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2009年9月発行の書籍

人気の作品

      横道世之介

      吉田修一

      毎日新聞社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • パレードを読んで何とも言えない読後感を味わい、しばらく避けておこうと思っていた吉田修一さん。知人との会話で映画 怒りが話題になり、その流れで横道世之介は面白かったという情報を得てさっそく読んでみました。

        大学1年生の世之介とその周囲の人々の日常、恋愛、ごたついた事件などがコミカルに描かれています。青春小説ということになるのだろうけど、それだけでまとめてしまうことが出来ない作品です。

        世之介はいつも周りに流されて生きている頼りない青年。
        学生時代、自分も世之介とは違う形で周りになんとなく流されていたな、と思い出しました。だけど流れに乗るかたちで経験したことが今になって大事な体験になっていたり、誰かがぽろっと口にした言葉が自分の将来の意思決定に繋がっていたり、考えてみるとゆるゆるの学生時代は意外に重要な転機がたくさんあったように思います。
        主人公の世之介は、ふわふわと生きていながら、周りの人々の人生の重要なパーツになっている。読者も含めて皆が彼のなんだかわからない魅力にじわじわとはまっていく感じです。

        パレードで吉田修一ワールドを諦めなくてよかったです。絶妙な人物描写を楽しめました。
        >> 続きを読む

        2016/10/16 by pechaca

      • コメント 2件
    • 他5人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      それからはスープのことばかり考えて暮らした

      吉田篤弘

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! momomeiai keyaki-
      • スローライフに立ち返りたくなる。

        ゆったりとした雰囲気が漂う心地よい小説。
        すこしユルイような童話みたいなやさしさが持ち込まれたようなタッチがとても素敵です。
        こういった暖かみのある小説の中の社会は、自分の仕事でも叶うのではないかと思えて来て、心の持ちようで幸せになれる気がしました。
        >> 続きを読む

        2018/07/13 by motti

    • 他4人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      ソウルケイジ

      誉田哲也

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 「姫川玲子」シリーズ、第二巻です。

        一巻は猟奇殺人事件でしたが、今回は一人の男性の遺体から始まる、悲しい事件でした。

        そんな今回の事件の見どころは。
        独自の直感で捜査する姫川玲子に対して、完璧主義で個人的な予想では絶対捜査をしない、日下守警部補とのやり取りだと思います。

        対極の捜査をする二人のやり取りは、いつもハラハラするものの、でもそれぞれ相手の事は認めている、この関係が面白かったです。
        >> 続きを読む

        2019/05/07 by ゆずの

    • 他4人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      Gosick

      桜庭一樹

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
      いいね! niwashi
      • (登録前に読んだ本)

        図書館で借りた物を読了(厳密には再読)。アニメを見てから再読した方がイメージがわきやすかった。今後ヴィクトリカと久城がどのように事件に絡んでいくかが楽しみだ。 >> 続きを読む

        2016/09/27 by おにけん

    • 他2人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      ヘヴン

      川上未映子

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!

      • 川上未映子の第20回紫式部文学賞受賞作「ヘヴン」を時間をかけて読み終えました。

        ギリシャ神話に、神々の怒りをかって山頂まで岩を運び上げる、永遠の苦行を科されたシーシュポスの挿話があります。

        岩は頂上に達するや、その重さで落下。つまり、シーシュポスは決して成就されることのない"無間地獄"を生き続けなくてはならないのです。

        カミュは、彼の哲学的エッセイ「シーシュポスの神話」の中で、しかし、この地獄を絶望とはとらえていません。

        死に反抗し、生きる情熱を燃やすシーシュポスの「神々を否定し岩を持ち上げるという至高の誠実」を讃え、永遠に岩を運び続けなくてはならない苛酷な運命を「すべてはよし」と判断し、頂上を目指す闘争を止めないシーシュポスこそが、人間の自由や勝利の象徴であると説いているんですね。

        今回読了した川上未映子の「ヘヴン」には、このシーシュポスのような人物が登場します。
        それは、斜視のために惨い苛めにあっている十四歳の「僕」に、「わたしたちは仲間です」という手紙を送る同級生のコジマ。

        彼女もまた「家が貧乏であること、不潔だということでクラスの女子から苛められている生徒」です。
        コジマは、自分がこんなふうに汚くしているのは、真面目で優しい人なのに貧乏から抜け出せず、挙げ句、妻から三行半を突きつけられた父親を忘れないためであって、「これはわたしにしかわからない大事なしるしなんだもの。お父さんがどこかではいてるどろどろの靴を、わたしもここではいてるっていうしるしなのよ」と「僕」に明かします。

