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2007年6月発行の書籍

人気の作品

      Go
      Go

      金城一紀

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね!
      • 軽い感じでよめる作品ですが、「在日」という問題定義があり深い作品です。私はこの「在日」という言葉が大嫌いです。何かが心に引っ掛かる言葉です。うまく書けませんが、いつかこの「在日」という言葉が無くなれば良いなあと思います。内容自体は、直木賞を取っているので、面白いです。 >> 続きを読む

        2018/09/02 by rock-man

    • 他4人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸

      入間人間

      アスキー・メディアワークス
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 今年最後に読むのがこんな猟奇的な話でよいのだろうかと思わんこともなかったけれど、読んでよかった。久々に。そうかこの話はここから始まったかと思った。軽快な語り口の僕の中に常に付きまとう「嘘だけど」壊れてしまったまーちゃんの傍に「みーくん」として現れたその時から僕とみーくんの間で、自分の建前と本心との間で揺れ動く迷いや揺らぎがなんだかすごく無自覚の内にちゃんと彼を人間味ある主人公にしているんだなと感じます。恋日先生の、「治療って何?」しかり、保護した時に泣いていた刑事なつきさんといい、この物語の登場人物はみんな迷って迷ってもがきながら自分の道を通している。それはきっと無自覚のうちにしかそれができないまーちゃんもほんもののみーくんも僕も同じ。そんなところが、猟奇的なこの物語がただの猟奇ものにならず、主人公たちを見守り続けたくなる所以かなと思います。幸せの定義は誰かに決められるものじゃないんだ、たとえ周囲から見てその背景が不幸一色だったとしても、本人たちがその中の幸せにだけ照準を合わせていれば幸せ、だからこうしろなんてだれにもいえない。そんなことを改めて考えられたという点で年末に再読で着て良かったです。 >> 続きを読む

        2018/12/31 by kaoru-yuzu

    • 他4人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      幸福な食卓

      瀬尾まいこ

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! tebukuro Tukiwami
      • 匿名

        不思議な家族の関係。それぞれが自由に生きている。ただ、家族に何かあればそれぞれの方法で支え、助け合う。ちょっといびつな家族。愛すべき家族。恋人の死に直面したことで、家族がくっきりと浮かび上がる。 >> 続きを読む

        2018/04/18 by 匿名

    • 他3人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      水滸伝 - 九 嵐翠の章

      北方謙三

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • ●1回目 2007.9.6

        豹子頭林冲の危機

        柴進救出作戦。
        ここで活躍する鄧飛はもっとも印象深い人物のひとりだ。


        ●2回目 2014.12.27

        索超登場。

        豹子頭林冲の単騎突撃。

        ふたたび、火眼狻猊鄧飛の活躍。柴進と燕青を救出に成功するが…。

        楊令が子午山入り。

        秦明が公淑とめでたく結婚。
        それをめぐっての宋江と晁蓋の会話が楽しい。

        水滸伝全19巻。もう半分まで来てしまった。
        あと10巻しかないとは残念すぎる。
        >> 続きを読む

        2017/10/08 by Raven

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      あおい

      西加奈子

      小学館
      カテゴリー:小説、物語
      3.1
      いいね!
      • 西加奈子のデビュー作。

        西加奈子の描く主人公は決まって
        バイタリティがない。主体性がない。
        常に流されて踏ん張らないで、
        ただ、生きてる、といった印象が強い。
        (たった4冊読んだだけの印象だが)

        しかし、そうなってしまった理由もあって、
        それに抗うのではなく、静かに受け止める。

        自分の周りにこういう人間が少ないので、
        その思考にいちいち感心する。
        肩に力を入れないその生き方が少し羨ましくもある。

        でもそんな主人公の、
        感情が爆発してしまう瞬間が好きかもしれない。
        私が西加奈子の小説が好きな部分はここなのかも。

        と再認識した小説だった。

        それらを集約した『あおい』より
        その真逆の人間について考える『サムのこと』の方が新鮮で
        読後にじわじわきた。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 他3人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      黒祠の島

      小野不由美

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 失踪した作家の葛城を追って、夜叉島に着いた式部。
        当初はスムーズに探せるかと思っていたが、次第に島民は非協力となり、遂には殺人事件まで発生する。

