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2007年3月発行の書籍

人気の作品

      イニシエーション・ラブ

      乾くるみ

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね! yana nasubivi
      • 乾くるみさんの作品は初めて。
        ただのラブストーリーと思いきや!?ラストの大どんでん返し!!!とあったので、ドキドキしながら読んでみた。
        ミステリー系は大好きだけど、鈍感で謎解きが苦手な私。かなり注意して読んだのに、ラストまで大どんでん返しが解らなかった。
        目次がすべて曲名なのは解ったけど・・・それくらい鈍いです、私(笑)

        ・・・で、ネタバレで・・・なるほど!ねってな感じ。
        だから、A面、B面とあるのか納得。
        読み終わって、この本のからくりを知って、少しずつじわじわと怖くなってきた。
        作者のしたたかさにゾッとする。
        それに加えて、乾くるみさんって、男性だったのにも驚き!!!そういう意味でもしてやられた感じ。私にとって、インパクトの強い小説になった。
        >> 続きを読む

        2017/05/22 by はなぴょん

      • コメント 5件
    • 他41人がレビュー登録、 159人が本棚登録しています
      伝える力 「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!

      池上彰

      PHP研究所
      カテゴリー:経営管理
      4.2
      いいね!
      • 具体的で明日からすぐに応用できる方法がたくさん書かれています。
        私は読むのが遅いですが、池上さんの本はどれも簡潔にまとめられているため、活字嫌いな人でもスラスラと読めるのが特徴だと思います。
        伝え方を伸ばす方法をまとめた本はたくさんあります。もし、内容が読者に分かりやすく伝えられていなければ、著者は「あなたこそうまく伝えられないじゃないか!!」と言われてしまうかもしれません。
        しかし、分かりやすい文章で多くの読者を惹きつけ、誰にでも伝わる文章を書き続ける池上さんを尊敬します。そんな池上さんが、文章を書くとき、話すときに意識されている具体的な方法を知ることができる大変貴重な一冊でした。
        >> 続きを読む

        2018/01/11 by Yotty--

    • 他4人がレビュー登録、 24人が本棚登録しています
      悪人

      吉田修一

      朝日新聞出版
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね! masa920
      • 読んだら売ってしまおうと思っていたけど、ずっと手元に置いておこうと思った本です。裁判員制度が始まった頃に読んだので色々考えさせられました。 >> 続きを読む

        2015/07/08 by marsa

      • コメント 4件
    • 他3人がレビュー登録、 26人が本棚登録しています
      水滸伝 - 六 風塵の章

      北方謙三

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • ●1回目 2007.9.1

        原作の水滸伝は、いろんな登場人物のエピソードが集まって、物語がゆっくり進んでいくというものだった。
        いってみれば説話集的。

        この水滸伝はもっと構造的、重層的だ。

        敵役の青蓮寺は強敵だが、さらに強力な秘密兵器、聞煥章が加わる。


        ●2回目 2014.12.23

        聞煥章登場。

        それにしても、青蓮寺の情報収集能力は、あまりにも凄すぎないだろうか。

        いくら政府の諜報機関といえ、いまから1000年前の中国で、あそこまで迅速正確に情報を集められるとは、とても思えない。

        舞台となったのは北宋末期、日本でいえば、まだ平安時代である。
        日本のような狭い国でも、京都を離れたら、あとは田舎と思われていた時代。

        広大な中国で、いくら人手をかけようと、個人の動静をそんなに簡単につかめるはずがない。

        宋江が梁山泊の首魁の一人と突き止めるのが、あまりに早すぎるような気がする。

        霹靂火泰明将軍が梁山泊に参加。
        >> 続きを読む

        2017/10/08 by Raven

    • 他3人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      Q&A
      Q&A

      恩田陸

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 都下郊外のショッピングセンターで発生した死傷事故は、死傷者200名近くに登る大規模災害にも拘らず、全ての証言が食い違い、未だ原因も経緯も謎のまま…。政府陰謀説までまことしやかに流れるこの事件について、関係者らとの一対一のQ&A形式の会話を基に進められていく物語です。最後のページに辿り着いた瞬間の感想を一言で表すならば、ただただ恐ろしい。ものすごく怖い小説を読んでしまった、という印象です。

