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2016年11月の課題図書

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2016年11月の課題図書


『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』

とても有名な文章ですよね。

今月は、川端康成の名作「雪国」を紹介します。

本作は、昭和23年に刊行されていますが、完成までに13年ほどの時間が費やされています。
もともとは、短編的な位置づけで執筆されたようですが、各章の追加や改訂を繰り返し、最終的に完結本として刊行されたそうです。

簡単なあらすじを書かせていただきますね。

主人公は、親から譲り受けた財産を持つ、暮らしには余裕のある文筆家です。
妻子を持ちながら、雪国の温泉宿に、定期的に逗留しに行きます。
そこで、2人の女性と出会い、交流を深めていく、というお話です。

この小説の魅力は、風景や人物の描写の美しさにあるように思います。
とくに、女性の描き方が、印象的ではないかと。
儚さというか、日本的な美しさというものを感じます。

また、直接的な文章表現も、魅力的ですね。
端的な描写を重ねることで、文章のリズムを感じられ、また、その表現の意味を考えたり。
ただ、それゆえに、難解さを感じることもあったりするのですが、それも思索を巡らす楽しさになるかもしれないですね。

古典的名作。
初めての方も、既に読まれた方も久しぶりにもう一度、秋の夜長にいかがでしょうか?

Book Information

雪国

3.4 3.4 (レビュー9件)
カテゴリー: 小説、物語
定価: 380 円
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    レビュー

    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 3.0

      ―国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
      夜の底が白くなった。

      冒頭の有名な文章から、まるでその場で見ているかのような風景が広がっていきます。
      特に「夜の底が白くなった」という表現が好きです。
      本から冷気が伝わってくるようで。

      美しいという言葉がぴたりと当てはまる風景描写の数々。
      真白な雪、夕暮れの田舎。情緒あふれる様子が浮かびます。

      ―窓で区切られた灰色の空から大きい牡丹雪がほうっとこちらへ浮び流れてくる。
      ―紅葉の銹色が日毎に暗くなっていた遠い山は、初雪であざやかに生きかえった。

      言葉の美しさに圧倒されます。
      登場人物の心情があえて描かれておらず、感情移入が全くできなかったので、風景描写を楽しむことに専念しました。
      行間を読んでください、ということでしょうか。
      島村と駒子、そして葉子。彼らが出てくると大変疲れました・・・

      印象深かったのは、昆虫が悶死するありさまを観察している場面。
      風景や心の動きだけでなく、こんな細かいところまで美しく描いてしまうのかと。

      ―季節の移るように自然と滅びてゆく、静かな死であったけれども、近づいて見ると脚や触覚を顫わせて悶えているのだった。

      しかしこの死を冷静に見ている島村に、ある種の恐ろしさを感じます。
      彼の心は雪国よりもひんやりとしているのではないでしょうか。

      そういえば、注解の「北越雪譜」で冬の厳しさが書かれて気がつきましたが。
      本書ではあまりそのような描写がなかったように思います。
      現実感のなさが、「雪国」の魅力なのかもしれません。
      >> 続きを読む

      2016/07/31 by

      雪国」のレビュー

    • こちらこそよろしくです。私も読みたい本がたくさんあります。私の住んでる所は小さい町で本屋が何件もなく、たまに車ででかい町に本を買いに行きます。古本屋巡りが好きです。買いすぎるのが困ってます。 >> 続きを読む

      2016/08/04 by rock-man

    • rock-manさん
      読みたい本は尽きないですね。
      私の住んでいるところも、小さな町ですよ。
      車で本屋さん巡りも一緒です♪
      古本屋さんはついつい買いすぎてしまいますよね。(そして積まれる本がどんどんたまる(^^;))
      >> 続きを読む

      2016/08/06 by あすか

    • 評価: 3.0

      他の方のレビューと同じように、
      読書ログの課題図書でなかったら自分からは絶対に読む事のなかっただろう1冊。

      美しい日本語を感じることはできましたが、
      ストーリー自体の魅力を感じる事ができずに終わってしまいました。

      文学作品を読み慣れていない私のスキル不足でしょうか・・・
      出直します。。
      >> 続きを読む

      2016/11/25 by

      雪国」のレビュー

    • お読みになったのですね。真冬になったら読んでみようかな。
      でも川端康成好きじゃなかった記憶があって、ちょこっと躊躇しております。
      >> 続きを読む