        宗教観も含めて情報量が多いが、それ以上に中盤にかけて結構な数の人物名が出てくる。
        だからか登場人物表記が欲しくなる。

        犯人を解明する際の陰惨さはホラー風味も持ち合わせている。
        そういう条件だから、この人物しかいないという特定の仕方は国祠ならではといったところ。

        一方もう一つのトリックはインパクトに欠けるというか、読めるというか。
        モヤっとした結末は悪くないけど。
        >> 続きを読む

        2018/08/06 by オーウェン

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      夜明けの街で

      東野圭吾

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 不倫ものストーリーが「面白い」なんて馬鹿のいうことだと思っていた。ところが僕はその台詞をすぐに改めなければならなくなる。


        というわけで東野圭吾の「夜明けの街で」は、歌いだしが夜明けの街で~♪から始まるサザンオールスターズのかの有名な不倫ソング「LOVE AFAIR~秘密のデート~」に触発されて書き上げた作品だとか。



        主人公である僕があっさりと恋に落ちるシーンは、不倫経験者でなくとも、恋に落ちたことがある人ならば誰だってわかるだろう。わかるだけに、物語にすんなり入れる。不倫へ発展するまでの心理的駆け引きなど興味深く読めた。


        ただ、不倫はいいことばかりじゃなく悪いこともあって、その葛藤の中で主人公が苦しんでいく男性側の心理描写がメインの読物。不倫を続けるというのは、大変なのだなと思わされる。

        ミステリー要素はあるが、あくまで本筋は「不倫」にある。どこまでいっても「不倫」がテーマ。その分、驚くようなどんでん返しは期待できないかもしれないが、個人的には一番ゾっとさせられたのは・・・。ネタバレになるので書けませんが、番外編まで読むとゾっとしますね。



        世の男性たち、気をつけましょうね。
        でも映画版(未見ですが)のヒロインが深田恭子と知り、ああそりゃ恋に落ちますよ、と素直に思いました。いい作品でした。






        >> 続きを読む

        2016/08/25 by hibiki

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      佐藤さん

      片川優子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 感動の出来るお話‼
        かつてパシリにされていた少年が人間関係に悩みながらほんの少し成長したりするお話。
        「スタバの前で転んで笑おう」
        最終章のタイトル、この言葉にこの物語を通じて主人公が学んだことの全てがかかれていると思う。
        人生は何度も失敗してその度に立ち上がり笑う事が大事だと書かれいると思う。
        >> 続きを読む

        2015/10/01 by future

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      卵の緒

      瀬尾まいこ

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • こんなお母さんになって、こんな息子がほしいなぁと思いました。
        強くしなやかで、思いやりがあり、家族っていいものだなと心がほっこりします。
        取り立てて何があるわけではないですが、そんな毎日が何よりも愛おしい。日々を紡ぐ幸せを感じさせる一冊だと感じました。
        >> 続きを読む

        2017/03/06 by un1

    • 他2人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      リオ 警視庁強行犯係・樋口顕

      今野敏

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • リオ・オリンピックなので、リオを読んでみた(笑)  この本は五年前位に読んだのですが、内容は忘れてしまいました。内容は新聞配達の集金の人がお客さんの所に来たとき、同じマンションの階で殺人事件が起きて、物語が始まります。主人公の樋口はよく言えば、冷静で悪く言えば意見を言わない人で、相棒の氏家はよく言えば、裏表がない、悪く言えばしゃべりすぎの人。後半はこれが逆転します。犯人は以外な人で驚いたね。殺人現場に美人高校生が目撃され、事件に絡んできます。男は美人に弱い事が最後に分かりました。 >> 続きを読む

        2016/08/07 by rock-man

      • コメント 6件
    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      暗号解読

      青木薫 , サイモン・シン

      新潮社
      カテゴリー:言語生活
      3.4
      いいね!
      • アルゴリズムを学ぶ中、上司に勧められ読み始めた本。

        昔の世界の歴史的事件に遡りながら暗号作成者、暗号解読者の歴史が書かれている。

        スコットランド女王メアリーの処刑など暗号が暴かれるか、暴かれないかが命運を分けた出来事を取り上げており、暗号の起源や重要性を学ぶことができた。

        一つ気になったことは具体的な出来事を挙げて説明しているので暗号作成者と暗号解読者の関係性は何となく理解できたのだが、専門用語が多く1つ1つを理解するのが難しかった。

        暗号に関する知識が全くない状態で読むのはかなり苦しい内容だと思う。
        >> 続きを読む

        2019/05/03 by Robe

    • 他2人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      金融探偵

      池井戸潤

      徳間書店
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 池井戸さんの短編モノ。軽く読めます。

        けど、やっぱりお金や銀行がいくらか絡んだミステリーになってます。
        お金とか組織とか・・・避けて生きていきたいワタシには、ちょっとだけ遠い話。金融業、お金関係、苦手^^;
        次郎さんも銀行に再就職しなくても、人助けの自営探偵業がいいんじゃないの?(組織によるか・・・)

