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(株)文藝春秋 (ブンゲイシユンジユウ)

企業情報
企業名:文藝春秋
ぶんげいしゆんじゆう
ブンゲイシユンジユウ
コード:16
URL: (株)文藝春秋 http://www.bunshun.co.jp
      イニシエーション・ラブ

      乾くるみ2007/03

      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね! yana nasubivi ooitee akino

      • 乾くるみの「イニシエーション・ラブ」は、合コンで知り合った若い男女の恋愛模様を描いた作品。

        レコードになぞらえた二部構成となっおり、side-A面には甘いラブソング、side-B面には別れを予感させる歌詞の曲名が、各章のタイトルに用いられている。

        1980年代の後半を舞台として、ぎこちないながらも堅実に愛を育んでいく二人の姿に、青春時代の自分の姿と照らし合わせて懐かしく思う人も少なくないだろう。

        本物のレコードならB面から聴いても差し支えないが、この作品を読む際は要注意だ。
        なぜなら、この作品はただの恋愛小説ではないからだ。

        「ぜひ、2度読まれることをお勧めします」と帯で謳われているように、綿密な計算の上に構築されている。

        乾くるみファンなら、タロットカードの6番「恋人」のカードが、さりげなく描かれていることから、この作品は「何か」が仕組まれているタロットシリーズだと勘づくだろう。

        しかし、たとえ途中で謎が解けたとしても、ミステリとしての面白みは損なわれないはずだ。

        浮かび上がる構図が持つ邪悪さは、読み手の心中を突き刺す衝撃を持っているからだ。

        >> 続きを読む

        2019/08/28 by dreamer

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      イン・ザ・プール

      奥田英朗2006/02

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! chao kotaro ybook tadahiko
      • 「いらっしゃーい」から始まる伊良部総合病院地下にある神経科の医師伊良部は中年小太りで医師とは思えないデリカシーの無さ、患者が来ないと思った日には勝手に休診もお構いなし。
        その上直ぐに注射を打ちたがり、注射を打ってるのを見たがるある種の変態w
        そんな病院に来る患者たち。
        最初は不気味でろくな対応をしない伊良部に不信感を抱くが日を追うごとに不思議と伊良部を拠り所にしていく。
        結果病気も治っていく。

        此れを伊良部が狙ってやっているのかは不明ですが、不思議な医師に変な患者の模様は不思議とページが進んでいきました(笑)
        個人的に好きな話は「コンパニオン」です。

        >> 続きを読む

        2020/05/07 by ヒデト

      • コメント 2件
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      空中ブランコ

      奥田英朗2007/12

      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね!
      • ヘンテコな精神科医伊良部の第二弾。

        人間不信なサーカス団員(空中ブランコ)、尖端恐怖症のヤクザなど相も変わらずちょっと変わった患者をもっと変な精神科医の伊良部が結果的治療し、救っていく。

        本の表紙が似ているから同じ感じかと思っていたけど、伊良部一郎シリーズだったとは・・・w
        絶対に伊良部とは友達にはなれないけど、あそこまで厚顔で無神経な医師とか本当にいたら面白い!
        >> 続きを読む

        2020/05/10 by ヒデト

      • コメント 2件
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      64
      64

      横山秀夫2012/10

      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! ybook momomeiai kissy1986 92L ooitee
      • 難産の末生み出されたという表現がぴったりの作品。

        横山さんの集大成の様な中身だが、昭和64年にD県管内で起きた誘拐事件。
        それは少女が殺されるという最悪の結末であり、通称64として県警に知れ渡っていた。

        その64事件がを模倣したとされる事件が発生。
        広報課の三上は記者たちとの軋轢の中で、上司との駆け引きをもがきながら事件の経緯を見守る。

        警察の組織を色々な角度から見つめている横山作品だが、広報という立場から描き出している。
        いかにして記者協会と協定を結ぶのかも大きな見どころだし、事件に関わる三上との人間関係も見ごたえがある。

        そして犯人を特定するための恐るべき執念には驚嘆する。
        そういう手段を実行に移すこともそうだし、64事件の模倣という意味でも納得させてしまう動機だ。
        >> 続きを読む

