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2013年4月発行の書籍

人気の作品

      掏摸

      中村文則

      河出書房新社
      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね! KEMURINO
      • スリを生業とする青年を主人公とした犯罪小説。

        久々に東京に戻った西村のスリのシーンに始まり、西村の師匠のような存在であり姿を消している石川との記憶や、スーパーマーケットで偶然出会った万引きをする母と息子との出来事を描く。そのあと話は、西村が一度は東京を離れ、石川が姿を消すに至った、過去にある組織から請け負った危険な仕事についての回想に移る。仕事を依頼したのは組織を支配する木崎という男であり、石川は彼を恐れていた。

        犯罪をテーマに暗い色調ではありますが、西村のダークヒーローとしての側面や、スリの技術をいかして行われるRPG的な要素、人との触れ合いに、絶大な力を誇る組織のボスの存在など、構成要素に読者を楽しませるためのサービス精神の豊富さを感じます。作中である意味もっとも重要な人物である黒幕の木崎については、闇社会から政治・経済にまで影響を及ぼすほどの絶大な力をもつ人物として描こうとしますが、饒舌な彼が物語る内容や、影響力のわりには一介のスリに過ぎない西村たちの前にしばしば容易に姿を現す点など、チープに感じてしまう部分が少なくありません。このような木崎の描写や、西村がたびたび回想する恋人との過去など、暗さや重さを演出している箇所は、不自然でうまく馴染んでいないように思えます。

        本質的には娯楽作品でありながら、そこに重厚さを与えようとして適切な効果をあげられていない印象です。
        >> 続きを読む

        2020/10/10 by ikawaArise

    • 他13人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      ランチのアッコちゃん

      柚木麻子

      双葉社
      3.2
      いいね! riripop KEMURINO
      • 女子に圧倒的人気を誇るヒット作を初読み。職場環境、人間関係による圧力、緊張、心労は男子も同じ。

        くさくさしても、凹んでも、寝返っても、やけを起こしても、キレても、あと味はよくない。

        しかし、日常という狭い世界から、ちょっと視線をそらしたり、寄り道したりすると、すぐそばに知らない世界が開けたりする。

        余暇やプライベートも狭い世界感を引きずりがちな時代。働き方改革も大事かもしれないが、いろんな価値観といろんな世界観にふれるワクワク感なしでは、仕事も恋愛も、食事も味気ないまま。

        そんなややこしい時代をスキップしながら、一歩、二歩と女子たちが躍り出てゆくウワサどおりの爽快小説!
        >> 続きを読む

        2018/01/27 by まきたろう

    • 他8人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      りんごかもしれない

      ヨシタケシンスケ

      ブロンズ新社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.4
      いいね!
      • この本が、ヨシタケシンスケさんの絵本デビュー作。
        子ども向けの絵本でありながら、どこかほんわか哲学的な匂いがもうしてる。

        テーブルの うえに りんごが おいてあった。
        ・・・でも・・・もしかしたら
        これは りんごではないのかもしれない。

        ではじまる・・・たのしい絵本。

        これを見ていて、思い出したのが。枝雀さんのSR落語の「定期券」

        あ、こんなところに定期券が落ちてる。
        誰が落としたんやろ?
        名前も何も書いてへんがな。
        分かった、期限が切れてるから捨てたんやな。
        期限、期限と、、、期限も書いてへんがな。
        これ、なんで定期券と分かったんやろ。

        これやと思っているのは、単に表だけを見て信じているだけなんでは・・と。

        「りんごかも しれない」これは「てつがくしょ かもしれない」
        >> 続きを読む

        2022/04/05 by ごまめ

    • 他7人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      聖なる怠け者の冒険

      森見登美彦

      朝日新聞出版
      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • ゆるい(´Д`;)
        めちゃめちゃ内容はユルいです。
        作家さん特有の文体で楽しむ感じじゃないでしょうか。
        キャラも楽しいのでこういうのは漫画っぽい。
        たしかコミック化されたのもあったはず。
        小説家ですが漫画家に例えたら、絵柄が好き♪とかそういう漫画家の部類じゃね?

