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2012年2月発行の書籍

人気の作品

      少女

      湊かなえ

      双葉社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね! tadahiko ryoji
      • 人が死ぬ瞬間を見たいと願う由紀と敦子の女子高生二人。

        親友の告白によって、見るのならと二人は老人ホームと病院へボランティアすることに。
        一方はおじさんに、一方は二人の少年に感化されていく。

        この想いが行きつく先は浅はかな願いなのか。
        ただし湊さんなので当然イヤミス。ただでは終わらせない。

        終盤は冒頭の出来事が回りまわってくる。
        しかしほんと意地の悪い物語だ。
        >> 続きを読む

        2018/10/03 by オーウェン

    • 他10人がレビュー登録、 66人が本棚登録しています
      1Q84 BOOK 1 <4月-6月>前編-新潮文庫

      村上春樹

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 『1Q84』(村上春樹) <新潮文庫> 読了です。

        まず初めに、章名について。

        例えば、「BOOK1 前編」の第1章は目次では次のように書かれています。
        ----------
        第1章(青豆)見かけにだまされないように
        ----------

        さて、章名は
        「(青豆)見かけにだまされないように」
        でしょうか、
        「(青豆)」
        でしょうか、
        「見かけにだまされないように」
        でしょうか。

        実は、新潮文庫では左ページの上部に章名が書かれます。
        つまり、章名は
        「(青豆)」
        なんです。
        そのように見ると、『1Q84』という作品は「(青豆)」と「(天吾)」を交互に並べられて作られていることになります。
        その構造はこの作品を実にうまく表現していると思います。
        そして、その構造を知っておくと、「BOOK3」で驚くものを眼にするでしょう。

        「見かけにだまされないように」というのは副章名ということになります。
        村上春樹は、タイトルと書き出しだけ決めて作品を書き始める、と聞いたことがありますが、もしかするとこの作品では、章についてもそうかもしれませんね。
        なかなか難しい作業ですしおそらくは違うとは思いますが、そんなことを想像しながら読んでみるのもなかなか楽しいです。

        作品を読んでいると、社会的な問題について書かれていることに驚きました。
        これまでの村上作品では、あくまでも個人的な問題を書いてきたので。
        そのため、最初は実験的な作品なのかな、と思いました。

        しかし読み進めていくにつれ、だんだん個人的なものへと扱う問題が移っていきます。
        村上春樹の実際の意図はわかりませんが、最初は社会的なものを扱おうとしたけれど、筆を進めていくと、やはり興味は個人の中にあった、という風に読めました。
        作品全体として前半と後半の間にちぐはぐな印象を受けるのは、新しい分野を開拓しようとしたけれどうまくいかなかった、あるいは書きたいものはそこにはなかった、ということを表しているように思えました。

        それでも、二人の問題を同時に扱おうとしたのは新しい手法だと思います。
        私はそこは成功していると思ったのですが、いかがでしょうか。

        「ヘックラー&コッホ HK4」が登場してから急に物語がぐっと引き締まり、面白くなった感じがします。
        まさに、確かな手ごたえが感じられる、といったところでしょうか。

        小学生のころに初恋を経験した方にはたまらない作品だと思います。
        恥ずかしながら私も、たびたび小学一年生のときのことが頭に浮かび、何とも言えないせつない気持ちに襲われました。
        >> 続きを読む

        2017/07/16 by IKUNO

    • 他7人がレビュー登録、 46人が本棚登録しています
      何もかも憂鬱な夜に

      中村文則

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! KEMURINO
      • うむむ……

        『何もかも憂鬱な夜に』
        タイトルどおり内容はまぁ暗いです。笑
        児童施設で育った刑務官の主人公、死刑判決を受けたが控訴をしない山井、施設で時間を共にした真下や恵子、施設長である「あの人」、主人公の上司にあたる「主任」、、

        登場人物はさほど多くないけれど、それぞれの(暗い)エピソードがとても印象に残るし、台詞もなんというか…人の心の闇まで抉り出す感じ。自分の心も炙り出される。

        暗い暗いってさっきから何度か言ってるけど、暗さがあるぶん差し込む光が余計に眩しく感じられてなんだか自分が救われたような気分になるのも確か。
        『何かになりたい。何かになれば、自分は生きていける。そうすれば、自分は自分として、そういう自信の中で、自分を保って生きていける。まだ、今の自分は、仮の姿だ。』
        自分を保たないと生きていけない、っていうところ。それはその通りだと思う。