      2016/11/25 by 月うさぎ

    • 川端さんの文章、とても美しいですよね。
      でも登場人物に全く感情移入できなくて、私も★3にしてしまいました。星の配分は全て風景描写★★★です。笑 >> 続きを読む

      2016/11/25 by あすか

    • 評価: 5.0

      私が川端康成の小説に対して抱く印象は、美しい文章や清冽なタッチの文体も、もちろんですが、何かこう、ある種の感覚の鋭さというものです。そして、死の匂いを感じるのです。

      美の世界の描写ではなく、何か冷静なところに、より魅かれるような気がします。だから、彼の小説で好きなのが「禽獣」や「千羽鶴」、そして「雪国」なのです。

      この「雪国」は、あまりにも有名な「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった」という文章から始まっています。私は純文学の小説を読む時に、いつも思うのですが、優れた小説というのは、必ず出だしの一行目が素晴らしいのです。

      この出だしの一行目が、ある意味、その小説の運命を左右すると言っても過言ではないと思うのです。その一行目の文章にその作品の主題が凝縮されていると思います。ですから、この作品の「国境の長いトンネルを抜けると雪国だった」、これがもう主題なのだと思います。

      つまり、「雪国」の舞台は、温泉地でもある新潟県の越後湯沢です。ここで表現されている関越トンネルは、日本一長いトンネルです。冬にそこへ車で行くと、トンネルに入る前までは青空が広がっていても、この長いトンネルを抜けると途端に吹雪になったりしている事がよくあるそうです。

      これを表現するのに、「トンネルを抜けると雪が降っていた」では、しようがないのです。これでは、全く締まりません。何故かと言えば、国境の長いトンネルを抜けたところからが雪国なのですから。「雪が降っていた」というのは、ただの天候の表現ですが、「雪国であった」という表現は、そこに人々の生活が営まれている人間の居住空間があるという事なのです。

      この小説は駒子という芸者を島村という主人公が三回訪ねて行く話です。この島村という男には奥さんがいるのですが、その主人公が長いトンネルを抜けると別世界へ入って行く。そこには数日間の短い生活ですが、駒子との生活があるのです。ですから、この「雪国であった」という表現は、このトンネルによって結局は、東京での生活が断ち切られるという事を意味するのです。

      この小説の冒頭で、列車はトンネルを抜けます。島村が駒子にこれから会いに行くわけですが、島村は駒子を覚えているのはこの左の人差し指だなと思うのです。駒子の肉体に触れた指。その指で夕闇が迫った列車の曇った窓ガラスに、何気なく一筋の線を引く。すると、そこに「女の片眼」が浮き出る。その事に島村は驚きます。

      ここはなかなか、うまい描写だなと思います。斜め向かい側の席に座っている葉子という女の眼が写っていたのです。そして、島村はもう少しその女を見たいので、景色を見るふうを装って、掌で窓ガラスの曇りを更に拭いてみる。すると、その女は連れの病気の若い男を心配そうに見つめている。

      そこからの窓ガラス越しの描写が非常に面白いのです。つまり、夕闇が迫っていますから、窓ガラスの向こうには夕景色がある。そして、そこに重なるようにして、車内の葉子の顔も写っている。窓ガラスを島村は見つめている。

      「鏡の底には夕景色が流れていて、つまり写るものと写す鏡とが、映画の二重写しのように動くのだった。」
      「殊に娘の顔のただなかに野山のともし火がともった時には、島村はなんともいえぬ美しさに胸が顫えたほどだった。」
      「----娘の眼と火とが重なった瞬間、彼女の眼は夕闇の波間に浮ぶ、妖しく美しい夜光虫であった。」

      この列車の外の光と、この女の眼と合致して、それが「夜光虫であった」と描いている。こういうところに、川端康成でなくては描けないような、"美の極致"みたいなものがあるような気がします。