        2019/09/24 by オーウェン

    • 他23人がレビュー登録、 64人が本棚登録しています
      色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 = Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage

      村上春樹2013/03

      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! double kawahara momomeiai Luna
      • 発売された当時、直ぐに買って読みましたが今は大まかな内容しか思い出せなくてまた読んで見ました。表題にある「巡礼の年」は「フランツ・リスト」の「ル・マル・デュ・ペイ」の曲集の第一年、スイスの巻からきてるらしいです。村上春樹は大方音楽と関係がある作品を書きますね。途中でも色々音楽のタイトルが出て来て読んでる方もニヤリとします。内容はある日突然親友達から意味もなく拒否され自殺まで考え、そして一人づつ逢い何故そうなったか真相を探る物語ですが、実際に私のこれまでの人生でも急に連絡が取れなくなった友人がいます。人それぞれの人生ですから仕方ないと思います。読んでいてその事と話しがだぶり少し切なくなりました。そして主人公の「つくる」頑張れ、負けるなと応援したくなります。 >> 続きを読む

        2020/03/01 by rock-man

    • 他22人がレビュー登録、 79人が本棚登録しています
      死神の精度

      伊坂幸太郎2008/01

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! ooitee
      • 気軽に読めるエンタメ小説としておススメの一冊。
        『死神の精度』なんていうお堅めのタイトルでハードな内容を想像してしまうが、どっこい、読後感はちょっとホンワカとする短編6作品。
        大泣きするほどの感動があるわけではないけれど、ユーモアあり、爽快感あり、ファンタジーあり…と、ぐっとくる人生観が垣間見れるセリフやシーンが適度にちりばめられているところが善き。
        各短編のなかにこの作家らしさが詰まっているので、<伊坂幸太郎はじめてさん>にもおススメできる一冊になっている。

        ===データベース===
        1、CDショップに入りびたり、 2、苗字が町や市の名前であり、 3、受け答えが微妙にずれていて、 4、素手で他人に触ろうとしない。
        ――そんな人物が身近に現れたら、それは死神かもしれません。
        1週間の調査ののち、その人間の死に〈可〉の判断をくだせば、翌8日目には死が実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う6つの人生。 日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作ほか、「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「恋路を死神」「死神対老女」を収録。

        ==========
        どの短編も読みどころがあるが、やはり最後に「なるほど、そうきたか」と声をあげてしまった最終話「死神対老女」は、描かれている死生観といい、うならされた。

        またクローズドサークル、本格もの設定になっている「吹雪に死神」も、最後のトリックに妙に納得。そうか、これは死神だからこそのトリックなんだ。
        いや~、私には思いつかなかったし、私だってそういう行動をとってしまうよな~、とこんなに短いストーリーできれいに回収されているのに脱帽。
        途中アガサクリスティー作品の蘊蓄にちらりと触れてくれているのが、ミステリ好きにはにやりとする場面でしょうか。

        そんななか、もっとも熱く読んだのが任侠ものの「死神と藤田」。
        <弱きを助け、強きをくじく>を地で行くストーリーに、をを~っ!となった。
        話はここで終わっているけれど、この後の場面を想像するとまちがいなく胸温だ。
        全部を書ききらず、そういう想像の余地を残してくれているところが、またよい。


        本書の魅力、つまりは伊坂幸太郎という作家の魅力になるんだろうけれど、人間と死神の微妙なズレからくるセリフや考え方、行動がおもしろみを生み出している。
        たとえば死神は「雨男」だ。自分でもうんざりするくらいの「雨男」で、”仕事”をするときにはつねに天気は雨。
        そんな死神が「雪男」という言葉を耳にした。すると、死神の反応は「”雪男”も”雨男”みたいなものか」という。雪男が仕事をするときにはつねに天気は雪、そんなふうに考えるのだ。
        死神といえど全知全能ではない設定にしているので、人間の常識的なことがことごとく通じない。そこにちんぷんかんぷんのズレたやり取りがあって、それが素直に面白いとおもえるし、ときになにやら”真理”をついているようで含蓄がある。考えさせられる。
        だって、レストランで牛のステーキをうまそうにほおばる人間に死神が放った一言は、「死んだ牛はうまいか」なんだから。おい! たしかに”死んだ牛”だけどな。

