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2018年10月発行の書籍

人気の作品

      沈黙のパレード

      東野 圭吾

      3.9
      いいね! pinkstar
      • ガリレオ再始動!
        「沈黙のパレード」読みました。

        言わずと知れた天才物理学者湯川教授シリーズ。
        前作を読んだのが数年前。
        正直ガリレオシリーズはそれで完結かと思っていたので、今回新たなガリレオ、もとい湯川教授や刑事の面々に再会できてうれしかったです。

        ===データベースより====
        突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気が覆う。秋祭りのパレード当日、復讐劇はいかにして遂げられたのか。殺害方法は?アリバイトリックは?超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川に助けを求める。
        ==========

        かんたんに真相をつかませてくれないのは期待どおり。
        そのひねりは一転どころか二転、三転…してくれる。
        ヘリウムとか液体窒素などの蘊蓄はさすがに工学部出身者。
        でも、この人の小説を読むたびに毎回必ず思うことがある。
        そういう知識、いったいどこから仕入れてくるの? なにをきっかけにその知識をこの小説に絡めようと思ったの?と。

        自らの推理で真相に行きつきながらも、ただ弾劾するだけじゃない、当事者たちに身の振りを委ねる湯川の姿勢に「容疑者Xの献身」が思い出された。

        このシリーズ、ただ長く続いているだけではない。
        ガリレオ先生も事件と時を経て、変化している。

        読後感がよい。
        「真夏の方程式」に通じる思いがあった。
        カタルシス、最高だ。

        「教授は本当はなにものなの? 探偵でしょ。エルキュール・ポワロみたいな」
        そんな軽妙な語りも楽しめる、読んでいる間はとても豊かな気持ちになれた本書でした。
        >> 続きを読む

        2020/01/26 by まみー

    • 他4人がレビュー登録、 12人が本棚登録しています
      妻のトリセツ (講談社+α新書)

      黒川 伊保子

      3.5
      いいね!
      • ベストセラーであるからして拝読。

        テレビやなんかでとりあげられていて内容もだいたいテレビで既出でした(;´Д`)

        おもしろおかしい内容ではありますねw
        参考に。。。

        (amazon)
        《40万部突破!》
        「徹子の部屋」「行列のできる法律相談所」「世界一受けたい授業」「ザワつく!金曜日」「スッキリ」
        「情報ライブ ミヤネ屋」「林先生が驚く初耳学!」「羽鳥慎一モーニングショー」「ノンストップ!」
        ほかテレビ・雑誌で大反響!

        理不尽な妻との上手な付き合い方とは。
        女性脳の仕組みを知って戦略を立てよう!

        妻が怖いという夫が増えている。ひとこと言えば10倍返し。ついでに10年前のことまで蒸し返す。いつも不機嫌で、理由もなく突然怒り出す。人格を否定するような言葉をぶつけてくる。夫は怒りの弾丸に撃たれつづけ、抗う気さえ失ってしまう。
        夫からすれば甚だ危険で、理不尽な妻の怒りだが、実はこれ、夫とのきずなを求める気持ちの強さゆえなのである(俄には信じ難いが)。本書は、脳科学の立場から女性脳の仕組みを前提に妻の不機嫌や怒りの理由を解説し、夫側からの対策をまとめた、妻の取扱説明書である。
        「妻が怖い」「妻の顔色ばかりうかがってしまう」「妻から逃げたい」という世の夫たちが、家庭に平穏を取り戻すために必読の一冊でもある。

        【本書の内容から】
        ◆妻の不機嫌や怒りの理由を、むやみに解明しない
        ◆妻は夫に問題解決を求めていない
        ◆妻は夫に共感してもらいたいだけ
        ◆地雷を避ける、会話の“黄金ルール”
        ◆「おうむ返し」で共感のフリをしよう
        ◆事実の否定は、心を肯定してから
        ◆妻を絶望させるセリフ集
        例1「今日何してたの?」
        例2「だったら、やらなくていいよ」
        ◆夫には見えていない家事がある
        ◆「~っぱなし問題」を放置するな
        ◆直感で決める妻、比較検討で選びたい夫の妥協点
        ◆メールせよ!「今、小田原通過。満席」
        ◆記念日を軽んじてはいけない
        ◆されど記念日の“サプライズ”は逆効果
        ◆「心と裏腹な妻の言葉」の翻訳集
        例1「勝手にすれば」→訳「勝手になんてしたら許さないよ。私の言うことをちゃんと聞いて」(「好きにすれば」は同義語)
        例2「どうしてそうなの?」→訳「理由なんて聞いていない。あなたの言動で、私は傷ついているの」
        >> 続きを読む

