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2009年3月発行の書籍

人気の作品

      アイの物語

      山本弘

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 内容紹介-------------------------------------------------
        人類が衰退し、マシンが君臨する未来。食糧を盗んで逃げる途中、僕は美しい女性型アンドロイドと出会う。戦いの末に捕えられた僕に、アイビスと名乗るそのアンドロイドは、ロボットや人工知能を題材にした6つの物語を、毎日読んで聞かせた。アイビスの真意は何か?なぜマシンは地球を支配するのか?彼女が語る7番目の物語に、僕の知らなかった真実は隠されていた―機械とヒトの新たな関係を描く、未来の千夜一夜物語。
        --------------------------------------------------------

        豊崎由美のあとがきに共感する。
        山本弘は物語で世界を変えようとしている。
        『アイの物語』は強いメッセージのこもった本だ。

        あらすじの通り、アイビスが読み聞かせるのは6つの物語。

        「宇宙をぼくの手の上に」
        「ときめきの仮想空間」
        「ミラーガール」
        「ブラックホール・ダイバー」
        「正義が正義である世界」
        「詩音が来た日」
        「アイの物語」

        こうして並ぶからこそ多少の差は出るが、すべて☆5でいい作品たちだ。
        書き下ろしは最後の2作品だけだが、その他は初出の時期がバラバラで、それを一冊にまとめてひとつの物語を紡ぐという構成力がすごい。

        一つ一つの物語を見ても、構成の上手さが光る。
        SFなので都合の良い設定を生み出しやすいとはいえ、それをどう使うかは力量次第。
        この作品では設定されたものは使いつくされる。
        情報に無駄がない。

        構成をいじって、山本弘がよりうまく伝えようとしたものは何か?
        それは「i」だよ「i」。
        人間というものは、とにかく自分のものさしではかろうとする生き物だと考えさせられる。

        作中にある通り、「フィクションは『しょせんフィクション』ではない」。
        現実の言葉だろうがフィクションの中の言葉だろうが、その言葉自体の重みは変わらない。
        それどころか、物語の方が現実より正しいことは往々にしてある。
        『アイの物語』には真実が書かれている。
        たくさんの人に読んで欲しい。

        >> 続きを読む

        2015/10/02 by ともひろ

    • 他14人がレビュー登録、 29人が本棚登録しています
      ぼくのメジャースプーン

      辻村深月

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! riiriurie
      • 辻村さん2冊目。最後まで飽きさせない。自分の想像を超える展開にただ天晴れ。図書館本ですけど自分で購入したいと思う。残虐事件とそれに巻き込まれたふみちゃんと不思議な力を持ったぼくとその不思議な力の使い方を淡々と説明してくれる秋山先生。子供は時に大人より立派だよね。これが本屋大賞でもいいなぁ。
        >> 続きを読む

        2018/07/15 by miko

    • 他11人がレビュー登録、 54人が本棚登録しています
      風に舞いあがるビニールシート

      森絵都

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      •  6短篇が収録されています。
        連作短篇集ではなく、それぞれが独立した世界を描いていますが、共通していることをあえて考えてみると、「主人公が1歩踏み出す」という、前向きな物語です。

         自分を変えるって、とても体力、気力がいることだと思います。
        例えば、恋をすると、相手の好みの物を好きになろうとしたり、自然と身体や頭が無理をするような時があります。それって、とても大変な事だなぁ、と最近年になって思う訳です。

         この短篇集では、ものすごい美男美女が出てくるとか、大事件が起るという事はないのです。

         ただ、それだけに、1歩を踏み出す事の、変わる事に慎重にならざるをえないリアリティを感じました。

         「守護神」という短篇では、大学の二部(夜間)が舞台となりますけれど、働きながら大学に行く意味を問うています。
        なんとなく、学歴がほしくて・・・の割には、仕事と大学の両立は厳しい。

