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土屋政雄 , カズオ・イシグロ
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すごい作品だった。ここに核心的な環境の部分は冒頭から中盤にかけてはおおくオブラートに包まれているが、その部分に潜む、人間のコミュニケーションや記憶に包まれた、懐旧の情は、地続きに読者っーか、私の懐旧の思い出とリンクしたよ。やばい。やばすぎる内容だった。あえて色々な多角的、多面的に読めると思うが、クローン倫理そのものに自分は重きはおかずよんだ。それでも、運命とか人類、人生の先を見つめる場所だったり景色だったり、それは時として、不文律だったり、善悪、倫理観の破壊だったり、いろいろかなり内容濃い。最後は涙なしにはよめない。どんな環境であれ、先が分かる怖さ、そして分からない怖さ。カズオイシグロ。すごい作家さんだ! >> 続きを読む
2022/03/11 by ジュディス
群ようこ
それぞれの物語を抱えた3人の日本人女性がフィンランドで出会い、ちょっとした人生の答えと方向を見つけていく、というお話。 思い切って環境を変えれば自分も変わると良く言われているが、それは正しくもあれば、間違ってもいる。 一時、日本で人生を改めようと来日してきた外国の友人方々とよく触れ合っていた。 憧れの国に来たばかりの日々は皆がウキウキしていて希望に溢れていたが、しばらく経つと決まってほぼ全員が落ち込む時期がやってくる。 アルバイトのストレス。 言葉の壁。 家族も友人側にいない寂しさ。 結局、いい加減な気持ちで来日した人の多くが帰っていく。 残されたのはしっかりとした目的意識を持っている者のみだ。 『かもめ食堂』にこんな言葉がある:「しゃんとした人は、どんなところでもしゃんとしていて、だめな人はどこに行ってもだめなんですよ」 きっとそういうことなのだと思う。 環境を変えるのは良い。 けど、そればかりに期待してはいけない。 最初は模索しながらでも、やはりちゃんと本当に自分がしたいことを見つけていかないと、何も変わらない。 >> 続きを読む
2021/03/20 by Moffy
伊坂幸太郎
伊坂幸太郎の「魔王」は、奇妙な超能力を与えられた兄弟の物語だ。背景には、軍事力をめぐる改憲と、漠として広がるファシズム的な空気がある。他人に思い通りのことを喋らせる念力が、突然、兄に備わり、彼がその力により、日本中を覆う不穏な流れに逆らおうとする、というのが第一篇の「魔王」だ。まるでドラえもんの「腹話ロボット」みたいだが、相手の内側に入り込むさまを、イメージすることで力を発揮するのだ。例えば、リルケが豹になりきって、あの「豹」という詩を書くには、自分と相手の境を見失うほどの共鳴状態に、自らを置く必要があったろう。つまり、この作品の兄の超能力には、一瞬ながら敵と一体化するほどのシンパシーが存在するということで、それがこの作品の一番の不気味さにもなっていると思う。「呼吸」という篇では、不思議な確率に魅入られた弟が描かれる。シューベルトの「魔王」が引用されているが、人の心は時として思わぬところへ赴く。しかし、あの歌曲の幼子のように、無理やり魔にさらわれていくのではない。では、なぜ? この作品は政治よりも、人間の意思のそうした"得体の知れなさ"を描き出しているのだと思う。 >> 続きを読む
2021/01/29 by dreamer
薬丸岳
難しい言葉や漢字がなく、とても読みやすい本でした。少年法やメディア、現実の世界でもニュースで見ることのある現実的な問題に、非常に心を打たれました。最後に段階方式で黒幕が現れてくる所は、最後の最後まで目が離せない内容だったと思います。 >> 続きを読む
2018/08/30 by chiiiisim
誉田哲也
ドラマで作品の名を知って読みました。ドラマはまだ見ていません。警察ミステリーは殺人事件に絡めやすいので、刑事VS犯罪者構造が王道で、本作もそのうちの一つだと思います。他作品でもよくありますが、警察内部や個人同士の対立が描かれますが、面白みは増しますがホントのとこはどうなんだろうって思ってしまします。人命がかかる殺人事件でそんなことってあるのかなって、リアリティの部分で疑問に思います。 >> 続きを読む
2021/10/10 by ryoji
Smith Tom Rob , 田口俊樹
