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2015年3月発行の書籍

人気の作品

      火花

      又吉 直樹

      3.2
      いいね! River_F
      • 芥川賞受賞作ということでずっと気になっていたのですが読めていなかったので図書館で借りて読みました
        正直他の方のレビューの評価があまり良くなかったので「そんなになのかな?」と思いつつ読んだのですが個人的には結構好きでした
        太宰治のことが好きなんだな、とわかるような少し難しめの文章が多かった印象はあるので好みが別れる一冊かな、とは確かに思います
        でも芸人さんとか小説家とかの枠を無視して、普通に面白かったと思います

        まずP24の
        「どの事務所でも、芸歴を重ね手垢のついた芸人よりも、言うことを聞く若者の方が好まれるようだった。」
        という言葉にこれはきっと芸人だけでなく、他の世界でも同じように言うことを聞く若者の方が好まれている気がすると思いました
        それが現実で、変えられない事実みたいな気がして少し悲しい気がしました

        次にP32の
        「一つだけの基準を持って何かを測ろうとすると眼がくらんでまうねん。たとえば、至上主義の奴達って気持ち悪いやん? 共感って確かに心地いいねんけど、共感の部分が最も目立つもので、飛び抜けて面白いものって皆無やもんな。阿呆でもわかるから、依存しやすい強い感覚ではあるんやけど、創作に携わる人間はどこかで卒業せなあかんやろ。他のもの一切見えへんようになるからな。これは自分に対する戒めやねんけどな」
        という先輩芸人 神谷さんの言葉です
        個人的には一番この言葉が印象的かなと思いました
        神谷さんの言葉はかなり長文のものが多く、読み込むのに少し時間がかかるのですがちゃんと消化できればとても素敵な言葉のような気がします
        将来創作に携わりたいと思ってるので(芸人ではないですが)、覚えておこうと思います

        この作品の好きなところは神谷さんのことを好きになれたからだと思うんです
        小説に出てくるキャラクターを好きにならない限り、小説のことも好きになるのは難しいことだと思っているので 私は神谷さんの純粋で本当に阿呆な部分にとても魅かれたのだなと思います
        たとえばP34の
        「『美味しいですね。でも、師匠の感覚には寄り添っていいんですよね?』
        『今は、寄り添え。寄り添え?』
        神谷さんは、普段使わない言葉を僕に釣られて使ってしまうことを恥じていた。」
        というシーンです
        後輩に「寄り添え」っていうのに慣れてなくて恥ずかしくなるなんて、とっても愛おしくないですか?
        それから他にはP36の、喫茶店のマスターが傘をくれたことに対して
        「喫茶店のマスターの厚意を無下にしたくないという気持ちは理解できる。だが、その想いを雨が降っていないのに傘を差すという行為に託すことが最善であると信じて疑わない純真さを、僕は憧憬と嫉妬と僅かな侮蔑が入り混じった感情で恐れながら愛するのである。」
        というシーンがあるのですが、そこも本当に愛おしいなと思います
        神谷さんと一緒にいたら、大変だけどある意味物事について深く考えるようになりそうです
        そして、神谷さんという存在を作り出せる作者の又吉さんは実はとっても優しくて純粋な人なのかなと思いました

        一番感動したのはスパークルの最後の漫才でした
        読んでいながらそこにスパークルの二人がいるのではないかというくらいの熱量をそこに感じましたし、私も観客としてそこにいたように思います
        P124の「お客さんが笑うと、壁も一緒になって笑うのだ。」という表現は臨場感が伝わってきてとても好きです

        ただ、最後の神谷さんがホルモン注射して胸が大きくなっていたというオチ(?)は全てを持っていかれてる感じがして少し勿体無く感じました
        感動的な話で終わるのかと思っていたらそうではないらへん、やはり芸人さんだなと思いました😊
        でも、小説に正解などないと思うので「火花」のラストはあの神谷さんの阿呆みたいなオチで正解なのかもしれません

