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福島正実 , ロバート・アンスン・ハインライン
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ロバート・A・ハインラインの「夏への扉」は、ストーリー自体は、SF物の中でも最も人気のあるといってよいタイムパラドックス物だ。 舞台はまず1970年、この作品が書かれた年からみれば、13年先の未来ということになる。現在の時点で読むと、既に遠く過ぎ去った1970年の社会が、未来社会として描かれているという、なんだか不思議な面白さがある上に、ああ、人はわずか13年先の未来さえ、この程度にしか想像できないし、未来像などというものが、いかに頼りにならないものかとも思う。その辺りの楽しみが味わえるのは、作品誕生時には、超未来とも思えた現代に我々が生きているからだろう。主人公ダンは、天才的な発明家、技術者だ。彼が発明した家事ロボットは、彼とその共同経営者である友人、そして、彼の婚約者の会社に莫大な利益をもたらしている。しかし、ある日ダンは、その婚約者と友人の信じられないような裏切りによって、会社の支配権を失い、会社から体よく放りだされてしまう。失望に沈むダンが考えたのは、コールドスリープという人工冬眠装置に入ることだった。ダンは、愛猫のピートとともに、2000年迄の30年間の冬眠に入る。2000年に目覚めた彼が知った世界は、彼が全財産を遺したはずの愛する姪である、リッキーの生死も行方も分からなくなっているという悲惨なものだった。ダンは、どこでどう間違いが起き、リッキーはどうなってしまったのかを知る為に、再びタイムマシンを使って、コールドスリープに入る直前の1970年の世界へ戻る。再び1970年に戻ったダンには、微妙に以前いた1970年とは違った世界があったのだ。愛するリッキーも、実はコールドスリープで、2000年に旅立っていることを知ったダンは、再びコールドスリープによって2000年の世界で目覚めると-------。タイムマシン物、タイムパラドックス物のお手本とも言うべきSF小説だが、作品に描かれている超未来である2000年も、既に21年も前に過ぎ去っていることを思うと、この物語が想定した幾つかは、実際に実現し、又幾つかは、全く違っているということが、なんとも面白くて、SF小説というジャンルの新しい面白さに気付かされる。この小説の中で、ハイラインが繰り返し言っている、「未来は常に現在より明るい」というポジティブな見方が、この物語、いやSF全体に対する人気を、半世紀以上にわたって持続させている要因なのだとも思う。 >> 続きを読む
2021/06/30 by dreamer
伊藤計劃
生物とマシンが融合進化した近未来で、世界中の開発途上国で起こるジェノサイド(大量虐殺)。それらの国に常に関わっているジョンポールという妻子をサラエボの核爆弾で亡くした元言語学者。ジョンポールをジェノサイドの仕掛け人と判定して、暗殺を命令されたアメリカの特殊工作員との世界をまたいだ追跡劇。なぜジョンポールがジェノサイドを仕掛けるのか?なぜ元言語学者にそんな事が出来るのか?そしてその思想は暗殺者へも影響を及ぼしていく。派手で異様なSF小説にとどまらず、人とはどんな種なのか、小集団では助け合いが起こるのに、大集団になると大殺戮を起こしてしまう複雑な仕掛けなど、人間そのものを深掘る会話が面白かった。 >> 続きを読む
2019/04/30 by aka1965
辻村深月
正直、上巻では退屈ささえ感じなかなか読み進まなかったが、下巻に入ってからの展開がすごくて、どんどん引き込まれあっと言う間に読み終えた。辻村さんの作品だから、後半何か起こるだろうと思ってはいたが、なるほど、こうなっているとは。さすがと言うほかない。終わりに近づくごとに、あれはこういうことだったのか、の連発で、ドキドキ、わくわくしながら読み終えた。そして、今、感想を書いているが、もっと色々感じ、考えたことはあると思うんだけど、簡単には言い表すことができない、余韻に浸っている感じ。ただ、また辻村さんの作品を読みたいと思った。 >> 続きを読む
2020/05/04 by Sprinter
誉田哲也
