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2016年04月の課題図書

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2016年04月の課題図書


由緒ある静かな街ゲイルズバーグ。
この街に近代化の波が押し寄せる時、奇妙な事件が起こる……
表題作他、現代人の青年とヴィクトリア朝時代の乙女とのラヴ・ロマンスを綴る「愛の手紙」など、
甘く、せつなく、ホロ苦い物語の数々をファンタジー界の第一人者がノスタルジックな旋律にのせて贈る
魅惑の幻想世界短編集。


「何読んでるんですか?」
「フィニィの『ゲイルズバーグの春を愛す』だけど?」
(やばっ、かっこいい)

こんなやり取りに憧れる方は、どうぞこの機会にいかがでしょうか。

Book Information

ゲイルズバーグの春を愛す

4.0 4.0 (レビュー7件)
著者: ジャック・フィニイ
カテゴリー: 小説、物語
定価: 819 円
いいね!

    レビュー

    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 5.0

      「…そして焼けつく夏の日々を、また秋を、街路につらなる並木の黒い枝々に雪の降りつもる冬を、私は愛する」

      ゲイルズバーグの新聞記者記事の一節から始まる表題作。
      読んだ瞬間、あまりの雰囲気の良さに魅了されてしまいました。
      過去から受け継がれた美しい街に近代化の波が押し寄せる時、数々の不思議な事件が起こります。

      いつかは広大な工場が建ち、アスファルトで舗装された道路ばかりになるのでしょう。
      私たちの生きている現在は、過去の良いものを簡単に破壊してしまいます。
      美しい風景とノスタルジックな雰囲気に心奪われ、一読者である私も過去が現在に戦いを挑む現象にエールを送りたくなりました。


      4月の課題図書、表題作を含む10編です。
      過去と現在が重なった時の不思議な感覚が、とにかく心地良い。

      最後に収録されている「愛の手紙」で終わるのもセンスあるなぁと思いました。
      この物語、隠し抽斗は3つまでという制約が切ないですね。
      もしかして生涯結婚しないままだった?とか、なかなか想像力を掻き立てられるラストです。。

      全てを読み終えた後に、表紙イラストを眺めるのがまた良いんだ。
      再び、感動が込み上げてきます。
      >> 続きを読む

      2016/04/18 by

      ゲイルズバーグの春を愛す」のレビュー

    • 内田善美さんは70年代に活躍された漫画家ですが、絵が緻密な分作画に手間がかかるのでしょうね。寡作な作家だったと思います。
      今の漫画家のように真っ白白な絵でもって、スクリーントーンテクニックでごまかし…(いかんいかん)…見せる絵ではなかったでしょう?
      当時は珍しい美大卒の漫画家でおおやちきさんと共に画力では非常に高い評価を得ていました。
      こんなところで会えるとは…!こちらのほうがタイムトラベルみたいでした。
      >> 続きを読む

      2016/04/21 by 月うさぎ

    • 月うさぎさん
      内田さんのイラストは細部まできれいに描かれていて、何枚か見ただけなのに圧倒されました。あの背景や人物を描くのに、何時間かかるんだろう・・・
      美大卒、すごく納得です!!!

      >こちらのほうがタイムトラベルみたいでした。
      表紙絵も含めて、この作品らしさを感じられますね。
      ますます好きになりました(*^^*)
      >> 続きを読む

      2016/04/22 by あすか

    • 評価: 4.0

      過去と現在がふとした瞬間に繋がるようなとても美しくて上質な短編集。

      物語は現実離れしているようだしありえないけど、でもどこかでこういうことが起こっているかも。そんな風に思いたくなるようなあたたかくてちょっと不思議な物語。ものすごいトリックとかそういうものがあるわけでもないのだけど、すごく良い時間を過ごせたなぁという素敵な読後感を味わえる。

      どれも良いけど、最後の「愛の手紙」は特に好き。
      読み終わった時にこんな気持ちで本を閉じるのは久しぶり。

      2015/02/21 by

      ゲイルズバーグの春を愛す」のレビュー

    • わたしはこの本は知らないのですが、気持ち良く本を閉じられるとき、読書って本当にいいものだなと思えますね。
      海外ものを躊躇しがちですが、皆さんに刺激されて読むようになってきました。
      >> 続きを読む

      2015/02/23 by jhm

    • jhmさん
      返信が非常ーーーーに遅くなりました。課題図書にもなりましたね♪この本はすごーく読後感が良かったです。後味悪い本も好きなのですが、これは上質な読書の時間だったなぁと思える感じで。jhmさんも機会があったらぜひ♪ >> 続きを読む