        作者である又吉さんは非常に純文学が好きなのだなということが伝わってくるような文章でしたが、個人的には少し入りにくいかなとも思いました
        ただ、それは私の読解力が少し足らないだけかもしれません
        この作品が伝えたいのは「周りの尺度に流されずに、自分のやりたいことをやる」ということだと私は思いました
        感じ方や思うことは人それぞれだと思うので ぜひ一度読んでみてはいかかでしょうか
        >> 続きを読む

        2019/07/20 by ゆきの

    • 他40人がレビュー登録、 136人が本棚登録しています
      舟を編む

      三浦しをん

      4.3
      いいね! tanreinama
      • 辞書のテーマに圧されて山済みしながら眺めていましたが、飽きずに読み続けられる表現で助かりました。最後まで楽しめました。ただラブレターは3回チャレンジしましたが、未だにドキドキできません。高校生の時もっと漢文や古文にチャレンジすれば良かったと反省の限りです。古語辞典引っ張っり出してみたくなったよう。でも、しをんの本もっと読みたくなっているので、古語辞典は後回し。 >> 続きを読む

        2019/02/13 by naduka

    • 他12人がレビュー登録、 52人が本棚登録しています
      夜の国のクーパー (創元推理文庫)

      伊坂 幸太郎

      3.8
      いいね! misora
      • 再読。
        初読のとき、感想としては正直『微妙』やと思ってしまったんですよね…… この小説。
        なんかこれは自分が求めてる伊坂幸太郎ではないなと。
        そんな記憶がうっすら残っていたからか、再読にあたっても本を手に取るまでは今ひとつテンションも上がらず、モチベーション的に大丈夫か?とちょっと不安もあったんだけど、、、読み始めたら意外とスイスイ読めました笑
        オチがわかってるからねーー、どう落とすんだ?っていう不安は初めからなかったし、だからこそ結末に至るまでの流れとなるストーリーを純粋なエンジョイできました。

        猫の視点で語られる不思議な国で起こる奇妙な物語。猫が喋ります。
        戦争、統治者、動く杉の樹の怪物『クーパー』、そのクーパーを退治するために選ばれし『クーパーの兵士』。いろんな要素が絡み合ったおとぎ話のようなテイストだけど、現実世界との延長線上にあるような、どこかで実在する世界なんじゃないかと思わせるように描かれてる。そういう意味じゃ『オーデュボンの祈り』と近いのかも。
        あっちはカカシが喋るし。

        絵本化されても全然おかしくないような小説。フリとオチが効いてるから、大人が読んでも耐えれるような絵本として。
        弦が枇枇の家で目撃したシーンを少しオブラートに包めば、子供だって当然楽しめるよ。
        >> 続きを読む

        2018/11/25 by ねごと

      • コメント 2件
    • 他11人がレビュー登録、 35人が本棚登録しています
      ナイルパーチの女子会

      柚木 麻子

      3.8
      いいね!
      • 怖かった~

        前半から中盤にかけての狂気。

        こちらの小説の核は「友情、友達」とは?だと思ったけども、

        自分も今の時代のSNSやら、リアルなコミュニケーション。
        かなり苦手。

        決して友達も多くなく少ない。

        で、

        コミュニケーションも下手。。。汗

        便利な世の中で、さして過去の勉強が物言う時代でもないのかもしれない。スマホ等々の便利さ故。

        でも、やはり人間対人間なので、結局コミュニケーション力なのかな?とも読んでいて思い。

        とにかく中盤の怖さが強く、でもどこか共感する部分に、えっ自分は狂気?!なんて思ったりと。

        終盤には希望の光もあり、少しホッとしました。

        ここには友達の定義だったり、一つの作家さんのその時の真理のような書かれ方もあったし、なるほどとも思ったし、日々そうして思考しながら生きていくしかないとも思った。

        いろいろな意味においてどちらが正しくどちらが間違いという、登場人物の設定ではないとも思った。

        なんかあまり再読はしたくはないけども、とても経験というか勉強というか、読んでよかったとはおもう。

        年のせいか、どぎつい小説よりもハッピーな小説を求めだしている自分も最近ふっと思ったりもしますね・・・汗

        このSNSも、自分の感想やら表現やら、コミュニケーションやら、失敗を恐れずに、ぼちぼちと、経験、勉強もふくめて利用させてもらっています。

        「不易流行」

        なのでこの小説からの最後の感想としては、あまり一つ一つの言葉だったり行動だったり表現だったりに意味をいちいち持たせず、神経質にならず、生活する事なのかもな~と思いましたね。ストレス社会、他人にピリピリだったりする時代だし。

