こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)


2014年4月発行の書籍

人気の作品

      漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

      西 加奈子

      幻冬舎
      4.3
      いいね! ybook Tukiwami
      • 【面白うて、やがて悲しき……】
         初西加奈子作品でございます。
         いや、何か暑苦しそうなヨカンが……。
         実際、暑苦しいかもぉ。

         これまでさんざん男に騙されて、借金抱えて、ぼろぼろになりながらもいつも明るい菊子さんが主人公(なのか?)。
         彼女は男の後を追って、小学生の喜久子(同じ名前なのです)を連れて北陸の漁村にやってきました。
         そんなところに男がいるわけもなく。
         菊子は、地元の人の好意もあって、焼肉屋『うをがし』(何で焼肉屋なのにこういう名前なのだ?)で働くことになり、店の裏の古い家を借りることもできました。

         菊子は、その体型から『肉子』と呼ばれていました。
         本人もちっとも嫌がっていないし、大体子供の喜久子だって「肉子ちゃん」と呼んでいるのですから。

         肉子は、センス最悪。
         空気を読むようなことは一切せず、どんどん他人の中に入っていってしまいます。
         喜久子曰く、「うざい」。
         時間があれば一日中テレビを見ていて、とにかく食べまくります。
         味覚もかなりお安くできている様子。

         喜久子は、肉子とはまったく似ておらず、なかなか可愛らしい小学生です。
         かなりしっかり者で、小学生にしてはこんな言葉使うかな?という位大人っぽいところもあるように感じてしまいました(まぁ、彼女が語り手なので、仕方なくそういうことになっているのかもしれませんが)。
         肉子のような母親だと、恥ずかしいって思う女の子もいるんじゃないかなとも思うのですが、喜久子はそんな肉子を愛していました。
         漁村で一生懸命生きていく肉子と喜久子、その周囲の人たちが描かれていきます。
         
         いや、それにしても肉子さん、パワフル。
         大阪のおばちゃんを何倍も強化した感じ。
         言っていることがかなり意味不明。
         とにかく食べますので、夕食の後のデザートが唐揚げだったりします(お、恐ろしい……)
         でも、とことん明るいし、やさしい人なんだろうな。

         この作品、ギャグがちりばめられているのですが、思わず笑ってしまいました。
         喜久子は読書家なのですが、肉子さんは本なんて読んだことないんでしょうね。
         「キクりん(肉子さんは喜久子のことをこう呼びます)、何読んでるん?」
         「サリンジャー」
         「サリンジャー! なんとか戦隊の名前みたいやな!」
         ……確かに(笑)。

         キクりんは、死んだ人が見えたり、動物や神社の声が聞こえたりするのだそうです。
         肉子さんと隣町の水族館に行き、肉子さんお気に入りのペンギンを見るのですが、キクりんには、ペンギンが「皆殺しの日ぃー!」と鳴いているように聞こえるのだとか。
         かもめ達は、「えっきょー」と鳴きながら飛んでいるのだそうですよ。
         すごいなぁ。

         そうそう、漁村の盆踊りの様子も描かれるのですが、屋台で売っている物の中に『餃子棒』というのが出てきました。
         何それ?
         知らないんですけれど、皆さん分かる?

         笑いながら二人の日々の様子を読み、所々でしんみりさせられ、ラストは悲しいけれどうれしいような終わり方をします。

         かなり濃ゆいお話でしたが、面白く読ませていただきました。
         

        読了時間メーター
        □□      楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)
        >> 続きを読む

        2020/04/11 by ef177

    • 他15人がレビュー登録、 43人が本棚登録しています
      本屋さんのダイアナ

      柚木 麻子

      4.2
      いいね! Luna Moffy KEMURINO
      • それほど入り込めず。異性だからと言う訳ではなく、構成や流れによる処が大きいかな。とは言え終わり良ければ全て良し、素敵な着地でした。 >> 続きを読む

        2018/12/11 by hiro2

    • 他10人がレビュー登録、 30人が本棚登録しています
      おとなの教養―私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書 431)

