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2015年03月の課題図書

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2015年03月の課題図書


インド系アメリカ人小説家のジュンパ・ラヒリの短編集。

毎夜1時間の停電の夜に、ロウソクの灯りのもとで隠し事を打ち明けあう若夫婦―「停電の夜に」。

観光で訪れたインドで、なぜか夫への内緒事をタクシー運転手に打ち明ける妻―「病気の通訳」

等全9篇。

インド人またはインド系移民の生におけるジレンマを、結婚生活における困難、失敗、
アメリカ移民1世と2世の間の断絶といったテーマとともに、繊細な語り口で語る本作品。
是非この機会に読んでみてはいかがでしょうか。

Book Information

停電の夜に

3.6 3.6 (レビュー13件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 620 円

毎夜1時間の停電の夜に、ロウソクの灯りのもとで隠し事を打ち明けあう若夫婦―「停電の夜に」。観光で訪れたインドで、なぜか夫への内緒事をタクシー運転手に打ち明ける妻―「病気の通訳」。夫婦、家族など親しい関係の中に存在する亀裂を、みずみずしい感性と端麗な文章で表す9編。ピュリツァー賞など著名な文学賞を総なめにした、インド系新人作家の鮮烈なデビュー短編集。

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    レビュー

    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 3.0

      「停電の夜に」というタイトルからそこはかとなくロマンティックなイメージを描く人が多いでしょう。
      でも全然違うんですよ。

      1.停電の夜に A Temporary Matter  ☆☆☆
        死産で初めての子を失った30代の夫婦。
        心の傷が癒えぬままに夫婦の関係も変わってしまい、ぎこちなく味気ない日々を送っていた。
        日に1時間の計画停電のため、久しぶりに夫婦が揃った蝋燭の灯の中での夕食。
        ほの暗い二人だけの空間の非日常性。
        今まで話さなかったことや内緒の出来事を一つずつ語る「告白ごっこ」を始める。

        ラストが意外。という予備知識で、全然違う方向を想像してしまいました。
        期待しすぎちゃった。ちょっと肩透かしでした。
        この男性の心理があまり納得できないな~。女性のほうはなんとなくわかるんですが。
        外国人だから日本人と違うのかなあ?

        喜びを倍に、悲しみを半分に。
        重い傷を負った時こそ慰めを求め、与えることができないなら、何のための夫婦なのか?
        そういう意味では心に響く作品ではないです。

        実際のタイトルは【A Temporary Matter】
        翻訳者によって「臨時の措置」と翻訳されていますが、
        原文の冒頭の書き出しはこうです。
        The notice informed them that IT WAS A TEMPORARY MATTER:
        「臨時の措置」と通知には書いてあった。から話が始まるのです。
        この言葉が最期ストーリーにおいてダブルミーニングを思わせる訳ですね。
        「停電の夜に」はきれいなタイトルですが、おかげでこのストーリーの描くイメージと微妙にずれが出てきはしないでしょうか?
        告白ごっこがやはり初めからごっこであったのだということが伝わらない。
        「ラストが意外」という感想はこの邦題のせいなのかもしれないと思いました。
        英語のわかる人が原文で読めばもっと上手さが伝わる作品かもしれません。

      2.ビルザダさんが食事に来たころ When Mr.Pirzada Came to Dine ☆☆☆
        インドとパレスチナの国境問題を背景に。
        異国で祖国や家族の安全を想う気持はいかばかりか?
        こればかりは、日本人の私には想像を越えるものがあり、ピルサダさんのリアリティはこの現実味のある小説を持ってもわずかしか伝わらないのでした。
        それでも、インドとパキスタンの両国がほんの少しは、身近になる。
        小説にはその力がある。積み重ねさえすれば。

      3.病気の通訳 Interpreter of Maladies ☆☆☆☆☆
        この作品がアメリカで出版されているこの本の「本来の」タイトル作品です。
        当作品集の中での代表作はこれなんですね。
        人間の感情の機微が描かれて、なんてよく言いますが、実にお見事でした。

        語学を生かした仕事を志していたカパーシーだが、現実は人々の病状を医師に英語で伝える通訳どまり。副業で、週末にタクシードライバー兼ツアーガイドを務めていた。
        ある日の客は歳若いアメリカ生まれのインド移民の家族。
        その奥さんの様子が無感動で不自然で気になってならない。
        彼女はカパーシーに突然個人的な興味を見せたかと思うと、秘めた打ち明け話を始めた。
        