        そして、自分を苛める子たちには「こんなふうな苦しみや悲しみにはかならず意味があるってこと」が何もわかっていない、いくら虐げられても抵抗をせず、「わたしと君が、いまもそれぞれの場所で守りながら立ちむかってることが、美しい弱さなの」と語りかけるんですね。

        そんな、「僕」を折伏するかのように熱弁を振るうコジマの対極に、著者の川上未映子は、苛めグループの一人、百瀬というニーチェの「善悪の彼岸」にかぶれたような"思想"の持ち主を置き、苛めの「意味なんてなにもないよ。みんなただ、したいことをやってるだけなんじゃないの。---君だってさ、やりたいことってなにかあるだろう?---基本的に働いてる原理としてはだいたいおなじだよ」

        「みんながおなじように理解できるような、そんな都合のいいひとつの世界なんて、どこにもないんだよ」

        「弱いやつらは本当のことには耐えられないんだよ。苦しみとか哀しみとかに、それこそ人生なんてものにそもそも意味がないなんてそんなあたりまえのことにも耐えられないんだよ」

        「地獄があるとしたらここだし、天国があるとしたらそれもここだよ。ここがすべてだ」と語らせます。
        そして、コジマと百瀬の"思想"の間に、「僕」と読者を放り込み、ここに在る悲しみについて考えさせるんですね。

        息詰まるほど酷たらしく、リアルな苛めの描写の合間に挿入された、そうした対話や長いモノローグがもたらす深い精神性が、十四歳の小さな世界を大きく広げ、総合小説の結構を備えるに至っていると思う。

        なかでも、私が強く感じたのは、この作品の中で描かれる、カミュの「すべてはよし」にも繋がる"美しい弱さ"に拘泥するあまり、自らをどんどん、どんどん追い込んでいくコジマの姿であり、たった十四歳の少女にシーシュポスの責め苦を与える世界の残酷さです。

        「僕」のある告白によって、コジマが精神を失調させていき、やがて、美しい、しかし、ひどく痛ましいシーンを迎える八章は圧巻だ。

        感情と理性、双方から心を激しく揺さぶられる、そんな稀有な体験ができる紛うことなき傑作と呼べる作品だと思う。

        >> 続きを読む

        2019/01/15 by dreamer

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      鉄の骨

      池井戸潤

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!

      • 建設・土木業界を扱った小説で、しばしば登場するのが談合だ。
        当然のことながら、談合は明らかに犯罪行為だと思う。
        しかし、「必要悪」とか「談合なくして受注なし」とも言われている。

        この池井戸潤の「鉄の骨」は、このテーマに真っ向から斬り込んだ作品だ。
        談合という犯罪を犯さざるを得ない、古い慣行の「醜さ」と、鉄やコンクリートに創造性という魂を吹き込んでいく「美しさ」。

        この作品は、この両者が同居する建設業界の"光と影"を描いた、いろいろと考えさせられる、含蓄の多い秀作だと思う。

        「人に夢を与える仕事がしたい」と、中堅ゼネコンの一松組に入社してから3年目の富島平太。
        工事現場の勤務から業務課に異動になる。

        そこは、将来の社長候補・尾形総司常務が直轄する通称「談合課」。
        「いいか、全身全霊をかけて、この工事、掴むぞ」と言い放つ尾形常務。

        業績不振が続く中、地下鉄工事を受注できるかどうかは、一松組の浮沈を左右する重大事だ。
        決め手となるのは、「天皇」と呼ばれる人物・山崎組の顧問である三橋萬造の決断だと考えられている。

        そこで浮上してくるのが、談合による「天の声」であった。

        「脱談合宣言、ウチの会社もしたはずなのに」と、平太。それに対して、上司の西田吾郎は言う。
        「口だけさ。綺麗事いったところで、仕組みが変わらなきゃ談合はなくならない。本音と建前は違うんだ。平太、お前は建前の世界から本音の世界へ来たんだ」。

        たとえ業務とはいえ、違法な行為に加担することに、平太は大きな抵抗感を感じてしまうのだった。

        その上、付き合っている彼女、一松組のメインバンクである白水銀行で働いている野村萌からも、厳しい批判を受けてしまう。
        「世の中に大変じゃない仕事なんてないよ-----。だけど、ちゃんとルールを守ってやってるじゃない。そういう真面目に働いている人たちから見ると、必要悪だって開き直ってる業界って、絶対許せないわけ」と。

        この作品のメインストーリーは、2,000億円規模になる地下鉄工事の受注をめぐる各社の熾烈な争いだ。
        池井戸潤、お得意のハラハラ、ドキドキさせられる展開になっていく。