【ソビエトの深い闇。「私はあなたを愛してなんていなかった。怖かっただけ。」】 物語はスターリン体制下、そしてその後のソビエトを舞台にします。 主人公のレオは、国家保安省の優秀な捜査官でした。 彼は、ある男にスパイの疑いを抱きマークしていたのですが、上層部から命じられた別件を処理している間に逃走されてしまいます。 まずい。 早々に逮捕しておけば良かったのに逃走を許しただけでも大失点であり、万一逃げ切られてしまいでもしたら自分が粛清対象になりかねません。 スターリン体制下のソビエトは徹底した恐怖政治が敷かれており、国家保安省のエリートと言えどもミスは直ちに粛清につながるという恐ろしい時代だったのです。 部下のワシーリは狡猾な男であり、上司のレオがミスをしたことにさっそく目をつけ、自身の昇格のためにこのミスに付け込もうと策動し始めます。 必至になったレオは、凍った河に飛び込むまでして何とかスパイ容疑をかけた男の確保に成功しました。 しかし、アンフェタミンを連続使用しながらあわや低体温症になりかけてまでして逮捕するという無茶をしたこともあり、風邪をひいてしまったのです。 そりゃ無理もないと思いますが、何と、この時代のソビエトは体調を崩しただけでサボタージュの疑いをかけられるのですね。 さっそく党から医師が派遣され、本当に病気なのか、病気を口実に怠けているだけなのかチェックされるのです。 この医師がまたひどい男で、レオの妻のライーサが美人であることに目をつけると、自分と寝ろと迫るのです。 もし、自分がレオは病気などではないと報告すればすぐにレオは粛清されてしまう。 それが嫌なら言うことをきけと言うのですね。 とことん下劣であり、また、こんなことが横行していたのがこの時代のソビエトというわけです。 ライーサは、医師に包丁を突き付けて追い返すのですが、果たしてそれが良かったことなのかどうか……。 体調を回復したレオは仕事に復帰するのですが、取り合えずあの医師はおかしな報告はしなかったようです。 上司からはスパイ容疑の男を身を張って確保したことを称賛されるのです。 レオが休職している間にその男の取調べは既に終了しており、男はスパイであることを自白し、自分が関係していた者の名前もしゃべったということでした。 実は、レオは体調を崩す前にスパイ容疑の男の尋問を始めており、その際、自白剤を投与したのに男は何もしゃべらなかったため、こいつはスパイではなかったとの確信を抱いていたのです。 その処理をする前に倒れてしまったというわけだったのですね。 だから、男がスパイであることを自白したと聞き、これは例によって拷問にかけて嘘の自白をさせたのだろうと察しがつきました。 上司は、男がしゃべった関係者の取調べにも既に着手しており、レオには最後に残った一人を調べるよう命じてきたのです。 その最後の一人とは、何と、ライーサだったのです。 そんな馬鹿な。 男を尋問したのが誰かは不明でしたが、何者かがレオを陥れるため、わざとライーサの名前を関係者として紛れ込ませたのに違いありません。 妻がスパイであるわけがないとは思うのですが、上司の命令に背くわけにもいかず、ライーサの尾行を始めるレオなのです。 これは罠だ。 上層部はライーサの名前が挙がった以上、既に彼女はスパイであると決めつけているに違いなく、もし、レオがライーサは無関係だなどと報告しようものならライーサ共々レオも、そして今はレオの力によって安楽な生活ができている年老いた両親まで粛清されてしまうに違いない。 かと言って、無実の妻をスパイだと告発することなどできるわけがない……。 悩んだレオは両親を訪れます。 そして事情を説明し、どうしたらいいのかと両親に相談したのです。 父親は、「冷たいことを言うようだが……」と前置きしつつ、ライーサを売るしかないと言いました。 仮に正義を貫き、ライーサを守ってもライーサはもちろん、お前も自分たちも粛清されてしまうだろう。 もし、ライーサを売ればライーサが粛清されるだけで済む。 これは3対1だ、と。 お前は、「自分たちは死んでも構わないからライーサを守れと言って欲しかったのかもしれないが……申し訳ないがそういうことだ」と、父親は言ったのです。 それが今のソビエトの現実なのか……。 そんな時、妻が両親の家にやって来ました。 どうして? 妻も両親も、レオが仕事で遅くなることが多いので、よく夕食を一緒に食べていたのだと言います。 そういうことか……。 しかし、レオは両親の家に行く前にライーサを尾行しており、ライーサが真っすぐ家に帰ろうとせず違う駅で降りたことを知っていました。 お前は職場からまっすぐにここに来たのか?と、問いかけるレオ。 いいえ。病院に寄って来たの。 子供ができたの。 なんということでしょう。 レオとライーサの間にはなかなか子供ができず、この時代のソビエトは、戦争で多くの国民が亡くなっていたこともあり、夫婦が子供を作ることはほぼ義務だとまで考えられていたため、子供ができないレオ夫婦は肩身が狭い思いをしていたのです。 ようやく子供ができたのか! しかし、ここでライーサを売るという事は、お腹の中の子供も殺すということだ……。 苦悩するレオです。 翌日、レオは妻が仕事に出かけた後、徹底した家探しをしました。 形だけでも妻のことをちゃんと探っていることにしないわけにはいかないという事情もあるからです。 家の床板まで剥がして捜索していた際、さっそくワシーリが家にやって来ました。 こいつは俺がちゃんと捜索しているか確認しに来たのか。 ワシーリは、にやにやしながら「もう奥さんのことは諦めなさい。女など他に何人もいます。」とまで言うではないですか。 この野郎!とは思うのですが、ここでワシーリに手を上げるわけにはいきません。 