        あるある。わかるわかる。と思う部分がたくさんで面白かったです。

      4.本物の門番 A Real Durwan  ☆☆
        インドへ難民として流れてきた老婆は安アパートの階段掃除人兼「門番」。
        日々をやっと凌いでいる彼女の昔語りときたらパキスタンでの豪勢な暮らしを偲ぶものばかり。
        でもそれをそのまま信じる人はいなかった。
        一住人の思い付きで、アパートに流し台が設置されたことがきっかけで異変が…。
        むごいなあ。この話は…。

      5.セクシー Sexy ☆☆
        不倫で夫を奪われた女、寝取ったものの奪えなかった女、女癖の悪いナンパ男
        いくらでも転がっていそうな恋愛の一幕

        この小説に出てくるマッパリウムに魅了されました。
        クリスチャン・サイエンス・センター内、ボストンメアリー・ベイカー・エディー図書館にある<マッパリウム(Mapparium)>は、608枚のステンドグラスでできた巨大地球儀。
        なんと中に入れるのです!
        描かれた地図は、建設当時(1934年)のままで、今の国境線との違いや歴史の変遷に思いを馳せることができるのだそうです。
        ここには行ってみたい!
        ぜひ日本にも作ってほしいな。中に入れるステンドグラスの地球儀♡

      6.セン夫人の家 Mrs.Sen's  ☆☆
        移民や海外赴任で祖国を出てアメリカで暮らす人は多い。
        ホームシックの切なさを少年の目線で描いています。
        リアリティがありますが、何?っていう位唐突に終わっちゃいます。

      7.神の恵みの家 This Blessed House ☆☆☆☆
        新婚夫婦が新居で発見したものは先住者の残していったキリスト教グッズ。
        ヒンドゥーの彼らには無縁・無価値のもののはずだが、若き妻トウィンクルはなぜか大はしゃぎ。
        知り合って間もない夫婦の間に理解不能な溝が横たわる。

        そりゃそうよ。何年知ってたって、結婚して初めて知る事実のひとつやふたつや十や二十は…笑

      8.ビビ・ハルダーの治療 The Treatment of Bibi Haldar ☆☆☆
        治療不可能と思われた奇病に冒されているビビ。
        ついに決定的な治療法が示された。それは…。
        ちょっと笑っちゃう話です。え?これホントに「奇病」???

      9.三度目で最後の大陸 The Third And Final Continent ☆☆☆☆
        故郷ベンガルを出てイギリスで学び、アメリカのMITに職を得た「私」が
        新天地アメリカに、見合い結婚で迎えた妻に、馴染むまでの経緯を思い出として

        移民たちの勇気と苦労へのねぎらいを込めて書かれたのかもしれませんね。
        103歳の老婆になぜか非常に惹きつけられます。
        このお話が唯一心温まる小説でした。

      原本の短篇集のタイトルは、3作目の作品『Interpreter of Maladies』(”病気の通訳”)。
      私はこちらの作品のほうが質が高いと思いました。
      でも日本では「病気の通訳」では本が売れないでしょうね。

      ところで、ピュリツァー賞ってジャーナリズムだけの賞ではなかったんですね…。

      世界を繊細に描き同時にアメリカ社会の現状を写しだした秀作という評価だと思います。
      各作品には必ずインドないしはインド人(ベンガル人も含む)が登場します。
      多くは三人称で淡々とした語り口。感情をむき出しにするシーンなどはほとんどなく、
      大げさなドラマ的演出もないまま話は進み、そして唐突に終わります。
      このムード、内容はまさしく「私小説的」
      ああ。私の苦手なジャンルです。(^_^;)
      移民たちマイノリティの小説は最近の米文学には多いのだそうですが、
      私小説的な小説は、アメリカ人には珍しいのかもしれません。


      実は読むのにすっごく時間がかかりました。短篇だし、分厚い小説でもないのに。
      作者が丁寧に書いているからなんだと思います。
      ストーリーありきで読み飛ばす小説ではないのです。すみずみまで細かく描かれた写生のような。
      目に映る光景が映像として描かれていく感じです。
      一方、新鮮さとか驚きは感じませんでした。

