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2008年6月発行の書籍

人気の作品

      向日葵の咲かない夏

      道尾秀介

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! ooitee Tukiwami
      • まったく事前情報なしで読み始めたこの作品、こんな小説があっていいのかと衝撃を受けた。途中嫌悪感さえ感じながらも最後どう収めるのかが気になり読了。終わって今でももやもやしている。
        ラストの展開は破壊的ではあるが、これはこれである意味完成度が高いのなとも思う。(作品の評価が思いのほか高いことを鑑みると)
        でも、氏の他の作品を読もうという気にはまだなっていない。



        >> 続きを読む

        2019/05/11 by Sprinter

    • 他28人がレビュー登録、 101人が本棚登録しています
      きみの友だち

      重松清

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! ohana-san Moffy Tukiwami
      • 久々に気持ちよく泣けた。
        読後にこんなに清々しい気持ちになれるとは…。

        テーマはタイトル通り『友だち』
        『友だちとはなにか』…これがこの小説の宿題である。

        小学校から中学校にかけて、
        誰しも、学校だけが自分の世界だった。

        友だちの放つ何気ない言葉一つで
        性格を変えなければならない場面がたくさんあった。

        それほどまでに思春期というのは不安定な時期なのだ。

        この物語の主人公である恵美が言った本音。

        「わたしは『みんな』って嫌いだから。
         『みんな』が『みんな』でいるうちは、
         友だちじゃない、絶対に。」

        『みんな』に好かれようとして
        『みんな』に嫌われてしまった子に向けた言葉だ。

        どう在るのが正しいのかが大人になっても分からなくなる。
        1人になりたくないが故にモラルに反する事もしてしまう。

        でも、それも人格形成の一部なのだ。

        『後悔』と『思い出』が今の自分を作っている。
        子供達の目を通して、思い出させてもらった気がする。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 他6人がレビュー登録、 37人が本棚登録しています
      ハリー・ポッターと死の秘宝

      J・K・ローリング , 松岡佑子

      静山社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 1巻を読んだのは小学校高学年の頃。
        それから15年近く経って7巻を読み終えました。読む機会をありがとうkindle unlimited。
        たまりにたまったモヤモヤが一転、たまった分だけ衝撃の感動を呼び起こしました。
        本で泣いたのは久々。
        いろんなキャラクターがいるけれど、どれもこれも好きになって終われるというのは素晴らしいことだと思う。
        >> 続きを読む

        2019/04/09 by yuki11

    • 他5人がレビュー登録、 37人が本棚登録しています
      おこだでませんように

      石井聖岳 , 楠茂宣

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.9
      いいね!
      • 小学校1年生の男の子。
        家でも学校でも怒られてばかり。
        その子が七夕の短冊に書いた願いごと

        「おこだでませんように」(怒られませんように)

        私にも小学校1年生の男の子がいるのですが
        最近、夫が息子によく怒っていて、
        息子がこの表紙と同じような表情をしていることが多くあるため、
        夫に読ませる意味で、この絵本を買いました。

        大人から見ると、ただ悪いことをしているように見えても
        子供には子供の気持ちがあります。
        一方的に決めつけるのではなく、
        相手の気持ちも大切にしてあげること、
        その積み重ねが思いやりにつながっていくのかな、と感じました。

        とても心に響く絵本です。
        >> 続きを読む

        2017/07/20 by アスラン

    • 他3人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      対話篇

      金城一紀

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 内容紹介-------------------------------------------------------
        本当に愛する人ができたら、絶対にその人の手を離してはいけない。なぜなら、離したとたんに誰よりも遠くへと行ってしまうから――。最初で最後の運命の恋、片思いの残酷な結末、薄れてゆく愛しい人の記憶。愛する者を失い、孤独に沈む者たちが語る切なくも希望に満ちたストーリーたち。真摯な対話を通して見出されてゆく真実の言葉の数々を描いた傑作中編集。
        ---------------------------------------------------------------

