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2009年6月発行の書籍

人気の作品

      永遠の0(ゼロ)

      百田尚樹

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! chao tomato tadahiko kuuta makoto yam megu kaoru fireman emi kawahara sunflower ENRIKE ryoji
      • 特攻は自爆テロと同じか

        史実をバックグラウンドにフィクション部分で感動をさせようとしてるのはわかってましたが...。
        戦時中に数々の特攻にかかわった人の証言の形をかりてうまく語られているけど多少わかりづらいところはナナメ読み(^ ^;)
        しかし最後の方のフィクション部分でのオチや、敵から見た目をプロローグとエピローグではさんでいるところなんか完成度高し。

        (amazon解説)
        「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるーー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
        >> 続きを読む

        2018/08/10 by motti

    • 他63人がレビュー登録、 283人が本棚登録しています
      植物図鑑

      有川浩

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! rinel
      • 毎日自炊もせずコンビニ飯やスーパーの惣菜で済ませているOLがある日貧乏旅行中に行き倒れた青年に出会う。お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。噛みません。躾のできた良い子です。その物言いがツボにはまり、うっかり拾い部屋に上げた。一泊のお礼にと出された朝食に胃袋を鷲掴みにされる。そこから彼をハウスキーパーとしての同棲が始まる。植物オタクの彼は週末ごとに彼女を連れて、いかにも雑草と呼ばれるものを採取しては見事に料理する。
        やっぱり男女間の胸キュンを描かせたら、有川浩の右に出るものはいないと思う。題名は植物図鑑となっていてその品種の多さと調理法に感心させられるが、その上にラブストーリーを被せているのが素晴らしい。
        >> 続きを読む

        2017/06/15 by konil

      • コメント 4件
    • 他15人がレビュー登録、 73人が本棚登録しています
      星守る犬

      村上たかし

      双葉社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.7
      いいね!
      • 私は愛情深くないのね。まずは自分なの。
        だからまっすぐ慕ってくる“犬”が苦手なの。
        散歩を怠けても、ゴハンを忘れた時も、屋上に出して一晩、忘れていた時も、なんで尻尾を振るの?

        「星守る…」のお父さんはイイ人だと思う。
        作者が後書きに書いているように「こんな最後」を迎えるような人ではないと思う。今の“あたりまえの生活”が危うい社会保障の上にある事を描いている。
        それでもハッピーをあのままじゃ、可哀想じゃあないか。
        ハッピーの健気さが切なかった。
        同時にこの本が嫌いになった。

        マンガの整理をしていて「星守る…」が出てきた。
        読み返してみた。
        ハッピーは可哀想じゃなかった。
        ハタからどう見えてもハッピーはお父さんに会えて幸せだった。
        何が幸せなんてハッピー自身でしかわからないのだから。
        あの時に感じた、この本に感じた“嫌い”はウチの飼い犬に対する私の後ろめたさだった。

        ネェ、なんで尻尾を振るの?
        >> 続きを読む

        2017/10/04 by たたみ

    • 他5人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      それでも、日本人は「戦争」を選んだ

      加藤陽子

      朝日出版社
      カテゴリー:日本史
      4.7
      いいね!
      • 東大文学部で近現代史を教えている著者が、栄光学園の歴史研究部メンバーに行った集中講義を元に書いた本です。日清戦争から太平洋戦争までの4つの戦争について問いと答えという形で説明されているので、ハイレベルな内容ながらもとっつきやすいです。

        戦争は何のために遂行されるのか。これにルソーが、相手国の憲法を変えるためと答えているのが面白かったです。たとえば第二次世界大戦後には日本の憲法がアメリカに書き換えられて、国家主権者が天皇から国民になりました。世界大戦を知らないルソーの提示した原理が現代で通用するとは、目から鱗です。

