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2011年8月発行の書籍

人気の作品

      舟を編む

      三浦しをん

      光文社
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! Tsukiusagi makoto yam caramel yana ooitee
      • どんな本でも当たり前だが作者がいる。
        そこで辞書にも、それを作る人たちのドラマがある。

        各出版社によって出されているというのは意外と知らないことで、その中で辞書編集部に馬締が引き抜かれる。
        そこで始まる刊行までの経緯は多くの苦難が。

        多分労力としては相当なものだろうが、それを次第に喜びとしていくのが馬締とその周りの編集者たち。
        特に感化されていく西岡やみどりの変化がとても気持ちよく、香具矢に対する恋文もこの時代には新鮮ですらある。

        辞書の作成者という部分に光を当てたしおんさんのアイデアに感服です。
        そしてこの本を包む優しくホッとする読了感が嬉しかった。
        >> 続きを読む

        2020/11/17 by オーウェン

    • 他44人がレビュー登録、 155人が本棚登録しています
      殺人鬼

      綾辻行人

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね! ooitee
      • 殺人鬼 ‐‐覚醒篇。綾辻行人先生の著書。殺人鬼 ‐‐覚醒篇というタイトルにあるとおり、残忍で残酷な殺人事件が連続して展開されていきます。映像も音声もない文章だけの世界でこれほどの恐怖心を覚えるような内容に仕上げてしまう綾辻行人先生の文章力には感動。同じく綾辻行人先生による殺人鬼 ‐‐逆襲篇も読んでみたいと思わされる内容。 >> 続きを読む

        2019/10/23 by 香菜子

    • 他6人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      傍聞き

      長岡弘樹

      双葉社
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
      いいね!
      • 長岡さんの作品は「教場」に続き2作目でした。教場は連作短編集でしたが、こちらは独立した短編が4作。
        更生施設職員、消防士、女性刑事、救急救命士という少しずつ異質性のある職業にスポットが当てられていて設定の面白味があります。

        ストーリーは勿論それぞれで異なる進み方をするのですが、展開のパターンは何となく似ています。ある信念や目的の元で行動をしている人がいて、その意図の掴みきれなさに(主人公を通して)読者を困惑させておき、意外なラストで落とす、という感じ。だんだん、同じ公式を使って応用問題を解き続けているような気持ちになります。文章も読みにくくはないのですが、引き込まれるような描写力は感じられなかったかもです。人情味をアピールしようとして無理のある展開になっている部分もあり、少々気になりました。

        長岡さんの作品は残念ながら私には少し合わないようです。評価の高い作家さんですので、人情味溢れる作品を求めている方におすすめします。
        >> 続きを読む

        2015/09/15 by pechaca

    • 他5人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      いつも心にマウンテン

      登天ポール

      北国新聞社
      2.8
      いいね!
      • この本の名言をご紹介します。

        ***
        どちらを選ぶかは君の自由だ >> 続きを読む

        2013/04/12 by 本の名言

      • コメント 1件
    • 他5人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      タイニー・タイニー・ハッピー

      飛鳥井千砂

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 略して"タニハピ"と呼ばれる大型ショッピングモールを舞台に、
        8人の男女が仕事、恋愛、結婚と悩みながらも奮闘する姿を描いた恋愛小説。

        読んでる途中で相関図が欲しくなった。
        人間関係が複雑に絡み合っていて一度読んだだけでは、
        この人誰だっけ…?と何度か読み返すことも多かった。
        現実でもそうかもしれないけど、
        人によって呼び方が違うのも混乱する原因の一つかも。

        北川徹と実咲夫妻を例とすると、
        徹サイドと、実咲サイドという風に
        それぞれの視点から描かれる物語はどれも面白く、
        視点が変わることでまた違った捉え方になるのも面白い。

        実際はそんなものかもしれないなー、
        なんてリアルに共感できる作品。

        ほんの些細なことで誤解して、喧嘩になったり、
        いつもなら気にならないことも、ちょっと勘に触ったり、
        なんでもないような日常が、本当はとてつもなく幸せだったり。

        そういう"小さな小さな幸せ"に気付くことができるかも。
        >> 続きを読む

        2016/09/29 by starryeyed

      • コメント 3件
    • 他3人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      絶望の国の幸福な若者たち

      古市憲寿

      講談社
      3.8
      いいね!
      • 絶望な国の幸福な若者たち。社会学者で慶應義塾大学SFC研究所上席所員の古市憲寿先生の著書。幸福、不幸は周りが勝手な価値観で決めるものではなくて、本人の感情で決まるもの。世間の常識や価値観なんて無意味。世間から見た常識や非常識なんて関係なく、本人が幸福と感じられればそれが幸福。元気と勇気がもらえる一冊です。 >> 続きを読む