        って感じです!^^

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        2018/12/16 by ジュディス

      • コメント 2件
    • 他8人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      百年法 (上) (角川文庫)

      山田 宗樹

      4.1
      いいね!
      • 不老不死が実現した社会。
        それと同時に不老不死の処置(HAVI)を受けた人間は100年後死ななければならない。
        通称「百年法」。


        100年後のことなんて考えずにHAVIを受けた人々は、
        実際百年法が施行されるとなったとき、自分の死が近づいたとき
        何を考えるのか。

        政治家、医者、一般女性、学生…
        様々視点から物語が進み、たんたんと時代が進んでいく。

        全体的に展開が激しいわけじゃないのに
        一文一文に引き込まれて、その世界観にどっぷりハマると一気読みしてしまう。


        下巻もあるから説明や謎が多いまま終わってるが、
        読み終わった後ほどよい疲労感がよかった。
        >> 続きを読む

        2017/01/12 by riona

      • コメント 3件
    • 他4人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      太宰治の辞書

      北村 薫

      3.2
      いいね!
      • 編集者である主人公が、仕事とは別に、自分の興味が赴くまま行う、書物探索。
        その書物探索に付き合っていくうちに、小説の裾野が広がって、ひとつの小説がどんどん豊かになっていく。

        ここで取り上げられられた小説は、太宰ばかりではない。
        読んだことなのない小説が、いくつも出てきた。
        文学を真剣に学んだ者にとっては、マストな小説かもしれないが、私にとっては、教科書で丸暗記した記憶しかないものばかり。
        いい機会だから、手に取ってみようかな。
        >> 続きを読む

        2016/05/21 by shizuka8

      • コメント 2件
    • 他4人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)

      ダニエル・キイス

      4.4
      いいね! el-j
      • 暑い!夏休みだー!仕事だー!・・・です。汗
        社会人はつらい!

        でも、この作品読んだら、やっぱ仕事が出来て、人とコミュニケーションとれて、字が読めて・・・それだけで幸せを感じる。

        もちろん、感じる、考える、知能があるから、悩み、不安になり、怒り、情報に苦しんだり・・・も、ついてくる・・・

        ってのが、

        この作品読み終えた感想です。

        ネタバレにはならないだろうけども、人は無いものを欲しがり、その場所に行けば、その場所からの景色から見る世界は、その場所の景色があり、それは時として残酷でもあるわけで・・・その時初めて、自分の今までの場所が実は幸せだった事に気づく。。。

        話それそうですが、hideの「ピンクスパイダー」の歌詞にも通じる内容だった気もするし・・・

        この本がドラマ化されたりで、最後泣いたという、身近な方いました。

        自分は涙を流す事もなかったし、胸が締め付けられて泣きたくなる感情でもなかった・・・

        ただ、なんか怖かったとか、苦しい動悸とか、不安定な気持ちになるような気持ちでした。

        多分、今の時代は、鬱病やら自律神経とか、心の不安が大きくなる時代だから、単にIQの低い主人公がIQが高くなり、そして・・・のストーリーから単純に泣ける感情にもなれなくて・・・

        ネタバレになるかもですが、

        最後またIQの低い自分の戻る、正常な自分学校認めるのはつらいだろう・・・

        今で例えるなら、認知症と診断されたら?車の免許を返納するときとか・・・

        奥深い話ではあるな~


        余談

        この本20年以上前に当時話題になったとき買って読み始めたけど、知能の低い時期の文章が、ひらがな、句読点なし、語彙脱字など読みにくく、途中挫折!

        なので、

        それから20数年・・・再挑戦という感じです。で読破してホッ!

