読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)
森見登美彦
1クリック登録
山本周五郎賞受賞作品。親指を他の4本の指で包み込むように握ってお見舞いする鉄拳「おともだちパンチ」の紹介から始まる本書は、いい意味で酔っぱらいが書いたような小説でオフスプリングの5thアルバム「アメリカーナ」のような爽快感に満ち溢れている。登場人物である先輩の「だ・である」調の文体と黒髪の乙女の「です・ます」調の文体が交互に登場し、独特のリズム感をもたらしている。東堂という経営者が黒髪の乙女を揺らし、ついでに胸の中に手を入れ乳を揺らすというセクハラまがいのことを平然とするのは如何なものかと思った(黒髪の乙女も不思議と抵抗しない)。「詭弁論部」というネーミングの大学の文化系のサークルが登場するのは「映像研には手を出すな!」のメロディック・ハードコア部みたいなノリで楽しかった。飲み会で酔っぱらいの男性が黒髪の乙女に向かって「自分が惚れた男と結婚するのと惚れてない男と結婚するのとじゃあ、惚れてない男と結婚する方がいいよね」ということを話したのは、ちょうど同時並行で読んでいた「しょぼ婚のすすめ」(えらいてんちょう著)でも似たようなことが書かれていたので面白かった(ちなみに内田樹も同系統の思想の持ち主である)。先輩が黒髪の乙女と会うために「下鴨納涼古本まつり」という古本市に出かけた際、黒髪の乙女がジェラルド・ダレル「鳥とけものと親類たち」という本を読んでいた時、先輩が「そんなやつを読む暇があったら、むしろ私を読みたまえ、なかなかオモシロイことが色々書いてあるよ」と独白したのは「ヘブンズ・ドアか」とツッコミを入れそうになった。そのあとも先輩が「なるべく彼女(黒髪の乙女)の目にとまる作戦」(通称・ナカメ作戦)を敢行し「世界ボーッとする選手権」などの楽しいパワーワードも出てくる。ちなみに本書は、乃木坂3期生・久保史緒里が「黒髪の乙女」役の舞台化もされている。 >> 続きを読む
2021/07/29 by tygkun
フランソワーズ・サガン , 河野万里子
【やるせない残酷さ】 久し振りにサガンを読んでみました。 学生時代に読んだきりでしたが、たまにはということで。 17歳のセシルと、彼女の40代の父親であるレイモンは、南仏の別荘に夏のバカンスに出かけました。 父はまだまだ若々しいプレイボーイです。 これまでにも多くの女性と交際してきましたが、今度は20代の(半ば玄人と表現されている)恋人エルザを伴ってのバカンスです。 セシルからすれば、仕方ない父親だとは思うものの、確かに父親には魅力があり、無軌道とも言える生活はセシルも気に入っていました。 しばらくは3人で自由気ままに夏を満喫していたのですが、ある夜、父が「客が来る」と言い出したのです。 その客とは父と同年代ながら、父のように浮ついたところはない、美貌のアンヌという女性でした。 セシルは、女性としてアンヌは大変魅力がある人だと思っており、また、女性としての比較ならばエルザなんかよりもアンヌの方が数段素晴らしい女性だとも思っていました。 父はアンヌなんか別荘に呼んでどうするつもりだろう? エルザのことはどうするの? 案の定、しばらく後にエルザは別荘から出て行ってしまい、あろうことか父とアンヌはバカンスが終わったらパリで結婚すると言い出したのです。 父は、家庭に入って真面目な夫を務めることなんてできないと、セシルは思いました。 また、しっかりしたアンヌが父と自分だけの奔放な生活に立ち入ってくるならば、自分にも大きな影響が及ぶだろうし、これまでのように好き勝手な生活をしていくことは許されないだろうとも思いました。 セシルは、この別荘地で、既に年上のシリルという素敵な男性と知り合っており、シリルは熱烈にセシルを愛するようになっていました。 しかし、アンヌはそんな二人の関係にも良い顔をしません。 「そういう関係は最後は病院で終わることになるの。」と言い、シリルに対してセシルから離れるように言い渡します。 セシルは、自分もシリルを愛していると、その時は思っていました。 勝手に二人の仲を裂くなんて、と。 しばらく後、エルザが別荘に置きっぱなしにしてあった荷物を取りに来ました。 エルザは、既に新しい恋人ができたのだと話します。 セシルは一計を案じます。 このままでは父とアンヌが結婚してしまう。 