        2018/11/11 by 香菜子

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      僕は君たちに武器を配りたい

      瀧本哲史

      講談社
      カテゴリー:人生訓、教訓
      4.2
      いいね!
      • 発売当時に読んでからそれっきりで、久々に読み返した。
        前半の日本の資本主義に関する分析は、今でも当てはまるしとても参考になった。なぜ私たちが日々鬱屈した気持ちを抱え、何をしても自分が進歩したように感じられないのかなんとなくわかった気がした。
        後半の具体的な指針については、相当なパワーの要る作業だなと感じた。この本が高学歴な若者向けであるとすると仕方のないことではあるが、停滞する資本主義に真っ向からぶつかっていくのは一筋縄ではいかないだろう。自らのコモディティ化を防ぐためには、必ずしもグローバルな環境に自分を置く必要は無く、ローカルな世界に生きることで自分をスペシャリティ化できるのではないかと思った。
        >> 続きを読む

        2017/03/28 by mayopi-

    • 他3人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      楊令伝

      北方謙三

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • ●1回目 2007.12.22

        やはりこういう長編小説は、完結してから読みたいものだ。登場人物が多岐にわたるので、こうやって時たま読んでも、頭に入らないや。さまざまな人物が活躍しても、以前のことを忘れてしまっているので、いまいちピンとこないというのは実にもったいない。かといって、出ているのに読まないわけにはいかないしなあ。

        「小説すばる」に連載中の分も読んでいるので、北方謙三のこのシリーズ、もう読むものがない。
        水滸伝を最初から読むしかないかなあ…


        ●2回目 2015.1.30

        呉用が潜む方臘軍による宗教反乱、楊令と金軍の遼への侵攻、聞煥章による燕雲十六州独立の策謀。
        混沌とした情勢の中、花飛麟と張平が子午山を下りる。
        そして楊令が梁山泊頭領としてついに合流。
        >> 続きを読む

        2017/10/11 by Raven

    • 他3人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      でーれーガールズ

      原田マハ

      祥伝社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 女の友情って、いいなぁ。
        青春時代を転校先の見ず知らずの土地で過ごすことになった主人公。そして友達と、特別な人と…。

        現在と過去の話がうまく絡み、自分も思い出の場所に行って物思いに耽るような、くすぐったい感じがした。
        そして、始まりそうな恋よりも、友情を選んだあゆがとても苦しくて、長いため息が出てくる。

        ラストは、なんとなくひっかかっていたものが急に、残酷に現れる。


        でーれー、ええ夢見せてもろうたが。


        本書の中で好きな文章があった。

        「そう。あの頃、私たちは誰もが光の中にいた。おかしなものだ。光の中にいる時は、光を意識することなんてめったにない。そのくせ、その場所から一歩踏み出すと、どんなにまぶしい光のさなかにいたのか、初めてわかるのだから。」


        昔の光も忘れてはいけないけど、それ以上に今この時の光をしっかり噛みしめないといけないなぁ、と感じさせられる本だった。
        >> 続きを読む

        2018/02/21 by 豚の確認

    • 他3人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      オリンピックの身代金

      奥田英朗

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 「BOOK」データベースより

        昭和39年夏、東京はアジア初のオリンピック開催を目前に控えて熱狂に包まれていた。そんな中、警察幹部宅と警察学校を狙った連続爆破事件が発生。前後して、五輪開催を妨害するとの脅迫状が届く。敗戦国から一等国に駆け上がろうとする国家の名誉と警察の威信をかけた大捜査が極秘のうちに進められ、わずかな手掛かりから捜査線上に一人の容疑者が浮かぶ。圧倒的スケールと緻密なディテールで描く犯罪サスペンス大作。



        これは名作ですな。
        下巻で語ります。
        >> 続きを読む

        2015/08/15 by ありんこ

    • 他2人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      オリンピックの身代金

      奥田英朗

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 「BOOK」データベースより

        昭和39年夏、東京はアジア初のオリンピック開催を目前に控えて熱狂に包まれていた。そんな中、警察幹部宅と警察学校を狙った連続爆破事件が発生。前後して、五輪開催を妨害するとの脅迫状が届く。敗戦国から一等国に駆け上がろうとする国家の名誉と警察の威信をかけた大捜査が極秘のうちに進められ、わずかな手掛かりから捜査線上に一人の容疑者が浮かぶ。圧倒的スケールと緻密なディテールで描く犯罪サスペンス大作。