        ラスト、山井からの手紙の最後の部分。
        主人公にとって希望なのか絶望なのか、、、
        思わず唸ってしまった。
        >> 続きを読む

        2018/01/12 by ねごと

      • コメント 2件
    • 他6人がレビュー登録、 30人が本棚登録しています
      三匹のおっさんふたたび

      有川浩

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 三匹のおっさんの続編。前作同様三匹のおっさんの活躍ぶりは痛快でした。ボーナストラックがもう一つ面白くなかったのが残念。 >> 続きを読む

        2017/04/25 by konil

    • 他6人がレビュー登録、 25人が本棚登録しています
      ルーズヴェルト・ゲーム

      池井戸潤

      講談社
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!

      • また出た、勧善懲悪。というのが、「下町ロケット」で直木賞を受賞後の第1作である「ルーズヴェルト・ゲーム」を読んだ時の第一印象でした。

        この物語の舞台は、弱小社会人野球部を持つ中堅メーカーで、不況により経営状態が厳しい青島製作所。

        経営の立て直しに奔走する役員、廃部の危機に翻弄されながらも野球を続ける部員たち、それぞれの闘いを描く物語だ。

        立ちはだかるライバルは、どれも皆、性根が最悪だが、青島製作所はそんな輩をラストで見事、成敗する。よっ! いつものお決まりのパターン!!

        池井戸潤の小説は、例えて言えば、水戸黄門の現代版小説だと思っています。つまり、"勧善懲悪"の世界ですね。

        ただ、正直、この"勧善懲悪"ってダサくないですか?
        文学というのは、敵か味方か分けられないグレーゾーンを描くものではないですか? と、私の頭の中の文学青年が、異論反論、オブジェクションを唱えているんですね。

        けれども、きっと作家・池井戸潤には、そんな雑念は微塵もないと思うんですね。
        何が文学的か、どれだけ人間の深部を描けているかなどということには、全く拘泥していないんですね。

        ただただ、自分が描きたい物語を突き詰めている。
        その結果、万人が喜びそうな痛快な展開と、爽やかな大団円の物語が誕生しているのではないだろうか。

        だから読み手は、水戸黄門を観る時のように、悪は滅び、正義が最後には勝つというような絶対的な安心感をもって、物語の世界に没入できるのだと思う。

        実際、これだけ不満を述べても、ページをめくる指は止まらなかったですからね。
        こんなに世の中うまくいくはずがないじゃんと、そう斜に構えていても「正義は勝つに決まってるんだよ」という池井戸潤のメッセージは、あまりにもまぶしく、彼らのハッピーエンドをつい見届けたくなってしまうんですね。

        池井戸潤の勧善懲悪の「エンターテインメントを存分に楽しんで欲しい」という、青臭いといえば青臭い、それでいて純度の高い作家的情熱を感じてしまうんですね。

        きっと彼は、これからもこの作風を変えないだろうし、「ダサい」だのなんだのと言われようと、エンターテインメントの持つ力を信じ続けるのだろう。

        「正義は勝つに決まってんじゃん」。そう自信満々に印籠を突き出す爽快感を、これからも私たちに味わわせて欲しいと思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/11/12 by dreamer

    • 他5人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      楊令伝

      北方謙三

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね!
      • 宋崩壊後の混沌状況。
        これはこれでなかなか面白い。

        水滸伝からの生き残りも少なくなった。
        その中でも、神行太保戴宗は、呉用と並んで、宋江の最も最初の頃からの同志だったはず。
        牢役人をやるかたわら、飛脚を使った情報通信網を作った功績は大きい。

        それが年取って、ものすごく嫌な奴になっていくのが、リアルでイイ。
        そのうち悲惨な死に方をするのだろうか。
        >> 続きを読む

        2017/10/12 by Raven

    • 他3人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      晴天の迷いクジラ

      窪美澄

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 窪美澄さんの作品は初めて読みました。

        全4章のオムニバス形式のお話です。話の中身自体は非常に重く、人間の苦悩や苦しみを描いたデリケートなテーマでもあると思うのですが、自然とページがめくれていくのは、窪美澄さんの文章力が非常に高いからなのでしょうね。