      池上 彰

      4.3
      いいね!
      • 大人にも必要であり、これから大人になる若い人たちにも必要であるものが教養であるのだと思える。
        これを読んで、もっと高校時代にもっと勉強しておけばよかったと思った。
        今は様々な分野の知識を浅くてもいいから、自分のものにする努力は、これからの社会で役に立つのだと思うと、もっと自分勉強しなきゃ!って思ってしまいました。
        いま、自分は今後社会に何が求められてるかがわからない人とかは、試しに読んでみるのも良いかも。
        >> 続きを読む

        2016/05/05 by Ryo4061994

    • 他6人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

      レイ・ブラッドベリ

      3.6
      いいね!
      • 読んでいて時折どきっとすることがある
        情報や架空、用意されたものを
        与えられ続けそれを消費することが大事になって
        立ち止まって考えることもせず、知ったようになる点
        そして立ち止まり、過去の過ちから学び
        古き言葉を反芻する者が
        正しいというわけではないこと

        流れが早く早く、彼が想像したよりもずっと早く
        世界は回る今、立ち止まった所で
        解決することはなく、
        もがいて歩を進める不確かな正しさを思わぬ所から教えられたよう
        >> 続きを読む

        2020/02/22 by kotori

    • 他6人がレビュー登録、 19人が本棚登録しています
      忘れ物が届きます

      大崎 梢

      3.4
      いいね!
      • そういえば、アレってどうなったの?という忘れ物

        なんか人気があって売れてるようなので読んでみました。大崎梢さんのは初めて読みました。
        んー、なんか正直もの足りなかった(^_^;)?
        イメージ的にはライトな推理小説なので「 謎ときはディナーのあとで」みたいなお手軽さがウケたのでしょうか。
        東川 篤哉 さんのほうには文体の楽しさがあるぶん、こちらの方が直球で(?)負けてる気が(;´Д`)
        しかしながら ある種ののノスタルジーがあるというのでしょうか、そんなところが魅力です。

        (amazon解説)
        想い出の中に取り残されていた謎をめぐる、ミステリー珠玉集。
        あの事件は、結局誰が犯人で、どう解決されて、彼や彼女はどうかかわっていたのだろう──。
        知らされていなかった真相が、時を経て、意外なきっかけから解き明かされる。
        多彩な趣向が味わえる、五つのミステリー。
        >> 続きを読む

        2018/08/31 by motti

    • 他4人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)

      近藤 史恵

      3.6
      いいね!
      • ビストロ・パ・マルは小さい料理店ながらも繁盛している。

        そんな店に来る客のちょっとした事件や疑問。
        それをシェフの三舟がきれいに解いていく7つの短編集。

        謎自体が込み入っているとかそういう類ではない。
        けれども出される量の数々に舌鼓が鳴る。

        ヴァンショー・とかガレット・デ・ロワは知っていたけど、カスレやオッソ・イラティなど初めて聞く料理名が食べたくなる。
        あとチョコ専門店のノンブル・プルミエも魅力的な店に見える。
        >> 続きを読む

        2019/08/07 by オーウェン

    • 他4人がレビュー登録、 20人が本棚登録しています
      アルスラーン戦記(1) (少年マガジンコミックス)

      荒川 弘

      4.0
      いいね!
      • 息子から借りた本。③巻まで一気読み(〃艸〃)ムフッ

        原作未読だけど名前だけ知ってた本。

        あらすじの通りの内容で(笑)、
        アルスラーン王子は周りから
        『たよりない』…とか色々言われ本人も気にしてるけど心優しい少年。見た目も相まって優しげな風貌に精悍さは見られない…
        強面の父親からの風貌を見れば周りから
        『王子はこのままで大丈夫なのか?』と思われてもしょうがない。
        それに王も王妃もアルスラーンには何故か冷たい態度。←きっとこのあたりに何かあると思う。

        そんなアルスラーンが14歳の時に初めて戦に…
        パルスはルシタニアとの戦いで味方の裏切りに合い大敗
        一緒に戦いに出てた国王は行方不明。

