こんにちはゲストさん(ログインはこちら) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト →会員登録(無料)

今月の課題図書をみる

2020年12月の課題図書


2020年12月の課題図書はマーク・トウェインの「トム・ソーヤーの冒険」です。

寒くなってきましたが今月も読書で心に栄養を。
子どもたちへ、そしてかつで子どもだった大人たちへ。

2020年もご利用有難うございました!

Book Information

トム・ソーヤーの冒険

4.5 4.5 (レビュー4件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 620 円
いいね! el-j

    レビュー

    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 5.0

      マーク・トェインの『トム・ソーヤーの冒険』は、小さい頃アニメ化されているのを見た。
      それから随分時が経って、ふとマーク・トウェインに興味を持って、今更ながらしっかり読んでみた。

      読んでいて驚かされたのは、とても文章がvividといえばいいのだろうか、生き生きしていて溌剌としていることである。
      読んでいて何度も笑わされるし、面白い。

      1830~40年代頃の、アメリカのミズーリ州の田舎町が舞台。
      子どもたちの今も昔も変わらないおかしな様子や、大自然の中での日々が、限りなく生き生きと描かれている。
      こじんまりとした町は、窮屈な面もある一方で、何かあればまとまる良き共同体でもある。
      大人たちも滑稽な面もあるけれども、それなりに大人として頼りになるところもあるし、子どもたちへの深い愛情がある。
      子どもたちも、無鉄砲で馬鹿げたことばかりやる半面、とてもかわいらしい面もある。

      なので、昔アニメを見ていた時はそう思ってみていたのだけれど、表面的に見れば、この作品は何の屈託もない明るい少年の楽しい生活を描いた文学作品、ということになるのだろう。

      しかし、先日、マーク・トウェインの『人間とは何か』を読んだ上で見てみると、若干違う見方ができる気がする。

      『人間とは何か』に現されたような、マーク・トウェインの人間への悲観的なものの見方や、人生や人間のどうしようもない部分への洞察は、一説にはトウェインが他人の膨大な借金を背負うことになったことがきっかけだったという。
      しかし、もう一説には、そのずっと以前、人生の出発点の頃から、もともとそういう性格があったという見方もあるそうである。

      もし後者の立場に立つのであれば、『トム・ソーヤーの冒険』は、決して屈託ない明るい人物が描いた作品ではなく、世の中の矛盾や人間のどうしようもなさをよくよく見つめていた人が描いた作品であったとして読むべきなのかもしれない。

      『トム・ソーヤーの冒険』は、1876年に完成しているが、作品の舞台はその三~四十年前とされている。
      この間にアメリカにあった大きな出来事は、もちろん南北戦争である。
      南北戦争では、六十万人以上が死亡。
      当時のアメリカの人口はおよそ三千万人だから、だいたい五十人に一人は死んでいるわけで、家族親戚や知人友人の誰かは誰でも死んでいたことだろう。
      それに、南北戦争後は、世の中は資本主義化や都市化が進んだり、田舎では物騒なKKKの暴力が吹き荒れたり、戦争の傷と合せて、とてものどかとはいえない世の中に急速に変わっていったようである。

      マーク・トウェイン自身も、南軍の兵士として一時期従軍し、ケガを理由に半ば脱走に近い形ですぐに戦線を離れているようである。
      南北戦争後は、社会を覆う金権体質を痛烈に風刺した作品も書いたそうだ。

      なので、そうしたことを考えれば、『トム・ソーヤーの冒険』に描かれる明るく楽しい世界は、もはや失われたもので、失われものだからこそ、なおのこと美しく透明に描かれていると言えるのかもしれない。

      ルノワールは、人生はあまりにも悲惨なのでせめて絵だけは美しく幸せなものを描きたい、と言ったという。
      マーク・トウェインも、若干似たような気持から、わざと明るい世界を作品では描いたと思う。