        窪美澄さんの他の作品にも手を出してみたいと思います。
        >> 続きを読む

        2015/05/04 by alten

      • コメント 2件
    • 他3人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      幸せになる百通りの方法

      荻原浩

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      3.3
      いいね!
      • ちょっとした機微や姿勢などを掬い取った7つの短編集。

        311を得ての原発話や、オレオレ詐欺、デビューする老齢の作家。
        他にも動物園での婚活や、リストラされたサラリーマンのベンチ生活。

        悲哀もあるが基本的にはユーモアで見せる術。
        荻原さんらしい筆致で、決して暗くならずに明るく読める作品ばかり。

        表題作は幸せになる方法を実践するサラリーマンだったが、街中で出会ってしまったシンガーソングライターに振り回されていく。
        実際こういう啓発本はそこまで信じないだろうが、当人にとっては救いのように見えるのかも
        >> 続きを読む

        2019/02/05 by オーウェン

    • 他3人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      グレイヴディッガー

      高野和明

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね! ooitee
      • 悪党として振舞っていた八神が、人生の善行のため骨髄ドナーを提供する。
        だがその折に親友の死体を発見し、加害者として警察に追われる羽目に。

        高野さんらしく、時間制限のあるサスペンスで、唐突な始まりから最後まであっという間に展開していく。
        全てが八神が病院に着くまでに収束していく構成も中々。

        特にタイトルでもあるグレイブディッガー。
        通称墓堀人。
        終盤まで正体は明かされないのに、凄腕を次々仕留めていく存在感。

        「ジェノサイド」にはさすがに劣るけど、その系譜がしっかり感じられる。
        >> 続きを読む

        2018/09/21 by オーウェン

    • 他2人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      東京喰種 (トーキョーグール)

      石田スイ

      集英社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.4
      いいね!
      • 予想外に面白かった!
        喰種と人間両方の面から描かれていて、奥が深いなーと感じました
        どちらにもそれぞれの正義があって、それぞれの苦しみや、理解できない相手への憎しみ、怒りなどがとても繊細に描かれていました
        ただ、グロすぎるのが玉に瑕ですねー笑 グロいのは全然大丈夫なんですけど、それでもちょっとビビりました
        絵自体はとても綺麗で整ってますね、
        美男美女は、本当に綺麗です
        >> 続きを読む

        2017/03/28 by 文子。

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      考えない練習 頭で考えずに、もっと五感を使おう。すると、イライラや不安が消えていく

      小池龍之介

      小学館
      カテゴリー:法話・説教集
      3.5
      いいね!
      • キーワード「心」「正しく思考する」「集中する」

        前職の退職日に先輩から頂いた本。
        自分自身、変に考えすぎるところがあったのでこの本を読んでなるほどと思うことが多かったです。


        無駄なことを考えないということは本質的に大切なことに集中できるということ。肝に銘じて改善していきたいと思います。

        特にインターネットやスマホ世代には読んでほしい一冊です。


        本文より
        「現代は、あまりに聴覚への刺激が増しすぎているために、ほどほどに刺激のある会話ですら、まるで不感症のように上の空になってしまいがちではないでしょうか。」

        「~、そこに余計な思考のノイズがたくさん混ざるのです。」

        「恋人と仲良くしたいときは、いやな仕事のことは考えず、お互いが心地よく過ごすために何ができるか考えるほうが、その時に適したことです。」



        >> 続きを読む

        2015/01/18 by すすむ

      • コメント 2件
    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      理系の子 高校生科学オリンピックの青春

      横山啓明 , DuttonJudy

      文藝春秋
      4.5
      いいね!
      • 面白かった!
        タイトルをみただけでは自分は絶対読まない本(自分は文系なもので…)だったけど、読んだ方のレビューで興味を持ち、手に取りました。

        幼いころから核融合炉を作ることに向かって進んでいた子、ハンセン病を患ったことがきっかけで、研究に進んだ子、モデルで女優の道を進んでいたのに、ひょんなことから研究に進めるきっかけを作った子、自閉症のいとことコミュニケーションをとりたくて、それが研究テーマになった子、子どものころから馬が好きで、ウマによるセラピーの研究をする子…。
        まだまだ沢山の子どもが紹介されていますが、物心つくまでにもうすでに天才的な子もいれば、身の回りのちょっとした問題に疑問を持って、それを調べているうちに研究へと進むことになった子まで、様々な子どものサイエンスフェアに出場するまでの経緯、受賞後進んだ道が書かれています。
        10代の子どもにこんなことができるんだ!と実に興味深かったです。