      2016/05/06 by chao

    • 評価: 3.0

      「タイムトラベル小説」というジャンルがあります。
      日本で有名なのは、筒井の「時をかける少女」とハインラインの「夏への扉」ではないでしょうか。
      「夏への扉」の話がでるとヤングの「たんぽぽ娘」が引き合いに出され、
      ヤングの話がでると本作「ゲイルズバーグの春を愛す」が話題になるのです。
      なぜなのか?
      今回の課題図書はきっとハインラインだヤングだと年中言っている私への読書ログさんの挑戦ね。
      そんな気がして手に取った本作でした。

      思い出や「古き良き時代」に関した短篇小説が並びます。
      大甘なSF?いいえ、SFという訳でもありませんでした。
      短篇小説作家として評価するなら悪くないです。
      だとしてもO.ヘンリーやサリンジャーやらジャック・リッチーやらもっと読むべき妙手がおりますし…。
      ヤングは少なくとも(書かれている内容はともかく)精神は確かにSFだったのです。
      これはファンタジー…いやむしろロマンティックな怪奇小説というべきなのではないかしら。
      不思議な事どもについての合理的な説明も、センス・オブ・ワンダーもないからです。
      登場人物がみつめているのは未来ではなく過去への郷愁(ノスタルジー)です。

      フィニイの魅力はなんといっても19世紀末~1950年代のアメリカの風景や建物の描写です。
      しかし日本人にとっては原風景としてはイメージの中に全くない情景なのですよね。
      映画だったならどれだけ助かるだろうと思いながら想像力を駆使して読みました。

      この本の表紙は内田善美氏の美麗で緻密なイラストで飾られています。
      (これはおそらく「愛の手紙」を表現したのですね)
      70年代の少女漫画ファンにとっては彼女の絵と出会えたことは
      本小説以上にタイムトラベル的な驚きを感じました。
      ...( - -)遠い目

      でも背景の風景は当作品世界とは違う気がします。
      石造りの建物、狭い石畳の街路、高くそびえる塔。
      これはヨーロッパの風景であってアメリカの標準的な都市の町並みではないのです。

      ペンキで明るい色に塗られた木造のゆったりした建物が芝生の庭をもった広い敷地に点在し、路地もなく塀もなく、巨木の並木が真っ直ぐな街路をトンネルに変える。
      フィニィによればそれがアメリカの田舎町なのですから。

      フィニィは「古き良き時代」に撞着し現実拒否をしている作家なのだそうです。
      この時代のアメリカ人の気分を表した、時代の作家でもあるようです。
      60年代の日本は高度経済成長真っ盛りで懐古趣味に浸っていた人はほぼ皆無だったでしょうね。
      戦争に勝ったアメリカが先行きに悩み落ち込んでいた。皮肉な話ですね。


      【内容】
      1.ゲイルズバーグの春を愛す
        (I Love Galesburg in the Spring-Time)
       イリノイ州の小都市ゲイルズバーグはノックス大学を擁する美しい町。リンカーンゆかりの歴史ある町でもある。
       しかし近代化の流れは容赦なく、町の姿を変えようとしていた。
       新聞記者のオスカーだけは気づいていた。
       この町で不思議な事件が頻発していることを。

      この小説に出てくる家ってきっとこんなイメージでしょう。
      http://www.visitgalesburg.com/uncategorised/galesburg-historic-home-tour/queen-anne-residence-built-1894.html
      Queen Anne houses(1894築)

      http://www.visitgalesburg.com/uncategorised/galesburg-historic-home-tour/william-browning-house-built-1868.html
      The Browning Mansion(1868年築)

      ミステリーやホラーになりがちなこのテーマをきれいな作品に仕上げている。
      自分達の身の回りだって時の流れの中に消えていくものの何と多いことか…。

      2.悪の魔力 (Love, Your Magic Spell is Everwhere)
       散歩がてらに立ち寄った店には本物の「魔法の品」が売られていた!
       服が透けて見える眼鏡、相手を奴隷のように操れるエジプトの腕輪…。

       男の妄想ですね( ̄ー ̄)  最後はラブ・ポーションでわなにかかる。
       この作品、好きな人が多いみたいです。
       けれど私は女性の立場からしてこの男はちょびっとヒドイと思うのである。
       テッド、あんたはフリーダとお似合いよ。

      3.クルーエット夫妻の家(Where the Cluetts Are)
       建築家ハリーに接待用の邸宅の設計を依頼してきたクルーエット夫妻は、偶然に見つけた旧時代の邸宅の設計図を見て気に入り、それを再建したいと言い出した。
       完成した家に住み始めた二人の暮らしぶりは時代がかって奇妙な様子にハリーには思われた。
       やがて邸はかつてそこに住む家族が現存した時の幸せな記憶と一体化し時空さえも越え…。

