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池井戸潤 (2013/11)
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意地悪な登場人物が多いので最初はもやもやしながら読むのですが、流石池井戸先生。毎度のことながら最後にはスカッとさせてくれます。そして殿村さん、財前さん、江原等最初があまり良い印象でない人程後々すごく良い活躍をしてくれるので胸が熱くなります!沢山の苦難があったからこそ、最後のロケット打ち上げのシーンは泣いてしまいました。続編も読みます。 >> 続きを読む
2019/07/26 by こゆり
池井戸潤 (2010/10)
小さな町工場が逆境の中で勝利を掴みとっていくストーリー。何度も来るピンチの中、ハラハラしながら最後まで一気に読み終えました。主人公にすっかり感情移入してしまいました。面白いです。 >> 続きを読む
2019/02/21 by naaamo
東川篤哉 (2010/08)
話題になった東川さんの代表作のシリーズ1作目。ミステリだけど思った以上にライトなつくりで、お嬢様と執事の掛け合いや、風祭警部との程よいユーモアで飽きさせない。基本的に短編集で、事件現場で風祭とお嬢様が捜査していき、後にお嬢様が執事の影山に推理で解決されてしまうという流れ。このやり方なので犯人の詳しい動機とかは省略しており、影山の強烈な一言がお嬢様を貶め、同時に読者への挑戦状の役割も果たす。そこまで難解なトリックとかではないが、「花嫁は密室の中でございます」が印象に残る。これまでの展開とは違い、上流階級の人間の中で起こる事件。もう1人のお嬢様と執事が登場し、またそれが重要なキーワードとなっているのもよく出来ている。2作目も読みたくなる出来。 >> 続きを読む
2019/12/24 by オーウェン
池井戸潤 (2013/07)
池井戸潤の小説が、なぜ読ませるのか、そのヒントがこの「ようこそ、わが家へ」という本の中にあるような気がします。この本の主人公は、銀行から取引先に出向している五十一歳の倉田太一。通勤電車で割込みをした男を注意すると、その男らしき犯人の嫌がらせが始まって、倉田は目に見えない敵との戦いを強いられる。同時に会社でも、営業部長が私腹をこやしていると疑うものの、証拠がなく、こちらの戦いも苦戦を強いられる。いつものように、気が滅入ってしまうような世界が、主人公の前に展開するのだ。要するに、池井戸潤の主人公は、悪意が充満している現実と対峙しなければならない。いつもだ。こんなの読みたくないなあと思うのだが、今回もどんどん引き込まれて、一気読みしてしまうのはなぜか?会社には、倉田の味方をする部下がいて、また目に見えない敵との戦いでは、家族が倉田の側に立つ。つまり、悪意と戦う主人公には必ず理解者がいるのだ。気が滅入りながらも、一気読みするのはそのためだ。これで理解者がいなければ、いくらなんでも辛くて読めないだろう。 >> 続きを読む
2019/02/12 by dreamer
夏川草介 (2011/05)
再読。でも、面白かったーーー!そして、感動したーーーー!!!!!!!!!!!!何年ぶりに読んだかな。随分前に、それこそ刊行当時に読んだと思うのですが、久しぶりに隣の部屋を見たらふと棚にあって、「あ、読んでみよう・・」と思い読み始めたら面白くて止まらなくてほぼほぼ一気読み。この梅雨寒の夜にひっそりとでも味わい深く、熱く読み、今ほど読み終わりました。こういう医療系の話ってちょっと苦手なんですよね。読んでると当たり前ですがいろいろな病気やその病気で苦しんでいる人たちの描写があって時には病気や症例が詳しく書いてあって「あ、そういうことも起きるんだ・・」と要らぬ知恵がついたりしてそれが「ああ、もしかしたら大事な人がそうなったら・・・」とか不安が不安を呼んで怖くなったりするんです。