      実際、『トム・ソーヤーの冒険』の主人公のトムは、母親はすでに亡くなっていて、母の姉のポリー伯母さんに育てられている。
      父親も一度も登場しないところを見ると、どうもすでに亡くなっているらしい。
      しかも、弟のシドは、母親が違うという設定である。
      親友のハックは、トム以上に家庭的には恵まれず、父と母はいさかいばかり以前していたことと、今はほとんど浮浪者同然に暮らしていることが語られる。

      しかし、トムもハックも少しもわが身の不幸を嘆くことは一度も無く、いたって明るく楽しく日々を過ごしている。
      それは、ポリー伯母さんなど周囲の大人たちがしっかり愛情をそそいでいることもあるかもしれないが、人生がどうしようもなく寂しいものであったり、どうにもならないことがあることもわかっているからこそ、一々そうしたものを嘆くこともなく、ひたすら明るく過ごすというのが、トムやハックの性格ということなのだと思う。

      そうした観点から読むと、この作品の明るさは、より一層胸に迫るものがあると思う。

      また、この作品には、あまり多くは登場しないのだけれど、何カ所か黒人奴隷が登場する。
      しかし、南部のプランテーションと違って、西部なので家の使用人といった感じだったようである。
      ハックはその中の一人と友人であることも作中に語られる。
      あまり多くは語られないが、ハックらの子どもにとっては、あまり奴隷制の問題などは意識されないと同時に、屈託なく友達として過ごす一方で、そのことに若干世間の目を意識すると誤解を受けるかもしれない心配をしているところも微妙に描かれている。

      黒人奴隷以上に、この作品でもっと前面に出てくるのは、インディアンと白人の混血の出身で、かつてひどい目に遭わされたことから復讐を目指しているインジャン・ジョーである。
      インジャン・ジョーをどう見るかで、この作品の読み方はだいぶ変わってくるのかもしれない。

      はっきりとは書かれないが、洞窟の中で、トムをインジャン・ジョーが見つけたけれども、襲って来ず、別のところにインジャンが逃げて行ったこと。
      そして、インジャンが洞窟に閉じ込められたことをトムが驚いて大人たちに知らせることは、深読みをすれば、インジャン・ジョーが子どもには危害を加えない優しい存在であることと、トムもそれをわかっていたということなのかもしれない。

      そして、インジャン・ジョーがあのように怒り、非業の死を遂げざるを得なかったことに、本当は、もっと時が経てば、その当時はただ怖かっただけかもしれないけれど、トムたちも心の痛みを覚える時が来るのかもしれない。
      その含みも、この作品には、深読みをすれば、あるのかもしれない。

      一般的には、『ハックルベリイ・フィンの冒険』の方がマーク・トウェインの作品としては文学史上の評価は高いようだし、単に一般的には明るい児童文学として読まれることが多いようだけれど、深読みするとまた違う相貌が『トム・ソーヤーの冒険』にはあるのではないかと思えた。

      あと、この作品を読んでいて、心に残ったのは、以下の文章。

      「こうして二人はまた動き出した―あてもなく―まったく当てずっぽうに―とにかくできるのは動くこと、動きつづけることだけだった。
      少しのあいだ、希望が蘇ったように思えた。
      それを支える根拠はなかったけれど、希望とはそういうものだ。
      人が歳をとり、挫折に慣れっこになってしまってその弾力が潰えてしまわぬかぎり、希望はいずれまた息を吹き返す。」

      これは、単なる楽観や楽天でもなく、かなりペーソスが入っていながらも、なお希望を不思議と人の心に呼び起こしてくれる、そんな文章だと思う。
      >> 続きを読む

      2013/03/28 by

      トム・ソーヤーの冒険」のレビュー

    • アニメ版の印象が強いので、この表紙はニセモノ!って思っちゃいました(笑)