        問答を行う人物は各章で異なるのですが、不可解な事件のあらましから始まる一章から先は、事件関係者の心の闇や、ありふれた日常の挟間に潜む悪意や憎悪が顔を徐々に覗かせ、頁をめくるごとに、静かな恐怖をひしひしと感じます。長年抱える秘密の後ろめたさ、敗北感から生まれた憎悪、家族との平穏な日々が脅かされるかもという恐怖・・・。この事件は、ショッピングセンターに集った人々が抱える不安や不満が膨れ上がり、飽和状態が限界に達した集団ヒステリーだったのでしょうか。

        本書には、そんな心理的な恐怖描写だけでなく、視覚的な怖さもふんだんに盛り込まれています。奇跡的に無傷で助けられた少女が引きずっていた血のついたぬいぐるみ、貼りついた笑顔で店内を練り歩く老夫婦、異臭を放つ袋を投げ捨てた青年、そして「見えない何か」に一瞬気を取られた、犠牲者たちの無表情が映る防犯ビデオなど、関係者が語る記憶の断片から、不気味な絵面が頭に浮かびあがり、恐怖がいや増します。

        しかし、一番恐ろしいのは、最後まで原因が判明せず、もやもやとした気持ちを抱えたまま締めくくられる事件の全貌です。本書は、対峙するものが何なのかわからず、回避する術も見つけられない「不条理な、理由のない、大量死」の怖さを、淡々と語りかけてくるのです。本書は2004年に刊行されていますが、アメリカの同時多発テロや、地下鉄サリン事件など、神や信仰を理由に多くの罪なき人々が犠牲になった忌むべきテロ、秋葉原殺傷事件のように無作為に切りつけられる日常と隣り合わせの恐怖、そして想像を絶する自然災害と人災を経験した私たちにとって、この恐怖はもはや単なるフィクションではありません。

        作中のある章では、シナリオライターとその友人によるQ&Aが繰り広げられます。蟻を描いたフランス小説(ベルナールの「蟻」でしょうか?)を引き合いに出して、私たちが他意なくうっかりと蟻を踏み潰すように、自分たちより「もっと大きな何か」が誤って取ってしまった行動が、我々人間を死に至らしめているのかもしれない、という会話がなされるのですが、その中のセリフが印象的でした。

        曰く、「(人間は)神様の気を引こうとして、自傷行為を繰り返してるんだけど、神様、本当にあたしたちが死のうが生きようがどうでもいいから、放っておいている。(中略)うるさいからもう勝手に死ねばって思ってるかも」。横暴を繰り返してきた愚かな私たちは、とっくに神様に見放されているのかもしれない、などと最近私が密かに考えていたことが、10年も前に刊行された本書で、まるで預言の如く語られていることに、大きな衝撃を受けました。
        >> 続きを読む

        2015/11/09 by nomarie

    • 他2人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      蝉時雨のやむ頃

      吉田秋生

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.7
      いいね!
      • 鎌倉四姉妹物語。吉田秋生がホームドラマを描いたよ、おい。って思いました。
        第1章は特に。あまりにも向田邦子しています。

        四姉妹のあれこれも。お父さんの浮気も「阿修羅のごとく」を彷彿とさせます。
        鎌倉の古い木造の一軒家も、昭和の風景そのものです。
        キッチンではなく台所。畳の和室に縁側。
        昭和の時代によくあったシリアスで文学的で心に残るドラマの世界そのもの。
        つまり、かなり好みではあります。

        このシリーズ、やたら評判が良いので驚きます。
        多分、彼女の漫画を初めて読む方には、かなりの好印象を与えるでしょう。
        BANANA FISHが最高だと思っていた人も新鮮な驚きと彼女の可能性を感じて感動するでしょう。

        まず、この手の日常ドラマ的な起伏のないお話しはデビュー以来の彼女の得意分野。
        人々がふれあい笑い悩み拒絶し、出会い、別れるという生活感に満ちています。
        コミカルな表情やしぐさで笑わせる一方で、孤独や死や愛の暗い淵をのぞかせる。
        このパターンは「夢見る頃を過ぎても」や「河よりも長くゆるやかに」でお馴染みですね。
        違うのは若い子目線が大人目線にかわったことが大きい。
        腹違いの末娘、中学生のすずちゃんは、もう娘的存在になっていて、
        とても珍しいことに、秋生クンは彼女をかわいがっている。そう思える。
        なんといっても主人公イジメがない!

