読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)
東野圭吾
1クリック登録
弁当屋で働く花岡靖子と中学生の娘の美里は、自宅に押しかけた横暴な前夫を、行きがかりから殺害してしまう。アパートの隣室に住み、ひそかに靖子に恋慕する冴えない風貌の中年数学教師である石神は、その異変に気付き自ら犯行の隠蔽に協力することを申し出る。事件を担当することになった刑事の草薙は、靖子に不審な点を感じながらも証拠を掴むことができず、大学時代からの友人で物理学准教授の"ガリレオ"こと湯川学に相談を持ちかける。湯川は事件を通して、やはり大学の同期で天才的な数学の才能をもつことで有名だった"ダルマ"こと石神が数学教師になっていたことを知る。石神に接触する湯川。ここに、天才物理学者と数学者の二人が、殺人事件を介して対峙する。初めて読む、有名作家の代表作でした。事件発生後に警察の捜査が開始されてから中盤までは「AがBのもとを訪れて会話をする」が延々と繰り返され、「これが本当に人気作品だろうか?」と疑うほどの単調さから不安も感じたのですが、終盤の約50ページほどの展開で作品への印象が一気に好転しました。通読してみれば、サスペンスと人情ものの要素をうまく組み合わせた作品として、人気にも納得しました。映画版で美男美女が出演していることから洒落たイメージが強かったのですが、実際には中年男女の恋心や所帯じみた事情が中心に描き、犯行をめぐる出来事にも派手さを狙わない落ち着いた内容でした。個人的には往年のTV番組の『火曜サスペンス劇場』も連想しました。----------<主要人物>【石神】四十過ぎの男性。大学時代は天才的な数学の才能を高く評価されていたが、現在は高校の数学教師として一人で暮らしている。ずんぐりとした体形、丸顔で目は細く、異性に好まれる容姿ではないとされる。アパートの隣室に住む靖子にひそかに想いを寄せる。【花岡靖子】弁当屋で働く女性。以前は錦糸町のクラブで働いていたが、弁当屋を経営しはじめた常連客の誘いから現在の職に就く。過去に二度の離婚歴がある。現在は一人目の夫との娘である中学生の美里とアパートで暮らしている。【富樫慎二】靖子の前夫。美里とは血の繋がりはない。高級外車のセールスマンだったが使い込みがバレて会社をクビになったあと、靖子に暴力をふるいギャンブルに明け暮れるようになり、靖子の意思により離婚する。富樫自身は靖子に未練があり、たびたび復縁をせまる。【湯川学】帝都大学物理学科の准教授。本作の探偵役。ガリレオとも呼ばれる。大学時代は石神と草薙の同期生だった。【草薙】事件を担当する刑事。帝都大の社会学部卒。大学時代の湯川とはバドミントン部で知り合った。【岸谷】草薙の後輩刑事。【間宮】草薙たちの上司。【工藤邦明】小さな印刷会社を経営する。妻子との三人暮らし。クラブ時代の靖子の馴染み客だった。 >> 続きを読む
2020/11/18 by ikawaArise
松岡圭祐
ディズニーが裏でどのような事をしてるのか学べた。面白かった。
2018/05/01 by HKAWASAKI
湊かなえ
映画を見た後に原作も読み久しぶりに再読したが、やはりイヤミス度は相当なものがある。クラスの終業日に担任の森口が打ち明けた告白。それは自身の娘がクラスの誰かに殺されたというもの。そこから犯人と目される生徒や、その生徒の母親に、代わりの担任教師など、視点を変えて次々と告白が始まる。6つの話だけど冒頭からがっつりと重い話であり、それが途切れることなく最後の話まで。ここまでくると逆に潔いほどであり、それが湊さんのイヤミスの魅力でもある。ラストの復讐もえげつないものであり、直接じゃないというのがまた嫌らしい。 >> 続きを読む
2020/08/12 by オーウェン
ConeyMichael , 山岸真