        僕の生まれる丁度10年前に東京オリンピックが開催されましたが、物の本や、懐かしのTVでしか見た事が無いので、どれくらいの熱狂度だったのかは分からないのですが、この本からうかがえるのは、日本が世界の一流国に仲間入りする為の悲願のようなもので、全国民が手を携えて成功させたいと願う、有史始まって以来日本列島が一つになった行事だったという事でした。
        そんな最中で、東北の貧困にあえぐ村からある青年が村の期待を背負って東大に進学しました。彼の兄は東京で土木工事に従事していたが、心不全で亡くなってしまいました。
        彼は兄の従事していた土木工事に身を投じ、その厳しさに絶句します。地方と東京、労働階級と支配階級との人間としての命の値段の違いに憤りを覚えます。
        おりしも日本はオリンピック開催に沸き立ち、日本の行く末は明るく照らされているかのようでした。
        ところがその光に照らされ影となっていた失われていく労働者達の命は、数百人に達すると言われていました。
        彼はオリンピックを人質にテロという方法で、日本に戦いを挑む事にしたのでした。

        これは壮大な話です。これだけの話を綺麗にまとめあげるのですから奥田さん物凄い腕力です。さすが実力者。
        僕自身豊かな時代に生まれ育った世代なので、学生運動や赤軍の闘争には全くピンと来ないのですが、その辺りで一般の学生たちの我儘とも言える闘争と、彼の心の底からの矛盾との戦いが如実に違っていて、主人公の心情が胸に来るものがあります。
        でも僕はどちらかというと、彼を何とか捕えようと日夜駆けずりまわる警察官たちの姿の方にシンパシーを覚えました。

        この頃のTV黎明期の勢いや、団地が文化的でうらやましがられるなどの、今では考えられない世の中の流れも興味深いです。

        東京五輪が終わったら再読してみたいですね。
        >> 続きを読む

        2015/08/15 by ありんこ

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      きのうの世界

      恩田陸

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 水路が多く、中心部には謎の塔が2本屹立する、町のはずれに、「水無月橋」という橋があった。

        そこで見つかった死体は、1年前に東京から失踪した男のものだった。
        彼はこの町で、しばらく測量のようなことをやっていたようなのだが-------。

        この恩田陸の「きのうの世界」(上・下巻)は、作者の恩田陸の特徴がぎっしりと詰まった良作だと思う。
        即ち、事件と舞台が謎に満ちているのだ。

        視点がクルクル変わり、事件を取り巻く、魅力的な群像劇が形成される。
        謎の魅力を引き立てることに注力された、プロットとストーリー、そして風呂敷を綺麗に畳むことになど、ほとんど興味がないのではないかと思われる不思議なラスト。

        そして、よく練られた文章で、柔らかく綴られていくのだ。まさに恩田陸、いかにも恩田陸なのだ。
        しかし、この作品は、それだけには止まらない。大トリックが炸裂するのだ。しかも無駄に。これは、とにかく凄いことだ。

        ただ、欲を言えば、もうちょっと理詰めで、作品に埋め込んでくれた方が良かったかなと思うが、幻想小説的な光景を現出していて、悪くない。

        それに、恩田陸の一種、ファジーな作品世界には、よく合っていると思いますね。

        >> 続きを読む

        2021/01/27 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      六花の勇者

      山形石雄

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 醜悪な魔神が覚醒し、世界を滅する予言が知れ渡る事で、復活を食い止めるべく選ばれた最強の勇者六人が約束の地に集う中で、少年・アドレットは、ある野望を湛えて約束の地に訪れるが、陰惨極まる策謀により深淵の森に閉じ込められ疑心暗鬼の騙しあいが幕開く物語。

        邪悪な虚実に惑わぬよう、真実を見抜く瞳を信じ抜け!

        人との関係性は、何よりも信用があって成り立つ。

        一つの嘘で、それまで築き上げてきた幾重もの信用は一瞬で塵芥と化す。

        再び、その煌めく信用を取り戻すには何が必要か?