         仕事が大変で時間がないから、単位がとれそうもないから、レポートの代筆の達人と言われる人に代筆を頼みたいと思うのですが、なかなか、うん、とは言ってくれない。
        何故、あなたは夜間にまで大学に行くのか、というはっきりとした理由を問われるのです。

         すべての短篇が前進するもの、でいわばハッピーエンドで後味の悪いものはないのですが、それに到る過程が色々あって、単なるめでたし、めでたしにはなっていません。

         1歩踏み出したのだから、これから大変な事もたくさんあるんだよ、そういう覚悟をした、と言うべきでしょうか。

         逃げ回ったり、言い訳したり、見ない考えないようにしていたものにまっすぐに向き合う、1歩踏み出すとは、そういう事なのではないかと思います。
        >> 続きを読む

        2018/06/24 by 夕暮れ

    • 他8人がレビュー登録、 29人が本棚登録しています
      海の底

      有川浩

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! kiki ukarei
      • 長らく積んでいた「自衛隊3部作」の一冊。今度の敵は巨大化した「エビ」。何か怪獣映画みたいな舞台設定ではあるけれど、こういう事が仮に起こった場合、警察や自衛隊はどう対処するのか?。そのようなリアルな目線で物語が進んでいく点では非常に面白く読むことができた。今回も「空の中」と同じように恋愛要素はやや少なめ。最後の方で望が夏木を追っかけて同じ職場に来るのにはニヤニヤさせられたけど。あとがきでこの後の話の続きが「クジラの彼」にあると知ったので、機会を見つけてその作品も読んでみたいと思う。
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        2017/03/18 by おにけん

      • コメント 4件
    • 他7人がレビュー登録、 69人が本棚登録しています
      瓶詰の地獄

      夢野久作

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      •  この正気と狂気の狭間がギリギリすれすれの所がとてもいいです。
        読む人によっては、このギリギリ感はひんしゅくものかもしれませんが、その不安定さが私はたまらなく好きです。

         「・・・」とカタカナの多用でリズミカルで、独自の世界を作り上げている所とても良いです。昭和の始めに発表されたそうですが、どれもとても現代的。今、読んで全然古びていないです。

         むしろ新しくて受け入れられなかったのかもしれません。「瓶詰の地獄」「死後の恋」他の短篇もとても耽美的で罪作りでとても良いです。 どの短篇も言い募るという所がくどくなく、切実で美しいと思います。
        >> 続きを読む

        2018/07/13 by 夕暮れ

    • 他6人がレビュー登録、 18人が本棚登録しています
      厭魅(まじもの)の如き憑くもの

      三津田信三

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! Tukiwami
      • 最後まで読み終わったあとに、ぱらぱらと読み返したくなる度の高い一冊。かみならやっていたはず。
        危ない世界と現実世界を行き来するような、現実離れした舞台と世界観。代々サギリという名前を付けるという決まりまではわからなくはないけど、双子をどう呼び分けるんだ、とか想像すると少し笑ってしまった。
        探偵役のとぼけたキャラもいい味で、真実を一度で言い当てる…ことはせず、濃い仮説が生まれては否定され、これでもだめなら真実は一体どんな恐ろしいものなのだ、とハードルがあがってゆく。
        しっかりと味わえる、いい作品でした。
        >> 続きを読む

        2019/04/28 by aki

    • 他6人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      ルパンの消息 長編推理小説

      横山秀夫

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! rock-man
      • 伏線、どんでん返し、意外性が詰まってます。
        警察のマニアックな描写ではなく、人間の心理や醜い部分も散りばめた作品です。
        推理小説の醍醐味も感じつつ、ハッピーエンドというわけではないけど、読み終えた後爽快感がありました。
        >> 続きを読む

        2017/11/30 by ryoji

      • コメント 1件
    • 他5人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      あの日にドライブ

      荻原浩

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 訳あってタクシー運転手に転身した牧村伸郎。
        そんな彼が仕事を続けるうちに、自身の人生を振り返っていく。

