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2014年06月の課題図書

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よしもとばななの、みずみずしくて美しい小説。

大学生のみかげ。
祖母の死。
雄一との毎日。
そしてキッチン・・・

心洗われるような感覚を是非、味わってください。

Book Information

キッチン

4.0 4.0 (レビュー21件)
著者: 吉本ばなな
カテゴリー: 小説、物語
定価: 420 円

家族という、確かにあったものが年月の中でひとりひとり減っていって、自分がひとりここにいるのだと、ふと思い出すと目の前にあるものがすべて、うそに見えてくる―。唯一の肉親の祖母を亡くしたみかげが、祖母と仲の良かった雄一とその母(実は父親)の家に同居する。日々のくらしの中、何気ない二人の優しさにみかげは孤独な心を和ませていくのだが...。世界二十五国で翻訳され、読みつがれる永遠のベスト・セラー小説。泉鏡花文学賞受賞。

いいね! fireman Erika pikapika

    レビュー

    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      吉本ばなな・デビュー作として今も愛されているこの本は、
      「死」と遺された者を描いた3本の短篇集。

      キッチン
      満月――キッチン2
      ムーンライト・シャドウ

      デビュー当時から大きな話題となっていた彼女の作品を読んだのは、
      実は、大分経ってからだった。
      同年代の彼女へのちょっと意地悪な偏見を持っていたせいだ。
      有名な文人・吉本隆明の娘であること、
      「ばなな」なんて馬鹿にしたペンネームって何のつもり?
      なんて…そんな低レベルの若者の反発です。

      ところが読んでみた「キッチン」はあまりにすっと心に入ってくるので
      どうもこうも、嫌いになりようがないのだった。
      そこに息づく人物の醸し出している空気は、とても馴染みのある世界。

      理由はその時にはわからなかったが、共通項は少女漫画だ。
      (またか?といわれそうですが)
      彼女の描く人物は、全盛期の少女漫画文学のそれと似ている。
      特に「キッチン」はそう。
      何に一番近いかと考えると、まともに大島弓子している。
      (ばななが大島弓子ファンだというのは、実は後で知りました。)

      「キッチン」は文章が拙い。といわれる。
      その通り。
      なぜなら、未熟なみかげの心を表す文章だからだ。
      吉本ばななが こんな子供っぽい文章しか書けない人だと思ったら大間違いだ。
      実際に当時はテクニックもなかっただろうが、
      これは、確信的な稚拙さだと思う。

      「キッチン」と「満月」では、文体が微妙に変わっている。
      「キッチン」は少女漫画で、「満月」は小説だから。

      「キッチン」がいかに少女漫画しているか。ちょっと紹介してみましょうか。

      「先日、なんと祖母が死んでしまった。びっくりした。
      家族という、確かにあったものが年月の中でひとりひとり減っていって、
      自分がひとりここにいるのだと、ふと思い出すと目の前にあるものがすべて、うそに見えてくる。生まれ育った部屋で、こんなにちゃんと時間が過ぎて、
      私だけがいるなんて、驚きだ。
       まるでSFだ。宇宙の闇だ。」


      この度再読してみたら、ちょっと驚いたことがある。

      小説は読み手の年代や心の持ちようや置かれた状況によって
      受け取るものが変わってくる。それが当然だ。
      とはいえ。
      私は当時「キッチン」の主人公、みかげに、軽い嫉妬を覚えたものだった。
      それは間違いなく記憶している。
      そして、この度も、小説に書かれていること、空気感はやはり同じものだ。
      けれど、この「死」をテーマにした作品のいったいどこに私は
      嫉妬を感じるくらいに「羨ましい」と思ったのだろう?
      今はそれを感じない。

      天涯孤独の身の上と、それゆえに新たにつながれる赤の他人との関係。
      運命的なシンパシーを共有できる人を愛せること。
      そんな静かで潔い愛が羨ましかったのかもしれない。
      私が本当に欲していたものが、そんなソウルメイトだったからなのかもしれない。
      えり子さんも雄一もみかげにとってのソウルメイトだ。
      自由で利害のない人間関係。
      輝く太陽のようなえり子さんと月のようなクールな雄一。
      ふたりとも、何て素敵な人なんだろう。
      私はそう思ったに違いない。