何とかアンヌを追い出して父と二人だけの生活を取り戻したいと。 そこで、セシルは、エルザとシリルが交際しているふりをして父に見せつけるようにそそのかし始めたのです。 そうすれば父は必ずエルザのところに戻ってくると焚きつけて。 シリルに対しても、アンヌがいる以上、あなたとおつきあいはできないのだから、何としてでも協力してもらってアンヌを追い出すのと迫ります。 さて、セシルの計略はうまく行くのでしょうか? 本作は、ご存知の通りサガンのデビュー作です。 この作品を書いたのはサガンが18歳の時だというのですから恐れ入ります。 壊れやすい感情、まだ若いセシルの不安定な気持ち、南仏の夏の美しい描写。 サガンがいかに早熟だったかがうかがい知れます。 サガンが書いたのは18歳の時だったにせよ、どうやら18歳の私にはあまりよく読み切れていなかった作品だったようです。 >> 続きを読む
2019/09/14 by ef177
村上春樹 , トルーマン・カポーティ
「いつの日か目覚めて、ティファニーで朝ごはんを食べるときにも、この自分のままでいたいの」とてもチャーミングなオードリー・ヘップバーンがこちらを見つめる有名なジャケットは、映画を観ていなくても誰しもが知っているでしょう。一目見て、忘れられなくなるくらいキラキラしています。でも、映画を観ていない私が本書を読んだ脳内映像の主役は、マリリン・モンローでした。型破りで自由奔放、一つ一つに色気のあるしぐさはオードリーではありませんでした。ここまでホリー・ゴライトリーの印象が違うと、映画→原作の人は困惑するだろうし、原作に満足してしまうと映画を観ようという気は起らなくなるかもしれません。私は後者です。収録されている短編3作を含め、雰囲気が良くて、おしゃれで、登場人物と共に会話を楽しんだり、悲しくなったり。本を読んでいて、とても満たされました。囚人宿舎の中でギターを弾く新人囚人により、生きていることを思い出した風景(『ダイアモンドのギター』)、花盛りの家、親友とクリスマスツリーを切りに行った日のこと(『クリスマスの思い出』)、なんて色彩が豊かなのでしょう。それと、どれもラストが好みでした。ホリー・ゴライトリーには、自分らしく幸せであってほしい。主人公の想いに共感しました。それぞれ短編の主人公にも同じことを思いました。 >> 続きを読む
2018/07/07 by あすか
伊藤計劃
HTMLならぬETMLというプログラミング言語のタグが随所に散りばめられていて感情描写を補佐している。単に見た目を凝っている訳ではなくて最後にその理由が明かされて「おぉー」となった。主人公の女性を代表として登場人物全般が非常にドライでサバサバで感情的にならないにもかかわらず、物語は着実に盛り上がってクライマックスに向かって読む方の感情はぎゅぎゅっとなっていくのが気持ちいい。ジャンルはSFに分類されるようだけど、自分が本作をほぼ純文学として楽しんだのは結局、この世界の価値観と主人公の価値観の違いによるマイノリティ意識とか、友人や親類に対する感情とか、そういった人の心の動きをとても丁寧に追っていて、終盤のオチに至るまでの価値判断とかまでがとても人間的だったからだと思う。本作はエヴァンゲリオンに似ているという評価があるようだ。最後のオチ以外は全く似ていないが、確かにエヴァの人類補完計画が宗教的な終末だったら、本作は科学的な人類補完計画かも。<以下印象に残った本文や、他者レビューを備忘録> ※ややネタバレ※「わたしは逆のことを思うんです。精神は、肉体を生き延びさせるための単なる機能であり手段に過ぎないかも、って。肉体の側が生存に適した精神を求めて、とっかえひっかえ交換できるような世界がくれば、逆に精神、こころのほうがデッドメディア(フロッピーディスクのような)になるってことにはなりませんか。」「人類は身体の健康を外注に出し、人体を標準化するため、制御下に置いた。では、なぜ意識だけが、そうしてはならない聖域たりうるのだろうか。」「とても綺麗な人類滅亡劇」 >> 続きを読む
2021/05/01 by W_W
天童荒太
「包帯クラブ」と波長は同じようなものを感じましたwある暗い思いこみがあって、それが原動力となって突き動かされるというものが同じように感じたのと、情報がネットで盛り上がるというところなんかもね。しかしこの作品は今まで以上にもっと深く生と死、誕生とか死去にこだわってるのを感じました。末期ガンのお母さんの最期のほうの描写がストレートに響きました。 >> 続きを読む
