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貴志祐介
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【1000年後にこの手記を読むかもしれないあなたへ】 ネット書評で結構評判が良かった作品なので読んでみることにしました。 物語の舞台となる世界は、現代とは違うかなり不思議な世界です。 文明的には現代よりも退行しているかのようで、どこかひと昔もふた昔も前の田舎の農村のような感じが漂います。 電気は川(またはそこから引いた水路)に設置した水車により発電しているようで、スピーカーによる町内放送にしか使ってはいけないことになっているそうです。 神栖(かみす)66町という町が基本的な舞台となるのですが、この町は四方を八丁標(はっちょうじめ)と呼ばれる注連縄で結界されています。 八丁標の外の世界には異形の怪物が跋扈していると言うのです。 だから、子供たちだけで八丁標の外へ出てはいけないと教えられて育ちます。 位置的には、霞ケ浦近く、利根川が流れていると書かれていますので、茨城県なのか千葉県なのか、その辺りという感じでしょうか。 子供たちは小学校のようなところで学んだ後、成長したと認められれば上級の学校に通うことになります。 上級の学校に上がるのは、決まった年齢が来たら一斉にということではなく、あくまでも成長が認められた者から順にということのようです。 非常に教育に力を入れている社会であることが描かれます。 そして、この世界では、人々は呪力と呼ばれる超能力が使えるのです。 上級学校に上がるために必要な成長とは、呪力の成熟度合いを指すのかもしれません。 上級学校では、通常の学科教育だけではなく、呪力を育てる教育も行われているようなのです。 本作の語り手は、渡辺早季(さき)という少女です。 彼女は、1000年後の同胞に向けてこの手記(作中では『手紙』と呼称していますが、手紙にしては長過ぎます)を書いていると言います。 どうも検閲を恐れているようでもあります。 上巻を読んだだけでは、早季が何のためにこのような手記を残そうとしているのか、それはまだ分からないのですが。 早季の手記は彼女が幼い頃から始まります。 そして上級学校に通うようになり、呪術を使えるようになる過程が、様々なエピソードと共に語られていきます。 上巻のクライマックスは、子供たちだけで出かけた夏季キャンプでの出来事でしょう。 早季たちは、行ってはいけないと言われている霞ケ浦の奥まで出かけてしまい、危難に遭遇してしまうのです。 さて、この作品、結構な厚さの文庫で上中下三冊組なんです。 なかなかの大作です。 これだけの分量なので、最初は手を出すのがちょっとためらわれたのですが、まあ、図書館から借りてくる本なので、あまり面白くなければ途中下車もアリという気持ちで読み始めました。 上巻までの感想ですが、厚さの割にはさくさく読み進められる作品だと思います。 読みやすい作品と言えるでしょう。 所々で盛り上げるエピソードも挟まれており、夢中になって読み耽るというところまでは行きませんが、まずまずの出だしと感じました。 途中で、この世界が今のようになった理由の一端が垣間見えるところがあり、おそらく、それが大きなテーマになっていくことが推測されます。 子供たちによる冒険小説的色合いが今のところ強いかもしれません。 上巻は結構簡単に読了しちゃえましたので、この勢いで進めようと思います。 途中下車しない限り、適宜レビューしますね。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/03/16 by ef177
誉田哲也
早苗が引っ越し、香織と離ればなれになった高校2年生。そして久々の再会は香織の宿敵「黒沢」のいる福岡南高校。セブンティーンは黒沢や田原など脇を固める登場人物がいい感じに盛り上げてくれている。シックスティーンでは香織の剣道への迷いであったが、セブンティーンでは早苗の剣道への迷いが描かれ、クライマックスの3年生へと繋がっていく。 >> 続きを読む
2020/06/06 by わくさん