        非日常的な視点からモノを見ることで、ふつうのことを見慣れない奇妙なものにしてしまう手法を「異化」効果というそうだ。
        本書のあとがきで解説してくれている。

        全知全能でない設定の死神だからこそ人間がやることなすことにいちいち不思議がり、その微妙なズレがおかしいし”真理”を生み出すことに成功している。

        そういえば知念実希人の『優しい死神の飼い方』のレオもそういうタイプだった。
        ものすごく上から目線なのに、人間からするとどこかすっとぼけていて、その差が絶妙に愛らしかったんだなあ。

        閑話休題。
        P78で死神はこんなことをいう。
        「人間は不思議なことに、金に執着する。音楽のほうがよほど貴重であるにもかかわらず、金のためであれば、たいがいのことはやってのける」。

        金や欲や出世などにまみれて生きざるを得ない現世だけれど、こういうものから少しだけでも解放されたら、もっと自由に楽に生きられるんだろうな。

        こういう発想がふだんの日常にちょっとでも取り入れられたらなあ~。

        と思ったら、最近読んだ伊坂幸太郎の『逆ソクラテス』の「ぼくはそうは思わない!」という一言に思い至った。

        <伊坂ワールド>ちょっとずつ制覇していきますか。



        >> 続きを読む

        2021/06/28 by まみー

    • 他22人がレビュー登録、 152人が本棚登録しています
      手紙

      東野圭吾2006/09

      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね! nosuke
      • 同僚に薦められて読んだ、犯罪者の弟が主人公のお話。
        視野が広がりました。

        2020/02/08 by mirio3

    • 他20人がレビュー登録、 130人が本棚登録しています
      まほろ駅前多田便利軒

      三浦しをん2009/01

      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! Micchaaan
      • 少し前に読み終わっていた。
        遅ればせながら、備忘録。

        まず思いっきり設定が東京の町田で笑った。
        生活圏が近かったので、設定された場所がどこだか手に取るようわかる。

        特に謎の趣味の喫茶店は、まさにその通り(笑)

        逆を言えば、町田という街を知らない人が読んだら、どう受け取っているのだろうか。
        直木賞受賞作品だし、真っ新な気持ちで読んでみたかった気もする。
        >> 続きを読む

        2019/12/29 by 寺嶋文

    • 他20人がレビュー登録、 62人が本棚登録しています
      オレたちバブル入行組

      池井戸潤2007/11

      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! kissy1986 ryoji
      • 「イカロス」が面白かったので追加借り。
        仕事もできないのに威張り散らす人とか、会社の肩書きと自分の実力を勘違いする人、いますよね〜。特に50代以上に多いんじゃないの?失われた時代の入社組にそんなものはありません。 >> 続きを読む

        2018/06/06 by belami

    • 他19人がレビュー登録、 79人が本棚登録しています
      秘密

      東野圭吾2001/04

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! masa920 kaina ryoji
      • 東野さんはミステリー小説が多いけども、
        こんな純愛モノもあったんだ…と驚かされた

        話のネタは事故で人の中身が入れ替わるという良くあるネタ。
        この作品では、母の心を持った娘の体と夫が、
        周りに悟られないように普通を装って暮らしていくのだが…

        妻の自己を失っていく葛藤、違った未来への希望、
        夫の最愛の妻が思春期の娘の体で生活する事への抵抗、
        近寄ってくる異性への嫉妬…いろんな気持ちが入り乱れて
        どういう将来を育めば良いのかという悩みが切実だった。

        そして衝撃のラスト!!このラストは賛否両論だが、
        私は涙が止まらなかった。久々に号泣した作品だ。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 他18人がレビュー登録、 118人が本棚登録しています
      容疑者Xの献身