        中編集とあるが、短編といってもいいくらいの長さの物語が3つ。
        共通するのは、タイトルの通り、恋人との別離の話を主人公と登場人物の対話形式で紐解いていくこと。

        恋人との話に文章の多くを割いているが、主人公側にも登場人物側にももちろん物語はあり、どちらかの存在感が薄くなりすぎないという不思議な構成。

        「恋愛小説」☆☆☆☆☆
        大学生活最後の試験を終えた主人公は、同じ試験を受けた男から、ある不思議な話を聞かされる。
        その男は、親しくなった人間が必ず死ぬという。

        「本当に大切な事柄は、言葉にしてはいけないのだ。」という本文中の言葉を体現している。
        確かに語りすぎることで陳腐になり下がる例はたくさんあるけれども、「抽象さ」でこれだけロマンチックに仕立てることができるのか。
        恋人がささやく(恐らく)愛の言葉が書かれていないのに、ドキドキしてしまう。

        冒頭の主人公の初デートの女の子の話が好きだ。
        途中で「なんだ話が変わるのか」と落胆しかけたが、その後も物語の質は高いまま維持される。
        甘めのストーリーなので好みは分かれるかもしれないが、私は大好きだ。

        「会い続けた」物語だから、最高のバッドエンドだと思う。
        その結末は主人公に作用して、過去を後悔し、前を向く力になっている。


        「永遠の円環」☆☆
        Kの考えていることも、主人公の考えていることも、彩子の考えていることも、よくわからなかった。

        彩子は自由にふるまっていたくせに、あんな重い事情を受け止めろと言われても、僕には無理だ。

        Kはどうして元の世界に戻ったのだろう?
        ノコギリの目立て屋とは話が違うと思う。

        主人公が殺害を思い立ったのは理解できたが、それが果たされて生きる力になるというのは共感し難い。
        永遠の環とはいったい何なのだろう?


        「花」☆☆☆
        別れた妻との記憶を思い出すために、東京から鹿児島までの思い出の道をたどっていく。
        本作に限っては、鳥越氏に比べて主人公の存在感が薄かった。

        がむしゃらに生きようとしていた時はうまくいかず、(本人的には)逃避した先でうまくいってしまうというのは皮肉な話だなぁと思う。
        加えて、鳥越氏が妻のことを忘れてしまったのは悲しいことだ。
        しかし、別れていた期間でも二人とも目指すところは「鳥越家の伝説」にあった。
        鳥越氏は意図していなかったようだが、きっと心の奥底の正義感が二人に共通してあったのだと思う。

        「手を繋いでおくべきだった」物語。
        二人にやり直す機会があったらと願わずにいられない。
        >> 続きを読む

        2017/06/02 by ともひろ

    • 他3人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      ラブコメ今昔

      有川浩

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • (登録前に読んだ本)

        みんなハッピーエンドの話なので安心して読めた。個人的には「めでたしめでたし」になる終わり方の話が好きなので。 >> 続きを読む

        2016/09/27 by おにけん

    • 他2人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      流れ星が消えないうちに

      橋本紡

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 普段恋愛系は読まない僕ですが、
        キレイな表紙と意味ありげなタイトルに惹かれて読んでみることにしました。

        背表紙のあらすじからも薄々読み取れたことですが、
        恋愛系にありがちなストーリーやただイチャつくだけのもの、
        恋の進展を描いていくものなどとは一味違いました。
        人の死に対する考え方感じ方、
        残された者のそれぞれの立場のそれぞれの考え方、
        家族との関係など、恋愛が主軸ではありますが、
        その他の面からも非常に旨みのある文章が書き綴られていた印象です。

        よく考えずに浅く読み飛ばしてしまうと気付きにくいのですが、
        ちょっとした出来事や誰かのちょっとした発言から、
        主人公であったりそのお父さんであったりが、
        少しずつ前を向くと言うか、
        考え方感じ方に変化が表れ始めるというか、
        そういったところにもこの本を読む楽しさがあり、
        僕自身も少し前向きになれたように感じています。