        劇的なことは起きないが、高校のころだったり、就職した銀行のことだったり。
        人生は繋がっているということを実感させるのが、タクシーをしていてもそういう名残は残っている。

        一方タクシーにしてもノルマだったり、遠距離は稼げるという不文律を知ることができる。

        気軽に読めるという意味では最適かも。
        >> 続きを読む

        2019/03/20 by オーウェン

    • 他5人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      シンデレラ・ティース

      坂木司

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 大学生の咲子は、母親の計略に引っかかって大嫌いだった歯医者でアルバイトをすることになるが、そこで色々な人に出会い、考え方に触れ成長していく話の流れ。人生観まで変わり、彼氏までできてしまうというまるでシンデレラみたいな話だが、咲子のキャラが文章を読み進めるごとに前向きなものに変わっていくのがすごく良い。その点は非常に評価できる。咲子がこの後どんな仕事に携わるのか?。まさに人生を変える夏の体験の物語だと思った。感想はこんなところです。
        >> 続きを読む

        2016/12/28 by おにけん

      • コメント 2件
    • 他4人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      秋期限定栗きんとん事件

      米澤穂信

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 2018/3 15冊目(通算46冊目)。文中の「必要なのは『小市民』の着ぐるみじゃない。たったひとり、わかってくれる人がそばにいれば充分なのだ、と。」という言葉が小鳩君と小佐内さんの関係が理想的であることを証明できると思う。瓜生君は小佐内さんにとって(立場的に)下過ぎるし、仲丸さんが小鳩君と付き合うには小鳩君が無関心過ぎると思う。しっくりくる相手といるのが(当人たちの言い方はどうであれ)一番だと読んでいて思う。こういう事が、昔分っていたのであれば、今の自分の立場も変わってきてたのかなと作品を読んで思った。放火事件の犯人の方は、大体予想の範囲内だった。ただ、小佐内さんが、放火事件を追う理由までは解らなかったけれど。まあ、ミステリーの部分は考えても詳しく予想できないので、当たらなくても悔しいとは思いませんが。あと、物語の終わり方からすると「冬季限定~」は出るか怪しいと思いますが、楽しめたシリーズなので、気長に新刊を待ちたいと思います。長くなりましたが感想はこんなところです。
        >> 続きを読む

        2018/03/23 by おにけん

    • 他4人がレビュー登録、 23人が本棚登録しています
      アマルフィ

      真保裕一

      扶桑社
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 外交官
        警察
        イタリア
        日本
        文化
        言葉


        イタリアでの日本人の女の子の誘拐事件。
        大使館、地元警察や警備、メディア。
        それぞれの立場からの意見が交錯する中、被害者の母親からの視点や、犯人の視点と様々な角度からの思考が面白かった。
        >> 続きを読む

        2016/05/10 by -water-

    • 他4人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      配達あかずきん 成風堂書店事件メモ

      大崎梢

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!

      • 文庫版発売当初書店の平台で偶然出会ってから、何度も読み返してきた一冊。
        そして何度読んでも面白い。
        本が好きな人、書店という場所が好きな人、書店で働く人、もしくは読書には全く縁の無い人…
        誰もが読んでいくうちにきっと「あっ」と共感できるポイントが見つかるはず。

        この本は本好きだけでなく、あまり読書に興味がない、という人にもお勧めしたいです。

        学生さんなら学校の朝読書(という慣習現在も残っているのだろうか。私が高校生の頃はあったが遠い昔過ぎて…)なり読書感想文など「何を読めば良いか分からない」子でも取っつき易い内容になっています。
        そして何より舞台は日常生活の中で身近な書店。漫画以外の本を読む習慣は無くても書店は好きって人は多いはず。

        読書は私にとって中学生の頃から10年以上なんとなく続いている趣味ですが、今まで読んできた本のうち作者は99%日本人の方ばかり。
        何度か海外文学にも手を出しましたが、小学校低学年向けの児童文学や絵本以外は挫折。
        理由は単純、話が面白かったか以前に、カタカナ表記の馴染み無い名前の登場人物や舞台設定を上手く想像できなかったからです。(漫画やアニメだったら大丈夫なのですが…)