        そして、そこには、東京地検特捜部の目も光る。
        そんな中で、勝利をめざす尾形常務の策略とは、いったい何なのか?-------。

        ラストに用意されている"ドンデン返し"は、お見事の一語に尽きる。

        平太が、ジレンマを感じながらも、「人間の力と想像力の結晶」である、「鉄の骨=ビル」の建設に仕事の喜びとプライドを見い出していくプロセスも、大いに楽しめる作品ですね。

        >> 続きを読む

        2018/06/02 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      親指の恋人

      石田衣良

      小学館
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • もう10年以上前の作品だが、読んだ感想は「質の高い携帯小説」という感じ。

        ちょうど流行った頃だと思うけど、ちょっと影が強めの恋愛ストーリーってのがウケる時代だったように思う。

        本書ももれなくその類で、かなり若者向けの作品だな、と当時も思っていた。

        石田衣良さんはこの作品しか読んでいないが、ちょっと自分には文章が甘くて濃密でかなりお腹いっぱいになってしまった。

        もともと恋愛小説が苦手という事もあるけど。

        キャラや背景なんかは、浅すぎず深すぎずで読みやすかった。

        特に最終章のテンポは、死んでいくのに穏やかに話が進み、緊張と弛緩に挟まれてふわふわ読みすすめて不思議な感じだった。

        …でも、なんかやっぱ恋愛小説は苦手だな。
        >> 続きを読む

        2018/10/10 by 豚の確認

    • 他2人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      6teen

      石田衣良

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 「チッチと子」では直本賞(w)題材の内容だったが、作者にとってリアル元ネタである直木賞受賞作「4Teen」の2年後のお話。
        いちばん気になったナオトの健康上の問題も、ほかにもダイの弟やおふくろも、言及、進展なし。
        ジュンもパッとしない。テツロー自身も他人のエピソードの語り部なだけだ。
        中学生と高校生の違いについて作中言及も特に進展、進化なし...むしろ内容は退化?
        あまり真剣に読もうという気持ちがわかず、あっという間に読み終えました。
        なんだか物足りない内容。
        そもそも「4TEEN」もいまひとつだった感じがしないでもないw
        直木賞でなく直本賞だったんじゃないかと思った(違)w
        辛口失礼w
        >> 続きを読む

        2018/07/07 by motti

    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      まほろ駅前番外地

      三浦しをん

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • まほろ市にある多田便利軒にまつわる短編小説集。多田・行天のコンビが面白い。

        2017/04/25 by konil

    • 他2人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      シネマ食堂

      飯島奈美

      朝日新聞出版
      カテゴリー:食品、料理
      5.0
      いいね!
      • フードスタイリスト飯島奈美さんが作る映画のごはん。
        レシピつき。
        料理の写真を眺めているだけでも楽しい(^^)
        美味しいし簡単なので「炸醤麺」というのを
        よく作っていました。
        『きょうの猫村さん』のネコムライスレシピも嬉しい♪
        >> 続きを読む

        2015/02/10 by すもも

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      空ろの箱と零(ゼロ)のマリア

      御影瑛路

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • シリーズ2巻目を読了〜

        箱は願いを完全に叶える。
        心の底から信じていないことも含めて願いを叶える・・・
        うゎ…箱、使いづらいわ

        この巻では主人公の一人、星野一輝の中にもう一人の星野一輝の人格が
        現れて乗っ取るという。
        前巻よりはわかりやすく話が進んでいきます。
        が、登場人物が少ないのでお初のキャラが
        話の核に絡んでくるだろうというのがわかってしまいます(よね?
        ラストが3巻への続きで終わっているので
        このまま3巻読もうか?それともワンクッション置こうかな〜
        >> 続きを読む

        2016/10/28 by 降りる人

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人

      倉阪鬼一郎

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 建てられた二つの洋館。
        それは黒鳥館と白鳥館に分けられており、その場所へ招待状を受け取った人間が次々血祭りに上げられる。

        ただし犯人は最初からバラしており、視点はそこではなくそこかしこに散りばめられたトリックや伏線の数々。
        ただしバカミスという副題つきで。

        真相を知ればよくここまでやったなという印象しか持ちえない。
        これは別に作者の倉阪さんお疲れ様ですとしか言えない。

        常識から突き抜けたようなバカミスを味わえるのだけど、飽きれるかすごいとするかの2択でしかないと思う。
        >> 続きを読む

        2019/05/22 by オーウェン

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。

      辻村深月

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね!
      • 数年前読んだとき、意味がよくわからないし、印象にも残らなかった。

