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伊坂幸太郎 (2009/05)
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会社の若手から薦められた作品。短編8編からなるチェーンストーリー、最近の作品でいうと「アイネクライネナハトムジーク」と似ているかなと印象。ストーリーは8年後に小惑星が地球に衝突して人類が滅亡するという情報が発表され、そのうち5年後の世界。舞台は、仙台北部にある団地「ヒルズタウン」の住人が1話ごとに登場する。「人生をいかに生きるか」がテーマである。個人の感想は「冬眠のガール」と「鋼鉄のウール」が面白かった。鋼鉄のウールにあった「おい俺、俺は、こんな俺を許すのか?」の言葉が印象的であった。「演劇のオール」で終わりだったらと思ったのは私だけでしょうか?期待した読後感が得られず・・・ >> 続きを読む
2021/07/31 by わくさん
湊かなえ (2014/01)
化粧品会社の卓越した美貌を持つ社員がある日、誰かの手によって黒焦げ死体として発見され、フリー記者・赤星は錯綜する情報に踊らされながら、真実に辿り着く物語。 やがて錯綜する真実の中で、羊の皮を被った悪魔を看破せよ。我々が情報に頼る時、思ってもいない言葉に惑わされる事がある。己の頭で考える事を辞めた人間はその矛盾した情報に苦しむだろう。全てを知りすぎる事は、時として己を蝕む毒となる。雪が溶ければ、自ずと真実が顕になるように、何かを探ろうをするのは愚かな事だ。知らなくても良い真実という物が確かにあるのだ。 >> 続きを読む
2020/10/22 by ebishi
東野圭吾 (2002/04)
ドラマで映像を見たことがあったけどやはり東野さんの筆力に引き込まれた。完璧な容姿と頭脳を持って自分の生きる道を作るためには手段を択ばない雪穂。親友の幸せさえ無残に壊す彼女を悪魔だなと思う。亮司は生まれた時から周りが闇だったのだろう。雪穂と亮司が影だから尚更一成や江利子の陽の面が際立つ。私立探偵の今枝さんも消されちゃうなんて予想もしてなかった。笹垣刑事は20年もこの二人を追い続けて最後に亮司に自殺されてしまう。多分二人のことを誰よりも分かってあげてた特別な思いもあったのではないかと思うので無念さが残る。 >> 続きを読む
2020/03/12 by miko
朝井リョウ (2012/04)
主人公は誰なんだろう?と思いながら読んでいた。タイトルの桐島は高校バレー部のキャプテンだったが、何故か部活を辞めることにしたらしい。各章はそれぞれの人物目線で、桐島が辞めた時期辺りのそれぞれの高校生活が綴られていく。あぁ、このタイプの小説ね。各章を読むことで桐島のことが明らかになっていくタイプね。と思いきや違った。桐島が直接関わるのはバレー部ぐらいで、他の人たちはそもそも桐島のことを知らない人さえいる。間接的に関係してるのかと思いきや、そうでもなかったりする。それぞれの人物たちの高校生活のなかで「バレー部のキャプテンが辞めた」という事があった、というだけの本。どんな本やねん!と言いたいとこだけど、これがなかなかうまくできている。高校生のあれやこれやの感情がぎっしり詰まった本です。終始、自分の高校生活を思い出しながら読んでいた。楽しく過ごしていた反面、やっぱそれなりの葛藤とか嫉妬とか負の感情をぐるぐるさせてたな…。確かにそんななかで、「バレー部のキャプテンが辞めた」ぐらいの、自分と関係があるようなないような話が色々あったなー。そんな色々が凝縮されながらも、自分なりの生き方をしていた3年間だったんだろうな、と思う。もし「自分」がこの本の章に載るなら、どこの場面のどんな話になったんだろうなぁ…。…あっ、そうか。もしかしたらこの本の主人公って…。というクサいレビューを書きながら、高校生活の思い出に浸って眠りにつきたいと思います。 >> 続きを読む
2020/09/07 by 豚の確認
横山秀夫 (2006/03)