        一方、1人敵に取り囲まれたアルスラーンは
        忠臣ダリューンに助けられる。
        難を逃れたアルスラーン達はダリューンの友ナルサスの元を訪ねる
        ここから始まる1人の王子の成長物語かな?王道って感じ。
        >> 続きを読む

        2015/04/08 by あんコ

      • コメント 9件
    • 他3人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      給食のおにいさん 進級 (幻冬舎文庫)

      遠藤 彩見

      4.2
      いいね!
      • 給食のお兄さんシリーズ第2巻
        今回の話では、いじめ問題などが扱われている。
        そして、テーマのひとつに「勇気」というものがあったと思う。
        何かを乗り越えたりするためには大きな勇気が必要になると思う。
        今回の作品で出てくる小学生達や主人公は、新しい一歩を踏み出すために沢山の葛藤を抱えていたと思う。葛藤を乗り越え、最後には自分のメニューに新しいものを追加できたと思う
        >> 続きを読む

        2015/12/30 by future

      • コメント 1件
    • 他3人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      55歳からのハローライフ (幻冬舎文庫)

      村上 龍

      3.8
      いいね!
      • 山口百恵が引退した頃に出会った『コインロッカーべービーズ』は、今も大好きな作品の一つ。「ニューウエーブ」というキーワードと共に、サブカル的な予兆が漂いはじめていた時代だった。近未来テイストのカオスな世界観に小説というジャンルを超越したほとばしるエネルギーを感じて、しびれたものだ。

        そして長い月日が流れ、中高年に突入したタイミングで、手にしたのが本作。決して景気のよいお話ではないが、明日のわが身をシミュレーションしているような身につまされる5つの物語が収められていた。

        絶対的なものに頼れない不確かな社会。今や「老後」という言葉に「隠居暮らし」という穏やかなイメージはなく、厳しい現実の響きを帯びている。人生の折り返しに、さしかかった時、人は何を基準にハッピー指数を計るのだろうか?
         
        過去の栄光や社会保障だけでは生き抜けない人生最後のサバイバル。「ワーク・ライフ・バランス」の配分よりも、仕事や家庭を通して、人間としてどう成長したかを表現できる「生き方」がより大事な時代になっているように思えた。

        著書もお年をめしたはずだが、時代性をすばやくキャッチし、作品としてアウトプットする感度のよさは、あの頃と変わっていない。まさに著者のブレない「生き方」がバックボーンにあるからだろう。
        >> 続きを読む

        2017/05/05 by まきたろう

    • 他3人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      どんな本でも大量に読める「速読」の本 (だいわ文庫)

      宇都出 雅巳

      4.0
      いいね!
      • 宇都出さんが提唱している『高速大量回転法』
        自分の頭に入ってるストックを蓄積しながら読む方法。文字を音にしなくても意味が頭に入ってくる体験をしたことないだろうか?
        例えばラーメンに入った時、味噌ラーメン750円と書いてある。それをいちいち味噌ラーメンと頭の中で読み上げてるだろうか?
        続きが気になる人は是非読んで見ていただきたい。

        実際に様々な速度法を試しセミナーに通い、20万くらいつぎ込んだ、宇都出さんだから書ける本。ちなみに東大出身。YouTubeでも動画あり。
        >> 続きを読む

        2017/05/30 by atsu

    • 他3人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      ケモノの城

      誉田 哲也

      4.2
      いいね!
      • 読む手が止まらない・・・・・・・

        読むのが辛いのに・・・・・・

        暴力描写がすさまじい

        よって誰にでもおすすめできるような作品ではありません

        だけど、前半に散りばめられた不可解な出来事が終盤に繋がり真相を明らかにしていく様は読み手を引き付け離しません

        事件当時者が語る事件の真相はすべてが真実ではなく、嘘や幻想で塗り固められた架空の世界

        有効的なミスリードで読者を煙に巻き・・・・・・・・・そして、悲しい結末へ・・・・・・

        実際にあった事件を題材に作られたというこの作品ですがこのような世界が身近にあるとは信じがたい・・・・・

        これと誉田哲也が描くサスペンスが共存したとき、圧倒的な恐怖が訪れます
        >> 続きを読む

        2015/12/05 by momokeita

    • 他3人がレビュー登録、 11人が本棚登録しています
      乱読のセレンディピティ

      外山 滋比古

      3.0
      いいね!
      • 「思考の整理学」で東大・京大の若者から絶大な支持を受ける英文学者、外山滋比古氏による、“乱読スタイルでアイデアを生み出す読書のススメ”です。

