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(株)文藝春秋 (ブンゲイシユンジユウ)

企業情報
企業名:文藝春秋
ぶんげいしゆんじゆう
ブンゲイシユンジユウ
コード:16
URL: (株)文藝春秋 http://www.bunshun.co.jp
      イニシエーション・ラブ

      乾くるみ2007/03

      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね! yana nasubivi ooitee akino

      • 乾くるみの「イニシエーション・ラブ」は、合コンで知り合った若い男女の恋愛模様を描いた作品。

        レコードになぞらえた二部構成となっおり、side-A面には甘いラブソング、side-B面には別れを予感させる歌詞の曲名が、各章のタイトルに用いられている。

        1980年代の後半を舞台として、ぎこちないながらも堅実に愛を育んでいく二人の姿に、青春時代の自分の姿と照らし合わせて懐かしく思う人も少なくないだろう。

        本物のレコードならB面から聴いても差し支えないが、この作品を読む際は要注意だ。
        なぜなら、この作品はただの恋愛小説ではないからだ。

        「ぜひ、2度読まれることをお勧めします」と帯で謳われているように、綿密な計算の上に構築されている。

        乾くるみファンなら、タロットカードの6番「恋人」のカードが、さりげなく描かれていることから、この作品は「何か」が仕組まれているタロットシリーズだと勘づくだろう。

        しかし、たとえ途中で謎が解けたとしても、ミステリとしての面白みは損なわれないはずだ。

        浮かび上がる構図が持つ邪悪さは、読み手の心中を突き刺す衝撃を持っているからだ。

        >> 続きを読む

        2019/08/28 by dreamer

      • コメント 1件
    • 他45人がレビュー登録、 174人が本棚登録しています
      イン・ザ・プール

      奥田英朗2006/02

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! chao kotaro ybook tadahiko
      • 「いらっしゃーい」から始まる伊良部総合病院地下にある神経科の医師伊良部は中年小太りで医師とは思えないデリカシーの無さ、患者が来ないと思った日には勝手に休診もお構いなし。
        その上直ぐに注射を打ちたがり、注射を打ってるのを見たがるある種の変態w
        そんな病院に来る患者たち。
        最初は不気味でろくな対応をしない伊良部に不信感を抱くが日を追うごとに不思議と伊良部を拠り所にしていく。
        結果病気も治っていく。

        此れを伊良部が狙ってやっているのかは不明ですが、不思議な医師に変な患者の模様は不思議とページが進んでいきました(笑)
        個人的に好きな話は「コンパニオン」です。

        >> 続きを読む

        2020/05/07 by ヒデト

      • コメント 2件
    • 他35人がレビュー登録、 120人が本棚登録しています
      空中ブランコ

      奥田英朗2007/12

      カテゴリー:小説、物語
      4.1
      いいね!
      • ヘンテコな精神科医伊良部の第二弾。

        人間不信なサーカス団員(空中ブランコ)、尖端恐怖症のヤクザなど相も変わらずちょっと変わった患者をもっと変な精神科医の伊良部が結果的治療し、救っていく。

        本の表紙が似ているから同じ感じかと思っていたけど、伊良部一郎シリーズだったとは・・・w
        絶対に伊良部とは友達にはなれないけど、あそこまで厚顔で無神経な医師とか本当にいたら面白い!
        >> 続きを読む

        2020/05/10 by ヒデト

      • コメント 2件
    • 他30人がレビュー登録、 94人が本棚登録しています
      64
      64

      横山秀夫2012/10

      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! ybook momomeiai kissy1986 92L ooitee
      • 難産の末生み出されたという表現がぴったりの作品。

        横山さんの集大成の様な中身だが、昭和64年にD県管内で起きた誘拐事件。
        それは少女が殺されるという最悪の結末であり、通称64として県警に知れ渡っていた。

