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(株)朝日ソノラマ (アサヒソノラマ)

企業情報
企業名:朝日ソノラマ
あさひそのらま
アサヒソノラマ
コード:257
URL: http://www.asahisonorama.co.jp
      撃墜王リヒトホ-フェン

      UlanoffStanley M. , 井上寿郎1985/03

      カテゴリー:戦争、戦略、戦術
      4.0
      いいね!
      • 第一次大戦でドイツの空軍のエースとして活躍し、八十機(一節には八十二機)の敵機を撃墜し、鮮やかな紅色の戦闘機に載っていたため「レッド・バロン」と呼ばれた伝説的な人物・リヒトホーフェンについての本である。

        てっきり、誰か他の人がリヒトホーフェンについて書いた本だとばかり思ってさほど期待せずに取り寄せて読み始めたら、なんと、リヒトホーフェン自身の手記だった。

        第一次大戦の激戦のさなか、リヒトホーフェン自身が折々に感じたことや考えたことを綴った手記や家族の手紙が収録してある。
        簡潔で、ユーモアのセンスがあって、しばしば手に汗にぎる躍動感がある。

        たとえば、

        「私は地上の景色を注意深く眺めた。人間は豆粒ぐらいで家は玩具のように小さく、すべてがきれいな箱庭の風景だった。教会の尖塔が際立つケルンの町並みが遠くに見える。どこを飛んでいようと、そんなことはどうでもよい。空を飛ぶということは素晴らしいことだ。誰も私に干渉できない!」
        (45頁)

        といった感じだ。

        本当に、とても興味深く、面白かった。

        「私は常に変化を求める男です。これは一つの新しい変化であり、私にとり、得るところがあると思います。」

        「戦闘には指揮者は部下を信頼し、勝利には味方の団結が必要なことは当然である。」

        「戦いに勝つのは、ただ戦いあるのみだ。」

        「敵機の撃墜は、単に小手先の技ではなく、人の気力、特に撃ちてしやまんの闘志にある」

        といった言葉には、リヒトホーフェンの精神がひしひしと感じられる。

        手記には、リヒトホーフェンの上官や同僚たちの生き生きとしたエピソードも綴られていて、とても面白かった。

        リヒトホーフェンが尊敬していた上官のボルケは、いつもただ短く、

        「強い信念をもて」

        とだけ言ったそうである。
        しびれるエピソードだ。

        しかし、多くの親友たちも、上官のボルケも、次々に戦死していったことが言及されているのには、なんとも胸が打たれた。

        リヒトホーフェン自身も、わずか二十五歳で戦死を遂げる。

        この本には、リヒトホーフェンの二人の弟による生前の兄の様子や思い出を綴った文章も収録されてあり、それも胸打たれるものがあった。

        また、リヒトホーフェンを撃墜したのが誰なのかは諸説あるそうだが、そのうちの一人とされるロイ・ブラウン英空軍大尉の手記も収録されていた。
        リヒトホーフェンの遺体を見た時、その穏やかな死に顔を見ていて、ブラウンは深い悔恨を覚え、勝利の喜びなど何もなくなり、戦争への怒りと呪いを思ったということを記述していた。
        そのことにも、胸を打たれた。

        この本には、なんと、戦前にこの本の原文がドイツで出版された時に付されたゲーリングの前書きも収録されている。
        なんだか、とても空疎な、いかにもナチスが書きそうな大言壮語ばかりの文章で読んでいるだけ嫌気がさした。
        結局、リヒトホーフェンのような本当の勇気や繊細な心を、何もゲーリングはわかっていなかったのだと思う。

        リヒトホーフェンのいとこは、のちにナチスの空軍元帥になり、ゲルニカ爆撃を指揮したそうだ。

        だが、仮にリヒトホーフェンが戦死せずに長生きしていたとしても、ゲーリングやいとこのように、ナチスにはいかなかったのではないかという気がする。
        リヒトホーフェンは、敵のために墓碑を建てたそうだ。
        そうした精神が、ナチには微塵もない。

        リヒトホーフェンは1918年四月に戦死し、リヒトホーフェンの葬儀は、イギリス軍によってきちんと行われ、「勇敢にして、好敵手たりしフォン・リヒトホーフェン大尉に捧ぐ」と書かれた花輪が供えられたらしい。
        ただ、1925年にドイツに改葬されるまで、フランスにつくられた墓地は荒れ果てたものだったらしい。
        リヒトホーフェンの遺体の入った棺が、死後七年経ってドイツに鉄道で運ばれて戻ってきた時、沿道の家々は半旗を掲げ、多くの人が花を供え、盛大な葬儀が営まれたそうだ。
        弟の手記によると、ドイツ人の諸団体も、ユダヤ人の諸団体も、みんな一致して協力してリヒトホーフェンの棺を迎え、葬儀を営んだそうである。