複数の人物からなる短編集ですが、登場人物は同じのため短編集でありながら一つのつながった展開のような感じがしました。一つ一つの完成度が高く推理要素も満載です。横山先生は警察小説を執筆する際に、どこまで突っ込んだ取材をしたらここまでの重厚な作品になるのか脱帽です。他の作品でもそうですが、これまで読んだ横山先生の作品からは男社会満載の警察が表現されていて、いつも灰色とか曇天、うす暗さを想像して読んでしまいます。 >> 続きを読む
2019/11/26 by ryoji
米澤穂信 (2012/03)
菅生芳光という休学中の大学生が叔父が営む古本屋に身を寄せている最中に、ある依頼が持ち込まれることから始まる物語。ある客から菅生が「壺天」という同人誌を探してほしいという依頼を受ける。真っ先に倉知淳「壺中の天国」を連想したが、そうではなく「壺中の天」という中国の故事の桃源郷から命名したものらしい(ちなみに倉知作品のネーミングも「壺中の天」由来のようである)。「壺天」以外にも4つの雑誌を探してほしいという依頼を受け、なんと一編につき10万円の単価を提示される(岩井俊二「リップヴァンウィンクルの花嫁」の住み込みメイド並に割のいい案件である)。その際菅生が店長にはそのことを告げず同僚の女性に2割のマージンを提示し自分たちだけでその依頼を達成するという、自民党の中抜きみたいなことを決意するのは笑かしてくれた。菅生が調査する最中に市橋教授という人物に面会したところ市橋から「自分で調べもしないで人に訊くのは怠け者のすることだ」というセリフを投げかけられ、自分としても耳が痛かった。菅生が探してくれと頼まれた小説は結末のない物語であるリドル・ストーリで、それがこのミステリの最も重要な部分と直結している。本作のミステリとしての基本的な構造は、島田荘司の御手洗物の某傑作と非常に似通っている(米澤が島田作品から着想を得たかどうかは定かではないが)。作品のラストは、とても哀愁漂うものであり法月綸太郎「頼子のために」を彷彿とさせた。本作はリドル・ストーリ物とはいえ最終的には物語が完結するので、個人的にはすっきりとした(ちなみに東野圭吾「どちらかが彼女を殺した」は本当に結末がないため要注意である)。本書は米澤穂信の転機ともいうべき重要な作品であると思う。マンハッタン・トランスファ「Route66」のように渋い小説である。 >> 続きを読む
2021/07/04 by tygkun
池沢夏樹 , サン・テグジュペリ (2005/08)
大人の僕には難しかった。
2019/12/07 by kenpi
湊かなえ (2012/07)
社内でも評判の良かった美人OLの殺害事件。それだけだったら、何を今さらという感じなのだが、湊かなえの「白ゆき姫殺人事件」のストーリーは、週刊誌記者の取材に対する会社の同僚、学生時代の友人、自宅近隣の人々のコメント等によって展開していく。さらに週刊誌記事、ネット上のやりとりも組み合わせられているという構成になっていて、その点が目新しく、かつ現代風なところ。相変わらず、ストーリー展開に趣向を凝らしているところに、この作品の特徴があるのだが、これまでの湊作品を、ほとんど読んできたので、正直なところ、些か飽きてきたという気がしています。10箇所も刺された上に、灯油をかけられ、火まで付けられ、死体となって発見された女性は、"白ゆき石鹸"というヒット商品を持つ、化粧品会社に勤める美人OL=三木典子25歳。そこから、"白ゆき姫殺人事件"という訳です。その事件と時を同じくして、失踪した同僚のOL=城野美姫が、すぐさま殺害犯人ではないかと噂をたてられ、まるで当然のように確実視されていきます。この作品の面白さは、事件の解明ではなく(実際に捜査過程はまるで書かれていません)、週刊誌上やネット上で犯人が確実視され、本名まで書き込まれ、あろうことか以前から云々と、好きなように誹謗され、その人物像が、炎上していく様を眼にするところにある。終盤、犯人と決め付けられた、城野美姫自身のコメントが用意されていますが、彼女と被害者の実像と無責任に云々された二人の人物との乖離の大きさが、不謹慎にも愉快です。そうか、一旦犯人に目されると、こんな風にして虚像は作り上げられてしまうんだと、得心できる思いです。ストーリーの本文と末尾に添付された「資料」とを組み合わせて読んでいくスタイルは、十分面白かったのですが、事件の真相自体は平凡なもの。それにしても、女性の交友関係は怖いですね。 >> 続きを読む
