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2014年10月の課題図書

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2014年10月の課題図書


1979年に発表された村上春樹の中編小説。
村上春樹の処女作品であり、第22回群像新人賞の受賞作品。

40の章から成り立っており、
のちに「鼠三部作」「羊四部作」などと呼ばれるシリーズの最初の作品でもあります。

その後の村上春樹作品へと繋がるエッセンスが多く詰まった
村上春樹の原点になっている作品です。

1970年の夏、大学生の「僕」が東京から海辺の街に帰省した夏休みの
18日間のストーリー。
ジェイズ・バーに通って友人の「鼠」とひたすらビールを飲む。
洗面所に倒れていた左手の指が4本しかない女の子との出会いやおしゃべりなラジオDJ。
「僕」の退屈な毎日が淡々と過ぎて行く・・・
これはそんな夏の話で、それ以上でもそれ以下でもない。

~あらゆるものは通りすぎる。
誰にもそれを捉えることはできない。
僕たちはそんな風にして生きている。~

村上春樹ワールドへのピースがたくさん散りばめられた一作。
是非、この機会に手にとってはいかがでしょうか。

Book Information

風の歌を聴け

3.5 3.5 (レビュー15件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 400 円

一九七〇年の夏、海辺の街に帰省した“僕”は、友人の“鼠”とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。二人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、“僕”の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。

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    レビュー

    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 5.0

      なぜ私がその場にいないのだろう?ジェイズ・バーに…。

      時代も違う、人物、シチュエーションに自分を重ねたりも全くなかったのに、
      そこでおこるできごとが懐かしくすら思えるのはなぜだ?

      村上春樹のデビュー作、「風の歌を聴け」が書かれたのは昭和54年(1979)。

      村上龍は「限りなく透明に近いブルー」で1976年デビュー作からベストセラー作家だったし、
      映画化され、タイトルは流行語にもなった。
      私は「ブルー」は手にとってみたものの冒頭を読んだだけでだめで投げ捨てた。
      そして村上春樹という作家に興味をもった女の子は私の周りにはまったくいなかった。

      私が20歳位の頃、片岡 義男を代表に、新進の流行作家がいっぱい溢れていて、
      その作風に反感をもっていた私。
      村上春樹を私に紹介したのは大学の年上の友人。
      この本をくれたのがちょっと気取った男だったせいもあり、反抗的な気分で読み始めた。

      なのに、そのまま、すっと入っていけた。
      次々に春樹さんの本を読み漁ることになるほど彼の文章に惹かれた。

      こちらの存在をあやうくするような、現実と虚構の壁を薄くするような、そんな力があった。
      自分とは全く縁のない世界なのに、感じるノスタルジー。
      なんなんだ?これは?


      翻訳物の外国の小説を読んでいるような印象だった。

      後に、アメリカ小説の影響を強く受けた作家だということを知ったのだが、
      最初の印象はむしろ、私にとっては馴染みのあるカフカやカミュのような
      「ヨーロッパの作家」に近い作風だった。

      アメリカ小説の写実主義よりも、存在をテーマにする作家のような、そんなイメージを持ったのだ。
      一人称小説でありながら、これは決して「私小説」ではない。
      描かれるのはピュアな魂である。
      その評価は私の中で今も変わらない。

      「昼の光に、夜の闇の深さがわかるものか。」――ニーチェ


      今では村上スタイルの後を受ける作家が大量にいるので
      その斬新さの衝撃は薄れてしまったかもしれない。
      彼のように描ける作家はやはり他には出ていない。
      彼らの作品のベースが悪いけれど外国文学を読み込んでいないためだ。
      形だけまねしても、スピリットが違うのだ。

