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2019年07月の課題図書

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2019年7月の課題図書は森 絵都の「みかづき」(集英社)です。

舞台は昭和30年代後半。
「教育」に人生を捧げた塾教師たちを描いた感動の大長編。

「教育」とは何か、そして「教育」は誰のためにあるのか。
この物語をきっかけに少し考えてみませんか?

Book Information

みかづき

4.1 4.1 (レビュー13件)
著者: 森 絵都
定価: 1,998 円
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    レビュー

    すべてのレビューとコメントを開く
    • 評価: 4.0

      7月の課題図書。
      なんて人への愛情を感じる本なんだ。
      こんなに熱く教育について考えさせられるなんて。この作品の登場人物一人ひとりが、教育を通じて、他者への思いやりにあふれている。時代は変われど、熱い思いは変わらないですね。
      三世代に渡る社会情勢の変化を追うことができたのもおもしろい読書体験でした。そうそう、そんなこともあったね、の連続。
      『戦後のベビーブームで子どもの数が激増したわりに、学校の増設は追いついていない。競争の時代で、勉強に追いつけない子どもは外に助けを求める。』そんな背景からこの物語は始まります。政治は今も昔も、対策とは逆のことをしていますね。しかし少子化の今から考えると羨ましくあります。そんなことを考えながら物語に入り込んでいきました。

      それと同時に語られる、大島家の家族のかたち。
      始めは千明のキツイ性格が苦手で苦手でしょうがなかったです。あまりに自分とは真逆のタイプで。旦那を塾長から追放したあたりが嫌いのピークで辛い読書でした。
      しかしその後すぐに千明視点でストーリーは進み、彼女の気持ちやそこから見えてくる新たなエピソードに、徐々に苦手意識をなくしていきました。作者の狙い通りでしょうか(^^;)
      千明が三人目の孫に、母が言ったとおりの言葉を、震える声でなぞったシーンが一番好きです。
      「大丈夫。私が守ってみせるわ」
      私も自分の子に同じことを思ったなと、じわりとさせられました。

      『学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になる』また、太陽は五郎、月は千明のようでした。そして、また別の太陽や月の存在もありそうで。太陽と月と星々と。教育も家族も素敵だなあと思わされるのです。仕事ばかりでも、遠く離れていても、そこにはちゃんと絆があって、つながっていて。嫌々通った塾も見方が変わりますね。
      三世代に渡ってそれぞれの思いが、とてもよく伝わってきました。
      >> 続きを読む

      2019/12/22 by

      みかづき」のレビュー

    • 登場人物(特に主要人物)が好きになれないと仰られている通り辛い読書になりやすいですよね。でも、読み進めていくと実は…的な展開があったりその人物の人となりや背景とかを知って、あれ?悪くない?みたいになってから急に物語ががらりと変わること確かにありますよね!

      それまで、なんとも思っていなかった人物が急に好きになったり。
      読書って不思議ですよね…まあ、仰る通り作者さんの思惑通りなのかもしれませんが(笑)

      この作品、この前ドラマ化されてましたよね?
      自分観よう観ようと思っていたのですが、結局観れなかったんですけど、なかなか良かったみたいですね。ドラマ観れなかったし原作読んでみようかな♪♪

      ちなみに自分はこれから熊のように冬ごもりをする準備をします!
      いろいろなものをこたつの周りに配置して…ただの堕落した引きこもりになるだけですけどね(´∀`*)
      >> 続きを読む

      2019/12/22 by 澄美空

    • 美空さん
      そうそう、ドラマ化していましたね!
      高橋一生さんだったので観ようかなーと思っていたのですが、育児に追われて観れず。。本を読んだらドラマでも観たくなりました♪三世代に渡る家族の物語なので、見ごたえあるだろうなぁ。

      冬ごもり!寒い地域はそうですよね><
      こちらはあったかいです。その分、夏がものすごい暑いです。。。お正月はゆっくり引きこもりましょ♪( ´艸`)
      >> 続きを読む