        また「歴史は科学か?」という問いも出てきます。歴史は科学のように普遍的でないから違うという意見がまず出そうです。これに歴史家のE.H.カーは「科学だ」と答えて、歴史家は特殊から普遍を見るのだと反駁します。たとえばリチャード三世が王位継承のライバルを謀殺したのは事実か考えるとき、歴史家はそのような行為が当時一般的だったかを考えるそうです。王位を得ても謀殺によって正当性がゆらぐのであれば一般的でなかったはずで、それなら事実ではないとする考え方は確かに筋が通っています。
        またE.H.カーは、人々が歴史的な選択をするとき、過去の似た経験を集めて判断材料にしていると指摘します。だからこそ歴史を学ぶときには幅広い視野で、立体的に物事をとらえることが大切なのだなと実感しました。

        本書は特定の考え方への偏りや押し付けがなく、いろんな角度の史料から戦争について考察している良書だと思います。たとえば満州への武力行使を正当だと答えた東大生が88%いた事実を知れば、満州事変を「陸軍の暴走」で終わらせてしまうのは危険だなと見方が変わります。
        加藤先生の講義を通して歴史の見方や考え方について学ぶところが大きく、また再読したいと思える一冊でした。
        >> 続きを読む

        2017/11/03 by カレル橋

    • 他4人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      一瞬の風になれ

      佐藤多佳子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 兄がサッカーをやるために生まれてきたような存在でずっと兄を目指してサッカーをやってきた新二。でも高校進学のとき諦めて兄と違う道を目指す。幼馴染の連も天才的なスプリンターで新二は新たな目標を掲げて陸上にのめり込む。才能に溢れた人がそばにいるだけで自信喪失してしまうことってあるよね。見えないプレッシャーを払って目の前のことに頑張ってる新二が爽やか。生徒の気持ちを第一に考える三輪先生はいい教師だ。 >> 続きを読む

        2018/05/15 by miko

    • 他3人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      きつねのはなし

      森見登美彦

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! kinopun
      • 京都を舞台にしたオカルティックな話が4つ収録されています。世にも奇妙な物語というと伝わりやすいかもしれません。

        森見作品の中では宵山万華鏡に近いタッチで描かれています。ペンギン・ハイウェイや四畳半神話体系とは作風が大きくことなりますが、根幹にあるおもしろさは他の作品に引けを取りません。

        夜風が涼しい夏の夜にでも読みたい作品ですね。
        >> 続きを読む

        2015/04/26 by alten

    • 他3人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      しがみつかない生き方 「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール

      香山リカ

      幻冬舎
      カテゴリー:人生訓、教訓
      2.5
      いいね!
      • こういう啓発系のものは期待しないで読むのが吉。「勝間和代を目指さない」ってのに藁 >> 続きを読む

        2018/07/11 by motti

    • 他3人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      温室デイズ

      瀬尾まいこ

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 内容紹介------------------------------------------------
        みちると優子は中学3年生。2人が通う宮前中学校は崩壊が進んでいた。校舎の窓は残らず割られ、不良たちの教師への暴力も日常茶飯事だ。そんな中学からもあと半年で卒業という頃、ある出来事がきっかけで、優子は女子からいじめを受け始める。優子を守ろうとみちるは行動に出るが、今度はみちるがいじめの対象に。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうとするが...。2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。
        --------------------------------------------------------

        いじめという難しいテーマを扱った小説ではあるが、瀬尾さん自身が教師を務めていたからか、丁寧に書かれている。
        本人でもよくわからない、思春期独特の自我あるいは人間関係についての描写は、優れた観察眼があってこそのものだと思う。
        いじめられる友達を見ることの辛さとか、みじめさを知られたくなくて助けを求められないとか、子どもをカテゴライズすることへの反発とか。

        作品の中では「学びの部屋(フリースクールの名前)はぬるま湯だ」というような踏み込んだ表現も出て来る。
        しかし、これはフリースクール生を批判するようなものではない。
        そこには子供を鼓舞するような思いがあるのではないかと思う。
        今は学校から遠ざかっても、いずれは社会に出なければならないのだから、どこかで立ち向かわなければならない。

        物語を通してわかるのは、子供は良くも悪くも染まりやすいということだ。
        以前読んだジェームズ・クラベルの『23分間の奇跡』のように、子どもは大人や周囲の環境から大きな影響を受ける。
        いや、大人も同じかもしれない。
        そのような中でも自分を持って戦い続けた人たちの行動が、周囲をほんの少しでも変えていく。