        余談ついでに・・・

        氷室京介のソロファーストアルバム「フラワーズ・フォー・アルジャーノン」は氷室さんがこの本読んで感化されて作られたらしい。

        氷室ファンとしては読まなければ・・・と思いつつ、この年数かかり、そして読み終わりも必ずしも、良い読書だった~って内容でもなくて、、、

        でも、いろいろこの本から学びも得れてとても有意義な読書だったと思うし、常に、前を向いて歩く姿勢をこの本で学び、そしてなによりも「笑顔」を教えてもらった気がします。

        自分のプラスになった本です。

        学生の夏休みの読書感想にも良いと思う。

        すげー長いレビュになりましたが・・・笑


        良い読書できました!!!! (^^)v
        >> 続きを読む

        2019/07/24 by ジュディス

      • コメント 4件
    • 他4人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      家族という病 (幻冬舎新書)

      下重 暁子

      3.2
      いいね!
      • ・読むという作業で頭が刺激され
        ・年を重ねるごとにその人らしくなる
        ・家族という名の暴力

        納得する部分、賛同できない部分ありますが、全編をとおして、著者である下重さんのさめた見方が、読んでいて痛快でした。

        最後章の手紙までぶれずに個人をとおす生き方は強いと感じます。
        >> 続きを読む

        2016/01/31 by saxon

    • 他4人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      百年法 (下) (角川文庫)

      山田 宗樹

      4.1
      いいね!
      • 最後までテンポ良く物語が進む。

        上巻でカッコ良かった遊佐が一気に失速してしまい、なんだかなあ(阿藤快さん亡くなったねえ)と思っていたら、中盤から加速した。
        良かったとホッとする読者。

        上下で長いのだが、会話が多く、後半は改行が半端ないので実際の文章量としてはたいしたものではない。
        読書慣れしていないひとでもスラスラ読めると思う。

        解説の北上氏も書いておられたが、構成がいいと感じた。大胆とも言える。
        不老不死の世の中を調整する意味もある百年法が廃止されたことによって引き起こされる混乱を、つらつらと書いていくだけでも十分人間が死ぬこと死なないことについて問題提起は可能だし、考えさせる。
        ところが作者は敢えて時代を少し送り、回想する程度に抑えている。
        また、聞かせどころ(読ませどころ)の牛島の二回の演説も敢えて内容が書かれていない。この演説を省くことによってラストが際立ったと感じる。
        あれもこれもと書きたがる作家もいるが、本当に絞ったことのみに焦点を当てる削る勇気といったものが上手くいった作品と感じた。

        死なない老いない世界と聞くと、いいように感じるけれど、人間を含め生き物の命に限りがあることには意味がある。
        夫の命も我が家のわんことにゃんこの命も、勿論わたしの命もいつかは尽きる。
        だからこそ毎日が大切なのに違いない。
        わたしはあと何年生きられるかわからないけれど、いつ死んでもいいようにはしておきたい。でも今死ぬことになると、部屋に積んである読まれるの待ちの本が読めなくなってしまうのは誠に残念。これはきっと避けられそうもないけれど。
        読まれるの待ちの本が読めなくて無念だ、というのが最期の言葉になりそう。
        あ、嘘、あなたの妻でいられて幸せでしたと夫に告げよう。照れる。
        あくまで先に逝く予定。
        >> 続きを読む

        2015/12/01 by jhm

    • 他3人がレビュー登録、 17人が本棚登録しています
      探偵の探偵3 (講談社文庫)

      松岡 圭祐

      3.8
      いいね!
      • 2の続き。砂糖が大活躍。姉さんが余計なことをし、ひどい目に遭う。

        2016/03/13 by tomolib

    • 他3人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      迷宮 (新潮文庫)

      中村 文則

      4.0
      いいね!
      • クリスマスイブに偶然、テレビでタイガーマスク運動の火つけ役、伊達直人こと河村さんの幼少体験の肉声を聞いた。

        親と死別後、面倒を見てくれた親類が発した言葉「なんでお前なんか生まれてきたんだ。謝れ」が胸に突き刺さった。本人も人間としての尊厳が砕けたと瞬間だったと振り返った。

