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2008年11月発行の書籍

人気の作品

      夜は短し歩けよ乙女

      森見登美彦

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! ybook niwashi 2hak1 Tukiwami
      • 文句なしの5つ星!
        いや、実はストーリーはそこまででもないw

        だけど噂に聞いていたナカメ作戦。
        本作に出てくる数々の技、作戦、集団はとても素晴らしい。
        おともだちパンチ、閨房調査団、偽電気ブラン、古本市の神、ご都合主義、偏屈王、etc、etc。

        そしてやはり私の我儘で一途で不器用な愛情表現に心打たれ、共感せずにはいられない。

        ボク自身想う人がいる、その人に振り向いて欲しくて、日々邁進する。その気持ちを強く再確認出来た。
        >> 続きを読む

        2019/06/30 by ヒデト

    • 他42人がレビュー登録、 175人が本棚登録しています
      悲しみよこんにちは

      フランソワーズ・サガン , 河野万里子

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • --アンヌ、アンヌ! 闇の中で、私は彼女の名前を、低い声で、長い間繰り返す。すると何かが胸に込み上げてきて、私はそれをその名のままに、目を閉じて、迎え入れる。悲しみよ、こんにちは。--


        悲しみの果てに何があるか・・・

        そんな問いの歌がありましたが、その答え、
        悲しみよ、こんにちは、
        ではないかと思っていまして。


        遠ければ遠いほど、対象は美しくなると思っています。
        美しいと感じる星や太陽、素敵な外見の女性でもいいですが、近づきすぎると生々しさが勝ってしまい、どこかの点から先は美しいとは思えなくなってくると思います。
        距離を取るから、美しい。

        死、などもそうで、実際には見ることも耐えない恐ろしい事象ながら、死という単語で抽象化することで、小説や映画では、非常な美しさでもって厳かに扱われる。
        抽象化とは、距離を取ること。
        離れるから、美しい。

        見たくない、会いたくない、嫌い、考えたくない、
        そんな人でも、徹底的に遠く離れて、風景画の中の点描写される人物のようになれば、背景の自然と一体化し、美しい対象に転化すると。

        遠ければ遠いほど、ものごとは美しくなる。
        何かを美しく思えないとは、適切な距離をまだとっていないから。

        そんなことを、思っています。

        悲しみも同じじゃないかなと。
        自分を傷つける、辛い、痛い、引き裂くような感情。
        これもまた、時間と共に、少しずつ距離がとれていく。
        適切な距離に至れば、その悲しみすらも美しく感じられる。
        だから過去は、必ず美化される。

        あまりに離れてしまうと、風景画の中の点のように、見失って、忘れてしまう。
        近すぎると辛すぎる。けれど、忘れてしまいたい程遠くに離れたいわけではない。

        だから、大事な宝箱にそれを閉まって、心がそれを求めた時にひっそりと呼び出す。
        悲しみよ、こんにちは。

        素敵な作品と、沁みじみ感じます。


        --物憂さと甘さが胸から離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しくも美しい名前をつけるのを、私はためらう。その感情はあまりに完全、あまりにエゴイスティックで、恥じたくなるほどだが、悲しみというのは、私には敬うべきものに思われるからだ--

        >> 続きを読む

        2017/08/18 by フッフール

    • 他12人がレビュー登録、 28人が本棚登録しています
      ティファニーで朝食を

      村上春樹 , トルーマン・カポーティ

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! Minnie
      • 「いつの日か目覚めて、ティファニーで朝ごはんを食べるときにも、この自分のままでいたいの」

        とてもチャーミングなオードリー・ヘップバーンがこちらを見つめる有名なジャケットは、映画を観ていなくても誰しもが知っているでしょう。
        一目見て、忘れられなくなるくらいキラキラしています。
        でも、映画を観ていない私が本書を読んだ脳内映像の主役は、マリリン・モンローでした。
        型破りで自由奔放、一つ一つに色気のあるしぐさはオードリーではありませんでした。

        ここまでホリー・ゴライトリーの印象が違うと、映画→原作の人は困惑するだろうし、原作に満足してしまうと映画を観ようという気は起らなくなるかもしれません。
        私は後者です。
        収録されている短編3作を含め、雰囲気が良くて、おしゃれで、登場人物と共に会話を楽しんだり、悲しくなったり。
        本を読んでいて、とても満たされました。
        囚人宿舎の中でギターを弾く新人囚人により、生きていることを思い出した風景(『ダイアモンドのギター』)、花盛りの家、親友とクリスマスツリーを切りに行った日のこと(『クリスマスの思い出』)、なんて色彩が豊かなのでしょう。
        それと、どれもラストが好みでした。