それはワシーリの思う壺であり、そんなことをすれば国家に対する忠誠心を疑われかねないのですから。 こいつは俺を挑発するためにここに来たんだ……。 その後、レオはライーサの持ち物の中から、半分に割れるコインを発見してしまいます。 これは、スパイ連中が中にマイクロフィルムを入れて隠すためのものだ。 何故ライーサがこんな物を持っているんだ? いよいよ、ライーサの件を上司に報告しなければならない日がやって来ました。 逃走したスパイ容疑者がしゃべったという他の6人の関係者の捜査は既に終了しており、全員がスパイであることを認めたのだから、あのスパイ容疑者の自白は信用できると上層部は考えていました(どうせ拷問にかけて自白させたのでしょうけれど)。 どうする? ポケットの中には例の半分に割れるコインが入っていました。 確かにライーサがこんなものを持っていたのは怪しい。 あいつは職場で反共と睨まれている男とも親しいのは間違いないようだ。 ライーサは裏切っていたのか? しかし、信じられない。 ライーサを告発するのか、守るのか? ご紹介はこの辺りまでにしたいのですが、下巻のこともあり、もうちょっとだけ書いてしまいます。 結局、レオは、ライーサは無関係であると報告してしまったのです。 妻を裏切ることはできない。 しかも、彼女のお腹の中には子供がいるんだ……。 予想通り、レオは自宅謹慎を申し渡されてしまいます。 これで終わりか。 いつ、保安省の職員が家にやって来て自分とライーサを連れ去ってもおかしくはない。 しかし、いつまで経っても保安省の職員はやって来ません。 どうしたんだ? その時、スターリンが死去したことを知ったのです。 これで体制は一変します。 今度は誰が権力を掌握するのか、それを見定めない事には自分がどう振舞えば良いのか誰もが決めかねている状態でした。 結局、レオは地方の民間警察の下級捜査員に更迭されるだけで済んだのです。 下手をすれば強制収容所送りになっても全くおかしくなかったので、助かったとほっとする措置でした。 おそらく、上司もスターリン死去のために徹底した処置を取ることがためらわれ、取り合えずレオを地方に更迭して済ませたということなのでしょうか……。 妻を帯同して命じられた地方に赴任するレオです。 赴任先の民間警察は疑心暗鬼に陥っています。 何故、中央の国家保安省の捜査官がこんなところに送り込まれて来たのだ? レオは更迭されたことを装い、何かを党に報告するために送り込まれてきた男ではないのか? レオは保身のために、最大限この状況を利用することにします。 そして、妻に「愛している。ここで子供を育てよう。」と話しかけたのですが……。 妻の口からは驚愕の事実を告げられます。 自分はあなたを愛していたことなどこれまでに一度もないと。 また、妊娠したというのは嘘であるとも。 妻は、レオが両親に相談した時、ドアの外でレオ達の会話を立ち聞きしてしまったと告白するのです。 あなたたちは私を売ろうとした。 確かに3対1よね。 でも、3対2だったらどうなの? 妻に求婚したのはレオからでした。 ライーサには選択肢が無かったのだと言うのです。 国家保安省の職員に求婚されて断れば自分が殺されると思った、断れるわけはなかったのだと。 自分は、生き延びるために結婚を承諾し、その後、レオの機嫌を損ねないようにということだけを気にかけて今日までやって来たのだと。 それしか自分が生き延びる方法はなかったじゃないの、と。 愕然としたレオは、思わずライーサの首を絞めてしまいます。 こいつはやっぱり俺を裏切っていたんだ! お前がすべて悪かったのだ、と。 その後、ライーサは荷物をまとめて出て行こうとします。 一時の激情にかられて妻の首を絞めたことをレオは後悔しており、ライーサを引き留めました。 やり直そう。 でも、ライーサはそれには条件があると言います。 これからは、二人は対等なのだと。 レオの元にはワシーリから揶揄するような電話がかかって来て、レオの両親が住居を追い出され、工場の労働に戻されたと告げられます。 やめてくれと懇願するレオをせせら笑うワシーリ。 両親のことを考え絶望するレオは、民間警察が捜査していた少女殺人事件に目を留めます。 警察は既に犯人として精神疾患の男を逮捕していました。 というか、この時代のソビエトは、共産主義社会では犯罪など起きないということを建前にしており、犯罪が起きても犯人が逮捕されるまでは公表しないのです。 犯人が逮捕されたとしても、共産社会に犯罪は無いという建前上、犯罪自体をもみ消してしまうことも普通でしたが、今回は犯人が精神疾患だったため、こういう男は共産主義社会からは外れた男なのでそういう男が犯罪を犯すことはあってもおかしくないという説明ができることから、犯人逮捕後に公表に及んだというわけです。 レオは、この事件に不審な点を感じます。 実は、スパイ容疑者を逃がしてしまった時、上司から命ぜられていた別件というのは、鉄道事故に遭った子供の親族が死因に疑いを持っているのでそれを丸め込むという仕事だったのですが、その子供の死体の状況と、今回の少女の死体の状況が酷似していたのです。 