      東野圭吾2008/07

      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! masa920 fireman tefutefu ooitee Tukiwami akino
      • 再読しました。
        映画も見て、堤真一さん演じる石神の顔がピタッと当てはまります。
        花岡靖子と娘の家庭環境はどうにかならなかったのか、と辛くなります。
        助けてくれる人がいて、それに縋り付くしかなかったのか、と。
        >> 続きを読む

        2022/01/08 by 藤堂修

    • 他17人がレビュー登録、 177人が本棚登録しています
      葉桜の季節に君を想うということ

      歌野晶午2007/04

      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! tanreinama momomeiai chappaqu Tukiwami
      • 成瀬将虎は、自らを「何でもやってやろう屋」と称して警備員やパソコン教室講師などの雑多な仕事に従事しつつ日々を送っている。そんな彼はある日、知人女性の家族が身に覚えのない保険金を掛けられて自動車事故で死んだ事件を知らされる。若い頃に二年ほど探偵事務所で働いた過去のある成瀬は、その経験を買われて事故死の真相調査を依頼される。これを承諾した成瀬は、依頼者の女性が事件への関与を疑っている、老人が生前に5000万円も浪費した「蓬莱倶楽部」という悪質な詐欺販売団体への調査に乗り出す。

        物語は成瀬による「蓬莱倶楽部」に対する独自の捜査を中心に、成瀬が探偵時代に経験したヤクザ殺人事件の内偵調査、二年前の友人から受けた人探しの依頼のいきさつ、そして偶然から出会った女性との恋愛という、それぞれ異なるエピソードを織り交ぜつつ展開する。最後にその意味が明かされる情緒的なタイトルについては、端々でやさぐれた心情を漏らす主人公が醸す作品の雰囲気とはそぐわない、意図されたであろうミスマッチな名付けとなっている。

        本作の最終盤には作品を有名にしたであろう目玉となるトリックがが開示される。ある種のメッセージ性も帯びるこのトリックが読み手に対しては大きな効果を及ぼすのだが、実は事件そのものにはあまり関係がないことに、意外の感を受けた。そのこともあってメインストーリーとなる詐欺販売絡みの事件そのものは、ミステリーとも言えないほどなのだが、むしろサブストーリーといえる探偵時代のヤクザ事件や、友人からの人探し依頼のエピソードや、その他の細部などに引かれるものがあり、全体としては楽しむことができた。

        トリックのネタバレ後には、読書中にやや違和感を感じていた部分に整合性が取れて納得したり、逆に不自然に思えてくる箇所もあるなど、作品の印象を大きく左右する。目玉となっているトリックの要否そのものに関しては、前述のようなサブストーリーの出来などから考えれば、特にこのようなラストの大げさな仕掛けがなくとも、完成度の高い魅力ある作品として仕上げることは可能だったのではないかと思えた。ただし、そうなれば話題の作品として名を残す機会も得なかっただろうことを考えると悩ましい。
        >> 続きを読む

        2021/05/03 by ikawaArise

    • 他17人がレビュー登録、 88人が本棚登録しています
      カラフル

      森絵都2007/08

      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! niwashi
      • 「おめでとうございます、抽選に当たりました!」

        死んだはずのぼくの魂は天使にそう言われ、輪廻転生に入るための再挑戦をすることになった。

        前世の記憶がない状態で、自殺を図った少年の体にホームステイすることになった。
        再挑戦の内容は、生前の自分の罪を思い出すこと…。

        …あらすじはこんな感じ。

        見ず知らずの家庭に急にホームステイ。しかも周りは中身が違うことを知らない。
        自分だったらどうするかどぎまぎしながら読み進めて行く。

        ちなみに、家庭や学校のことは他の人には見えない天使が教えてくれる。

        ファンタジー全開で始まったが、ホームステイ先の小林真の環境はなかなか重い。

        家族それぞれに難があり、学校もあまりいい環境ではない…。唯一の心の拠り所である美術部が救いだが、そこに現れる初恋の人にも難があり…。

        まぁ再挑戦というぐらいだから難があるのは当たり前だが。

        再挑戦と言いつつも、日常の生活をこなしていく「ぼく」。
        その中で、天使がくれた情報と現実にはズレがあることが判明していき、小林真のこと、周りの人間のことを少しずつ理解していく「ぼく」。