        その64事件がを模倣したとされる事件が発生。
        広報課の三上は記者たちとの軋轢の中で、上司との駆け引きをもがきながら事件の経緯を見守る。

        警察の組織を色々な角度から見つめている横山作品だが、広報という立場から描き出している。
        いかにして記者協会と協定を結ぶのかも大きな見どころだし、事件に関わる三上との人間関係も見ごたえがある。

        そして犯人を特定するための恐るべき執念には驚嘆する。
        そういう手段を実行に移すこともそうだし、64事件の模倣という意味でも納得させてしまう動機だ。
        >> 続きを読む

        2019/09/24 by オーウェン

    • 他23人がレビュー登録、 63人が本棚登録しています
      色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 = Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage

      村上春樹2013/03

      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! double kawahara momomeiai Luna
      • 発売された当時、直ぐに買って読みましたが今は大まかな内容しか思い出せなくてまた読んで見ました。表題にある「巡礼の年」は「フランツ・リスト」の「ル・マル・デュ・ペイ」の曲集の第一年、スイスの巻からきてるらしいです。村上春樹は大方音楽と関係がある作品を書きますね。途中でも色々音楽のタイトルが出て来て読んでる方もニヤリとします。内容はある日突然親友達から意味もなく拒否され自殺まで考え、そして一人づつ逢い何故そうなったか真相を探る物語ですが、実際に私のこれまでの人生でも急に連絡が取れなくなった友人がいます。人それぞれの人生ですから仕方ないと思います。読んでいてその事と話しがだぶり少し切なくなりました。そして主人公の「つくる」頑張れ、負けるなと応援したくなります。 >> 続きを読む

        2020/03/01 by rock-man

    • 他22人がレビュー登録、 79人が本棚登録しています
      死神の精度

      伊坂幸太郎2008/01

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! ooitee
      • 死神の千葉が地上にやって来る時はいつも雨。
        音楽好きで死の判定を下すため、その対象に接近していく。

        映画を見ていたので3つ分のストーリーは知っていたが、その他の3つも面白い。

        「吹雪に死神」
        吹雪の山荘で残された5人と千葉。
        1人が殺されお互いが疑心暗鬼になっていくという、ミステリの定番みたいな話を伊坂さんが描くのは興味をそそる。
        千葉が探偵役になるのも中々。

        「恋愛で死神」
        死んだ人物が恋した女性や、その女性に付きまとう人物の謎を千葉が回想していく。

        「旅路を死神」
        殺人を犯した青年と千葉がドライブのロードストーリー。
        風景に触れていくうちに人情にも触れていく。
        思惑とは別の方向に向かうのだが、千葉の判定は決まっている未来というのも切ない。
        >> 続きを読む

        2020/02/19 by オーウェン

    • 他22人がレビュー登録、 151人が本棚登録しています
      手紙

      東野圭吾2006/09

      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! nosuke
      • 同僚に薦められて読んだ、犯罪者の弟が主人公のお話。
        視野が広がりました。

        2020/02/08 by mirio3

    • 他20人がレビュー登録、 128人が本棚登録しています
      まほろ駅前多田便利軒

      三浦しをん2009/01

      カテゴリー:小説、物語
      3.6
      いいね! Micchaaan
      • 少し前に読み終わっていた。
        遅ればせながら、備忘録。

        まず思いっきり設定が東京の町田で笑った。
        生活圏が近かったので、設定された場所がどこだか手に取るようわかる。

        特に謎の趣味の喫茶店は、まさにその通り(笑)

        逆を言えば、町田という街を知らない人が読んだら、どう受け取っているのだろうか。
        直木賞受賞作品だし、真っ新な気持ちで読んでみたかった気もする。
        >> 続きを読む

        2019/12/29 by 寺嶋文

    • 他20人がレビュー登録、 61人が本棚登録しています
      オレたちバブル入行組

      池井戸潤2007/11

      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! kissy1986 ryoji
      • 「イカロス」が面白かったので追加借り。
        仕事もできないのに威張り散らす人とか、会社の肩書きと自分の実力を勘違いする人、いますよね〜。特に50代以上に多いんじゃないの?失われた時代の入社組にそんなものはありません。 >> 続きを読む