もしこれが同一犯の仕業だとしたら、今逮捕している精神疾患の男が犯人であるわけがない。 のめり込むように捜査を始めたレオをライーサが諫めます。 あなたはまた私たちを危機に陥れるつもりなのかと。 既に犯人として精神疾患の男を逮捕しているではないか、もしそれが真犯人ではないなどと言い出そうものなら私たちの方が粛清されるのは明らかなのに、何故またそんなことをするのかと。 確かにライーサの言う通りなのです。 ここは黙って精神疾患の男を犯人として処刑してしまえば済むことなのです。 しかし……。 レオは、ライーサに言います。 もし死体が発見された場所付近を探しておかしなところがなければ言うとおりにする。 それだけはやらせてくれ、と。 ライーサは溜息をつきながらも、いいわ、私も一緒に行くと言いました。 そして、二人は、死体発見現場の近くから、もう一体の死体を発見してしまうのです。 その死体も、これまでの被害者と同様の殺され方をしていました。 これは……。 スターリン時代のソビエトという、非常に恐ろしい社会を背景にした本作の迫力は大したものです。 まるでディストピアのSF作品を読んでいるかのような気持ちにすらさせられます。 絶望的な状況下で、心理的にも追い詰められていくレオやライーサの状況は非常に胸に迫ってくるものがあります。 これは面白い! さっそく下巻に着手しますよ。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/02/24 by ef177
林千晶 , 高橋宏祐
Web製作の小さな仕事から当てはめられるマネジメント手法が分かりやすくまとめられています。マネジメント手段の方法の本は多々ありますが、それらとは異なり、どのタイミングで、どのようなマネジメントが必要かが分かり、マネジメントそのものに焦点が当てられています。私自身が開発者からマネジメントに関わるようになったときに、「マネジメント」として何をするのか見えておらず、手探り感がありました。体系化された本書はマネジメントに関わるようになったばかりの人に、理想通り完璧とはならずも、非常に助けになると思います。スコープについては「発注側は作業範囲を最大に、制作側は最小に考え、仲のいい関係だと明確化しようという意識が緩み、『こんなはずではなかった』になりやすい」とありました。自分の思い込みをよく洗い出すこと、細かくて明確化が大変な個所でも、先手を打って行動することが大切だとわかります。また、リーダーシップについても触れられており、「意識したうえで、(部下に)前向きなコメントを常に返せるように」とあり、自分自身に一貫性を持たせつつ、自分の意識が積極的であることで、チーム全体が前向きに進んでいけると感じました。 >> 続きを読む
2016/02/18 by mattya
【この殺人鬼を野放しにしているのはソビエトという国家体制だ】 地方の民警の下部捜査官に左遷されたレオとモスクワから帯同してきた妻のライーサが新たな少年の死体を発見するところまでが上巻で描かれました。 その死体は、レオがモスクワで遺族に対して事故だと説得した少年の死体、つい数日前にこの地で発見された少女の死体同様、全裸にされて口に木の皮が詰められ、足首に紐が巻かれていたのです。 これは同一犯人による犯行と考えざるを得ません。 レオは、現在少女殺しの犯人として逮捕されている精神障害のある男の無罪を確信すると共に、他にももっと被害者がいるのではないかと疑いだします。 レオは警察署長にそのことを訴えるのですが、警察署長も新たに発見された死体の犯人は現在逮捕している男とは別人だとは認めるものの、既に逮捕した男が少女を殺した事は間違いないとして撤回しようとはしません。 「少女と少年の両方を凌辱する性犯罪者がいるものか。そんなのは聞いたことがない。」と言って。 しかし、少年も少女も、性的暴行を受けた形跡はなく、性犯罪者という見立て自体が疑問なのです。 レオは殴り合いになっても警察署長を説得しようとするのです。 警察署長も内心では疑念を抱いてはいましたが、これまでの捜査を覆し、新たな犯人探しを始めようものなら、ソビエトという体制を混乱させるものだとして粛清対象にされてしまうことは明らかであり、家族まで巻き添えにしてそんなことができるわけがないという気持ちもよく分かるところです。 しかし、警察署長の妻は、レオに協力すべきだと言ったのです。 署長の家にもまだ幼い子供がいました。 真犯人を捕まえない限り、子供たちがまた狙われると言って。 署長の協力を得て、近隣の民警からさりげなく同種被害者の有無を聞き出したところ、出るわ出るわ。 調査範囲もどんどん広がっていき、最終的に同じような被害者の数は何と44人にも上ったのです(タイトルの意味はここからきています)。 一人の人間が移動しながら広範囲にわたって44人もの子供を猟奇的に殺していたというのか? さすがのレオもこの結果に愕然とします。 そして、上巻のレビューでも書いたとおり、当時のソビエトは犯人を逮捕しない限り犯罪が行われたこと自体を公表せずに揉みつぶしていました。 