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湊かなえ (2014/01)
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化粧品会社の卓越した美貌を持つ社員がある日、誰かの手によって黒焦げ死体として発見され、フリー記者・赤星は錯綜する情報に踊らされながら、真実に辿り着く物語。 やがて錯綜する真実の中で、羊の皮を被った悪魔を看破せよ。我々が情報に頼る時、思ってもいない言葉に惑わされる事がある。己の頭で考える事を辞めた人間はその矛盾した情報に苦しむだろう。全てを知りすぎる事は、時として己を蝕む毒となる。雪が溶ければ、自ずと真実が顕になるように、何かを探ろうをするのは愚かな事だ。知らなくても良い真実という物が確かにあるのだ。 >> 続きを読む
2020/10/22 by ebishi
伊坂幸太郎 (2009/05)
近い将来惑星が地球に衝突するという状況の中で、仙台の団地に住む人々の生活と葛藤が描かれた作品。8年前に激突することが判明してから5年が経ち、民衆のパニックが収まりやや落ち着いた中という、一風変わった設定が新鮮で興味深かった。各エピソードを読みながらも、そんな時自分はどう行動するのだろうと色々な考えが頭を駆け巡った。シェルターに避難のことは話の中に出ていたけど、大型宇宙船に分乗して月あたりに一時避難できないかとか、惑星の軌道を無理やり変えてしまう装置が開発できないのだろうか、等々空想が浮かんだ。読み終えた後、ストーリーより、状況設定の方がインパクト強くて印象に残ったというのが正直な感想。 >> 続きを読む
2020/01/13 by Sprinter
東野圭吾 (2002/04)
ドラマで映像を見たことがあったけどやはり東野さんの筆力に引き込まれた。完璧な容姿と頭脳を持って自分の生きる道を作るためには手段を択ばない雪穂。親友の幸せさえ無残に壊す彼女を悪魔だなと思う。亮司は生まれた時から周りが闇だったのだろう。雪穂と亮司が影だから尚更一成や江利子の陽の面が際立つ。私立探偵の今枝さんも消されちゃうなんて予想もしてなかった。笹垣刑事は20年もこの二人を追い続けて最後に亮司に自殺されてしまう。多分二人のことを誰よりも分かってあげてた特別な思いもあったのではないかと思うので無念さが残る。 >> 続きを読む
2020/03/12 by miko
朝井リョウ (2012/04)
主人公は誰なんだろう?と思いながら読んでいた。タイトルの桐島は高校バレー部のキャプテンだったが、何故か部活を辞めることにしたらしい。各章はそれぞれの人物目線で、桐島が辞めた時期辺りのそれぞれの高校生活が綴られていく。あぁ、このタイプの小説ね。各章を読むことで桐島のことが明らかになっていくタイプね。と思いきや違った。桐島が直接関わるのはバレー部ぐらいで、他の人たちはそもそも桐島のことを知らない人さえいる。間接的に関係してるのかと思いきや、そうでもなかったりする。それぞれの人物たちの高校生活のなかで「バレー部のキャプテンが辞めた」という事があった、というだけの本。どんな本やねん!と言いたいとこだけど、これがなかなかうまくできている。高校生のあれやこれやの感情がぎっしり詰まった本です。終始、自分の高校生活を思い出しながら読んでいた。楽しく過ごしていた反面、やっぱそれなりの葛藤とか嫉妬とか負の感情をぐるぐるさせてたな…。確かにそんななかで、「バレー部のキャプテンが辞めた」ぐらいの、自分と関係があるようなないような話が色々あったなー。そんな色々が凝縮されながらも、自分なりの生き方をしていた3年間だったんだろうな、と思う。もし「自分」がこの本の章に載るなら、どこの場面のどんな話になったんだろうなぁ…。…あっ、そうか。もしかしたらこの本の主人公って…。というクサいレビューを書きながら、高校生活の思い出に浸って眠りにつきたいと思います。 >> 続きを読む
2020/09/07 by 豚の確認
横山秀夫 (2006/03)
複数の人物からなる短編集ですが、登場人物は同じのため短編集でありながら一つのつながった展開のような感じがしました。一つ一つの完成度が高く推理要素も満載です。横山先生は警察小説を執筆する際に、どこまで突っ込んだ取材をしたらここまでの重厚な作品になるのか脱帽です。他の作品でもそうですが、これまで読んだ横山先生の作品からは男社会満載の警察が表現されていて、いつも灰色とか曇天、うす暗さを想像して読んでしまいます。 >> 続きを読む