      最近、村上春樹の文学を最も認めて推奨していた作家・丸谷才一氏の「翻訳本」を
      数冊読んで、春樹さんと「同じもの」を感じてしまった。

      ああ。この文章なんだよなあ。私が好きなのは。

      絵画のように、文章にもタッチや色彩や選ばれた素材などがある。

      絵を好きになるときに、そこに何が書かれているかだけで、
      その絵を判断する人はいない。
      個々に好みがあり、そこに芸術の幅が生まれる。
      それと同じことだと思う。

      「風の歌を聴け」には、ストーリーよりも、その空気感、人物へのシンパシー、
      そのような肌触りを楽しむべき小説ではないか。
      大げさに言えば、『魂の交感』ってこと。

      この作品には村上春樹のエッセンスが香っている。そんな気がする。


      【おまけ】
      作中に出てくるデレク・ハートフィールドは架空の作家です。
      後日、彼の本の註文がいって某洋書店が迷惑し、出版社でも問題になったそうです。
      「あとがき」に嘘を書いちゃいけない!って。
      でも、あれ、作品の一部なのに…。

      一方ジェイズ・バーは、実在の店をモデルにして書かれているようです。
      >> 続きを読む

      2013/07/22 by

      風の歌を聴け」のレビュー

    • >私が20歳位の頃、片岡 義男を代表に、新進の流行作家がいっぱい溢れていて、
      その作風に反感をもっていた私。

       なるほど。片岡義男がこの頃でしたか。
       ぼくは中学時代にこの人の「ビートルズ詩集」にガッカリさせられて以来、この人の本を読もうと思ったことはありません。よく角川で映画化されていたみたいですね。
       村上春樹と同時代にデビューした作家として印象に残っているのは田中康夫です。若い人は知らないかもしれませんが、あのヘンな政治家(まだやってたっけ)は、作家としてデビューしたのですよ。しかもまあ売れた売れた、「なんとなくクリスタル」をぼくは高校時代に読みましたものね。1年前に出版されていたはずの「風の歌を聴け」を読んだのは大学生になってからだというのに。
       田中康夫ファンがいたらもうしわけないのですが、一度たりとも読み返そうと思ったことがありません。あれほどばかばかしい本は他にちょっと思いつかない。

       ジャーナリズムがちやほやするものの中で、時を経て残るのは、ほんとうに僅かなものですね。村上文学がどれくらいのタイムスパンでこの世界に残っていくのか分かりませんが、この時代の激流の中で、30年以上古びていないというだけでも凄いことだと思います。
      >> 続きを読む

      2013/07/25 by 弁護士K

    • 弁護士Kさん
      片岡 義男、もてはやされていましたよね。
      「ビートルズ詩集」私も読んだ気がします。何も残っていないけれど。
      今、彼の本を読む人なんているんでしょうか?

      田中康夫なんか作家として認めません。(`・ω・´)
      「なんクリ」は商業主義と連動したカタログです。

      学生時代に流行ったこれらの作家が私を日本の文学から遠ざけた原因でした。
      内容的に読む価値のない、文字面のきれいなオシャレな文章ばかり。
      結局は日本文学の「写実主義」がたどり着いた先があれです。
      あたらしい「私小説」には写生だけがあり、物語が欠けていました。
      そこに村上春樹が出てきたんですよね。

      私にとっては新鮮に感じました。
      この感性好き。って。純粋に。

      文壇は異分子の登場に驚き、一部の文学者を除き、彼を潰そうとしました。
      彼が認められると、それまでの私小説派の小説がことごとく価値を失うことがわかっていたからです。
      当時の論評を読むと笑えますよ。
      「ちっとも私小説じゃない」というのが批判の根拠なんですから。

      〉この時代の激流の中で、30年以上古びていないというだけでも凄いことだと思います。
      芸術というものは、時間のみが証明者になりうるものなのですね。
      >> 続きを読む

      2013/07/26 by 月うさぎ

    • 評価: 3.0

      課題図書、薄かったのですぐに読めましたが・・・

      む・・・・むずかしい!!!