        人格を破壊された人物たちの出口なき葛藤をとことんあぶり出す中村文学に、伊達直人の静かな戦いが重なった。

        幸せ顔した仮面の裏に潜む人間のダークサイドを描き続ける氏の作品は、見て見ぬ振りができない強烈な痛みをともなう。それは道徳やモラルでは決して乗り越えられない不条理のかたまりから生まれる痛み。

        中村文学も伊達直人も、いくらお願いしても届かないクリスマスプレゼントの裏に存在する幸せ顔した社会の脆さを具象化しようとしているように思えた。
        >> 続きを読む

        2017/12/26 by まきたろう

    • 他3人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      あと少し、もう少し (新潮文庫)

      瀬尾 まいこ

      4.1
      いいね!
      • 内容紹介-------------------------------------------------------
        陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが…。元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。あと少し、もう少し、みんなと走りたい。涙が止まらない、傑作青春小説。
        ---------------------------------------------------------------

        駅伝の練習が始まってから大会までの半年間を6人のそれぞれの視点から書いている。
        文庫で約360ページあり、一人あたりおよそ60ページ。
        各視点の物語は時間も場所もほぼ同じなので、物語としては60ページのボリュームしかない。
        当然、同じ場面の描写が何度も出てきてくどい。
        しかも、物語は60ページしかないのだから、一人一人を掘り下げることはできず、登場人物はみな薄っぺらい。

        小学生の時から喫煙していて運動も何もやっていない不良が長距離なんて走れるだろうか?
        私は陸上経験者だが、馬鹿にするなと言いたい。
        それに、学校側がタバコや染髪にゆるすぎる。

        壮行会でのジローの激怒は、突然すぎて感情を追えない。

        同性愛の設定は必要だったか?
        もっと違う方法でキャラクターを掘り下げることができるはずだ。

        そもそも、6人すべての視点を描写しなくても、桝井の視点だけで6人の内面を描写することもできるはずだ。
        そりゃあ確かに人によって物の見え方は違うから、視点が異なることで新しい発見があるかもしれない。
        しかし、現実世界で6人全員の内面を知るなんていうことはできないのだから、すべてを描こうなんてしなくていい。
        それをやってしまうから、作り物めいて見える。
        桝井を中心に据えた交流の中で他の仲間の意外な一面が見えた、という描写の方が自然じゃないか?

        それに、群像劇で複数視点を用いるときは、それぞれの視点で時間か場所のどちらかが異なるはずだ。
        どうして時間も場所も同じにしてわざわざ無駄にページ数を使う構成にしたのかわからない。

        こういう物語だと、最初は先行き不透明だったものの仲間みんなで苦難を乗り越えて大成功!というのが王道だと思う。
        しかし、苦難はあったか?

        わかりやすいのはメンバー間の衝突だが、それも数ページで片付けられてしまう。
        それでも、そういう衝突があるだけまだいい。
        極端に仲が良かったり悪かったりすれば交流があるが、そうでない人物同士の交流がほとんど見られない。
        例えば俊介と設楽とか。
        たった6人しかいないのに、連帯感がない。

        人物もストーリーも薄い。

        仲間を集めて苦難を乗り越え、一体感を持って目標に進むという王道ストーリーなら、越谷オサムの『階段途中のビッグ・ノイズ』。
        駅伝ではないが、走る楽しさに着目するなら森絵都の『ラン』。
        駅伝・陸上ものでも、他に評価の高い小説があるだろう。


        >> 続きを読む

        2017/06/18 by しでのん

    • 他3人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      虚像の道化師 (文春文庫)

      東野 圭吾

      4.0
      いいね!
      • 気負いなく読む ガリレオシリーズの短編

        短編集とか思わずに読みはじめて性急な展開に焦ったがあっさり1話読了。
        なんだ短編だったかと思いあっさり読みました。
        どーでもいい感じで、たのしいね。
        で、「ガリレオ7」と副題がついてましたが、「8」も もう出てるんですね!
        パソコンは「7」で買って「8」をDL購入したんだけど「10」になってます(?)