      2019/12/28 by あすか

    • 評価: 3.0

      「戦後民主主義教育概論」でした。
      大島家の年代記というスタイルを取りつつ、敗戦によってもたらされた「民主主義」を教育という側面から描いた小説です。
      「教育」がいかに政治や財界からの干渉を受け、道具にされ、教育に携わる人がいかに翻弄されたか。
      これからの教育が危ういというメッセージを作家は発せずにいられなかった訳が、ひしひしと伝わります。

      しかし「教育」が主人公である以上、登場人物の特定な物語はリアルな人生ではなく、教育者の総体としてあるいはサンプルとして描かれざるを得ない。
      本作が、主人公たちに感情移入できなかったという意見がでるのももっともです。
      私も「吾郎」の性格が今一つつかみきれないままでした。
      孫の「一郎」が一番わかりやすかったです。
      また、教育者ではない祖母の頼子がおそらく最も人気が高いことでしょう。


      私は社会科教諭の資格を持っています。
      しかし教育の道にはすすみませんでした。
      採用試験に受からなそうというのも一因ですが、公教育にも私教育にも幻滅し、塾については悪いイメージしかなかったことが最大の理由でした。
      時代も校内暴力蔓延のかなり悪いタイミングでした。
      文部省による教師の支配と教師による生徒の支配。荒れる生徒。
      悪循環に思えてなりませんでした。

      この小説によって公教育からの側面ではない教育者の努力という視点でこの問題を眺めることができたのは収穫でした。
      公教育にできないことを教育者としてなしたいと、心から願った人たちが日本にいたということを教えられた気がします。

      しかし「みかづき」というタイトルの意味深なこと。

      いつの時代も「今の教育は間違っている」という意見で教育者たちは論争を繰り広げてきました。
      決してすべての人に正しい公平な教育を授けることはできない。
      決して月は満月になることがない。
      寂しいです。
      でもそれだからこそ教育者たちは歩みを止めることがない。
      満ちようとする強い意志と衝動が彼らを動かします。
      そんな教育者たちにエールを!

      「お国のためではなく、子どものための教育です。その大前提が近年ではまた覆されようとしている。
      混迷を極めた教育改革の終着点は、結局、能力主義と国家主義だ。
      そのことに私は深く絶望しているし、猛烈に腹を立ててもいるんですよ」

      教育に関心のない方にもぜひ日本の問題としてメッセージを届けたい。
      森さんの想いはこの本を手にしたすべての人に伝わったでしょうか?
      どれほどの方が日本の教育が危機的なのか理解できたことでしょうか…。
      森本学園の運営していた塚本幼稚園は閉園になったそうですが、それはたんに極端な例であって、今の日本の教育事情(安倍総理のご意向)を表現している最適な例だったはずです。

      「みかづき」がベストセラーになったことだけでも明るい出来事ですよね。

      森絵都さんはだてに子供に向けて小説を書いてきた人ではなかった。
      彼女の視線はいつも子供に注がれているはずです。
      いつの時代も社会的弱者はつねに子どもなのですから。

      子どもへの強いメッセージも込められています。
      「自分の意見をはっきりおっしゃい」
      「人に流されないの。自分の頭があるんでしょ」

      そう、その為にこそ教育があるべきなのです。

      『教育は、子どもをコントロールするためにあるんじゃない。
      不条理に抗う力、たやすくコントロールされないための力を授けるためにあるんだーー。』
      >> 続きを読む

      2018/04/14 by

      みかづき」のレビュー

    • >本作が、主人公たちに感情移入できなかったという意見がでるのももっともです。

       そういう意見があるのですか。
       ぼくは、さまざまな「主人公たち」に感情移入して読んだように思います。何度も、目頭が熱くなりました。
       それは「主人公たち」というよりも、「戦後民主主義」に対しての感情移入だったのかもしれません。しかし、そんな抽象的すぎて理念ともいえないようなものに感情移入させられてしまうというのは、おそらくこの小説の、フィクションとしての力なのではないかと思います。
      >> 続きを読む