        立ち向かうのが難しい時は、「何もかも捨てて、的を絞るんだ」。
        一方で、すべてから遠ざかることはしないということも重要なのだと思う。

        良い小説ではあったが、エンターテインメント性には欠けるか。
        思春期の頃の経験で感想が大きく変わる小説だと思う。
        >> 続きを読む

        2015/03/30 by ともひろ

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      一瞬の風になれ

      佐藤多佳子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • 1部よりのめり込んだ。最後で涙腺がゆるむ。まるで新二と一緒に。ヒーローのお兄さんと天才プリンターの蓮は映画では誰に演じて欲しいかな。可愛い谷口さんは誰にする?。想像力をかきたてられながら3部にいく。 >> 続きを読む

        2018/05/15 by miko

    • 他2人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      一瞬の風になれ

      佐藤多佳子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 面白かった。一緒に熱くなって一緒にドキドキして一緒に涙した。駆け引きしないでまっすぐ努力するって気持ちいい。親友とライバルっていうのもお互い切磋琢磨して伸びていくのも理想的だ。これはたぶん映画やドラマ化されただろうけどきっと面白いに違いない。 >> 続きを読む

        2018/05/15 by miko

    • 他2人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      ミーナの行進

      小川洋子

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! hinataboko

      • 今回読了したのは、小川洋子の谷崎潤一郎賞受賞作の「ミーナ」の行進。

        この小説は、古き良き時代の少女小説の伝統に忠実な、あり得ないほどの心に残るファンタジーで、そういうものとしてはよく出来た小説だと思いますが、正直、少し長すぎるかなという印象を持ちましたね。

        言ってみれば、完全に児童文学ファンタジーで、作者の小川洋子は、文章がこなれていて、構成の仕方やエピソードの入れ方も実に巧い人だから、それでなんとなく読まされてしまうんですね。

        山陽新幹線の開通、川端康成の自殺、ミュンヘンオリンピック、アラブ・ゲリラの過激派による、オリンピック選手村のイスラエル宿舎立て籠もり事件といった世相を織り込みながら、しかし、読み心地は、まるでお伽噺のような家族小説。

        時折、暗い影がささないわけではないのですが、この小説の全体を覆っているのは、確かな幸福感なんですね。

        しかし、小川洋子の小説の最大の美点のひとつである"昏い予感"や、"きれいな悪意"がまるで存在しないんですね。
        そこが、少し不満が残るところで、その悪意も何もない、どこにも引っ掛からないという点が、この小説の弱点のような気がするんですね。

        そして、細部の設定が物語に奉仕するために、不自然さをまとっている点も気になるところですが、「博士の愛した数式」で小川洋子の小説と出会った人には、ぴったりの作品かも知れませんね。

        >> 続きを読む

        2018/07/07 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      モノレールねこ

      加納朋子

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 久しぶりに、素敵な本と出会った。

        2017/03/07 by ふみえ

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      船に乗れ!

      藤谷 治

      ジャイブ
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 前作の話とは違い前作が演奏と恋愛の話であるならば、今作は恋愛と主人公の心の葛藤のような話でした。

        前作は演奏のシーンの迫力に圧倒され、今作は主人公のリアルすぎる心の変化に魅せられた!
        私が今まで読んできていた少年誌のような話の展開ではなく主人公をとことん追い込むような話が今作では続き、この先どうなるとかとページをめくる手が止まりませんでした。(少年誌を非難してるわけではないです笑)
        次作でどのような展開になるのか想像がつきません!
        早速次作購入だ!!