自分も特養ホームに父が入所していまして今は元気に日々を暮らしていますがいつどうなるかはわからないですしいつ何が起きてもおかしくない年齢でもあるので本当に怖くなって想像が妄想を呼び苦しくなったりします。だから、基本こういう作品は読まないようにしています。ですが、この「神様のカルテ」はそういう暗い話も登場人物たちのコミカルででもあたたかく毀誉褒貶なやり取りで読んで怖くなり震えている自分の心を温めてくれる。時に怖くなっても勇気や感動を齎してくれる・・そんな光と影を内包した不思議な作品だなぁと思うんです。主人公の一止に我が愛しの細君。男爵に学士殿。看護師の東西に外村さん。次郎に水無さん。化かされ続けてる大狸先生に古狐先生。名前を列挙しているだけでこの面々の賑やかな笑い声が聞こえてくる、そんな良い意味の錯覚を覚えるくらいのキャラクターたち。みんながみんないろいろな想いを抱えて真っ直ぐに生きている様は本当に勇気をもらえます。基本、小説の中の話は創作物として一線を画しているのですがこの作品だけはそうはいかないといいますか、なぜかリアリティを伴ってズバズバと自分の心と躰に刺さるんです。だからかもしれませんが、何度読んでも涙は溢れ流れ落ち、寂寥感のなか不思議とあたたかい気持ちになり気がつけば捲る頁が無い・・という現象が起きているんです・・・全くもって不思議です。今回も安曇さんの話では滂沱の涙が滴り落ちました。人は孤独だけれども決して不幸ではない。そんな当然のことを思い出させてもらえました。2巻もどこかにあるはずなのでもしまた偶然見つけたら本を開いてみたいと思います!ちなみに個人的に好きなキャラクターは看護師の東西ですね。こんな器量があって仕事バリバリこなして淹れるコーヒーが美味い。そして、可愛い・・・なにを迷う必要がありましょうか・・・!笑ああ、自分にも美味しいコーヒーを淹れてくれる天使、現れないかなぁ・・・・・・コホン。逸れました・・・すみません(笑)たまの夜更かしもいいんじゃないでしょうかね。今回も良い読書が出来ました!! >> 続きを読む
2019/07/07 by 澄美空
中田永一 (2013/12)
拝啓 この手紙読んでいるあなたは どこで何をしているのだろうNHK全国学校音楽コンクール(通称Nコン)平成20年度の中学部門の課題曲は、アンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓 十五の君へ」そのドキュメントをもとに描かれたという本書。長崎県五島列島に住む中学生が、上記の曲を課題曲としてNコン選抜に参加するお話。主人公は一応二人。一応、というのは、話自体はその二人の語り口で進んでいくのだが、内容としてはその二人に焦点が当たっているわけではなさそうだから。母親が亡くなり、父親は愛人と出ていった女子、ナズナ。兄が自閉症で、兄の世話をするために産まれてきた男子、サトル。合唱部を担当していた先生が産休となり、臨時教師としてやってきた柏木。その柏木目当てで、女子しかいなかった合唱部に男子が入部するが…。まぁそんなお話。中学生が各々の想いを馳せ、大会に挑んでいく…。もうこのシチュエーションだけでおじさんは胸が苦しいです。本書では学生に宿題が出されます。15年後の自分に手紙を書いてください。本書ではその手紙の内容が要所要所に組み込まれて話が進んでいきます。それは、誰かを想う気持ちだったり、何かを決心することだったり、自分という存在だったり…。それぞれがそれぞれの悩みを抱えています。そしてNコンを終えたあとにそれぞれがどう変わっていくのか…。読後に思ったことは、本書の内容がいい意味で全体的にフワフワしている。過程と結果が必ずしも結び付いてない気がする。