        余談はさておき、成風堂は駅ビルにある書店。
        主人公は書店員の杏子さんとバイトの多絵ちゃん。
        読書に馴染みの無い人も「あー、本屋で働くお姉さん達が想像できる!頭の中で映像になって動いてる!」ってなるんじゃないでしょうか。
        というより今このレビューを書いている最中も、私の頭の中では名探偵コンビが成風堂で謎を解いています。

        この本は読む度に私を「面白かった!」という気持ちにさせてくれる。
        そして見知らぬ誰かにとっても同じ気持ちになれる本であればいいな、と思える一冊です。

        ちなみに五つの短編の中で個人的に一番好きな話は二作目の「標野にて 君が袖振る」です。
        でもラスト一行で「やられた…」と心掴まれたのは「パンダが囁く」
        あのパンダにまた会いたい。

        >> 続きを読む

        2016/11/07 by 【六助】

      • コメント 3件
    • 他3人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      にょっ記

      穂村弘

      文藝春秋
      3.8
      いいね!
      • 表紙のフジモトマサルの絵が好きだ。
        この絵は「むらかみさんのところ」の表紙でも書かれていてとてもかわいい。

        にょっ記もとても面白かった一時間半でさらっと読める本。
        内容もさらっとしていて素直でかわいい日記。

        くすっと笑える挿絵があったりとほのぼのさせてくれる本。

        これを読んだからどうなる、というものでもないが、、心をほぐしてくれるような緩い言葉と緩い価値観の数々。

        忘れたころにぜひ再読したい。
        >> 続きを読む

        2015/12/13 by snoopo

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      やんごとなき読者

      市川恵里 , BennettAlan

      白水社
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      •   原題は'An Uncommon Reader'
        英国女王陛下、エリザベス2世が、80歳にして読書に夢中になったら?
        宮殿に来ていた移動図書館をたまたま知り、そこから読書の楽しみを知ってしまった女王様。

          読書に夢中になるあまり、公務をおざなりにしていく、服装に気をつかわなくなる、会話が一方的。
        読書のいい面ばかりではなく、排他的になってしまう面もちらりとのぞかせています。

         インドア的な趣味、読書などは映画は、結局1人で楽しむものなので、どうしもひとりにして、となってしまうのは自分がそうだからよくわかります。
        ただ、それが女王になるとそれは困る・・・という発想がいいですね。

         王室を知的ながらもコメディにしてしまうというのは、上流階級をからかうP・G・ウッドハウスなど歴史があります。階級差がはっきりしているからこそ、ハイソサエティを痛烈に風刺する文学がイギリスでは発達したと思います。

         ですから、日本は人種にしろ、社会的階級にしろイギリスほど、厳格かつ歴史がないので、わかりにくい部分が出てきます。

         しかし、本を読む歓びに素直に夢中になる女王様と英国文学の歴史の深さがうらやましい。ハリー・ポッターなどファンタジーはお嫌いなんですね、クィーンは。
        >> 続きを読む

        2018/06/01 by 夕暮れ

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      パラドックス13

      東野圭吾

      毎日新聞社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • SF?

        2016/06/22 by ゆ♪うこ

    • 他2人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      風の中のマリア

      百田尚樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 題名からはわからない
        まさかのオオスズメバチの話。
        なかなかドラマチックな物語(生態?)だなぁと、おもった。
        子孫を残すための本能ってすごい。
        >> 続きを読む

        2016/08/05 by ゆ♪うこ

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      コんガらガっちどっちにすすむ?の本

      ユーフラテス

      小学館
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.7
      いいね!
      • 面白い迷路の本で、いろんなストーリーがあって、見ていても飽きない。

