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2010年10月発行の書籍

人気の作品

      そして誰もいなくなった

      アガサ・クリスティ , 青木久恵

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! chao sunflower tadahiko tomato Minnie napori Tukiwami akino
      • あまりにも有名な作品ですが、読んだのは初めて(内容も知らなかった)。久々にミステリーを堪能しました。

        嵐で外部との連絡手段を断たれた孤島、姿を見せない屋敷の主、招待された互いに見知らぬ十人の男女・・・いまやミステリーの王道とも言える要素がてんこ盛りで、思わずテンションが上がりました。

        各自の部屋に飾られた童謡の歌詞、その歌詞の通りに一人ずつ殺されていく招待客。そして一人死ぬごとになくなっていく陶器の人形。否が応でも不安がかき立てられていく設定に、怖くてページをめくる手が止められない(矛盾?)。トリックや犯人捜しというよりは、皆が疑心暗鬼に陥り、徐々に追い詰められていく心理面の描写が面白い作品だと思う。怖かったけど・・・。

        >> 続きを読む

        2019/06/22 by asaki

    • 他20人がレビュー登録、 93人が本棚登録しています
      下町ロケット

      池井戸潤

      小学館
      カテゴリー:小説、物語
      4.4
      いいね! tadahiko junction
      • 小さな町工場が逆境の中で勝利を掴みとっていくストーリー。
        何度も来るピンチの中、ハラハラしながら最後まで一気に読み終えました。主人公にすっかり感情移入してしまいました。面白いです。

        >> 続きを読む

        2019/02/21 by naaamo

    • 他17人がレビュー登録、 59人が本棚登録しています
      ゴールデンスランバー

      伊坂幸太郎

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね!
      •  伊坂作品を読むのは「重力ピエロ」「AX」に続き三冊目になります。以前、友人にプレゼントされて何度かチャレンジしたのですが 分厚さに圧倒されてしまい、挫折を繰り返して積ん読になっていました。
         そこで、また積ん読解消ということで気合を入れて読んでみることにしました。読み終わった今は、二時間半くらいの映画を見たあと、みたいな達成感に包まれています。長編だからこそ味わえる感覚ですね!

         最初の120ページくらいは、正直少し読みづらかったように感じました。何人もの視点を交互に書かれる手法に慣れるのに、時間がかかったように思います。
         ですが、そこからの加速がすごかったです。一気に200ページくらい読めちゃいました。青柳さんや樋口晴子ちゃんの気持ちに感情移入してしまい、「自分は犯人じゃないのに!」と濡れ衣を着せられた気分で、とにかくもどかしかったです。もどかしい、という気持ちが更に小説の世界に引きずり込んでくれます。
         樋口晴子ちゃんの娘の七美ちゃんが、とても良かったです。子供らしい部分もありながら、とても賢い。素敵な女性になりそうですよね。大人になった姿が見てみたいです。
         「ゴールデンスランバー」というタイトルが、森田くんの歌ったビートルズの曲名、というのもとても素敵だなと思いました。森田くんは最初のほうでしか出てこないですが、青柳さんや晴子ちゃん、また読者の心の中にずっといてくれますよね。森田くんみたいな友達がいたら、一生忘れないだろうなと思います。

         まずP14で樋口晴子ちゃんが青柳さんのことを思い出すシーンで
        「横倒しになり、壁一面に積まれた樽だ。その樽には、小さな栓があり、突起状のそれを引き抜くと、中からワインが流れ出る。まさにその時の樋口晴子も、平野晶の言葉をきっかけに、頭の中の樽の栓が抜かれ、そこから、青柳雅春と過ごした時間の記憶がどっと溢れ出るような感覚に襲われた。」
        という文章があるのですが、記憶が蘇ることをワインの樽で表現しているのがとても新鮮で素敵だと思いました。お洒落ですよね。私もこんな比喩を使ってみたいです。

         またP189の平野晶ちゃんの
        「個人的な生活と、世界、って完全に別物になってるよね。本当は繋がってるのに」
        という言葉が印象的でした。
         自分も思っていたけど、言葉に出来なかったことを小説で読んだときって、とても印象に残るのかもしれません。ニュースで見る海外の大きな事件も、自分と同じ世界で起きている話なのに 自分とはどこか違う世界で起きている気分になってしまいますよね。