        人って元々持っている才能でこういった道に進む人が多いと思っていた中で、出会った人、境遇がきっかけで大きな成功を成し遂げる人もいるのだな、と改めて感じました。 
        >> 続きを読む

        2016/04/02 by taiaka45

    • 他2人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      13階段

      高野和明

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! Tukiwami
      • 刑罰は何のためにあるのか?を問いかける作品だと思う。私刑を禁止する以上、公的な権力がそれ相応の罰を与える必要がある。だが不完全な人間という存在が裁くからには絶対的に正しいということはありえず、冤罪の危険性や被害者感情を充分に考慮できないということも起こり得るのだ。
        それにしても最後のあの殺人は必要だったのか、を考えるに、死刑執行という重すぎる任務を人が担うことに疑問を感じる。合法だろうが人の命を奪うことに代わりはなく、彼はずっと罰されたいと思って生きてきたんだろう。その心向きが悲しい。
        >> 続きを読む

        2019/01/24 by aki

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      その時までサヨナラ

      山田悠介

      文芸社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!
      • すごくいい!オススメされた1冊。
        悟みたいな考えの人って結構多いんじゃないかな~と思いました。目の前のことにいっぱいいっばいになってたら、自分の幸せが何かわからなくなる。
        結果として数字ででてくる評価みたいなものにふりまわされて、本当に大切なものが見えなくなってる悟の気持ちも分からなくはないなと感じた自分に少しびっくりもした。(社会人デビューしたからかな)
        どんどん変わっていく悟。息子と夫を心配して蘇ってきた亜紀。
        なんとなく出来すぎた上に作られてる感があってうーん...って感じはあるけど、とてもいい話でした。
        >> 続きを読む

        2016/06/06 by おかりん

      • コメント 1件
    • 他2人がレビュー登録、 23人が本棚登録しています
      けむたい後輩

      柚木麻子

      幻冬舎
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 以前より気になっていた柚木麻子さんの初読み作品は、タイトルに惹かれてこちらを選びました。ナイルパーチが読みたかったのですが、図書館では当然のように予約待ちなので後回しに。

        お嬢様女子大が舞台の物語。虚弱体質の純粋な少女 真実子。彼女の一つ上の先輩 栞子。真実子の親友で努力家の美女 美里。タイトルの けむたい後輩は、栞子から見た主人公の真実子。栞子は中学時代に親の力で詩集を出版、それを読んだ真実子は栞子を崇拝します。しかし現在の栞子は、過去の栄光と教授の恋人という立場によって形成された自尊心から周囲を馬鹿にして、口先では夢を語りながら努力することのできないお子様です。真実子は栞子を追いかけながらも様々な経験から多くの事を吸収して成長し、才能を開花させていきます。
        いつまでも成長できない栞子にとって、優越感を与えてくれていたのにどんどん自分以上に成長していく真実子はとてもけむたいのです。そして、それを横で見る美里は栞子の浅はかさを見抜き、軽蔑します。

        栞子の虚勢、美里の自分の美しさを知った上での自信溢れるふるまい、そして女子大生特有の人間関係の築き方。女の裏側の描写がとても面白いです。栞子の子供っぽさには終始辟易とさせられ、それに気づかずに崇拝する真実子に苛立ちを感じました。術中にハマっているな、と思いながら最後まで読まされてしまいます。

        真実子の成長していく様子は現実味が薄く、やや強引な展開が気になった点が残念でした。でも最後まで読むと、彼女の嘘みたいな成長物語は終章のためにあったのかも、と思います。

        柚木さんの他の作品も気になるところです。楽しませていただきました。
        >> 続きを読む

        2015/09/12 by pechaca

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      不思議で美しい石の図鑑

      山田英春

      創元社
      カテゴリー:鉱物学
      5.0
      いいね!
      • 『不思議で美しい石の図鑑』というタイトルだが、石を網羅的に分類して整理した本ではない。
        登場する石の大半は、瑪瑙やジャスパーと呼ばれるもので、鉱物学的には「不純物を含んだ多く含んだ石英」で一括りにされ、宝石にも分類されないものである。
        その意味で、石について鉱物学的にまとめた、総覧的・学術的な図鑑ではない。ある種の「不思議で美しい石」を集めた、1つの魅惑的な世界への水先案内人となる本である。