2019/11/26 by ryoji
池沢夏樹 , サン・テグジュペリ (2005/08)
大人の僕には難しかった。
2019/12/07 by kenpi
乙一 (2013/11)
なかなか好きな内容ですけども.....。6作それぞれが独立したお話しではあるけれどちょっとリンクしている。関連性は多少無理があるところもあると思うけど、今どきそれくらいやらないと1冊の本に仕上がらない感じがするよねwシメのホワイト・ステップは「せつなぃ系」全開。コレ読むだけでも意義があった本だゎ。そもそも思ったのは、他人のアイデアをもとに書きなおすというのはちょっとなぁ。そんなところもあって、乙一さんの本はずいぶん久しぶりですが感激はうすかったヵな。 >> 続きを読む
2018/07/28 by motti
米澤穂信 (2012/03)
【5つのリドル・ストーリーに秘められた謎】 「おっ!リドル・ストーリーか!」と飛びつきました。 リドル・ストーリーは、ストックトンの『女か虎か』とか、本書中でも触れられているモフェットの『謎のカード』など色々読んで興味を持っていたので本書も読んでみようと思ったわけです。 物語は、伯父が経営する古書店で居候をしている主人公の芳光が、店を訪れた可南子の依頼で、可南子の父が残したという5編のリドル・ストーリーを探すというものです。 5編のリドル・ストーリーは、マイナーな同人誌に掲載されるなど、一筋縄では見つけられないものばかりですが、幸運も手伝って芳光は次々と見つけていきます。 芳光は大学生という設定なのですが、それにしては結構な博識で、振る舞いも落ち着いており、大学生にはちょっと感じられなかったんですけれどね。 この辺りは、むしろ芳光の伯父である古書店主の方を主人公にした方がしっくりしたかもしれないなどと思いました。 さて、問題のリドル・ストーリーですが、これは作中作のように、本作の中で次々と紹介されています。 読んでいて最初に違和感を感じたのは、可南子の父はリドル・ストーリーの結末の一行を書き残していたという設定で、その結末が示されてしまうのです。 これじゃあ、リドル・ストーリーにならないなぁ…… などと、若干の不満を抱きながら読み進めて行ったのですが、実はそれには訳があったのです。 そもそも、可南子の父は文筆家でもなんでもなかったのですが、そんな父が何故リドル・ストーリーを残したのか? それは、可南子一家の過去が絡んでいたのでした。 実は、可南子の父は女優と結婚してスイスに移住し、その際に可南子が生まれたということです。 可南子が4歳の時、一家はアントワープに旅行したのですが、その旅先のホテルで可南子の母が首を吊って死んだのです。 最初は自殺と思われたのですが、拳銃が発射されて母の腕をかすめていることが発見され、父が拳銃を持っていたことから父が母を拳銃で脅して自殺を強要したのではないかという疑惑が持ち上がり、アントワープの警察に疑われたものの、結局真相は明らかにならず、父も処罰されることなく可南子を連れて帰国したということがあったのです。 この事件は『アントワープの銃声』と称されて日本のマスコミも騒ぎ立て、マスコミの論調では、父が母を殺したけれどうまく逃げおおせたのではないかというものだったようです。 父は、その件について一切口を閉ざしましたが、真相を書き残すためにリドル・ストーリーに仮託したと思われるのです。 つまり、リドル・ストーリーを扱ってはいますが、そこに本旨があるのではなく、それにまつわる『アントワープの銃声』事件の真相こそがミステリになっているという大変凝った構成の作品でした。 『アントワープの銃声』事件を解き明かすためには、リドル・ストーリーの結末が重要になってくるので、敢えて結末まで書かなければならなかったというわけですね。 いや、この構成は大したもんだと思いました。 結末のつけ方にも捻りがあって良くできた作品だと思います。 ちょっと異色のミステリということで評価したいと思います。読了時間メーター□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK) >> 続きを読む