【7月の課題図書:みずみずしいラブ・ストーリーだと思っていると、ラストであっと驚かされます】 ドローヴは政府高官の父親の息子で、この夏を故郷のアリカという首都を離れ、パラークシという漁村にある別荘に両親と旅行するところです。 毎年夏を別荘で過ごしていたのですが、去年の夏、知り合ったブラウンアイズという少女と再会することを密かに楽しみにしていました。 ええ、ドローヴはブラウンアイズに魅かれていたのです。 しかし、ブラウンアイズは村にあるパブ兼宿屋の一人娘であり、両親からすると身分が違うということになり、あまり良い顔はしないのですが。 この物語はSFであり、登場人物はヒューマノイド型なのでほとんど人間と同じと考えて良いと思うのですが、彼らが住んでいる星は地球ではなく、夏は海が干上がるほど暑くなるけれど、普段は寒冷な気候の星のようです。 そこに住む動物や植物も地球とは異なっています。 さて、パラークシに着いてみると、新しい缶詰工場が建設されており、父親はその監督をしなければならないということで、いつものバカンスというよりも父親の仕事についてきたという方が近い状態にありました。 でも、ドローヴとしてはブラウンアイズにさえ会えたらそれで構わないのですが。 ドローヴとブラウンアイズの年齢ははっきりしませんが、ティーン・エイジャーなのでしょう。 二人の淡い恋愛模様が描かれていきます。 そして、パラークシで知り合うやはり政府職員の息子のウルフや、その女友達のリボン、その弟のスクウィントらとの交流も描かれます。 ウルフは鼻持ちならない少年に描かれており、最初のうちはリボンもきれいな少女なのだけれどやはりあまり性格の良くない少女に描かれます。 その弟に至るや、うるさいだけの面倒な子供なんですね。 でも、この夏を通じて、彼らも成長していくのです。 さて、実はこの国は隣国と戦争状態にありました。 各地で戦闘が繰り広げられているようで、ドローヴらの国は旗色が悪そうです。 敵国は、パラークシと海を隔てて目と鼻の先であり、パラークシもいつ戦乱に巻き込まれるか分からない状態にあります。 政府は、前線に食料を送るためにパラークシに新しい缶詰工場を建設し、パラークシの漁民たちに漁獲を上げるように要請しているのですが、そのためもあってパラークシの住民らは政府の人間を快く思ってはいないのでした。 また、それは、戦時中のため食料等の統制があり、一般市民は十分に食料を得られないのに、政府職員らは特権を振りかざして自分たちだけは十分に食料を得ていたりするのも反感を買っている原因だったのです。 ドローヴは、そういうことをしている父親に反抗しており、むしろパラークシの住民との交流を深めていきます。 もちろん、ブラウンアイズとも、最初はぎこちない接し方でしたが、遂にお互いの気持ちを告白し合うことができ、相思相愛の関係になっていくのです。 と、まあこの辺まではさわやかなラブ・ストーリーなのですが、物語の終盤に差し掛かると様相が一変してしまいます。 それがどういうことなのかはちょっとここでは書けませんので是非みなさん自身でお読みいただきたいと思います。 ラストはちょっと……。 でも、完全に結末まで書き切っていない終わり方になっています。 そういう終わり方にしているせいもあり、大変人気のある作品だけに続編を望む声も大きいのだそうです。 どうでしょうね? 私としては、この作品はこのままでそっとしておきたい気持ちが強いのです。 続編は書かないで欲しいなぁと感じるのですが。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2020/07/03 by ef177
柳広司
戦時中に作られたスパイ養成学校のD機関。結城中佐の指導の下、絶対に死を許さない。また殺すことも許さない。完全に日陰の元で暗躍するスパイを作り上げる場所。死ぬことはお国のため。また生きることは恥であるという考えを真っ向から覆す教え。全5編の中で形を変え、スパイたちがそれぞれの任務をこなしていく。主役となる人物を変えるスタイルだが、結城中佐が手を変え品を変え関わっている。シナリオや設定がとてもよく出来ているし、いかにして騙すのかという部分で緊迫感を上手く出している。そして真相はラストで明かされるので、いざ解決と思ったらその裏で仕掛けがある。続編もあるので随時読んでいきたい。 >> 続きを読む
