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2012年1月発行の書籍

人気の作品

      廃墟に乞う

      佐々木譲

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 道警で働いていた仙道はある事件によってPTSDになり、診療のため休職していた。
        んな仙道に相談事として、持ち寄られた依頼にこたえていく6編の連作短編集。

        未解決であったり、現在進行形の事件を脇から見ていくことで、結果的に仙道が事件の真意に近づいていく構成。

        休職前の人間関係もありで、自分が花を持つ必要はない葛藤が。

        単純に解決という道ではなく、自身が復帰という目標があることで事件にも深みが出る仕組み。
        >> 続きを読む

        2019/06/18 by オーウェン

    • 他8人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      歪笑小説

      東野圭吾

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      • 文句なし! さすが東野圭吾氏。

        痛烈な笑いあり、あっけらかんとした笑いあり、涙がほろりと出てしまうじんわりとした感動あり、負けるもんか!と応援したくなる人間ドラマあり。
        読みやすくて、楽しくて、読んでいる最中はとても幸せな世界に浸れます。

        出版をめぐる短編があつまっている。
        これらの短編はそれぞれがつながっていって、最終的にはじーんとする大きな感動が、うん、明日もがんばろう☆ と心の底からほんわかとする大きな感動が待ち受けていた。


        この読後感が東野圭吾氏なんだよな~。

        正直、そんなことを書いていいのか、おい、おい、東野氏、そんなこと書いて干されたりしないのか~、と心配になったりもしますが、いえいえ、東野氏だからこそ、ここまで、こういう言葉で書けるんでしょう。

        それぞれの短編はもちろん、巻末の「巻末広告」まで手を抜かない。

        実はこの巻末広告が妙である。

        そして巻末広告で私たちは知るのだ。

        唐傘ザンゲさん 
        「もっと大きい賞」=直木賞取られたんですね!
        奥さまも義父である奥さまのお父さまも、みんな、みんな、おめでとうございます☆


        読んで損をしないおススメ本です。


        ====データ======
        新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版社のゴルフコンペに初参加して大物作家に翻弄されるヒット作症候群の新鋭…俳優、読者、書店、家族を巻き込んで作家の身近は事件がいっぱい。ブラックな笑い満載!小説業界の内幕を描く連続ドラマ。とっておきの文庫オリジナル。
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        2020/04/15 by まみー

    • 他7人がレビュー登録、 35人が本棚登録しています
      武士道エイティーン

      誉田哲也

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね!
      • とうとうクライマックス。
        宿敵「黒沢」との対決。そして早苗との勝負は・・・
        エイティーンではその他に早苗の姉「緑子」や
        吉野先生、桐谷道場のスピンオフ作品もある。
        本当にこのシリーズは部活もの=友情というベタな作品であるが、涙、涙の場面が沢山出てくる。この作品をチョイスしたのは大正解で、好きな作家の好きな作品は何度読んでも良い!
        再読ってやっぱりいいなって感じました。
        >> 続きを読む

        2020/06/06 by わくさん

    • 他7人がレビュー登録、 21人が本棚登録しています
      銃・病原菌・鉄

      DiamondJared M. , 倉骨彰

      草思社
      カテゴリー:社会学
      4.0
      いいね! Tsukiusagi tomato ybook
      • 以下、本書の内容にあらず
        ・IQ測定結果ーヨーロッパ系アメリカ人100(基準値として必ず100となる)アジア系アメリカ人105アフリカ系アメリカ人85〜90
        ・遺伝派:環境と遺伝が五分五分。環境派:生育環境のみ→アファーマティブアクション
        ・行動遺伝学における双生児調査ー一般知能(IQに相当):77% 論理的推論能力:68%(ともに遺伝と説明できる)言語性能力14%(環境の影響が大)
        >> 続きを読む