逮捕する犯人は反ソビエトと認定できるような者ばかりで、そこには何の証拠も伴わないのが通常でした。 ということは、既に44人もの無実の人たちが犯人として逮捕され、あるいは既に処刑されているということです。 そして実際に被害に遭って殺されている子供たちはさらに多いことも推測されるのです。 レオは、これまで国家保安省の幹部捜査官として同様のことを繰り返してきたわけです。 それはソビエトという体制を信じてやって来たことではありましたが、その結果を改めて目の前に突き付けられ自分がやって来たことをようやく否定するに至ります。 そして、真犯人がまだ野放しになっているのは絶対に容認できないと心から思うようになるのです。 何故こんなとんでもない犯人が野放しになっているかと言えば、それはソビエトという国家体制が、共産主義社会では犯罪など起こり得ないという非現実的な建前を墨守し、仮に犯罪が起きるとすればそれはソビエト体制からはみ出した者による場合だけであると言い張っているからに他なりません。 44人もの子供たちの命を奪ったのは、このソビエトという国家なのだと、レオは確信するに至るのです。 その後、警察署長の動きは察知され、署長は逮捕されてしまいます。 署長は、そのことをギリギリのタイミングでレオに伝え、レオと妻のライーサの逃避行が始まります。 何のために逃げるのか? 逃げてどうなるのか? レオとライーサは、逃げるのは、真犯人を捕まえ自らの手で殺すためだと考えています。 もはやそれしか自分たちの存在意義はないと。 その後、自分たちが粛清されるのは覚悟の上だと。 さて、本作の冒頭には一つのエピソードが描かれています。 それは厳しいソビエトの冬の季節のことで、飢餓が襲っており、人々は食べる物が無くなり恐ろしい状態に陥っている姿です。 幼い兄弟が猫を狩りに出かけました。 弟はまだ上手く狩りができないのですが、母親の命令で兄について行ったのです。 兄は罠をしかけ、上手く猫を狩ることに成功しました。 何日ぶりに肉を食べられることでしょうか。 他の者に見つかって猫を奪われないように、牧柴で隠して持ち帰ることにし、兄弟はそれぞれ木の枝を探し始めます。 その時、男がやって来て、兄を殴り倒すと連れ去ってしまったのです。 弟はそのことに気付かず、取り残されたことに気がつくと泣きながら一人で家に帰ったのです。 このことを知った母は、兄は喰われてしまったのだと知ります。 そして、発狂してしまうのです。 その後、本編が始まるのですが、私は何故このエピソードが物語の冒頭に描かれているのかずっと分からずに読み進めていました。 下巻に入り、その理由が分かるのです。 それは大変ショッキングな意味を持っていたのですよ。 非常にサスペンスフルで、スピード感もある、警察小説と言えば警察小説なのですが、本作はそれ以上に、ソビエトという体制、極限状態における人間のふるまいというところまで掘り下げて描かれている大変面白い作品だと感じました。 実は、本作は実話をもとにしているのだそうです。 ソビエトで52人もの少年少女をレイプして殺害した男がおり、その男は12年間も逃げおおせたのだとか。 そんなことが可能になったのは、本作で描かれているとおり、ソビエトには犯罪は存在しないという当時の歪んだ建前があったからでした。 著者はこの事実を知り、大きなフラストレーションを感じ、本作を書いたそうです。 著者の作品を読むのは今回が初めてでしたが、もう少し読んでみたくなりました。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/02/25 by ef177
重松清
その日というのはこの世からサヨナラする日のことを自分や奥さんやクラスメートに対して思った気持ちを丁寧に綴ってた。死は必ず誰の身にも起きるが私にとって母の死は自分自身を切られたようなすごい喪失感があった。今まで生きてきてこんな感覚を味わったことがないから自分の子供を失った人の心痛はどれほど過酷だろう。お葬式とか49日とか初盆とか亡くなった人より残された人のためにある行事なんじゃないかな。 >> 続きを読む
2019/01/28 by miko
深町真理子 , スティーヴン・キング
【秀逸なホラーだと思います】 私の好きな映画の一つに、スタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』があります。 どうも主演のジャック・ニコルソンの『うひひ振り』ばかりがクローズ・アップされがちですが、映像がとてもすごいと思いますし、幻想シーンは圧巻で良質のホラーだと思っています。 さて、本作は、その原作となった作品です。 未読でしたので映画との比較も念頭に置いて読んでみました。 物語は、主人公のジャックが、生活費を稼ぎ出すために冬季閉鎖されるホテルの管理人の職を得てきたところから始まります。 ジャックは、アル中で癇癖持ちの中年男です。 高校教師だったのですが、生徒とトラブルを起こし、それが原因でクビになってしまいます。 小説なども書いており、リーダース・ダイジェストに作品が掲載されたこともあるのですが、すっかりスランプで、新しい作品が書けません。 