        2018/06/06 by belami

    • 他19人がレビュー登録、 78人が本棚登録しています
      秘密

      東野圭吾2001/04

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね! masa920 kaina ryoji
      • 東野さんはミステリー小説が多いけども、
        こんな純愛モノもあったんだ…と驚かされた

        話のネタは事故で人の中身が入れ替わるという良くあるネタ。
        この作品では、母の心を持った娘の体と夫が、
        周りに悟られないように普通を装って暮らしていくのだが…

        妻の自己を失っていく葛藤、違った未来への希望、
        夫の最愛の妻が思春期の娘の体で生活する事への抵抗、
        近寄ってくる異性への嫉妬…いろんな気持ちが入り乱れて
        どういう将来を育めば良いのかという悩みが切実だった。

        そして衝撃のラスト!!このラストは賛否両論だが、
        私は涙が止まらなかった。久々に号泣した作品だ。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 他18人がレビュー登録、 117人が本棚登録しています
      葉桜の季節に君を想うということ

      歌野晶午2007/04

      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! tanreinama momomeiai chappaqu Tukiwami
      • 最近「叙述トリック」ものを読んでみたくなる時がある。
        本書は日本推理作家協会賞や本格ミステリ大賞など華々しく受賞しているとのこともあり、古本屋で見つけて買ってみた。

        「叙述トリック」ものであることはわかっているので、読んでいる途中はどこに仕掛けがあるのか気を抜かないように読んでいったが~

        最後の最後で、え、あ~、なるほど、そういうことだったのか! となった。

        これは気づけないわ~。

        日本語だから仕掛けられたトリック。
        たしかに日本人は結婚して子供が生まれると、妻と旦那は「おかあさん」「おとうさん」と呼び合うようになるのが一般的だよな~、と。

        ただこのトリックがわかったからといって、事件そのものや犯人の姿ががらっと変わることはない。

        ふつう「叙述トリック」というからには、種明かしされたあとにそこが180度ガラッと変わった騙され感が爽快なのだが、本書ではそういうことはない。

        そのかわり種を知ってもう一度ストーリーを振り返ると、すべてのシーンの様相が変わる。

        本当だ、ははーん、なーるほど、という感じ。

        この「叙述トリック」は正面から仕掛けられたものではなく、斜め上から来たと説明すればいいだろうか。



        「葉桜の季節に君を想うということ」という妙に詩的なタイトルから文学的な雰囲気を期待して読みはじめると、100%まちがいなく面食らう。
        冒頭のあまりにも生々しい描写に、なかには嫌悪感すら抱く人もいるかもしれない。

        本書はミステリーというよりハードボイルドといったほうがよく、このハードボイルドっぽい書き方も「叙述トリック」に大きく貢献している。

        私はけっこう楽しく読んだタイプだ。
        さすがに種を知って振り返ると、え~、これは無理すぎるんじゃないの~、とは思うシーンはあるけれど、それでもこういう生気にあふれた、バイタリティにあふれた生き方は決して嫌いじゃないし、否定したくもない。

        そしてその辺をどうとらえるかが本書の感想の別れ目だと思う。

        当たり前だが主人公の行動、バイタリティにいくつになっても共感できれば〇、

        え~、いくらなんでもこれはあり得ない、自分はこうじゃない、と思ってしまったら×。

        評価が大きく分かれる作品であることには違いない。



        =====データベース======
        ミステリー文学賞&年末ランキング4冠! 本格ミステリーの新時代を告げた記念碑的傑作!