      2013/03/29 by カカオ

    • <chaoさん

      ぜひぜひ^^


      <makotoさん

      本当ですよね!^^


      <カカオさん

      アニメ版の印象は強いですよね~^^
      >> 続きを読む

      2013/03/29 by atsushi

    • 評価: 4.0

      1830年~40年代
      作者マーク・トウェインの育ったミズーリ州の村ハンニバルをモデルとした、セントピーターズバーグとその周辺の物語。
      あとがきに書かれているように、南北戦争後(1865年)、アメリカ全体の都市化・工業化が急激に進んでいった背景と合わせて読むと、この数十年の変化は興味深いものがあります。
      続けて言葉を借りると、物語は時代の「ややこしさ」が訪れる前のシンプルな日々が描かれています。

      昔何気なく読んでいた本書ですが、別の角度から見ると新たな発見がありますね。
      そして、それを楽しめるようになったのも嬉しい。

      幼い頃は、トムが企てるたびに大人に怒られるのではないかとハラハラしていました。
      成功するとワクワクが止まらなかったり。
      この落ち着きのない腕白な男の子に、なぜか感情移入してしまっていたのです。
      私はもちろん性別も違うし、おとなしい子だったのにね。
      根本的には違っていても、要所要所に出てくる子供らしい感性がぴたりと当てはまったのだと思います。

      今回の感想は、やはり大人側の立場として感じるところが多かったように思います。
      一番変わったのは、ポリー伯母さんの愛情を強く感じたこと。
      記憶の中の伯母さんは、どちらかというと「大人ってずるいな」と印象を持っていたのですが、なんだか気の毒になるほど振り回されていて。
      おそらく、シドが割った砂糖壺をトムがやったと勘違いした場面が、ずっと記憶に残っていたのだと思います。
      「でもきっと撲たれて当然だったんだよ。どうせあたしがいないあいだ、何か別の悪さをしてたに決まってるよ」
      なんて理不尽な言い分!私は絶対こんな大人になるもんか。なんてね。
      今は伯母さんの悲しみや後悔の気持ちの方が伝わってきます。

      素敵な少年時代を過ごした彼らがどのような大人になったのか。
      それを想像するのも楽しいですね。
      >> 続きを読む

      2016/08/21 by

      トム・ソーヤーの冒険」のレビュー

    • こんにちは!
      レビュ読んでいて、やっぱ女性の方は、登場人物でも同性の動きや言動に無意識により、強く意識的に見てるのかな~なんて思ったりもしました。
      自分は男性なので、このレビューを読んで、ポリー伯母さんや大人の理不尽なども感覚として読んでいて思ったんだろうけど、男だからか、どうしても、読了後の余韻には、冒険している時の感情やら、仲間内での海賊していた時のいざこざなど、男性目線的なものがあるのかな~?!なんておもったりもしましたね!

      って、感じで、レビューのコメント書いていますが、

      こうして同じ本一つとっても、いろいろな目線や意識やインパクトに残ったシーンなど、いろんな感想が聞けて、とても有意義なSNSだな~とも思いました!
      >> 続きを読む

      2020/08/01 by ジュディス

    • ジュディスさん
      こんばんは~☆
      男性目線とあ女性目線では違った見方になるのはおもしろいですね!
      トムやハックの冒険もわくわくしながら読んでいましたが、ポリー伯母さんのトムへの愛情が一番心に残りました。

      しかし、ちょうど4年前の夏のレビューでびっくりしています。そんなに時が経っていたとは…!美空さんや月うさぎさんたちと交わしたコメントも、おもしろく読ませてもらいました♪
      やはり読書ログって楽しい!
      >> 続きを読む

      2020/08/01 by あすか

    • 評価: 5.0

      暑い!
      外も桁外れに暑いが、本の内容も熱かった!

      トムソーヤーの冒険。

      面白かった~

      まさに夏に読んでほしい一冊。

      少年と言うか男心のくすぐる、冒険小説!

      自分も読んでいて、ワクワク、ドキドキ、童心に帰れたし、大人な今でもピュアでいたいといつも意識している分、とてつもなく面白かった!

