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2016年06月の課題図書

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2016年06月の課題図書


梶井基次郎の短編小説で梶井の代表的作品。

現代におけるところのストレス発散でしょうか。
憂鬱な気持ちに対して、高級品を買うとか、美味しいものを食べるとか、そういう外面的な発散ではなく、
何とも言えない手法が描かれています。

花火、おはじき、南京玉が好きになった。
そんな私が最も好きな店、果物屋。そこで目に留まる檸檬。
檸檬に関する空想。

完全に理解はできないけど、ニュアンスはすごく納得できる不思議な感じ。
時代がかわり、便利なものが増えたとしても、人間の本質は変わらないからこそ、
理解できる名作なのかもしれません。

青空文庫で名作に触れるきっかけとしても本作品、この機会にいかがでしょうか。
http://www.aozora.gr.jp/(青空文庫トップ)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/424_19826.html(青空文庫檸檬)

Book Information

檸檬

4.2 4.2 (レビュー8件)
著者: 梶井 基次郎
カテゴリー: 小説、物語
定価: 452 円
いいね! KEMURINO

    レビュー

    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 3.0

      れもん、というと何を連想されるでしょう?
      レモン・ティー、レモンイエロー、ジャック・レモン、ミス・レモン、レモンサワー、青春、妊娠、レモン・ソング、広島、はちみつレモン、レモンパイ、レモングラス…そして爆弾?!

      私は真っ先に浮かぶのは智恵子抄です。
      梶井「檸檬」派と谷川「レモン哀歌」派に分かれそうな気がします。

      私の手からとつた一つのレモンを
      あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
      トパアズいろの香気が立つ

      痩せ細った白い手に黄色いレモンと白い歯
      がりりという音と立ち上る目に見えないほどの果汁の滴が香気とともに室内を満たすその光景がありありと浮かんできませんか?
      谷川俊太郎のレモンは本物のレモンです。

      一方、梶井基次郎の檸檬は果実の形をした宇宙です。

      梶井基次郎の檸檬はこの「檸檬」という文字の中に全てがあるという気がします。
      檸檬はまさに小宇宙。ここには完全がある。
      そして完全に孤立している。
      この二つの文字は他の意味を寄せ付けない。

      梶井文学の魅力というのは、彼独自の感覚による空想に対し、共感でき、真実味さえ覚えてしまう点にあるのではないでしょうか。

      『課せられているのは永遠の退屈だ。生の幻影は絶望と重なっている』(「筧の話」より)

      梶井基次郎の小説の底辺に流れる共通の韻律というものがここにあると感じました。
      私は基本的に私小説は嫌いなのですが、彼の小説には個人的独白に終わらない、なにか普遍的なものが内包されている気がします。
      自分の言葉を書きながらも自己愛に耽溺していない。
      身の回りのことを描写しながらも自己をまき散らしてはいません。
      小説には感覚そのものが描かれているからでしょう。
      斬新な視線で切り取られた光景や発想の、現実から突き抜けている部分と
      人間的な心の普遍性とのバランスがよいのです。
      英文学科であったことも彼の文学的底辺を広げている気がします。
      一方でこのような感性と心理の直結という手法は、日本古来の短歌にも通じるものである気がします。

      具体的なのに抽象的で、散文なのに詩的。
      感覚的なのに科学的な視線も感じてクール。
      「檸檬」は特別にそんな小説です。

      …何より「檸檬」って…真似したくなりますよね?

      今の書店員さんの業、ブックタワーはここから始まったとか?

      本当に本屋にレモンを置いてきても犯罪的行為ではないけれど、ブックタワーを勝手に作ったらきっと怒られる。

      では、私は心の中に檸檬を思い描いてみるとしよう。

      そして空想の中でそっと檸檬の爆弾を仕掛けてみる。
      ひっそり笑いながらこっそりそこから逃げてみる。

      後ろ向きな行為ながら、こんなささいなことが、憂鬱にさいなまれた心を洗ってくれることは実際にあるでしょう。
      「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた」
      そんな魔の時…。
      心の中の犯罪なら罪にはならないから、自殺やテロや犯罪に走りたくなった人は「檸檬」を読んでみましょう。
      …って違うか。(^^;)