        ネタバレを含んでしまうので詳しくは言えませんが、
        ひとつひとつの描写がとてもキラキラしていました。
        心に煌めきを残していってくれるような。

        特別面白いストーリーやハッピーエンドというわけではありませんが、
        それなりになにかを残していってくれる作品でした。
        >> 続きを読む

        2018/11/23 by read1212

    • 他2人がレビュー登録、 27人が本棚登録しています
      アカペラ

      山本文緒

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 脳梗塞入院本、7冊目。

        これは面白い作品だ、傑作だ。
        …と、思ったら、以前に読んでここへもレビューを載せていました。

        人生がきらきらしないように、明日に期待しないように、生きている彼らに、いつか。

        自分の不行跡を恥じ、未知なる明日を受けいれる資格が果たしてあるのかを、悩む。
        急かされるように流されてきた場所で、途方にくれる。
        そうして、問題は資格があるのかないのかではなく、否が応でも向き会わねばならない明日の、その対し方であるということに気づく。

        生きていて、大病をして、このタイミングで、こんな本が手元に来る。
        午後9時が消灯の老人ばかりのリハビリ病院の病室。
        麻痺が残る右手でゆっくりとしたスピードで、懸命になって読んでいた。
        読んでいれば、とりあえず大丈夫だと思うことができていた。

        これは人様にオススメできる本です。
        >> 続きを読む

        2016/11/23 by 課長代理

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      時が滲む朝

      楊逸

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Moffy

      • 中国人として初めて芥川賞を受賞した楊逸の「時が滲む朝」を読み終えました。

        物語の始まりは、1988年の中国西北部。下放された元北京大学生の父と、貧農の娘である心優しい母のもとに育った梁浩遠は、厳しい競争をくぐり抜け、親友の謝志強とともに名門の秦漢大学の入学切符を勝ち取る。

        中央から流れてくる自由の香りに触れ、自然に学生運動に加わる二人。
        だが、運動は天安門で悲惨な結末を迎え、その手前で日常生活に戻された浩遠たちは、虚しさを埋めようと出かけた酒場で暴力事件を起こし、大学を退学になってしまう。

        後半は、中国残留孤児の娘と結婚した浩遠の日本での生活が描かれていく。
        中国から日本、国家のエリート候補生から外国人労働者、子供から父親へと、激しい変化を体験した浩遠だが、その瞳に映る世界は以前と変わらず美しい。

        20世紀末の政治経済の巨大なうねりと対比されながら、ユーモラスに語られる生活のささやかな場面。
        そこに見える浩遠の内面は「天安門」などの特殊な背景にかかわらず、恐らく浩遠と同世代の日本人のそれとほぼ同じだろう。

        だが、我々読者が本の中にみる、その生き生きとした心を、浩遠は実は中国語で語っているんですね。
        これに対し、彼の日本語はいかにも外国人の片言なのだ。

        現実には彼の内面は、日本人には見えにくいものであるに違いない。
        政治の波によっては消えなかった心が、母語を離れることで周囲の目に映らなくなり、やがて失われていく。

        片言の外国語の中で、母語に育まれた自分の感性、青春、一家の歴史が、徐々に消えていく。
        浩遠を通して見える、そんな予感に私は震えを覚えてしまいます。

        母語の外で自分であり続けることの意味と困難。
        国際化の進む現代において、この問題の傍観者ではなく、当事者となることを我々読者に要求する一冊だと思う。

        >> 続きを読む

        2018/09/07 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      弱虫ペダル

      渡辺航

      秋田書店
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.8
      いいね!
      • 今の世代のロードバイクマンガと言えばこれになるでしょう。
        このマンガを読んでロードバイクに乗り始める人が、最近では非常に多く、
        女性のライダーも増えています。
        キャラクターが魅力的なので、乗っている自転車をほしくなる人も多いですね。