2020/09/17 by ef177
乙一 (2000/05)
表題作(デビュー作!)では乙一さんの田舎者(失礼)具合にリアリティを感じます
2018/07/06 by motti
佐宗鈴夫 , リチャード・バック (2009/05)
Illusion――幻影む~~。レビューがとっても難しい一冊です。小説としてはストーリーが薄い、哲学じゃない、自己啓発本としては半端、奇想天外さではSFに遠く及ばない。どうしようね。この本……。世界的大ベストセラーの「かもめのジョナサン」の著者が書いた第2作目。しかし、「新版・かもめのジョナサン」を読んでしまうと、この「イリュージョン」はなんとも中途半端で中身はほぼ一緒という結論に達してしまう。両方とも、空飛ぶ若者の元に突然救世主なり仙人なりの超存在が現れて、主人公を開眼させて、救世主の跡継ぎにするっていうお話しです。まあ、人間の物語にしたというところだけが新しいというか。さらに露骨にキリスト教くさくなったというか。もっと自由に生きようという方向性はわかります。堅牢で動かしがたいように見える現実世界だって、幻にすぎない。見方、考え方一つで世界は変化する。一人一人が異なった世界を持っていてそれを見る事ができ、自分の世界で生きることができるのだ。それもごもっともです。でもヴォネガットは「変えられないこともある」って言っています。捕虜という自由から最も遠い立場にいて、目前で大量虐殺が起こり、自分も死んだかもしれなくて、見るだけで他にどうすることもできなかった無力を心に叩きつけられる。そんな体験をした彼は、『世の中でできないことは何もない。できないとすればそう思いこんでいる自分のせいだ』と、能天気に歌い上げることはできなかったのです。私も頑固なのかもしれませんが、物理的に水の上を歩けるはずで、歩けないのは水に溺れるという思い込みのせいだ。赤ん坊は水の上に立てないと思っていないから水面を歩けるのだというのには文学表現の上のことであっても、賛成できません。じゃあなんで数センチの水たまりで溺死するんですか?交通事故で半身不随の車いすの男を「奇蹟」で健康にする。それも「彼が歩けると信じたから歩ける」という簡単な解決方法で。救世主は「その奇跡を起したかったから」そうするのが楽しいから起したのだと言います。貧乏暇無しを嘆く人もその人がそういう生き方を望んでいるからだし、死ぬのも納得の上?では戦火の下で生きる子供達にも同じことを言えますか?ラストもドンの半端な退場で拍子抜けでした。ドンはいい奴かもしれない。でもなんとも気まぐれな救世主。第一、一人一人バラバラな世界で主人公になって、それで本当に満足ですか?人びとと世界を共有しないのなら、芸術は必要ない。悪いことは言っていないかもしれません。この本で心が軽くなる人がいればそれはこの本の効き目でしょう。でも、私についていえば、もっと心に響くことを言ってくれなくてはね。という感じでした。類は友を呼ぶ。君は奇蹟を行える人間だ。だから僕と出会った。これからは君が救世主のハンドブックで修行してごらん。ほら、あなたも救世主になれる。あなたの望むやり方で。で、リチャードはこの本を書いた。のだそうです。 >> 続きを読む
2015/12/03 by 月うさぎ
湊かなえ (2012/07)
映画の方を先に見てしまったので、楽しめないかと思っていたが、犯人が分かった状態で見ると、それはそれで言動がいかに嘘なのかを見れる。他人がどう思っているかの解釈は自分では永遠に知れない。その矛盾を吐き出すのがネットやSNS。それによって殺人犯が出来上がってしまう現代。真実かウソかを雑誌の記者が取材し、対象者が独白していくという構成。この構成が映画と本の一番の違い。独白のみなので物足りなさはあるが、こういう形のミステリもあり。 >> 続きを読む
2018/02/12 by オーウェン
和月伸宏 (1994/08)
実写映画化で話題になっている、るろうに剣心。少年時代、ジャンプでリアルタイム連載を読んでいた身としては懐かしい作品の一つである。一時代を築いた作品の第一巻は①悪者登場②「なんだこの優男は?」③悪党フルボッコ④「えー!お前が幕末最強の剣士人斬り抜刀斎!?うひー」といった単調な展開が続くため、再読ということもあるが、グッと引き込まれるといったことはない。ただ薫はもちろんのこと、弥彦や左之助といった今後物語の中核を担うメンバーが続々登場。曖昧な記憶と懐かしさだけで、再読を続ける十分な理由になる。できれば、続巻で新鮮な発見があるといいな。 >> 続きを読む