      小川洋子さんのお気に入りの1冊だそうです。彼女も丁寧に書く作家さんですよね。

      何でもない日常を繊細に丁寧に描くのは、日本人作家は結構得意です。
      だから日本人としては目新しいのは「インドの部分」だけに感じてしまうのかなあ。

      登場人物ではトウィンクルはかなり好きです。ちょっとダメ女みたいだけど。

      作者はインド出身の両親のもとロンドンに生まれ、現在ニューヨークで暮らすジュンパ・ラヒリ。
      ベンガル人で、超美人です!!!
      デビュー当時に世界一美しい作家コンテストがあったなら、30代であっても、ぶっちぎりで優勝したでしょう。
      >> 続きを読む

      2015/03/25 by

      停電の夜に」のレビュー

    • <マッパリウム>拝見してきました。
      綺麗なところですね~。機会が有りこの作品を読んだ際は思い浮かべて読んでみますね♪ >> 続きを読む

      2015/03/25 by 澄美空

    • 澄美空さん
      マッパリウム、ステキですよね。見てくださってどうもありがとうございます
      この中では反響で音も不思議な聞こえ方をするらしいですよ♪
      >> 続きを読む

      2015/03/25 by 月うさぎ

    • 評価: 3.0

      「停電の夜に」というタイトルと表紙からハートウォーミングなお話を想像していたけれど、全然違った。文章自体は他の方もレビューされている通り、とても丁寧で繊細で女性ならではの描きかただなぁという印象がある。でも内容は必ずしもあたたかいものではなく、むしろ虚無感漂っていたり、時に明るさがありつつも暗かったり。

      短編は基本的に、インド人と外国人の話であったり、異国にすむインド人の話だったり。正直個人的にはあまり好みではなかった。移民とかもピンとこないし、違う国に住んだ経験もないということも多いに関係しているかもしれない。違う国の人とちょっとした価値観のズレとかを感じたりしたことのある人にはすごく響く話なのかもしれないとも思う。

      でも!
      表題作はとても面白いと思った。
      男女の違いをすごく感じる作品。
      >> 続きを読む

      2015/03/05 by

      停電の夜に」のレビュー

    • 私も今、読んでいる途中ですがしっくりきていません・・・
      特に日本人にとって、インド人って興味が薄く存在が遠すぎるように感じます。
      欧米文化は日本では結構知られているけどインドってねぇ・・・
      >> 続きを読む

      2015/03/09 by snoopo

    • snoopoさん
      そうですね。知らない文化、知らない生活、知らない価値観ってあるんだなぁという意味で興味深い感じはあるのですが、なかなか入っていけないんですよね。笑 >> 続きを読む

      2015/03/09 by chao

    • 評価: 4.0

      再読です。初めて読んだ時の印象は、シビアな小説だという感じ。表題作は若い夫婦のお話ですが、予想していた結末ではなくて意表をつかれました。オーヘンリー賞を受賞、という予備知識から、賢者の贈り物とかをイメージしながら読むと裏切られます(オーヘンリーもシビアな物語書いてますが)。
      内容自体は厳しいな、と感じる部分もありますが、表現力が豊かで細やかな描写が素敵な作品集です。個人的には食べ物の描かれ方が好きでした。停電の夜に夫婦が食べていた料理が特に美味しそう。他にも、些細なところで書き方がうまいなあーと思わされます。だからこそ、短編であってもそれぞれの作品の世界観がありありと浮かぶのだと思います。
      読みやすいので、課題図書としてはハードル低めです!みなさんのご感想お聞きしたいです。
      >> 続きを読む

      2015/03/03 by

      停電の夜に」のレビュー

    • 私も予想していた結末と全然違いました!
      全体的にシビアですよね。笑
      でも表現豊かというのは本当におっしゃる通りだと思います♪ >> 続きを読む

      2015/03/05 by chao

    • iceさん
      かもしれませんね!夫婦は仕方なく余ってたローソクを鉢植えにさしたりしているんですが、その雰囲気はとても素敵でした。木造だと火の取り扱い注意ですね。

      chaoさん
      予想を裏切られますね。女性ならではの視点があると思いました。結末が予想と異なっていてもなんとなく納得しちゃうところがこの本のすごいところかもです。
      >> 続きを読む

      2015/03/05 by pechaca

    • 評価: 3.0

      読むのに異常に時間かかりました。。
      大きな事件が起こらない日常を切り取ったような短編集です。
      私が苦手としているジャンルです(笑)