        だけど、ある程度あの頃より大人になって、改めて読んでみると…
        登場人物たちの心情、友人関係、親子関係に、共感できるところがたくさんあった。
        それがあまりに的確過ぎて、胸にぐっときて、ぞくぞくして、泣けてしまった。

        「辻村深月が29歳の“いま”だからこそ描く」とあるが、読者側も同じで…たぶん今だからこそ感じられた感情なのかなって思う。

        毒親、そんなフレーズもあてはまるのだろうか。
        >> 続きを読む

        2016/10/27 by pink-tink

      • コメント 4件
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      謎
      スペシャル・ブレンド・ミステリー

      日本推理作家協会 , 京極夏彦

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • スペシャルブレンドミステリー初体験です。

        短編ミステリーから、人気作家が好きな作品をセレクトしたこの企画。
        第4弾の京極夏彦から入りました。

        各テーマごとにブレンダー(京極氏)のメッセージもついていて
        著者の作品を読んでいる時よりも親近感がわきました♪

        ◆謎
        「重ねて二つ」 法月綸太郎
        「マジックボックス」 都筑道夫

        ◆疑
        「暗い玄海灘に」 夏樹静子
        「理外の理」 松本清張

        ◆譚
        「熱い闇」 山崎洋子
        「室蘭と二人の男」 陳舜臣

        ◆情
        「別荘の犬」 山田正紀
        「黒髪」 連城三紀彦

        初めての作家さんに出会ったり、
        普段手に取らないようなストーリーに出会ったり、
        これから読む本の選択肢を広げてくれる企画ですね!

        次は東野圭吾のスペシャルブレンドかな♪
        >> 続きを読む

        2013/03/12 by アスラン

      • コメント 3件
    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      二つの祖国

      山崎 豊子

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 第3巻では戦争に係る日本の指導者達を裁く東京裁判が進む。天羽賢治は米国側に雇用され、日米間の通訳の誤訳を正すモニターとして裁判に参加する。私生活では米国に住む家族のことを思いながらも、かつて共に働いた椰子への気持ちが強くなっていく。

        どれほどの史料を読み込み取材をしたのだろうか、と思うほどに東京裁判の内容が克明に描かれていました。
        裁判といえば厳格で公正なもの、という印象ですが、戦勝国が敗戦国を裁くものであるため連合国側の考え方が強く反映されます。賢治はできる限り誤訳をあらため、各人の述べる言葉を正確な訳に正そうと神経を磨り減らしますが、力を入れるほどに、日本側に肩入れしているのではないか、と疑いをかけられてしまいます。
        しかし賢治自身も薄々感づいているように、確かに彼はアメリカより日本に対する気持ちが強くなっているようです。公正な裁判を目指しモニターしているはずが、検察側の主張となるとニュアンスの違いがあってもスルーしていたりして、おや、と思います。この賢治の姿勢がどのような結末に繋がるのか、最終巻が楽しみです。
        しかし、3月中に読み終えるはずが年度をまたいでしまいました…。
        >> 続きを読む

        2016/04/03 by pechaca

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      二つの祖国

      山崎 豊子

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • 長く続く東京裁判のモニターという大役のプレッシャー、もう一つの祖国として想ってきたアメリカを含む連合国側に対する不信感、そして私生活では心から愛する椰子を蝕む不幸と、愛することのできない妻の存在に、賢治は心身ともに疲れ果てていく。
        判決が下され、伝えられるまでを克明に描きながらも、賢治の物語の結末は急スピードで語られていく。

        なんとか読み終わることが出来ました。4巻を通して読んでみると、戦争中の様子を描いた部分よりも東京裁判の部分の方が読み進めるのが大変でした。
        また、物語が進むにつれて主人公の賢治に感情移入できなくなっていきました。辛い立場であることは間違いないですし、妻のエミーが救いようのない酷い性格であるのも確かなのですが、それにしても酒を飲み荒れていく様子は辛いものがあり、薩摩隼人ぶりが良くない方向に表れてしまっていた感じです。子どもたちが気の毒でなりません。

        戦中戦後の史実に基づいた壮大な記述は圧巻です。巻末にずらりと並んだ取材協力者名と参考文献を見て、改めてその取材力の大きさに驚かされました。が、今回はちょっと結末が急展開すぎる感じがしました。4冊もあったのに、最後はなぜか尻切れトンボ的です。そこがやや残念。

        とはいえ、苦手な戦争ものとじっくり向き合う機会が持てたことは、私としては大きな一歩でした。しかしこういう大作を読み終わってしまうと、次に読む作品を選ぶのが大変になります。
        >> 続きを読む