        2019/08/01 by motti

      • コメント 3件
    • 他3人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      ダンデライオン

      中田 永一

      3.7
      いいね!
      • 中田さんぽくない気がする。奇抜な設定を上手くまとめて終わった感じ。面白いが中田作品として期待して読むと物足りない。 >> 続きを読む

        2018/12/26 by tomolib

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      十二人の死にたい子どもたち (文春文庫)

      冲方 丁

      3.2
      いいね! Tukiwami
      • 廃病院に集まる子供たち。
        それは集団自殺をするためだが、集合場所に予定していない13人目の死体が置かれていた。

        ここから「十二人の怒れる男」のように議論が始まる。
        そもそもが12人以外いてはいけないわけで、その中でアクシデントのように1人の人間が消えたりする。

        各人の名前や理由がハッキリするとき、13人目の真相や残された謎を探偵役が推理して結論を出す。

        ラストの見解は予想できるけど、そこまでの過程を楽しむ作品であり、子供たちだからこその結論であると思う。
        >> 続きを読む

        2022/02/12 by オーウェン

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      探偵は教室にいない

      川澄 浩平

      3.7
      いいね! Tukiwami
      • 非常にユーモラスで斬新な作品ですね!

        第28回鮎川哲也賞受賞作である本作はいわゆる安楽椅子探偵ものというかワトスン役がいてそのワトスンから謎やその謎にまつわる情報などを聞いて推理するという流れ。その探偵鳥飼歩が学校に理由あって行っていなくワトスン役の幼馴染、海砂真史からのしばらくぶりの電話で探偵としての本領を発揮していく。

        謎は殺人事件などの凶悪なものではなく学校や友人間などで起こるささやかなものであり且つ歩の変人っぷりと真史の真面目で人思いの優しさが刺さる青春ミステリに仕上がっている。

        作品の雰囲気は「氷菓」と「名前探しの放課後」を足して2で割った感じとでも言うべきか。とりあえず文章が上手いのと独特の言い回しがなんとなく「氷菓」の奉太郎っぽいなあと思う。まあ、奉太郎よりかは歩は変人だしデリカシーないけれどね。

        読みやすかったし「氷菓」を読んでいて面白いと思ったのであれば十分楽しめると思います。あとは、出てくる登場人物たちに嫌悪感を示すか示さないかだけかな。若干人物たち、癖強いので。


        図書館でたまたま在荷であったので訪問看護で出掛けた際に寄ってもらって借りてきてちまちまと読んでいたらいつの間にか読み終わっていました。個人的には独特の言い回しや癖の強い人物たちには悪感情も悪印象も持たなく楽しく読めました。


        続編あったら読んでみたいかな。


        まあ、たまにはこういう作品もいいんでないかい(笑)


        今回も良い読書が出来ました!
        >> 続きを読む

        2019/08/01 by 澄美空

    • 他2人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      となりの脳世界

      村田沙耶香

      4.3
      いいね!
      • エッセイって小説家の素の部分が伺い知れる楽しみがあると思っている。
        特に小説が好きだと「どんな人かな」ってワクワクする。

        ただこの本の著者の場合はちょっと違う!
        小説がぶっ飛んでるから「どんな人かな」ってソワソワする!