「姫川シリーズ」第三弾は、7つの事件が入った短編小説です。姫川玲子が、巡査刑事・巡査部長の時に遭遇した事件の話が中心です。どの話もサクッと読める事件ばかりで、あっという間に読み終える事が出来ました。サクッと読めるけれど、事件はどれも面白いものばかりでした。今までは犯人が誰なのかは、ラストにならないと分からなかったのですが。この短編小説のほとんどは、読者にも先に犯人が分かっていて、それを姫川玲子がどう追い詰めていくのかというスタイルの小説で、また新鮮な気持ちで読む事が出来ました。 >> 続きを読む
2019/05/09 by ゆずの
プロ棋士の塚田が眠りから覚めたそこは廃墟の様な舞台。キングとして青の軍団と戦えという指令。手駒を動かし戦略を生かして、相手を倒すゲームの世界に入ってしまったことを塚田は知る。タイトルはゲームの名称だが、ルールはしっかりと文中で説明される。その中で誰が誰に強く誰に弱いのか。それを見極めたうえで戦力を配備し、相手のキングを取れば勝利。先に4戦とれば勝利だが、戦略的にも策略にもよく考え抜かれている。先制攻撃だったり、敢えて待機したり。そして駒は昇格できる。これによって複雑な思考が求められる。将棋や囲碁にチェスなどが好きな人は存分に楽しめるし、ラストに仕掛けられた貴志さんらしいホラー的側面も忘れていなく面白い。 >> 続きを読む
2019/09/27 by オーウェン
ちきりん
『常識』にとらわれないことの必要性を、筆者は繰り返し教えてくれているように感じます。世間一般の常識通りの生き方が楽な場合もあれば、常識に苦しめられることもある。ゆるく生きるには、一度常識というフレームから外れる必要もある、そんなことに改めて気づかせてくれる一冊です。 >> 続きを読む
2017/06/25 by あいら
中村航
結婚した人が恋愛するのは反対。傷つく人がいることを忘れちゃいけない。結婚する時病めるときも支えあうと誓ったじゃない。結婚相手は自分で選んだ相手だから大切にしないとね。最近不倫で叩かれてる芸能人が多いけど自業自得だと思う。家族を大切にしないと世の中もっとおかしくなってしまう。私は婚外恋愛には反対です。でも中村さんの小説は散文のようであっという間に読めてしまう。 >> 続きを読む
2020/03/02 by miko
【悪鬼と業魔、その正体は……】 本作は、語り手である早季と、その親友の覚、瞬、真理亜、守の成長を追うように語られていきます。 4人は上級の学校で同じ班のメンバーとして行動を共にし、それぞれ呪力の鍛錬に励んでいるのですが、それもいつまでも続くものではありませんでした。 4人も薄々感づいてはいるのですが、突然、学校から姿を消してしまう生徒がいるのです。 それは何の理由でいなくなるのか、どこへ行ったのか、まったく分からないのです。 早季の班だって、本当はもう一人いたのですが、その女の子もいつかどこかへ消えてしまいました。 ということは、早季たちだって、もしかしたら消えてしまうことだってあるということなのでしょうか? ネタばれになりますので詳しいことは伏せますが、そういうことが起きるのです。 それでは消えてしまうのは何故なのでしょうか? それは、この町の者が幼い頃から教えられている『悪鬼』と『業魔』という恐ろしい化け物に関係する理由からでした。 子供たちは、『悪鬼』も『業魔』も人間とは違う生き物と思い込んでいるのですが、実は人間とは無関係というわけではないことが分かってきます。 あ゛~……ネタばれしないよいうにするためにはこれ以上詳しいことは書けず、隔靴掻痒なのですが、ご勘弁を。 とにかく、この世界の謎のようなことが少しずつ早季たちにも(それと共に読者にも)分かってくるのです。 そして、これは大きな問題だと思うのですが、超能力である呪力を使えるということは、手放しで幸せなことなんかではないのかもしれないということが、読者にも段々ほのめかされてくるのです。 上巻のレビューで書きましたが、早季は、この物語を1000年後の同胞に宛てて書いているのですが、私たち読者が生きていた世界というのは、実は早季たちの世界よりも1000年ほど前の世界だったということが分かってくるのです。 私たちの物質文明は滅びてしまったのです。 その後に生まれたのが、人々が呪力を使える早季たちの世界なのです。 しかし、そんな早季がさらに1000年後の同胞に宛てて書き残さなければならないということは、早季たちの世界も滅びてしまうということなのでしょうか? そのことは中巻ではまだ分かりません。 この物語の世界が、どこか文明が退行したような印象を受けるのは、物質文明が一度滅んだ後に成立した世界だからなのかもしれません。 昔のように全面的に物質に頼るような文明は、もはや信頼できなくなっているということなのかもしれないのです。 さて、物語はいよいよ最終巻の下巻に入ります。 中巻に入ってもやはり読みやすい作品という印象は変わらず、ページ数の割に速く読み進めることができると思います。 物語全体の雰囲気としては、SF的なテイストもありますが、むしろファンタジーの色合いが強く、ファンタジー+冒険活劇というイメージが一番近いかなと感じています。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2021/03/18 by ef177
