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2014年02月の課題図書

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2014年02月の課題図書


去年はアルベール・カミュ生誕100周年でしたね。

窪田啓作氏が翻訳した新潮文庫の
「きょう、ママンが死んだ。」という冒頭だけは聞いたことあるという方も
多いのではないでしょうか。

アルベール・カミュの代表作の一つである「異邦人」を読んで
みんなで意見交換しませんか。

Book Information

異邦人

4.1 4.1 (レビュー13件)
著者: カミュ
カテゴリー: 小説、物語
定価: 420 円

When a young Algerian named Meursault kills a man, his subsequent imprisonment and trial are puzzling and absurd. The apparently amoral Meursault--who puts little stock in ideas like love and God--seems to be on trial less for his murderous actions, and more for what the authorities believe is his deficient character.

いいね! Minnie chao Pettonton Outsider

    レビュー

    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      たまには名作でも読んでみようと手に取った「異邦人」は、裏表紙にて以下のように紹介されていた。

      「母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑い転げ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、不条理の認識を極度に追及したカミュの代表作。」

      ということで、社会性のないニュータイプの男の物語かと思いきや、ムルソー側の視点で出来事を眺めていくと、論理的に一貫している世界というものが、ある種の人間性からどれだけ乖離しているかが浮かび上がってくるお話と読めた。


      子供の頃、何かをしでかした時に、「何故こんなことをしたのか?」という叱り方をする大人がいた。理由など思いつかず口籠っていると叱られ、やっと口にから出た言葉は遮られ、用意された答えに辿り着くまで延々とこれが繰り返されることで、社会には「正しい(=意味のある)動機」なるものが存在することを悟り、上手く生きていく術を知っていくこととなった。
      また、ポジティブな人間的要素を獲得していく時にも、不明瞭な動機が一定の方向に褒められることで「正しい動機」に形作られることがあった。

      このようなことは誰にでもあって(多分。。)、形にならない(純粋な)動機を持って生きることに合理性を認めなくなると、大人になるための内面的なイニシエーションとして、自他に対し社会的に説明できる動機以外は認めないようにそれらを抑圧していき、遂には自分の内面の説明不可能なものを自覚できないようになっていくこともありうる。

      それとは逆にムルソーは社会的構築物としての感情が欠落しており、シチュエーション毎に割り当てられているはずの振る舞い方に寄り添わない。なので、母親の葬式からも心理的に疎外され、恋人からの愛の確認にも応えない。
      つまりはその場その場の生の感情だけがムルソーの行動基準なのであり、社会的に獲得すべき感情や行動では説明できない未分化な人間性を抱えて生きている。

      それが故にムルソーは「太陽のせい」で人を殺すことになる。
      そして、裁判の過程で社会的構築物である正義や倫理、また、神との乖離が決定的になることにより、本来恐れるべき死刑に対して自分の本質と周りの世界との不一致(=解放)の極致を見出し、幸福の内に死を待つ境地に達する。


      自分としては、ムルソーにシンパシーを感じる面もあり、また今まで他者をムルソーにしてきた覚えもあるので、非ムルソー的な人間(=不条理と一体化した人)を悪にしてしまうこともできずにいるが、もしムルソー的人間が不条理を抱えずに生きていく社会を志向するとすると(カミュはそんなに甘っちょろくなかったのだろうけど)、他者の中にいるムルソーにもっと光を当てるべきなのだろうと思う。
      そして、自分の中のムルソーに光が当たることを期待してはいけないのだとも思う。
      >> 続きを読む

      2012/09/08 by

      異邦人」のレビュー

    • 逆に言えば、ムルソーのような存在が理解できない社会が、彼を一方的に裁くのでしょうね。たしか「ムルソー」という名前は「海+太陽」をもじった言葉であると聞いたような聞かないような・・・ >> 続きを読む

      2012/09/21 by iirei

    • >iireiさん
      >逆に言えば、ムルソーのような存在が理解できない社会が、彼を一方的に裁くのでしょうね。
      そう考えると、社会から一方的に裁かれるムルソー的な要素に、頑張って何らかの光を与えるのが文学の一つの役割なのかもしれませんね。
      何といってもムルソーはあんまり社会の役に立たないですし(笑)

      ただ、ムルソーというネーミングが、人間にとってムルソー的要素とは海や太陽のようなものだという意味合いだったとしたら、よりやるせなさを覚えます。。
      >> 続きを読む

      2012/09/23 by Pettonton

    • 評価: 5.0

      人生において最も影響のあった小説を3つあげろと言われたら
      この作品を選ばないわけにはいかない。
      何度か、節目節目に読み返してきた小説。
      レビュー300冊目は「異邦人-L'Etranger」!