        結果から言うと「ちょっと変わった人」くらいでホッとした。
        やっぱ小説がぶっ飛んでるからって作家がぶっ飛んでると思っちゃいけない。
        悪役ばかり演じている役者さんが実際怖い人ではない。
        ぶっ飛んでる小説を考えて書いているのだ。

        ちなみに自分と同い年だったのでさらに親近感沸いた。
        以下、備忘の為に印象に残った箇所を抜粋。
        ちょっと長くなってしまった・・・。


        小学生の頃、「どこで飲む水道水が一番おいしいか」と言い出した子がおり、
        お風呂で飲む水だという答えありきで多くクラスメイトの共感を得ていたことがあり、
        その時共感していた子が大学生になり、
        「彼氏が水道水を飲んでいる。カルキもあるし体に悪いからやめさせたい」
        と相談され、小学生の頃の話をしたら覚えていないとの回答でびっくり。


        高校の国語の教科書に寄稿した文章。
        自身が学生の頃は悩みがあって苦しかった時に「完全な大人」に相談したかったが叶わなかった。
        しかし、自分は今、その「完全な大人」にはなれていないという主旨。
        大人ってカンペキじゃない人も沢山いるし、自分もそうだと正直に告白する。
        社会や大人はカンペキじゃないから、子どもがピンチでも完全な救済手段が用意されていない場合も多いというのは高校生にこそ理解してほしいと自分も思うし、教科書にそういった文が掲載されるのはとても意義深いと思う。


        元々父方の遺伝で髪質が細く、色も薄かったのに、
        ある年齢になった時に髪が抜け始めて黒々とした太い髪が生えてきて
        その後はずっとその髪質になり、それは母方の遺伝。
        そういった変化が今後も起こるかもしれないと「楽しみにしている」そうで、そういったメンタリティーは見本にしたいと思う。
        自分の場合、巻き爪や頬にできる大きなシミが、突然一定の年齢になって遺伝を感じさせられた特徴なので、親に対する負の感情しかなかった。


        京都で小鼓を1日体験で習いに行った話。
        先生の言葉がとても印象に残った。
        「村田さんが来てくれて一番の喜びは、これで鼓を触ったことがない人が一人減ったということです。日本の楽器なのにドレミは知っていても小鼓のことはわからないという人が多い。鼓を触ったことのない人が減っていくというのが、自分の欲というか野望です」


        電車や車に乗って、窓の外を流れる景色を眺めているとき、
        屋根の上やビルの上、電線の上などを、ピョンピョン飛び越えながら、何かが走っている姿を想像して目で追いかけるという行為をしている人が著者含め一定数いる。
        友人が集まった時にアンケートを取ったら半々くらいだったそうだ。


        著者はスポーツを観戦する際、「右側」や「上側」にいる人/チームをなんとなく応援するという。
        前半後半があってコートが反対になると反対の人/チームを応援する。
        その理由に最近気づいたという話で、衝撃的な結末。
        これはネタバレになるので言えない。
        >> 続きを読む

        2022/03/10 by W_W

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      などらきの首 (角川ホラー文庫)

      澤村伊智

      3.5
      いいね!
      • 最近立て続けに澤村伊智の本ばかり読んでしまっている。それだけ何か魅力的な世界観があるとも言える。
        映画「来る」のビギニング的な小説で、比嘉まことと野崎が出会うオムニバス。野崎の若い頃の物語もある。
        表題となっている「などらきの首」も名前の由来が適当に思えながらも、「名のない」から来ているような不思議な後味のホラー小説だった。
        >> 続きを読む

        2020/01/15 by aka1965

    • 他1人がレビュー登録、 7人が本棚登録しています
      人間狩り

      犬塚 理人

      3.0
      いいね! Tukiwami
      • 20年前に起こした少年Aの未成年を惨殺したビデオ。
        その映像が流出して、監察班の白石は警察内の誰が流出させたのかを探ることに。

        一方カード会社のコールセンターの江梨子は、迷惑な客の素性を暴いたという闇サイトの存在を知る。
        そこで自身の正義感から接触を図る。

        当然二つの話はリンクしていくのだが、警察や法で裁けない事件を暴いていくサイト。
        倫理の壁を無視して、個人を裁いていくことへの是非を問う。

        正義なのか違法なのか。
        犯人は大体予想できるが、うまく煮え切らない終わり方。
        龍馬というキャラであれば続編は見たいかも。
        >> 続きを読む

        2019/05/01 by オーウェン

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

      斜線堂 有紀

      4.0
      いいね!
      • 【あなたは永遠に憧れの存在、だからこそ、死の執着に手を伸ばす】

        人気作家・遙川の失踪の痕跡を探っていくと、誰にも語られない一人の少女·梓が関わっていて、何故敬愛する作家を殺害するまでに至ったのか謎を究明する物語。

        憧れの存在にはいつまでも憧れで尊大な存在で居て欲しい。
        そう願ってしまうのは読者のエゴだろうか?
        そんなある種、盲目的な信仰をする事で悲劇的な掛け違いが起こる。
        日々、母親に虐待され絶望する梓と才能の枯渇に苦悩する遙川。