        しかし皆、店にいって驚くことでしょう。
        マンガのキャラクターたちがさらっと乗っている自転車は、
        楽々と30万円はオーバーしています。
        物によっては100万円をも超えます。
        また、実際に走ってみると勝手が違い、怖くて結局乗らなくなる人が
        結構な割合で居ます。
        が、
        慣れれば速度も出せる。
        今まで行けなかった距離まで自分の足で行ける
        など、楽しい要素も凄く多いです。

        これから始めようかなって方、私も乗っているので、もちろん仲間が増えるのは
        非常にうれしい事ですが、良くイメージしてから買いましょう!
        >> 続きを読む

        2015/04/28 by frontier

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      月と六ペンス

      サマセット・モーム , 土屋政雄

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! Tukiwami
      • 妻と子供二人に恵まれ、夫として父として何不自由のない暮らしをしていたストリックランドが、家族や仕事、財産、すべてを捨ててただ一人、芸術に人生をささげる話。
        ストリックランドは家族から突然姿を消して、妻や子供などもう関係ない素振りをするし、友人の妻を寝取ってその奥さんが自殺をしても心が痛まないようなとんでもない男だ。
        しかし、平凡な幸せの中、ただ老いて死んでいく人生を選ばなかった彼の行動も少し理解できた。傍からは何かに憑りつかれたように見えるが、自分が本当にやりたいことをして人生をまっとうしたのだ。地位や名誉、財産、美しい伴侶、人生に対して何を重きに置くかは人それぞれだ。彼は衣食住を無視して、病に倒れるまでひたすら絵画に打ち込むことを選んだ。
        衣食住も人の気持ちも関係ない芸術一筋かと思いきや、友人の妻を寝取って肉欲に打ち勝てない場面があったり、妻を捨て女性を下に見たり、軽んじていた彼が病に陥った時、再婚した妻アタから「あたしの夫、あんたの妻だもの。あんたの行くところに、あたしも行く」と言われた時彼の鉄壁の守りが揺らいで涙が流れたり、完璧ではない弱さも垣間見られる。
        >> 続きを読む

        2019/05/27 by May

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      銀河英雄伝説 - 9 回天篇

      田中芳樹

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね!
      • 帝国の双璧が戦いあう9巻。
        ヤン亡き不正規隊のいるイゼルローン以外の宇宙を手に入れ、表立った敵のいなくなったラインハルト。

        しかし、自身が黙認してしまった貴族の核攻撃を恨んだ男に命を狙われてしまう。さいわい大事になることはなかったが、キルヒアイスの自らを貶めるのはお止め下さいという言葉を思い出し、動揺を隠しきれない。
        今まで隙らしい隙の無かったラインハルトだったが、支配者の孤独というのだろうか、精神的に追い詰められているようにも思える。

        さらに追い打ちをかけるように帝国の双璧の一人であり、旧同盟を管理しているロイエンタールが謀反を起こす。
        最終的にロイエンタールはラインハルトに反旗を翻しもう一人の双璧であり、旧友ミッターマイヤーと戦うこととなる。
        正反対の性格ながら頻繁に酒を交わすほどの仲だった二人の戦いは、ヤンとラインハルトとは異なる緊張感がある。
        歴戦の勇士でありながら繊細なロイエンタールの最期は言葉にできない。

        次巻で銀河英雄伝説は終わるが、銀河の歴史は最後に何を刻むのか。
        >> 続きを読む

        2015/05/01 by 冷しカレー

      • コメント 3件
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      長い終わりが始まる

      山崎ナオコーラ

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 大学4年生の小笠原は、マンドリンサークルに入っている。
        未来になんて興味がなく、就職活動よりも、人間関係よりも、
        趣味のマンドリンに命をかけている。
        そして、とても好きな人がいる。