      普通の小説と思って読むと面喰います。
      唐突に話が始ったり終わったり・・・。

      好きとか嫌いとか判定不可能なほど独特なのに村上春樹にこれほどのファンがいるということに驚きです。

      みんなどう解釈しているんだろう。
      誰かに解説して欲しいです。
      ただ、意味不明なのですが、魅力を感じる人がいるのもわかる気がするんですよねー。

      「なかなか良かったです」とか言ってみたいですが、私の素直な感想はこんな感じなのでした。

      何年か経ったらまた読んでみよう。
      >> 続きを読む

      2014/10/16 by

      風の歌を聴け」のレビュー

    • 難しいからこそ、いいなぁと感じます^^
      逆に解釈が簡単な小説が、物足りなくなってしまいました…w >> 続きを読む

      2014/10/17 by snoopo

    • >む・・・・むずかしい!!!

       そうなのかもしれません。そう感じたことがないのですが、そもそもわたしは理解することにこだわりがないのかも。

      「象について何かが書けたとしても、象使いについては何も書けないかもしれない」

       このフレーズの意味が理解できたように感じたのは、つい最近のことです。
       最初に読んだのは30年前なのに。

       いま、分からなくても、何かの拍子に分かるかもしれない。
       もちろんそれは何らかの正解に達するという意味ではなく、自分の心の中にフィットする部分がみつかる、といった程度の意味なのですが。
      >> 続きを読む

      2014/10/18 by 弁護士K

    • 評価: 3.0

      「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
      ・・・なんだかとってもかっこいい。
      記憶に残る書き出しから始まった、村上春樹さんのデビュー作。
      1978年29歳の主人公が、1970年21歳の8月8日から8月26日までの青春の一片を描いた物語です。

      作品の舞台が海外のような、独特な雰囲気の文章が心地よい。
      さらさら流れるように最後まで読んでいきました。
      正直に言うと、ストーリーは今一つ掴めませんでした。
      なので感想らしい感想はありません。
      デレク・ハートフィールドは作品に溶け込んでいて、まさか架空の人物だとは思いもしませんでした。
      ハートフィールドのエピソードはかなり楽しませてもらったので、もし実在していればすぐにでも作品を読みたかったくらい。
      名だたる作家たちと一緒に紹介されているので、実在の人物と思ってしまいますよね。

      この作品を書こうと思ったのが、明治神宮球場での野球観戦中とは驚きです。
      スワローズのファンであることは知っていましたが、こんなきっかけがあったとは!

      なんだかんだ言いましたが、すぐに「1973年のピンボール」を読もうと思います。
      >> 続きを読む

      2017/02/07 by

      風の歌を聴け」のレビュー

    •  ええっと、『ピンボール』を弁護する立場から。
       村上春樹の全集としては、講談社から『村上春樹全作品』というのが出ているのですが、『ピンボール』もちゃんと収録されています。
       全集から省いている、という月うさぎさんのお話は、村上春樹全集ということではなくて、どこぞの出版社が企画した日本文学全集に『ピンボール』を収録するという話があった際に、「それはぼくの代表作ではないから」といって断ったという話ではないかしら。
       村上春樹は、『風の歌を聴け』と『ピンボール』については、「未熟な時代の作品」として、長いあいだ、日本国外での英訳版の刊行を拒んでいました。日本文学全集への収録を断ったのもそういう趣旨だと思います。それはそれで理解できるのですが、僕にとっての『ピンボール』は、『風の歌を聴け』と並んで、村上春樹の原点を思い出させてくれる、とても懐かしい作品です。