今まで再読はしない主義でしたが、なかなか感動する本に出会えなく、決意。選んだのは「武士道シリーズ」。一番好きな作家、誉田哲也作の青春もの。剣道部の物語です。本作は主役である香織と早苗の出会いから始まる。同じ部活での高校一年生の物語。何度読んでも面白い、最高傑作。 >> 続きを読む
2020/06/06 by わくさん
東野圭吾
再読。面白かったーーー!!!!!!!!!!!!いやあ、さすが東野圭吾さん!後半からの怒涛の展開は神がかっていますね!実際一度読んではいるのですが、それも数年、下手したら十年ぶりくらい前なので殆ど覚えていませんでした。ただ、今回はそれが功を奏して楽しく、初読の時のような新鮮な気持ちで読めました。「人にはそれぞれ生まれ持った使命がある」良い言葉だと思います。この作品の根底にあるのはまさしくこの言葉に集約されたものだと思います。よく「宿命」という言葉は使われますが「使命」という言葉はあまり使われないと思います。ですが、人間として生まれてきたからには果たさなければならない「使命」があってそれを邪魔する「宿命」がつきまとっている。そのふたつの「命」を使い、人として真っ当に生きる…そんな、当たり前な、でも今の時代、なかなかそれを自覚できないことを執筆された時に東野さんは思われたのかな、もしかしたら警鐘を鳴らされたのかなと思いました。作中でも、いろいろな人達の思いや行動が重なり合い錯綜しせめぎ合っていく中で本当にやるべき事、果たさなければならないことを一人ひとりが気づき確かめ合っていく描写がありますが、そんな場面を見て自分も慌ただしい毎日に溺れ忘れていた大事な何か、「使命」を気づかせてくれたかもな、とも思いました。主人公の夕紀が最初は疑念、疑いの気持ちだけで医者になりその疑念を晴らすためにがむしゃらに仕事をこなしていたのが、勤める病院で脅迫事件が起き夕紀も渦中の人となった時守るべきもの、真実(ほんとう)の事を知った時、世界は変わる。そう、本当にその通り。疑いだけでは真実は見えない。曇りなき眼で見つめなければいけない…改めて思い知らされました。っと、柄にもなく真面目且つ堅苦しくなっちゃいましたね(笑)とにかく面白かったです!再読だけど再読じゃない…あれ?哲学的じゃないですか(笑)久々に小説読了出来たので本当にホッとしています。明日から世間では10連休のようですが自分は殆ど変わらないのでぼちぼちとまた本を読んでいければなと思っています。今回も良い読書が出来ました!!!!!!!!!!! >> 続きを読む
2019/04/26 by 澄美空
坂木司
元ヤンキーでホストの大和が働くホストクラブにある日、小学生の男の子、進が訪ねてきて、「はじめまして、お父さん」と。衝撃的なスタート展開で、何ともミスマッチな組み合わせなのに、とってもハートフルで、気づけばニヤニヤしながら読んでしまっていました。初めてお父さん業をするヤマトと、お父さんを知らずに育ってきた進ですが、家族の温かさがじわーッと伝わってきます。気が短いヤマトは、すぐブチ切れてしまうこともあるけれど、根はとっても優しい思いやりがあるので、ジャスミンや、同僚のナンバーワンホストの雪夜、新しい就職先の宅配便の仲間たちも彼らを見守ってくれ、読了後温かい気持ちになりました。 >> 続きを読む
2020/04/02 by taiaka45
宮部みゆき
模倣犯の登場人物、前畑滋子の出てくる物語。彼女は連続誘拐殺人事件に負け、本も出していなかったが、そこにある悔恨の影響もあり、不思議な能力を持っていた等の真実を解明すべく、次第にのめり込んでいく。別荘の絵を見つけた瞬間の描写で私も鳥肌が立ってしまった。彼女がこの事件にどう向かっていくのか、続きが楽しみ。 >> 続きを読む
2018/10/21 by aki
小川糸
やはり、私は小川糸さんの作品は合わない、と確信した作品。ちょっと辛口だけれど。「つるかめ助産院」や「ツバキ文具店」などいくつか読んだけれど、どれも共通して、登場人物に共感できない。全てが唐突に感じる。本作も、美味しそうな料理、素敵なお店の内装、劇的な展開、全てが嘘っぽく、絵空事のように感じる。なんでだろう。登場人物の心情描写や、読者として心を動かされるようなその人物にある背景がわからないからかな・・・。作者が書きたいことを詰め込んで、自己満足した感じ。特に、倫子がお店を作るところなんて、ズラズラと書き連ねて、とっても素敵なんだろうけど、全く想像できなかった。え?一文なしなんだよね?親からお金借りてるんだよね?みたいな感想しか持てなかった。あぁ・・・、辛口ごめんなさい。 >> 続きを読む