        >倒産してしまったが、次郎がかつて在籍した銀行は居心地が良かった。一方、業績はいいが、この銀行の居心地が果たしていいのか、それは疑問だ。ときに組織のプレッシャーが人間を変えてしまうことがあるとすれば、罪を犯した人間の弱さだけを一方的に非難するのは間違っているかも知れない。

        と、ミステリーの中にも人間の生き方、社会のあり方というものが見えるから、池井戸さんの作品は面白いのでしょうね。

        お金のことをあまり考えずに生きていけたら、いいですね~

        「眼」は角膜移植のミステリー、「家計簿の謎」は文学史絡みで印象に残りました。
        >> 続きを読む

        2015/03/01 by バカボン

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 18人が本棚登録しています
      「世界征服」は可能か?

      岡田斗司夫

      筑摩書房
      3.7
      いいね!
      • 悪の組織念願の野望である世界征服。しかし、いざ自分が世界征服をしようとしたらまず何をすればいいの?正義の味方による妨害行為のリスクマネジメントは?
        世界征服の先輩である様々なキャラクターたちの経験をもとに世界征服への入門を分かりやすく解説してくれています。

        世界征服を考えているそこのあなた!まずはこの一冊を!
        >> 続きを読む

        2015/03/05 by ぽんた

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      銀河英雄伝説 - 3 雌伏篇

      田中芳樹

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 双方に大きな爪痕を残した内乱後の3巻。
        帝国を統一したラインハルトとクーデターから同盟を救ったヤン。しかし、ラインハルトは無二の友人を亡くし、ヤンは査問会に呼び出され監禁されてしまう。
        そこに帝国が要塞ごとワープさせる荒業で攻めてくる。司令官不在のまま帝国に対抗できるのか。
        いままでヤンあっての同盟、ヤン艦隊だったがこの巻で底力を見せたと思う。
        さらに要塞対要塞の超火力同士の戦いは圧倒される。
        そして直接手を出してこないが、常に暗躍を続けるフェザーンに少し惹かれてしまった。
        >> 続きを読む

        2015/04/22 by 冷しカレー

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      果てしなき渇き

      深町秋生

      宝島社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 気分が落ち込んだ日に一気読み。ドロドロのヘビーなストーリーという話をきいていたので大きな衝撃はなし。湊かなえの小説をヘビーにした感じという印象。ふたつの視点で物語を進めることもありテンポが良く、勢いだけでガンガン読み進められた。個人的には父親視点だけでも充分物語に魅力はあったと思う。重い話のようで一方テンポがいい。追い続ける娘が最後まで全く姿を現さないのも構成としてはいいと思う。残念だったのは、勢いだけで読み進めた自分のせいでもあるが父親の狂っていく、或いは狂っている様についていけなかったところ。特に後半、狂気に拍車がかかるあたりから感情移入が難しくなった。しかしそれはそれ、読み物としてはおもしろかった。物語の性質上周りにオススメしにくいのが実は一番難しいところかも。 >> 続きを読む

        2016/01/06 by まるぼろ

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      羅生門

      芥川龍之介

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 主人から暇を出されて行きどころがなくなった一人の下人が、思い屈して羅生門の楼上に登ります。そこで彼が見たものは、火をともして死人の髪の毛を抜いている老婆でした。彼は正義感にかられ、老婆を組み伏せます----。

        芥川龍之介の「羅生門」を読み終えて、様々な事が頭の中へ去来し、多くの事を考えさせられました。そして、言うまでもなく、芥川独自の見事な文体にも魅了されました。

        小説とは何かと聞かれたら、私は"文体"だと答えるようにしています。そして、小説の魅力とは、言うまでもなく、その作家の"文体"を味わう事だと思っています。(もちろん小説の内容も含めての話ですが)

        そのような観点から私が魅了される作家は、純文学では、芥川龍之介、谷崎潤一郎、三島由紀夫、大岡昇平、吉行淳之介であり、大衆文学では、五木寛之、司馬遼太郎、三好徹、連城三紀彦、宮城谷昌光なのかも知れません。

        「羅生門」は、この小説に登場してくる老婆の論理、そしてそれを聞いた下人の心の動きを通して、"善悪の観念やエゴイズムの問題"が私の胸を衝き動かし、激しく波立たせ、一心不乱に惹かれて読み進めていきました。