        そんな欠落を抱えた二人が出逢い、何が正解かも分からぬまま、破滅へと手を伸ばすのだ。

        >> 続きを読む

        2021/10/30 by ebishi

    • 他1人がレビュー登録、 3人が本棚登録しています
      異類婚姻譚 (講談社文庫)

      本谷 有希子

      3.0
      いいね!
      • ikipediaの純文学で例示されていた作品。短編集。表題作は夫婦が何気ない会話しながら顔のパーツが崩れていることに気がつくというのんびりしつつも妙なストーリーで、それはそれでいいのだが、文体が好みではないかな。読みづらく感じつつも読破した。
        >> 続きを読む

        2020/01/26 by 和田久生

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      東京輪舞

      月村 了衛

      4.0
      いいね!
      • 月村了衛の「東京輪舞」は、ひとりの公安刑事の目を通して、現代日本の裏面史を描く警察小説だ。

        物語は、昭和四十九年初夏、時の内閣総理大臣である田中角栄が、ある病室を訪ねるところから始まる。
        病人の名は、砂田修作といい、田中邸の警護に当たっていた最中に、不審者と格闘し、負傷したのだ。

        いち巡査に過ぎない自分を、わざわざ見舞い、温かい言葉をかけてくれる田中に、敬愛の念を砂田は抱いた。

        その一年後、警視庁公安部に配属された砂田は、CIAから要請された任務に就く。
        それは、ヘンリー・ワイズという元ロッキード社員の身柄を確保することだった。

        実はこの任務こそが、昭和から平成に渡る暗闘の始まりであった-------。

        ロッキード事件、ソ連崩壊、地下鉄サリン事件など、昭和と平成、二つの時代を騒がせた大事件を題材に取りながら、作者の月村了衛は、虚実ない交ぜの壮大なクロニクルを作り上げていく。

        田中角栄を含む実在の人物が、多く登場することが特徴で、中には読んでいるこちらが、どきりとさせられるくらい踏み込んだ人物評が披露されることもある。

        その迫真性が、この作品は「今、ここ」で生きる私たちの物語である、という強い思いを生むのだ。

        第一章で砂田が出会う、運命の女性とのドラマもまたほろ苦く、忘れ難い印象を残してくれる。

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        2021/01/24 by dreamer

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      神さまを待っている

      畑野 智美

      4.0
      いいね!
      • 内容紹介-------------------------------------------------------
        誰にも「助けて」と言えない。
        圧倒的リアリティで描かれる貧困女子の現実。


        文房具メーカーで派遣社員として働く二十六歳の水越愛。
        派遣期間の終了とともに正社員になるはずだったが、
        会社の業績悪化で職自体を失う。
        失業保険を受けながら求職活動をするがうまくいかない。
        家賃よりも食費を選び、ついにホームレスになってしまう。

        漫画喫茶に寝泊まりしながら日雇いの仕事でお金を稼ぎ、
        また前の生活に戻ることを目指して日々をやり過ごす愛だったが、
        同じ境遇の女性に誘われ「出会い喫茶」に行くことで、自意識が揺らぎはじめる。
        生きるために「ワリキリ=売春」をやるべきなのか。
        ここまで追いこまれたのは、自己責任なのだろうか。

        普通に大学を卒業し、真面目に勤めていた女性が、
        またたくまに貧困に呑み込まれていき、抜け出せなくなる。
        貧困女子に必要なのは、お金だけなのか?
        自らの体験をもとにした、著者渾身の長篇小説。
        ------------------------------------------------------------