        2016/10/27 by ムーリン

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      お伽草紙

      太宰治

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 私は太宰治が創作した文学作品の中で、最も完璧な芸術作品は「お伽草紙」ではないかと思っています。

        この「お伽草紙」は、太平洋戦争の最も激しい時期に、防空壕の中で娘に聞かせた、これらのお伽噺は、彼の芸術的な資質が最も発揮された作品だと思います。

        この作品の中で太宰治は、日本の子供ならたいてい知っている物語の筋立ての中で、原作の軽快な感じを少しも損なわず、しかも世の中を暗鬱にみせるという、彼独特の"皮肉なおかしみ"に満ちた世界観を繰り広げていくのです。

        太宰治の作品を時系列的に読んできて思うのは、この太宰の持っている"皮肉なおかしみ"は、「道化の華」という作品以後、ずっと彼の作品の中に流れている一つの重要な要素ではないかと思うのです。

        考えてみれば、彼の自伝的な作品の中には、幼年時代からどれほど道化の役を務めたかを示す場面が多いような気がします。しかも、晩年の辛辣な諸作品の中にさえも、そのおかしみは消えることなく流れていると思います。

        このように思うのは、「斜陽」とともに彼の代表作の一つである「人間失格」の最後の部分にある、病的な性質と胸の病気に悩まされている主人公の葉蔵は、よく眠れるようになる前に睡眠薬を十錠も飲む。しかし、一向に眠くならない。そこで薬の箱をよく見ると、それはカルモチンではなく、ヘノモチンという下剤だったことがわかるという描写などがあったからです。

        この「お伽草紙」では、おかしみは全くおかしみそのものであって、それが"純粋な笑い"を引き起こしているのです。

        この物語集の楽しさの一つは、太宰の他の小説の中によく出て来る、お馴染みの人物-----聖人のような顔をしているが実は無慈悲な男、生活力のない芸術家、悪だくみに長けたおかみさんなど----が、効果的な掴み方で描かれていることです。

        そして、その掴み方は、太宰の分身と思えるような主人公を持つ幾つかの小説よりも、もっと巧妙に出来ていると思うのです。

        太宰治という人間を終始悩ました社会の偽善は、彼の代表作である「人間失格」の中でよりも、より一層効果的に、この物語集の中の「浦島さん」の中に描き出されていると思います。

        恐らく、太宰はこの物語を書く時に、自分自身の切羽詰まった必要性から解放されて、伝統的なお伽噺の枠の中で、自由に想像力の翼を広げ、尚且つ、優美に描いていると思います。

        この「お伽草紙」という作品のおかしみは、"自己憐憫"や"自己憎悪"で損なわれていないために、より一層鮮やかなのだと思います。

        太宰治という作家の文体に対する異常なほどの心づかいは、一つ一つの言葉の持つ意味に示した、ほとんど取り憑かれたような姿勢でわかりますが、この「お伽草紙」の文体も最も太宰らしい文体であると同時に、他の作品では見られないような"純粋なおかしみ"を色濃く持っていると思います。

        >> 続きを読む

        2017/05/19 by dreamer

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      レッツゴー!栃木 U字工事の熱血お国自慢

      U字工事

      4.0
      いいね!
      • レッツゴー!栃木 U字工事の熱血お国自慢。タレントのU字工事さんの著書。私は他人の自慢話を聞かされるのが大嫌いだけれど、お国自慢を聞くのは大好き。自分の故郷を熱く語れる人は本当に魅力的。U字工事さんの栃木自慢話、茨城自慢や群馬自慢に対する対抗心はとても楽しかったです。 >> 続きを読む

        2018/07/19 by 香菜子

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      ウェブはバカと暇人のもの 現場からのネット敗北宣言

      中川淳一郎

      光文社
      カテゴリー:電気通信事業
      3.3
      いいね!
      • 毎日のようにネットはしている訳だけど、確かに自分より暇だなぁコイツって人は多いね。ネットがお仕事の人は暇人対策をしなきゃいけないのが厳しいよなぁ。 >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています

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