        本が大量に多種多様に出版され、いつでもだれでも手に取れる現代では、“乱読”(色々なジャンルの本を、ある程度速いスピードで、大量に読む)がおもしろく、自身の思考の役に立つ読書の仕方だ、と著者は提案します。曰く、「風のように読む」読書です。

        面白かったのは、なぜ「乱読」なのか、一つのジャンルにとらわれず、文学、科学、哲学、宗教、ビジネスなど自分の土俵ではない分野もふくめて読むのが良いか?ということ。

        どうも自分が理解しやすい分野の本ばかり読んでいると、「正確に理解するだけの読書(物理的読書)」に偏ってしまう。「理解しにくいが好奇心をそそり、無意識に残る読書」を続けることで、頭の中で化学反応が起き、思いがけないことを発見する能力(=セレンディピティ)が鍛えられる、と述べています。

        「ベータ読み(内容・意味がわかりにくい文章を読むこと)の能力を身につければ、科学的な本も、哲学も、宗教的書物も、・・・好奇心を刺激する点ではおもしろい読みができるはずである。」「とにかく小さな分野の中にこもらないことだ。広く知の世界を、好奇心にみちびかれて放浪する。」

        また、“知識”と“思考”は相反する関係である、という主張も面白かったです。知識が過剰になると借り物のアタマになり、自分で考えることを妨げるため、過剰な“知識・教養信仰”に対して警告しています。そこでインプットとともに“忘却・忘れる”ことを勧め、溜まり過ぎた余計な知識を排出して整理することで、思考の整理によりアイデアが生まれやすくなるようです。

        「本当にものを考える人は、いずれ、知識と思考が二者択一の関係になることを知る。・・・問題はどう見ても、生きる力とは結びつかない、知識のための知識を不当に喜ぶ勘違いである。」
        「知識をとり込み過ぎ、それを使うこともなく、頭にためておくと、知的メタボリックシンドロームになるのではないか。」

        自身も、考え尽くして答えの出なかったことが、仕事の合間の休憩や散歩中、またはお風呂の時によく「ひらめいた!」となることがよくあります。脳が無意識下で情報をせっせと統合しており、頭が切り替わった時にアウトプットされやすい、というのはその通りだと頷けました。スティーブ・ジョブズも、散歩しながらミーティングしていたらしいですね。

        ちなみに、色々な考えを頭のフラスコに入れて寝かせると化学反応が起きる、みたいな視点は、ジェームス・W・ヤングの「アイデアのつくり方」にも通じるように思いました。


        私が外山さんを好きな理由のひとつに、「忘却」をポジティブにとらえる姿勢があります。ともすると記憶力が良い、覚えが良いことが人の能力として礼賛される風潮がありますが、「忘れることも立派な人間のチカラなんだよ」と知的教養おじいさんが諭してくれると、なんかホッとするというか・・・

        まぁ、そんならボチボチ、気が乗った日だけでも続けて読んでみましょうかな、と思えるから不思議ですね。
        >> 続きを読む

        2017/02/23 by すみはむ

      • コメント 4件
    • 他3人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      ブラック・コール 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

      佐藤 青南

      3.7
      いいね!
      • 2020年23冊目。「エンマ様」と呼ばれる警視庁捜査一係の楯岡絵麻のシリーズ第2弾。前作のエンディングで絵麻が刑事になるきっかけになった事件の犯人が登場。これだけ盛り上げておきながら、最後は犯人が〇〇するというオチは何だかなあという感じ。ただ、この作品は心理学を駆使してどうやって絵麻が被疑者を自供に追い込んでいくかという方がキモだと思うので、早々に物語の懸念を取り払ったのは正解か。一応4巻目までは手元にあるので引き続き読んでいきたいと思う。感想はこんなところです。