        キツネ顔が特徴だった彼女の絵柄を極端にでか目に変えて、かわいさを強調。
        誰もがとっつきやすいお話しを作っている。

        日常を描いてきた場合でも、今までは映画を意識した構成だったのが、
        明らかにこれはテレビ向きです。
        ついにメジャー狙いに転じたのか?!

        けれどずっと以前からのファンにはとても複雑な思いを起させる漫画であることは間違いないです。
        昔の吉田秋生に戻ったような、新しいような。
        裏切られたような、またしてやられたという驚きとあきらめのような。

        特に「ラヴァーズ・キス」を最高傑作として愛するファンは悶絶するでしょう。
        キャラの使いまわし&設定変更。

        吉田秋生をとことん信じちゃいけないよ。
        私はBANANA FISHで受けたショックで、もう免疫ができてるけどさ。
        彼女、自分のキャラクター、結構いい加減に扱う癖があるんですよ。
        その作品世界を無視して、全然違う話に使っちゃう。
        昔からそうです。

        たぶん、単なる面倒くさがり屋なんだと、私は思うぞ。

        ここでは、藤田朋章が半分別人として登場しています。
        俳優のキャスティングだと思えば何のこともないんでしょうけれど、
        作品の人物として思い入れていると結構傷つきますよ。
        「あの藤田朋章」がこんな軽くねーちゃんと?!
        母親の浮気相手にゆすられる?なんじゃそりゃ。
        自殺未遂はどーした?高校は中退したんじゃないんかい?
          ↑
        はい。残念でした。全部忘れましょう。この『海街』読む時は。
        別の役を演じているのだと思う事。

        「ラヴァーズ・キス」からは、緒方篤志(オーサカ)の弟、尾崎酒店の長男と次男の風太、
        このあたりも出演していますね~。
        風太がまあ、かわいくなっちゃって。

        読む順番が逆で、「海街」先に読んじゃったので、全然関連性に気づかなかったんですが、
        再読して、笑えました。

        私もまあ、彼女の漫画を高校生の頃から読んできて、歳食ってますから、
        親目線の物語になっても抵抗がありませんよ。

        長女・幸には、共感する部分もとても多いです。
        秋生クンのよい面がわかりやすく出ているよい作品だと思います。

        でもな~。でもな~。
        つい最近読んだ「ラヴァーズ・キス」のような作品こそ、
        彼女しか描けない漫画だと思うんだよなあ。

        ま、こういう平和で誠実なお話しを描いていると、またそのうちに
        真逆なことをやり始めるかもしれませんね。

        吉田秋生は、自分の思ったことを回りを気にせずにやってしまう。
        既存の常識や受けるパターンなど考えずに。
        その癖に結構人に影響受ける人で。
        ストーリー展開すら、ファンの言うとおりにしちゃったりするんで、
        まったく読めない作家です。

        だから、面白いっていえば面白いんですよね。

        でも、まあ、このシリーズ、あまり長く続けないでほしいなあ。
        >> 続きを読む

        2014/04/08 by 月うさぎ

      • コメント 8件
    • 他1人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      そのときは彼によろしく

      市川拓司

      小学館
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • BOOK OFFで買ってくる
        105円

        2016/03/13 by 孝志 松元

    • 他1人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      シェイクスピアのソネット

      ウィリアム・シェイクスピア , 山本容子 , 小田島雄志

      文藝春秋
      カテゴリー:
      4.0
      いいね! momomeiai
      •  シェイクスピアの十四行詩154篇。

         初シェイクスピア体験でした。わーい。

         シェイクスピアの作品、もちろん有名な作品のあらすじくらいは知っています。「リア王」……確かリア王が娘を追放したり追放されたり、激怒したり泣き叫んだり。「ハムレット」……叔父への復讐に悩んで「to
        be or not to be」というやつ? 「ロミジュリ」……あなたはどうしてロミオなの!?

         しかし、実際読んだことはありませんでした。全てが有名作なので「とりあえずこれ読んどけ」がないですし、どれから読んでいいのかもわかりません。そんなとき、どうも詩集があるらしいと知りました。しかも、シェイクスピア的には悲劇シリーズよりこちらに尽力したとのこと。さらに、最も美しく愛を解いた詩集だとのこと。これだ、とりあえずこれだ、ということで読みました。

         やはり詩ですから、わかったようなわからないような、フワフワした感覚はありました。ですが、そこは考えるな、感じろ! という具合に割り切って、感性に引っかかった番号を控えておくと良いかもしれません。私は見返しの部分に大きめの付箋を貼って、そこにメモしていきました。