      女を描いている、その底には、何か冷たく醒めたようなものが、あると思うのです。考えてみれば、川端康成という作家は絶えず、"美"というものを追っていると思います。しかし、もし、いわゆる美しさというものだけを追っていったら、彼の作品は随分と浮わついたものになってしまったかも知れません。彼には人間なり事象を即物的にじっと見ているという眼があり、鮮やかなイメージが圧倒的な力を持って浮かび上がってくるのだと思います。

      この駒子には実在のモデルがあり、彼女の写真を見ましたが、私は少しも綺麗だなとは正直思いませんでした。ま、これは個人の好き嫌いがあるので一概には言えませんけれども。

      しかし、小説を読んでいると、駒子は非常に綺麗に描かれています。私は豊田四郎監督の「雪国」という映画で、駒子を岸恵子が演じていた時の印象が強くて、そのイメージを強く抱いて読んでいたからかも知れませんが----。

      これは、結局、川端康成が現実のモデルを"美"というものに昇華してしまっているからだと思うのです。駒子の美を、自然現象の描写、自然を表現する事からスッと掬うところなどは、実に鮮やかだと思います。

      例えば、初雪です。小説の最後近くで、秋が終わり、初雪が旅館の窓の外に降って来る。そこの描写なのですが、駒子は鏡台の前に座っています。

      「窓で区切られた灰色の空から大きい牡丹雪がほうっとこちらへ浮び流れて来る。」
      「島村は去年の暮のあの朝雪の鏡を思い出して鏡台のほうを見ると、鏡のなかでは牡丹雪の冷たい花びらが尚大きく浮び、襟を開いて首を拭いている駒子のまわりに、白い線を漂わした。」
      「薄く雪をつけた杉林は、その杉の一つ一つがくっきりと目立って、鋭く天を指しながら地の雪に立った。」----まさに息をのむような、美しくも清冽な文章に酔わされてしまいます。

      そして、葉子という女の声が澄んでいるという描写で、「悲しいほど美しい声だった」とか、「木魂してきそうであった」という表現など、実にうまいなと感じます。

      この小説の最後は有名な火事のシーンですが、ここにも川端康成の"美学"が凝縮されていて、空はまさに光の大河のような天の川です。その天の川と火事とを対比させる。そして、一番最後はこう終わっています。

      「踏みこたえて目を上げた途端、さあと音を立てて天の河が島村のなかへ流れ落ちるようであった。」----、この絢爛たる色彩に溢れた描写にはまさに息をのみます。

      この「雪国」という小説を読み終えて思うのは、島村という男、そして駒子という女が、何か"死の影"とでもいうものを背負っているような匂いを色濃く感じてしまいました。

      私は小説、それも純文学の小説というのは、文章から受ける感動を大事にしたいと思っています。それ以外にはないとさえ思っています。例えば、私の大好きな梶井基次郎の小説には、筋らしい筋というものがありませんが、ただ、一字一字眼で静かに追っていくと、本当に素晴らしい世界が作り上げられている事に気づきます。

      ですから、そこには文章しかないのです。しかし、絵画が色彩とか線とかで組み立てられているのと同じように、小説は文章なのです。文章で組み立てられている。いかなる内容であろうと、文章がまずければ、それは小説としての価値がないような気がします。

      文章というものが結局、小説の基本であり、それが全てであると思うのです。そういう意味で、この「雪国」は最初から最後まで、非常に美しく清冽な文章で書かれていて、そこが素晴らしいと思うのです。
      >> 続きを読む

      2016/12/17 by

      雪国」のレビュー

    • 月うさぎさん

      素敵なコメント、ありがとうございます。

      私が川端康成の小説を読んでいつも感じる"死の匂い"というのは、彼の生い立ちと深い関係があるのではないかという気がするのです。

      彼は明治32年に生まれていますが、2歳の時に父親が亡くなり、3歳の時に母親が亡くなっています。それで彼は祖父母に育てられたのですが、しかし、祖母も彼が7歳の時に亡くなり、10歳の時には、たった一人の姉が死に、15歳の時には祖父が亡くなっています。

      というわけで、川端康成は15歳の時に喪主をやっているのです。このようにして、彼は天涯孤独になってしまうわけなんです。ですから、川端康成という人は、生まれた時から常に"死"と向き合って生きているんですね。