        >> 続きを読む

        2020/01/27 by おにけん

    • 他3人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      池上彰の教養のススメ 東京工業大学リベラルアーツセンター篇

      池上 彰

      5.0
      いいね!
      • 池上彰の教養のススメ 東京工業大学リベラルアーツセンター篇。池上彰先生の著書。池上彰先生と東京工業大学リベラルアーツセンターの先生方が、教養、リベラルアーツについて話し合う良書。専門知識を深めることも大切だけれど、それだけでは頭でっかちな非常識偏屈人間になってしまう。専門知識と教養を同時に深めることの大切さがわかります。池上彰先生と東京工業大学リベラルアーツセンターの先生方、ともに深い教養をお持ちであることが伝わってくる内容です。 >> 続きを読む

        2018/10/09 by 香菜子

    • 他3人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      海うそ

      梨木 香歩

      4.8
      いいね! Moffy
      • ベストセラー小説「西の魔女が死んだ」で有名な梨木香歩の作品。

        梨木香歩の作品は、「西の魔女が死んだ」くらいしか読んだことがなかったので、作風の違いにすごく驚いた。
        同時に作者の作家のとしての力量が卓越していることを思い知らされた。

        久しぶりに自分の好みに合った美しく心に残る小説に出合ったと素直に喜べた作品。
        人により好みが分かれる作品だと思うが、この小説の醸し出すノスタルジーと詩情あふれる美しさは格別である。
        読み終わった後、本当に心地よい余韻に浸ることができた。

        戦前、人文地理学を研究していた主人公がフィールドワークの為訪れた南九州の遅島での体験を綴ったもの。
        舞台となる島は、作者の創作であるそうだが恐ろしくリアリティーがあり、実在するかのような説得力がある。
        その島はかつて修験道が盛んな土地であったが、明治維新後の廃仏毀釈により、その名残が見いだせるだけになっている。
        その痕跡を主人公が辿っていく話であるが、普通の小説のようにドラマチックな展開はなくただただ淡々と話が進む。
        かといって退屈かと言えばそうではない。
        なんというか記述されている描写の全てにその歴史というか、人々の積み重ねてきた生活とか、人の世の無常さを感じられた。
        書いてある文章の後ろにある詩情を読者に感じさせる稀有な小説じゃないかと思った。

        戦後の恐らくバブル時代と思われる時代に再度その島を訪れる機会を主人公は得るが、そのとき彼が感じた感情を恐らく読者も感じるだろう。

        巡り合ってよかったと感じれる作品は少ないが、私にとってこの作品は明らかにその一冊である。
        >> 続きを読む

        2018/08/26 by くにやん

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      私に似た人

      貫井徳郎

      4.0
      いいね!
      • 日本の各地で起きる小口テロを様々な人の視点から語られる。テロで大切な人を失った人やテロに共感する人、テロを起こす人を見下す人など…
        ヘイトさんの日本人は思考停止しているっていう意見にハッとさせられた。確かに、何の為にそのルールがあるのかとか考えずに、当たり前だからとか皆しているからって理由でしている行動って多いと思った。
        あと、事なかれ主義。自分の面倒になりそうな事は適当に自分を納得させてみないように避けていることは自分にも当てはまると思う。
        義憤や偽善と本当の正義感、日本人の悪癖など様々なことについて考えさせられる内容だった。
        >> 続きを読む

        2017/06/25 by つばさ

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      小説 言の葉の庭 (ダ・ヴィンチブックス)

      新海 誠

      5.0
      いいね!
      • 内容紹介-------------------------------------------------------
        靴職人を目指す高校生・秋月孝雄は、雨の朝は決まって学校をさぼり、公園で靴のスケッチを描く。ある日、孝雄は、その公園の東屋で謎めいた年上の女性・雪野と出会った。やがてふたりは、約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるように。居場所を見失ってしまったという雪野に、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願う孝雄。揺れ動きながらも近づいてゆく二人の心をよそに、梅雨は明けようとしていた―。圧倒的な支持を受けた劇場アニメーション『言の葉の庭』を新海誠監督が自ら小説化。アニメでは描かれなかった人物やドラマを織り込んだ、新たなる作品世界。
        ---------------------------------------------------------------