        純朴なまでの愛を只ひたすらに捧げ尽くす事だろう。
        >> 続きを読む

        2019/11/28 by ebishi

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      メルカトルと美袋のための殺人

      麻耶雄嵩

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 銘探偵メルカトルと美袋の関係は、ホームズとワトソンのそれではない。
        友人ではあるが、メルカトルの言動にいつも美袋は混乱させられる。

        特に事件に巻きこまれやすい美袋は、その際にメルカトルに奇しくも助けられる日々。
        時には駆け引きだったり、犯人逮捕のために囮にされたり。

        メルカトルが美袋に小説を持ち込み、美袋が謎を解かされる件も、当然ながらメルカトルは易しくない。

        あるエピソードでは美袋の危機に参上したメルカトルに助けられたが、実はそれはメルカトルの企みであり、ラストに美袋の強烈な一言。
        これがいつか実現する日は来るのだろうか。
        >> 続きを読む

        2019/09/30 by オーウェン

    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      エージェント6(シックス)

      Smith Tom Rob , 田口俊樹

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • トム・ロブ・スミスの「エージェント6」(上・下巻)は、「チャイルド44」「グラーグ57」に続く、レオ・デミドフ三部作の完結篇だ。

        1950年のレオと妻となるライーサとの出会いから、1981年の悲劇的な事件の結末までを、1950年のモスクワ、1965年のニューヨーク、1980年のアフガニスタンを舞台にして、たっぷりと描いている。

        いったい何故、これほどまでレオに試練を与えるのかと思うくらいに、この作品でも過酷な事件が連続し、窮地に陥らせ、精神と肉体の限界まで試し、屈辱的なジレンマを味わわせる。

        どこまでも苛酷で、どこまでも悲痛。だからこそ、恋愛・夫婦愛・家族愛は、切々たる響きを持ち、私の感情をかきたてる。

        この三部作を一気に読めば、いささか作り過ぎの感は否めないかと思うが、それでも波瀾万丈の物語の面白さは、一級品の味わいがある。
        >> 続きを読む

        2020/12/13 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      火刑法廷

      加賀山卓朗 , ジョン・ディクスン・カー

      早川書房
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • 【こりゃまたラストが】
         ディクスン・カーは密室物の名手ですが、本作もやはり密室物
         富豪のおじいさんが亡くなり、胃腸炎だと診断されて埋葬されるのですが、その死体のそばには砒素入りの銀のカップが発見されます。
         砒素中毒の場合、胃腸炎と大変似た症状を呈するということから、もしや毒殺されたのではとの疑いが持ち上がります。

         富豪が死んだ夜、家政婦により富豪の部屋に不思議な女性がいたことも目撃されています。
         その女性は、どうやらブランビリエ侯爵夫人の扮装をしていたばかりか、今は漆喰と煉瓦で塗り固められているドアから出ていったというのです。
         とにかく死体を発掘して死因を調べようと言うことになり、墓あばきですよ。
         ところが、棺の中には死体がないではないですか!

         と、まぁ、これが本作の主要な謎の提示です。
         この物語の影には、かつて毒殺を繰り返したというブランビリエ公爵夫人が見え隠れし、しかも、彼女は実は不死者であって、現代でもまだ生きているのではないかというオカルトティックな様相をも呈してきます。
         最終的には謎の解決が提示されるのですが……。最後の最後の章で「えっ?」となってしまいます。
         これは純粋なミステリと言って良いのか、議論を招きそう。

         ちなみに、タイトルの火刑法廷とは、毒殺者を火あぶりにするために開かれた法廷のことを言いますよ。
        >> 続きを読む

        2019/09/27 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      水底フェスタ

      辻村深月

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
      いいね!

      • 辻村深月の「水底フェスタ」は、著者の転換点になった作品のような気がします。

        村長の息子で高校生の広海は、村が開催するロックフェスタの夜、東京でモデルをしている由貴美と出会った。
        彼女は、村に復讐するために戻って来たという。

        広海は、由貴美の復讐に協力を求められるのだった-------。

        山村を舞台とした物語は、最初のうち、謎めいた綺麗なお姉さんに高校生が憧れる、ひと夏の淡い恋を描くかのように始まる。

        しかし、復讐云々が提示されると雰囲気は一変し、純朴な高校生・広海が、穏やかに見えた村と住民たちの真の姿に直面する話に転調する。

        ロックフェスタをやるぐらい開放的だったはずの村の背後に隠された、根深い閉鎖性とその闇を、辻村深月は容赦なく抉り出す。
        そして、広海と由貴美の関係も、よりシリアスなものに移行して、作品自体がグイグイ深みを増していく。

        辻村深月は従来、主人公の成長や自分探しをテーマにすることが多かったが、この作品はそれを遥かに通り越していると思う。

        過酷な現実を前に、主人公は絶望し自失する。
        その様を静謐で美しい文章で綴る、非常に翳りの濃い物語になっていると思う。

        村内で力を持たなかった集落が沈むダム、という舞台装置の使い方も実に秀逸だ。

        >> 続きを読む

        2019/04/10 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      ハッピー・リタイアメント