        >> 続きを読む

        2016/01/26 by iatt

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      マルコヴァルドさんの四季 (岩波少年文庫)

      イタロ・カルヴィーノ

      3.7
      いいね! Moffy
      •  ユーモアで風刺感満々のお話。

         工業化社会に生きている人々は、こうしてみるとまるで機械になったようだ。
         感性が薄く薄く削られ、活気がなく、茫然となっている。けどやはり生身の人間なので、時折自然に戻りたいと、本来の感覚を取り戻そうとはしている。
         でも、そういった「異質者」はたちまち現状の規律を壊してしまう。せっかく本能に従って行動しても、何か逃げられない「網」にがんじがらめされてどうしようもない。
         そして、またいつもの生活に戻る......
        >> 続きを読む

        2018/02/27 by deco

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん

      入間人間

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • みーまーシリーズ終了
        続きを欲す

        2014/02/16 by TDPN

    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      邪魅の雫

      京極夏彦

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • これは、京極先生、切れ味が鈍っている。。。

        これで長編の百鬼夜行シリーズは読破。
        印象点をまとめると

        姑獲鳥  100点
        魍魎    80点
        狂骨   120点
        鉄鼠    70点
        女郎蜘蛛 90点
        塗仏    90点
        陰摩羅鬼 30点
        邪魅    50点

        という感じ。

        姑獲鳥~狂骨までの出来が良すぎて取り込まれたけれど、
        邪魅から上に上がるんだったら読破は無かったなあ。
        話術は相変わらず面白いんだけれど、ミステリー要素が弱くなっちゃったね。。。

        なりすましがテーマの本作だけれど、なりすましって、同じ名前の人が何人も登場することになって、整理しながら読んでいけば理解もついていって、最後に、え~あなたが一人で何役も!
        と驚くことはできるかもしれないんだけれど、面倒くさいんだよね。
        なりすましであることは分かる展開で、誰が主犯かも簡単に分かる展開で、後は誰にどうなりすましたかというところがミステリーなんだけれど、そんなところはどうでもよく。。。

        榎木津を元気の無い振り付けにしたのも非常にいけてないと思う。世界が暗くなっちゃったよね。

        京極が、赤木や江藤のことは会ってないから知りません、これは私の想像です、と一々断るのも、なんかサラリーマンの言い訳みたいで聞こえがよくなかった。
        そんな当然の言い訳は言わずとも、京極は常々読者を驚かしてきたわけで、今回は謎解きの迫力も弱いし、言い訳多いし。。。

        そもそも澤井がなぜ榎木津のお見合い話が持ち上がるたびにそれを把握したのかが甚だ不明で、謎解きに唐突感がありすぎる。お見合いしたならともかく、たかだが縁談が持ち上がったレベルで、一介のしょうもない男になぜタイムリーに情報が入るのか? 

        最後の場面で警察が囲んでいるというのに犯人の女から逃げられてるし、甚だ理解しがたい。

        うーん、切れ味不足。。。
        >> 続きを読む

        2017/08/19 by フッフール

    • 他1人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      世界文学は面白い。 文芸漫談で地球一周

      奥泉光 , いとうせいこう

      集英社
      カテゴリー:文学史、文学思想史
      4.0
      いいね!
      • 日本の中にいてばかりいてはつまらない。読書で世界へと旅立とう。
        海外文学を身近にすべく「文学漫談」を繰り広げる奥泉光&いとうせいこう。
        対談本ですが、お膳立てされた対談を文字起こししたのではなくて、お客の目の前で舞台に立ってライブ形式で掛け合い漫才のごとく展開される文学談義をまとめたものだったのですね。
        これはその第2弾でありました。(こんな事実全然知らなかった)

        最初「面白おかしく読み解く」ってとっても危険、と思っていました。
        部分をデフォルメしてコミカルに強調したり、わざとヘンな角度から眺めてみたりして笑いをとるつもりじゃないでしょうね~と。
        すみません。杞憂でした。
        さすが、人前でしゃべる決意があるだけのことはある。
        「小説を面白く読むにはていねいに読まなければならない」とおっしゃるように、きちんと読み込んできていて、共感できる部分もとても多くて勉強になります。

        これはパッケージツアー。ガイドの案内に従ってまだ観ぬ世界を発見する旅。
        読んでいない人には面白さのエッセンスを伝え、いつかはあなたも「一人旅」に出てもらいたい。
        (つまり原本を読むこと)
        再訪(既読)の方にも、一読では見逃していた細部や秘められた背景を新発見してほしい。
        そんな二人の思いに納得です。