        2017/05/31 by michi2011

    • 他6人がレビュー登録、 27人が本棚登録しています
      龍神の雨

      道尾秀介

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 再婚したばかりの母が突然の7か月前に事故で死に
        継父・添木田睦男と暮らす兄の蓮19歳と妹の楓(中3)

        突然の事故で母親が亡くなり
        蓮や楓に暴力を振るうようになり
        会社を辞めて部屋に引き籠るようになった継父・睦男
        暴力を振るわなくなったと思ったら
        楓に性的な目で見るようになる
        睦男に殺意を抱いた連は事故を装った小細工をするが
        その前に楓が……



        心臓の弱かった母が海の事故で死に
        その顔見知りのお姉さんだった圭介と父が結婚。
        しかし父が病気で亡くなり継母の里江と暮らす
        溝田辰也(中2)と圭介(小5)の兄弟
        母親が亡くなったのは自分が余計な事を言ったからと
        心を痛めてる圭介
        里江を母と認めたくなくて里江を困らせてばかりいる辰也
        嫌がらせのため、蓮の働いている酒屋で
        嫌がる圭介にジュースの万引きを強要
        自分も万引きをし……


        再婚相手に複雑な思いを抱いてる2組の兄妹、兄弟。
        全く関りがない2組の心理描写が交互に語られ話が進む




        睦男の死体を運び出す蓮と楓
        辰也と圭介は運び出すのを目撃
        そして脅迫状
        楓の誤解
        純粋に心配してた辰也
        これから家族としてやり直そうとしてた睦男
        睦夫の死の影に蓮のバイト先の酒屋のオーナー・半沢
        人のいい半沢には裏の顔があり
        裏の顔を知った時!!!!!Σ(ll||д゚ノ)ノ


        思い込みが自分の中で真実になり
        ‶大きな間違いに〟
        そしてタイミングの悪さが
        やがて取返しのつかない事態に…
        そしてそこに付け込む男が!!


        辰也が里江に対して思ってた本当の気持ち
        この兄弟は大丈夫だと思うけど
        真実を知った蓮と楓が悲しい


        解説を読んでなるほど!!と、思ったけど
        連と楓は今後どうなるのか?
        どちらにしても重たいモノを背負ってしまったなぁ


        雨さえ降らなければ
        もう少し話合うことができたなら
        何かが変わってんだんだろうね…
        想像は人を喰らう…かぁ
        龍神が去った後はどうなるんだろう?
        重たい話だけど、面白かった(゚д゚)(。_。)ウン





        半沢の異常さも凄かったけど
        あれが本性なんだべね((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル



        前半思わせ振りな話で進んでいき
        後半真相が読めてしまうんだけど
        分かってからの怒涛の展開!!
        これ、意外と面白かったわ(≧∇≦)b OK
        降りつづける雨の表現と龍
        そしてどんよりとした閉塞感
        こ2組の兄妹、兄弟の心情が閉塞感とともに描かれている
        >> 続きを読む

        2020/03/24 by あんコ

    • 他5人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      いるのいないの

      町田尚子 , 東雅夫 , 京極夏彦

      岩崎書店
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.7
      いいね!
      • 絵本カフェで…。
        読友さんおススメ。
        まさか絵本で怖い思いをするとは思わなかった!!ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
        内容と絵がピッタリ合ってる。