2012/09/21 by すーくん
尾田栄一郎 (1997/11)
すごく楽しかったです
2018/07/17 by jp-miura
東野圭吾 (2012/01)
文句なし! さすが東野圭吾氏。痛烈な笑いあり、あっけらかんとした笑いあり、涙がほろりと出てしまうじんわりとした感動あり、負けるもんか!と応援したくなる人間ドラマあり。読みやすくて、楽しくて、読んでいる最中はとても幸せな世界に浸れます。出版をめぐる短編があつまっている。これらの短編はそれぞれがつながっていって、最終的にはじーんとする大きな感動が、うん、明日もがんばろう☆ と心の底からほんわかとする大きな感動が待ち受けていた。この読後感が東野圭吾氏なんだよな~。正直、そんなことを書いていいのか、おい、おい、東野氏、そんなこと書いて干されたりしないのか~、と心配になったりもしますが、いえいえ、東野氏だからこそ、ここまで、こういう言葉で書けるんでしょう。それぞれの短編はもちろん、巻末の「巻末広告」まで手を抜かない。実はこの巻末広告が妙である。そして巻末広告で私たちは知るのだ。唐傘ザンゲさん 「もっと大きい賞」=直木賞取られたんですね!奥さまも義父である奥さまのお父さまも、みんな、みんな、おめでとうございます☆読んで損をしないおススメ本です。====データ======新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版社のゴルフコンペに初参加して大物作家に翻弄されるヒット作症候群の新鋭…俳優、読者、書店、家族を巻き込んで作家の身近は事件がいっぱい。ブラックな笑い満載!小説業界の内幕を描く連続ドラマ。とっておきの文庫オリジナル。 >> 続きを読む
2020/04/15 by まみー
中村文則 (2012/02)
刑務官の僕は常に悩んでいる。自身の施設育ちだったり、死刑執行の役割につくことだったり。そして収監中の山井の言動にも。夫婦を殺して死刑が確定しそうなのに、控訴しない。その理由とは何なのか。途中にある先輩が話す死刑執行の過程は、かなりヘビーな描写。まともな人間でも精神がいかれてしまう状況だろう。基本的にダーク一辺倒な物語だが、わずかな救いはある。山井にとっては僕が担当で良かったはずだと。 >> 続きを読む
2019/10/07 by オーウェン
三浦しをん (2013/10)
予備知識なくタイトルの印象に希望に満ちた物語と思い込み読み始めたら裏切られた。こんな小説を書く作家だったんだ、と半端なくヘビーな余韻に『罪と罰』か?と逡巡。自然災害が無差別に人の命を奪う絶望感と、人が人の命を奪うやるせなさの先に答えが見出せないまま「暴力」と向き合うしかない。秘密を背負って、明日も笑顔で生きていかねばならぬ破綻した現実感が、ものすごく怖い。覚悟を決めて読むべし。 >> 続きを読む
2018/06/22 by まきたろう
東野圭吾 (2007/02)
「白夜行」の姉妹編と銘打たれた作品。阪神大震災によって被災した雅也。その直前に父が残した借金の取り立てに来た叔父を殺してしまう。それを目撃された新開美冬と共に、東京で生きてゆくことを誓う。しかし刑事の加藤が事実に疑問を抱き、捜査を進めていく。白夜行と類似している点が多くある。違いは二人が早々に出会うことで、美冬は次々出世していき、雅也は底辺で裏方に回る。悪女ぶりはどちらも一緒で、目的のためならば犠牲も厭わない執念がすごい。そうなるとラストもやはりとなる。白夜行との二番煎じがあるので、見るならどちらかでも充分な気もする。 >> 続きを読む
2019/11/04 by オーウェン
東野圭吾 (2003/05)