        (amazon解説)
        東野圭吾の代表作、「ガリレオシリーズ」の短編集。
        ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。その場にいた者たちは、男が何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りたと証言し、教祖は相手に指一本触れないものの、自分が強い念を送って男を落としてしまったと自首してきた。教祖の“念”は本物なのか? 湯川は教団に赴きからくりを見破る(「幻惑(まどわ)す」)。突然暴れだした男を取り押さえようとして草薙が刺された。逮捕された男は幻聴のせいだと供述した。そして男が勤める会社では、ノイローゼ気味だった部長が少し前に自殺し、また幻聴に悩む女子社員もいた。幻聴の正体は――(「心聴(きこえ)る」)。大学時代の友人の結婚式のために、山中のリゾートホテルにやって来た湯川と草薙。その日は天候が荒れて道が崩れ、麓の町との行き来が出来なくなる。ところがホテルからさらに奥に行った別荘で、夫婦が殺されていると通報が入る。草薙は現場に入るが、草薙が撮影した現場写真を見た湯川は、事件のおかしな点に気づく(「偽装(よそお)う」)。劇団の演出家が殺された。凶器は芝居で使う予定だったナイフ。だが劇団の関係者にはみなアリバイがあった。湯川は、残された凶器の不可解さに着目する(「演技(えんじ)る」)。
        読み応え充分の4作を収録。湯川のクールでスマートな推理が光る、ガリレオ短編集第4弾。
        >> 続きを読む

        2018/08/09 by motti

    • 他3人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      憤死 (河出文庫)

      綿矢 りさ

      3.8
      いいね!
      • ホラー風味の純文学の短編集。
        4つの短編の中では、表題作ではなく「トイレの懺悔室」が最も優れていると感じた。
        この作者は、この方向性がベストだと思う。
        >> 続きを読む

        2018/12/31 by tygkun

    • 他3人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      槐(エンジュ)

      月村 了衛

      4.0
      いいね! ooitee
      • 部活動合宿のためキャンプ場に出向いた中学生と引率者の二人の先生。
        だがその合宿で銃声がし、そこから地獄絵図のような殺戮が。

        当然中学生が敵うはずもないのだが、サバイバルナイフを片手に次々と獲物を仕留めていく存在が味方に。

        一気読み必至なエンタメの物語なので、サクサクと読めてしまう代物。
        「機龍警察」とはまた違う月村さんらしい中身だが、完結させてしまうのでスッキリする。

        ところで季節もののカントリーマアムとはどういう味?
        >> 続きを読む

        2018/12/13 by オーウェン

    • 他3人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      EPITAPH東京

      恩田 陸

      3.6
      いいね!
      • 非常に尖ってる本!

        「エピタフ」とは「墓碑銘」とのこと。
        東京は一回死んでるんだろうか。
        気の利いた「墓碑銘」を探すのらりくらりとした散文。
        ブンガクぶったスタイルは尖ってて、本の装丁がこれまたステキでした。
        色紙が子供の頃買ってもらった100枚入り(?)とかの折り紙の匂いがした♪

        (Amazon解説)
        東日本大震災を経て、東京五輪へ。少しずつ変貌していく「東京」―。その東京を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている“筆者”は、ある日、自らを吸血鬼だと名乗る謎の人物・吉屋と出会う。吉屋は、筆者に「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが…。将門の首塚、天皇陵…東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「piece」。徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。吉屋の視点から語られる「drawing」。三つの物語がたどり着く、その先にあるものとは―。これは、ファンタジーか?ドキュメンタリーか?「過去」「現在」「未来」…一体、いつの物語なのか。ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!!
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        2018/09/20 by motti

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      人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

      松尾 豊

      4.6
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      • 人工知能の歴史の流れと将来像について書かれています。

        数学的な解説は無いので読みやすく、入門にちょうど良かった。

        AIの勉強するならこれを読まないと始まらない。
        G検定を受けるなら必須図書
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        2019/05/18 by ひな♪

    • 他2人がレビュー登録、 13人が本棚登録しています
      黒野葉月は鳥籠で眠らない

      織守 きょうや

      4.0
      いいね!
      • この小説は一応リーガルミステリーとはなっていますが、特に法廷がでてくるわけでもなく、裁判自体がでてくるわけでもない。4つの短編集ですが、主に離婚とか財産とか民法に関わる弁護士ということで、やはり人情物という感じですね。2番目の「石田克志は~」だけ殺人事件がでてきますが・・・。