        あいたたた・・・。
        何かこう、心の色んなところが
        ほんの少し、痛いというか
        むずがゆいというのか。

        単なる、“モラトリアム大学生の
        現実を直視しようとしない弱さの物語”と

        単純に、まとめてしまえそうな話なんですが

        それでは、まとまらない。
        そこからはみ出る様な何か
        こぼれ落ちるような何かがあります。

        正直、オッサンになってしまった
        今の自分からすると
        「甘えたこと、言ってんじゃねーよ」とか
        「そんなこと大して重要なことじゃねーよ」とかも
        思うのですが・・・。

        著者の書く、すごく個人的な感覚が
        無視できないというのか。

        まぁ、本当にヒロインの小笠原の
        不器用さというのか、気負いというのか
        気丈なようで弱かったり
        全体的に無様な感じがたまりません。

        (注 ほとんど話の核心に触れます)
        “ときどきスーツを着ては地下鉄に乗り、セミナーだの面接だのに出かけていたが、
        自分が社会人になるイメージがまったく湧かない。
        小笠原の頭の中にはマンドリンの音しかない。

        「私以外はみんな、演奏にやる気がないんだよ」
        「本当にそう思っているの?」
        「ああ、高潔な音を出したいな」
        「ふうん」
        「ひとつひとつの音符を、気高い音で弾きたいな」

        みんなはそれを望んでおらず、音楽を極めることよりも、
        仲良く「友だち作り」をしたあと「思い出作り」を
        するのが目標なのだ。

        みんなという言葉は、小笠原にとってはいつも、
        自分を取り囲む厚い壁のように感じられた。

        みんなが「他人のいいところを見つけないと」
        「自分に自信があるだけじゃ、社会じゃやっていけないんだよ」
        「そんなんじゃ会社に入ったら、みんなと上手くやれないよ」等々と、
        まるで大学時代が社会に出るための訓練期間であるかのように
        注意してくるので、小笠原はだんだんと、田中以外の人には、
        マンドリンについての自分の考えをあまり話さないようになっていた。

        小笠原は将来のために音楽をやっているのではないのだ。
        たとえ趣味でも、芸術の問題なんだから、真剣にやろうよ、
        そう言いたい。でも田中以外には、上手く伝えられない。”

        そんな中で唯一と言ってもいいくらい
        特別な人間である田中に

        “「みんなと上手くつき合えたり、人に対する優しさを知っていたり、
        それぞれに気を配ることができたり、場を盛り上げたりすることができる人よりも
        ・・・・・・田中が好きなんだ」”

        と告白をした田中との恋愛も

        (この告白の文章も結構、好きですね。
        リアルというか等身大というか、上手く言えませんが
        セリフに血が通っている気がします)

        “「私に対しては、初めから全部勘違いしてたの?」
        「そう」
        「恋愛感情は全然なかったの?」
        「うん」”

        というあんまりな結末を迎えます。

        その後で田中から(心ない)メールをもらった時の
        小笠原の反応もリアルというか。
        変なところが大人だったり、妙に印象的です。

        “(略)ぐしゃりと音がして体が潰れ、目から体液がほとばしり出たような気がした。
        だが電車内だったので、実際はクールな顔を保っていた。
        人前で泣けるほどの年ではなく、小笠原はもう二十三なのだ。

        それにしても、終わりを認識する感度を、人間はどのように身につけてきたのか。
        日本文学の授業で
        「小説や音楽のような、時間性のある芸術は、必ず終わりの予感があるのもである」
        と習ったが、小笠原には終わりの感覚が分からない。
        終わってない、全然終わってない。

        将来に繋がる就職活動よりも、先のないサークル活動に力を注ぐことがばからしいこととは
        小笠原には決して思えない。
        恋人ではない男の子と音楽を作ることが、ストイックで、刹那的で、
        高潔な活動で、今しかできない大事な事なのだと、と思う。

        小笠原は、週二回の練習で指揮者と意識を交し合うのが楽しくて生きているだけだった。
        残りの単位の取得や、卒論の準備や、将来の夢想は、
        マンドリン演奏に比べれば、余技でしかなかった。”