        おばあちゃんの家で暮らしてみると
        気になる事が出てきた男の子
        気になって、気になって仕方がない……


        おばあちゃんの言うことはもっとも…
        見えないモノは見えない
        でもね……
        見えるモノは見えるんだよ…。


        さすが京極夏彦!!w(*゚o゚*)w おぉ
        >> 続きを読む

        2017/06/12 by あんコ

    • 他4人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      楊令伝

      北方謙三

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 童貫戦ついに終結。

        そこからの展開は、なんというか、誰も予想していなかったのではないか。
        未踏の領域に入った感じである。

        顧大嫂と孫二娘のかけあいは、もはや定番である。
        浪子燕青が加わった今回の酒盛りの場面は絶品。
        >> 続きを読む

        2017/10/12 by Raven

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      にょにょっ記

      穂村弘

      文藝春秋
      4.5
      いいね!
      • 何だ!この日記は!?
        短い文章の中に、ギュギュッと笑いのエスプリが散りばめられている。
        日々のちょっとした引っ掛かりや空想が面白い。
        よく自分の日記を後から読み返すと恥ずかしいとか、誰かに読まれたら恥ずかしいとか聞くけれど、この日記に限っては当てはまらないだろう。
        変な話だが、こんなに面白く書けるなら、死ぬ前に日記を償却処分しなくても良さそう。遺族もきっと長く悲しまずこれを読んで笑ってほのぼのしてしまうだろう。
        >> 続きを読む

        2020/04/13 by taiaka45

      • コメント 2件
    • 他3人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      ラピスラズリ

      山尾悠子

      筑摩書房
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね! asaki
      • 『ラピスラズリ』(山尾悠子)<ちくま文庫> 読了。

        研ぎ澄まされた言葉の数々。
        寡作だとは聞いていたが、一つ一つの言葉をこれほど磨き上げているのであれば、寡作であるのは無理からぬ事だろう。

        冒頭は次の一文から始まる。
        ----------
        「画題(タイトル)をお知りになりたくはありませんか」
        ----------
        いきなりこのような会話文(問いかけ)から始める作家はいくらでもいるので、最初の八行は飛ばしてしまおう。
        その次のパラグラフは次のような文章から始まる。
        ----------
        そもそも深夜営業の画廊などに入っていった理由さえ思い出せないのだったが、たぶん理由などなかったのだろう。列車の到着を待つ時間潰しの所在なさも手伝ってか、声をかけられるまでわたしはじぶんでも気づかないままずいぶんと時間をかけて一枚ずつを眺めていたようだった。
        ----------
        たったこれだけの文章だが、ずいぶんたくさんの情報が含まれている。
        ○ 深夜に営業しているという特殊な画廊が存在する街にいる。
        ○ 「理由さえ思い出せない」くらいなのだから、語り手は普段から画廊に出入りするような人物だろう。
        ○ 時制から過去の出来事を思い出しながら語っている。
        ○ 深夜に列車を待つのだから、かなり遠くへ、それも急な出立だったのだろう。
        ○ 一枚ずつを時間をかけて眺めていながら「ようだった」とまるで他人事のように語られている。
        丁寧に調べていけば、まだまだ情報が含まれているかもしれない。
        たったの二文にこれだけの情報を詰め込んでいるのだから、一冊を読み上げるまでどれほど神経をすり減らされるのかまるで想像できない。
        一つ一つをしっかりと理解しながら読まないと今自分がどこにいるのかをすぐ見失ってしまうのは宮下奈都の比でははい。
        そして言葉を選ぶその神経の細やかさは、先に現れる「なかなかよく考えた巧妙なやりかただ」といった普通ならなんでもない言葉が、陳腐で不用意なつまらない言葉に感じてしまうくらいだ。

        また、これらの謎を含んだ情報が読み進める中で明らかになっていくと思ってはいけない。
        読めば読むほど混沌の度を増して、深夜営業の画廊の夢の中に取り込まれていくような思いをする。

        言葉だけではない。
        この作品を構成する「銅版」「閑日」「竈の秋」「トビアス」「青金石」という五つの中短編がどのようにつながっているのかがよくわからない。
        各編がつながっていることは共通して現れる物事や事象から明らかなのだが、具体的にどういうことだったのかはついに明らかにされることはない。

        先に「深夜営業の画廊の夢」と書いたが、全体が山尾悠子の夢の中にいるような印象を受ける。
        理詰めで理解する作品ではなく、詩のように読者がそれぞれに感じ取る作品なのだろうと思う。

        言葉を磨き上げる技工の跡がありありと見えてしまうのがやや残念ではあるが、魅力的な作家であることは間違いない。
        これからもこの作家の作品は読んでいこうと思う。
        >> 続きを読む