2022/05/18 by URIKO
庵田定夏
文研部に所属する和気藹々とした仲間達と青春を送る青年・太一は唐突に始まる人格入れ替わり現象に遭遇する中、平穏だった日常が脆くも崩れ去る物語。けして言えない心の傷が顕れる時、秘めた想いは青春を揺り動かす。変わらない日常を求める己がいる。それでも、日常は刻々と成長も衰退もする。その中で、相手の気持ちを理解しようとするが、そう簡単に行かない。相手の立場になって初めて解る想いがある。そして、己が思う自分と周りから思われている自分の差異に気付くだろう。正しさなんて、視点や正しさが違えばいくらでも揺れるのだ。 >> 続きを読む
2020/07/21 by ebishi
有栖川有栖
火村シリーズ久々の長編。しかも孤島ものなので、初のクローズドサークルがお目見えという展開。ただあまり閉じ込められた感はないが、火村と有栖も間違ってやってきたのが烏島という緩い始まり。その中で最初の殺人が起こり、島民の中に犯人がいる中で連続殺人が始まる。島民の秘密がそのまま殺人の動機へと繋がっていくあたりはよく出ている。このテーマは当時の題材であるが、興味深い技術であったのだろう。 >> 続きを読む
2020/04/29 by オーウェン
模倣犯の続編?スピンオフ?なぜ能力者を…とは思ったけれどそれがそこまで気にならないぐらい、人物の描写が丁寧だった。影の主役は敏子さん。その事件そんな終わり方する?といきなり存在感増してきて笑った。楽園は最後の希望。得難くて、手にしてもすぐ失ってしまって幻だったかと肩を落としたり。望めば望むだけ苦しくなるのなら、無欲のほうが結局強いんだな、と最後に的はずれな感想をひとつ。 >> 続きを読む
2018/10/26 by aki
東野圭吾さん作品を連続して読みました。最初から最後まで要素を詰め込んでいる感が強く、話をトントン拍子に進めることで、多少無理矢理な部分に気づかせず結末まで引き込んでしまおう、という意図があるのかなぁと思いました。物語の筋よりも、企業が行う研究の質について考えさせられる内容でした。運動関連の遺伝子パターンが同じ親子が一組二組いたくらいで科学的根拠になるのでしょうか。前回読んだ東野さん作品が気に入ったので、今回は少し合わなかったかなという感想です。とはいえ、様々に繋がりあっている人々の様子の描かれ方はさすがだな、と思いました。脳みそこんがらがらないのでしょうか。すごいです。タイトルについて、風美親子に関しては妥当かと思いますが、鳥越氏の場合は托卵になぞらえるのは不自然な気がしました。 >> 続きを読む
2015/08/01 by pechaca
万城目学
小学校入学を目前にした少女かのこと、かのこ宅に住み着いた猫のマドレーヌ夫人を中心に、子どもたちと動物たちの視点からの世界を織り交ぜつつ、出会いと別れを描いた心温まる日常系ファンタジー作品です。【主要キャラクター】かのこちゃん …まもなく小学校入学を迎える少女。マドレーヌ夫人…かのこの家に住むアカトラ猫。犬である玄三郎の「夫人」であり、その言葉を理解する。玄三郎 …かのこの家に住む老いた13歳の柴犬。夫人と意思疎通できる。すずちゃん …小学校で出会う、かのこのクラスメイト。かのこの両親 …理解ある温和な両親。【各章について】プロローグ、2章、4章…マドレーヌ夫人をはじめとした猫犬たちの視点によるエピソード。1章、3章、エピローグ…かのこちゃんをメインに小学校や家庭でのやりとりが描かれる。2~4章とエピローグはエピソード内の時間が重複・前後する部分がある独特の構成が取られています。【所感】言葉の選び方への違和感や、子どもと動物たの描き方についてのあざとさを感じなくはないのですが、著者らしさが発揮された安心して楽しめるエンタメ作品です。著者の他作品に比しての特徴は、幼い少女を主人公に据えていること、かなりコンパクトにまとめられている点でしょうか。【補足】・物語と対象とする期間は、かのこの小学校入学直前の3月末から10月上旬あたりの半年間です。・かのこの父親は、同様に人語を理解する動物が登場する他の万城目作品との関連を匂わせます。・猫たちが人間の言葉を常に理解できるという設定は不要だったようにも思えます。 >> 続きを読む
2020/07/23 by ikawaArise