        その辺の本当にジタバタしている感じが
        何とも痛々しいというのか

        ここまでなくても、サークル等、集団の中での
        熱意の濃淡というのか
        わかったような顔で諌められたり
        諌めたりしたことを思い出します。

        そんな中で、鮮やかなのは
        もはや、友達ですらない田中との別れのシーンや

        “足音というものは、いつまでも聞こえるものではない。
        去っていく足音は、最初の方しか、自分にはしない。
        いつしか聞こえなくなり、去った人の面影は失せる。”

        ラストでラーメン屋に入るシーン。

        “小笠原は人生で初めて、ひとりでラーメン屋に入ってみた。
        コートを脱ぐと、雪はたちまち水に変わり、布に吸い込まれた。
        好きな人とラーメンを食べたら、おいしいんだろうな。
        小笠原は好きな人とラーメンを食べたことがない、
        小笠原を好きな人がいない。
        小笠原を雇いたいと思っている人もいない。
        社会から必要とされていないのだ。
        小笠原は真剣にひとりっきり。
        今まで生きてきて、誰からも好かれたことがない。”

        この文章はスゴいと思います。
        自己憐憫もなく、乾いた筆致で書かれる“孤独”の姿。
        ある種のデッドエンドともいえるかもしれません。
        >> 続きを読む

        2014/02/20 by きみやす

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      好き好き大好き超愛してる。

      舞城王太郎

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      2.6
      いいね!
      • 内容紹介-------------------------------------------------------
        愛は祈りだ。僕は祈る。僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。最大の幸福が空から皆に降り注ぐといい。「恋愛」と「小説」をめぐる恋愛小説。
        ---------------------------------------------------------------

        あらすじというか、この本に何が書かれているのかといわれても、はっきり答えることができない。
        「愛ってなんだ?」というあたりなのだが、ぴったりそれということでもなくて。

        構成とか改行の少なさは、読みづらい。
        文章自体も、口語なのだが独特のリズムで、慣れないと読みづらい。

        短編形式でいくつかの物語が書かれているが、共通するのは恋人に先立たれた(あるいは先立たれる)男の独白。

        語り手は淡々としていて恋人の死を受け入れているようではあるが、諦めたわけではなくて、死と愛についてひたすら考えている。

        「きっと愛は永遠ではないけど、今はとにかく好き。」という態度は、割り切っているわけでも、とりあえず今だけを見ているなんていう単純なことではないように感じた。
        永遠に彼女を愛していたいけれど、もしかしたらそれが続かないんじゃないかという恐怖を感じていて、将来もしそうなったときのための予防線を張っているように思える。
        それでいてきっと、何十年か後もやっぱり彼女のことが好きで、彼が死ぬ間際になって、「結局ずっと好きだったな」って振り返るんだと思う。

        はっきり言って難しい。
        「ニオモ」なんかはわかりやすいのだが。
        衝撃的、感動的な展開がある話ではないのだが、何かやわらかい文章を読んだな、という感想が残る。

        冒頭の世界中の人への愛とか、知らない人への愛というのは、作品と結びつかないように気がして、よくわからなかった。

        タイトルは批判されがちだが、僕にはこれ以外ないように思える。
        >> 続きを読む

        2017/05/27 by ともひろ

    • 他1人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      宇宙兄弟

      小山宙哉

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.5
      いいね!
      • おもろい

        2014/11/20 by DaNi

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      春のオルガン

      湯本香樹実

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
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      • 多分、初湯本香樹実作品。
        読書ログのレビューを読んで、図書館でリクエスト。
        酒井駒子さんの表紙が素敵。

        お隣とギクシャクしてる家族の中で、
        受験に失敗した小6のお姉ちゃんのトモミと、図鑑好きの弟テツの話。

        角田光代さんの解説にもあるけど、おばさんの言葉がスゴイ

        「おばさん、どうしようもないことってあるね」「うん」
        「だけど、テツ、がんばってよかったんだよね」
         おばさんは大きく息を吸いこんだ。それからいつものガラガラ声をいっそう太くして、
        「どうしようもないかもしれないことのために戦うのが、勇気ってもんでしょ」