      私は今までたいした読書量がないということもありますが、今まで読んだどんな本とも違う雰囲気だと思いました。

      みなさんレビューされているように、どの短編もドライです。ラストに希望のあるものもありますが、ドライのままのものも多く、現実ってそんなものなのかもしれないと思いました。人生厳しいな〜(笑)

      私は途中退屈してしまってあんまり楽しめませんでしたが、こういう本も楽しめる大人になりたいものです。
      >> 続きを読む

      2015/03/24 by

      停電の夜に」のレビュー

    • arinkoさん
      私の少ない語彙ではドライという言葉が1番近かったんですが、なんとも形容が難しいです。ブックオフで見つかることを祈っております♪

      cojiさん
      最後まで読むの、根気要りますよね(笑)
      cojiさんファイト♪

      月うさぎさん
      本がどうというより、私が苦手だった・・・という感じでした。まだまだ修行が足りません。。
      >> 続きを読む

      2015/03/25 by ただひこ

    • 私もようやくゴールインしました。
      じっくり読むタイプの小説なんですよ、きっと。
      濃密というよりはきめ細かい作風。
      手の皴や服の襞、空の色、壁紙の模様、そんないちいちが
      形として目の前に現れてくる感じ。
      まるでノンフィクションか実体験みたいでしたね。
      >> 続きを読む

      2015/03/25 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

      ずっと気になっていたのですが、ようやく読むことができました。
      このレビューを書こうとして初めて知ったのですが、読書ログでも課題図書になっていたことがあるんですね。皆様のレビューを拝見するのは、このレビューを書き終えてからにしますが…

      日本語版では「停電の夜に」が表題作ですが、奥付の原題を見ると、O・ヘンリー賞を受賞した「病気の通訳」の名前で刊行されたようですね。日本で「停電の夜に」をタイトルにしたのは、映画化の関係でしょうか。

      どんなものかな、と思いながら読み始めたら初っ端の「停電の夜に」でラストの衝撃にやられたので、やっぱりこれが一番好きです。きっと忘れない。「三度目で最後の大陸」もなかなか味わい深いですが、「停電の夜に」の衝撃がすごすぎて…。ええ、嫌いじゃないです。

      偏見入ってますが、やっぱり女性作家って、ちょっとえげつないとこありますよね。それがいいんですけれど。

      そういえば「停電の夜に」って、原題は「A Temporary Matter」というんですね。作品の冒頭「臨時の措置、と通知には書いてあった。」に対応しているのでしょう。「停電の夜に」というタイトルにすることで、作品のイメージがだいぶマイルドになっています。それだけに、ラストのスパイスがよく効いているのかな。ほかの作品の原題も確認してみましたが、大きく変えているのは「停電の夜に」だけですね。臨時の措置、だと短編集のタイトルとしてはちょっとお堅いからでしょうかね。

      訳者あとがきには結婚をテーマにした話が多いとありますが、どちらかというと結婚というよりも、男と女が主題なのかな、と思いました。他の作品も読んでみたいです。



      以下、「停電の夜に」のソフトなネタバレ入ります。

      衝動で相手を傷つけて、やってしまった後で後悔してももう遅かったりして、大事にしたいのにうまくいかなくて、可愛さ余って憎さ百倍、とっても大事にしていたからこそ針が振り切れると反動でひどいことをしてしまったり。うまくいきそうで、でもちょっとしたことで足元は壊されて、これまで築いてきた二人の関係が瓦礫と化したとき、その前で泣くしかないことって、あるのではないでしょうか。愛って、理屈じゃないですからね。頭に血が上って、言ってはいけないことをわざわざ口にして、決定打を放って取り返しのつかない事態にしてしまったあの空気にやられました。その前に蝋燭を灯して崩れかけた城を修復しようとしているように見えていただけに、その一撃がクリティカルヒットでしたね。これが男女の愚かさと悲しさでしょう。作者の視点がすごい。
      >> 続きを読む

      2016/02/07 by

      停電の夜に」のレビュー

    • 「A Temporary Matter」
      このタイトルでエンディングになるほど。と思いますね。
      〉やっぱり女性作家って、ちょっとえげつないとこありますよね。
      あります。あります。えげつないって表現あってますね。
      >> 続きを読む

      2016/02/08 by 月うさぎ

    • > 月うさぎさん
      女性作家、えげつないですよね…!
      原題は作品に合っていましたね。

      2016/02/11 by ワルツ

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