        ホリー・ゴライトリーには、自分らしく幸せであってほしい。
        主人公の想いに共感しました。
        それぞれ短編の主人公にも同じことを思いました。
        >> 続きを読む

        2018/07/07 by あすか

      • コメント 12件
    • 他11人がレビュー登録、 34人が本棚登録しています
      ハーモニー

      伊藤計劃

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! KEMURINO

      • 夭折の天才作家・伊藤計劃の、美しくもグロテスクな、究極のユートピアを提示した遺作「ハーモニー」を読み終えました。

        この作品は、デビュー作の「虐殺器官」に次ぐ、長篇2作目で、星雲賞日本長篇部門と日本SF大賞をダブル受賞しています。

        そして、この作品は、病床で執筆され、刊行後、著者は34歳の若さでこの世を去りました。

        21世紀後半、アメリカに端を発する、大災禍と呼ばれる世界的な混乱の後、体内モニタリングシステム・WatchMeにより、病気はほぼ消失し、生命も身体も公共物であるという、倫理観の浸透した、徹底した福祉社会が形成されていた。

        そんな善意で満たされたユートピアへの、ささやかな抵抗として、15歳の少女たちは、餓死を選択するのだった-------。

        それから13年後、世界各地で数千人が、一斉に自殺を試みるという事件が発生し、世界は再び、恐怖と混乱の中に叩き込まれる。

        そして、あの時、死にきれなかった少女のひとりである、霧慧トァンは、事件の裏に死んだはずの友人、御冷ミァハの影を見るのだった。

        自己と他者、そして人間の意識に関する、思索の果てに提示されるのは、清々しいほどに美しくもグロテスクな、究極のユートピアの姿。

        HTMLに似たタグを多用した文章表現が、物語のテーマと密接に結び付いている点も見逃せないし、漠然とした「空気」が支配する、現代日本への批評として読むこともできると思う。

        >> 続きを読む

        2019/06/18 by dreamer

    • 他4人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      悼む人

      天童荒太

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「包帯クラブ」と波長は同じようなものを感じましたw
        ある暗い思いこみがあって、それが原動力となって突き動かされるというものが同じように感じたのと、情報がネットで盛り上がるというところなんかもね。

        しかしこの作品は今まで以上にもっと深く生と死、誕生とか死去にこだわってるのを感じました。

        末期ガンのお母さんの最期のほうの描写がストレートに響きました。
        >> 続きを読む

        2018/07/07 by motti

    • 他4人がレビュー登録、 18人が本棚登録しています
      読んでいない本について堂々と語る方法

      BayardPierre , 大浦康介

      筑摩書房
      カテゴリー:読書、読書法
      3.7
      いいね!
      • 視点がとても面白かった。
        タイトル的にギャグ的な軽い本と思いきや、少し難しめのしっかりした文章と構成だった。

        読んでいない本を堂々と語る方法というが、私はそんな勇気はない。

        世の中には膨大な本の数があり、それとともに膨大な物語の数がある。

        生きているうちに読める量はほんの一部でしかない。

        本好きとしては悲しい現実だが、でもやはりしっかりと本を読みたいと思った。
        >> 続きを読む

        2016/11/04 by snoopo

      • コメント 2件
    • 他3人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      春の窓 安房直子ファンタジスタ

      安房直子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 不思議で、不可思議で、でもどこかふんわり優しい短篇集。

        ほんとに読んでて子供の頃を想起させられるようなどこか不思議で、ちょっぴり怖くて、でも読んだ後ほぉ~っとやさしい溜め息が出る。

        こういう話って良く祖母や祖母の周りの人に聴いたなあ。

        この短篇集にはおばあさんが主人公の話があるので読んでいて祖母を思い出したし、ほんと童話や「まんが日本昔ばなし」を観ているような感じに囚われた。(良い意味で)