2020/07/03 by オーウェン
奥田英朗
渋谷を舞台にそれぞれの主人公が起こすアダルトな出来事!?短編かと思いきやそれぞれの話が繋がっていく感じが好きです!それぞれの主人公が欠落した人間っぽさがでていて脱力して楽しみながら読み進められました。これは奥田作品の中でも好きな方に入る物語でした。映画も観たいと思います! >> 続きを読む
2017/12/04 by CARS
こうの史代
りんと周作の過去が見えてくる。水原との再会。
2021/01/01 by ちっちゅう
馳星周
馳星周の「不夜城」「鎮魂歌ー不夜城Ⅱー」に続く、シリーズの掉尾を飾る第三作「長恨歌 不夜城完結編」を読み終えました。前作で新宿歌舞伎町の中国系社会を牛耳る楊偉民から、ついに権力の座を奪った劉健一。その最後で彼は、横浜に移った楊に刺客を差し向けたと記していたが、この作品はその顛末をプロローグで描いた後、五年後へと飛ぶ。今回は第一作と同様に、「おれ」という一人称で綴られる。ただし、「おれ」とは劉健一ではなく、武基裕。中国残留孤児二世を名乗っているが、実は身分を偽って密入国した生粋の中国人で、生業にあぶれ、麻薬捜査官の犬となり、黒社会の末端で生息していたのだ。だが彼のボス、韓豪が麻薬の取引相手、暴力団東明会と会見中に暗殺されたことから、のっぴきならぬ立場に追い込まれるのだった。街頭に監視カメラが据えられ、不法滞在者の摘発や風俗取り締まり等、近年の歌舞伎町は厳しい締め付けにさらされているが、この作品にはそうした変容ぶりも巧みに取り込まれている。そして、黒社会の構図もドラスティックに変わり、劉健一はすでに過去の人と化しているのだ。物語は、韓豪殺しの犯人捜しに駆り出された武の必死の調査行が軸になるが、情報収集のため劉健一に頼らざるを得なくなることから、裏でさらなるストーリーも展開していくことになる。その過程で武は、中国に残してきた恋人の小文との再会を果たすが、後半、彼女をめぐる拉致活劇を契機に、二重構造を巧みに反転させていく。ストーリーテラーとしての著者・馳星周の成熟ぶりが窺えますね。興味深いのは、韓豪殺しの謎をめぐる表のストーリーに、古典ハードボイルド的な争奪戦趣向が凝らされていることだ。前の二作と比べても、前半はノワールというより私立探偵小説のタッチに近いものがあると思う。そして、後半に浮かび上がる裏の趣向についても、以後、脱ノワールに向かう著者の方向性を示していて、実に興味深いものがありますね。 >> 続きを読む
2018/10/31 by dreamer
島本理生
2 5 の最後が印象的だったかなと印象的っていうか好きな部分(?)正直しっくりこなかったなと感じたでもわたしも蛍みたいな人がいたら惹かれるんだろうなと思ったけどさとるも好きだなと思ったさとるや紗衣子みたいにはっきりとした意見があってそれを迷わず伝えられる人って尊敬するもしさとるが従兄弟じゃなかったら麻由はどうなってたのかって思ったうまく言えないけど蛍はずるいなって思っただけどキライにはなれない。だからずるいのかな >> 続きを読む
2015/11/21 by ___
道尾秀介
素晴らしい!! メチャクチャ面白い!!全てが美しく、キチンと落ち着き、なんて楽しい気分で終わるストーリーなんだろう。凄い!タイトルにもなっている「指」のエピソードには泣かさせるし、会話のいたるところではニヤニヤさせらるし...。最高の一冊。コンゲームものになくてはならい最後のドンでん返しがここまで切れ味よく、爽快なものって滅多にないよね。 >> 続きを読む
2013/04/06 by za_zo_ya
絲山 秋子