      ロマンではあるけれど。本当ならこれはホラーだわ。

      4.おい、こっちをむけ!(Hey, Look At Me!)
       書評家とその友人の作家マックス・キンジェリー。
       処女作のみを残し無名のまま没した彼の幽霊が現れて。

      一見ホラーだけれどこれはブラックコメディ。
      作家の自意識を茶化した作品。

      自分の生きた証を残したい。どんな形であっても…。
      そういう満たされない思いをもって生きている人は多いでしょう。
      ブックレビューなんてやっているのもそういう気持の一環かもしれません。

      5.もう一人の大統領候補
        (A Possible Candidate for the Presidency)
       こちらもゲイルズバーグの町が舞台。
       大統領候補にまで上り詰めた男の幼少期の武勇談…
       サーカスから脱走した虎が目の前に!

      悪賢いいたずら少年。と思いきや意外にダークな裏話。
       「私」って男は…!!

      6.独房ファンタジア(Prison Legend)
       死刑執行が一週間後に迫った元画家の囚人ルイス・ペレスは
       画筆と絵の具を取り寄せてもらうと、監房の壁に一心不乱に絵を描き始めた。
       それはあまりにもリアルな「扉」の絵だった。

      7.時に境界なし (Time Has No Boundaries)
       若き才能ある物理学者ウェイガン教授は時間移動についての理論を確立していた。
       イリーン警部は犯罪者を過去に送っていたに違いないと断定し、証拠を突き付け問い詰めるが…。

       刑事の執念はジャベール並み。異常だわと思ったらなるほどのオチ。

      8.大胆不敵な気球乗り(The Intrepid Aeronaut)
       手作り気球で夜のサンフランシスコを空中散歩。
       空に漂う気球の描写は映像的でファンタジック。
       同行の女性と連れだっての一夜の冒険はまさに夢そのもの。

       空を飛ぶ思いを描いた小説ならサン=テグジュペリの熱き心とリアリティには遠く及びません。
       むしろサンフランシスコの景色を描きたかったのでは?

      9.コイン・コレクション (The Coin Collector)
        パラレルワールドもの。一見SF…中身は男の妄想爆発のファンタジーでした。
        誰しも思うだろう。「あの時、あっちを選択していたら?…」
        その可能性の世界を見られるものならみてみたいのは当然の心理。
        結婚4年で倦怠期真っただ中のアルが迷い込んだ世界では昔別れた女が妻になっていた。

        別世界への鍵がその時代のコインというところがお手軽でフィニイ流。
        でも、その世界の『私』はどこいってしまったの?
        パラレルワールドのジレンマは無視なんですね~。
        あっちの女に飽きたらこっちの女と交換してそれにも飽きたら…って┐(´-`)┌
       フィニイがフェミニストでもブラックユーモアの持ち主でもないことは確かですね。

      10.愛の手紙 (The Love Letter)
        タイムトラベルもの。といっても主人公がタイムリープする訳ではありません。
        過去とつながる次元ホールを通して文通するお話。
        ロマンティックでこの短篇集の一番の人気作。
        確かに品があって文学的でステキ。


      これらのプロットはいくらでもホラー仕立てにできそうですし、ブラックな終わり方にもできそうです。
      でもそうならないので恐い話が嫌いな方にも安心してお勧めできると思います。

      私は短篇に関してはもっとキレがある作品や、深い哲学など価値観が共有できる作品のほうが好きみたいです。
      フィニイは、どこか小さくまとまっていてあまり肌に合わないかも。フィニイが気に入った方にはぜひレイ・ブラッドベリは読んでみてもらいたいものです。
      >> 続きを読む

      2016/04/27 by

      ゲイルズバーグの春を愛す」のレビュー

    • この本はとっても雰囲気がよくって好きでしたが、好みで言うと私もキレのある本や哲学ある本の方が良いかもです。月うさぎさんのレビューでブラッドベリを読みたくなりました。最近全然読書できてないのに、読書ログを開くとどんどん読みたい欲が高まってしまうー!! >> 続きを読む

      2016/05/06 by chao

    • chaoさん
      ブラッドベリは単にノスタルジックなのではなく恐怖を風味としています。
      定番といえる作家なのでいつかは読んでみてください。
      彼の場合は短編集から入るのが正攻法だと思います。
      どれが一番とは言いにくいですね。割とみんな良いから
      >> 続きを読む