        次第に「ぼく」は死んでしまった小林真を生き返らせてあげたい!と思うようになったが…。

        割りと序盤に、物語のからくりに気付いてしまったが、それが分かっていても面白く読めた。

        題名が上手だなぁ。
        自分の世界を、ある意味周りが決めつけた「小林真」を生きてしまった彼。
        そんな彼の人生も自分の見方や態度、考え方を変えるだけで、世界の色が変わって見えていく。

        高校生に読んでほしい1冊。
        世界が、カラフルになるかも。


        すらすら読めて面白かったけど、一点気になることが。
        初恋の人、ひろかが援交している設定は必要だったのだろうか。
        中学二年生という点や、大してそれが回収されなかった点も含め、何となく嫌気だけが残った。
        >> 続きを読む

        2020/05/03 by 豚の確認

    • 他15人がレビュー登録、 103人が本棚登録しています
      町長選挙

      奥田英朗2009/02

      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 伊良部先生シリーズの3作目だ。
        相変わらずのノリに思わずニヤリとしてしまう。ふざけているのか真面目なのか。けれども、結局は無事に治してしまっているから可笑しい。オムニバス形式の話だが、3作目の町長選挙がいい。最後のシーンに思わず力が入る。気楽に読めて面白い。 >> 続きを読む

        2019/04/27 by KameiKoji

    • 他14人がレビュー登録、 51人が本棚登録しています
      猫を抱いて象と泳ぐ

      小川洋子2011/07

      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! 825 hinataboko
      • シュールで物悲しく、美しい物語は、この小川洋子という作家の特長だろう。

        「博士の愛した数式」では、数学の美しさを、「ミーナの行進」ではコビトカバという、なんとも愛くるしい生物といった具合に、常に新しい世界を題材にして、美しくも幻想的で、無国籍な物語を紡ぐ、この作家の才能は、まさしく日本の純文学の世界においてトップクラスだ。

        この作品で、作者が我々読者に教えてくれたのは、チェスというゲームだ。

        チェスの棋譜は、その指し手の人格そのものを表わし、対戦とは、人格と人格との対話そのものなのだということが、この物悲しい物語を成立させる前提だ。

        生まれつき、唇が閉ざしたままで生まれた少年は、デパートの屋上に連れてこられて、余りに大きくなりすぎたために、地上に降りられなくなって、一生を屋上で過ごして死んだ、象のインディラの面影と、家と家の狭い隙間に挟まって出られなくなってしまった、少女のミイラの幻影を友達にしている。

        そんな少年はある日、廃バスに猫と暮らす、巨漢の元運転手からチェスの指導を受け、チェスに目覚めるのだ。

        しかし、ある日この運転手は、余りに太く成り過ぎたために死に、その死体は、バスを壊してクレーンで吊り下げないと出られなくなってしまったことで、少年は自分自身が大きくなることを恐れ、成長を止めたのだ。

        彼のチェスの棋手となり、「盤上の詩人」といわれた、歴史的名棋士アリョーヒンになぞらえられるほどになるのだが、背丈は11歳のままだ。

        人前でチェスを指すことを怖れるようになった彼は、チェス台の下に体を隠し、リトル・アリョーヒンと名づけられた、からくり人形を手繰ってチェスを指すという、特異なチェス棋士となるのだ。

        チェスの駒が、登場人物たち一人一人の表象と重なり、棋譜が、主人公と様々な登場人物が織りなす人の世の交わりであるかのように、物語は展開する。

        チェスの棋譜という、異次元世界と、この物語全体を包むシュールな世界という、いずれも現実世界とかけ離れた世界が作りだす世界は、まさに小川洋子ワールドだということが言えると思う。

        しかも、その世界が実に美しいのだ。

        >> 続きを読む

        2021/07/05 by dreamer

    • 他13人がレビュー登録、 30人が本棚登録しています
      オレたち花のバブル組

      池井戸潤2010/11

      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! ryoji
      • 周囲が面白いというので読んだ。第二作目が最初に読んだシリーズだ。
        テンポのよい物語の展開と、「悪者」を突き詰める展開が快感。どうなるのかハラハラとさせられるが、結果的によい結末だ。とにかく面白いのでなかなか目が離せない。TV化されるわけがわかった。前後は違うが、第一作と第三作を読んでみたい。
        >> 続きを読む