幼少時代のトラウマを受け止められたけど密かな想いは届いていなかったり、自分の存在意義に疑問を持ったけど、最終的に何か起こったわけではなかったり。でも、そこがいいんです。中学生だもん。大人みたいに変に結論づけて何か形にする必要はない。だって、全然途中だから。でも中学生だけじゃない。本書では柏木先生の心情や事情というのはあまり語られなかったけど、最後の手紙でそうだったのか、と知ることになる。中学生も大人も、何か形になっていなくても、確実に何かが変わった。苦しくて甘い今を生きている。そこが読んでいてじんわり、遠赤外線のように暖まってくる。そんな、フワフワとどこか結論づいてない、未完成な話が、本書の内容に説得力をもたせていて楽しく読むことができた。ちなみに中古で買った本書は映画化後のもの。つまり、主演の新垣結衣をはじめ、この子がこの役だろうなぁって子達が五島列島の海を背に映っているものがカバーになっている。そのため、読んでいる時の脳内キャラクターは完全に映画の出演者たちに。でも、新垣結衣は個人的にはまっていて違和感なく読めた。また、文章がすらすら読みやすいなぁ、と思っていたら、中田永一さんは、乙一さんだったのね。…でもよく考えたら乙一さんの作品を読むのは初めて。他の作品も読んでみたくなった。そして、タイトルのくちびるに歌を。主題歌は作品のモチーフにもなっているアンジェラ・アキさんの手紙なんだけど、個人的にタイトルのせいか、ポルノグラフィティの「くちびるにうた」がずっと脳内に流れてた。でも不思議と合うんだよなぁ。曲中歌をアンジェラ・アキにして、エンディングでポルノグラフィティを流してほしい!それはさておき、15年後の自分かぁ。15年前は何を考えて生きていたのだろうか。そして今、15年前の自分にどんな言葉を贈れるだろうか。…なんか考えたらちょっとおセンチな気分になってきた(死語?)やはりたまに読む青春物はいいですなぁ。 >> 続きを読む
2020/03/19 by 豚の確認
西加奈子 (2007/12)
幸せ溢れる夫婦と3兄弟の長谷川家と飼い犬さくらの家族小説。家族の全てを変えてしまった“長男の事件”を語るがための長いプロローグを兄弟の真ん中で一番個性のない次男“薫”の視点で思い出口調で語られていく。様々な事件が起きているというのに全編通してのどかな雰囲気のまま読み終えた。薫の淡々とした語り口調のせいもあるが、愛らしいさくらの存在が大きいかもしれない。個人的には母親の初の性教育での台詞が好きだった。すごくクサい台詞だけど、幼い子供達に向けて純粋な気持ちを理解させる説得力があった。 >> 続きを読む
2019/01/28 by NOSE
和田竜 (2007/11)
和田竜の時代小説「のぼうの城」の舞台は、武州忍城。秀吉が天下をとりつつあった時代。大軍を率いて小田原攻めを行った秀吉が、石田三成に命じた城攻めが、忍城だった。二万の軍勢で襲いかかる三成に対して、忍城勢はわずか二千。その忍城を束ねるのが、忍城城主の従兄弟、成田長親だった。この長親のキャラクターが、抜群にいい。ただし、それは、長親が武勇に秀でているとか、稀代の知恵者であるとか、とりわけ徳に篤い、とかいうのでは全くない。ひと言で言うなら、この長親は「でくのぼう」なのだ。タイトルの「のぼう」とは、その「でくのぼう」から来ている。要するに、強くもなく、賢くもなく、さらに言うなら美しくもない。この本の言葉を借りれば、「ただ大きく、鼻梁こそ高いが、唇は無駄に分厚く、目は眠ったように細く、その細い目を吃驚したように開き、絶えず大真面目な顔でいる」のが長親なのだ。表情は極端に乏しく、めったに笑うこともないのだが、対面した誰しもが、この男がへらへら笑っているかのような印象を受けるのだ。有体に言うならば、"阿呆づら"なのだ。しかも、そればかりか、図抜けて背が高いくせに、剛強さはまるでなく、それどころか、信じられないくらい不器用、ときている。