2018/07/07 by motti
安房直子
とても透明感のある短編の作品集、オカルトとメルヘンの案配が絶妙で不思議さを醸し出す物語の世界観が良い。 >> 続きを読む
2021/01/26 by aki0427k
BayardPierre , 大浦康介
視点がとても面白かった。タイトル的にギャグ的な軽い本と思いきや、少し難しめのしっかりした文章と構成だった。読んでいない本を堂々と語る方法というが、私はそんな勇気はない。世の中には膨大な本の数があり、それとともに膨大な物語の数がある。生きているうちに読める量はほんの一部でしかない。本好きとしては悲しい現実だが、でもやはりしっかりと本を読みたいと思った。 >> 続きを読む
2016/11/04 by snoopo
恒川光太郎
不思議な町、美奥を舞台にした短編集。屋根しょうじょうと、天下の宿が好きだった。屋根神とか、飲むと他の生き物になる薬とか苦解きの天下とか、やっぱり発想がすごい。特に苦を解くためのボードゲームの場面はぐいぐい引き込まれていく感じ。最後の話もめくるめく世界で、なんだか読みながら頭の中がぐらんぐらんしていく感覚。癖になる恒川ワールド。 >> 続きを読む
2016/11/19 by もんちゃん
誉田哲也
はたして「ジウ」とは、何か。ここではあえて書きません。「ストロベリーナイト」とは違ったグロさやスピード感が有り想像を上回る面白さ。また女デカのキャラが二人違うのが面白い。Ⅱに続く様なので楽しみです。 >> 続きを読む
2019/09/15 by rock-man
宇野利泰 , レイ・ブラッドベリ
【コンセプトは抜群なんだけれど……】 随分久しぶりにこの作品を再読してみました。 私が最初にこの本を読んだのはもう遥か昔だったと思うのですが、その時はコンセプトの衝撃が凄まじかったこともあり、粗筋は今回再読する時点でもよく記憶に残っていました。 本作の舞台は、書物が禁止されているという未来社会です。 主人公は、モンターグという焚書官です。 焚書官というのは、『逆』消防士のようなもので、禁じられている書物を持っている者が発見されるとその場所に急行し、焚書車から石油をまき散らして書物に火をつけて燃やしてしまうことを仕事としている者たちなのです。 モンターグは、最初はこのような本を燃やす行為に何の疑問も持たず、喜びさえ感じており、笑いながらこの仕事に当たっていました。 ところがある日、隣に住んでいるというクラリスという少女から話しかけられ、これまでの自分の仕事に疑問を抱くようになっていくのです。 モンターグの疑問はどんどん膨らんでいき、遂には自ら本を読んでみるようになってしまうのです。 そして、書物を禁じているこの社会に決定的な不信感を持つようになり、くだらない内容のテレビやラジオに心を奪われている呆けたような人々の姿に嫌悪感を抱くようになるのです。 結末はあまりにも有名であり、ここには人間の書物に対する愛情や信頼が描き出されていて、名作と評価される作品であることも頷けます。 さて、今回本当に久しぶりに再読してみて、コンセプトの素晴らしさについての感想は変わることはありませんでしたが、初読時には全く気にならなかったのに、今回はかなり気になってしまった点がいくつかありましたのでその点について触れてみたいと思います。 まず第一点目は、主人公モンターグの行動の稚拙さ、無思慮振りについてです。 モンターグは、自ら焚書官をしているくらいですから、この世界で書物が禁じられていること、それを所持したり読んだりすると厳罰に処せられることは痛い程分かっていたはずです。 それなのに、書物に目覚めた後の行動があまりにも短絡的で無思慮過ぎると思えてなりませんでした。 書物を所持していること、読んだことなどが明らかになればすぐに密告されることは分かり切っているというのに、怒りにまかせて妻の知人の前に本を持ち出し、その詩を朗読してしまうなど、いくらなんでもそんなことするか?という点が非常に気になりました。 モンターグはこの世界の恐ろしさを知り抜いているはずではないですか。 それなのにその行動は稚拙であり、無思慮過ぎ、幼稚なものに思えてなりませんでした。 第二に、モンターグを目覚めさせたクラリスというキャラクターの扱い方についてです。 