瀬尾まいこ
ここにあるのは「つながり」かなと言うのが、読後感。どれもこれも、いい味でてるよなあ~と思うし、装丁の天丼のご飯にしみこんだつゆのような味わいだ。どの作品も、そのあとの話が気になるし、同じ作品でのパート2とかあっても面白いかな。自分自身を作品の中に入れて考えてみると、果たして、自分はどう感じどういう行動をとるだろうかと思う。まあ、ある程度は近い行動も取れるかなと思ったり、さすがに、ここの域には足していないなあ~と思ったり。しかし、装丁の天丼、いい味だ。息子(中3・・・今は高3になった)が見て「天丼食べたい」と言っていた。 >> 続きを読む
2015/02/19 by けんとまん
和田竜
織田信長の伊賀攻めに、百地三太夫と石川五右衛門と聞けば、真っ先に、山本薩夫監督、市川雷蔵主演で映画化もされた村山知義の「忍びの者」を思い浮かべます。今回読了したのは、長篇時代小説のデビュー作「のぼうの城」でブレイクした和田竜の2作目の作品「忍びの国」で、当然のことながら、新しい展開に満ちている。一応、群像劇の体裁が取られているものの、軸となるのは伊賀の忍びの無門。伊賀でも一番の忍びと言われつつも、自分がさらって来た女房のお国の尻に敷かれ、金とお国のためにしか動こうとはしなかった。その一方で、著者の和田竜は、享楽的で欲望に忠実で、殺戮を愛し、時には土の匂いすら感じさせる忍びたちを、独特のユーモアと不気味さの中に描いていて、実に見事だ。さらに、味方さえも非情に利用する百地三太夫の知謀を描くことによって、織田信長の伊賀攻めを、史実の要諦を踏まえながらも、巧みに物語化することに成功していると思う。加えて、地侍と下人という構造に今日の格差社会を見ることも可能だし、ラストの、自らも人であることを否定していた無門の怒り、すなわち、人の痛みを理解できない者たちへの怒りは、今日の無差別殺人などにおける病巣の一つを巧みについていると言えるだろう。この作品は、"忍者もの"に新たなテーマを導入した力作だと思いますね。 >> 続きを読む
2018/08/12 by dreamer
野村沙知代
サッチーのイメージが変わりました。サッチーと結婚すれば良かった!!とまでは思わないかな^^;共感できる意見、自分とは違った意見もありますが、とにかく物事をはっきり言い切って下さるので、読んでいて爽快^^「成遂執念」・・・素敵な言葉をありがとう、サッチーさん♪ >> 続きを読む
2012/05/24 by fraiseyui
羽生善治
羽生さんの本に関しては、私は以前、『人工知能の核心』をレビューしましたが、それよりも前に書かれたこの本は未読だったもので。私自身が、「大局観」、言い換えれば「全体を俯瞰する力」に劣るところがあったので(これは、土木系の人間としては致命的な弱点なんですよ…)、電子版で買って読んでみました。最初の方を読んで考えたことは、どうしても「何でも具体化、明確化する」という方向に行きがちな仕事柄なので、長期的、あるいは広範囲の視野というのは、「漠然としているのが当たり前」という認識を持つことも必要かもしれない、ということですかね。また、論理と情緒、経験によって得るものと失うもの、そしてリスクをとること、色々と面白い考察があるのですが、私にとって一番印象に残るのは「毎日続けること」、および「反復練習」の大事さを述べているところですかね。以前、イチローの名言を取り上げた本に対しても同じ考察をしていたかと思いますが、「メリハリを付ける」ことはストレス社会の現代に必要なことでありますが、一方で「コンスタントに取り組む」ことの大切さこそもっと重視されるべきかという気がします。 >> 続きを読む
2017/07/19 by ピース
山口幸三郎