        でもコレ、たのしかったです。

        (amazon解説)
        1年ほど前からそいつは京都の街に現れた。虫喰い穴のあいた旧制高校のマントに身を包み、かわいい狸のお面をつけ、困っている人々を次々と助ける、その名は「ぽんぽこ仮面」。彼が跡継ぎに目をつけたのが、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら「将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト」を改訂して夜更かしをすることが唯一の趣味である、社会人二年目の小和田君。当然、小和田君は必死に断るのだが…。宵山で賑やかな京都を舞台に、ここから果てしなく長い冒険が始まる。
        朝日新聞夕刊連載を全面改稿、森見登美彦作家生活10年目にして、3年ぶりの長篇小説。
        >> 続きを読む

        2018/08/25 by motti

    • 他6人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      「やりがいのある仕事」という幻想

      森博嗣

      朝日新聞出版
      3.5
      いいね!
      • タイトルにある「やりがいのある仕事」を必ずしも否定しているわけではなく、それを仕事に見出すことにこだわらなくて良いといった話です。本書の肝となる主張は概ね以下に集約できそうです。

        ①仕事は人間の価値を決めるものではない
        ②自分が本当に必要とするものを見極める
        ③社会がどうなっていくのか意識する
        ④他人の目を気にしすぎない(①②にも関連する)

        4章のQAは蛇足にも思えました。
        >> 続きを読む

        2020/09/09 by ikawaArise

    • 他5人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      県庁おもてなし課

      有川浩

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! ryoji
      • 観光振興策あれやこれや。あっさりと読めた感じで、少し物足りなかった。

        2020/05/28 by うえしん

    • 他5人がレビュー登録、 65人が本棚登録しています
      カイジ「命より重い!」お金の話

      木暮太一

      サンマーク出版
      カテゴリー:金融、銀行、信託
      3.9
      いいね!
      • 一万円に対して、安い高いの判断は
        何時間働いてその金額かを考える必要性がある。

        2018/01/04 by Zephyr

    • 他5人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      切り裂きジャックの告白 = Confession of Jack the Ripper

      中山七里

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:小説、物語
      3.1
      いいね!
      • 中山七里の「切り裂きジャックの告白」を読了。

        東京都内の公園で、臓器を全てくり抜かれた女性の死体が発見される。
        犯人からテレビ局に声明文が送り付けられ、その犯人は、自らをジャックと名乗る。

        事件は、やがて連続殺人事件となり、日本を震撼させることになる。
        事件を追う捜査一課の犬養刑事と埼玉県警の小手川。
        二人は、被害者の共通事項を見つけ、事件の糸口をつかむのであったが-------。

        この作品は、切り裂きジャックをモチーフとした連続殺人事件を取り扱っている。
        死体から内臓を取り除くということだけではなく、犯人は犯行声明を行い、警察と世間を挑発するような行動をとる。

        この事件に挑むのが、捜査一課の犬養刑事で、この作品が"刑事犬養隼人シリーズ"の1作目の作品になっている。
        また、今回の相棒として、小手川刑事が登場しているが、彼は「連続殺人鬼カエル男」に登場している。

        内容についてだが、よく用いられる"切り裂きジャック"というネタを用いつつも、うまく使っていると感じられた。
        それを臓器移植という問題に絡めているところが、この作品の大きなポイント。

        途中からは、事件そのものよりも、この作品を読むことによって、その内容よりも"臓器移植"というものの背景について、知ってもらいたいということがテーマになってきているようにも思えた。

        ただ、最終的な真相については、ちょっと当てが外れたような気がします。
        せっかく、"臓器移植"というものについてスポット当てていたのに、ちょっと異なる様相を見せてしまったなと感じられましたね。

        さらには、終わり方もページ数に制約があったのかどうか知らないが、やけに淡白であったと思います。

        最初から最後まで、もっと"臓器移植"というものに重きを置いても良かったのではなかろうか。

        >> 続きを読む

        2021/12/28 by dreamer

    • 他4人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      進撃の巨人 = attack on titan

      諫山創

      講談社
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.6
      いいね! kazuna-ri
      • アニメは見てませんが原作コミックスを一気に読みました。
        なるほど~、問答無用な設定にぐいぐい引き込まれます。

        そしてこれは自分の殻を破って進み出ようじゃないか!というメッセージを込めているのがわかりやすい!
        だからこの漫画の読者が熱くなれるんですね。

        ビジュアルのネタ的にもおもしろすぎるしね、巨人て(;´Д`)

        (amazon解説)
        巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが、名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の闘いが始まってしまう。
        超大型巨人と鎧の巨人の正体が発覚。エレンとユミルは、彼らに連れ去られてしまう。二人を奪還すべく調査兵団が動き始めるが、エレンとユミルの間に亀裂が走り……!! かつて苦楽を共にした104期の仲間達が、敵味方にわかれて戦うことに!
        >> 続きを読む