        かつては探偵事務所で働き、いまは「何でもやってやろう屋」を自称して気ままな生活を送る「俺」成瀬将虎。
        ある日、高校の後輩のキヨシの頼みで、彼が密かに惚れている久高愛子の祖父の不審死と、高額で布団や健康食品を売りつける蓬莱倶楽部の調査を引き受ける。
        そして同日、駅のホームで飛び込み自殺しようとした女・麻宮さくらを助けたことで、運命の歯車が回り始める――。

        蓬莱倶楽部の悪徳商法を調査する将虎の軽妙なハードボイルド探偵の活躍を楽しむあなたに、ラストで襲い掛かる大どんでん返し!?

        日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞ダブル受賞&「このミステリーがすごい!」「本格ミステリベスト10」で第1位!
        中居正広さんほか、たくさんの著名人も激賞!
        二度読み必至の究極の徹夜本です。






        >> 続きを読む

        2020/05/20 by まみー

      • コメント 2件
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      カラフル

      森絵都2007/08

      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! niwashi
      • 「おめでとうございます、抽選に当たりました!」

        死んだはずのぼくの魂は天使にそう言われ、輪廻転生に入るための再挑戦をすることになった。

        前世の記憶がない状態で、自殺を図った少年の体にホームステイすることになった。
        再挑戦の内容は、生前の自分の罪を思い出すこと…。

        …あらすじはこんな感じ。

        見ず知らずの家庭に急にホームステイ。しかも周りは中身が違うことを知らない。
        自分だったらどうするかどぎまぎしながら読み進めて行く。

        ちなみに、家庭や学校のことは他の人には見えない天使が教えてくれる。

        ファンタジー全開で始まったが、ホームステイ先の小林真の環境はなかなか重い。

        家族それぞれに難があり、学校もあまりいい環境ではない…。唯一の心の拠り所である美術部が救いだが、そこに現れる初恋の人にも難があり…。

        まぁ再挑戦というぐらいだから難があるのは当たり前だが。

        再挑戦と言いつつも、日常の生活をこなしていく「ぼく」。
        その中で、天使がくれた情報と現実にはズレがあることが判明していき、小林真のこと、周りの人間のことを少しずつ理解していく「ぼく」。

        次第に「ぼく」は死んでしまった小林真を生き返らせてあげたい!と思うようになったが…。

        割りと序盤に、物語のからくりに気付いてしまったが、それが分かっていても面白く読めた。

        題名が上手だなぁ。
        自分の世界を、ある意味周りが決めつけた「小林真」を生きてしまった彼。
        そんな彼の人生も自分の見方や態度、考え方を変えるだけで、世界の色が変わって見えていく。

        高校生に読んでほしい1冊。
        世界が、カラフルになるかも。


        すらすら読めて面白かったけど、一点気になることが。
        初恋の人、ひろかが援交している設定は必要だったのだろうか。
        中学二年生という点や、大してそれが回収されなかった点も含め、何となく嫌気だけが残った。
        >> 続きを読む

        2020/05/03 by 豚の確認

    • 他15人がレビュー登録、 102人が本棚登録しています
      容疑者Xの献身

      東野圭吾2008/07

      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! masa920 fireman tefutefu ooitee Tukiwami akino
      • 伏線の張り方が見事です。何気ない風景を描いた冒頭が、ラストでピタリ繋がって、ゾクッとしました。作者はすべて計算しているのですね…。容疑者目線で描かれているので、結末で大きなどんでん返しはないと思っていましたが…いい意味でやられました。読み終わってからも、何度も読み返したくなる作品です。東野圭吾さんのファンになりました。 >> 続きを読む

        2019/03/11 by kohkun

    • 他14人がレビュー登録、 171人が本棚登録しています
      町長選挙

      奥田英朗2009/02

      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 伊良部先生シリーズの3作目だ。
        相変わらずのノリに思わずニヤリとしてしまう。ふざけているのか真面目なのか。けれども、結局は無事に治してしまっているから可笑しい。オムニバス形式の話だが、3作目の町長選挙がいい。最後のシーンに思わず力が入る。気楽に読めて面白い。 >> 続きを読む