FMラジオ局でパーソナリティーを務める主人公。32歳という妙齢女性でありながら、自分のセンス・容姿の醜さを持て余し、いつ他人に攻撃され嘲笑されるのか、どうすればその前に身をかわすことが出来るか、警戒していた。唯一彼女が自由になれるのは、仕事場であるスタジオの中。ここでは、彼女は熱帯魚のように、優雅に動き回ることが出来る。そんな彼女は、感情丸出であっけらかんとした女性医師と居酒屋で出会い、彼女の意に反して、徐々に友達らしい付き合いが始まる。それをきっかけに、彼女の周りにがっちり固められていた壁が取り除かれていく。。おそらく、彼女は彼女が思っているほど醜くくもない。自分を激しく嫌っているが、きっと、真面目で考えすぎるお利口さんだからじゃないか。他人と深くかかわらず、そつなくやり過ごしていると思っていても、心のどこかにある虚無感。そんな、誰にでも潜んでいる負の部分を、よく表している作品だと思った。 >> 続きを読む
2016/06/16 by shizuka8
広瀬正
内容紹介-------------------------------------------------------1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械―それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは?失われた風景が鮮やかに甦る、早世の天才が遺したタイムトラベル小説の金字塔。---------------------------------------------------------------知人に勧められて読んだ、日本版『夏への扉』ともいえる壮大なタイムトラベルもの。1970年の作品ながら文章に古臭さはなく、文庫で500ページの長さだが読みやすさと物語の魅力ですらすらと読むことができる。タイムトラベルものでは時系列の整理が作家の腕の見せ所の1つであると思うが、本作は複雑な時間移動をしているのにもかかわらずきれいに説明されていてわかりやすい。ただ、そのせいもあってSFに慣れ親しんだ人にとっては先が読みやすくなってしまっているかもしれない。「この人がこの後あれするんだな」とか、「この人とあの人が同一人物で・・・」とか。それと、最後の最後で閉じられた円環の話が出てきて少し腑に落ちないところがあった。どうしても矛盾が生じる。それでも、時間SFのワクワク感や話の壮大さ、未来を知る人間だからこそできる「俺TUEEEE!!」感などの魅力あふれる作品だった。昭和の東京の出来事や風景などは考証を重ねて丁寧に作られており、当時の生活を体感しているかのようだった。しかし、私は当時の出来事はもちろん今の東京にも詳しくないので、その楽しみがかなり薄められたものだと考えるととても惜しい。 >> 続きを読む
2020/04/01 by しでのん
広江礼威 , 虚淵玄
銃弾が飛び交うアクション漫画です。しょっちゅう人が逝ってますし、血も弾丸も飛び交ってますが直接的なグロはほとんどなく、気軽(?)に読めます。登場するキャラクターも、生きてるって感じがします。何か一つ信念を持ち、邪魔な奴には容赦をしない様は見ることに熱中させられます。登場人物が死んでも納得というか、運がなかったというか、、、、こちらの不満なくコトが進むので、気に入ってます。ただ、新刊出るのすごい遅いんですよねぇ・・・年1冊でもいいから出してほしいです。。。 >> 続きを読む
2015/05/07 by おねぱん
上橋菜穂子
2018/6 5冊目(通算94冊目)。チャグム皇子が主人公の外伝。ただ、外伝とはいえ、今後の物語の方向性がこの巻で定まった感がする。バルサたちが出てこなくても、読んでいてすごく面白かった。今後、この世界規模で何か大きな事件が起こりそうな予感がするが、それまでのチャグム皇子やシュガ、バルサたちの活躍がどう語られるかとても読むのが楽しみになってきた。続きも読んでいきたいと思う。 >> 続きを読む
2018/06/11 by おにけん
舞城王太郎