        表題の「春の窓」と、「北風の忘れたハンカチ」はとても清々しい気持ちになった。

        「「日暮れの膿の物語」と、「天窓のある家」「海からの贈りもの」はちょっとドキッと、ゾワッとした。

        「海からの電話」と「小さい金の針」、「星のおはじき」はふふっと思えて尚且つちょっとおっ?となる話。

        途中からこの童話、寓話の癖が慣れてきて早く続きが読みたいっ!と思って一気読みした。

        こういう作品って中々読まないから読めて良かった。

        個人的に「春の窓」に出てきた少女と主人公のその後が読みたいな♪

        また、良い読書体験が出来ました。
        >> 続きを読む

        2015/05/18 by 澄美空

      • コメント 6件
    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      草祭

      恒川光太郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 不思議な町、美奥を舞台にした短編集。

        屋根しょうじょうと、天下の宿が好きだった。
        屋根神とか、飲むと他の生き物になる薬とか苦解きの天下とか、やっぱり発想がすごい。
        特に苦を解くためのボードゲームの場面はぐいぐい引き込まれていく感じ。

        最後の話もめくるめく世界で、なんだか読みながら頭の中がぐらんぐらんしていく感覚。

        癖になる恒川ワールド。
        >> 続きを読む

        2016/11/19 by もんちゃん

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      陰獣

      江戸川乱歩

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.8
      いいね!
      • これは傑作。
        表題作は本格ミステリとして非常に堅実な仕上がり。
        「蟲」は乱歩の異常心理描写の巧さが光っている。
        昔の作品は今読むとつまらないものと今読んでも面白いものとに二分されるが、乱歩とか横溝は見事に後者。
        >> 続きを読む

        2018/12/31 by tygkun

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      人生に希望をくれる12の物語

      鴻上尚史

      講談社
      カテゴリー:読書、読書法
      4.0
      いいね!
      • 12の物語を紹介しつつ、それを読んだ時の思いや、今の若者達に受け入れられるかな、とか不安を覚える弱い部分もさらけ出して、味のある本でした。12の物語の中で知っているのは2つだけ。それ以外の10を読むかはわからない。その物語の事よりも、鴻上さんが、それを読んでどう感じたか、の方が100倍面白かった。鴻上尚史の経験や考えを堪能した気分です。読書ログで私が、この人のレビューは読む!と決めている人は、その人が紹介している本そのものよりも、そのレビュー自体が、もう既に物語だと思うのです。そこから先、その本を読むかどうかは、単純な好みや、時間の制約など。そのレビューが面白いし楽しい。だからやめられない。

        この本は薄いので、早い人は1時間もあれば読めてしまうかもしれないけど、私は途中で、じっくり考えたり、わかる~と共感したり、すごいな、ここまで考えるのか、と驚いたりしていたので、けっこう時間がかかりましたが、至福の時間でした。楽しかった~!!また他の作品も読みたいと思える幸せ!
        >> 続きを読む

        2018/06/05 by チルカル

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      日暮らし

      宮部みゆき

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! niwashi
      • ぼんくらな同心が事件に迫る長編ミステリー、ぼんくらの続編

        まさかぼんくらの話が関係するとは、、すっかり忘れてたので、きっとこの人ぼんくらでいい役してたんだろうって人が出てきた時、わーってなるだろう場面も無感動で終わった。 >> 続きを読む

        2014/11/14 by bob

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      バスジャック

      三崎亜記

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • 7つの短編が収録された一冊。
        一作目の『二階扉をつけてください』は少しSF的でブラックユーモアが効いていて、世にも奇妙な物語で放送されそうなストーリー。
        ほかの作品も微妙な異世界感があり、その設定を特に掘り下げることはないのですが、その感覚も不思議と楽しめました。

        >> 続きを読む

        2015/09/28 by ikomot

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      みずうみ

      吉本ばなな

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 田舎ではそう強く生きられない、というのはすごくよく分かる。
        50年くらい前なんかは「東京はおっかない」とか「都会の人間は冷たい」なんて言われたりしていたが、この作品が書かれたあたりからは田舎=温かみのある場所ではなくなり、人々にとっても冷たくても放っておいてくれる都会の方が「優しい場所」になってしまった。

        ミノ君達は生活保護で暮らしているんだろうか?
        占い師まがいのことをしているらしいが、それだけじゃ二人分の生活費と医療費を捻出するのは不可能だよなあ・・・。
        >> 続きを読む