        2018/08/23 by motti

    • 他4人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      英国一家、日本を食べる

      寺西のぶ子 , BoothMichael

      亜紀書房
      カテゴリー:食品、料理
      3.8
      いいね! nicebamboo
      • ・『限りなく完璧に近い人々』が肌に馴染んだので、本著を読了
        ・想像より軽い内容で、暇潰しにはなる >> 続きを読む

        2018/02/11 by michi2011

    • 他4人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

      施川 ユウキ

      4.8
      いいね! Tukiwami
      • 私も、本作を読まず他の方のレビューを読んでの知ったかぶりでこちらのレビューを書くことが多いので読んでみたくなりました。 >> 続きを読む

        2019/04/19 by 月岩水

    • 他4人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      キアズマ = chiasma

      近藤史恵

      新潮社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね!
      •  ドツボにはまっている、近藤史恵さんの自転車ロード・レース物の最新作です。
         今回はまたまた主人公が変わります。
         大学に入学したばかりの岸田正樹が主人公。

         正樹は、ちょっとした過去もあって、あまり人と交わろうとしない性格です。
         柔道をやっていたことがあり、身体は良いですが、その柔道ももうやめていました。
         今日も今日とて、なんとな~く消極的な大学生活に向かっていったのですが……。

         ひょんなことから大学の自転車部の学生とトラブルになり、からまれたこともあって、自分のモペット(原付なのですが、ペダルがついていて漕ぐこともできるタイプ)で逃げ出します。
         しかし、自転車部員が乗るロード・レーサーの方が圧倒的に速く、すぐに追いつかれてしまいます。
         何とか逃げようとしたところ……故意にではないのですが、事故を起こしてしまい、追ってきた自転車部の部長が脚を怪我してしまいます。
         要手術で全治10ヶ月。

         見舞いに行き、謝罪したところ、それほどひどく責められることは無かったものの、「お前自転車部に入れ」と迫られてしまいます。
         部長は、もう今年のシーズンの出走は不可能です。しかも、自転車部は弱小で、部員は全部で4人しかいないというのです。
         「1年間で良いから」ということで、断り切れなくなり、自転車経験など全くない正樹でしたが入部させられてしまいます。

         自転車部には2年生の櫻井元紀という才能ある選手もいました。
         でも、これが巻き舌の大阪弁でしゃべるほとんどヤンキー(笑……本人は「どこがヤンキーやねん!」と否定しますが)。
         そもそも、正樹が自転車部員とトラブルになったのもこの櫻井が原因ではあったのですね。

         さて、初めてロード・レーサーに乗る正樹ですが、その魅力に取り憑かれてしまいます。
         もともと体力はあったこともあり、そして素養もあったのでしょう、みるみるうちに実力をつけていきます。
         あっと言う間に櫻井に次ぐ力を持った選手に育っていきます(この辺、やや都合が良いかもしれまんが)。
         部長は、「俺がにらんだだけのことはある」と得意気です。

         大学の自転車部を舞台にし、様々なレースを経験しながら力をつけていく正樹を追った作品。
         そして、正樹の過去と、櫻井の過去、将来どうするのか?という問題などなど、巧みに織り込みながら自転車ロード・レースの魅力を存分に描いていきます。

         最初の2作のインパクトが大きかったからか、白石誓が好きなので、彼がほとんど描かれないのはやや残念ですが、櫻井という個性的なキャラを生み出してきたわけですね。

         このシリーズ、さらに続いて書かれていくのでしょうか?
         注目していきたいです。
        >> 続きを読む

        2019/12/23 by ef177

    • 他3人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      ツリーハウス

      角田光代

      文藝春秋
      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 第二次世界大戦前、根無草のように満州に渡った泰造とヤエ。そこからはじまる藤代家の軌跡。
        今いる場所よりもっといい場所があると信じ、深く考えもせずそこを目指し、けれど思い描いたようなものが手には入らず落胆を繰り返しながら、でも、今日を生きる親子三代の物語。

        故郷を捨て親を捨て逃げて逃げて生き延びて、そんな方法でしか時代に抗うことを知らなかった泰造とヤエ。
        逃げることしかできなかった両親の人生を貶んで、結局自分も逃げて生きる息子慎之輔。
        世間一般の家族と違う藤代家の違和感を「我が家は簡易宿泊所のようだ」と気がついた孫の良嗣。
        その良嗣が祖父母の半生がなぜ満州で二人が出会ったのか、家族のルーツに気になり始めたところから物語が急展開してゆく。