探偵の名前からして、ディスコ・ウェンズデイという人を食ったような名前。6歳の梢を預かることになるのだが、そこから探偵業務へと。パインハウスなる山荘で起きた殺人に、12人もの探偵の一人として挑む。舞城さんの破天荒な面がこれでもかと出ている、何でもありな物語。一応ミステリではあるのだが、SFやらグロやら恋愛やらがほとんどごった煮状態。探偵も推理したらその後退場という繰り返し。後出しじゃんけんのような推理は気になるが、この勢いに圧倒されそうだ。上巻でこれなのだから下巻はどうなるのだろうか。 >> 続きを読む
2019/06/19 by オーウェン
誉田哲也
高校二年生に進級し、別々の高校で剣道に打ち込むことになった二人の主人公。自分達の剣道、武士道を模索するようになる。武士道というのは難しいものだと思う。武士というものが存在しない現代において、武士道をみつけるのは容易ではないと思う。主人公の一人が物語の途中で、誰かのために行動することが武士道と考えるようになる。物語を通じて少しずつ、自分なりの答えをみつけつつある。これから彼女達はどのような答えをみつけだすのか非常に気になるw >> 続きを読む
2016/02/26 by future
茂木健一郎 , 河合隼雄
敬愛し尊敬するお二人の対談だけに、知的刺激に満ち溢れている。脳をいくら研究しても、こころには届かないだろうと思っているので、納得感が大きい。それに、茂木さんが、河合さんの前で、子どもみたいにはしゃいでいるように感じてしまうのが、とても好ましいと思う。自分は、箱庭をやったことがないので、一度やってみたいと思う。そ、その一方で、多少の怖さもあるのは本音。自分の気づかない自分が、そこにいるんだろう。しかし、河合さんの臨床経験からくるお話は深くて、発展性も大いにあると思う。 >> 続きを読む
2015/06/05 by けんとまん
石田衣良
IWGP, アキハバラ@DEEP同様東京の街を舞台にした石田衣良作品。下北沢の小劇団を舞台にした少女のサクセスストーリーが描かれている。上戸彩主演でドラマ化されたのでタイトルだけはご存知の人も多いはず。(ドラマは視聴率低迷のため1話短縮で打ち切りの憂き目にあっている)小劇団の関係者が主要な登場人物なので一癖あるキャラクターが面白く展開もテンポよく読みやすい。判り易くて清々しい結末。個人的には石田氏得意の社会派ネタが入っていない作品は読み応えが欠けるので評価低めだが、お手軽で爽やかなハッピーエンドの青春小説が読みたい気分の時にはピッタリ。 >> 続きを読む
2013/04/02 by ybook
東川篤哉
東川さん初読み。ユーモアミステリが主体とは知っていたが、事件に対しても慟哭を見せないあたりはこだわりなのかなと。無人の島に建てられた六角形の形の館。そこで館を設計した十文字和臣が螺旋階段の下で死んでいた。しかし死体解剖の結果墜落死と認定される不可解さが。そのあと事件の関係者がもう一度集められるが、そこでも殺人が発生。同行した刑事と女探偵が事件に挑む。ギャグを忘れないとばかりにコンビ間で笑いを誘うし、トリックにしてもなるほどと思わされる中身。綾辻さんの館シリーズそのままな設定だが、館が建てられた理由にしてもよく出来ているし、だから瀬戸大橋が完成される前の時代にもなっている。 >> 続きを読む
2019/05/06 by オーウェン
鈴木康行
コピーライターってのは、斬新なキャッチフレーズを作る一言芸人。だと思っていました。当時はね。広告文化が注目され、それまで聞いたことが無かったコピーライターという職業が突然時代の最先端に飛び出して、糸井さんなんて方が細野一臣さんやら日比野克彦さんなんかと肩を並べて文化人のトップの顔になっていて…。私が就職を考えていたのはまさにその時代。本書の著者はコピーライター養成学校の先生です。この本はタイトルで期待するようなノウハウ本ではありませんでした。文章を書くテクニックや訓練について知りたいなら「第6部☆勉強の方法」だけ読めばよく、むしろ読み物として楽しむタイプの本でしたが、文を書く「行為」についての考えには共感できる部分が多々ありました。広告文を作る仕事とは広告主の言葉や思いを代弁する技術を売る商売です。