      以降も彼女の文学には「死」と「残されし者」
      もしくは「家族の喪失」などが描かれ続けていくようだ。

      愛され育った吉本ばななの何が死にひきつけられているのだろう?
      それは、もっと多くの作品を深く知らないと答えに行きつかないだろう。
      >> 続きを読む

      2012/08/20 by

      キッチン」のレビュー

    • chaoさん
      本は「読み時」というものが確実にありますよね。
      自分がすごく影響を受けた作品であっても、違う時期に出会っていると
      そうはなりえない場合もありますから、
      本も人も出会いなんですよね。
      それもあって、本作はレビューを書く前にもう一度読んでみました。
      >> 続きを読む

      2012/08/20 by 月うさぎ

    • tadahikoさん
      ばななさん他、多くの女性作家の文体が「苦手」な男性は多いです
      内容も感性が先走っていることが多く、知的な読者には馴染まないこともあるでしょう。
      「キッチン」は特に、処女作ですし、実験作品でもあるとおもいます。
      本人もギリギリのところで書いたようなことを発言しています。
      発表当時はばななは「おこげ」と悪口を言われたものです。
      きっと今の時代の人は、そういう差別が意味不明でしょう。

      最近のラノベなど、口語のめちゃくちゃな作品をあたりまえに目にする時代とは違ったので、
      この文章表現はある意味、非常に新しいとされていたようです。
      (英語だとどうなるんでしょうね?さっぱりわかりませんが。)
      私個人的には、自分の文章に近い。と思ってしまった。
      なんとなく。なんですけれどね。
      >> 続きを読む

      2012/08/20 by 月うさぎ

    • 評価: 5.0

      普段意識せず一緒にいる人が突然いなくなってしまい、
      もう二度と帰って来ることがない寂しさ、呆然としてしまう様、
      それを支える(?)人達の温かさがとても細かく描写され
      その複雑で“センチ”な感情が、自分にも流れ込んできて、
      時に涙したり、和んだりと、とても気持ちが揺れ動く素晴らしい作品です。

      続編「満月 キッチン2」では、
      人生のどん底と思っていた2人が、
      心を通わせ合って最後には立ち上がって、
      しっかり生きていこうとする姿に勇気をもらいました。
      (最後は結ばれたのかな?)


      続く「ムーンライト・シャドウ」では、
      同じように、恋人を失った主人公と
      主人公の恋人の弟、それに謎の人物の物語です。

      こちらも、3人がそれぞれ大切な人を事故で失っています。
      不思議な現象によって、それぞれが大切な人に僅かな時間会う(見る)ことができ、
      その辛い過去の檻から抜けだして、それぞれの人生を歩み始めていくという
      とても気持ちが前向きになる作品でした。
      >> 続きを読む

      2014/06/26 by

      キッチン」のレビュー

    • 普段意識せず一緒にいる人のありがたさなどは、いなくなってからでないと分からないのかもしれませんね。 >> 続きを読む

      2014/06/27 by nosuke

    • ふとした瞬間に大切な人がいなくなってしまったら、と考えることはありますね。
      想像するだけでも恐ろしいですが、現実になったらとても受け止められる気がしません・・・。 >> 続きを読む

      2014/06/27 by FIre

    • 評価: 5.0

       純文学の良さってなんでしょうか?
       私ならこう答えます。
       「だからー、雰囲気もんなんだってばぁー」と。

       人によって様々意見がおありかとは思いますが、私が昔「あ、良さわかった」と勝手に納得したときから大切にしているのは「雰囲気」です。

       読後に残っている感情がとても複雑なことがあります。例えばこの『キッチン』に含まれる短編「ムーンライト・シャドウ」であれば、やるせなさと孤独感はかすかに残るのだけども、それらをふりきったときの開放感がすっとしみてくるみたいな……。言葉では難しいですが、その微妙な感情のブレンドは作品に漂う雰囲気によって徐々に作られるのだと思います。