      2018/04/16 by 弁護士K

    • 弁護士Kさん
      感情移入しにくいというより、人物造形が一面的ということではないかしら
      私はそれがこの小説の欠点というつもりは全くなくて、この小説において人物は抽象を具象化する手段なんだろうと思います。
      私はどうやら、作家の意図は…と勝手に読んでしまう癖がありますね(^^;)
      癖なんです。すみません。お赦しを。
      ドラマにしてほしいというご意見も多数あるようなので、俳優さんの血肉がつけば人間らしさが増すかもしれませんね。
      そんなことよりも重要なのは、森さんは小説のフィクションとしての役割をきちんとわきまえている作家だと思います。
      >「戦後民主主義」に対しての感情移入だったのかもしれません。
      それです!きっとそれが狙いだと思うんですよ。私は。
      敗戦後、日本の庶民たちが情熱をもってこの国を支えてきたことを忘却してはいけない。アメリカのいいなりだったわけでもない、トップダウンですべてが決められたわけでもない。民衆の願いは力となります。そういうことですよね。
      >> 続きを読む

      2018/04/16 by 月うさぎ

    • 評価: 5.0

      TBS番組「王様のブランチ」で、イチオシの作品として紹介されていたので読んだ。

      学習塾に携わる三世帯に渡って、リアルな教育現場でのストーリーが、今まさに、子供を学習塾に通わせている自分の環境に、ピンポイントにリンクして、沢山共感出来たし、教育方針の違いから、学校と塾との壮絶な闘いにも驚いた。
      それに、ゆとり教育が実践された経緯もわかったし・・・

      また、児童作家さんでもあるので、文章表現が優しく温かい。
      とても読みやすかった。
      今までに読んだ沢山の本の中でも、最も心に残る作品の1つになった。

      どんな教育方針であれ、子供にとって一番いいと思えるような教育方針であってほしい。

      >> 続きを読む

      2017/02/01 by

      みかづき」のレビュー

    • 〉子供にとって一番いいと思えるような教育方針であってほしい。
      本当にそう願います。でも現実はそうなっていないのが残念です。
      政治家にとっては国策、経済界にとっては教育も産業です。
      その中でも真剣に子どもと向き合っている人もいる。
      そういう現場が救われますように。
      >> 続きを読む

      2017/02/06 by 月うさぎ

    • 月うさぎさん、コメントありがとうございます。共感して頂けて嬉しいです。

      2017/02/07 by はなぴょん

    • 評価: 3.0

      昭和36年から平成までの塾業界と大島家3代の家族の物語。時系列にそって、社会情勢が反映された教育を取り巻く諸問題、塾と文科省の対立と歩み寄りなどが描かれていて、読みごたえたっぷりであった。大島家も人間関係の葛藤などがとてもリアリティがあり、最後まで飽きなかった。

      2018/10/23 by

      みかづき」のレビュー

    • 評価: 5.0

      読み応えたっぷりで、戦後の塾や学校教育の歴史についてなのに、とても面白く読めました。
      親子3代(頼子さんを含めると4代になるのかな)、様々な時代の教育を受け、教育についてが様々な考えを持つ、大島家。
      それぞれの考えが違ったり、重なったりで、反発したり、寄り添ったりしながら教育を支えていく姿に圧倒されました。
      タイトルの『みかづき』。
      塾経営をする際、「学校教育が太陽なら、塾は月」だと言っていた千秋が亡くなる前に言っていた以下の言葉にも納得するものがありました。

      「どの時代の教育事情も常に悲観されているがそれはそれでいいのかもしれない。常に何かが欠けている三日月。かけている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽(けんさん)を積むのかもしれない」 >> 続きを読む

      2019/02/08 by

      みかづき」のレビュー

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