おれは25歳の非常勤講師。産休や急病、急死した教員の代理として短期間だけ生徒を受け持つ代理教師だ。生来の仕事嫌いで正門を出たら仕事は終わり、というのが主義だ。「もしおれが真の教育者なら、非常勤で満足しているはずがないだろうが。」といいながらも……なんだかんだ、かかわってるじゃね~の。(^^)去りゆく前に子どもに語る言葉から彼の本音が覗ける。人間ってどうやって生きていけばいいんだろう?お前たちよく生きろよ。そんなメッセージだ。部外者の目で見るから見えてくる子どもの顔やクラスの雰囲気。彼はそんな違いに繊細に気づいている。そして短い時間だからこそ先入観や贔屓目なしに生徒を直視できる。そして恐れがない。おれの子どもに対する態度は大人としての強さがあるし、人間としては平等だ。ここが巷によくいる先生方とは違う点なのだ。多くの教員は子どもの顔色をみておもねるか、子どもの気持ちを無視するか、子供扱いするかのどれかなのだ。非常勤は別ればかりの職業だ。「非常勤講師なんて契約社員と一緒。必要以上に親しくなったって仕方ない。」それは彼の心を守るためのポーズ。やせ我慢なのかもしれない。非常の文字が非情なのは、そう言い聞かせないとやっていられないから。ああ。だからこの小説をハードボイルドだって感じるわけね。なるほど。しかし、忘れ去られる人かどうかは、過ごした長さだけではない。非常勤ではない教師だって公立学校では数年で移動になる。卒業して数年もすれば、母校を訪ねても誰ひとり知っている先生は残っていないわけだ。小学生というもっとも心の柔らかい時期に、成長に重要な瞬間がどれだけたくさんあるだろうか。そのチャンスに何度も立ち会えるおれは幸せではないか。その巡り合いの一瞬に彼の残した言葉を受け止めて生きていく子供がどれだけいるだろう。そんなナイスガイな先生に出会えないと嘆く子供がいたら、まあ、こんな本でも読んでみなよ。そう言ってあげよう。謎解きよりも子どもの抱えている問題の解決方法に痺れます!東野圭吾も先生には悩まされた人らしい。きっと彼が求めている先生ってこんな人だったのかもしれないね。一文字、二階堂、三つ葉、四季、五輪、六角、小学校の名前が章ごとに数字になっている。手抜きなのかこだわりなのか。【目次】第一章 6×3 着任早々、体育館で女教師が殺害されるという大事件に遭遇。 死体の脇に6×3と読める「ダイイングメッセージ」らしきものが残されていた。 クラスにはいじめ問題が起きていることもわかり… 殺人事件に関してのミステリー要素はゼロです。なぞなぞと思いましょう。第二章 1/64 体育の授業中、教室内で起きた財布の盗難事件。クラスの中の生徒が犯人と思われる。 「犯人を突き止めるのが一番いいでしょうね」 それと関係があるのかどうか、5年3組には子供だけの秘密があるようだ。 第三章 10×5+5+1 新任の若い教員の死亡事故のためか、子どもたちが異様に大人しい。 実は自殺と思わせた殺人事件なのでは? 警察も調べを継続しているようでおれに接触してきた。 死の直前に教室の黒板に書き残された数式が意味するものは? これ真相はあまりにも唐突で嘘くさいし数式の意味はとっても簡単。 なんとなくミステリーになっているのは、道筋の付け方がミステリー手法に沿っているから。第四章 ウラコン 学校の向かいのマンションのベランダから飛び降りようとしているのはおれの生徒だ! 必死で救いに走るおれ。原因はウラコンにあるとにらんだおれだが、生徒達は口を閉ざす。 このクラスだけ異様に仲良しなのにもなにか理由があるのか。 この時代はハガキだけれど今はもっと簡単にインターネットが使えてしまう。 「わざわざ嫌いな人間を探す必要もない」 私たちも、このおれのメッセージ。心に残しておきたいですね。第五章 ムトタト 運動会に修学旅行。おれが苦手な行事が目白押し。 そこに「修学旅行を中止にせよ しなければ自殺する いたずらではない」という脅迫状が。 みんながみんな行事を楽しみにしているわけではないですよね。 黒板に書かれた 先生ムトタトアケルナ の文字が犯人探しの鍵となった。 というこの部分はなぞなぞなので超簡単ですね。 子どもの心を開放し明るい方に向かって背中を押してあげる。ちょっと感動。 第六章 カミノミズ 授業中に突然苦しみだした少年は毒物中毒だった。 ペットボトルの水に砒素が混入していたのだ。 小学生が毒物を?そのボトルには「神の水」という言葉がマジックで書かれていた。 警察も事件として動き出し、子供を守るために真相解明に乗り出すおれが見たものは? 事件は、子供ならではの意外性があります。 「子供に飯だけくわして、その子供がどういうふうに育つかは知ったこっちゃない という顔をする親がいたら、無責任だと思うだろう?」 解決しておしまい、でないところがいいですね。確かにおれに再登板して欲しいかも。もうちょっと大人な事件で、もうちょっと長い物語で。放火魔をさがせ幽霊からの電話 小林少年が登場するこの2篇はさらに昔の短編で、語り手も小学生。 なので、本当にごく軽い読み物で、謎は小学生レベルで解ける謎です。 幽霊からの電話はハートウォーミングな仕上がりでなかなか。です。 でも自宅の電話番号掛け違いってほぼありえませんよね。 >> 続きを読む