      「母の葬儀で涙を流さない人間は、すべてこの社会で死刑を宣告されるおそれがある」
      というカミュの主張は、象徴として正しい。

      初めて読んだのは15歳の時。
      話のあう友人に勧めたら「この話はわからない」と言われた。
      この作品の良さを、わからない人に伝えるのは非常に困難だ。

      この小説を通して、不条理という言葉を学んだのだが、
      何度も読むうちに今では、カミュが描いたのは、不条理に満ちた社会への不満ではないと
      信じるようになっている。

      ムルソーは感情も実態もある人間なのだ、ただ彼が嘘をつかないだけなのだ。
      言い訳をしない、事実に必要以上の価値を付け加えない、今のリアルを最も大切にする。

      その点でサルトルの実存主義文学とは大きく異なるだろう。

      サルトルは意味のないところに真の存在を発見しようとする。
      カミュは意味のあるものと無いものという区分けを排除する。
      世界は人間の意味付けなどと無縁に存在しているのだから。
      そして私はカミュに強く同感するのだ。

      20歳の時に再読した時のメモがある
      『この小説はなぜか心をひかれる。
      私は、この主人公、ムルソーがどことなく親しい人間に思えてならない。
      なぜだろう。
      この、本来なら悲劇的で、絶望感にあふれるストーリーであってもよさそうな話が
      どうしたことか、夏の太陽や海や風の匂いや色彩に彩られ、
      ムルソーが感情的に叫んでみたり、激動的に苦悩したりという場面は少ない。
      彼は自分を他人の目で見ているかのようだ。
      それなのに、私には、彼が非人間的だとは思えない。
      ただ社会というもの、人間の掟というものが不条理でいとわしく思える』

      いかにも社会なんて知らない時代の安易な感想だ。
      しかし基本、今読んでも、大幅に感想は変わらない。


      原題"L'Etranger"、英語訳"The Stranger"は、「異邦人=外国人」という意味ではない。
      異質なもの、疎外された人を指す。
      しかし、よく誤解されるのだがムルソーは自我を喪失した人間では決してない。
      むしろ自我がありすぎるのだ。
      他人と違っても気にならないし、自分に正直だし、自分の存在も疑っていないし、
      自然や外界と自己の間の実感のなさや欠落も感じていない。
      自分の暮らす街が好きだし、恋人の笑顔がすきだし、ママンのことも愛している。
      彼は、その「愛」に「死」に「葬儀」に格別な意味付けをしないだけなのだ。

      しかし、人は他者に対して常に「異邦人」なのではないだろうか?


      社会には異質なものを排除する働き(メカニズム)がある。
      賢しい人はそれを知り、自分を型にはめ、信じていないことを信じているフリをする。
      例えば神。例えば愛。

      ムルソーは神を信じない。だから「神を恐れない」
      しかしそれはキリスト教社会において決定的な疎外を覚悟しなければならない。
      神を信じない人は感情も道徳もない人間だと断罪され恐怖されるのだ。
      自我を支えるルールに実がないことを直視したくないがために。


      「異邦人」の終わりの4Pにかつてないインパクトを受け、
      非常な爽快感を感じ、解放された思いがし、ムルソーが理解ると思った。
      高校1年の私はそんな少女だった。

      たとえば今、大人になった私は娘に「正直であれ」とは決して言ったことがない。
      それが生きにくいということを、身にもって知っているから。

      やっかいな子供だったな。と今の私は苦笑いする。
      だから、この作品は私なのだ。
      >> 続きを読む

      2013/04/05 by

      異邦人」のレビュー

    • >「異邦人」の終わりの4Pにかつてないインパクトを受け、
      非常な爽快感を感じ、解放された思いがし、ムルソーが理解ると思った。
      高校1年の私はそんな少女だった。

      少女時代を誤魔化さずに過ごされていたんでしょうね。
      自分が15歳の頃に読んでいたら、社会の型を演じられている自分とムルソーを比較して賢しらな優越感に浸っていたかもしれません。