        2019/04/27 by KameiKoji

    • 他14人がレビュー登録、 50人が本棚登録しています
      オレたち花のバブル組

      池井戸潤2010/11

      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! ryoji
      • 周囲が面白いというので読んだ。第二作目が最初に読んだシリーズだ。
        テンポのよい物語の展開と、「悪者」を突き詰める展開が快感。どうなるのかハラハラとさせられるが、結果的によい結末だ。とにかく面白いのでなかなか目が離せない。TV化されるわけがわかった。前後は違うが、第一作と第三作を読んでみたい。
        >> 続きを読む

        2017/12/16 by KameiKoji

    • 他13人がレビュー登録、 66人が本棚登録しています
      民王

      池井戸潤2013/06

      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! 2kzzz
      • テレビドラマになった作品です。コミカルな雰囲気がいたるところにちりばめられています。二人の主人公のそれぞれの心の成長を遂げる姿に熱くなります。本当の政治に携わる人がこれを読んで国民のために何をしなければならないか、自分は何をしたいのか考えなくてはいけないなと思います。
        >> 続きを読む

        2019/03/16 by naaamo

    • 他12人がレビュー登録、 31人が本棚登録しています
      旅猫リポート

      有川浩2012/11

      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 個人的には猫より犬派なんだけど、猫よりも飼い主の人生観をロード仕立てで見せていく構成。

        悟が偶然見つけた捨て猫。
        前飼っていたハチの代わりなのでナナと名付ける。
        それから5年後楽しかった生活の中で、ナナの引き取り手を探す。

        飼い猫探しをしている中で、悟の歩んできた道のりが分かる。
        時にはハチとの出会いだったり、友人や恋人の関係性。

        なぜ飼い主を探すのかという謎は大体予想がついていたが、泣きに偏ったものでないのがいい。
        むしろ希望の方を感じるリポートになる。
        >> 続きを読む

        2019/07/31 by オーウェン

    • 他11人がレビュー登録、 41人が本棚登録しています
      猫を抱いて象と泳ぐ

      小川洋子2011/07

      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! 825 hinataboko
      • 【チェック・メイト!】
         とっても面白かった! 本作はチェスの名手を主人公としたチェスにまつわるお話なんですが、設定や仕掛けが大変面白い上、小川さん一流のやさしさや細やかさに溢れていて大好きな作品です。

         子供の頃からあまり友達がいなかった主人公は、ある時、学校のプールに浮かんでいた水死体を発見してしまいます。
         そのこともあって一層みんなから敬遠されるようになるのですが、その水死体はバスの運転手だったと聞き、そのバス会社の社員寮に行ってみます。
         そうしたところ、社員寮の庭には古いバスが置いてあるではないですか。
         不思議に思って中を覗いたら、大層でっぷりとした男性がそこに住んでいました。
         この男性と友達になり、チェスを教えてもらうのですね。
         そこから、彼のチェス人生が始まるという物語。

         彼には作中でも名前が与えられておらず、そのチェスの指し手が美しいことから、チェスの詩人とうたわれた名人アリョーヒンの名前で呼ばれるようになります。「リトル・アリョーヒン」と。

         彼は、チェスを覚えて間もなくしてから、考える時にはチェス・テーブルの下に潜り込むようになります。
         そこで、猫を抱きながら、相手が打つ駒の音から打った場所を知り、完全にブラインド・チェスで戦うようになります。
         その方が集中できるようです。
         これがタイトルの一部になっている「猫を抱く」ですね。
         「象と泳ぐ」にも意味がありますが、それは読んでのお楽しみ。
         
         作中、自動チェス人形が重要な役割で登場します。
         ご存知ですか?このチェス人形。実際にあったんですよ。
         ターバンを巻いたトルコ人の姿をしていて、チェス盤とつながった箱の上に上半身だけ乗っている人形。