2021/08/02 by dreamer
和月伸宏 (1994/08)
お久しぶりですございますm(*_ _)m色々あってなかなかこちらに入って来れませんで。本はちょこちょこと読んでいたのですが😅で、ようやくレビューが書けるようになりまして、今回あげるのがこちらのるろうに剣心の第1巻ですっ!名作中の名作なので自分の拙いあらすじを書くよりかは、他の方達のレビューを読まれた方が何百倍わかりやすいと思うので自分は割愛させていただきます😉アニメがちょうど自分が小学生の時に始まりまして、周りはみんな夢中になって観ていましたが、自分はその時間プロ野球中継を父と叔父2人が家に3台あるテレビを独占し、アニメ観たい!と言うと、何故だ?ダメだ!と毎回突っぱねられ殆ど観れたことが無くかつ原作というか子供の頃は漫画なども殆ど読んだことが無く、内容ほぼ知らないんですよね。それで、今回原作をあるきっかけで全巻買ってみよう!と思い、昨日ようやく届いたので早速読んでみました\(^^)/いやぁ、セリフ量がかなり多くて最初は難儀しましたが、ぐいぐいと読ませる辺りは流石だな!と思いながらの読了に相成りました(*^^*)剣心もかっこいいし薫がとにかく可愛い!弥彦に斬左などのキャラも良いですよね('∇^d) ナイス☆!!剣心が普段はすごく優しいんだけど、いざ仲間たちがピンチになると、鬼気迫る感じで敵を薙ぎ倒していく様がすんごくかっこよくて、自分男ですがキュンキュンしてしまいました(๑́•∀•๑̀)ฅテヘ-世の女性陣が虜になるのも頷けますd(´>∂`)☆2巻以降もぐいぐい読んでいきたいな!と思います( •̀ω•́ゞ)✧ビシッ!!今年もあと少しで終わりますね。今年は昨年までに比べてあまり本(小説、漫画共に)読めなかったので、来年はもうちょい読めればいいなぁと思っています。あと、今年は本厄か!?と思うくらい色々な事があったので、来年は楽しい良い年になればいいなぁーとも思っています☺️まだレビューあげるかもしれないので、もしかしたら重複してしまうかもしれませんが、一応、今年もお世話になりました。来年も宜しくお願い致します(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)今回も良い読書が出来ました! >> 続きを読む
2021/12/30 by 澄美空
乙一 (2013/11)
なかなか好きな内容ですけども.....。6作それぞれが独立したお話しではあるけれどちょっとリンクしている。関連性は多少無理があるところもあると思うけど、今どきそれくらいやらないと1冊の本に仕上がらない感じがするよねwシメのホワイト・ステップは「せつなぃ系」全開。コレ読むだけでも意義があった本だゎ。そもそも思ったのは、他人のアイデアをもとに書きなおすというのはちょっとなぁ。そんなところもあって、乙一さんの本はずいぶん久しぶりですが感激はうすかったヵな。 >> 続きを読む
2018/07/28 by motti
乙一 (2000/05)
表題作(デビュー作!)では乙一さんの田舎者(失礼)具合にリアリティを感じます
2018/07/06 by motti
佐宗鈴夫 , リチャード・バック (2009/05)
Illusion――幻影む~~。レビューがとっても難しい一冊です。小説としてはストーリーが薄い、哲学じゃない、自己啓発本としては半端、奇想天外さではSFに遠く及ばない。どうしようね。この本……。世界的大ベストセラーの「かもめのジョナサン」の著者が書いた第2作目。しかし、「新版・かもめのジョナサン」を読んでしまうと、この「イリュージョン」はなんとも中途半端で中身はほぼ一緒という結論に達してしまう。両方とも、空飛ぶ若者の元に突然救世主なり仙人なりの超存在が現れて、主人公を開眼させて、救世主の跡継ぎにするっていうお話しです。まあ、人間の物語にしたというところだけが新しいというか。さらに露骨にキリスト教くさくなったというか。もっと自由に生きようという方向性はわかります。堅牢で動かしがたいように見える現実世界だって、幻にすぎない。見方、考え方一つで世界は変化する。