        2019/02/11 by IKUNO

    • 他3人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      道化師の蝶

      円城塔

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      2.8
      いいね!
      • おもしろい。けど意味不明。作者の狙いどおりなのだろう。

        なかなか心地よくツカミがキマってる序盤はまだいいが、だんだん混沌とした前衛的な文章になっていく。
        こういう本は途中のどこかだけ読んでも楽しめるんじゃないですか?笑

        同時収録の「松の枝の記」のほうがSFみたいに感じられて好きかも。こっちのほうがわかりやすかったし。

        しかし、話題になるだけの問題作ではあるね。

        (amazon解説)
        無活用ラテン語で記された小説『猫の下で読むに限る』。正体不明の作家を追って、言葉は世界中を飛びまわる。帽子をすりぬける蝶が飛行機の中を舞うとき、「言葉」の網が振りかざされる。希代の多言語作家「友幸友幸」と、資産家A・A・エイブラムスの、言語をめぐって連環してゆく物語。第146回芥川賞受賞作。
        >> 続きを読む

        2019/02/28 by motti

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      震える牛

      相場英雄

      小学館
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!

      • かつてWOWOWの連続ドラマを観て、いつか原作も読んでみようと思っていましたが、ようやく読了しました。

        この相場英雄の「震える牛」は、牛肉にまつわる疑惑と、居酒屋での殺人事件、そして生き馬の目を抜く小売業界を絡めた、重厚な社会派ミステリだと思う。

        刑事の着実な捜査、女性フリーライターの私怨も含めた執念の取材が、ある企業と産業の暗部に斬り込んでいく。

        事件のスケールは大きく、ディテールは細かく、登場人物は生き生きとしていて、ぐいぐいと読ませるんですね。

        尚、この小説のテーマである、食の安全に関わる食品偽装問題は、かつての雪印やミートホープによる牛肉偽装事件などは、既に過去の歴史と化したかも知れないが、その背景にあった、安売りに飛びつく消費者、疲弊する生産者、熾烈な競争の時代に生き残りを賭けて暴走する大資本などの社会状況は、まだ全く変わっていないのだ。

        この物語の課題は、十分、「今」の問題でもあるんですね。

        >> 続きを読む

        2019/02/18 by dreamer

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      疑心 隠蔽捜査 3

      今野敏

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.2
      いいね!
      • 今作はアメリカ大統領来日のためシークレット・サービスとの共同戦線を張る。
        いきなりスケールアップした任務にいち署長が何をするのかという葛藤があるが、そこはやはり竜崎。

        いつものように立場の違いをあっさりと越えるため、日本とアメリカの立場のやり取りが始まる。

        それに加えて竜崎が女性の警護官に恋に似たものを感じ取りあたふた。
        伊丹との真面目なやり取りが逆に可笑しさを誘う。

        痛快という感じではないが、ある意味番外編のような印象を受けた。
        >> 続きを読む

        2018/01/22 by オーウェン

    • 他2人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      戸村飯店青春100連発

      瀬尾まいこ

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • kindleで読んだ。

        関西あるあるが満載の小説だった。
        ノリや話し言葉がとてもリアルだっただけにとても軽い印象を受けた。

        一見とてもしょうもない話だが、地元ってやっぱりいいなと思える小説だった。

        東京に来て、右も左も分からない兄を翻弄しようとする9歳年上の専門学校教師の女の計算高さが目に見えてとても嫌悪感を感じた。
        そんな女にも夢中にならず兄は結局地元の大阪に帰ってしまうので、読者としては気分が良かった。

        まぁ面白かったが、本で買ってたらブックオフに売っていただろうな。
        エンターテイメントな、その時だけを楽しむことを目的とした小説だった。
        >> 続きを読む