      浅田次郎

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! momomeiai
      • 定年退職後の人たちの関心事のひとつに、再就職先の確保がある。
        幸運にも職場が見つかれば、次は新しい環境に慣れるという大仕事が待っている。

        では、新しい職場が、とりたててやる仕事がないという、天下り先の場合はどうか?
        適当に仕事をするだけで、たいそうな給料を貰えるのであれば、組織の水に染まり、何もしないで過ごす人が多いことだろう。

        しかし、なかには忠実に職務を全うし、ビックリすることをやってのける人間が、出て来ないとも限らない。

        浅田次郎の「ハッピー・リタイアメント」は、天下り先で真面目に仕事をしたことで待ち受けていた、奇想天外なストーリーを描いている。

        ノンキャリアとして、そこそこ出世した55歳の二人の男性が、「第二の人生」をスタートさせる。
        一人は、財務省に33年間勤務した樋口慎太郎。女房に「定年退職離婚」を突きつけられている。
        もう一人は、陸上自衛隊に37年間勤務した大友勉。

        この両人が、再就職先として斡旋されたのは、全国中小企業振興会(略称JAMS)の神田分室。
        1951年にGHQの指令で作られた金融保証機関だ。

        業務は、無担保無保証人の零細事業主の債務保証を代行すること。
        銀行は、これに基づいて融資を行ない、返済が滞った場合には、JAMSが返済する。
        かつては、裸一貫の起業家に資金を提供してきた歴史がある。

        債権の回収業務は、顧客管理部が行なうので、神田分室の方は、はっきり言えば、やるべき仕事がなかった。

        教育係となった秘書兼庶務係の立花葵女史が説明する。
        「早い話が返済の意志がない債務者から、その意志をはっきり確認して損金に繰り込む。もし万が一、道義的責任を感じて返済するというのでしたら、その手続きに入る。でも積極的にそこまでする必要はないんです」と。

        業務実態のない天下り組織の、ぬるま湯のような体質に馴染めない二人は、慎ちゃん、ベンさんと呼び合い、"心の許せる相棒"になる。

        そして、二人の真面目さを見込んだ立花は、「三人で仕事しようよ。時間はたっぷりあるわ」と持ち掛けるのだった-------。

        すでに30年近くも前の話なので、時効が成立して法律的には返済する義務はない。
        にもかかわらず、道義上の責任を感じてか、「チャラになったはずの借金」をきちんと返済する人が続出。

        今はお金持ちだが、かつて借金を踏み倒したという不道徳な行為を気にしながら、生きている人さえいるほどだ。

        果たして、三人の仕事の顛末は? 最後の最後まで、気が抜けない展開となっていく。

        >> 続きを読む

        2020/06/28 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      世界一の絶景を見る いつか行ってみたい

      アフロ

      新人物往来社
      カテゴリー:地理、地誌、紀行
      4.3
      いいね!
      • あー!!
        旅行に行きたい!
        色々な場所に行きたい!!

        って思わされます☆笑
        >> 続きを読む

        2014/08/22 by Sachupan

      • コメント 3件
    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      君たちはどう生きるか

      吉野源三郎

      ポプラ社
      カテゴリー:人生訓、教訓
      4.3
      いいね! Tukiwami
      • 3年前漫画化され書店にうずたかく平積みされていたべセトセラーの原作を、ポプラ社発行児童書バージョンで初めて読んだ。

        立派な人間の基準はこの年になってもまだ分からないが、一回切りの短い人生を、どう生きる? と、中学生主人公に投げかけながら、人間とは何かを考えさせる哲学的な物語構成が印象的だった!

        振り返れば、自分が経験した昭和の学校生活は、社会に貢献するための学問というより、受験に成功するための学習に重きが置かれていた。

        この本が書かれたのは、日中戦争が勃発した1937年(S12)。日本はもとより世界中がファシズムに疾走していくヤバい空気を察した、良識ある大人たちが表現の自由も糾弾される中で、児童文学を通して未来ある子どもたちにメッセージを託そうとした姿勢が心を打つ書。

        超ピンチな時代に書かれた生きるための学びを説いた指南書を読み終え、点数を取るために奔走してきた戦後教育の隔たりがいまだ脈々と続く時代を生きる子どもたちは、いつどこで生き方を考え、自分で切り拓いていくのだろう?
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        2020/07/19 by まきたろう

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出版年月 - 2011年8月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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