2015/10/13 by 月うさぎ
石田衣良 (2004/04)
映画化もされ、直木賞候補作にもなった石田衣良さんの代表作ともいえる一冊で気になっていたので図書館で借りて読みました個人的な感想で言うと、そこまで心に響かなかったのが正直なところです石田さんの作品は他にも何冊か読んでいるのですが、本作以外の作品のほうが私は好きだなと思いました(感じ方は人それぞれだと思うのでぜひ貴方も読んでみてくださいね)しかし、特段この作品が嫌いになったりすることもないのが不思議なところかもしれませんこの作品は題材に反して、温かみのある作品だと思うのでそれがネガティブな気持ちを包み込んでくれているのかもしれません娼夫という職業の話というだけで、もしかしたらなんだか暗い雰囲気だったり、闇のような雰囲気を感じてしまう方がいるかもしれません少なからず夜職や風俗業というのは偏見があると思いますし、それはきっと中学生のいじめ問題のように消えることはないのかなと残念ながら思っていますしかし、この作品は暗いどころか温かいのです大好きな人に優しく抱きしめられているような、春の太陽に照らされているような読後感に浸っています偏見のある方にも、この作品は是非読んでいただきたい一冊だと私は思いますそれから…御堂静香さんの口調が私はとても気になりました色っぽいけれど、冷たく、しかし慣れてくると温かいんです例えばP23の「こんにちは。電話をもらえなかったから、きてしまった」という言葉です私だったら「きてしまいました」とか「きてしまったわ」と書くかな〜と思うんですが、石田さんは「きてしまった」と書くんですあえて少し冷たく話すことで逆に魅力的に見せるためなのでしょうかあまり聞かない言葉遣いだと思ったので新鮮でしたまた静香さんのP60の「男に女がわからないように、男だって女から見るとわからないものよ」という言葉はとても共感する反面、作者の石田さんは男性なのに女性を書くのが非常に上手な方だと思いました官能的な描写の多い石田さんですが、女性的な表現や感情も上手なので男性だけでなくむしろ女性にも読みやすいのではないかと思いますそして最後にP114の「そうね、バスタブに青いインクを一滴落としたくらい、うんと淡いのでもそう呼んでいいなら恋していたのかもしれない。」という表現がとってもきれいだと思いました頭のなかで白いバスタブに水がたっぷり張られていて、そこに青いインクが一滴だけ落ちるのが映像で流れませんか?お洒落な比喩だなと思いますなんだか横浜や自由が丘みたいなお洒落さです、この感覚を言葉にするって難しいですね😊この小説を読んで学んだことは「正直に生きているほうがいい」ということと「普通に生きるということは意外と難しい」ということですアズマくんとのやり取りのシーンは村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を思い出しました…とある大学生のひと夏がこんなにも濃いなんて、誰にも想像出来ないですね >> 続きを読む
2019/07/17 by ゆきの
東野圭吾 (1996/08)
出版は1993年。その当時は未来だった出来事が、今読むと過去の出来事になっている。自分の出生に戸惑う鞠子。そして鞠子と同一の顔を持つ双葉もまた出生の秘密を知りたがっていた。そして旭川と東京離れて暮らしていたお互いが出会おうとするとき、裏の事実が明らかに。試験管ベイビーや体外受精という言葉も出た時はあり得ないと思われていたが、今では普通のこと。その未来を予測したサスペンスだが、二人はいつ出会うのか。ラストのその後の方がより知りたいと思ってしまった。 >> 続きを読む
2019/10/30 by オーウェン
【(株)集英社】(シユウエイシヤ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(出版社,発行所)
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