        親子三代それぞれ一人称の視点で語られるこの世界は生々しい。
        そして角田光代さんの丁寧な心象描写が、あたかも自分(読者)がその時代を生きているかのようなリアリティーを感じる。

        「未来って昔みたいだったらいいなって思うことがあるんだ。前に前に知らないところに進むんじゃなくて、知ってる方へ進んだらいいなって。。」
        逃げることしかできない家族の中でたった一人、逃げることができなかった基三郎の言葉が心に響く。

        そして最後に一つの疑問。
        角田さんはなんでこのタイトルを付けたのだろうか?
        >> 続きを読む

        2021/03/14 by masahiro

    • 他3人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心

      益田ミリ

      幻冬舎
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      3.6
      いいね!
      • すーちゃんシリーズ、これもまた、職場での馬の合わない人に、
        自分の心まで乱される、相手も嫌いだが、そんなことにキズつく
        自分に自己嫌悪する。

        上に立つもの、好かれたいという気持ち、どこかで昇華しなければ
        毎日過ごすことはできませんな・・。それも、含めて仕事ですな。
        >> 続きを読む

        2020/09/11 by ごまめ

    • 他3人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      うまくいっている人の考え方 完全版

      弓場隆 , MinchintonJerry

      (株)ディスカヴァー・トゥエンティワン
      カテゴリー:人生訓、教訓
      3.6
      いいね!
      • ※あくまでも、自分の読んだ履歴としてコメントします。

        100個の項目があるが、内容が被っている気がする。
        自尊心は大切だと言っている。

        自分を認める
        自分を否定しない
        長所をみる

        他人を直すより、自分を直した方が良い
        他人の反応で自分の気分を害さない
        他人に自分の人生を邪魔されない

        断ることも大切
        身近な幸せに意識を向ける
        家族を大切にする

        色んな本にも似ている点があるが、
        ポジティブシンキング
        自分を知り、認めるが大切
        >> 続きを読む

        2017/10/03 by Zephyr

    • 他3人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      タタール人の砂漠

      脇功 , BuzzatiDino

      岩波書店
      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね! Tukiwami
      • 【時に絡め取られる】
         主人公ジョヴァンニ・ドローゴは、士官学校を卒業してすぐにヴァツティアーニ砦への赴任を命ぜられました。
         この砦は国境を守備する砦ということで、(以前は)この砦で勤務するということは大変名誉なこととされていたということもあり、勇んで赴任したものの、砦の周囲には何もなく、至って淋しい場所でした。

         着任早々音を上げてしまい、上官にさっそく転任を申し出たのですが、4ヶ月後に軍医の健康診断があるので、その際に軍医に頼んで病気だということにしてもらうのが一番良いと言われ、そうして欲しいと願い出たのでした。

         ところで、この砦の北方には広大な砂漠が広がっており、その砂漠にはタタール人がいて、いつか砦を攻めてくるという話がまことしやかに囁かれているのですが、それにしては何も起こりませんし、過去にも何も起きてはいないようなのです。

         ドローゴは、こんなさびれたところで任期の2年間を過ごすなんてとても耐えられないと考えるのですが、すでに何十年もこの砦に勤務し続けている上官もいるのですね。
         そして、ドローゴも、いつしか変わり映えのしない砦の生活に埋もれていくのでした。

         待ちに待ったはずの4ヶ月目の健康診断の日が来ました。医師は上官から話を聞いているようで、事情を承知しており、すぐに病気の診断書を書いてくれました。
         ところが……ドローゴは何故か砦を去りがたい気持ちに襲われてしまい、その診断書を破棄してくれと軍医に頼んでしまったのです。ええ、まだしばらくは砦にいようと決意してしまったのです。

         しかし、その後も砦に攻め込んでくるというタタール人などまるで見あたらない毎日が続きます。
         しかし、ドローゴは、「俺はまだ若いんだ。この砦にあとしばらくいたところでまだまだ先はある。」などと考え、まるで時間に絡め取られるように砦での生活にしがみつくようになっていくのです。
         たまに休暇で生まれ故郷に戻ることがあっても、そこではすでにドローゴは浮いた存在になってしまっており、そそくさと砦に戻ってくるようになってしまいました。
         そして、いつか必ずタタール人が攻めて来るに違いないので、その時は軍人として活躍するのだと固く信じるようにもなっていくのでした。