        2016/01/18 by snoopo

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      銃・病原菌・鉄

      DiamondJared M. , 倉骨彰

      草思社
      カテゴリー:社会学
      4.2
      いいね!
      • 【やや冗長か?】
         上巻に引き続いてのレビューです。
         テーマは上巻から引き続き同じで、さらに、社会機構の発達や民族の移動、言語と民族の関係などが考察されます。
         ただ、基本的には、農耕定住を実現した種族が有利な発達を遂げたのだという視点は変わっておらず、それが順調に推移する場合もあれば、様々な条件から他の地域に逆転を許してしまう場合もあるのだと論じていきます。

         それを様々な地域について見ていくわけですが、さすがに400ページにもなる大著となると、やや同じことの繰り返しで冗長と感じてしまう部分があるのは否めない感想です。
         もっとも、著者に言わせれば、これでもまだ論じたり無いということですが。

         全体の視点としては面白いと思いますし、合理的な推論ではないかと思うのですが、学術論文ではなく、一般向けの読み物として見た場合には、その冗長と感じてしまう分だけ辛いところもあったかなと感じました。
         良書だとは思います。
        >> 続きを読む

        2020/03/05 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      完全なる首長竜の日

      乾緑郎

      宝島社
      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • 第9回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作。
        全員一致で決まったとのことで、そろそろかなと積読の山かkら下ろしてきた。
        テーマが「胡蝶の夢」。読んでいくうちにそれらしい雰囲気も感じられるようになってきたが、時代が違うので夢を探る機器も現代的で、夢なのか現実なのか、作者の意図はとても面白い。

        主人公は漫画家の女性。奄美の島で幼い頃弟を亡くしている。

        西湘にある病院で、技師が立ち会って昏睡状態の弟の意識と繋がる実験(セッション)を受けている。そこで弟が強い自殺願望があるのを知る。
        一時的に頭にチップを埋め込むSCインターフェイスを採用して、脳を刺激してお互いの感情を呼び出し、ドリームボディを共有する(センシング)、技師は記録をとっている。

        漫画を描くには様々な行程があり、忙しくなったので助手を雇い、指導をうけた編集者もいる。だが時代の波で漫画雑誌が刷新され連載が打ち切りになった。時間が出来るがマダ仕事が残り後始末の段階になっている。リビングに不意に弟が現れる。そして部屋でピストル自殺をするが、気がつくと夢か現実か弟は既に跡形もない。
        編集者は、実験の様子をまるで「胡蝶の夢」のようだねといった。私の意識か、弟の意識か、現実なのか、幻なのか。

        繰り返し思い出す、奄美の海。そこの磯で満ちてきた潮にさらわれていく弟を助けようとして繋いだ手を、離してしまったのだ。
        父は母と別れて去り、母は死んだ。時々現れる弟は、カウンセリングの終わりに自殺をして消える。消えるために自殺をする。
        弟はなぜ自殺したのか。

        そこに新たな人物が介入する、憑依(ポゼッション)なのか。
        そしてついに、それが日常にまで入り込んでくる。
        関わった多くの人たち、現れては死んでいく弟。

        ついに奄美のあの島に行ってみる、歳月の影響はあるが確かに記憶の場所に家があり、海岸は護岸工事で形は変わっているが海は満ち干を繰り返し、若い両親や伯父たちが周りにいる。そしてついに過去の風景から逃げて帰ってくる。

        病院のそばの海岸で、首長竜の置物を見つける。仕事部屋にあったあの置物なのだが。

        この物語は様々なモチーフがちりばめられている、それらの作品が何らかの形で、テーマを繋ぎ、弟や周りの人たちとの意思疎通の形をささえ、強め、読者を物語の中に引き込んでいく。まず最初に「胡蝶の夢」サリンジャーの「ナインストーリーズ」マグリットの非現実的な風景画等々。こうして登場人物を取り巻く現象が終盤になって、大きな展開を見せる。