        読書案内の書なので未読の方でも楽しめるでしょう。
        しかし中には先に原作を読んでいないと作品のすごさがわかりにくい小説もあると思われます。

        「異邦人」「予告された殺人の記録」「愛人」など。
        論理的分析、作家の手法の検証などについて語られ、客観性があり、話している意味はわかるのですが、
        実際の感覚や手触りという最も文学な部分が未読の方には伝わらないのではないかと感じました。
        また、斬新な着眼点、分析の意外性に驚くためには、
        自分がまず印象や考えを持っていないと、どこも「意外」ではなくなってしまうものです。
        もし驚きたかったら、先に原作を読んだ方がいいのではないかと私は思いました。
        ここに取り上げれれている小説は、いずれも読む価値のある名作ばかりなんですから。

        ところで、二人の掛け合いは漫才そのものです。
        なかなか奥泉さんの自分ネタ。面白いです!
        本の話と離れていても充分楽しいです。
        作家の人柄や日常の姿も察することができ、親近感も湧きました。
        でも肝心の「小説の笑いどころ」の方は爆笑というタイプの笑いではありません。
        お二人はイロニー(アイロニー)と、盛んに言っていますが、このイロニーの掘り起しが楽しいんです。
        親切にも小説に対するツッコミどころを教えてくれるという感じ。
        小説がボケ役なので、読みながら自分でツッコミ入れてみろと。そういうことですね。
        おかげで無意識に本に合いの手を入れる癖がつきそうです(^^ゞ

        既読の方も、この本を読んで面白いと思ったら再読しましょう。
        名作文学は何度も読まないといけないんです。
        特に短篇は簡単に読んでしまって面白さ素通りしている危険性が高いです。
        そして文学はあらすじ要約に価値はなし。
        奥泉氏も「本筋だけに意味があるわけではない」というのが小説的な精神だとおっしゃってました。
        それを教えてくれる価値ある漫談。いいですね。これ。

        【内容】 コンセプトは「翻訳小説の名作を薄い文庫で読む!」
        ①カフカ『変身』 既読 レビュー済
          カフカって語りたくなる作家ですよね。特に「変身」はなんでも語れそうです。
          こんなに短いのに、クローズアップすると面白くなるポイントがありすぎるほどある作品。
          全編キーワードみたいな濃厚な小説ですね。

        ②ゴーゴリ『外套・鼻』 多分未読(話は知っているし部分は読んでいる)
          ゴーゴリーってアバンギャルドだったのかもしれません。
          ゴーゴリ=古典だと思わずに読んでみようかなと思いました。

        ③カミュ『異邦人』 既読 レビュー済
          これは好きすぎて読み込んでいるので、目からウロコの新説と思える指摘はなかったです。
          そうなのよね。とうなずきっぱなしな感じ。

        ④ポー『モルグ街の殺人事件』 既読 レビュー済
          いきなりネタバレですか!だからミステリーは未読でレビューを読んじゃだめなんだってば(^^;)
          ホームズもそうだけど、創世記のミステリーはほとんどバカミスに近いものが多いんですよ。
          でも、トリックのおバカさを補って余りある異様な雰囲気や恐怖感、想像力を刺激するストーリー展開など、現代小説には持ちえない効果があるんですよね。

        ⑤ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』 既読 レビュー済
          短篇の傑作といえば、この小説を取り上げない訳に行かないでしょう。
          作家の目線が入ると過去の記憶も一層鮮やかによみがえってくる気がしました。
          ああ。再読できちゃった気分♪
          あらすじを読んだのでは決してこうは行きません!

