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2015年09月の課題図書

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2015年09月の課題図書


今月の課題図書は読書ログでも大変評価が高い
三島由紀夫の代表作「金閣寺」です。

金閣寺が寺の青年僧に放火されたというショッキングな実話を題材にしており、
その文章表現の豊かさ、力強さは圧倒的な次元に達しています。

そしてこの作品が三島由紀夫31歳の時の作品であることには驚愕しかありません。
しかし、彼がただ天才だったわけではなく、徹底的な取材、調査を基に執筆したことを忘れてはいけません。

作品に対する作者の熱い思い、彼が社会に抱いていた想いなど
この機会に是非堪能してみてはいかがでしょうか。


Book Information

金閣寺

4.1 4.1 (レビュー18件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 580 円

1950年7月1日、「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の青年僧」という衝撃のニュースが世人の耳目を驚かせた。この事件の陰に潜められた若い学僧の悩み―ハンディを背負った宿命の子の、生への消しがたい呪いと、それゆえに金閣の美の魔力に魂を奪われ、ついには幻想と心中するにいたった悲劇...。31歳の鬼才三島が全青春の決算として告白体の名文に綴った不朽の金字塔。

いいね! chao tomato tadahiko

    レビュー

    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      『金閣を焼かなければならぬ』
      この小説は最終的にその犯行の「動機」一点にのみ集約されていく。
      「金閣寺」が放火により全焼したのは「事実」。
      その確かさは動かし難く、誰も、どうあっても放火を思いとどまらせることはできない。
      読み手がどんなに忸怩たる思いをもって見つめていようがどうしようが。

      「金閣寺」は再読である。
      文章、構築された世界観、主人公の人物の異様さ全てに圧倒され、三島の構築する「美の意識」に強い影響を受けた記憶がはっきり残る。
      なのに今回は非常に読み辛かった。集中しきれなかったのだ。
      それは、読み手である私の読み方が変わったのだと思う。
      登場する人物全ては役者のようで現実の人間の体温を欠く。
      いわゆる普通の物語でなく、もちろんノンフォクションでもない。
      これはかなり異型ではあるけれどこの時代を映した青春小説なのであった。

      自己への耽溺、自意識過剰と疎外感、自分対世界の対立、その全てに対する愛憎。
      「自分が特別であることへの劣等感と優越感」
      それらを僧職にあることで拡大化し差別化はしているものの、
      基本は青春期の人間の葛藤と本質的に異なるものではないと思う。

      若い修行僧の「一人称」で語られる告白文の形態だが、事件の概要以外はもちろん創作だ。
      犯人の性格、体験、関係者など、すべてはフィクションなのだろう。
      主人公を金閣寺を美の象徴として自己の対極にある支配的な存在だという思念に捉えられたパラノイア的人物として造形しつつも
      その言動、思考回路には三島その人が透けて見える。

      父、母、有為子、鶴川、柏木、老師、といった登場人物は実在的というよりは
      多分に象徴的だと感じた。
      戦争さえも短い生、儚い生の象徴だ。

      敗戦を「それは解放ではなかった。断じて解放ではなかった。」と宣言させているが、
      大戦の中に少年期を過ごし、生きながらに死者の目を持たざるを得なかった
      この年代の人々の中にも、同じ思いを持つ人は多かったのではないだろうか。
      おそらく三島その人も。

      この小説を単なる青春の挫折に終わらせないものは、「戦争」にあるのだった。

      「人間のようにモータルなものは根絶することができないのだ。
      そして金閣のように不滅なものは消滅させることができるのだ」
      金閣を焼けば世界の意味を変えることができる。

      それは日本と心中しそこねた若者の不完全感ではないのか。
      死の契を交わした相手だったはずの日本は、それどころかアメリカの妾になってしまったのだ。

      三島由紀夫が割腹自殺を遂げることをすでに知っている身からすれば、
      「憂国」に先んじ、「金閣寺」で主人公が炎上する金閣寺の最上階で短刀で自殺するイメージを抱いたことは、非常に暗示的にも思えてくる。
      また作中にこんな言葉がある
      「私の現実生活における行為は、人とはちがって、いつも想像上の忠実な模倣に終わる傾きがある。」
      「あらゆる体験は、もっとも輝かしい形で、あらかじめ体験されているという感じを、私は拭うことができない。」
      31歳の三島が予見もしなかったはずの先の人生の幕引きは、ここ「金閣寺」の炎上する究竟頂の中に想像された「美」によって準備されたのかもしれない。
      そう思うのは穿ちすぎだろうか。