侍でありながら、野良仕事が大好きで、手出しをしたくてしょうがないのだが、いざ手伝わせてみると、わざとやっているのかと思うほど、無能な肉体労働者とくる。長親が手伝った、ある村の田植えなど、三日もかかって植え直したくらいなのだ。にもかかわらず、百姓たちが「のぼう様」に「やめろ」と言えないのは、のぼう様が、全くの善意から手伝っていることを知っているからだ。そう、この、戦国時代にあって、箸にも棒にもかからない、役立たずの長親は、臣下はおろか百姓領民から好かれ、慕われているのだ。いや、慕われるというのとは違うかもしれない。長親を見ていると、皆が皆、ほっとけない、という気持になるのだ。のぼう様を助けてあげなければ、という気持になるのだ。傑出した何かで人を動かす、というのではなく、そのあまりのでくのぼうさ故に、俺が、私が、しっかりしなくては、のぼう様をフォローしなければ、と周りの人々が動くのだ。こういうキャラクター、つまり、ヒーローらしさの全くない男を主人公に設定した、というのがこの本の魅力の一つであり、時代小説という、ある種、趣向が出尽くした感のあるジャンルにもかかわらず、読者に新鮮な驚きを与えてくれる物語になっているのだ。さらに、これがこの本の肝なのだが、そんなでくのぼうの長親が、三成の城攻めという一大事にあたって、今まで隠していた傑物ぶりを発揮する(それが、オーソドックスな時代小説のパターンである)かと思いきや、さにあらず、最後まで、本当にでくのぼうなのか、それは世を忍ぶ仮の姿で、実は途方もない大物であるのか、分からないのだ。そこが、実にいい。型にはまらない、伸び伸びとした物語世界が、この本にはある。長親を支える武将たち、正木丹波、酒巻靭負、柴崎和泉守の"三銃士"もいいし、長親に密かに想いを寄せる忍城城主の娘、甲斐姫、甲斐姫の義母である珠、百姓のたへえ、等々、脇役のキャラも立っていて、読み始めたら最後、ぐいぐいと物語に引き込まれてしまう。何よりも、これが小説デビュー作とは思えないほどの、物語の"語り方のセンス"が素晴らしい。時代小説という枠組を越えた、物語としての面白さを存分に味わえる一冊だ。 >> 続きを読む
2021/04/26 by dreamer
西加奈子 (2008/03)
今年初めて心に響いてくる小説に出会った気がした。相性の合う夫婦でも言えないことや怖いことがあるのね。でもそれが続くともっと言えなくなるしお互いの溝が深まる。居心地のいい場所はお互いの努力が必要なんだと思う。相手の存在が自分の生活の一部に自然に溶け込んでるときはいいけどそうじゃなくなったら向き合って!「ムコさん」は東京に行く前にちゃんと前に恋愛した人とのことを話せば良かったのに。色々考えることはあるけど面白かったことには変わりなし。 >> 続きを読む
2019/01/22 by miko
和田竜 (2010/09)
戦国時代に起きた“忍城の戦い”をベースにした軽快なタッチの歴史小説。天下統一を目前にし、ノリにのってる豊臣秀吉が小田原攻めで唯一落とせなかった忍城。主人公はその忍城の城主である“成田長親”=“のぼう”だ。“のぼう”は“でくのぼう”の略で、不器用で知謀も武勇もなく大好きな農作業ですらヘタクソな成田長親が家臣や領民からも呼ばれた愛称である。のぼうの武器は人柄の良さだけ。人に好かれるという才能、たったそれだけで豊臣の2万超えの軍勢に農民を含めても3千の軍勢で支城する。何といっても、のぼうを囲むキャラクター設定が魅力だ。豊臣秀吉も周りに恵まれたと言われてるが、のぼうの方もなかなかである。領民以外は全て実在の人物だというのが驚きだ。読後にそれぞれの人物を調べるのも楽しい。小説では表現しきれなかった個々の奥行きが深まる。豊臣軍の指揮者である石田三成が、のぼうの「目もくらむような光彩を放つほどの的外れた大笑の顔」を見た時に、「あけすけな笑顔」を見せる豊臣秀吉とオーバーラップするシーンが印象に残る。良い人間関係に恵まれる器は屈託のない笑顔から育っていくのだと思う。 >> 続きを読む