       その作品を読んだ時にしか感じられない感情があり、それを作る雰囲気があることが純文学の良さかなと思います。というか、難しそうなのはそういう視点で読んでいます。

       「日常を切り取る繊細な感覚」とか「瑞々しい文章」とか、「軽快なタッチ」とか……、こういう文学を褒めるお決まりの文句に疑問を感じることがありました。
       「硬いか柔らかいか、みずみずしいか乾いてるかってなに? 土なの?」みたいに。でも、この『キッチン』でそういう表現の意味がわかった気がします。あえて言うならこの作品の文章は「柔らかくて瑞々しい。そして軽いけれども芯が通っていて、優しく染み渡る」という感じでしょうか。

       「純文学のおすすめは?」と聞かれたら間違いなくこれです!
      >> 続きを読む

      2014/08/31 by

      キッチン」のレビュー

    • >「柔らかくて瑞々しい。そして軽いけれども芯が通っていて、優しく染み渡る」
      軽く見えるのに実は深いって素敵ですね* >> 続きを読む

      2014/08/31 by マカロニ

    • 評価: 評価なし

      物語の中には、数多くの死が描かれている。にもかかわらず、この作品は何度読んでも後味がいい。爽快感。
      居心地のいいソファーで寝て、卵のおかゆとキュウリのサラダを食べて、皮むきすら面白いと思える程自分に合った仕事をして、たまに、遠くに逃げ出して。そこで、こんなに美味しいものはないと思える程の、カツ丼を食べて。
      身近な人を亡くした痛みは、簡単には消えないし、簡単には受け入れられないけれど。こうして、何でもない日常を繰り返して、たまに、どうでもいい冗談で笑って、深い思い出に浸って泣いて、寝て、起きて、食べてを繰り返して。
      そうやって人は、乗り越えるわけでもなく、忘れるわけでもなく、抱えて進んでいくのかもしれない。そう、思える。

      ばななさんの作品は、ひとつひとつの表現がとても愛おしい。何度読んでもその都度好きと思える箇所が出てくる。
      だから、何度も読んでしまう。
      またきっと、ふと、読みたくなる作品。
      >> 続きを読む

      2014/08/10 by

      キッチン」のレビュー

    • > こんなに美味しいものはないと思える程の、カツ丼を食べて。

      お腹が鳴りました(笑 >> 続きを読む

      2014/08/10 by ice

    • そうですね、日々の暮らしの中で、少しずついろんなことに触れ、時間をかけて馴染んでいく。 >> 続きを読む

      2014/08/10 by けんとまん

    • 評価: 5.0

      吉本ばななさんの作品は初めて読みましたが、これを読んでとても好きになりました。
      登場人物の言葉がどれもこれも優しくて印象的で、不思議な空気感があります。小川洋子さんとはまた違う、安心感のある優しさだと思いました。
      とても読みやすく、あっという間に引き込まれ、読み終わったあともじわじわと余韻が続きます。

      私はえり子さんの言葉がとても良いと思いました。
      彼女(彼)の遺言状に書かれた言葉
      「私、私の人生を愛している。男だったことも、あなたのお母さんと結婚したのも、彼女が死んでから、女になって生きたことも、あなたを育てて大きくしたこと、一緒に楽しく暮らしたこと」

      自分の人生を愛せる人なんて、今の私からすれば「ほんとにいるの?!」って感じです。
      まだ20年くらいしか生きてない私ですら後悔がたくさんあるのに。
      それもこれも全部ひっくるめて「自分の人生を愛している」と言えるのがとてもかっこいい。
      その一言でその人の人生は救われる。

      なんせこの物語の登場人物はみんなかっこいいです。
      しっかり自分の足で立とうとしている。
      私もそんな風になりたい!と思ったし、
      この本読んだら、ほんとになれるんじゃない?とも思いました。
      >> 続きを読む

      2014/06/15 by

      キッチン」のレビュー

    • えり子さんカッコイイ!

      2014/06/15 by hiyoko

    • 私はちょっと苦手意識を感じてしまった本なのですが、もう一度読み直してみようかなという気持ちになりました。 >> 続きを読む

      2014/06/15 by ただひこ

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