        正直なところ、この本だけでは「日本の若い女性の貧困」というものが特別なことだとは感じられなかった。
        男性の貧困と大きくは変わらない。

        私(男性)も学生時代に就職活動をしていて、少しだけ貧困に近づいたことがある。
        当時、私は地元を離れた地方の大学に通っており、地元か東京で就職することを考えていた。
        そのために親に頭を下げて、東京に友人とルームシェアする部屋を借り、東京と地元と大学を飛行機で行ったり来たりする生活を約半年間続けた。
        しかし、仕事はなかなか決まらなかった。
        東京での家賃や生活費、就活のための交通費やスーツ代等、大学へ通うために借りたアパートの家賃もかかっている。
        大学は奨学金で通っていて、利子を含めた返済の義務がある。
        国民年金は学生納付特例制度を使っていて払っていない。

        大学に通わせてくれて、就職活動にも協力的でお金も工面してくれる両親がいることはとても恵まれたことだとはわかっているが、この段階に至ってはもうそんなことは関係がなかった。
        これ以上は親に迷惑をかけられない。
        妥協してでも早く仕事を見つけるべきだ。
        しかし、奨学金や親に出してもらったお金、これまでにかけた労力を考えると、安定した就職先への望みを捨てきることができなかった。
        ルームシェアをする友人が大手企業の内定をもらったという報告はさらに私を焦らせた。

        ルームシェアをする友人がいなくなり家賃の負担が増すため、仕方なく部屋を引き払ってネットカフェでの生活を始めた。
        2000円くらいのナイトパックを利用し、他の利用者の騒音に耐えながら狭い個室で眠り、早朝に店を出て駅のロッカーに荷物を預け、商業施設のトイレで時間を潰してから面接に行っていた。
        東京や地元への移動が必要な時は、就職する気もない企業の面接を交通費が支給されることを目当てに受けていたため、不必要に過密スケジュールだった。
        午前、午後、夕方、夜と1日に4社の面接を受けたこともあった。

        この時の私には、やりがいのある仕事に就いて充実した生活を送るというような就活サイトで喧伝されている希望はなく、このまま就職できなかったらどうなるのかという不安しかなかった。
        仮に就職できたとしても、十分な賃金を得られず結婚したり趣味に生きることは夢のまた夢で、そのくせ労働時間は長時間縛られて土日の休みもないような仕事に就くのだろうと絶望していた。

        その後、東京よりも就職活動のタイミングが遅い地元での就活が始まると、それまでの面接の経験が活きて、なんとか内定を得ることができた。
        しかし、いくつもの企業を受けた割に何社も内定を取ったわけではないため、取るべくして取った内定という気がしなかった。
        就職できなかった未来もあったと考えると、貧困一歩手前だったように思う。

        この状況は男女問わず起きるし、その先の貧困に足を踏み入れたことを想像してみても、男だから女だからということで苦しさに違いはない。

        もちろん、女性の採用率とか待遇の違いといった問題はいまだにあるかもしれないが、今の日本では男だからといって満足のいく待遇で働けている人は少ない。
        特に若者は男女ともに裕福ではない。

        本書に登場する女性たちは貧困に堕ちた先で自らの体を売って生活している。
        男であれば野垂れ死ぬしかないところを女だから生きることができていると言われても仕方がないし、自らその地位を貶めている。
        これでは、女性の貧困を特別視することは少し難しかった。

        しかし、特別視はせずとも、「女性の貧困はどういうものか」を描いた作品としては素晴らしい出来だった。
        主人公の愛は職と家を失い、普通の生活とは言えない貧しい生活を送っている。
        ただし、完全に貧困に堕ちて体を売る女性たちの仲間にはならずに、ぎりぎり元の生活への望みを繋いだまま生きている。
        この境界線にいる愛には、一般の人から見た貧困層も、貧困層から見た普通の生活も捉えることができていて、うまく作られているなと感じた。

        また、男として気になるシーンがあった。
        愛は特別美意識が高いわけではないが、ネットカフェでの生活や栄養の少ない食事を続ける間に、肌の劣化や衰えを感じるようになる。
        しかしある時、愛の通う出会い系喫茶に優しい男が現れ、愛の洋服や美容室でのカット・メイクをプレゼントしてくれた。
        愛はセットの終わった自分の顔を鏡で見て驚く。

        ここは男性の感覚で言うと、とてもきれいに飾りつけられた自分を見て喜ぶシーンだ。
        しかし、実際は違う。
        愛は自分がきれいになっていないことに驚いていた。
        栄養不足などによる肌質の変化はもちろんだし、貧困生活の中での顔つきの変化はしみついていて、そう簡単には取れない。
        特別美というものにこだわりがなくとも、多くの女性はこういう感じ方をするものなのだろう。