         それからP265で轟さんが言ってくれた
        「思い出っつうのは、だいたい似たきっかけで復活するんだよ。自分が思い出してれば、相手も思い出してる」
        という言葉がとても嬉しかったです。
         私もよく、夜空の月とか洗濯物の香りとか雨の音とかをきっかけに思い出すことがあるのですが、相手も同じように考えていることがあるのかもしれない、と思うと嬉しかったです。そういう瞬間に、ふと思い出してもらえるような存在になりたいなと思います。

         最後に押された判子の文字をみたとき、まるで自分がその判子を押されたように驚きました。「AX」を読んだ時にも思ったのですが、伊坂作品は読後感がとてもさっぱりしていて気持ちいいです。
         とても重い題材でも、殺しや暴力があっても、最後はすっきりと終わるのがとても心地よくて「また伊坂さんの作品を読みたいな」と思わせてくれるように感じています。
        >> 続きを読む

        2020/07/23 by ゆきの

      • コメント 4件
    • 他14人がレビュー登録、 124人が本棚登録しています
      おやすみラフマニノフ

      中山七里

      宝島社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 途中で自白があったところで
        「前作さよならドビュッシーと似た展開だなー」
        と思ってあなどってたら見事にその後
        「えっ、あれ?そっち?」
        みたいになってしかも動機それ持ってくんのかーーー!みたいな?

        完全に翻弄されましたよーだ。

        そんでもってラストとタイトルで鳥肌ですよ。

        もーたまらん。
        >> 続きを読む

        2019/07/19 by W_W

    • 他4人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      万能鑑定士Qの事件簿 - Ⅵ

      松岡圭祐

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • (登録前に読んだ本)

        図書館で借りて読了。今回も主人公の鑑識眼で事件を解決するのが話の中心。宿敵出現? の割には最後あっさり捕まってしまう。何か主人公の万能ぶりがすごすぎて、他の人物がみんなかすんでしまうというかストーリーを盛り上げるための取り巻き見たいな感じになっている。その点が4巻以降読んでいて気になる。まあ、次の巻に期待するかな。 >> 続きを読む

        2016/09/27 by おにけん

    • 他3人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義

      IyengarSheena. , 櫻井祐子

      文藝春秋
      カテゴリー:社会学
      4.4
      いいね!
      • 集団主義が重視されていた日本で育った自分には、「選択」こそ力であるというアメリカ的個人主義を子供に教えることは多分できない。でも自由に選択する権利が重要なのはよく分かるし、選択ができない子にはしたくない。色々考えさせられる。 >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

      • コメント 5件
    • 他3人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方

      福島文二郎

      中経出版
      カテゴリー:観光事業
      3.4
      いいね!
      • ディズニーのあの素晴らしいサービスがどのように生み出されているのか、この本を読むとよく分かります。その内容は、どんな組織にでも応用可能なものとなっています。
        そして、人を育てるための「教える側」の準備から説明されており、人材教育に関する本の入門編として読むにはオススメ出来ます。
        >> 続きを読む

        2015/09/01 by kzkzk

    • 他3人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      吐息雪色

      綾崎隼

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 引きこもりをしている妹がいて、図書館の館長に恋をした普通のOLとの話だと思っていたら、終盤に劇的な仕掛けが待っていた!。ビックリしたが、結果的にハッピーエンドで良かったと思う。あと指摘したい点はこれまでのシリーズの登場人物(一部)が脇役として登場している点。前3作を読んでからの方が話の世界観のつながりがあって楽しめると思う。感想はこんなところです。 >> 続きを読む

        2017/01/13 by おにけん

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      チア男子!!

      朝井リョウ

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね!
      • チアリーディングって、女性がやるものだと思っていたら、この本では男性だけのチアが結成されて。でも実際でも混成チームや男性チームがあるとは!
        そして、チアは自分のチームだけではなく、観客も、相手チームも全員を応援する競技だったなんて。初めて知りました。

        自分も学生時代、学校にチームがあって、デモンストレーションでそれはそれは華やかに踊り、飛び、わぁ~♪と圧巻されたのですが、華やかな世界、技の中には、並々ならぬ努力とチームの信頼性が培われていたのです。
        もはや、スポーツと同類の競技です。

        色々と心に人に言えないような秘め事を抱えていた学生たちが、一人の呼びかけから少しずつ仲間が増え、チアを通して自分と向き合い、全くできなかった技、それどころか基礎体力もない人たちが、励まし合い鍛錬する。バラバラだった心も、一緒に苦労を共にして仲間を信じ合うようになって一つにまとまっていく。