村山早紀
旧の表紙画像で反映されてないが、こよりさん画の新装版が発売されたので、改めて購入。再読となるがやはりコンビニたそがれ堂の物語は温かくなる。 >> 続きを読む
2019/02/11 by aki0427k
伊吹有喜
後妻として迎えられた熱田家の乙美が71歳で、なんの前触れもなく心臓発作で急逝した。その日、出かける際に持たせてくれたお弁当が汁もれしていたことで、声を荒げて責め、持っていかなかったことを悔やむ夫、良平。新しい優しいお母さんのことが好きだったのに、愛情をうまく伝えられないまま大人になり、結婚して家を出ていった娘、百合子。百合子は夫に浮気され、子どもができたと知らされ、家を出て熱田家に戻ってきた。そんな熱田家に、乙美が残していったことを伝えるために、乙美が生前、絵手紙や生活の術を教えてていたという施設からやってきた井本。乙美は死ぬ前に、二人の為にレシピ集を作っていたのだ。このレシピが熱田家の人々をこれほどまでに変えていくのを生前の乙美はわかっていたのだろうか。乙美の愛を伝えるたった1冊のレシピの大きな力。さりげなく二人をサポートするかのように二人を四十九日に向けて巻き込んでいく井本と謎の青年ハルミの存在も良い味出してるなぁ。 >> 続きを読む
2020/07/03 by taiaka45
前川修満
決算書が読めたらいいなと思い何か本を探してこれを手に取ったのですが、とても分かりやすかったです。キャッシュフロー計算書がわかるだけでも会社の状況が理解できそうで、参考にしたいです。 >> 続きを読む
2019/09/18 by ジョハリ
小池龍之介
思考にとらわれずに、五感を感じるためにはどうしたらよいのか。その方法が仏道の観点から書かれた本。そもそも我々は普段から五感を意識して感じることは少ない。例えば食事をする際にはテレビや新聞を見ながらだったり、スマホもいじりながらの「食べる」時間になっていることが多いのではないだろうか。そうなるともはや味覚をフルに感じることはできないであろう。そういった普段意識していないことを意識することで「今」と言う時を生きているんだと実感できる。この本の中で「捨てる」という行為が印象に残ったので記しておこうと思うが、物に執着することで苦しみが生まれる仕組みから出来る限り持たない、もしくは執着しないというのは人生をしなやかに生きるヒントになると感じた。近年はやった「断捨離」にも通じるところがあるだろう。 >> 続きを読む
2015/12/13 by PEZ
西加奈子
短編集だけど、どれも切り口が違って興味深い。それぞれの物語に登場するふたりの女性が、どんな対比の象徴になっているのか、あるいはいないのか、考えながら読んでたけど、どんどん読んじゃってそんなことも忘れちゃう。西加奈子先生の作品の中では、オススメな方に入ります。 >> 続きを読む
2018/06/15 by たい♣
蛇蔵 , 海野凪子
マンガだから「2巻」というのかな?こちらも1冊目と同様に、日本語について新しい発見がありつつ、さくっと読めて楽しかったです。凪子先生は、教師としてとても真面目で、好感の持てる先生ですね。こんな先生に語学を教えてもらいたい!干支が、中国や台湾にならまだしも、ロシアや中東にもあることに驚きました。言語や文化って深く知れば知るほどおもしろそうだなと思いました。 >> 続きを読む
2021/02/17 by URIKO
加藤俊朗 , 谷川俊太郎
仕事をしていると、呼吸が浅くなっている事に、ふと気が付きます。首や肩や背中に力が入って、疲れます。深く呼吸をする事で、自律神経がうまく働いて、実際に血圧が下がったり、そういう医学的な面はあると思いますが、何より文全体がゆる~いので、難しく考えず、お金もかからないし、いつでもできるので、やってみてみようかな、と素直に思えます。深く吐いて、吸う、それだけなので、ちょっとしばらくの間、チャレンジしてみようと思います。せめて1日1回くらい、力を抜いてリラックスする時間を持つ、その事にも意味があるような気がします。 >> 続きを読む
2017/11/28 by チルカル
出版年月 - 2010年1月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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