すさんだ生活の中、執筆途中の原稿をまだ幼い長男のダニーが汚してしまったことに激怒し、ダニーの腕を折るなどということもしでかした事がある男でした。 妻のウィンディは離婚も考えたのですが、ジャックが酒を断ったこともあり、かろうじて踏みとどまっているという状況です。 ジャックは、生活のため何とか収入を得なければならず、かつての飲み仲間で裕福な知人の紹介でホテル管理人の職を手に入れたのです。 ジャックは一家揃ってホテルに移り住み、冬の間、雪のため外部と途絶されるホテルで戯曲を書き上げようと考えていました。 確かに美しい場所に建つ老舗のホテルであり、食料もふんだんに蓄えられているので良い仕事とも思えたのです。 確かに良い仕事ですよね~。 外部との交通が途絶されるとしても、私もこんな仕事ならやってみたいと思います。 ですが、ジャックの採用面接をした支配人は危惧感を抱いています。 それは、前任の冬季管理人は、閉鎖的な生活に耐えきれず、冬の間に発狂し、同道していた家族を惨殺して自分も死ぬというとんでもない事件を引き起こしていたからです。 支配人は、ジャックが以前アル中だったということも知っていましたので、またおかしくなるのではないかと不安で仕方がないのです。 本当ならジャックなど雇いたくないのですが、ジャックの裕福な知人の口添えもあることからやむなく採用したのでした。 さて、ジャックの長男のダニーには特殊な能力が備わっていました。 それは、他人の心が読めたり、過去あったことや未来起こるであろうことが分かったりと、そんな能力です。 ダニーはまだ5歳なので、それが特殊能力だということを完全に理解できてはいないのですが、『かがやくもの』と、その力のことを認識していました。 つまり、『シャイニング』ですね。 ジャックに連れられてこのオーバールックホテルに初めて来た時、紹介された料理人にダニーの力が見抜かれます。 料理人も同じ力の持ち主だったのです。 でも、ダニーの方が数倍強い力を持っていたのですが。 料理人は、ダニーに217号室だけには行ってはいけないと強く忠告します。 また、ここで恐ろしい物を見るかもしれないが、それは絵本の挿絵のようなものに過ぎず、お前に危害を加えることはない。 目を閉じれば消えてしまうから大丈夫だとも忠告するのでした。 そして、もし何かあったらその力で俺を呼べとも。 ホテルという場所は、沢山の事が起きる場所です。 特に老舗のホテルともなると、そこで様々な事件が起き、また、人が死ぬことも少なくないのです。 ここ、オーバールックホテルも例外ではありません。 そんな死の痕跡が、ダニーのような能力を持つ者には見えてしまうのですね。 ホテルに移り住んだ一家は、当初は非常に順調でした。 夫婦仲も円満に推移し、それが分かるダニーもごきげんです。 でも、このホテルに巣喰う過去の死や様々な出来事の重圧でしょうか。 徐々にジャックの様子がおかしくなっていきます。 特に、物置部屋でこのホテルに関する過去の事件のスクラップブックを見つけて以降は。 オーバールックホテルでは、過去相当ひどい事件が起きていたことが分かってしまったのです。 断酒しているジャックは、酒を飲みたいという強い欲求にかられ、過去、酒を飲んでいた時に頻出していた、口をぬぐう癖が再発してしまい、また、二日酔いの時に常用していたエキセドリンを、頭痛を理由に噛み砕くようにして飲み始めてしまいます。 いえ、実際に頭痛がしたのですが。 というわけで、上巻は、徐々にジャックがおかしくなり始める辺りまでが描かれます。 これが映画ではどうだったかというと、上巻の最初の方はあっと言う間にすっ飛ばしています。 第一部なんてほとんど映画では触れていないんじゃないかな? また、小説ではここまで描くあいだに様々なエピソードが挿入されていますが、映画ではそれもすべてカットされています。 時間の関係ももちろんあるのでしょうが、映画では、非常にシャープにジャックの狂気やダニーが見る幻覚に集中して描かれていきます。 その手法がクリアなんですよね~。 キングの原作も、じわじわ迫る狂気と恐怖を描いていて秀逸ですが、それをああいう映画にしたキューブリックの手腕のすごさが、原作を読んでより一層際だったように感じました。 下巻レビューもお楽しみに。 >> 続きを読む
2019/07/04 by ef177
恩田陸
突如青澤家を襲った帝銀事件にも似た大量毒殺事件。合計17名が死亡、現場には、ユージニアという言葉が出てくる一通の手紙が残されていた。事件は混迷を極め、捜査は遅々として進まなかった。しかし突如として一人の男の自殺にて事件は収束する。不眠と妄想に苛まれ、精神を病んだ男が自分が犯人だと遺書を残していたのだ。不明な点、不可解な点、納得出来ない点も多々あったものの、事件は一応の決着を見た。事件から数十年、見落とされていた事件の真実を小説『忘れられた祝祭』を元に人々が語り出す。読んでいて凄く惹きつけられていくのに何故か読書スピードが上がらない、犯人を知りたい、事件の真相を知りたいのに知りたくない。そんな感情を湧きあがらせる作品でした。しかし実際は本当の意味で犯人も真相も解らなかった・・・ >> 続きを読む