         この人形、考えることができるんです。人間とチェスの対局ができるんです。
         当時は見せ物としてあちこちでチェスを指していたそうです。
         箱のなかには歯車などの機械がぎっしり詰まっているという人形。
         どうして、機械がチェスを指せるんだろう? 考えることができるんだろう?と、一大センセーションを巻き起こしたそうです。
         ポオもこのチェス人形を取り上げた作品を書いています。「メルツェルの将棋指し」という作品ですが、ポオはこの作品の中で見事にこのからくりを暴いてるんですね。

         本作ではリトル・アリョーヒンと彼の周りの素敵な人達が描かれています。
         途中、涙が出そうになる場面も……(最近、涙腺弱いので、これでも泣いてしまいます)。
         
         もう☆5つつけても良いのですが、一点だけどうしてもダメだった描写があるので一つだけ減らします。
         それは、リトル・アリョーヒンは生まれた時から唇がふさがっていたため、出産直後に手術をして唇を開けたんですが、その際に脛の皮膚を移植したため、大きくなったら唇にすね毛が生えるようになったという部分。
         この唇スネ毛の描写が結構繰り返し出てくるんですよ。
         しかも、結構もじゃっと生えているような描写なのですが、これだけは生理的にダメでした。
         そういう設定にする必用があったのかしら?
         別に唇からスネ毛が生えなくてもいいじゃないのといまだに思っています(大体、そんなことあるの?と思うし)。
         それ以外は全く素晴らしい作品でした!
        >> 続きを読む

        2019/02/25 by ef177

    • 他11人がレビュー登録、 29人が本棚登録しています
      センセイの鞄

      川上弘美2004/09

      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね! Shizu KEMURINO
      • いいな。いい関係だな。羨ましいな。美しい文章と美味しい酒と肴で綴る70歳越え恩師とアラフォー教え子女子のいなせな関係が洒脱で心地よい年の差男女居酒傾慕小説!

        宵闇のカウンター。互いに手酌で好きな肴を口に運びながら、ぽつりぽつりと言葉を交わすふたりの距離感がたまらなくよい。余計な気配り、見栄や駆け引きもない、緩やかな酔いと会話。地位、立場、年齢、性別すらない心地よい大人の男女の酒の時間が過ぎてゆく。

        世知辛い組織、対人関係からしばし離れ、のれんをくぐる。酒で生まれるマイペース、対等の時間に生きる者たちの居心地を感じる作品! すごいぜ!

        会計はおごりでも割り勘でもなく自前。互いの行きつけで顔を合わせた時だけ、互いの心の隙間を埋めるように酒と肴と言葉で少し寄り添うような甘く切なく、ほろ苦いセンセイとツキコさんの年の差関係はどう発展するのか?

        傾慕が成就するより、このままいつまでもほろ酔いのいい関係でいて欲しくなるふたりにエール! いまだ読み続けられる川上弘美のマスターピース!

        今宵ツキコさんと盃を交わせれるかも?そろそろ晩酌の準備するかな。

        本日の肴はしめさばと冷奴、マカロニサラダ。外は雨。独酌、家飲み。川上ワールド噛みしめながら、ツキコさんとセンセイが掴んだハッピーに乾杯だぜ!
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        2019/06/30 by まきたろう

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      悪の教典

      貴志祐介2012/07

      カテゴリー:小説、物語
      3.8
      いいね! ryoji Tukiwami ooitee
      • 閑静な高校に転任した教師・蓮実は、弁舌爽やかに巧みな風貌も併せて、周りから絶大な信頼を寄せられる中、ある出来事がきっかけに八方美人な彼の化けの皮が剥がれ、邪魔者を抹消すべく、平和な学舎が死屍累々の戦場と化す物語。

        君子、危うきに近寄らず、近寄れば死山血河の成れの果て。

        誰しも表に出さない裏の顔が存在する。

        周囲に知れ渡れば、大概は失望の眼差しで侮蔑する。

        それでも人は好奇心から深追いしようとする。

        知らなければ、心穏やかに余生を過ごせた物を。

        己と他人の境界の分を弁えなければ、多大なるしっぺ返しを喰らうであろう。
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        2019/12/23 by ebishi

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