちが魅力的。どうやら著者のぼんくらシリーズが好きすぎて、あまり満足できなかったようだ。それでも、このページ数を苦もなく読めてしまったのだから楽しかったんだろうなぁ。 >> 続きを読む
2013/09/29 by chika
冲方丁
2018/7 8冊目(2018年通算111冊目)。「マルドウック・スクランブル」の前日譚。「~スクランブル」で憎らしい程の悪役を演じたボイルドが相棒だったウフコックとどのようにして袂を分けたのかというのが話の主題。文章に特徴があり少し読みにくかったというのが感想。それでもまだ1巻目は、ボイルドの方にウフコックを「道具」として扱ってはいけないという気遣いが随所に見られる。ボイルドの心境がどう変わっていくのか?。スターウォーズの新3部作みたいで読んでいてドキドキする。続きも読んでいきたいと思う。 >> 続きを読む
2018/07/20 by おにけん
出版年月 - 2006年11月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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