        2016/04/08 by pechaca

      • コメント 6件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      凶悪 ある死刑囚の告発

      新潮社

      新潮社
      カテゴリー:社会病理
      2.6
      いいね!
      • 延命目的、復讐心、贖罪。死刑判決を受けた人が、公になっていない
        事件を獄中から告発するには、様々な動機があるのだろう。

        東京・小菅拘置所に収監されている知人を介して新潮社の編集者に
        もたらされた情報は、のちに「上申書殺人事件」と呼ばれるように
        なる事件のきっかけだった。

        告発を行ったのは元暴力団員。身寄りのない資産家、借金苦に陥った
        会社経営者等を殺害し、大金を手にした「先生」と呼ばれる不動産
        ブローカーがいる。

        最初は懐疑的な思いを抱いた編集者だが、元暴力団員との手紙のやり
        取り・面会を通じて得た情報の裏付け取材をするうちに、告発が信頼
        に値するものだと感じ、月刊誌「新潮45」に記事を掲載する。

        隠され続けて来た事件の内容の酷さに背筋が寒くなると共に、この
        不動産ブローカーが係わった事件以外にも日本国内で失踪や自殺・
        病死として片づけられた裏側で、似たような事件が隠匿され続け
        ているのではないかと感じた。

        元暴力団員が告発した事件は3件だが、「上申書殺人事件」として
        不動産ブローカーが裁かれたのは事件に関連した会社経営者の家族
        が自白した1件のみ。

        事件の衝撃もさることながら、雑誌メディアが掲載した記事が警察・
        検察を動かした稀有な例であろうと思う。

        「新潮45」が本事件を掲載したのは2005年。「文庫版あとがき」で
        は雑誌メディアの可能性に紙数を割いている。安倍チルドレンの杉田
        水脈議員の論文掲載をきっかけとして休刊してしまった今になってみ
        れば虚しさが残る。

        表に出ていない事件を掘り起したノンフィクションとしては秀逸だし、
        各事件の内容が生々しく迫って来る。ただ、時系列が行ったり来たり
        するのはもう少し整理できなかったかと感じた。
        >> 続きを読む

        2018/11/14 by sasha

    • 他1人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      ブラバン

      津原やすみ

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      2.5
      いいね!
      • 重たい本が続いたので、「そろそろスカっと青春小説でも読むか!」と思い、題名と表紙で買った本。確かそんな映画あったよなーなどと思いながら読み進むうちに「あれ?これ何か思ってたんと違う!」となり、結局、ストーリーから結末に至るまで、大人な本でした。CDのジャケ買いみたいな当り?外れ?のワクワク感で入ればよかったのでしょうが、はなから青春小説を期待していただけに「やっちまった」感が最後まで拭えませんでした。
        だって高校時代のブラバン部の顧問がえらい変わり果ててたり、終いにはその顧問と主人公が・・・・だし。。
        高校時代と20年後の対比が物悲しくなりました。
        でも、普通に小説としてはおもしろかったですよ。
        >> 続きを読む

        2012/09/05 by yasuo

      • コメント 4件
    • 他1人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      これでよろしくて?

      川上弘美

      中央公論新社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 定期的に知り合い達と食事会が出来るような立場の子供のいない専業主婦という、2018年現在の感覚でいえば「誰がこんな立場の女に共感するか」と言いたくなるような設定の女性がヒロインなのだが。食事会での彼女らの討論の内容は女であれば思わずニヤニヤしたり頷いてしまうものばかり。
        個人的には母親にとって息子のババア発言は好きな人からのお前呼びみたいなもん、という意見と食材の切り方に文句があるなら何故自分で調理しないのかという意見が面白かった。
        また流そうと思えば流せそうな些細な不満の方が気になるタイプのヒロインにも至極共感した。些細な事を「そういうもの」と思えるようにならないと生きていくのは辛いけど、それがなかなか出来ないんだよねと。
        あと女性陣が個性的なのにもかかわらず男性陣の個性が薄めだったような気がする。女性を中心に据えた物語だからそうなるのは否めないのだが。
        >> 続きを読む

        2018/02/26 by kikima

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      ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊

      立花隆 , 佐藤優

      文藝春秋
      カテゴリー:読書、読書法
      4.0
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      • 正直この二人の知識レベルが高いので僕レベル(本棚を参考にしていただけるとわかると思います)ではついていけません。

        けれども、読みたい本は案外出てきました。
        >> 続きを読む

        2015/02/14 by REOPALD

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出版年月 - 2009年9月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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