        瑪瑙は、宝石の下のグレードである貴石より低い、「半貴石」というランクに属する。石英中の酸化鉄などの微量成分が熱の作用などでさまざまな色や模様を生み出す。多様な色彩が層上に織りなす形と色のハーモニーは息を呑むほど美しく、見つめるほどに吸い込まれるような奥深い世界が広がっている。
        一見、何の変哲もないような石の内側に、秘められた美が眠っていることもある。

        産地ごとに、特徴的な模様があることもあり、そうしたものは地名を冠した名称が付けられる。
        古代には、その不思議な美しさから、護符として使われていたこともあるという。

        本書の中で、最も目を惹く1つは、まるで森や山河などの風景を写し取ったような風景石(パエジナ・ストーン)だろう。
        17世紀には、こうした石が数多く蒐集され、珍奇なもので飾り立てた「好奇心のキャビネット」(「驚異の部屋」(ヴンダーカンマー)の家具バージョン)にも使われたりもしたという。
        風景石にはまた別の展開もあって、フラクタル理論から、実際の樹木と風景石の樹状構造の共通点が論じらてもいるそうだ。これは、『かたち』(フィリップ・ボール/早川書房)の主題にもつながっていく話なのかもしれない。眩暈がするようだが、本当に理論的に証明されていくのであれば非常に興味深い。

        著者の本業は書籍の装幀であるそうだが、瑪瑙の世界的コレクターとしても名を馳せているという。子どもの頃はまったく石に興味などなかったが、長じて、瑪瑙や風景石の画像に強く惹かれたのだという。美術的な観点から石の世界に引き込まれたのであり、鉱物学は最近学び始めたのだそうだ。
        しかし本書中の解説は十分におもしろく(おそらくは鉱物学の専門家が書いたのではないために余計親しみやすくもあり)、石の画像と併せて不思議な世界へと誘ってくれる。
        収録された写真の石は、ほとんどが著者のコレクションであるというのもすごい。

        石の写真には番号が振られており、巻末に産地等のまとめがある。語句の索引もあり、「図鑑」としても工夫が感じられる好著である。


        *あとがきの最後の一文が洒落ている。

        *小型犬、チワワの産出地として知られるメキシコ・チワワ州は縞瑪瑙の一大産地でもあるのだそうだ。
        >> 続きを読む

        2016/05/13 by ぽんきち

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      シンデレラの罠

      JaprisotSébastien , 平岡敦

      東京創元社
      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      •  このミステリは、読み手を謎につきつけてきます。
        「わたし」は病院で目覚める。火事で、顔と手にやけどを負い、頭に傷を受け、記憶喪失になっている。

         そして、ミシェル(ミ)である、と周りから告げられる。裕福な伯母の金で働く必要のない優雅な暮らしをしていた20歳の娘。

         火事の時、もう一人いた娘は焼死してしまった。ドムニカ(ド)を助けようとしてミシェルは危ないところ助かった。ドムニカは同じ年の幼馴染。

         記憶を失ったまま、後見人であるジャンヌに引き取られるが、ミシェルは20歳になったら亡くなった伯母の遺産を相続することになっているが、ふとしたときにミシェルは「ドムニカ」と自分が無意識にサインしていて、戸惑う。「わたし」はもしかしたら、ドムニカなのではないか?

         顔の皮膚は移植し、指の指紋はなくなってしまい「わたし」は一体何者で、誰が誰に何をしたのか。

        「わたし」同様、読み手も「わたし」が誰だかわからなくなってしまい迷宮の中に迷い込んでしまうのです。
        「わたし」はミなのか、ドなのか?一人称の形をとりながら、内容は一人称ではない。

         冒頭に裕福な伯母、通称、ミドラ伯母さんが、姪であるミばかり可愛がり、幼馴染みの同じ年のドとラにははっきりと愛情の区別をはっきりつけていたことがわかります。

          同じ人というのはいないけれど、「ミ」と「ド」は親しいのか、主従関係なのか、憎み合っているのか曖昧です。名前が「ミ」「ド」「ラ」など楽譜音符音楽を思わせるようになっています。協和音(安定)と不協和音(不安定)だったら、不協和音なミステリ。