      >たとえば今、大人になった私は娘に「正直であれ」とは決して言ったことがない。
      それが生きにくいということを、身にもって知っているから。

      昨年初めて読んでムルソーに美しさを感じていたんですが、このレビューを読んで、「正直であれ」を夢想してしまう自分は教育的でないなと改めて思わされました。
      >> 続きを読む

      2013/04/24 by Pettonton

    • Pettontonさん
      お恥ずかしいです。(^_^;)
      中学まではやけに純粋で生きにくい子供だったと思います。
      特に日本という国は真理を追究するという思想がありませんので。

      >ムルソーに美しさを感じていた
      それはステキですね。意味不明と拒絶する人も多そうですから。
      自分との距離を鮮やかに示してくれるという点で
      この本は稀にみる存在感を放ちます。
      Pettontonさんがレビューでおっしゃっていたことと重なりますね。

      解釈ということではなく、受け止め方は個々人によって異なることでしょう。
      だからレビューも自分のことを語らない訳にいかないんですよね。
      客観的に語ったのではこの本を語る意味がないんです。
      >> 続きを読む

      2013/04/25 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

       名作! フランス文学!

      『異邦人』を語る上での焦点は、主人公ムルソーの造形に集約されるといっても過言ではありません。

       実はな話、初っぱな、ムルソーが「主人」に休暇の許しをもらうというので、ムルソー、女性かと勘違いしていました。ようやく気づいたのが、2章に入ってムルソーがひげをそったところ。我ながら間抜けをやってしまいました。だって「主人」とかいうから……。「ママン」とかいうから……。

       小話はこれくらいに。さて、裏表紙のあらすじには、「通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソー」とあります。しかし、わたしとしては、ムルソーは非常に一貫した論理を持っているように思います。意味がないと思うことは嫌う、嘘はつかない、思ったことをする。彼の考えは、確かに社会とはズレているかもしれませんが、自分というものをしっかりと持っています。

       誰もが、少なからず社会とズレた自分を持っているように思います。しかし、それをそのままさらけ出すことはなく、意味がないと思いながら意味のないことをし、嘘をつき、思ったことをしません。社会とは、人間一人一人の集まりのはずなのに、その一人一人とはズレた存在になっている。社会は人々から乖離し、その構成員の本性を阻害してしまう。それが本作のいう不条理なのではないかな〜と、なんとなく思いました。
       
       「太陽」は、この小説において重要なワードですが、それに付随して美しい「海」の描写が強く印象に残っています。ぎらついた太陽に照らされた楽しげな浜に、じっとりとした不穏な空気が隠れているように思いました。海・フランスといえば、映画「グランブルー」が思い出されます。フランスの海には、人を惹き付ける魔的な魅力があるのでしょうか。フランスと海の民族的な背景があったりなかったりするのかも……。

       こんなものなの? というくらいぺらぺらの薄い小説ですが、中身はぎっちりでした。とっつきやすい名作だと思います。
      >> 続きを読む

      2015/07/21 by

      異邦人」のレビュー

    • >月うさぎさん
      補足どうもありがとうございます。
      >これは驚きますね。戦争の影を描いた作品ではないですから。
      そうですね。改めて、普遍的なテーマを扱っていることを感じます。
      >> 続きを読む

      2015/07/24 by あさ・くら

    • >弁護士Kさん
      >明晰を求めているのは、ムルソーの方でしょうね
      ムルソーの思考・行動は非常にはっきりとしているように思います。
      社会や集団からみれば、それは「融通の利かない」や「空気が読めない」になってしまうのではないでしょうか…。

      タイトルの「異邦人」は、本作の本質を捉え、皮肉を利かせた名訳だと思います。
      >> 続きを読む

      2015/07/24 by あさ・くら

    • 評価: 4.0

      フランス文学史の名作「異邦人」。
      母の死、主人公の犯す殺人、そして主人公自身の死という3つの死を扱っている。

      主人公が裁判で殺人の動機を問われ「太陽が眩しかったから」と答える。

      これだけを聞けば近年の良心の呵責を持たないサイコパス、快楽殺人者の作品と思われそうだが、決してそんなことはない。

      理由なき殺人の理由を考える。

      教科書でも紹介されるような名作ながら10代~20代の若い世代にはお勧めしない。特に家族の死を経験する前後ではこの作品の印象は大きく変わると思う。
      死に対して身近に真摯に考えられるようになってからのほうが響く。
      私自身10代で読んだときより、最近の再読の方で衝撃を受けた。