         後から見返すと、はぁーこれに何かしら感じるところがねぇー、と中々恥ずかしい。しかし、そこは自分の感性。大切に出来たらなと思います。

         私には全くと言っていいほど予備知識はありませんでしたので、「わたし」であるシェイクスピア、美少年、「黒い」らしい女性、ライバルの詩人という登場人物だけ抑えた状態でした。まずは感性で、その後解説などを読んで感心、気に入った所の原文を見て感心。まあまあ嗜めたのでは? と思います。

         シェイクスピア入門の「とりあえず」には、とても良いです。


         追記
         そろそろレヴューも100冊目だし、それにふさわしい本を読んで……とか思っていたら、いつのまにか通過していました……。いやいや、本に優劣はない! いつも大切な1冊なのさ、と言い訳して乗り切ります……はぁ。
         今後ともよろしくお願いします。
        >> 続きを読む

        2015/06/02 by あさ・くら

      • コメント 11件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      日々是作文

      山本文緒

      文藝春秋
      5.0
      いいね!
      • この本の名言をご紹介します。

        ***
        私は人の心の動きを愛している。
        愛しているということは、
        憎んでもいるということだ。
        >> 続きを読む

        2013/10/03 by 本の名言

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      食い逃げされてもバイトは雇うな

      山田真哉

      光文社
      カテゴリー:経営管理
      4.0
      いいね!
      • 当時は面白かったですよ。記憶の片隅に何点か残ってます。
        最近名前聞かなくなりましたね。
        山田さんのすべての本に言えますが、損得やべき論の考え方を見直すきっかけになる話ばかりです。読みやすいのもいいですね。

        当時は良かったですが、今時に当てはめるとサービス面と言う点で危険が出る気がします。
        >> 続きを読む

        2015/03/23 by Logikoma41

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      「新釈」走れメロス 他四篇

      森見登美彦

      祥伝社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 森見登美彦の京都の舞台に古典の名作を投影させている。それぞれ話は独立しているが、登場人物はラップしており、ある意味1つの物語としても読めるかな?走れメロスの話から考えると、他の作品も色々面白おかしく改変されているのだろう。
        これをきっかけに原作も読むことになるかもしれない。
        >> 続きを読む

        2017/04/22 by Jinjinmin

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      ジェネラル・ルージュの凱旋

      海堂尊

      宝島社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 鮮やかな血飛沫にぶったぎる言の葉
        ナイチンゲールが歌声の近くにいるが将軍のいる潜水艦には届いておらず
        地球に多様で美しい動植物がいるように
        病院には魑魅魍魎、様々な人間がいる
        田口先生から2つの世界を繋げてみたかったが
        彼の言動からは感じられなかった
        まるで違う人物で少し残念、それよりも白鳥のほうが両者はたまた次を見ているように見受け
        こちらはさすがとしか言えない
        >> 続きを読む

        2017/12/04 by kotori

      • コメント 1件
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      プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラミングの基礎知識

      日経BP , 矢沢久雄

      日経BP
      カテゴリー:情報科学
      4.5
      いいね!
      • 今更ながら(こっそり)読んでみました。

        本当にちゃんと理解しようと思うとけっこう難しい。

        だけど、suppaimanさんもレビューされていますが、プログラミングを始めたばかりの人には特にオススメの本だと思う。多分、新社会人で開発を始めたばかりの人は明日から使える知識みたいなものを勉強したくなるのではないかと思うが、こういう知識はこれからの土台となるはず。

        で、これを読んで思ったことは基本情報処理試験はやっぱりよく考えられているんだなぁということ。勉強していた時はこんなの覚えて何になるんだー!と言いたくなる時もあったけど、よくよく考えるとこの本に出ているようなことを基本情報処理試験の時に勉強していて、それが今私の土台になっている。

        資格「だけ」では意味ないと今でも思うけど、でも資格の勉強も意味あります、絶対。

        そんなわけで本題から話が逸れましたが、良書です。
        >> 続きを読む

        2013/10/16 by gavin

      • コメント 7件
    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      カジノ資本主義

      小林襄治 , StrangeSusan

      岩波書店
      カテゴリー:金融、銀行、信託
      3.0
      いいね!
      • 久しぶりに近代政治経済史を流して読んだ気がする。大まかな流れは分かってたけど、細かい所が詳細で楽しめた。続きも楽しめそうだ。 >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