        貧困そのものには男女で大きな違いがなくとも、女性は貧困の中で何を辛いと感じるのか、どういうものに安らぎを得るのかについては男女で感性の違いがあるなと思った。

        >> 続きを読む

        2020/03/05 by しでのん

    • 他1人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      凜の弦音

      我孫子武丸

      3.5
      いいね!
      • 弓道場での殺人事件を関係者にしかわからない知識でずばっと解決したことから名探偵扱いされる主人公。さすがに刑事事件が続くわけもないが、日常の謎をどんどん解いていくのは気持ち良かった。弓道の所作とか試合展開とか初めて知ることが多く、部活ものとしても面白かった。 >> 続きを読む

        2019/02/02 by tomolib

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      日本が売られる (幻冬舎新書)

      堤 未果

      3.3
      いいね! Tukiwami
      • どこまで都合の悪いことを知らせないのか?
        また、マスメディアも伝えないのか?
        まさに、最近の政治・官僚の相合がそう。
        理屈にもならないことで、逃げきる姿勢。
        一方で、数の論理だけで突き進む。
        この国には、心が無くなってしまったのかと思う。
        これでは、命が守れないし、格差は拡大する一方だ。
        >> 続きを読む

        2020/03/22 by けんとまん

    • 他1人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      許せないを許してみる 籠池のおかん「300日」本音獄中記

      籠池 諄子

      4.0
      いいね!
      • 逮捕前の言動や思想信条がまったく共感できなくて、ヘンな人だなぁと思っていました。しかし、逮捕され、獄中記を出したということで、興味がわき、読んでみました。
        一番強く感じたのは「信念の人」だということ。夫や家族への深い愛情、子どもの教育に対する熱い想いは何よりもまっすぐです。でも、この本に何度も出てくる「国のため」の文字。この大義名分な所が権力を持つ側に利用され、踊らされ、捨てられるもとになるのでは、と感じました。信念を貫き通すのであれば、戦い方を考えないと・・・と余計なことを思ったりして。今後の裁判の行方は興味があります。

        >> 続きを読む

        2018/12/25 by かんぞ~

    • 他1人がレビュー登録、 2人が本棚登録しています
      日本昭和トンデモ児童書大全 (タツミムック)

      中柳 豪文

      3.0
      いいね! Tukiwami
      • 懐かしい~! 1970年代に出版された児童書の中でもオカルトやミステリー、世紀末を扱った本の数々。当時は大人気で学級文庫にも何冊かあった気が。なんといってもおどろおどろしい挿絵が決め手で面白さの中に怖さがあるのがミソ。トラウマになった絵や写真もあったなぁ。テレビでもこのような特番が多かったけど、今じゃ無理でしょうね。嘘を嘘として楽しむ余裕がないから。 >> 続きを読む

        2019/01/05 by かんぞ~

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      すいません、ほぼ日の経営。

      川島蓉子糸井重里

      4.5
      いいね!
      • 感想をブログに書きました。
        https://richterminal.com/hobonichimanagement/ >> 続きを読む

        2019/11/19 by Brave

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      町自慢、マンホール蓋700枚。

      池上修池上和子

      4.0
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      • 匿名

        2018/10

        2019/02/21 by 匿名

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      好日日記―季節のように生きる

      森下 典子

      4.3
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      • 「日日是好日」もとても良かったので、その続編のようなものかと思い、図書館で借りてみることに。続編というか、「日日是好日」の映画化が決まった時に、これまでの日記を見返して本書をまとめたということ。

        日本の四季はこんなにも美しかったんだ、と改めて気づかされた。毎日毎日バタバタと慌ただしく、今日もどうにか時間内にすべてが済んだと思いながら生活する日々・・・季節のように生きるなんてとんでもない、と思ってしまうけれど、そんなことない、と本書は教えてくれている気がする。ふとした瞬間に季節を感じることは誰にでもあるはず。それを大切に心に留めるかどうか。
        森下さんのように季節を丁寧に感じられる感性を持っていきたいと思った。
        それから、森下さんにとってのお茶のようなものがあればな~と羨ましくも思った。それを見つけるのも自分の感性次第。