      ところで三島由紀夫の「金閣寺」がなかったなら、再建された金閣寺は、今見て感じるような
      幻想的な感慨を与えてくれただろうか?
      放火があり小説がありそれゆえ美の象徴となった金閣寺なのではないだろうか?
      しかし人々が愛でるその建築物は昔と同じ金閣寺ではない。
      中に何も包んでいない外見だけの抜け殻なのではないだろうか?
      やはり金閣寺は燃えてなくなってしまったのだ。
      代わりに実在するのがこの小説「金閣寺」なのだ。
      京都の鹿苑寺にある再建された建築物ではなく、この小説の中にこそ金閣寺は復刻された。
      そして今度こそ永遠の存在となった。
      三島の意図とは違ったかもしれないが。
      >> 続きを読む

      2015/10/19 by

      金閣寺」のレビュー

    • アスランさん、ありがとうございます。
      この小説は要するに三島のごたくですから、彼の考えとシンクロ出来なくても問題ないんですよ。
      読んで酔えるかどうかに尽きると思います。
      この直後に、酒井順子さんの「金閣寺の燃やし方」を読んでみたんです。
      まあ、なんとよく要約している事!
      もし、ご興味があったらお読みになるといいと思います。
      私のレビューよりもずっと詳しくて説得力がありますし、水上勉との比較文学論になっていてそれも面白かったです。
      次、その本レビューしますので、よかったらそれもチェックしてみてくださいね。
      >> 続きを読む

      2015/10/23 by 月うさぎ

    • 弁護士Kさん
      うわ~。さすがKさん、読みが深いです。見抜かれていますね。
      きっと今から初めて三島を読むのなら、そして三島のあれこれを知ってしまってからこの小説に入ったとしたなら、なんじゃこれは?って嫌いになったかも。
      でも、この本を読んだのは10代かそこらでした。
      読んだのも「仮面の告白」と「金閣寺」(笑)
      つまりはガキだったので、結構イケました。
      私は昔は我ながら信じられないくらい観念的な人間でした。
      肉体がなくなってしまえばいいのに、と思っていた位な若いころの私。
      三島の初期の2作は特に思春期小説、青春小説なんだと思います。
      自我の拡張に汲々とし、あり得ないくらいに観念的になっているそんな時期。
      でなかったとしたら、三島にどっぷりは入れない気がします。
      年老いると穢れるって言って死んだ三島は生涯大人にならずに、
      中庸を知らぬままに逝ったんでしょう
      >> 続きを読む

      2015/10/23 by 月うさぎ

    • 評価: 評価なし

      これが日本文学、、、

      言葉の洪水に溺れかけ、自分の国語力のなさが情けなく
      純粋にこの本を楽しむことができませんでした。

      金閣寺の美しさに憑りつかれた青年が「金閣を焼かねばならぬ」と考え
      放火し自殺しようとするが、結局「生きよう」と思う。
      自分の行いを棚に上げ、人を憎み、身勝手な思想とともに生きる愚かな青年の
      気持ちを理解できるわけもなく
      (そもそも理解しようとすることが間違いなのかもしれない)
      読んでいても最後まで暗闇の中を彷徨っている気分でした。

      ただ1つだけ言えるのは
      三島由紀夫の美へのこだわり、文学の才能が突出していることだけは
      私でも感じる事ができました。
      >> 続きを読む

      2015/10/16 by

      金閣寺」のレビュー

    • ikomotさん
      コメントありがとうございます。
      溺れたのが私だけでなくて少し安心しました(笑)
      私も最初主人公の気持ちを理解しようと思いましたが、
      途中からは分かりたくもないわ!って気分に変わりました~
      >> 続きを読む

      2015/10/19 by アスラン

    • レビューようやく書きました。お暇な時に読みに来てね。
      〉途中からは分かりたくもないわ!って
      ですよね!
      それも当然で三島はリアルな人間を描く気はなかったんです。
      テーマとして定めた「美への傾倒と永劫性への反感」を描くための素材でしかない。
      だから本来は複雑なはずの人間を一面的に描き倒していますね。
      描きたいテーマ、主張へ一直線という構図でした。
      だから難解な小説という意見があるようですが、そうではなくてとてもわかりやすい小説ではないかと思います。
      >> 続きを読む