      「檸檬」 新潮社版の収録作品一覧(20篇)
      「檸檬」  ☆
      「城のある町にて」 
      「泥濘」
      「路上」
      「橡の花」 
      「過古」
      「雪後」
      「ある心の風景」
      「Kの昇天」 ☆
      「冬の日」
      「桜の樹の下には」 ☆ “桜の樹の下には屍体が埋まっている!”というかの有名なフレーズはここが原点。
      「器楽的幻覚」
      「蒼穹」
      「筧の話」 ☆
      「冬の蠅」 ☆ 志賀直哉の「城崎にて」と比較してみたい
      「ある崖上の感情」 ☆
      「愛撫」 ☆ 猫の耳や足が気になりだします。猫って人間のサディスティックな部分かマゾヒスティックな部分のどちらかを引き出す気がしますね。
      「闇の絵巻」 ☆
      「交尾」
      「のんきな患者」

      私が気に入った作品、わかりやすかった作品に☆をつけてみました。
      (告白すると☆5レベルも多いですが、中には意味も良さもわからない作品もありました)

      (余談です)
      さだまさしの「檸檬」を先に知ってから梶井基次郎を知ったため、
      丸善は神保町の店のこととばかり思い込んでいました。
      (さだまさしの檸檬の詩の方の舞台は御茶ノ水です)
      京都だったのですね。大間違いでした。私ったら今まで何を読んでいたのやら。(^_^;)
      ところで御茶ノ水には画材店「レモン画翠」という有名なお店もありますよ。
      >> 続きを読む

      2016/07/01 by

      檸檬」のレビュー

    • 黄色とレモン柄にハマっている最中です。
      これ、買わなきゃ!とタイトルと表紙だけみて思いました。

      短編なのも、飽き症で集中力のない私にはうれしいです。
      今度の休みに探しに行ってきます。
      >> 続きを読む

      2017/07/18 by Lilly

    • Lillyさん
      遊びに来て下さってありがとうございます。今年の夏はレモン🍋の意匠をよく見かけますね!
      この本は、艶のあるレモンイエローに銀の箔押しの文字が印象的ですよね。
      実はこのデザインは期間限定らしく、今の新潮社の「檸檬」は別のデザインになっています。
      「檸檬」はどの出版社もなかなか良いデザインなのですが、この装丁の本が欲しかったんですよ。なので、止むを得ず、なんたらオフで探して購入しました。ここだけの話(^。^)
      >> 続きを読む

      2017/07/18 by 月うさぎ

    • 評価: 4.0

      6月の課題図書。
      胸が苦しくなるようで、爽やかな余韻を残す不思議な作品ばかり。
      何が良いのかわからない作品も何作かあり、何度も読み返していたら時間ばかりが経ってしまいました。
      よくわからないと感じるのに、なぜか心惹かれます。

      20の短編集。
      表題作「檸檬」に圧倒されます。
      瑞々しく鮮やかな檸檬が浮かび上がってくる表現力。
      欝々とし健康面や金銭面に不安を抱えている描写が多いのに、強烈な生命力を感じます。

      どの作品も、主人公の不安や焦燥が端的に伝わってきます。

      なのに檸檬を爆弾と見立てたり、猫について空想してみたり・・・可愛らしいなぁと感じる場面も出てくるのがおもしろい。
      文章の美しさもですが、物事一つ一つに対する着眼点や探求心が非常に優れた作家だと思いました。

      「檸檬」の他に、美しい風景描写が描かれている「蒼穹」「筧の話」がお気に入り。
      「Kの昇天」「桜の木の下には」もインパクトのある作品でした。


      「のんきな患者」を読み終わった後、偶然にも鮮やかな檸檬をいただきました。
      積み上げられた本の上に、ポンと置きたい衝動に駆られたのは言うまでもなく(^^♪
      >> 続きを読む

      2016/07/04 by

      檸檬」のレビュー

    • 月うさぎさん
      よくわからない作品でも、梶井さんの発想を楽しむことができたので、最後まで飽きることはありませんでした。(時間はすごくかかったけど(^^ゞ)
      「檸檬」を完成させるまでに何作も費やしたんですよね。。
      遺した作品は多くはないですが、月うさぎさんの言われるように大切に書かれているのは伝わってきます。

      「富岳百景」、教科書で読んだっきりなので久々に読みたくなりました~(^^♪
      富士山が恥ずかしいとかよくわからなかったのですが、今読んでも理解できるか怪しいです。
      >> 続きを読む

      2016/07/05 by あすか

    • 空耳よさん
      空耳よさんのコメント、私が文章にしたかったことすべてです!!ぜひレビュー書いてほしいです。
      梶井さんが描く「檸檬」は、驚くほど生命力に溢れていると思いました。
      他の作品においても、欝々とした死の雰囲気が漂う中、ぱっと鮮やかな色彩が浮かび上がってくるのが不思議でした。
      「桜の木の下には死体が埋まっている」の元ネタがわかったのも面白い発見でした(^^♪
      >> 続きを読む