        読んでいて、子供の頃の「自分ではどうしようもなかった感」を思い出して泣けた。

        >> 続きを読む

        2015/05/30 by kucoma

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    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      さよなら渓谷

      吉田修一

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • かなこと俊介の同棲生活。
        その隣家で起きた里美の息子の殺害。
        家の前には常にマスコミがいる始末の中で、偶然写真に納まる俊介の顔を見た記者がある事件を思い出す。

        実に簡潔であり余分なものは一切ない描き方。
        俊介の過去から予想もしえない領域へと進む。

        特殊な関係性に対して、二人の心情とどういった行動をとるかに集約される。

        理解しろというのは難しいが、何のためにという部分で納得せざるを得ない状況。
        複雑すぎる愛である。
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        2019/05/05 by オーウェン

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      オレたち花のバブル組

      池井戸潤

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • シリーズ2作目も痛快だ!

        半沢の話と出向してる同期の話が語られていく。
        2つの話が繋がっていくのわかっていてもおもしろい!
        老舗ホテル再建に役人に常務取締役との対決、
        同期はいや〜みな社長や部下とやり合いながら
        自信を取り戻していく。
        地元の銀行も合併につぐ合併してたとこあるから
        そこもこんな内部事情あるのかしら?と思ったりw
        少しばかりちょっと都合いいとこあるけど
        まぁいいかと思えるくらい面白い。
        前作のラストはそれで終わってOKだったけど
        今作は続いていくのね!とわかる終わり方でした。
        次作も楽しみー
        >> 続きを読む

        2016/03/24 by 降りる人

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      僕たちのミシシッピ・リバー 季節風・夏 季節風

      重松清

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 「季節風」シリーズ。

        今回は夏。

        やさしくて、切なくて・・・ という重松ワールド。やっぱり好きだな。

        「泣いてくださいね」という重松さんに、素直に「はい、泣かせてもらいます」って言ってしまう。


        「僕たちのミシシッピ・リバー」や「虹色メガネ」は遠い少年少女の時代を思い出させてくれた。

        「終わりの後の始まりの前に」は野球に打ち込んだ高校生の話だけど、審判の人の話が印象的。

        ・・・「俺はもう二十年近く高校野球の審判をやってるけど、勝ったほうも負けたほうも全員の選手がすべての力を完璧に出し切って、なんの悔いもないって試合なんて、一度もなかった。必ず、なにかが残るんだ。悔しさだったり後悔だったり、やりきれなさだったり・・・」「でもなあ・・・悔しさや後悔のなんにもない人生っていうのも、それはそれで寂しいんじゃないかって、俺は思うけどなあ・・・」 

        「その次の雨の日の雨に」は不登校の子が通うフリースクールにボランティアで参加している公立中学の教師の話。なかなか話の通じない中学生を相手に真剣に向き合う姿がいい。

        ・・・手を開いていれば、握手だってできるんだ。(ビンタされた中学生に)

         晴れてる時にも、傘は要るんだよ。やっぱり。雨はいつかあがっても、またいつか降るんだから。

         それでも、雨はまた降るぞ。 必ず、雨は降るんだぞ。



        今回も、ゆっくりと、いい時間を過ごすことができました。
        >> 続きを読む

        2013/01/09 by バカボン

      • コメント 2件
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      雨の日も、晴れ男

      水野敬也

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! Moffy
      •  素晴らしい視点で「ポジティブ」というものを教えてくれた一冊でした。
         ポジティブな人はどんな辛いことがあっても切り抜く力を持ち、ネガティブな人は幸せに囲まれても不平不満を言うのだろうと思いました。

         また、本当の幸せは自分の利益ばかり思うのではなく、相手のことを考えること。アレックスはそれをも教えてくれました。

         「アレックス精神」を自分の生活にも取り入れたいと思います。
        :)
        >> 続きを読む

        2017/06/30 by deco

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出版年月 - 2008年6月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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