         出だしの粗筋はこんな感じの物語なのですが、日々繰り返される砦での単調な生活に時間の感覚がどんどん麻痺していき、自分にはまだまだ先があると思い込んでいるものの、その思いよりも速く時は流れ去っていくのでした。
         また、いるのかどうかすら分からないタタール人との戦闘を固く信じるようになっていく経緯にはうすら寒いものすら覚えます。
         確かに、「すわ!攻撃か?」と思われるような事態も、この後起きないではないのですが……

         この「タタール人の砂漠」が刊行されたのは、イタリアが終戦を迎えて間もない時期だったそうですが、当時のイタリア人達は、記憶に生々しい戦争を描いたような作品を好み、この「タタール人の砂漠」のようにいつまで経っても何も起こらないような小説は「現実不参加」の小説だとしてあまり評価はしなかったのだそうです。
         しかし、その後徐々に評価が高まり、今では世界的に著名な作品になっていることはご承知のとおり。

         ある面では、カフカの不条理な小説のようでもあります。
         あるいは、非常に寓意的な作品とも言えますし、幻想的な作品と言うこともできるでしょう(その意味では、同じイタリアのイタロ・カルヴィーノを彷彿とさせるところもあるかもしれません)。
         また、私が一つ思い浮かべたのは、ジュリアン・グラックの「シルトの岸辺」という作品でした。この作品も戦争なんて起こり得ないような海辺の基地を舞台にしているのですね(その後の展開は本作とはまた違うのですが)。

         大変不思議な魅力をたたえた作品ではないでしょうか。
        >> 続きを読む

        2019/06/08 by ef177

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック

      夏目漱石 , KavanAnna , 小山清

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:叢書、全集、選集
      3.0
      いいね!
      • BOOK OFFで360円買った
        今 太宰治の晩年を読んでいる
        中々 面白いと思う

        2016/02/27 by 孝志 松元

    • 他2人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      文豪ストレイドッグス

      春河35

      角川グループパブリッシング
      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 1巻からまた読んでみようー🙌🙌🙌
        と思い立ち、読んでみた次第です👀👀

        やっぱり面白いですね٩(🔥▽🔥)۶
        いちいちセリフがカッコイイし、アニメをしこたま観ているから、バッチリどのキャラも配役の声優さんたちで脳内再生されるし、絵も浮かんでくるので、これはまた楽しみが増えましたね(*^^*)
        ちなみに、最新刊まで手元にあります‼️

        ただ、最初の芥川のキャラ絵がそんなにカッコよくなかった、というのはやはり再読してみないと分からなかったことなので、こういうのも再読の良さ、利点だな、とも思いましたね(*^^*ゞ

        刊行当時は、文豪をイケメン化して作品のタイトルを異能力にするなんて、恥を知れ!愚弄している!愚行だ!蛮行だ!と某密林界隈で炎が燃え上がっていたのに、アニメ化されて放送されたら、こんな素晴らしい作品はない!最高です!太宰さんカッコイイ!とかのコメントで溢れかえっていて…まあ、好きな作品を褒められるのは嬉しいですが、ここまでの手のひら返しを見たのは後にも先にもこの1回きりなので、色々と衝撃的だったのを今でも鮮明に覚えていますです、はい(笑)

        ま、兎にも角にもこれからゆっくりとぼちぼちとアニメ3期のところまで読んでいきたいな、と思っているので、またまた忙しくなりそうですε≡≡ヘ( ´Д`)ノ

        今回も良い読書が出来ました❗
        >> 続きを読む

        2021/08/08 by 澄美空

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ

      小路幸也

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! rock-man
      • (ネタバレ記述あり、要注意)







        2018/5 10冊目(通算81冊目)。いつも通りの堀田家。いろいろ騒動が起き、誰かがその問題を解決する。ただ、今回は堀田家の近しい人が亡くなるという出来事が起きる。そんな悲しみの中でも、人にやさしくする堀田家の面々。別れることの辛さを知っているからこそ、人にも優しくなれるのかなと読んでいて感じた。とりあえず今持っている分は読み終わってしまったが、この後の巻も機会を見て揃え、また読み返してみたいと思う。感想はこんなところです。

        >> 続きを読む

        2018/05/15 by おにけん

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      ストレイヤーズ・クロニクル = STRAYER'S CHRONICLE

      本多孝好

      集英社
      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね!
      • 2018/3 2冊目(通算34冊目)。自分の理解力の無さなのか、話が好みに合わなかったのか。シリーズを3冊読んでも話に入り込むことが出来なかったのが正直な感想。話に魅力を感じることが出来なかったのは残念なので、映像化されている物を見てから再読してみたいと思う。

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        2018/03/02 by おにけん

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