派手なキャッチコピーよりも、その下に続くボディコピー、つまり製品説明やサービスの紹介や企業理念や社会へのメッセージなどを読んでもらわなくては意味がない。むしろその部分にこそ、ライターの工夫と人間性が出るのです。まさに文章を書く商売なのです。それを理解した上で、名文コピーを味わう時、そこには作家の名文にも似たものが感じられるのでした。それは「人に読まれるための文」だからです。広告文は万人に共感を与えるのが目的なのですから、自己満足や奇抜なアイディアだけではだめ。広い視野と平衡感覚は不可欠です。そこが素人や一部の作家とは異なる立ち位置になる訳です。と書きましたが、そもそも人に読まれないことを前提とした「文」はないです。自分のためのメモや日記だって自分という読者がいるのです。そしてそんなことなら、今ここで教えてもらわなくてもずっと昔に教えてくれた人がいました。それはアンネ・フランクです。彼女の日記がなぜベストセラーになったのか。わかりますか?それは彼女が非業の死を遂げたから?違います。彼女は日記を読む読者を想定して日記を書いていたのです。「キティ」という親友に宛てたという想定でお手紙の様に日記を記していたのです。 『アンネの日記』はほぼ毎回「親愛なるキティーへ」という言葉から始まります。あたかもキティが自分であるかのように思えてきます。だから彼女の日記は読めば思いが伝わり、意味をなし、感情移入もできる、物語のように感じられるのです。(私もマネしてみたのですが、日記を書くという行為が続けられず、数日で諦めたという過去があります)このレビューもそうですよね。最初は自分のメモ代わりにと思っていましたが今は違います。読んで下さる方を想定して書くことにしています。コメントをお寄せいただくことで生まれるつながりが、本当に嬉しくてたまりません。この読書ログは、参加される方のレスポンスが高くて、書いたレビューが文章としての役割を果たせたことが確認できる、非常に優れたSNSになっています。文を通して人と繋がるのは何て楽しいのでしょう。ちょっとだけコピーライターの気持ちが分かった気がします。「難しく考えずに、文章は、モノか、コトか、ココロの説明文だと思いましょう。」「あらゆる言葉、あらゆる日本の文字を駆使しましょう。」「書き直しなさい。文章を書くとは、書き直すことです。」名コピーライターの足元にも及びませんが、伝えたいことがあるから真剣に書く。読みやすい工夫をする。という心がけがあればいいと考えることにしましょう。この楽しみが長く続けられたらいいなと思いつつ。広告文として最高だと思えたコピーをご紹介しておきます。作者は児島令子さん。死ぬのが恐いから飼わないなんて、言わないで欲しい。おうちを汚すから飼わないというなら、犬はお行儀を身につけることができる。留守がちだから飼わないというなら、犬はけなげにも、孤独と向き合おうと努力するかもしれない。貧乏だから飼わないというなら、犬はきっといっしょに貧乏を楽しんでくれる。だけど・・・死ぬのがこわいからといわれたら、犬はもうお手上げだ。すべての犬は永遠じゃない。いつかはいなくなる。でもそれまでは、すごく生きている。すごく生きているよ。たぶん今日も、日本中の犬たちはすごく生きていて、飼い主たちは、大変であつくるしくって、幸せな時間を共有してるはず。飼いたいけど飼わないという人がいたら、伝えて欲しい。犬たちは、あなたを悲しませるためにやっては来ない。あなたを微笑ませるためだけにやってくるのだと。どこかの神様から、ムクムクしたあったかい命を預かってみるのは、人に与えられた、素朴であって高尚な楽しみでありますよと。 朝日新聞 2004.2.28 掲載(NPF 日本ペットフード 広告) >> 続きを読む
2016/04/15 by 月うさぎ
出版年月 - 2008年7月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
ページの先頭に戻る
会員登録(無料)
レビューのある本