      誰よりも正直な彼に理解できなくとも深く共感してしまう。

      様々な解釈が可能で、短い作品ながら読了後の余韻がいつまでも続く深い作品。

      来月はカミュ生誕100周年。秋の夜長にカミュの作品は如何?
      >> 続きを読む

      2013/10/14 by

      異邦人」のレビュー

    • iceさん
      読む際には曲のイメージは一旦捨て置いてください^^

      >月うさぎさん
      10代の初読で感動しましたか!流石です。
      (同じ学生時代でも男の子のほうが精神年齢が低いから受ける印象もだいぶ違うかも)
      ペストはまだ未読なので挑戦します。

      > makotoさん
      そうそう、あと麦わら帽子を被って、、、ってコラッ

      > ちあきさん
      あまり古典文学は読みにくかったりして苦手ですが、この作品はオススメです。

      > chaoさん
      印象的な冒頭ですよね。
      ちなみに私は最終ページの「何人も、何人といえども、ママンのことを泣く権利はない」の一文に衝撃を受けました。
      >> 続きを読む

      2013/10/15 by ybook

    • >様々な解釈が可能で、短い作品ながら読了後の余韻がいつまでも続く深い作品。

      余韻が続く作品って数少ないですよね。それだけ強力なメッセージを込めて描かれているのでしょうか。 >> 続きを読む

      2013/10/15 by Shimada

    • 評価: 4.0

      名前は知っているけど、「難しそう・・・」と読んでいなかった名作。
      読書ログでレビューを見て、挑戦してみました。

      私、脳みそが大分単純になってきているので、難しい言葉や言い回しを飲み込むのに苦労しました。海外の作品はどうも、慣れません。
      なので、短い小説なのにかなり読み飛ばし、しかも時間がかかりました。

      が、第2部、後半になって、ムルソーの言うことが理解できるようになってから、興味をひかれ前を読み返したりしました。

      社会の「不条理」

      これは、すごく感じる。人間がもっているエゴ。エゴの押しつけ。
      社会はそんな人間が作っているんだから、エゴでいっぱい。不完全なもの。そういうものなんですね。

      自分が信じるもの(神)を人も信じるはず(べき)という司祭。
      母親が死んだら悲しみにくれるはず(べき)、そうでない人間はおかしいという世間一般のものの見方に囚われ、偏見の目で見る裁判官たち。
      死刑囚になれば人間は誰でも犯した罪を後悔し、神に許しを請うものだとか。
      神を信じないものからすれば、何?神?神様なんて関係ないじゃん。・・てなる。

      ムルソーが殺人を犯したのは事実で、そうすれば当然不幸を招くことになる。殺された人や周りの人、そしてムルソー自身にも。人間には他の生命を奪う権利はない。

      それはそうだが、人の価値観(主観)を押しつけられない自由はある。

      世間、常識、正義、・・・政治、宗教、・・・家族、友人・・・結婚、愛、罪、etc・・・ そして人間そのもの。

      社会の中で、人とつながって生きるしか生きられない人間は、やはり社会の法に従わなければいけないし、互いに平和に生きていくためには慈悲喜捨の心をもつよう努力する必要がある。それは、社会の(人間の)不条理を感じながらも、「しっかりと」生きることだと思う。(嘘の涙も、神への懺悔のふりもいらないと思うんだなあ)

      「不条理=人生に何の意義も見いだせない人間存在の絶望的状況。」(goo辞書)とあった。
      でも私は、人生も、人間社会も不完全なんだから、絶望するのではなく、よりよいものを自分ができる範囲で作っていけばいいと思います。人生の意義は自分でつくるもの。

      『死に近づいて、ママンはあそこで解放を感じ、全く生きかえるのを感じたに違いなかった。何人も、何人といえども、ママンのことを泣く権利はない。』
      『私ははじめて、世界の優しい無関心に、心をひらいた』
      不条理に満ちた社会の中でも、自分の死を見つめたとき(自分は無いと思えたとき←けっこう深い)、心は解放され、ムルソーは幸福であることを感じることができた・・・のでしょう。(多分)
      >> 続きを読む

      2013/04/26 by

      異邦人」のレビュー

    • いかにも哲学的なような気もしますが、なぜだか挑戦したくなって来ました!

      これが名作の所以なんですかね。 >> 続きを読む

      2013/04/26 by ice

    • > 私、脳みそが大分単純になってきているので、

      生まれてからずっと単純なままでーす >> 続きを読む

      2013/04/27 by makoto

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