一人一人が異なった世界を持っていてそれを見る事ができ、自分の世界で生きることができるのだ。それもごもっともです。でもヴォネガットは「変えられないこともある」って言っています。捕虜という自由から最も遠い立場にいて、目前で大量虐殺が起こり、自分も死んだかもしれなくて、見るだけで他にどうすることもできなかった無力を心に叩きつけられる。そんな体験をした彼は、『世の中でできないことは何もない。できないとすればそう思いこんでいる自分のせいだ』と、能天気に歌い上げることはできなかったのです。私も頑固なのかもしれませんが、物理的に水の上を歩けるはずで、歩けないのは水に溺れるという思い込みのせいだ。赤ん坊は水の上に立てないと思っていないから水面を歩けるのだというのには文学表現の上のことであっても、賛成できません。じゃあなんで数センチの水たまりで溺死するんですか?交通事故で半身不随の車いすの男を「奇蹟」で健康にする。それも「彼が歩けると信じたから歩ける」という簡単な解決方法で。救世主は「その奇跡を起したかったから」そうするのが楽しいから起したのだと言います。貧乏暇無しを嘆く人もその人がそういう生き方を望んでいるからだし、死ぬのも納得の上?では戦火の下で生きる子供達にも同じことを言えますか?ラストもドンの半端な退場で拍子抜けでした。ドンはいい奴かもしれない。でもなんとも気まぐれな救世主。第一、一人一人バラバラな世界で主人公になって、それで本当に満足ですか?人びとと世界を共有しないのなら、芸術は必要ない。悪いことは言っていないかもしれません。この本で心が軽くなる人がいればそれはこの本の効き目でしょう。でも、私についていえば、もっと心に響くことを言ってくれなくてはね。という感じでした。類は友を呼ぶ。君は奇蹟を行える人間だ。だから僕と出会った。これからは君が救世主のハンドブックで修行してごらん。ほら、あなたも救世主になれる。あなたの望むやり方で。で、リチャードはこの本を書いた。のだそうです。 >> 続きを読む
2015/12/03 by 月うさぎ
尾田栄一郎 (1997/11)
すごく楽しかったです
2018/07/17 by jp-miura
東野圭吾 (2007/02)
水原雅也の父親が、経営する工場の借金を苦に自殺した。その葬式の際、訪れていた伯父から、雅也の父に貸していた金の請求をされる。そしてその夜、神戸の町に大震災が起きた。偶然にも怪我を負わなかった雅也は、家屋の下敷きになっていた伯父を殺害してしまう。しかし、その一部始終を見知らぬ女に目撃されていた。告発されるのではと恐れていた雅也だが、逆にその女は、雅也を助けるかのような行動をとり始める。いつしか雅也はその女、新海冬美と共に行動をすることに------。そして二人は、決して日の当たらない幻夜の中を歩み始める。東野圭吾の「幻夜」は、「白夜行」を思わせるような、先の読めない展開がなされていく。「白夜行」は、主人公の男女の感情が、ほとんど明かされないという構成だったが、「幻夜」でも似たような構成がとられている。ただし、秘められるのは、主人公のうちの女性の方の感情で、男性の方は、苦悩ともいえる感情が切々と語られていく。この作品での物語を語る重要なテーマの一つとして、"罠"というものがあると思う。いたるところに、登場人物らを絡めとるかのような罠が仕掛けられていき、その影には、必ず二人の男女の姿が見え隠れしている。そして、その仕掛けられた"罠"は、主人公にさえも及んでいく。この作品がミステリとして成立しているのは、この"罠"の仕掛けによるものだと思う。その"罠"から見出される、無慈悲さというものが、この物語を象徴していると感じられる。ただ、この作品には、説得力というものが欠けているように感じられる。著者としては、敢えてその部分を省いた物語というものを構成したかったのだろう。しかし、その是非は、読み手の捉え方によって、かなり変わってしまうのではないだろうか。尚、この作品は、あくまでも独立した1冊の作品であるのだが、「白夜行」も事前に読んでおいたほうが、さらに愉しむことができると思う。 >> 続きを読む
2021/05/05 by dreamer
東野圭吾 (2012/01)