彼女は本作で重要な役割を果たしているのに、ある時点でぱったりと消えてしまい、おそらく死んだのであろうということで片づけられてしまいます。 これはあまりにももったいない構成に思えてしまったのです。 第三に、物語の展開、語り口が、今から読むとどうしても陳腐と思えてしまう点があちこちにあるように思いました。 まあ、この作品が書かれたのは1953年ですから、それも致し方ないところもあるのですけれど。 第一に書いたモンターグの行動の問題も、そういう点が影響しているようにも思えます。 主なところではこんな点が気になったのですが、コンセプトが大変すばらしい作品だけに、読み返してみるとこれらの点が本当に惜しいと思えてなりませんでした。 ブラッドベリが存命であれば、是非、書き直していただけたらと思ってしまうのですが、それももう叶わないことです。 今更本作に手を入れようと考える作家もなかなかいないでしょうから、あるとすれば再映画化などで脚色し直すこと位しか期待できないのかもしれませんが、初めてこの作品をこれから読むという読者にとって、私が気がかりに思った点がマイナスに働かなければ良いけれどと、老婆心を抱いてしまったのです。読了時間メーター■■■ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/03/23 by ef177
綾辻行人
「十角館の殺人」を読んで館シリーズ読むぞと手を伸ばしたものの、図書館にあったのはこの「びっくり館の殺人」。館シリーズ8作目。この作品の語り手が本屋で「迷路館の殺人」を購入するところから中村青司の名前に強く反応し、十年半前に起こったクリスマスの夜の殺人事件を思い起こします。やっぱりなと思ったけれど、「迷路館の殺人」も館シリーズの一つですね。それに加えて少年少女向けの作品だったとは。刊行順に読むのが一番ですね。悪魔的要素のある作品って怖いと思いませんか。6月6日生まれの死んだ姉、梨里香。悪魔の子と言われた子ども。途中まで全く気が付かなかったのですが、オーメンですね。オーメンの怖さって、愛情を受けて育っても、彼自身が悪魔の子だから関係なく不可解な出来事が起こるところにあると思うのです。古屋敷一家は複雑な事情がありましたが。どうあがこうとも、不幸な結末に導かれてしまうことに、心がざわざわしてしまうんですよね。どんなに頑張って状況を好転させようとしても、「悪魔だから」どうしようもできないんです。なんだか納得いかない。笑この作品で一番ゾッとしたのは、あおいの誕生日に「別のものをあげる」をあげるといったシーンです。ぜひ読んでみてください。厚みの割に、2時間あれば読み終えることができます。大人が読むには少し物足りなさを感じました。 >> 続きを読む
2021/04/29 by あすか
鴻上尚史
12の物語を紹介しつつ、それを読んだ時の思いや、今の若者達に受け入れられるかな、とか不安を覚える弱い部分もさらけ出して、味のある本でした。12の物語の中で知っているのは2つだけ。それ以外の10を読むかはわからない。その物語の事よりも、鴻上さんが、それを読んでどう感じたか、の方が100倍面白かった。鴻上尚史の経験や考えを堪能した気分です。読書ログで私が、この人のレビューは読む!と決めている人は、その人が紹介している本そのものよりも、そのレビュー自体が、もう既に物語だと思うのです。そこから先、その本を読むかどうかは、単純な好みや、時間の制約など。そのレビューが面白いし楽しい。だからやめられない。この本は薄いので、早い人は1時間もあれば読めてしまうかもしれないけど、私は途中で、じっくり考えたり、わかる~と共感したり、すごいな、ここまで考えるのか、と驚いたりしていたので、けっこう時間がかかりましたが、至福の時間でした。楽しかった~!!また他の作品も読みたいと思える幸せ! >> 続きを読む
2018/06/05 by チルカル
宮部みゆき
ぼんくらな同心が事件に迫る長編ミステリー、ぼんくらの続編まさかぼんくらの話が関係するとは、、すっかり忘れてたので、きっとこの人ぼんくらでいい役してたんだろうって人が出てきた時、わーってなるだろう場面も無感動で終わった。 >> 続きを読む
2014/11/14 by bob
三崎亜記