        「胡蝶の夢」のようでもあり、また夢から醒めてもまた夢の世界のようでもあり、現実はどこにあるのか、うまく構成されて最後まで興味深い作品だった。
        ただ、登場人物を語り終えるには、ちょっと多すぎて、それぞれの存在理由を一気に閉じることは、無理があるように感じる部分があり、終わりに向かって失速気味なのがとても残念だった。
        表紙のイメージはぴったりだと思った。



        随分前に「胡蝶の夢」らしい映画を見た。モノクロで、老人(荘子だったのだろうか)が若返って美女に会いに行くというようなストーリーだったと思うが、記憶もあやふやになってしまっている。あれはなんだったのだろう。どこにも記録が見当たらなくて、もやもやしている。ビデオを探してみたい。
        ポロックのそれとは大幅に違っていた。
        >> 続きを読む

        2016/08/16 by 空耳よ

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      わたしの小さな古本屋 倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間

      田中美穂

      洋泉社
      カテゴリー:図書の販売
      3.3
      いいね! Tsukiusagi
      • 21歳の時に会社を辞めて、その日に古本屋を開くことを決意した著者。

        どんな内容かと言うと、開業から18年間の穏やかな自叙伝のようなもの。
        穏やかと言いつつも、なかなか大変な目にも合っているが、著者の優しくて穏やかな性格があまりそういう事を感じさせない。

        この本を一度読んだ後に倉敷に行ったのに何故行かなかったのか、再読して後悔。
        倉敷にある古本屋。それだけでわくわくしてしまうし、文章から人柄が滲み出てくる素敵な著者にも会ってみたい。
        >> 続きを読む

        2018/10/22 by 豚の確認

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      深海のサバイバル 生き残り作戦

      ゴムドリco. , 韓賢東

      朝日新聞出版
      カテゴリー:海洋学
      4.8
      いいね!
      • たまたま本屋さんの子供図書コーナーで見かけたサバイバルシリーズ、
        5歳の息子がすっかりハマりました!!!

        ちょっとふざけていて、思わず吹き出してしまったり
        でも同時に新しい知識をたくさん吸収できる良い本です。

        図鑑で深海生物を1つ1つ知っていくのも悪くないですが
        ストーリーになっていると
        それぞれの特徴が非常に分かりやすいです。

        これ1冊あれば、子供とカフェで2時間静かに過ごせます(笑)
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        2017/01/13 by アスラン

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      政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること

      つつみみか

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:政治史・事情
      4.2
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      • 重い内容なのでなかなか手が伸びず,4ヶ月かかってようやく読み終えました.新自由主義,市場原理主義,グローバリゼーション,GDP信仰,トリクルダウン,TPP,原発推進,アラブの民主化といったことに「疑問」を感じる方は,読んでみることをお薦めします. >> 続きを読む

        2016/04/21 by medio

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      プロメテウスの罠 明かされなかった福島原発事故の真実

      朝日新聞社

      学研マーケティング
      カテゴリー:発電
      4.0
      いいね!
      • シリーズ。

        とりあえず1巻を読んでみた。
        新聞の特集記事の編集版というわけだけど断片的にでもこういうものは読みたい。
        あの原発事故はライブでテレビやネットの情報に釘づけになった。
        今、まだ原発では収束作業をやっている。
        まだ30年かかるといわれている。
        興味を失ったりはできない。
        実弟も福島でがんばっているから...。

        (amazon解説)
        朝日新聞のルポルタージュ連載記事の書籍化。福島原発事故による放射能汚染は、なぜこれほど多くの被害者を生んだのか。政府、官僚、東京電力、そして住民。それぞれに迫った、気鋭の取材記者たちの真実のリポート。
        >> 続きを読む

        2018/08/30 by motti

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      20歳 (にじゅっさい) の自分に受けさせたい文章講義

      古賀史健

      講談社
      カテゴリー:文章、文体、作文
      4.0
      いいね!
      • 分かり易く、大学生にも薦めたい本

        2017/09/03 by 動物島博士

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出版年月 - 2012年1月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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