      2016/07/05 by あすか

    • 評価: 5.0

       かつて吉行淳之介はこう言った。
       「梶井基次郎の『檸檬』は有名だが、あれは今では『れもん』でも作品の味を損なうことはないだろう。ただし、『レモン』では困るような気がする」(谷崎潤一郎『文章読本』の解説より)
       賛成だ。賛成だけれども、これは一体どういうことか? わたしは以下のように解釈した。『れもん』の方は、梶井の澄んだ感性とやわらかい言語感覚を損なわないが、『レモン』ではそれを損ねてしまう。
      こういう褒められ方はじつに作家冥利に尽きるのではないか。そもそも梶井の小説には、ふつう小説に必要とされる幾多の要素がない。豊かな物語がなければオシャレな会話もない、何より短いものばかりで量感がない。しかし、今でも読みつがれている。教科書に載るから読むのではなく、文庫本を書棚に並べるファンがたしかに読んでいる。吉行のような名人が話題にして褒める。そうして、また新しい読者が生まれる。夭折した梶井は不運だったかもしれないが、彼が残した作品は幸せもので、これからも愛されつづけるだろう。
       さいごに、本のカヴァーについて触れたい。それは檸檬と見まがうほどのレモンイエロー。当時、梶井が買物した例の八百屋に、この本を紛れ込ませたいと思うのは、わたしだけではない気がする。
      >> 続きを読む

      2015/01/26 by

      檸檬」のレビュー

    • 初めてこのレモンイエローの文庫のデザイン見た時、結構衝撃でした!
      この本のイメージ。こういうぴかぴかな感じじゃなかったんです。
      私は梶井基次郎さんの「檸檬」もさだまさしさんの「檸檬」も漢字がいいなあと思うのですが。
      最近、ひらがな、流行ですよね。
      町の名前とか駅の名前とか。
      流行るとこんどはそれに逆らいたくなる気がします。
      キラキラネームのヘンな当て字も好きじゃないですが、「れもん」ではひらべったい感じがして、つるっときれいすぎてしまって、観念的な気がします。
      葡萄、柘榴、林檎、檸檬…。いいじゃないですか~!書けないけど。(^^)
      >> 続きを読む

      2015/01/26 by 月うさぎ

    • この小説はこのもやもやっとした感じの難しい「檸檬」で決まりなので、書き換えると違った作品になってしまいそうです。「憂鬱」や「薔薇」より難しいです、あまり見ないし使わなくなったせいですね。日頃はレモンと書きますしね。 >> 続きを読む

      2015/01/26 by 空耳よ

    • 評価: 4.0

      初めてこの本を手に取ったのは学生時代だった。その時は「この人はとても繊細な人だったのだろう」と漠然と感じたものです。

      もともと体が弱く、31歳で夭折してしまった著者の作品は、全体的に死の香りと儚さが漂っているような気がします。
      エンジニアを目指していたというバックグラウンドと、常に死を意識せざるを得ない環境からか、知的で硬質なロマンティシズムに溢れているなと思う。とくに「すごく洗練された文章」という感じはしないのだが、とても感性を試されている感じがする(笑)

      表題作の「檸檬」、最初の1文がとてつもなくインパクトを持つ「桜の樹の下には」などが有名なのでしょうが、個人的には幻想的な「Kの昇天」と「ある崖上の感情」が好み。

      若いときに出会えてよかったなーと思う一冊です
      >> 続きを読む

      2015/07/13 by

      檸檬」のレビュー

    • 著者さんのこと自体を調べることなんてほとんどありませんが、その人の経歴とか人生を知るとより作品を深く読めるのかもしれませんね。 >> 続きを読む

      2015/07/14 by ただひこ

    • 普通はあまり調べませんよね(笑)著者に関してさらっとでも調べることが変な癖みたいになってまして・・面白い作品は著者の人となりを知らなくても楽しめると思いますが、知っていると違った見方もできるようになるかなーと期待しながら調べてます(笑) >> 続きを読む

      2015/07/14 by ao-ao

    • 評価: 4.0


      ともすれば、毎日なんとなく時間が過ぎていく日常生活。

      そんな中でも、感性を研ぎ澄ましていれば発見があるはず。
      観察し、行動し、表現する。
      そして、他人に伝えたい心境から物語が生まれる。

      勉強になります。

      今日は近所で買い物をする道すがら、
      花をつけた樹々の前で立ち止まり、
      観察し、写メし、一輪を拝借し、
      少々得したような心境をSNSに投稿しました。

      こんなことを毎日コツコツと続けていれば、
      小説らしきものの手がかりが見つかるように思います。
      >> 続きを読む

      2016/06/01 by

      檸檬」のレビュー

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