        2017/08/27 by kikima

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      サーカスの息子

      IrvingJohn , 岸本佐知子

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 足掛け3年でようやく読み終えた。人種、国籍、宗教、混沌のインドを舞台に、帰属を持てない人達の物語。ジョン・アーヴィングは好きで何冊か読んでいるけど、他とは違う感じ。読み終わった後の今でも、続いている感じがする。
        自分は何者なのか?を、考えさせられた。

        たぶん「Rockのひと」なんだろうな。と言うか、そうありたい。
        >> 続きを読む

        2017/10/19 by まさあき

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ジウ 警視庁特殊犯捜査係

      誉田哲也

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • ジウⅢにて

        2014/08/25 by momokeita

    • 他1人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      華氏451度

      宇野利泰 , レイ・ブラッドベリ

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • いやあ、凄い・・・凄い良い意味で凄惨な作品だ。

        書いてある物全てが哲学的でSFで途轍もない情報量で人間の本質的な狡猾さと人間らしさが交じり合って・・・。ほんとに良くも悪くもこの作品を読む手が止まらない、止められない感覚に襲われた。結果とても良い読後感を味わえた。

        正直作品の内容に関しては理解らない事が多かった。でも、一個の作品、この1回の読書という観点から見た時に読んで良かったと思えたのは確か。

        自分的にはSFと言うよりかはひとつの哲学書を読んでいた感じがした。

        因みに自分は本書の様な世界は絶対に来てほしくない。本が読めないもとい本を持っているだけで罪になる世界なんか絶対に嫌だ!解説にもあったが若しかしたらそういう未来が遠からず来るかもしれないという警鐘を鳴らしたのかもしれないなとも思った。


        何にせよ素晴らしい読書体験が出来た!

        なんか纏まりが無いレビューになって仕舞ったが兎に角得難い追体験、読書体験が出来た!もう、それだけで十分だと思う!
        >> 続きを読む

        2015/10/26 by 澄美空

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      橋をめぐる いつかのきみへ、いつかのぼくへ

      橋本紡

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! chiaki
      • 久々にまだ読んでいない橋本紡作品。やっぱりこの人の作風好きだな。最後の永代橋がとくによいです。 >> 続きを読む

        2018/03/26 by kaoru-yuzu

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      イルカ

      吉本ばなな

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      2.7
      いいね!
      • 今回は、出産がテーマなのかな。と漠然と思った。
        勿論、よしもとばななさんの感性で書かれているので、他のモノとはピシャリと一線を引くものだ。
        出産を体験した作者が、主人公に、出産も死も近しいことで、体に任せるしかない。と言わしめているところが、印象に残った。
        主人公と、それに係わる人間関係が規格外なのも、よしもとばななさんらしい。
        >> 続きを読む

        2016/05/23 by shizuka8

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      神曲

      平川祐弘 , Dante Alighieri

      河出書房新社
      カテゴリー:
      5.0
      いいね!
      • 西洋美術史において、文学史において「聖書」の次に影響力を放つ、本作品。

        平川祐弘氏の、平明な口語体によって、難解で壮大な「神曲」の世界が、身近に感じられました。また、合間に挟まれる、ギュスターヴ・ドレの挿絵が、私の想像をよりその詩世界にとどめ、惹きつけ、豊潤なものにしてくれます。

        もっとも、聖書の次に重要な本作品ですし、究極を言えば、イタリア語原文、あるいは地理的にも近い故に、価値観を共有してきた、西欧言語圏、ドイツ語、英語訳で読まないと、本質が分からないでしょうし、代表的な平川裕弘氏の口語体訳か山川丙三郎氏の文語体訳を読むかで、多分に印象は違ってくるのも当然です。

        そうなると、同じ作品を訳していたとしても、翻訳者によって、また独立した「一作品」となるのであって、不朽の古典である本作を極めようとすれば、それは気の遠くなる仕事となることでしょう。

        しかし、「地獄篇」の解説で、川本皓嗣氏は、本作が字の読めるすべてのイタリア人へ向けてトスカーナ方言で書かれてある事に言及し、数百年も前の日本の言葉にこだわる必要はないのではないか、と書いています。

        とすると、口語体の平川訳が字の読める日本人には、ちょうどいいのではないでしょうか。
        ですので、とりあえず今の私には、平明な山川訳でもてんてこまいなので、「しっかり読む」のは後回しと致しましょう。