文句なし! さすが東野圭吾氏。痛烈な笑いあり、あっけらかんとした笑いあり、涙がほろりと出てしまうじんわりとした感動あり、負けるもんか!と応援したくなる人間ドラマあり。読みやすくて、楽しくて、読んでいる最中はとても幸せな世界に浸れます。出版をめぐる短編があつまっている。これらの短編はそれぞれがつながっていって、最終的にはじーんとする大きな感動が、うん、明日もがんばろう☆ と心の底からほんわかとする大きな感動が待ち受けていた。この読後感が東野圭吾氏なんだよな~。正直、そんなことを書いていいのか、おい、おい、東野氏、そんなこと書いて干されたりしないのか~、と心配になったりもしますが、いえいえ、東野氏だからこそ、ここまで、こういう言葉で書けるんでしょう。それぞれの短編はもちろん、巻末の「巻末広告」まで手を抜かない。実はこの巻末広告が妙である。そして巻末広告で私たちは知るのだ。唐傘ザンゲさん 「もっと大きい賞」=直木賞取られたんですね!奥さまも義父である奥さまのお父さまも、みんな、みんな、おめでとうございます☆読んで損をしないおススメ本です。====データ======新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版社のゴルフコンペに初参加して大物作家に翻弄されるヒット作症候群の新鋭…俳優、読者、書店、家族を巻き込んで作家の身近は事件がいっぱい。ブラックな笑い満載!小説業界の内幕を描く連続ドラマ。とっておきの文庫オリジナル。 >> 続きを読む
2020/04/15 by まみー
中村文則 (2012/02)
刑務官の僕は常に悩んでいる。自身の施設育ちだったり、死刑執行の役割につくことだったり。そして収監中の山井の言動にも。夫婦を殺して死刑が確定しそうなのに、控訴しない。その理由とは何なのか。途中にある先輩が話す死刑執行の過程は、かなりヘビーな描写。まともな人間でも精神がいかれてしまう状況だろう。基本的にダーク一辺倒な物語だが、わずかな救いはある。山井にとっては僕が担当で良かったはずだと。 >> 続きを読む
2019/10/07 by オーウェン
東野圭吾 (2003/05)
初期の東野圭吾はこういうミステリをよく書いており、これもその1編だが、小学生向けに書かれているというのがポイント。とはいえ主役は非常勤講師の男であり、子供たちとの付き合いはせいぜい数か月なので後腐れないように淡々と。だが学校内ではなぜか事件が起きる。謎を先に提示して、それはダイイングメッセージだったり、変てこな文だったり。それは子供たちが関わっており、いかにして非常勤が謎を解いていくのか。「10X5+5+1」の真相が何ともゾワッとする後味であり、「ムトタト」や「カミノミズ」の意味もよく練られていて、これ1作品で終わるのが勿体ないくらいだ。 >> 続きを読む
2021/06/28 by オーウェン
東野圭吾 (1996/08)
北海道に暮らす氏家鞠子は、大学教授である父と愛情の濃やかな母の一人娘として、幸せな生活を送っていた。しかし、ひょんなことから、自分は母の本当の子供ではないのではないかという疑問を持つようになる。思い切って調べた戸籍謄本には、「長女」と書かれていたものの、その後も鞠子が、母の愛情に疑問を感じる日は続いていく。そして、彼女が中学一年の冬休み。母は、父と鞠子に睡眠薬入りの食べ物を与えた上で家に放火、一家心中を図るのだった。しかし、結局焼死したのは母だけだった。そして五年後------。大学生になった彼女は、本格的に自分の出生の秘密を探り始める。父に内緒で上京した先で、彼女が知ったのは、彼女と瓜二つの女性がテレビに出ていたということだった。その女性は、20歳の女子大生・小林双葉だった。母の猛反対を押し切ってのテレビ出演だった。この作品では、鞠子と双葉の章が交互に書かれており、彼女たちが自分たちの出生に疑問を持った理由に始まり、少しずつ出生の秘密が明らかにされていく。彼女たちの心の動きも、とてもよく描写されているので、真相がわかっていくにつれて緊迫感も高まっていく。東野圭吾の作品は、テーマも形式も多岐に渡るのだが、この作品は、「変身」のように、医学の分野で人間が手を出してよい部分と神の領分として残しておくべき部分に関する内容になっている。そして、この作品に出てくるこの技術も、やはりこの分野も明らかに神の領域として残しておくべき分野だろう。特に、ある政治家のエピソードについては、東野圭吾の一番の危惧を見たような気がしました。こういう技術が発達すると、必ずぶつかる問題のはずです------。普段、それほど時事ニュースに興味のない人でも、このような作品を通して、いろいろ考えさせられるのではないだろうか。 >> 続きを読む