        死人が生前、生きるためにやむをえず悪事を働いていたように、生きるためにするなら何事も許されるはずだという老婆の主張を聞いた下人は、「では、おれが引剥をしようと恨むまいな。おれもそうしなければ、飢え死にをする体なのだ」と、盗人になる決意を固め、老婆の衣服を剝ぎとって去ります。

        そして、下人が去った後にはただ、真っ黒な夜があるばかりで、下人の行方は誰も知らない----。

        ここで、老婆が主張していた事を考えてみると、老婆は「なるほどな、死人の髪の毛を抜くということは、なんぼう悪いことかもしれぬ」と、自分のしていることが、人間として許されぬ"悪"であると、いったんは認めますが、すぐ「じゃが」と否定していくのです。

        つまり、老婆の主張は、①死人たちは、髪の毛を抜かれても文句を言えぬぐらい、生前悪事を働いていた。②しかし、彼らはそうしなければ飢え死にをしたのだから、しかたのない行為で、悪いことではない。③同じように、自分も生きるためにしかたなくしていることだから、悪いことではない。④だから、そのしかたなさをよく知っていた死人は、自分のすることを許してくれるはずである。

        要するに、生きるためにすることであるならば、何をしても許されるはずだという、非常に自己本位で、手前勝手な"エゴイスティックな論理"なのです。

        そして、この老婆の話を聞いた下人の心の中では、ある変化が起こってくるのです。それは、この老婆を"正義の立場"から懲らしめてやろうという事からなのかというと、そうではなく、そのような正義感とは全く逆の、自分も生きるために盗人になってやろうという決心なのだと思います。

        もともと下人は、死人の髪の毛を抜いている老婆を見つけ、捉えようとした時、その髪の毛が、一本ずつ抜けるのに従って、下人の心からは、恐怖というものが少しずつ消えていったのです。そうして、それと同時に、この老婆に対する激しい憎悪が、少しずつ動いてきて----というより、むしろ、"あらゆる悪に対する反感"が、一分ごとに強さを増してきたのではないかと思うのです。

        この時の下人の心理を私なりに分析してみると(もう芥川の影響をもろに受けていますが)、"老婆に対する激しい憎悪"から始まって、"あらゆる悪に対する反感"にまで気持ちをエスカレートさせていて、いわば一応、"正義感"に燃えていたと思います。

        しかし、老婆が語る、"生きるためには何をしてもやむをえない"という論理に出会うと、くるりと"悪の肯定"に翻ってしまう----。

        つまり、このように人間が生きるために持っているところの、あるいは持たざるをえないところの"エゴイズム"によって、"善や悪"が簡単に逆転させられてしまうのです。

        生きるために何をしてもかまわない、という下人の心は、恐らく私を含む多くの現代人がひとりひとり心の中に根源的に持っている本質なのかも知れません。

        そういう"エゴイズム"を、我々はどのように扱い、克服していったらよいのか? 作者の芥川龍之介は、この人間性に対して、彼一流の「枯野抄」でも描いていたように、顕微鏡で人間の心の中を"シニカルで怜悧な眼"で見つめ、分析しながらも、"最終的な救いや解決"は示していないのです----。

        ことに、「----外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。下人の行方は、だれも知らない」という箇所によくそれが表現されていると思います。

        この「黒洞々たる」真っ暗な夜の闇の広がりを見たのは、下人によって衣服を奪われた老婆であり、彼女の眼に映ったのは、大変暗い闇の世界ですが、それは同時に作者の芥川の眼に映る、"現実の世の中の暗さ"をも暗示しているのだと思います。

        更に、「下人の行方は、だれも知らない」というところは、人間性に対する芥川の"暗い絶望感"も感じられるのです。

        もともと、この箇所は、「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつつあった」となっていたそうで、しかし、この表現では、"悪の実行"に踏み出した下人のことを述べたにすぎないことになってしまうということで、それを、「下人の行方は、だれも知らない」というように変更したそうです。

        これも私なりに解釈すると、多分、このようにつき離してしまうことによって、下人、ひいては人間全体に対する作者芥川の"絶望感の深さ"を、より一層鮮やかに、そして余韻を持たせるために変更したのではないかと思います。
        >> 続きを読む

        2016/10/31 by dreamer

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      福音の少年

      あさのあつこ

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • つむぎさんのレビューで読んでみました。


        書き出しは、少年たちに情報を与える役の秋庭が来るところから始まる。戦地で記者として働いてきた彼は、余命一年を宣告されている。9人が焼死したアパートの跡地に立ってみようと思っていた。彼は焼死した少女を見かけたことがあった。