7つの短編が収録された一冊。一作目の『二階扉をつけてください』は少しSF的でブラックユーモアが効いていて、世にも奇妙な物語で放送されそうなストーリー。ほかの作品も微妙な異世界感があり、その設定を特に掘り下げることはないのですが、その感覚も不思議と楽しめました。 >> 続きを読む
2015/09/28 by ikomot
梨木香歩
【ぬか漬けは大好きです】 何とも不思議な物語でした。 主人公久美の家には代々伝わるぬか床がありました。 最初はぬか漬けなんてつけるつもりは無かったのですが、半ば押しつけられるようにぬか床の世話をさせられるハメに。 このぬか床、変なんです。 相性の悪い人がかき混ぜたりすると、「ぐぇっ」とうめいたりするのだとか。 久美はどうやらぬか床に認められた様です。 ぬか漬けも、やり始めてみるとそれほど嫌なものでもなく。 毎日、ぬか床をかき混ぜてはせっせとぬか漬けを作るようになりました。 ところがある日……。 ぬか床の中に卵が出来ているではないですか。 何だこりゃ? どうやら60年に一度位、ぬか床が卵を産むことがあるらしいというのです。 何だか薄気味悪いのですが、その卵を割ってみる勇気もなく、ぬか床に入れっぱなしにしておいたのです。 そうしたところ、数日後、卵が割れているではないですか。 そして、おそらくその卵から生まれたらしい男の子が台所に座っているのです。 何だこりゃ! 最初、その男の子は影が薄かったのですが、食べ物を食べさせている内にどんどん実体化していくというか、しっかりしたカタチになってきました。 ぬか床にはまだ割れていない卵も入っています。 まさか、さらに誰かが生まれてくるの? はい。そうです、また一人生まれてきたのです。 何とも不思議でしょう? どうやら、このぬか床には、久美の祖先が住んでいた沼のある島が関係しているらしいのですね。 久美は、ぬか床を島の沼に帰すことを決意するのですが……。 微生物、粘菌、発酵、そんな概念が飛び交い、何とも摩訶不思議な世界が繰り広げられます。 難解と言えば難解。 しかし、こんな作品書けるの梨木さんだけだろうなぁ。 >> 続きを読む
2019/11/08 by ef177
吉本ばなな
田舎ではそう強く生きられない、というのはすごくよく分かる。50年くらい前なんかは「東京はおっかない」とか「都会の人間は冷たい」なんて言われたりしていたが、この作品が書かれたあたりからは田舎=温かみのある場所ではなくなり、人々にとっても冷たくても放っておいてくれる都会の方が「優しい場所」になってしまった。ミノ君達は生活保護で暮らしているんだろうか?占い師まがいのことをしているらしいが、それだけじゃ二人分の生活費と医療費を捻出するのは不可能だよなあ・・・。 >> 続きを読む
2017/08/27 by kikima
矢川澄子 , GallicoPaul
穏やかな静謐な文章で綴られている。雪の結晶を主人公として、その一生が物語風に語られている。雪も生まれ、時を過ごし、いろんな思いの中で明日へ進む。それは、必ず、世界の中での役割があって周囲とのつながりがある。生命の尊厳。 >> 続きを読む
2020/07/23 by けんとまん
IrvingJohn , 岸本佐知子
足掛け3年でようやく読み終えた。人種、国籍、宗教、混沌のインドを舞台に、帰属を持てない人達の物語。ジョン・アーヴィングは好きで何冊か読んでいるけど、他とは違う感じ。読み終わった後の今でも、続いている感じがする。自分は何者なのか?を、考えさせられた。たぶん「Rockのひと」なんだろうな。と言うか、そうありたい。 >> 続きを読む
2017/10/19 by まさあき
橋本紡
久々にまだ読んでいない橋本紡作品。やっぱりこの人の作風好きだな。最後の永代橋がとくによいです。 >> 続きを読む
2018/03/26 by kaoru-yuzu
今回は、出産がテーマなのかな。と漠然と思った。勿論、よしもとばななさんの感性で書かれているので、他のモノとはピシャリと一線を引くものだ。出産を体験した作者が、主人公に、出産も死も近しいことで、体に任せるしかない。と言わしめているところが、印象に残った。主人公と、それに係わる人間関係が規格外なのも、よしもとばななさんらしい。 >> 続きを読む
2016/05/23 by shizuka8
出版年月 - 2008年11月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
ページの先頭に戻る
会員登録(無料)
レビューのある本