        ほとんどは法律の抜け穴的なものばかりで、最後の最後に登場人物の意思がはっきりと示されるとう展開です。それも新人の弁護士と先輩弁護士との絡みもあり、よりわかりやすくしているところがうまいですね。

        法律関係に疎い私でもなるほとと思えるラストがでてきます。特にタイトルの「黒野葉月は~」にはそういう手があったのか!!という感じでした。ただ、欲をいえば、あまりハラハラドキドキ感がなく、淡々と物語が進んでいくという感じが否めなかったのはちょっと残念でしたが・・・。
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        2016/08/13 by sumi

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      倫敦千夜一夜物語 あなたの一冊、お貸しします。 (集英社オレンジ文庫)

      久賀 理世

      3.0
      いいね!
      • とある事情で生まれ住んだ街から遠く離れた「倫敦」で貸本屋を営む兄妹が貸本屋を訪れる人達がもたらした謎を解いていくお話。

        1つ目と2つ目のお話では人は死なないけど3つ目は人が殺されるお話。昨今の「人が死なないミステリ」にジャンル分けされるのだろうけど人が死ぬお話もあるので半分該当して半分通常のミステリにジャンル分けされるのだろうと思う。

        物語の時代設定が19世紀末なので何処か異国の地を旅している感覚になるかな。あと、物語もそうだし話の内容も寓話的でそこもおもしろかったな。タイムマシンで本当に19世紀末の倫敦にタイムスリップした感じでこれもおもしろかったポイントになってるかな。

        貸本屋を営んでるという設定上、色々な本、名作が随所に鏤められていてあまりそういうジャンルに疎い自分でも「あ~!これは聞いたことがある!」というものもあってその作品たちを嬉しそうに語り合うヒロインたちの光景も読んでいて微笑ましかった。


        ラストの引きも次巻を今直ぐにでも読みたくなるような感じで良かった。次巻・・・どうしよう~。


        この作品も長らく本棚で寝かせていたので良いタイミングで読めたと思う。


        さて、次は何を読みましょうかね。
        そして、どんな世界に連れて行って貰えるかな。


        今回も良い読書が出来ました!
        >> 続きを読む

        2017/02/18 by 澄美空

      • コメント 2件
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      誓約

      薬丸 岳

      4.0
      いいね!
      • 一度罪を犯したら、人はやり直すことはできないのだろうか。
        罪とは何か、償いとは何かを問いかける長編ミステリー。

        捨てたはずの過去から届いた一通の手紙が封印した私の記憶を甦らせる。
        15年前、アルバイト先の客だった落合に誘われ、レストランバーの共同経営者となった向井。
        信用できる相棒と築き上げた自分の城。
        愛する妻と娘との、つつましくも穏やかな生活。
        だが、一通の手紙が、かつて封印した記憶を甦らせようとしていた。
        「あの男たちは刑務所から出ています」。
        便箋には、それだけが書かれていた。

        幻冬舎さんの雑誌『パピルス』誌に2012年4月から2014年2月に亘って連載されていたものを纏めたものです。

        これぞまさしくゴ○小説というか、ク○小説というか、ほんとうに読んでいる最中、その完成度の低さに呆れかえりました。
        怒りすら覚えたほどです。
        アマゾンのレビューなどで本作の評価が異様に高いのが不可解だし、なにか気味が悪い。
        情報操作されていてネガティブなレヴューが削除されているんじゃないのかと。
        いや、駄作。
        これはまったく誰にもオススメできません。
        ではそれはなぜかをレヴューすべきなのでしょうが、とてもとても。
        読書ログのみなさんに警報を鳴らすので精一杯です。
        ヘンに実力以上の評価を受けると、後がたいへんですね。
        薬丸さんに同情しますが、どこかで自分の力で軌道修正するしかないと思います。
        これは、読んじゃいけない本でした。
        >> 続きを読む

        2016/02/01 by 課長代理

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出版年月 - 2015年3月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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