2019/02/07 by NOSE
東川篤哉 (2012/10)
「失礼ながらお嬢様ーお嬢様はアホでいらっしゃいますか」このフレーズが有名の本作。あらすじを書くまでもないでしょう。1度目に読んだのは確か中学1年生…。嵐の櫻井くんに夢中だった頃、ドラマ化をきっかけに読みました。当時は、本作を読みながら大好きな櫻井くんを反芻させて読んでいた記憶がありますね…。あれから約10年(まじか…)、繰り返し見たドラマでしたが流石に事件の犯人は覚えていなかったようで、素直に作品を楽しむことができました。本屋大賞を取るのも納得の読みやすさ、コミカルな展開、キャラクターの個性。どんどんページをめくることが出来ました。【追記】読書家の方々にはなかなか酷評の本作。本屋大賞になり期待値が上がりすぎた、濃厚なミステリーを求めたが故の拍子抜け、美男美女を起用したドラマの原作としての偏見…諸々があったのかなぁと。ミステリーが得意でない私や当時中学生だった私、普段読書をしない人にも読みやすいあっさりした謎解き。それ故に話題になったのに、悪く言えば拍子抜けの謎解きに裏切られたと思った人が多かったのかな。何が言いたいかと言うと、私はこうゆうあっさりミステリーがあってもいいと思いました。 >> 続きを読む
2020/09/22 by みほさん
長岡弘樹 (2013/06)
警察が舞台なのは数あれど、警察学校が舞台というのは珍しい。1人前の警察官に育て上げるためではなく、篩にかけるための場であると主張する風間教官。そのため足の引っ張り合いなどがある中で、その思惑を暴いていくミステリでもある。6話の連作形式だが、結末を見ても結果がどうかは分からない。その次の話に、その人間がどうなったかをわずかに描写するだけ。そうすることでクラス内の雰囲気が変わっていき、風間教官の指導が露わになっていくという構成。ラストは卒業生たちの卒業文集という形。これまでの学生たちの心情が綴られ、風間教官も新たな新入生たちを迎え入れる日々が続いていくのだ。 >> 続きを読む
2020/09/24 by オーウェン
西加奈子 (2007/06)
加藤千恵の作品が良かったので、仲が良いとWikipediaに書いてあったので手にとった。スナックで働いている、すこしやさぐれたような女が主人公の日常生活もので、妊娠して名前をつけようと考えたのが「あおい」という短編の他に2篇が収められている。話の筋は悪くないが、私には響かなかったかな。 >> 続きを読む
2021/05/21 by 和田久生
中村航 (2007/11)
いかにも小・中学生向けのような軽いものだった。ただ、ヒロインが映画で桐谷美玲が演じていたため、脳内でも桐谷美玲で再生されすごく充足感は感じられた。笑 >> 続きを読む
2017/06/21 by よしりよ
夏川草介 (2009/07)
長野県松本市の地域医療に携わる医師のお話です。私は医療関係には疎いし苦手ですが、語り手である主人公の古風な喋り方とテンポの良さで楽しく読むことが出来ました。地域医療の問題、日々出会う様々な患者との接し方、病院で働く中での心の持ち方に読み入ってしまいます。悩んだり細君に癒されながら働く主人公にはきっと好感が持てるので、どんどん頁を進めたくなる本だと思います。 >> 続きを読む
2018/04/09 by nona
東川篤哉 (2011/10)