    • 2人が本棚登録しています
      自由訳老子

      新井満 , 老子

      朝日新聞出版
      カテゴリー:先秦思想、諸子百家
      1.0
      いいね!
      • 新井満(あらい・まん)さんといえば、大ヒットした「千の風になって」の原詩であるメアリー・フライの歌詞の的確な訳をし、その上、曲も付けたというマルチ人間で、芥川賞受賞作家でもあり、写真家、環境映像プロデューサー、長野冬季オリンピック開・閉会式イメージ監督など、多彩な活動をしています。

         
         彼は幼少より虚弱体質であり、読書として、「論語」(孔子の言行録)や「老子」になじんできましたが、歳をとるに連れ、「老子」のほうがしっくりくるようになったそうです。そこで執筆したのがこの本「自由訳 老子」(2007年 朝日新聞社)です。


         この本の中で、新井さんは「老子」の無駄な部分を端折り、全81章(9*9)を18章(2*9)に再構成したとしていて、元々のテキストが短いのに輪をかけて短くまとめていて、一冊30分もあれば読み終わってしまいます。まあ、それだけ無駄な(!!)部分を削れば、そのような分量になるのですが。


         一読、「きれいごと過ぎるな」と思いました。老子の言葉をそのまま日本語に訳す場合にはそれは正確な訳ですが、「はしょってしまう」ことで、「老子」の持つ「多様性」がなりを潜め、新井さんが「こうあって欲しい」という老子像が増幅されるのです。


         特に例を挙げれば「老子36章」。この章は新井訳では完全にオミットされています。


        「(あるものを)収縮させようと思えば、まず張りつめておかなければならない。弱めようと思えば、まず強めておかなければならない。衰えさせようと思えば、まず勢いよくさせておかなければならない。奪いとろうと思えば、まず与えておかなければならない。これが「明を微かにすること」とよばれる。こうして柔らかなものが剛いものに、弱いものが強いものに勝つのだ。「魚は深い水の底から離れぬがよい。国家の最も鋭い武器は、何人にも見せぬがよい。」」(小川環樹訳注:中公文庫)


         この章は、戦争に決して負けない心得を書いたものであり、陰謀の書(周書)から「老子」本文に紛れ込んだという説があります。でも、古来「老子」の一部とされてきた章ですから、この章をオミットしてしまうのもどうか、と思います。そして、新井さんは老子のいう「不争の徳」の話は取り上げますが、36章のような「戦い方の奥義」を書いた章は「不要」とばかりオミットしちゃうんですね。


         元祖中国では、兵家の孫子と並び、戦争の際知っておくべき教養が老子だったという具合で、両者を合わせて祭る廟もあるくらいです。老子は「きれいごと」では片付かないのです。


         また、老子の文章を貫いて何回も出てくる「樸(ぼく:あらき)」という表現が一度表われたきり、しかも重要ではない扱いであったのが気になりました。


         それから、新井訳のなかに、はっきり誤りというべき記述を見つけました。それは28Pの「水は方円の器に従う」という表現ですが、これはいかにもありそうだとは言え、「老子」には出てこない表現で、これは儒家が主に由来の表現であり、日本ではながらく修身の教科書として用いられた「実語経」に収められたものです。この言葉は、「悪い者を友人にすると、本人も悪くなる」といった意味の言葉です。出所がまったく違い、意味も正反対です。「老子」本文にないことをあたかも彼が言ったように書くのは不勉強であり、また老子を冒涜することになるでしょう。


         さて、新井さんは、道家独特の概念「道」を「Dao」と呼び、彼独自の解釈をしています。「風のように自由で、水のようにおおらかで」とか「銀河系宇宙」とかいう言葉で「Dao」を語っていますが、私は老子について、そのようなのんびりした境地に果たして彼がいたのか、懐疑的なのです。私は、「老子」の中にこの種の感想を感じさせる表現は読み取ってこなかったのです。これって、「老子」によって触発された、新井さんのみの境地を書き述べたようにも思えます。



        最後に:総じて、偏った内容の本であり、特に読む必要のない本だと思いますが、それでも、「誰かを深く愛せば、力が生まれる」などと言う、老子が言うはずもない言葉を連ねたアンソロジーよりは、まだしもましかも知れないと考えます。


        この本、底本は「王注老子道徳経」、参考図書「中国古典選10 老子」(上・下)朝日文庫です。王とは王弼(おうひつ)のことかと思います。
        >> 続きを読む