        このあたりはいつもの浅野さんの筆致ではない重い感じから始まる。細かい風景と心象描写が読ませる。こういう風に進んでいくのかと思っていると、高校生の話になると、やはり読みなれた調子に戻る。

        文章通り読んでいけばいいので楽なのだが、作者の「渾身の物語」と書かれているだけに、「死」をはさんだ二人の少年の物語は重かった。

        明帆という詩的な名前の少年と、焼死した藍子はカップルだった。しかし秀才の明帆は藍子の愛情を受け止めるには心理的に距離があり、のめりこめないところを、最後になってしまった藍子の、別れの台詞で「可哀そう」と言われてしまう。

        柏木楊は藍子のアパートの隣りに住んでいるので幼馴染だった。火事の時は外に出ていて一人だけが生き残る。

        柏木は何度も繰り返し述べてあるように、心にふわりとしみるような美しい情感のある声をしていた。

        親切で男気のある明帆の父は、同級生で孤児になった柏木を住まわせる。

        丸焼けになった火事に不審を抱いた二人は、藍子について、火事の原因について調べようとする。

        秋庭は、高級ホテルで見かけた少女が焼死体で見つかったという写真を見て、少年たちとは違う角度から、藍子の行動について探り始める。

        明帆と柏木という二人の少年は、相容れない自我を抱えながら、同じ目的で行動するが、いつもお互いの生き方を見つめ続けている。

        殆ど大人の人格を持ちながら、まだどこか曖昧な部分を残している少年たちが、読んでいると、共通の部分では重なって見えるが、独立した個人の部分では、違った方向を見ているような、かみ合わない会話など浅野さんはよくみて書いてある。

        一ヶ月後、秋庭の情報力もあり、犯人が浮かんでくる。
        犯人から連絡があって焼け跡で落ち合うことになる。
        明帆はとめる柏木を振り切って、焼け跡に走っていく。

        このシーンは少し不可解な感じもするが、「可哀そう」と藍子が言った意味に、時間がたってかすかに思い当たる、彼の中にも実感がある、明帆の一種の「贖罪」ではなかったかと思う。図書館の聖書の話もある。

        勝手な想像だが、秀才と言われるものは、自己にこだわり、他所に思いやりがない場合が多い。明帆もそういった成長過程にあったのだろう。

        純粋であるだけ他者を傷つけることも、高校三年生という年齢には越えていく一つの人生体験だろう。


        後半になって、秋庭の戦争体験の話が出てくる、人の死を身近で見たということだろう。柏木は秋庭の記事を読んでいたというが、ここにいたって、何か違和感を覚えた。


        若者の手前にある少年たちの心を捉えて読みやすいが後に残るものも多い、いい作品だった。

        評価は4.5くらいです。覚悟して楽しみに読みました。あさのさんが好きなので(^^)
        ご紹介ありがとうです。
        >> 続きを読む

        2014/10/16 by 空耳よ

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      ショート・トリップ

      森絵都

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 思えば本は紙を一枚めくるだけで、いろんな世界へいざなってくれる一番身近な旅だ。

        と名所を巡る観光が一緒くたに語られがちだが、ググっても、インスタ映えともほど遠い違和感やギャップ、ショックも旅の醍醐味。

        そんな旅の魔力を荒唐無稽、奇想天外な寓話タッチで収めた48編の空想掌編旅エピソード集。

        旅とは甘さも苦さも玩味できる感性をトレーニングするための人生のエッセンスじゃなかろうか。
        >> 続きを読む

        2017/12/12 by まきたろう

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      映画篇

      金城一紀

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • とにかく最終話が抜群に良い。鳥越ファミリーが素敵過ぎ、周りのキャラもいい感じ。

        2017/10/14 by hiro2

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      真夜中の五分前

      本多孝好

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • この人の本は、ドキッとさせられる文章がよく出てくる。キュンではなく、心を見透かされたときのようなドキッ。そんなドキッを重ねながら一気に読了。

        かすみも、クールな主人公も、それぞれの迷い、昇華できない思いの中にいて、side-Bではどんな展開になっていくのか楽しみ。
        というか、こんなに薄い本なのに、なぜ2冊に分けたんだろう…?

        僕の中の亀裂が広がり、崩れて、そこから現れたものに僕は名前をつけた「愛してる」
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        2017/09/20 by もんちゃん

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