        映画のノベライズというと、だいたいの作品は映画で十分、よくて映画の補完的な役割を持つ程度の作品ばかりという印象がある。
        しかし『言の葉の庭』は映画も小説もそれぞれで作品として完成しており、両方見れば相乗効果的に楽しめる作品だ。
        新海誠は映画はもちろんだが、小説もこれほど高いレベルで書けるのかと驚いた。

        「言の葉の庭」の映画は46分と短いが、作品としての不足はない。
        ただ、その時間の短さから主人公の孝雄と雪野以外の登場人物にはフォーカスを当てていなかった。
        それでも、脇役にも彼らなりの生活があることを感じさせるようなシーンが何か所かあった。

        小説版では、その脇役たちの物語が孝雄と雪野の物語の合間に挟まれている。
        そして、「言の葉の庭」の世界が孝雄と雪野だけのものではなくて、他の人たちにもそれぞれの事情があるということを主張してくる。

        ふつう、本編とは違う話を展開させていくと作品世界を壊してしまうものだが、本作ではそうはならなかった。
        脇役たちの物語で扱うテーマが、本編の「孤悲」の物語の根底にある、もしくは寄り添う形で存在する、誰にでも共通するものだからだ。
        それは、作中の言葉で言うなら「どうせ人間なんて、みんなどっかちょっとずつおかしい」ということ。

        本編の前に、脇役たちの物語から少し触れていきたい。
        秋月孝雄の兄、秋月翔太。
        年下の自分をしっかり持っている彼女に対するもやもやとした劣等感やら嫉妬やらがよく描かれていた。
        短編としてはよくある感じの作品だが、本編の間の挿話としては十分。
        問題の解決に弟の孝雄がちょっとしたきっかけとしてだけ役立ってるのも丁度いい。

        雪野の元恋人で同僚の伊藤宗一郎。
        「かつて俺は奇跡に出会ったのに。それなのに、自分では指一本動かさぬまま、それを永遠に葬ってしまった。」
        恋人に求めることとして、「一緒にいると楽しい」とか、「お互いを高め合えること」とか様々あるが、それらはたいてい何事もないときの話だ。
        個人的には、「つらい状況の時に互いの救いになること」がとても大事だと考えていて、雪野が必要としていたものも救いだったはず。
        私は乱暴な体育教師が嫌いで彼にいい印象を持たなかったのだが、「嘘みたいに簡単に百香里の手を離してしまった」というエピソードに少し共感するところがあった。

        雪野を追い込んだ張本人相澤祥子。
        憧れが憎しみに変わるというのもよくある話だが、よくあるからこそ、理解していても割り切ることができないのかもしれない。
        ましてや高校生ではなおさら。

        秋月孝雄の母秋月怜美。
        「今の若い子って、なんだか妙に他罰的なのよ。自分を差し置いて他人にはやけに厳しいの。自分がどれだけ他人から許されてきたかは省みないで、それなのに道徳とか倫理とか、へんに常識的な振る舞いを人には要求するの。プライドは高いくせに承認欲求に飢えてて、そのくせ他人の価値は認めたがらないの」
        社会に出てみて、尊敬できる上司・先輩と感じるのは「自分に厳しく他人に優しい人」か「自分にも他人にも厳しい人」だ。
        そしてたまにいる「自分にも他人にも優しい」タイプの人に助けられる。
        秋月怜美はこのタイプ。
        ダメな面もあるけれど、その分他の人のダメなところも許してくれる。
        年のせいか、こういう大人の優しさに最近弱い。
        あと母親の描写も。
        怜美は三者面談で隣を歩く息子の背の高さを感じていたが、私も高校生の時に同じく三者面談で母親が小さくなったと感じたのを思い出した。