      2016/05/08 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

       ハートフルさを加えた世にも奇妙な物語、といった趣きの短編集です。

       いつも通りの日常を過ごしていても、ちょっとした拍子に非日常と交錯する、なんてことがあるかもしれない。そんなことがあってもいい。いや、きっとある。そんな気分になれます。

       過去へ思いを馳せること、古き良き時代の持つ暖かさを感じることが、著者の描きたかったタイム・トラベルそのものなのでは、と思います。最後に収録されている「愛の手紙」が、まさにそのような作品です。これが最後に来ているのは、編者の方の意図なのかどうかわかりませんが、素晴らしい読後感を演出してくれます。


       もうね、タイトルからして雰囲気良すぎです。読んでる私まで何か醸し出せそうです。
      「何読んでるんですか?」
      「フィニィの『ゲイルズバーグの春を愛す』だけど?」
       はい、かっこいいです。
       こんなやり取りに憧れる方は、ぜひどうぞ。
      >> 続きを読む

      2014/12/01 by

      ゲイルズバーグの春を愛す」のレビュー

    • 見せびらかして読みたいので、チェックしました(^∇^)
      少し前の作品ですね、知らなかったので嬉しいです。 >> 続きを読む

      2014/12/02 by 空耳よ

    • 読みました♪
      たしかに世にも奇妙な物語っぽいですね。それも大人向けの。
      全体的に雰囲気も良くて、いいですね。 >> 続きを読む

      2015/02/21 by chao

    • 評価: 2.0

      読書ログ4月の課題図書。
      課題図書でなかったら、絶対に読む事は無かった本です。

      10の短編集なのですが、その大半が1880~1900年初頭のアメリカを懐かしみ、少し不思議な過去との邂逅が起きる……そんな幻想が織り込まれた作品。
      残念ながら、いまいち作品に入りこめませんでした。
      ただストーリーを追っているだけに。
      作品に様々な形で出てくるのが100年以上前のアメリカなので、私にはまったく馴染みが無く、ビクトリア調の邸と書かれていても、ピンと来なかったんです^^;
      (検索して画像で見てみたら、大きくて、とてもお洒落な邸でした)
      アメリカの方にとっては「懐古」と受け取られるのでしょうが、私にとっては懐かしいというより、遠い世界の出来事を眺めているような感じになってしまいました。

      ただ、1880年~現在において、目まぐるしく近代化していったのは、アメリカだけではなくどの国でも同じです。
      そんな時代の波に乗れず、心だけが取り残されてしまった。作者のフィニィもそうなのでしょう。
      それにしても、アメリカ人って先進的で合理主義なイメージがあったのですが、フィニィのような人も少なからずいるのですね。
      もう少し歳を取れば、フィニィが現代を拒否して昔を懐古する気持ちが理解できるのでしょうか。

      過去への憧憬を含んだ作品が多かったのですが、決してそればかりではありません。
      『コイン・コレクション』という、奥さんと不仲な男がもう一つの現実世界(並行世界)を行き来し、タイプの異なる奥さんと交互に仲良く暮らしていく話は面白かったです。
      今いる現実とは似ているけど少し異なる世界で、有名人が少し長く生きていたり、テレビ番組が異なっていたり、好きな作家の見た事もない小説が売られていたりと……「もしも」の世界が広がっている話なのです。
      そんな世界があって、自由に行き来出来るのならワクワクしてしまいますよね♪
      >> 続きを読む

      2016/04/25 by

      ゲイルズバーグの春を愛す」のレビュー

    • 〉懐かしいというより、遠い世界の出来事を眺めているような感じ
      ゲイルズバーグの町並みや歴史的建築物などネットで調べたりしてしまいました。
      ヨーロッパは比較的現代でもそのまま昔の建物を使っていますので、イメージが湧き易いのですが、アメリカンクラシックとなると全くスタイルが異なりますから。
      そんなことやってたもんで、なかなか進まない。(^_^;)
      もうちょっとで読み終わりま~す。
      >> 続きを読む

      2016/04/25 by 月うさぎ

    • 私も昔のアメリカって何だろう?
      ゲイルズバーグってどんな所なんだろう?
      と、検索して画像見たりしました。
      それとこの小説、改行が少なくて1ページに文字がびっしりだから尚更時間かかりますよね。

      月うさぎさんの読み終わった感想も見てみたいです( ´ ▽ ` )ノ
      >> 続きを読む

      2016/04/25 by May

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    ゲイルズバーグ ノ ハル オ アイス 
    げいるずばーぐ の はる お あいす

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