        この本は、手元に置いておいて、季節の折々にその時期の頁を読みたいと思った。そして、
        季節ごとに名前がたくさん出てくるけれど、恥ずかしながら全然わからなかった草花を少しづつ知っていきたい。

        あ、それから、森下さん自身による挿絵も素敵だった!こんな絵をちょちょちょっと描けるようになりたい。
        >> 続きを読む

        2021/10/07 by URIKO

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      論破力 (朝日新書)

      ひろゆき

      4.5
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      •  2チャンネルやニコニコ動画の開発者のひろゆきこと西村博之さんが討論バラエティー番組などで培ってきた議論に勝つメソッドをまとめた一冊です。討論バラエティーの中で意識して使っていた方法というよりも、ひろゆきさん自身の普段の人との話し方がわりとここで紹介されている議論のやり方のモデルケースになっているようです。
         論破という単語自体がとても2ちゃんねるっぽいですね。「はい論破」って感じの書き込み結構見ました。ひろきさんの論破のやりかたは、ざっくりいうと相手の上げ足をサクッと取っていくことです。相手の論理のアラを探したり、そもそも論に持ち込んだりという汚い手を多用しています。そして相手が閉口するまで追い込むのです。サイテーですね。
         ただ、僕は彼がそうやって論破していく姿をなんとなくスカッとする、気持ちのいいものだと思っています。それはわりと爽やかな喋り方であったり高圧的な態度に出ることがないという姿勢も一因としてあるとは思いますが、最も大きな要因はひろゆきさんがあまり他人と利害関係のない立場から物事を述べているからなんだと思います。
         だいたい討論番組に出てくるコメンテーターや政治家は自分の支持する政党やテレビ局やスポンサー企業なんかの不利になるようなことは口にしません。心の中で不利になると思っていても、なんとか持論をこねくり回して正当化しようと試みます。そこに論理のアラが出てしまうんです。
         ですが、ひろゆきさんは世の中の利害関係からはかなり距離をおいているように見えます。もちろん彼と仲のいい著名人の方もいるのでその人を悪く言ったりするようなことは言いませんが過剰に肩を持つということもしているようには見えません。彼はどんな議論や討論も純粋にゲームやバラエティーとして楽しめるというかなり特殊な立場の人間なのです。
         日本を離れフランスに住み、お金を手に入れる仕組みも自分である程度確立できている。それでいて大きく稼いでいこうとはしないという世捨て人のような生き方をしています。いわば現代の仙人のような人間なのです。
         我々は世の中のしがらみに目いっぱい捕らわれているのでとてもひろゆきさんのような討論のやり方をそのまま踏襲することはできません。しかし応用は効きます。会社の会議などがそうです。会議というものは往々にして非生産的でありとりあえずの解決策を出して中途半端に満足してしまうことが多々あります。そんな会議を有意義にそして簡潔にするために彼のような物事の考え方は役に立つのではないでしょうか。
        「そもそもその主張自体が間違えているんじゃないか?」
        「それは明確な根拠ではなくて、誰かの感想じゃないのか?」
         会議の議題が煮詰まっているころで、あたかも世捨て人の傍観者のような気持ちで議論の流れを見つめてみると本当に話し合うべきこと出すべき結論は何なのかが見えてくるかもしれません。
         会議の中で多数派に対してとにかく批判的なことをいう人間を悪魔の代弁者と言います。同調圧力が生じて議論がうまく機能しなくなったときに悪魔の代弁者が議論の場を健全化させるのです。ひろゆきさんの論破のメソッドは悪魔の代弁者のいいお手本なんだと思います。
         かのケネディ大統領もキューバ危機の際には自分の最も信頼できる人間に悪魔の代弁者の役を担わせて対策会議のメンバーの中に加えたと言われています。もしかしたらひろゆきさんのような人が地球を救うのかも?
         議論の場だけに限らず頭の片隅にこのような考え方を持っていると、自分の持つ執着や社会の因習を断ち切る力になりうるかもしれません。
        >> 続きを読む

        2019/03/06 by Nagatarock

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出版年月 - 2018年10月発行,出版の書籍 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

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