        2017/12/16 by KameiKoji

    • 他13人がレビュー登録、 67人が本棚登録しています
      民王

      池井戸潤2013/06

      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! 2kzzz
      • テレビドラマになった作品です。コミカルな雰囲気がいたるところにちりばめられています。二人の主人公のそれぞれの心の成長を遂げる姿に熱くなります。本当の政治に携わる人がこれを読んで国民のために何をしなければならないか、自分は何をしたいのか考えなくてはいけないなと思います。
        >> 続きを読む

        2019/03/16 by naaamo

    • 他12人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      旅猫リポート

      有川浩2012/11

      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 個人的には猫より犬派なんだけど、猫よりも飼い主の人生観をロード仕立てで見せていく構成。

        悟が偶然見つけた捨て猫。
        前飼っていたハチの代わりなのでナナと名付ける。
        それから5年後楽しかった生活の中で、ナナの引き取り手を探す。

        飼い猫探しをしている中で、悟の歩んできた道のりが分かる。
        時にはハチとの出会いだったり、友人や恋人の関係性。

        なぜ飼い主を探すのかという謎は大体予想がついていたが、泣きに偏ったものでないのがいい。
        むしろ希望の方を感じるリポートになる。
        >> 続きを読む

        2019/07/31 by オーウェン

    • 他11人がレビュー登録、 41人が本棚登録しています
      センセイの鞄

      川上弘美2004/09

      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! Shizu KEMURINO
      • いいな。いい関係だな。羨ましいな。美しい文章と美味しい酒と肴で綴る70歳越え恩師とアラフォー教え子女子のいなせな関係が洒脱で心地よい年の差男女居酒傾慕小説!

        宵闇のカウンター。互いに手酌で好きな肴を口に運びながら、ぽつりぽつりと言葉を交わすふたりの距離感がたまらなくよい。余計な気配り、見栄や駆け引きもない、緩やかな酔いと会話。地位、立場、年齢、性別すらない心地よい大人の男女の酒の時間が過ぎてゆく。

        世知辛い組織、対人関係からしばし離れ、のれんをくぐる。酒で生まれるマイペース、対等の時間に生きる者たちの居心地を感じる作品! すごいぜ!

        会計はおごりでも割り勘でもなく自前。互いの行きつけで顔を合わせた時だけ、互いの心の隙間を埋めるように酒と肴と言葉で少し寄り添うような甘く切なく、ほろ苦いセンセイとツキコさんの年の差関係はどう発展するのか?

        傾慕が成就するより、このままいつまでもほろ酔いのいい関係でいて欲しくなるふたりにエール! いまだ読み続けられる川上弘美のマスターピース!

        今宵ツキコさんと盃を交わせれるかも?そろそろ晩酌の準備するかな。

        本日の肴はしめさばと冷奴、マカロニサラダ。外は雨。独酌、家飲み。川上ワールド噛みしめながら、ツキコさんとセンセイが掴んだハッピーに乾杯だぜ!
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        2019/06/30 by まきたろう

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      対岸の彼女

      角田光代2007/09

      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! KEMURINO
      •  「そんなとこにあたしの大切なものはないし。」とナナコは言う。「100人の友達を作るよりも一人でいても大丈夫だと思える何かを見つける方が大切。」と葵は言う。でも、その「大切なもの」「一人でいても大丈夫だと思える何か」を一緒に見てくれる人は、もちろん多くでなくていいけれど、いてほしい。立場の違いなどから、人を対岸に押しやってしまうことがあるけれど、川岸を一緒に歩める人は、やはり必要かなと思う。葵にとって小夜子がそうなっていくのかなと思った。
         ナナコに会わせてくれたお父さんが背を向けて立っている姿にジーンときた。
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        2021/05/02 by よんよん

    • 他11人がレビュー登録、 39人が本棚登録しています

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