2019/05/04 by ヒデト
池井戸潤
小さな運送会社のトレーラーから、突然タイヤがはずれ、若い主婦の命を奪ってしまう。トレーラーは大手自動車会社製。原因は整備不良と決めつけられ、窮地に立たされる運送会社社長。しかしそこには、見逃せない真実が隠されていた…。実際の事件をモチーフにした、巨大企業のリコール隠しと、それと戦う中小企業社長を中心としたお話。半沢シリーズの池井戸潤さんのお話を読むのは、「下町ロケット」以来、2作目。序盤は、辛い事件の描写に暗い気持ちになりましたが、真実を突き止めるため、毅然と立ち向かう社長・赤松さんの心意気が光ります。たくさんの人の立場、現実が交錯する姿に、どうなるのか?!とドキドキしながら、あっという間に読みました。 >> 続きを読む
2015/03/20 by オリーブ
海堂尊
海堂尊の「ナイチンゲールの沈黙」(上・下巻)を読了。バチスタ・スキャンダルから9ヶ月が経ち、騒動の渦中にあった東城大学医学部付属病院は、ようやく落ち着きを取り戻してきた。相変わらず、患者たちの愚痴を聞き続ける不定愁訴外来の田口公平であったが、今度は軽い騒動に巻き込まれることに。眼科にて、眼球摘出手術を受けなければならない子供達のメンタル・サポートを引き受けてくれと依頼されたのだ。いやいやながらも軽い気持ちで引き受けたのだが、それがいつしか殺人事件へと発展する騒動へと広がっていく。そして、田口の前に現われたのは、またしてもあの白鳥であった-------。前作の「チーム・バチスタの栄光」に比べれば、ややヒート・ダウンしたかなと感じられてしまう。今回は特に、登場人物が多くなり、多視点になった分、白鳥と田口が中心となるパートが少なく、それによって物語の濃度が薄まってしまったように思われる。また、今回起きた事件も、それほど大きなものではなく、且つ、さほど不可解な事件というほどでもない。よって、ミステリとしても弱くなってしまい、それによって白鳥が力をふるうというほどの事件ではなかったように思われる。では、この作品が面白くないのかと言えば、そんなことはない。この作品は、ミステリという枠から抜け出したエンターテイメント作品として付き合っていくのが正しい読み方であろうと思う。そう考えれば、この作品は、様々な要素が詰まった、充分に楽しめる作品になっていると言えるだろう。前作から引き続き登場する人物達に加えて、新たに登場する(それぞれ妙なあだ名が付いた)病院の専門医たちと看護婦。さらには、やっかいごとを振りまく年少の患者たち。そして、奇妙なとりあわせのコンビの刑事に、瀕死の歌姫とそのマネージャー。これだけ変な人たちが、オンパレードで登場して話が面白くならないはずがない。前作の出来が良すぎたために、この作品に対しては辛口になってしまうかもしれないが、そういうことはさておいて、シリーズもの特有の楽しさを享受したい作品だ。 >> 続きを読む
2021/09/15 by dreamer
西永良成 , アレクサンドル・デュマ・フィス
あなたがじぶんのためではなく、あたしのためにあたしを愛してくれるから久々に、時間を忘れて一気読み。あとがきまで入れると500頁弱ありましたが、集中すると短時間で読めてしまうのですね。合間に自分の感想をメモする余裕もありませんでした。それほどおもしろかったです!作者はアレクサンドル・デュマの息子(フィス)さんで、自身の経験に基づいた作品。「体験の辛さをそのまま語ればいい」と言っていますが、二十四歳で、しかも1ヶ月でこんな素敵な作品を完成させるってすごい。やはり才能ですね。マルグリット・ゴーティエは、パリの社交界で金持ち貴族を相手にする高級娼婦。奔放で、豪遊しながら生きていたのは、病気で自分は長くないことを確信していたから。自分は商品であることをわかっていたから。人を愛することができなかったマルグリットを、アルマンは娼婦としてではなく、一人の女性として誠実に愛します。マルグリットは気高く美しい。同性として、彼女は理想の女性像でした。愛する人のためにいさぎよく身を引き、病苦の末に亡くなります。彼女は日記や手紙をアルマンに残しましたが、私なら真実を胸に秘めたまま、愛情があることを伝えないままひっそり終わらすと思います。伝える勇気がない、と言った方が正しいかも。そんなところも含めて、彼女に女性としての魅力を感じます。アルマンのひどい行動も、マルグリットの美しさをより高めているの私はOKです。実際あんなことをされると辛いけれど、何も反応がないより遥かに嬉しいと思う。後半は涙ボロボロでした。二人の愛に、ではないです。マルグリットの誇り高い生き方に感動しました。「ムーラン・ルージュ」に似ているなぁと思っていたら、「ムーラン・ルージュ」は「椿姫」と「ラ・ボエーム」を元に創作した、と書かれていました。この手のストーリーが好きなのかも。私も清らかな誇りを持って、強く生きていきたい。 >> 続きを読む
2017/05/07 by あすか
劇団ひとり