日暮旅人シリーズ第2弾。前回までの主人公は優しさ、寂しさが前面に出たキャラクターだったが、今回は彼の残虐さ、冷静さを持った一面を垣間見ることができた。 >> 続きを読む
2018/04/15 by 匿名
西村賢太
第144回芥川賞受賞作品。11歳のときに性犯罪加害者の倅となった故に街を追われ、勉強にもついていけず人間関係を構築できないまま高校に行かなかった主人公はやむを得ず港湾荷役の日雇人夫の職につく。仕事に行ったり行かなかったりの生活が続くが同い年の専門学校生と仲良くなって毎日仕事に出かけるようになるが…。主人公の怠惰で欲情的な性質のなかでもがいている姿を詳細に描いている。 >> 続きを読む
2017/06/04 by konil
藤木稟
『腐らない死体』を奇跡認定をするかしないか判断すべくアフリカに渡る平賀とロベルト。2人のキャラが1冊と全然違う。平賀は不気味なロボット人間から天然ボケの科学バカになり、ロベルトは平賀の保護者と化した挙句平賀への愛情が気持ち悪いほど増大している。またこの巻では女性キャラが1人しか登場せずしかも登場したときにはもうすでに亡くなっている。ヒロイン不在どころか女キャラ不在。その代わりといってはなんだが朱雀十五のイタリア人版みたいな美青年が登場する。因みにこの巻でロベルトも平賀に負けないくらいの美青年であることが判明する。両方人間離れしたレベルの美男子にする必要性がどこにあるかは不明。朱雀シリーズに女尊男卑の気があったのに対し少々男尊女卑の気を感じるのは舞台がキリスト教圏だからか。それとも藤木稟が本当に書きたかったのはこういう作風の物語なんだろうか。思い起こせば朱雀シリーズの律子の書かれ方も巻を追うごとにどんどん酷くなっていったしな…。文庫本化されてない作品である『夢魔の棲む処』や『猿楽の舞』なんてどうぞ叩いてくださいと言わんばかりの書かれ方だったような気が。 >> 続きを読む
2016/01/24 by kikima
リン.A・ロビンソン
この手のスピリチュアル系は、神秘的に書かれれば書かれるほど、自分は「何だか胡散臭い」と思ってしまう人間なのだなぁ。以前読んだ雲 黒斎さんの「あの世に聞いたこの世のしくみ」と似ているところはあるものの(引き寄せの法則など)、雲さんのように「不安や恐怖という、う○こは手放すのじゃ!」なんて下世話に書いて貰ったほうが、余程心に響いた。何が心に届くかは、やはり直感力?! >> 続きを読む
2015/12/27 by FUKUchan
小川洋子
【小川洋子さんの自伝的エッセイ集】 小川洋子さんの、過去から現在に至るまでの様々な場面を綴った自伝的エッセイ集です。 章立ては以下のとおり。 思い出の地から 創作の小部屋 出会いの人、出会いの先に 日々のなかで 自著へのつぶやき 書かれたもの、書かれなかったもの 各項目は短いので、パラパラと読めてしまいます。 他の小川さんの著作でも触れている話題も結構あり、『らしい』なぁと安心して読めます(例えば熱狂的タイガースファンであることや、飼い犬のラブのことなどなど)。 ちょっとにやっとしてしまったのは、クリスティのミステリを久しぶりに読んだ時のお話です。 小川さんは、クリスティは最初に『アクロイド殺し』と『ABC殺人事件』を読んだそうですが(良い作品から読みましたね~)、どちらも犯人はしっかり記憶していたのだとか。 犯人が分かっているのにミステリを再読して面白いだろうかと心配しながら読んだのだそうですが、まったく心配はいらず楽しめたということです。 その中で、初めて『アクロイド殺し』を読んだ時の思い出が綴られているのですが、最後にポアロが犯人を名指ししたとき、あまりにも驚いて訳もなくぐるぐると部屋を歩いたそうです。 いやぁ、わかりますね、その気持ち。 あるいは、自分の創作スタイルについて書かれている項などは、どうやってあの物語が生まれてくるのか、その一端を覗き見ることができるようです。 小川さんは、最初に構成を考えたり、資料を集めたりというようなことはあまりしないようですね。 気が向かうままに物語を綴っていくようです。 最後の『自著へのつぶやき』では、これまでに書かれた作品それぞれについて、短いコメントを付しています。 『揚羽蝶が壊れる時』から『原稿零枚日記』までが取り上げられているのですが、こうして一覧で見ると、私、結構小川さんの作品を読んでいるんだなぁと改めて気づかされました。 小川さんの作品をいくつか読んできた読者には興味深い内容ではないでしょうか。 構えることなく、ごくごく気軽に読めてしまうエッセイでした。読了時間メーター□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK) >> 続きを読む