2021/03/22 by dreamer
三浦しをん (2013/10)
皆さんのレビューにある通り、光は全く感じられませんでした。心がえぐられるように辛かった。なんでタイトルが「光」なのかが全く分からず、思わずググってしまいました。すると映画「光」の大森監督とのしをん先生との対談ありました。https://booklog.jp/hon/report/hi-ka-ri-20171124日常の表面的な光の裏側の深い闇。破壊の中にそれでも生きる生命としての光。少し納得できた気がします。が、怖すぎる。 >> 続きを読む
2021/07/12 by はるかぜ
石田衣良 (2004/04)
映画化もされ、直木賞候補作にもなった石田衣良さんの代表作ともいえる一冊で気になっていたので図書館で借りて読みました個人的な感想で言うと、そこまで心に響かなかったのが正直なところです石田さんの作品は他にも何冊か読んでいるのですが、本作以外の作品のほうが私は好きだなと思いました(感じ方は人それぞれだと思うのでぜひ貴方も読んでみてくださいね)しかし、特段この作品が嫌いになったりすることもないのが不思議なところかもしれませんこの作品は題材に反して、温かみのある作品だと思うのでそれがネガティブな気持ちを包み込んでくれているのかもしれません娼夫という職業の話というだけで、もしかしたらなんだか暗い雰囲気だったり、闇のような雰囲気を感じてしまう方がいるかもしれません少なからず夜職や風俗業というのは偏見があると思いますし、それはきっと中学生のいじめ問題のように消えることはないのかなと残念ながら思っていますしかし、この作品は暗いどころか温かいのです大好きな人に優しく抱きしめられているような、春の太陽に照らされているような読後感に浸っています偏見のある方にも、この作品は是非読んでいただきたい一冊だと私は思いますそれから…御堂静香さんの口調が私はとても気になりました色っぽいけれど、冷たく、しかし慣れてくると温かいんです例えばP23の「こんにちは。電話をもらえなかったから、きてしまった」という言葉です私だったら「きてしまいました」とか「きてしまったわ」と書くかな〜と思うんですが、石田さんは「きてしまった」と書くんですあえて少し冷たく話すことで逆に魅力的に見せるためなのでしょうかあまり聞かない言葉遣いだと思ったので新鮮でしたまた静香さんのP60の「男に女がわからないように、男だって女から見るとわからないものよ」という言葉はとても共感する反面、作者の石田さんは男性なのに女性を書くのが非常に上手な方だと思いました官能的な描写の多い石田さんですが、女性的な表現や感情も上手なので男性だけでなくむしろ女性にも読みやすいのではないかと思いますそして最後にP114の「そうね、バスタブに青いインクを一滴落としたくらい、うんと淡いのでもそう呼んでいいなら恋していたのかもしれない。」という表現がとってもきれいだと思いました頭のなかで白いバスタブに水がたっぷり張られていて、そこに青いインクが一滴だけ落ちるのが映像で流れませんか?お洒落な比喩だなと思いますなんだか横浜や自由が丘みたいなお洒落さです、この感覚を言葉にするって難しいですね😊この小説を読んで学んだことは「正直に生きているほうがいい」ということと「普通に生きるということは意外と難しい」ということですアズマくんとのやり取りのシーンは村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を思い出しました…とある大学生のひと夏がこんなにも濃いなんて、誰にも想像出来ないですね >> 続きを読む
2019/07/17 by minase86
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