東川篤哉の「謎解きはディナーのあとで2」は、第一作に引き続き、お馴染みの資産家令嬢にして刑事の宝生麗子と、毒舌執事の影山の名コンビが登場し、六つの難事件に挑むミステリだ。いずれの話でも、刑事のお嬢様が捜査に行き詰ったところ、慇懃無礼な執事によって、嫌味ったらしく真相をいい当てられるという、いわゆるシチュエーション・コメディの形式は、第一作のそれを踏襲したものであり、シリーズの読者の求める安心感に配慮しているのが嬉しい。第一作よりも、影山の人物造形に広がりをもたせつつも、基本のスタイルは堅持されているのだ。もちろん、肝心のミステリ面の完成度は、しっかりとキープ。アリバイ崩しや密室状況が、影山によって鮮やかに解かれていく。とりわけ感心したのは「殺意のパーティにようこそ」。"パーティ"という場の性質の核心を突く謎解きを読めば、目から鱗が落ちること請け合いだ。 >> 続きを読む
2020/02/18 by dreamer
藤井建司 (2010/11)
既に崩壊しているが、家という箱の中で同居しているだけの家族に訪れた粗暴なヤクザ。狙いは分かるが、粗暴な刺激を投下したいのでヤクザを登場させるという発想が安直過ぎる気がする。表面的な関係で成立している集団に対しては、エモーショナルなアプローチが効く場合が有る。ビジネスライクな関係だった人と、飲んでみたら俄然仲良くなったというのが好例だろう。最近聞くことが減ったが、少し前までは「飲みニケーション」などと呼ばれ、チームビルディングの具体的な実績の有る手法と言える。兄は引き籠り。妹は不良化。母はアル中。父は感情を押し殺して周りに干渉しない。冷え切った関係が続いていた家族に対して、ある日突然ヤクザが居座り始める。リアルではヤクザの知人は全くいないものの、本や映画の世界では、かなりのファンなので、正直「こんなもんヤクザじゃない!」と思ってしまっている自覚は有るものの、第三者的に見ても、やはり安直だと思う。粗暴なヤクザの強制的な干渉によって、コミュニケーションを取り戻した家族という絵にしたいのはわかるのだが、岩田というヤクザ自身の背景が描かれていないため、どうにもご都合主義な登場人物な気がして仕方が無い。ただ、家族それぞれの事情とか心情については、現代病理を上手く写し取っていて、共感はしないものの、一定のリアリティを感じることはできた。アッと驚くオチが用意されているので、推理小説的な要素でも楽しめるかもしれない。ヤクザ岩田シリーズには続編が有るらしい。でもヤクザとして魅力的では無いので読むことは無いだろう。 >> 続きを読む
2012/08/21 by ice
夏川草介 (2013/01)
久々にこのシリーズを読む機会に恵まれました。そういえば夏目漱石好きの主人公だったなとか、二十四時間三百六十五日対応の病院だったな、とか。読んでいるうちに、少しずつ思い出してきました。全く忘れていても問題ありません。というわけで、7年振りの栗原一止先生です。この後の作品も全て借りる予定です。東京の大病院から本庄病院に赴任してきたのは、一止の同級生・進藤辰也。一止は再会を喜ぶが、病院内での進藤の評判は悪い。赴任してきた直後の浮ついた噂話はなりを潜め、十日ほどの間に、ほうぼうで少しずつだが確実に、苦情が聞かれるようになった。進藤の妻は大学時代に一止が好きだった人。しかし、現在の彼女の状態は…私も同じくらいの子を持つ親なので、進藤の妻・如月の立場の苦しさはよくわかります。それと同時に、今の職場が理解があることに改めて感謝をしました。育休後復帰し、子どもの送り迎えや病気で早く帰宅したり休むことは当然のことだと思います。そうでなければ仕事と子育ての両立なんてできません。患者の家族の心無い言葉に壊れてしまった如月は、子どもの送迎をやめ、会社に泊まり込むようになりました。3歳の子どもが母親を求めて泣く姿を思うと悲しくなります。なんて生きにくい世の中なんだ。母親が正気に返って元の生活に戻れたとしても、その間の純粋で可愛らしいさかりの子どもの成長を見ることは叶いません。そして、子どもを悲しませたことを後悔しながら生きていくのでしょう。父親が故郷に戻り、子育てしながら子に寄り添っているのがせめてもの救いだと思いました。ラストは明るい兆しを見ることができました。主人公そっちのけで語ってしまいましたが、今作の進藤と一止の友情がとても良いです。前作を読んだときは特におもしろさを感じなかったのですが、進藤の存在が良かったのか、一気に好印象となりました。続編も楽しみです。 >> 続きを読む