        前置きが長くなりましたが、ざっくりと感想を。

        大まかに言うと、音楽に例えるならば「地獄篇」はデスメタル、「煉獄篇」はアンビエント・ミュージック、「天国篇」はグレゴリオ聖歌、といった具合でしょうか。

        「地獄篇」では、ダンテの敬愛する詩人、ウェルギリウスが地獄の案内役を務め、当時のキリスト教世界から見て、カトリック教徒だったダンテから見て、洗礼を受けなかった者、イエスの御前、悔い改めなかった者どもの魂が、血なまぐさい描写によって、幽閉され、描かれています。

        「煉獄篇」では、引き続きウェルギリウスの案内により、神の御前、悔悛が遅かった者の魂が、また、カトリックにおける「七つの大罪」を犯した者の魂が、天国を目指して体を清めんがため、それぞれが苦行のような修練を己に積んでいます。

        「天国篇」では、俗人、ウェルギリウスに変わり、「天」に属す、ダンテが幼き頃から恋い焦がれた、神々しい美しさを持つ、天女、ベアトリーチェが案内役を務めます。
        そして、天国での、諸々の諸現象、神的な象徴である「光明」や、旧約聖書に登場する人物たちなどとの交わりから、ダンテとベアトリーチェとの間に、神学的、哲学的、天文学的な議論が交わされます。

        この三篇で、無名、著名問わず、慣れないイタリア語の人名の人物や、ギリシャ神話の登場人物、名だたる哲学者などの魂が、ダンテの裁量により、各舞台に登場しますが、一番、宗教的に物議を醸しそうなのが「地獄篇 二十八歌」

        本作はイスラーム世界では「禁書」扱いされているそうですが、それもそのはず、イスラム教の開祖、ムハンマドの魂が地獄に突き落とされているのです。その様は、ひどいものです。

        ある本で読んだのですが、ここに「ひとつの神しか認めない、一神教同士」の、問題点が浮上します。

        ダンテから見た、キリスト教世界の見地から見れば、イエスを「預言者」とは認めても、「神」であるとはしなかった、アッラーのみが唯一の神であるとした、ムハンマドは地獄に相応しいとされ、一方、イスラーム世界からすれば「アッラーのみが神であるにも関わらず、イエスなどという一預言者を神とするクリスチャンなどという不信の徒こそ、、、」という、事態が発生するのです。

        八百万の神々を認める、多神教である神道世界である日本では、悪魔的象徴である鬼すらも、地方ごとに「神様」として崇められているわけですから、一神教というものは、こうした「信仰と柔軟性」は、残念ながら両立できないということです。

        そうした厄介な一面も持ち合わせている本作ですが、「天国篇」の解説にて、平川氏が「信仰の如何を問わず、なによりもまず詩心ある人々によって解せられる詩情である。」と評するように、本作を「キリスト教文学」とのくくりで限定するのは、もったいないと感じさせられる、超大作でした。
        >> 続きを読む

        2018/02/21 by KAZZ

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      ザ・チョイス 複雑さに惑わされるな!

      三本木亮 , GoldrattEliyahu M , 岸良裕司

      ダイヤモンド社
      カテゴリー:経営管理
      3.5
      いいね!
      •  制約理論(TOC)で有名なゴールドラット博士のシリーズ本。
        今回はTOCを生産やシステム導入といった
        ビジネスの場面だけではなく、
        「充実した人生を送る」という個人レベルにまで落とし込んだ
        異色作となっています。
        小説形式ではないところも
        これまでとは違いますね。
         
         読んでみた感想は、
        正直言って面白いんですが、
        書かれていることを実践するのは
        この本を読んだだけではむりかなぁ
        と言った感じです。
         
         博士本人か(故人だからこれは無理)、
        博士にしっかり指導してもらって
        この手法を身につけた方に師事して
        これまたしっかり修練しないと
        能力として自分のものには出来ないと思います。
         
         それでも書いてあることは魅力的。

        「人はもともと善良である」
        「すべての対立は解消できる」
        「ものごとは、そもそもシンプルである」
        「どんな状況でも飛躍的に改善できる」
        「すべての人は充実した人生をすごすことができる」

        そして、「科学者のように考える」方法とは。
        よりよい人生をお望みの方は是非ご一読ください。
        何かヒントをつかめるかもしれませんよ。
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        2015/02/03 by kengo

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