      >> 続きを読む

      2017/02/20 by 弁護士K

    • 弁護士Kさんのご指摘通りです。その通り。それが正解です。
      ピンボール、今は英語のも出ていますね。しかも日本でも文庫で買えますね。
      〉村上春樹の原点を思い出させてくれる
      そうですね。だから私自身何度か読み返している作品でもあるわけなんですが。
      といって人に傑作ですよと単品で薦めるのは難しい気がするんですよね。
      「風」が好きな方にはお勧めしたいですが。
      このころの空気感は最近の作品よりも好みなので、中期以降のほうが時々物足りない気もしちゃっています。
      「カフカ」は人気が高いですが、その物足りない代表作というか…。
      個人的には「風」→「ピンボール」→「羊」が鼠君シリーズだと思っていて
      この後「ダンス」に行って「ノルウェイ」を素通りしました。
      それと別格なのが「世界の終り」なんですよね~。私の場合。
      ああ、再読したい。
      >> 続きを読む

      2017/02/21 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

      「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」があまりに良くて続けて読んだ村上春樹の処女作。

      「とても良かった♪」と言いたいところだけど、物語に入りきれないまま読み終わってしまった。
      でもなぜか色々なシーンが印象に残り、すぐに再読したくなる謎の読後感。
      なんだこれは!!

      メタファー?と思われる表現が山ほど登場するが難解。
      そもそもメタファーだったのかも定かでない。

      読んでいると、この本の中に出てくる著者の本を読みたくなる。
      あとビールが飲みたくなる。

      こんな不思議な力を持った小説は初めて。
      >> 続きを読む

      2013/07/21 by

      風の歌を聴け」のレビュー

    • >こんな不思議な力を持った小説は初めて。

       ほんとにそう思います。1979年の群像文学新人賞を受賞しているのですが、当時の選考委員たちは、いまの村上春樹を予測できたでしょうか。単行本の帯に使われている吉行淳之介の評からすると、とうていそうは思えません。まぎれもない新鮮さを感じつつも、どのように評価すればいいのか、みんな戸惑っていたのではないかと想像します。

      >読んでいると、この本の中に出てくる著者の本を読みたくなる。

       ヘミングウェイ、フィツジェラルド、フローベール、テネシー・ウィリアムズ、ブラッドベリ、ロマン・ロラン、トルストイ…あと、聞いたことのない作家もいましたね。
       ぼくが外国文学を読むようになったのは、もっぱら大江健三郎に導かれてという部分が大きいのですが、きっともう少し下の世代に対しては、村上春樹のそういう方面での影響は絶大なのではないかと思います。

      >あとビールが飲みたくなる。
       飲みたいですね〜。
       いつ読んでもいい小説ですが、やっぱりこの時季ですかね。
      >> 続きを読む

      2013/07/22 by 弁護士K

    • 弁護士Kさん
      「昔は衝撃的だったんだろうな」みたいな小説は多いですが、今読んでもこんなに新鮮さを感じる小説はなかなかないような気がします。本当になんとも形容しがたい。。

      村上春樹の本をいいな~と思ったことでまた読書の幅が広がりそうです♪
      >> 続きを読む

      2013/07/22 by chao

    • 評価: 3.0

      これまで何度か挫折してきた村上春樹作品でしたが、

      ・課題図書
      ・ページ数が少ない

      ことが後押しして、初めて読み切りました。

      勝手に苦手意識を持っていましたが、
      思っていたより読みやすかったです。
      難しかったけど、次も読んでみようという気になりました。

      そしていま、ハートフィールドが架空の作家ということを読書ログで知り、びっくりしていることろです…笑
      >> 続きを読む

      2014/10/24 by

      風の歌を聴け」のレビュー

    • >ハートフィールドが架空の作家ということを読書ログで知り
      これね。春樹さん、このことで怒られたらしいですから、笑っちゃいますね。
      この小説ってどこがいいか?と言われるとわからないけど、でも、残るんですから不思議なんです。
      また彼の本、読んでみようかなって気に、私もなりました。
      >> 続きを読む

      2014/10/24 by 月うさぎ

    • > 風の歌を聴け

      いつかは、こういうキザなセリフが似合う男性に!と思った時期も有りましたが、どうやらムリ目です... >> 続きを読む

      2014/10/25 by ice

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