        よくある団体競技のスポーツ青春もの、と一言で片づけられないような、それぞれの屈折、そしてその先にあるキラキラした世界が見えました。
        メンバーそれぞれがコーチに言われて、反省点、その日の自分の気持ちなどを書いてコーチに渡すのですが、最後にノートを回し読みしてみんなの気持ちを知ったとき、ホロッときてしまうことでしょう。

        >> 続きを読む

        2019/07/10 by taiaka45

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      あたらしいみかんのむきかた

      岡田好弘 , 神谷圭介

      小学館
      カテゴリー:手芸
      3.4
      いいね!
      • おもしろい。
        展開図を見ながらやってみたりして楽しめました

        2018/07/21 by motti

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      ツナグ

      辻村深月

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 匿名

        2010/10/30 発行


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        2019/11/14 by 匿名

    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      ロードサイド・クロス

      池田真紀子 , DeaverJeffery

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね! Tukiwami
      • キャサリン・ダンスのシリーズ第2弾。

        十字架が置かれた、それは犯行予告を知らせるもの。
        その先はネットに繋がれた1つのブログが関係しており、ダンス一行は捜査を始めるが、その後も犯行は続く。

        刊行が2010年ということで、SNS関連よりはブログが大きなネットの力となっていたころ。
        そこに本名で書きこむあたりから犯人の狙いがついていく。

        サプライズはやはり犯人が誰かという点。
        二転三転は当然だが、中々意外な犯人であるし、動機もネットが中心の時代ならでは。

        ラストはダンスの新たな一歩を示唆して終わる。
        >> 続きを読む

        2020/06/08 by オーウェン

    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      世界文学全集

      池沢夏樹 , 阿部賢一 , HrabalBohumil

      河出書房新社
      カテゴリー:叢書、全集、選集
      4.3
      いいね!

      • ドイツ、ポーランド、オーストリア、ハンガリー、ソ連といった国によって支配され、自分たちの運命を自分たちで決められないという、日常的な不条理の中で生きることを長らく強いられてきたチェコ人。
        その精神を体現する作家の一人が、「わたしは英国王に給仕した」のボフミル・フラバルだと思います。

        物語の語り部は、十五歳で駅でソーセージを売る仕事からキャリアをスタートさせ、プラハで一番のホテルの給仕長になり、やがてはセレブ御用達のホテルのオーナーになる、とっても背が低い男ヤン・ジーチェ。

        小さな国の小さな給仕が百万長者になり、しかし、財産を祖国に没収され、流れ着いた村でささやかな幸せを勝ち取るまでを、奇想天外かつ滑稽なエピソードと諧謔を弄する語り口で描いた、この小説の中には、英米文学ではあまり味わえない「一寸の虫にも五分の魂」的な、少しねじれた笑いが響き渡っていると思います。

        裕福な人たちが訪れるホテルで、ヤンはいろんな贅沢や飽食を見聞する。
        なかでも、出てくる高級な料理や飲み物のことごとくを美味しそうに飲み食いしているくせに、身震いしながら嫌悪感を示し、こんなものは食べられない、飲めないと言いながら、すべてを平らげる将軍のエピソードは、実に秀逸です。

        金も権力も美女も手中に収めながら、それでも満足を覚えることを自分に許さないという、持たざる者にはわからない、持てる者の不幸。
        そんな金持ちたちを眺めながら、ヤンは思うんですね。

        「労働が人間を高尚にすると考えたのは、ここできれいな娘たちを膝に乗せて一晩中飲んだり食ったりしている人たちにほかならず」、薪を割っているポーターの姿を見かけると、「このポーターは世界で一番幸せな人間だという印象をかれら裕福な人たちは抱く」くせして、「けっして自分から同じ仕事をしたことなどなかった」と。

        かといって、ヤンは金持ちを断罪しているわけではないんですね。
        ヤンには、ほとんど悪意というものがないんですね。
        いわば、タブラ・ラサ的な白紙人間。

        著者のボフミル・フラバルは、そんな邪気のないキャラクターに時代の目撃者、証人としての役割を担わせることで、金や政治に翻弄される人間の"滑稽や残酷や醜悪や切実や哀切"を、善悪や好悪のフィルターを通さず、剥き身のまま描き出そうとしているのだと思います。