      結構、本の厚さ以上に、物語の内容は濃い。

      内面の感情やら、善悪やら、プライドやら何やらかんやら・・・色々自分なりのキーワードがあっちこっち散りばめられている。

      自分の家の近くの川、公園に、そんなトムソーヤーのような雰囲気の場所があっていつもそこウォーキングしているんだけど、自分もなんか冒険したくなるな~

      小学生の頃、放課後、人のいないボロ屋敷に探検に行った事思いだした。あんときはマジだったもんな~

      今もでも、そんなあの頃のピュアはもっているつもりだよ!
      >> 続きを読む

      2020/08/01 by

      トム・ソーヤーの冒険」のレビュー

    • >今もでも、そんなあの頃のピュアはもっているつもりだよ!

      この本は読み途中ですが、正にこの気持ちを思い出させてくれる本ですよねー。
      たまにはいつものウォーキングコースを外れて気の向くまま冒険するのも楽しそうですね。

      あの頃のように遊びまくりたい!
      >> 続きを読む

      2020/08/01 by 豚の確認

    • >iceさんへ!

      おはようございます!
      いや~iceさんのおっしゃる通り、魅力的な男性にはそんな純粋な少年の心がいつまでも輝きもっているんでしょうね~
      自分もそんな大人を日々意識しています!

      >豚の確認さんへ!

      はじめまして!
      うんうん!たしかに、たまには道それて冒険してみようかな~
      川見てて、多分泳いだら、汚そう。。。とも思ったけど、あの時代はもっと綺麗でそんな自然を今失ったんだな~とも読んでて、思ったですね~

      たまに自転車で、いろいろ街中や住宅地を散策していたら、車からは見えない景色に、「あっオレ今冒険している」なんて思った事ありました!
      >> 続きを読む

      2020/08/02 by ジュディス

    • 評価: 4.0

      以前、簡単な英語で読んだので、元の完全版を読んでみました。

      大人にも読んでほしい、というか大人向けの少年冒険小説?

      危ないこと、悪いこと、ダメだって言われるとよけいにやってみたくなるだよね。

      海賊になった自分やあれやこれや、思いきり妄想して、夜中に家を抜け出したり、川をいかだで下ったり、、、楽しそうなことを思いついたらじっとしていられない。やらなくちゃいられない。でも好きな女の子には素直になれない。

      悪い子じゃないんです。ただ、じっくりものを考えられない。でもそこがいい。幽霊はコワイ・・・ いろいろな迷信にビビり、というかよく分からない。

      これが、子ども、男の子、、、だね。
      心はまっすぐ。素朴で無垢な田舎の少年。

      やんちゃでいたずらっ子、大胆で大きな事言うけど、悪態はつかないし、かわいいもんです。

      現代のやんちゃはどうかな?
      めげずに明るく元気に行こう!
      夏休み、ちょっと冒険してみる?
      >> 続きを読む

      2016/07/19 by

      トム・ソーヤーの冒険」のレビュー

    • 実はちゃんと読んではいないのですが、幾つになっても男の子としての冒険心は持っていたいなぁと思っております。 >> 続きを読む

      2016/07/19 by ice

    • 表紙のペンキ塗りのシーンは英語のテキストで読んだことがあります。
      これらの作品は翻訳が古いことも多いので原語で読むのはいいですね。
      とはいえ、子供の本ならしごく簡単という訳にもいかないことが多くて…。
      日本ではトム・ソーヤの方が圧倒的に有名ですが、トゥエイン自身は、ハックルベリー・フィンの方をより愛していた気がしませんか?
      >> 続きを読む

      2016/07/21 by 月うさぎ

    この本を本棚に入れている会員

    トムソーヤーノボウケン 
    とむそーやーのぼうけん

    今月の課題図書をみる - トム・ソーヤーの冒険 | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト

    会員登録(無料)

    今月の課題図書
    読書ログってこんなサービス
    映画ログはこちら
    読書ログさんの本棚

    レビューのある本

    最近チェックした本