2020/05/27 by ef177
司城志朗
あなたが夜遅く帰宅して、妻の死体を見つけたとしたら-------。こういうプロットを持った小説は、そう珍しいものではないと思う。しかし、そこに電話があって、妻のいつもの声がとびこんできたとしたら-------。これは、ちょっとした"経験"であるに違いない。つまり、今回読了した司城志朗の「ゲノムハザード」は、自分捜しミステリの一種で、ゲノム・ゲームの迷路のハザードを満喫できる小説だと思う。突然、自分が別人になっていることを知らされたり、記憶にない殺人の嫌疑をかけられていたり、といった趣向のサスペンスは珍しくない。後でいろいろなオチがついて、基本はハッピーエンドになる。この小説も、そうした型に収まる作品であるが、遥かに進化したタイプだと言えると思う。この小説の主人公は、29歳のイラストレーター。こんな風にプロットを要約していくと、ネタバラシになりかねないので、なかなか凝った作品なんですね。自分が、昨日まで信頼していた人間ではないことを知ってしまった男は、何をしなければならないのか?まず、殺された妻とその現場に電話をかけてきた妻という、ダブル存在の問題がある。きっと何かのトリックなのだろうが、まるで見当がつかない。追跡してくる謎の男たちから逃げなくてはいけないし、助けを求めた友人は、敵側に通じているようだし、協力してくれる女がいったい何者なのかも判断がつかない。おまけに、英語の論文がスラスラ読めたりとか、自分には覚えのない能力が隠されていて驚いてしまうのだ。二人の妻がトリックだとしたら、そのトリックのキーは、自分の中にあるのだ-------。 >> 続きを読む
2018/07/19 by dreamer
朝吹真理子
数年前の芥川賞受賞作。淡々と。貴子と永遠子のお話だから、きことわ。懐かし昔、母親であり優しいおばさんだった春子と同じ歳になっている。そういうの不思議ですよね。自分も気がつけば40歳に近づいてきた今日この頃。何だか実感がないな、、、著者はかなり若く受賞したようで、改めてこういう賞はゴールではなく通過点なのかなと。色んな人生経験をして、さらに魅力的な作品を出し下さいなってことなんじゃないかなー。 >> 続きを読む
2017/08/27 by fraiseyui
公手成幸 , YoungThomas W.
タリバンの大物捕虜を護送中の米軍輸送機が撃墜された。不時着した場所は、雪に閉ざされたヒンズークシ山脈。だが、そこは、反政府勢力の支配下であるうえに、百年に一度のブリザードが吹き荒れていた。辛くも生き残ったのは、数名の乗員のみだった。墜落の音を聞き、敵軍が迫るなか、機長は航空士のパースンと通訳の女性軍曹に、米国本土でのテロ計画を阻止するために、捕虜を基地に連れ帰ることを命じる。武器、食料、衣類すら十分にないまま、二人は徒歩での脱出を図るのだった-------。トマス・W・ヤングの「脱出山脈」は、血沸き肉躍る、ど真ん中直球の冒険活劇小説の王道をいく傑作だ。とにかく、全編に渡って横溢する冒険心がいいですね。そして、あくまでもリアルに徹した描写と人物造形には脱帽だ。不時着、脱出、拘束、逃走、反撃と、冒険小説の醍醐味が、これでもか、これでもかとテンコ盛りで、大いに愉しめましたね。 >> 続きを読む
2018/11/10 by dreamer
竹内真
社会人になった頃、少しだけ自転車に乗っていた(大昔だなあ~)時のことを思い出した。毎週自転車に乗り、少しずつ距離を伸ばしていった。確かに、その時も100キロというのが目安の一つにあった。自転車は自分の力で走るしかない、だからこそ日頃見えないものや感じないものを感じ取れたりすると思う。自分との対話でもある。そんなことに少年がトライし、少年の周囲の人間もトライしている物語。自転車を媒介にした成長物語でもある。やはり、人間には、ちょうといいスピードというものがあるのだ! >> 続きを読む
2015/04/22 by けんとまん
出版年月 - 2011年1月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト
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