        この物語の背景にあるナチス・ドイツの問題もまた、ヤンによって愚かしさを露呈するのです。
        ドイツ人女性のリーザと恋に落ちたヤンが、「人類の純粋培養」を企むナチスによって検診を受け、結婚後は「愛でなく、義務と純血と名誉に満たされ」た科学的なセックスを強要されて、挙げ句、金槌で釘を打つことだけが好きな知的障碍者の息子が生まれ、リーザがユダヤ人から奪った大量の高価な切手によって、百万長者になるまでを描いた第四章「頭はもはや見つからなかった」における、剥き身のナチス思想のグロテスクさと不条理は、この作品の白眉とも言えると思います。

        でも、語り口は、決して重くはないんですね。この作品の全篇を通して響きわたっているのは、実は"笑い"なんですね。

        テイストとして似ているのは、ギュンター・グラスの「ブリキの太鼓」で、かの物語がそうであるように、奇人変人めいた人物が大勢登場し、その奇行によって我々読者を愉しませてくれるんですね。

        因みに「英国王に給仕した」のは、ヤンが駆け出しの頃に尊敬していた給仕長の経験で、ヤン自身のアイデンティティはエチオピア皇帝に給仕したこと。
        他国の貴賓に給仕した経験が、「なんでそこまで?」というほどの誇りになってしまうんですね。

        チェコという小国の卑屈を、自ら笑うかのようなタイトルも秀逸な、中欧文学の傑作だと思います。

        >> 続きを読む

        2018/12/26 by dreamer

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      収穫祭

      西沢保彦

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね! Tukiwami
      • エロとグロのごちゃまぜのような作品。
        とにかく死人が多すぎるし、変態性の人間も大量に出てくる。

        過疎化した村で起きた大量殺人。
        残された中3のブキとカンチとマユちゃんは当てもなく村をさまようが、死体に出くわすばかり。

        上下に分かれての600ページ以上というボリューム。
        読むのにも一苦労だが、犯人が二転三転するという全5章仕立てのつくり。

        冷静に考えれば犯人はあの人しかいないのだが、そこは右往左往される証言によって覆される。
        普通に推理していても当たり前のようにエロが入ってきたり、突然に死体が現れるという描写が満載。

        好き嫌いが確実に分かれると思うのだが、これだけの長尺に仕立て上げた西澤さんの手腕は素直にすごい。
        >> 続きを読む

        2019/06/18 by オーウェン

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      木暮荘物語

      三浦しをん

      祥伝社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • おんぼろアパート木暮荘の住人が出てくる短編集。登場人物がクロスオーバーしているのでだんだん木暮荘に愛着が湧いてくる。 死ぬ間際の友人の言葉がきっかけで猛烈にセックスをしたくなったおじいさんの話がとても面白かった。どうしたら拒絶されることなく、いたすことができるのか?その奮闘する思考があまりにも猛然としていて笑えた。 風来坊のカメラマン並木の独特の世界観も好き。覗き見される女子大生と覗き見する男の話もちょっとドキドキしながら楽しく読めた。性表現が多いけれど、気持ちの悪いエロさではないので私はOK >> 続きを読む

        2018/08/12 by かなかな

    • 他2人がレビュー登録、 18人が本棚登録しています
      利休にたずねよ

      山本兼一

      PHP研究所
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • 1591年(天正19年)2月28日 利休70歳 朝

        利休は死を賜った。――あの下司な猿めが、憤怒がたぎっている。
        雷鳴がとどろく中、妻の宋恩と広縁に座った。この雨は天のもてなしであろう。
        一畳半の茶室に入り、三人の見届け役とともに茶をまわし飲んだ。助命嘆願を勧められたが詫びることなどなかった。秀吉の勘気にふれたと噂が広まったが身に覚えもなかった。
        金に明かした秀吉の作動には飽きが来た。
        松籟の音を聞きながら、藤四郎義光の短剣を手にした。
        「この狭さでは、首が刎ねられぬ」
        「ならばご覧じろ、存分にさばいてお見せせん」


        ここから時代が遡る珍しい構成。
        利休が信長に認められ、秀吉に重用され、茶道頭に上り詰める。ただただ茶の湯にのめりこみ、侘び,寂び、幽玄の世界を追い求め続けていく。その美に対する天才的に備わった感性と、修練で、茶道具を見分けていく。