        それでは本編。
        といっても、この本を手に取る人はたいてい映画を見ているだろうし、映画と小説で大きく違うところもないので、多く語ることはそんなにない。
        でも、情景描写で言えばさすがに新海誠の本気の映像の方が勝る。
        新宿御苑の雨と緑の描写、東屋で雪野の足のサイズを測るエロティックなシーン、大雨に降られたあと雪野の部屋での二人だけの時間、そしてラストの雪野の心情の吐露などのシーンはとくに映画の方が雰囲気が出ていた。
        あと、小説ではラストシーンのようにスピード感を持たせようとすると脚本のようになってしまうきらいがあるのも気になった。
        でも、映画と比べると、というだけで、小説もとてもよくできていることは間違いない。
        孝雄と雪野の互いに必要としているものがかっちりとはまるような救いの恋愛がとても好きだ。

        映画のラストシーンの後、孝雄が靴の専門学校に行って雪野が地元に帰って、さらにその後の話が小説では少しだけ読めるのもファンにはありがたい。

        本書は装丁が美しいこともポイントが高い。
        文庫版は映画の画像が印刷されているだけで味気ないが、単行本は作品の世界観をイメージした緑色の紙の表紙に、葉っぱの形の箔の型押し加工がされている。
        スピンも緑色。
        ハードカバーで値が張るが、こういう美術性もある本だとその価値があると思う。
        >> 続きを読む

        2020/01/18 by しでのん

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      妖奇庵夜話 人魚を喰らう者 (角川ホラー文庫)

      榎田 ユウリ

      4.3
      いいね!
      • シリーズ第3弾。とても面白かった。ラストで洗足と青目の関係が明かされて思わずうなった。

        今回の妖人は人魚。妖人リストに人魚として登録されている女性が誘拐される。人魚の肉は不老長寿とされていて、喰らうのが目的なのか? 人魚をめぐる過去の事件もからんでくる展開で、一気読みする面白さだった。夷が活躍するのも見どころ。

        マメと夷を「家族」として洗足が大切に思っている様子が描かれていて、ほっこりする。毒舌家だが本当は優しすぎて他者がいじめられているのを放っておけない洗足から、ますます目が離せなくなった。続きを読むのが楽しみ。

        >> 続きを読む

        2017/10/03 by Kira

    • 他2人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      刑事の約束

      薬丸 岳

      3.0
      いいね!
      • 短編5本。ワンパターン。
        いずれも刑事の視点と、犯人もしくは犯人に近しい人の視点が交互に展開してゆく、見事なまでにワンパターン。
        物語自体も、小説としては言っては何だがありきたり。
        または荒唐無稽。
        ぎゃふんとした。
        安いテレビドラマを観ているよう。
        主人公の夏目刑事が、いかにももったいぶって、最後の最後に温情溢れる種明かしをして、読者の涙を誘う…という5つの物語。

        小説はドラマの脚本じゃない。
        映像の材料の為に小説を書いてはいけないと思う。
        こういうものを書けば儲かるのかもしれないが、東野圭吾の二番煎じの謗りは免れない。
        >> 続きを読む

        2014/08/28 by 課長代理

      • コメント 4件
    • 他2人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      人生相談。

      真梨 幸子

      4.0
      いいね!
      • めちゃくちゃ面白かった!

        各章毎に小さなどんでん返しがあって、しかもそれが全体では隠れた事件の一部として繋がっている。緻密に計算されて作られているんだろうなと感心した。
        登場人物が多かった上に、時系列もばらばらだったので、人間関係を完全には把握できていないかもしれないけれど、それでも一気に読んでしまった。というよりも、一気に読まないと話についていけなくなると感じて読み切ってしまった。でも、それだけの魅力のある本だと思った。
        真梨幸子作品のふたり狂いも好きだったので、たぶんこういう系統の話が自分は好きなんだと思う。
        >> 続きを読む

        2018/10/12 by tnp

    • 他2人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています

出版年月 - 2014年4月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

会員登録(無料)

今月の課題図書
読書ログってこんなサービス
映画ログはこちら
読書ログさんの本棚

レビューのある本