      この彼の想像を絶する、"無限地獄的な孤独感"というものが、"美を探求する作家"であるとは言いながらも、彼の作品の底から濃厚に漂ってくる"死の匂い"を感じさせるのかも知れません。

      ですから、彼の「千羽鶴」を読んでも、一見きらびやかな世界を描いているのですが、しかし、その背後に濃厚な"死の匂い"というものを感じてしまうのです。

      >> 続きを読む

      2016/12/17 by dreamer

    • 文章ありきとおっしゃるdreamerさんですが、作家の人間性は作品に濃厚に反映されることを充分にご存知なのですね。
      名作とは作家の魂を閉じ込めた言い知れぬパワーが宿っているものだと思います。
      私もふと感じた疑問や確信を確かめる為に作家その人の事を調べることがよくあります。そしてその感覚は概ね当たっているものなんですよね。
      「雪国」は、国語のテストなどで部分を切り取られたものを読まされたことがあって、その「部分」や設問からは全く良さが感じられませんでした。設問者のセンスが酷かったとしか思えません。大体試験に使うのもどうかと思いますが。しかもある意味罪ですよね。私のような受け取り方をする生意気な学生がいるんだから。
      >> 続きを読む

      2016/12/17 by 月うさぎ

    • 評価: 3.0

      課題図書にならなければ手にすることはなかった本。
      雪国の美しい風景が目に浮かぶようで、さらさらっと読み終えた。
      最後のシーンはまだ続きが読みたいような気もするし、ここで終わるのが正解なような気もするし…。

      2016/11/24 by

      雪国」のレビュー

    • 課題図書、挑戦したくなりますよね。
      私も毎月楽しみなんです♪
      普段あまり読まないような本と出会えるので、読書の幅が広がるような気がします(*^▽^*)

      >川端康成さんの文章に引き込まれて、読後も随分余韻に浸ってしまいました。
      それでも★3なのですね。笑
      私も同じ評価です~。
      風景描写は圧倒されたのですが、登場人物に感情移入ができなかったのです。。。

      12月の課題図書、私も挑戦します!
      今後ともよろしくお願いします♪
      >> 続きを読む

      2016/11/25 by あすか

    • あすかさん

      フォローバックありがとうございます。わたしのフォロワーさん第一号です^ ^よろしくお願いします!

      そうなのです!登場人物の気持ちについていけなくて…。時代背景が理解できてないのか、こんな人間関係もあるのだなぁ、という感じだったので評価3にしました。

      来月の課題図書、楽しみです♩
      では、今日もよい読書タイムがすごせますように(*´∇`)ノ 
      >> 続きを読む

      2016/11/26 by koko_cielo

    • 評価: 4.0

      「島村」と「駒子」は対照的だ。
      島村は妻子持ちの高等遊民で、仕事らしい仕事もせずに一人で旅をしている。
      旅先で島村が出会った駒子は、生活するために芸者をやっている。
      二人の将来というものはない。二人の逢瀬も関係も「雪国」だけのものなのだ。

      平たく言ってしまえば、浮気とか不倫とか、そういうことなのだろう。
      駒子の思いだけが一方的に強くなっていくのが哀しい
      「葉子」の存在が暗示的だ。最初から最後まで影のようにつきまとう。

      川端康成の作品をちゃんと読むのは初めてだと思う。
      最初の数ページで、文章の美しさに魅了された。
      汽車の車窓に映る、外の景色と、中の人影。
      悲しいくらいに美しい声と、女の清潔さ。

      ノーベル文学賞作家ということで外国語に翻訳されている作品も多そうだが、
      これはやはり日本語ならではの美しさではなかろうか。
      >> 続きを読む

      2014/12/30 by

      雪国」のレビュー

    • 「雪国」と聞くと、残念ながら川端康成よりも吉幾三が先に浮かんで参ります...

      2014/12/30 by ice

    • とっても有名な本なのにあらすじすら知りません。
      文学作品も少しずつチャレンジしたいな。。 >> 続きを読む

      2014/12/30 by sunflower

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