        堺商人の間で侘茶が広まった頃、信頼の置ける目利きになった利休は、財を蓄え、美を求めて身の周りをしつらえ、そのためには恐れるもののない物言いと行いで、茶道を極めていった。
        秀吉に重用されながらも、金に明かした低俗さに、頭を下げながらも心の声が表ににじみ出ている。それを秀吉は憎悪していた。
        天下に並ぶもののない権勢を誇っていたが、利休の審美眼の深さには及ばなかった。

        利休は若い頃、忘れられない恋をした。思いつめて、高麗から買われてきた女と駆け落ちしようとした、だが捕まる前に毒の入った茶をたてて心中を図った。女は高貴な生まれで死も恐れなかった、利休は果たされず生き残り、女の持っていた緑釉の香合を肌身離さず持っていた。噂で知った秀吉が譲るようにいったが頑として受け付けなかった。

        大徳寺に寄進した礼にと、僧侶たちが、利休の等身大の木象をつくり山門に立てた。それが秀吉の逆鱗に触れた。
        自刃の原因はそのことになってはいるが、利休の厳しい求道の心と、美に対する天性の感、意に叶わないものを認めない頑固な意地、それが、茶道の奥義を窮めたといえ、凡庸であったり、ただわずかに優れているというおごりを持つ人たちの生き方に沿わなかった。
        金と権力が全てに通じ、世の中全てを手に入れることが出来ると思う秀吉。ただ戦いの技に優れ、強運と時には卑屈さも使い分ける計算高い秀吉とは相容れない生き方だった、利休は誇りとともに運命に殉じた。

        映画化されたときの利休役の、海老蔵さんのカバーが付いている。死を前にして端然と座った姿が美しい。

        第140回直木賞受賞作

        >> 続きを読む

        2015/05/22 by 空耳よ

      • コメント 11件
    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      3月のライオン

      羽海野チカ

      白泉社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      5.0
      いいね! kgr
      • 零くんがひなちゃんが、運命の人になった名作

        2016/12/25 by mbd

    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      ランウェイ・ビート

      原田マハ

      宝島社
      カテゴリー:小説、物語
      2.3
      いいね!
      • 匿名

        ファッションデザイナーに憧れ、高校生にして自分で服を作る男の子・美糸(びいと)と芽衣とクラスメイトたちのバタバタ。美糸の熱い想いが周囲を動かして、一大イベントを成功させる。 >> 続きを読む

        2018/04/20 by 匿名

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      ホルモー六景

      万城目学

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 鴨川ホルモーのスピンオフ。
        ホルモーにまつわる6篇の短編からなる一冊でした。
        まず全篇恋愛がらみの物語だった事が予想外でしたが、よくよく考えれば本編自体恋愛ものだったと言えなくもないか、と思い出しました。
        ホルモーのインパクトが余りにも強烈でしたからね…。
        その短編、意外な事実あり、焦れったいものあり、腹の立つもの、果ては叙述トリック的なものまであり中々に楽しませて貰いましたが、中でも「長持の恋」は余りに秀逸。
        発想、展開、そして本作らしい癖のあるオチも含めて本当に素晴らしかった。
        これだけで本書を買う価値ありかと。
        >> 続きを読む

        2014/05/18 by 豚山田

      • コメント 2件
    • 他1人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      神田川デイズ

      豊島ミホ

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  大学生のリアルを描いた連作短編。

         それなりに楽しく、充実した毎日を過ごしていても、ふと違和感を感じたり焦燥感にかられたりすることがありませんか?
        「なんだかなぁ」という違和感や、「もっとこうさ! なんていうか、もっとさ……!」みたいな焦燥感です。そんな感覚をとてもリアルに描いていると思います。

         そういった感覚に苛まれている間は、どうしようもなくままならない気分です。でも、それらは若いからこそ感じられる、自分の可能性への予感であることもあります。今の自分に疑問を感じたときには、一度立ち止まってみるべきかもしれません。人生を進めば進むほど、道は広くなっていきますが、岐路は少なくなっていくように思います。

         「BOSS」のキャッチコピーじゃないですが、「このろくでもない、すばらしき世界」というものを非常に的確に描いている一冊です。

         幅広い人にお勧めできる小説だと思いました。
         現実を生きる全ての若者たちへ。
        >> 続きを読む

        2014/10/04 by あさ・くら

      • コメント 1件
    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています

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