      2015/10/20 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

      初めての三島由紀夫。ご本人の逸話からなんとなく読むのを避けていました。

      まず、文書の密度が凄く濃くてなかなか読み進め難かったです。これが知性と緻密とロマンというものか!
      主人公の溝口君がまわりに対してすごく甘えているのにそれを自覚していない、まるで思春期の男の子の生々しい部分を見ているようで私は彼の思考をなぞっていくのが気持ち悪かったです。
      まだ物語のなかでは火はついていないのにずっと蒸し風呂のなかにいるような不快感が続く小説でした。
      そんななかお母ちゃんの不義とおっぱい茶と金閣寺で尺八のシーンはただただ綺麗で荘厳で圧倒されました。

      他の三島作品も読んでみようかな。
      >> 続きを読む

      2015/09/04 by

      金閣寺」のレビュー

    • アスランさんありがとうございます!
      私は読書ログに登録した記念に課題図書を読もうと決意して読みました。
      名作といわれているお話はタイミングを逃すとなかなか読む機会がないですよね…。

      >> 続きを読む

      2015/09/04 by Mikkeko

    • やっと昨日読み始めました!
      難しい・・・
      しかも9月終わっちゃいました(苦笑)

      2015/10/01 by アスラン

    • 評価: 4.0

      言わずと知れた三島由紀夫の代表作品です。

      学生時代に一度読んだことが有るはずなのですが、当時は言葉を飾り過ぎているような気がしたのを覚えています。

      三島由紀夫のファンは多いので、有名な逸話かもしれませんが、どこかで彼が辞書を愛読していたという話を聞きました。

      彼の文章に飾り過ぎと思わせる表現が多いのは、語彙を増やそうと辞書を愛読するほどのストイックさの賜物なのだと知り、改めて彼の作品に触れてみたいと思ったのが再読のきっかけです。

      そして再読。

      やはり描写の精緻さは他の作家の追従を許さないものを感じます。

      ただ、予備知識が有ったせいか、学生時代に感じた拒否反応が今回は全く有りませんでした。

      本当は、さすがは三島作品!とか、わかったような感想を書きたいのですが、残念ながら私にはまだまだ。

      もう少し人生経験を積み、読み手としても語彙を増やしてから再挑戦しようと心に決めました。
      >> 続きを読む

      2012/12/03 by

      金閣寺」のレビュー

    • 辞書を読んでいたという話は聞いたことが有ります。

      PC全盛のこの時代、もしかしたら辞書を読むことの意義って更に増しているかもしれませんね。 >> 続きを読む

      2012/12/03 by ice

    • 私も久々に読みたくなり先週BOOK OFFで購入しました。
      皆さんのレビューを読んでなんか楽しみになってきました。
      (でもその前に未読の本が山積み・・・)
      >> 続きを読む

      2012/12/04 by ybook

    • 評価: 5.0

      文学的で良かった。

      分からない言葉が多かったのでkindleで出てたらすぐに辞書を引きながら読めたのになぁと思ったのがひとつ難点だった。

      でも漢字を見ればだいたいどのような意味の単語なのかわかったので大丈夫だった。

      主人公については、真っ白な純粋な男子に一見見えるが、過去に大人が彼に見せた醜い風景のせいで彼は歪んでいるようにも見えた。

      子供の心はちょっとした刺激でこんなにも影響されるもんなんだと思った。
      私も彼と同じく、彼の母親を憎く感じた。
      皆様はどう思われましたか?


      とてもデリケートな人間を描いた小説。

      家から原付で15分程度なので改めて金閣寺に行ってみたいと思った。見方が変わってるだろうな。
      >> 続きを読む

      2015/10/18 by

      金閣寺」のレビュー

    • >私も彼と同じく、彼の母親を憎く感じた。
      私が子供だったら、憎いというよりは情けない、と感じるような気がします。

      >家から原付で15分程度
      すごーーーい!金閣寺がそんなに身近にある環境、ステキですね
      >> 続きを読む

      2015/10/19 by アスラン

    • アスランさん

      コメントありがとうございます。
      確かに情けないという感情、大きいですね。
      憎い<情けないに訂正します。

      金閣寺、近いんです…!
      大谷大学も近いですし、イメージができたので読みやすく感じたのもあるかもしれませんね。
      >> 続きを読む

      2015/10/25 by snoopo

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