        ⑥夏目漱石『坊っちゃん』 既読 レビュー済
          奥泉さんといえば漱石なんでしょう。なぜかこれだけ日本の旅(松山&東京)。
          力の入り方が異様です(^^)
          坊ちゃんは童貞!と断言しています。そうかもね。
          ディープでディテールまで追求した斬新な解釈。これには負けました。

        ⑦デュラス『愛人』  未読
          これは完全に知らない状態でした。デュラスが女性だってことも知らなかったです。
          小説技法の話題にはやはり未読だとついていけない部分があります。
          アナコンダに登場願って笑えるという感じでした。

        ⑧ドストエフスキー『地下室の手記』 既読 レビュー済
          話は覚えていますが、こんなに面白かったかなあ?
          確かにとってもヘンな主人公で、「白痴」の前哨となった小説かもしれないと思いました。
          ドストエフスキーって意外に重厚・緻密じゃないんじゃないかという私の印象が
          結構筆が早かったとか天才的という言葉で裏付けられたようで嬉しかったりして。

        ⑨魯迅『阿Q正伝』  これも部分のみ既読 
          吉本新喜劇のギャグなのか?そんな目線もありなのか?
          阿Qってこんなにろくでもない人間だったっけ?
          この作品が名作っていうのが全く分からなかった私だったのですが、
          確かに、こう追及されると、とても不思議な小説に見えてきました。
          ホントはとってもアイロニカルな社会風刺小説だというのが正しいと思いますけれど。
          そう読まなくても面白さを「発掘」できるのか。ここまでくると、感心するしかないです。

        奥泉光×いとうせいこう の文学漫談ライブは今も下北沢で続いているのでした。
        <次回公演>
        2015年8月20日(木)
        ゲーテ 『若きウェルテルの悩み』

        次回のライブに行ってみようかな♪と強く思っているところです。
        どなたかご一緒します?
        >> 続きを読む

        2015/05/28 by 月うさぎ

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      ヒルクライマー

      高千穂遥

      小学館
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 単純で凄く読みやすい。自転車好きじゃなくても楽しめる。漫画みたいな小説です

        2011/06/09 by higamasa

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      海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年

      塩野七生

      新潮社
      カテゴリー:イタリア
      4.5
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      • ただミラノの官吏によるエルサレムへの聖地巡礼のお話なのであるが、第九話「聖地巡礼パック旅行」に考えさせられてしまった。時代的には地中海では海賊が跋扈して、また西欧がトルコと対峙していた、という緊張の時代だったと思うのだが、なぜかのんきである。トルコの軍船の接近に恐怖し、船員の事故死を哀しみ、熱気に苦しむという苦難の旅ではあるのだが、それでも彼らはエルサレムに感動して、そして免罪を得たことを喜ぶ。あー、いったい人間とはなんなのだろうと思ってしまう。危険をおかしてまでわざわざ苦労などする必要はあるのだろうか。

        【このひと言】
        〇外交の重視は、その国が軍事力だけでは対抗できなくなったという証拠でもある。
        〇現実の同盟というものは、不幸にして、互いの立場を理解し、それを尊重し合う精神があるから結ばれるものではない。第三者に対する恐怖から結ばれるものである。そうでなければ、今のところ敵にまわす必要がないから、ひとまず結んでおく、という程度のものでしかない。
        〇権力者は、権力者同士の話し合いを好むものである。
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        2017/03/11 by シュラフ

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      海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年

      塩野七生

      新潮社
      カテゴリー:イタリア
      4.5
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      • 16世紀以降、ヴェネツィアは手工業部門にも積極進出。海洋貿易中心であったが、大航海時代による香味料貿易の危機に伴う方針転換。西欧諸国の戦乱を逃れてきた職人たちを受け入れた結果、ヨーロッパ毛織物工業の中心のひとつになるほど発展。さらに絹織物工業、石けん、ガラス工業、眼鏡、出版業など次々と展開。この海洋貿易から国内産業への転換について塩野先生は、ヴェネツィア人は資本の効率性を重視する民であるがゆえ、と説明する。時代環境が変わったことで産業構造が変化したということだろう。どうも塩野先生はホレた男に甘い気がする。

        【このひと言】
        〇歴史は複雑であることに醍醐味があるとは言っても、醍醐味が味わえる程度には整理される必要はあると思う。
        〇外交というものは、思っていても胸の中におさめて、口には出してはならない時もあるということを教えている。
        〇戦争でも平和でも、思いどおりに決められるのは、政治的能力によるものではない。軍事力である。量である。
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        2017/03/12 by シュラフ

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