「マルチタレント」と呼ぶにふさわしい劇団ひとり氏の小説家デビュー作。40ページほどの短編を5話収める連作短編集だ。個々が独立した短編ではなく、それぞれの編が他の編に影響を与える構成は上手い。叙述トリックも使用しているし、且つ読みやすさは抜群だ。しかし、私にとっては「上手い」という感想以上のものが出てこなかったのも事実。私自身の問題もあるだろうが、登場人物に今一つ共感できず、どこまでも他人事として読んでしまう。さきに「そのノブは心の扉」を読んでいなければ別の感想も出てきたのかもしれないが・・・。2006年刊行当時は、「お笑いタレントが本気で書いた小説」ということで話題を集めたそうだ。10年も経って、本職のお笑い芸人が芥川賞を受賞することになるとは・・・時代の先駆けという点では評価されるべきだろう。でも私はエッセイの方が断然好きだ。 >> 続きを読む
2016/08/18 by 飛車香落ち
田中芳樹
銀河英雄伝説 第10/10巻。長かった銀河英雄伝説の正伝全10巻を読み終えた。架空の戦記ものはグイン・サーガのような中世的な世界観には抵抗が無いものの、宇宙を舞台したような未来設定のものには正直苦手意識が有った。銀英伝はまさに宇宙が舞台の作品だが、魅力溢れるキャラクターと、三国志を思わせる壮大な国家間の駆け引きは非常に読み応えが有り、満足度も高い。振り返って強く印象に残っているのは視点の有り様。個人として、家庭人として、そして組織人として。また、戦闘においても、戦略と戦術の違いには大いに考えさせられるものが有る。人はプライベートでも組織内でも、様々な立場に置かれ、どの視点で見るかによって、正義の意味合いも変わっていく。言葉にすれば「バランス感覚」と言う陳腐なものになってしまうが、必要な局面で、スピードを持って、その後の自分が支持できる判断を下していくためには、やはり常日頃から多くのケースについてシミュレーションしておく必要が有るのではないかと思わされた。全体を通じての主役としては、やはりラインハルトとヤンになるのだろうが、感情を揺さぶられたのは、ロイエンタールとメルカッツ。それぞれの生き方に美学を見出し、大いにシンパシーを感じた。 >> 続きを読む
2015/06/03 by ice
司馬遼太郎
7巻まで読んで、改めて自分が関西方面に行った経験が少ないと思った。司馬さんは大阪に住んでらっしゃったので、その文章からも近くでよく知っているように感じられる。甲賀と伊賀なんて忍者イメージしかないのだが、実際に戦場諜報の技術にたけ、戦国期の諸国の大名や小名に役立っていたらしい。山の中歩くのがあんまり好きじゃなくて、行ってみたいとは思わないのだが、話自体は興味深い。読書ログって、「街道をゆく」が43巻もあるのに、タイトル表示が常に「街道をゆく」としか出ないから、何本レビュー書いても同じ本を読んだみたいに表示されるのが不満。きっといつもレビュー読んでくれている方々も読んですらくれなくなって寂しい。 >> 続きを読む
2014/04/12 by freaks004
あずまきよひこ
よつばと! を読み進めていくうちに、いつの間にか足にまとわりつくよつばの姿を想像し、いつの間にか親の目線になっている自分に気がつきます。お祭りのシーンは、初めて読むのにまるでよつばの写真アルバムを見ているかのよう。初見なのに勝手に当時を思い出して夏本番これからなのに、「終わったなぁ、今年の夏も」みたいな気持ちになっていますw 重傷だww >> 続きを読む
2014/07/05 by ブービン
翔田寛
乱歩賞~。戦後の混乱時に起きた誘拐事件。警察ったら身代金の現場にいながらも失敗。そしてその誘拐された5歳の男の子が生死不明。そして15年後・・・うん。読み応えありました。結構好きなパターンのお話でしたが、神崎グループと輪島グループが混乱してしまいまして、一気に読まないと分かりづらい話でもありました。なんっていうか・・・暗い(爆)『自分は誘拐された子供なんだ』『自分を誘拐した母親が自分を育てたんだ』という負の無限ループに陥ってしまった良雄。違う。そうじゃない。実の親子だ。勘違いしているに違いないと、恋人の幸子は本当の親子であろうとする証拠を集めるために奮闘するんだけど、浮き上がってくる物証は良雄が誘拐されたというものばかり。幸子の頑張りに心打たれました。全体的に暗い中、ラストはそれなりに明るい終わり方でした。 >> 続きを読む
2013/09/24 by igaiga
五月女ケイ子
ゆるい(´Д`;)こうしてみると内容も内容ですね。(amazon)ケイ子が古事記を描きました!古典なんてお堅くて……なんて思っているそこのあなた!あの、大人気イラストレーターが、他の本とはひと味もふた味も違う神々を描きました。五月女ワールド全開の「古事記」をご堪能あれ!! >> 続きを読む
2018/10/26 by motti
出版年月 - 2008年8月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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