2021/06/26 by あすか
荒川弘 (2011/07)
「銀の匙」という漫画が人気。という話を知ったのはいつのことだったか…農業高校のお話と知り「理系ブーム」だからね。とか、「銀の匙」って中勘助かよ。とか、「動物のお医者さん」&「もやしもん」の、それとも「のだめ」と「ハチクロ」のお次は専門高校なのね。とか、そんなふうにあしらってしまってごめんなさい。作者が荒川弘さんと気づいてショックあまりに方向性もジャンルも主人公の作画も「鋼の錬金術師」と違うじゃないですか!!彼女なら間違いないと遅まきながら手にして第一巻「面白い!!」です。文句なく。「……あの…すいません。実は特に夢が無くて…ほんとすいません…」八軒勇吾は有名高校への受験に失敗し大蝦夷農業高等学校の酪農科学科に入学家族から逃げたい一心で、寮があるという理由だけで…都会育ちの八軒には想像を絶する異世界が待ち受けていたのであった作者の実生活から生まれたこの漫画には日本の農業や農家の姿を知ってほしいという思いが込められています。何も知らない考えたこともない八軒はそのまんま都会人の私たちです。漫画って凄いな。こんな話題をシリアスに書いた本なんか一生手にしないだろう何万もの人が、「銀の匙」を通して生産者の現実に触れることになる。昔NHKの「明るい農村」というシリアスで暗い番組を社会の授業で見せられて、農家にだけは絶対なるまい、農家でなくてよかったと、子供心に刷り込まれました。仕事の苦労や心配事は何も農業に限らずです。ことさら苦労だけを強調するあの番組は、お百姓さんありがとう!の心を育てるという企画としては見事失敗だったと思います。日本の農業は大方は実に大変だけど、生産者の方には夢も有れば野心もあるし、努力すればそれだけの実入も価値もある。食の未来に立ち向かう若者たちの姿は逞しく明るく何より熱いのです。しかしながら、夢を持ち、その実現に邁進する事が尊いのだ。何も持っていない人は空っぽでダメな奴とは作者は決して考えていません。「すいません」と謝る勇吾に校長先生は「それは良い!」と笑顔で全肯定します一巻の数話でもうこのレベルの深さですよさすが荒川弘さん芯のある筋を曲げない作家だと思っていましたが、本作も本当にその通りの名作です。連載は途中家族の問題などで中断して不定期掲載になり、それなのに話の一貫性やテイストは全くぶれず、中断なんて感じさせません誰にでもおすすめできる、笑えてためになって感動できる、素晴らしい漫画だと思います!2011年19号 - 2019年52号(2014年より不定期連載)巻数 全15巻話数 全131話 >> 続きを読む
2022/02/11 by 月うさぎ
小玉ユキ (2008/04)
この作品の影響でジャズが好きになりました!タイトルのアポロンはギリシャ神話のアポロンからきており、神話と同じで登場人物みんなが片思いをしています。少女漫画でありながら主人公は東京から長崎へ転校してきた高校生の男の子なので、少女漫画特有のきらっっきらした感じはいい意味であまり感じず男性にもお勧めしたい作品です!恋とジャズに一生懸命な高校生のお話です。 >> 続きを読む
2015/10/26 by めーこ
【(株)小学館】(シヨウガクカン) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(出版社,発行所)
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