         一番の問題は「わたし」は誰?という自分がわからない、という謎でしょう。

         金よりもなによりも、自分が誰だかわからない、というのはしかも、自分が加害者なのか、被害者なのか・・・それすらわからない、心の中の焦り。

         読者は物語と一緒になって頭をフル回転させて、運動する、そんな印象が残った物語でした。
        >> 続きを読む

        2018/07/22 by 夕暮れ

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      ハイスコアガール

      押切蓮介

      スクウェア・エニックス
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 昔のゲーム、特にSFC時代の格ゲー好きな人におススメ。
        二巻からラブコメ要素が強くなってきますが、一巻はギャグ要素が強かった印象。
        昔のゲームをやっていなくても主人公のハルオが丁寧に解説してくれるので楽しめます。
        アニメ化も決まってて、認知されつつあったのに、著作権問題で連載中止になってしまったのが残念。
        >> 続きを読む

        2015/05/12 by ttt

      • コメント 5件
    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      夏天の虹 みをつくし料理帖

      高田郁

      角川春樹事務所
      カテゴリー:小説、物語
      4.5
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      • 7巻目(ネタバレあり)



        自ら料理の道を選んだことを小松原に告げる澪。敢えて悪者に徹する小松原の優しさが切ない。
        自分らしく生きる道を歩く時も、大切なものを諦めねばならない。
        胸が締め付けられるように辛い。
        恋に倦み、番付から外れ、料理でも混迷し、憔悴しつつも懸命に奮闘し、新たな味を生み出す澪に追い打ちをかける輿入れの情景。
        嗅覚と味覚が麻痺した澪の助けに来た又次が、つる屋の面々や客との触れ合いの日々で心が解れていく様が わずかな明るみだったのに、その未来は吉原の火事で焼失してしまった。
        思う野江を守るために。
        悲しい。
        止まらぬ涙が溢れる。
        >> 続きを読む

        2017/11/13 by ももっち

    • 他2人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      TOKYO図書館紀行
      玄光社
      カテゴリー:各種の図書館
      4.2
      いいね!
      • そうそう、こんなところに住みたいんだよなぁ。と物件探しの気分になって読んしまいました。

        わりとマニアックな東京の図書館30館を紹介している本です。
        写真が豊富なので私はこんな本棚がいいなとかそっち目線になってしまいます。

        自分が行った事があるのはほんのわずかでした。
        できれば、全国の個性的な図書館やもっとマニアックな私設図書館を紹介して欲しかった!ということで星は3つ。
        でも1つの場所をわりと丁寧に紹介しているので読んでも損はないです。


        国立国会図書館 国際子ども図書館
        早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
        東京大学総合図書館
        東京日仏学院メディアテーク
        多摩美術大学図書館
        東京藝術大学 附属図書館
        東京都写真美術館 図書館
        東京都国立近代美術館フィルムセンター 図書館
        千代田区立日比谷図書館文化館
        まち塾@まちライブラリー
        ひと・まち・情報 創造館 武蔵野プレイス
        紙の博物館 図書館
        現代マンガ図書館 〈内記コレクション〉
        味の素食の文化センター 食の文化ライブラリー
        切手の博物館 図書館
        大宅壮一文庫
        東洋文庫
        都立多摩図書館 東京マガジンバンク
        国立国会図書館 他
        が掲載されてます。(公式hpより転記)

        公式hp
        http://www.genkosha.com/tokyo_library_guide/


        以下加筆分。
        本、書店が元気がないといわれるようになって本をとりまく周辺事情を紹介する本やwebが多くなったように思う。
        また郷愁を誘うワードになってきてるのかしらとも思う。

        発行された年付近に読んでいるわけですが、最近はお出かけもあまりしないので実店舗ガイド的な本は読まなくなっている。
        というわけで最新情報が掲載されている書籍、雑誌は他にあるかもしれません。追っかけてなくてごめんね。

        まぁこの本は図書館ということで、そんななくならないかとも思うので今でも実用性は高いのかなと思います。


        他所で書いたレビューに加筆修正してます。
        >> 続きを読む

        2017/11/08 by katabami

      • コメント 2件
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出版年月 - 2012年2月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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