        2012/08/14 by iirei

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      コピー用紙の裏は使うな! コスト削減の真実

      村井哲之

      朝日新聞出版
      カテゴリー:経営管理
      2.0
      いいね!
      • 息子が帰って来た時の段ボールの中から見つけて読んだ本。

        まあ、コピー用紙の裏を使っても、精神的には美徳だが、
        結果たいしたコスト削減にはなたないということ。

        店舗を運営すると、販売員の給与、売場の家賃など最低限の経費ってかかりますよね。
        一番のコスト削減は、売上アップでは・・・・・。

        この本では、各種の根本的部分を見なおせと。
        まずは、エネルギーコスト(電気代、ガス代、水道代など)
        オフィスコスト(通信費、コピー代、郵送代、家賃、事務用品否費など)
        オペレーションコスト(人件費、物流費など)
        に分けて、今使っている経費項目ごとに細かく実績、データを把握せよ・・・・。


        まあ、私自身は、節約意識は大事ですが、
        それ自体の行為で満足してしまっては、事業は終わりでは・・・。

        コストを掛けてでも、それ以上の高リターンを目指さなければ・・・・・・

        価値あるお金の使い方、吉本正之助さんがいうてた、
        「始末してがめつく稼ぐ、そしてきれいに使う。

        投資の為の節約・・・・・・何のため、どんな夢の実現のために、コスト削減はあるのか。


        個人的には、節約しながらも、自分自身への投資は、まだまだ続けたいもんですな。
        >> 続きを読む

        2014/10/30 by ごまめ

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      忌憶

      小林泰三

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • 『忌憶』(小林泰三) <角川ホラー文庫> 読了です。

        「奇憶」「器憶」「危憶」(「危」は実際は土偏)の三作からなる短編集です。

        『奇憶』は単編で祥伝社文庫から出ていたのを以前読んだことがあり、この『忌憶』は「奇憶」を閉じたものと言えます。
        今読むと、「奇憶」はかなり読む人を選びますね。
        小林泰三ワールドが全開の、とても楽しめる作品集になっています。

        惜しむらくは、「奇憶」「危憶」が記憶を扱ったものであるのに対し、「器億」は記憶というより意識を扱った作品だったことです。
        もしかするとそこにも意味があるのかもしれませんが……。
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        2015/10/03 by IKUNO

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      バッテリー

      あさのあつこ

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
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      • Ⅴと同じように、横手だったり新田東だったりを行ったり来たり。
        展開が緩やかです。
        れ、これ最終巻じゃ・・・・

        試合始まらない・・・

        ・・・試合はー!!!!?Σ(;´Д`)ノ

        原田巧の野球人生を描くのなら、横手との伝説の一戦となるであろうこの試合がメインとなるはずです。
        でもⅠから書かれているのは、仲間だったり、ライバルだったり、家族だったり・・・人なんですよね。
        巧はもう昔とは違い、仲間がいてこその野球を感じ取っています。
        すごい成長したね・・・・
        みんなで木に登ったシーンが一番印象的でした。

        試合は途中までしか描かれていません。
        一つ一つのシーンを丁寧に、各々いろんな思いで試合をしています。

        地方の中学校、学校を通さない試合。もちろん公式には残らない。
        その中にこんな壮大なドラマがあるなんて。

        ―最高、最速の球を

        ―阻ませはしない


        ・・・「ラスト・イニング」読まないと、この物語は完結しないですね。
        >> 続きを読む

        2014/11/20 by あすか

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      時効警察

      岩松了 , 進藤良彦 , 三木聡 , 園子温

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 深夜にTVで放送していた時効警察のノベライズ。

        TVで感じる緩い感じが、本でもそのまま感じることができます。
        意外と中身もしっかりしていて、十分楽しめます。

        TVを見てた人も見てない人も十分楽しめると思います。
        >> 続きを読む

        2012/06/22 by higamasa

      • コメント 2件
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      彩雲国物語 青嵐にゆれる月草

      雪乃紗衣

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
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      • 藍楸瑛が王の側近を辞めるために劉輝との一騎打ちをするシーンはこれまで王と仲良くやってきたシーンが面白かっただけにどこか悲しい気分になった。秀麗自身も体に重大な秘密がありそう。今後はただならぬ話の展開になりそうかな。新しく登場した十三姫のキャラはいいなあ。感想はこんなところです。 >> 続きを読む

        2016/10/27 by おにけん

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