        結果としてドイツは一次大戦で負けたけれど、リヒトホーフェンや、あるいはエムデン号のミューラーや、東部アフリカ戦線で活躍したレットウらのドイツの軍人たちの事績が、はるか後世の人の心を奮起させたり、感動させるのは、どういうことなのだろう。
        たぶん人間はどのような立場であろうと、任務に忠実に、勇気を持って、正々堂々振る舞えば、後世の人の胸を打つということなのだろう。

        リヒトホーフェンは近年「レッド・バロン」という映画にとりあげられて、それで興味を持つ人がまた増えたようだけれど、この本もまた、リヒトホーフェンに興味を持つ人にはぜひ読んで欲しい、貴重な一冊と思う。
        >> 続きを読む

        2012/12/22 by atsushi

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      エムデンの戦い

      難波清史 , LochnerR. K1994/04

      カテゴリー:海軍
      4.0
      いいね!
      • 第一次大戦で活躍したドイツの軽巡洋艦・エムデン号とその乗組員たちのことを描いた作品。
        さまざまな証言や回想録から、とてもわかりやすく、具体的にエムデン号の戦いとエムデン号が敗れたあとの乗組員たちの冒険が描いてあった。
        しばしば、心震え、本当に心躍るような気持ちで読むことができる、とても面白い本だった。

        エムデン号は、たった一隻で、ドイツが劣勢という圧倒的に不利なアジアの海の状況の中で、イギリス・フランス・ロシアなどの連合国の艦船を三十隻以上拿捕、あるいは撃沈し、インド洋や東南アジア近海の連合国に一大脅威と打撃を与え、しかも大胆不敵にもマラッカとペナンの二つの港湾にまで侵入し、石油タンカーを破壊したり、巡洋艦を撃沈するなど、まさに神出鬼没の活躍をした。

        多くの商船を拿捕したが、エムデン号の艦長のカール・フォン・ミュラーは、常に国際法を遵守し、拿捕した商船の乗組員たちの身柄は常に丁重に保護し、必ず生きて帰れるようにはからった。
        そのため、解放された拿捕船の乗組員たちから、エムデン号やミュラー艦長に万歳の声があがることも再三あったという。
        戦いにおいても非常にフェアだったという。

        エムデン号がたった一隻で敢然とインド洋での戦いに赴き、信じられない戦果を挙げたことは、本当に二十世紀初頭の奇跡というか、最後の英雄的な艦船の活躍だったような気もする。
        そして、このような任務を敢然と行える艦長以下の人材のすごさを見ていると、人間は本当にすごいとあらためて思った。

        また、この本は、活躍のみでなく、その裏側で、いかに艦長以下、補給の問題や日々の生活に頭を悩まし、苦労をしていたかもよく描かれていた。
        エムデン号も、華々しい活躍は表面で、いつも補給の問題に頭を悩ませ、地道に石炭の補給や食料補給、掃除や洗濯などがけっこう大変だったらしい。
        石炭の積み替えは特に重労働だったらしい。
        そういう具体的な地道な努力や苦労があったうえでの、あの赫々たる武勲だったのだろう。

        この本に描かれる、エムデン号のドイツ海軍軍人たち、および敵のイギリス海軍軍人たちは、非常にフェアで、互いに敬意を持ちあい、本当にすがすがしかった。
        二次大戦の仁義なき戦いと違い、一次の頃は、わずかながらこういう事もあったんだなぁと感心させられた。
        エムデン号は最後はイギリスに撃破され、艦長以下降伏するが、イギリスは非常に丁寧に礼節を尽くして迎え、コロンボに寄港した時も、恒例だと勝利を祝う万歳をあげるのを、エムデンに敬意を払い、万歳を自粛したという。

        あと、この本ですごいと思ったのは、エムデン号の後日談。
        エムデン号が敵艦船にやられて大破し降伏した時、乗組員の一部はディレクション島に上陸していた。
        このミュッケ大尉以下の五十名は、エムデン号が敵艦船に急襲を受けて海戦の末、大破し降伏したのを知ると、自分たちだけは島にあったボロボロの小舟に乗って中立国だったオランダ領まで渡り、そこでドイツ領事の協力のもと新たなドイツ商船に乗り込んでイエメンに渡航、イエメンから沙漠を駱駝に載って渡り、ベドウィンの襲撃を受けながら北上し、ついにドイツまで帰国したというのだからすごい。

        ミュラー艦長やミュッケ大尉を見ていると、人間は己の任務に忠実に、そして精魂を傾けて奮励努力すれば、普通では考えられないことをやり遂げることができるということを本当に思わされる。
        そして、その過程において、正々堂々とフェアであれば、敵味方を問わず敬意を持たれ、はるか後世の人にまで語り継がれるようになるということも、よくわかる気がする。

        とても良い一冊だった。
        >> 続きを読む

        2012/12/22 by atsushi

    • 1人が本棚登録しています
      真・デビルマン 1 悪魔復活編 (ソノラマ文庫 83-A)

      永井 泰宇 (1981/04

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 破壊作「デビルマン」のノベライズ本。
        悪魔だったころのアモンの描写や
        最終決戦に詳細なシーンが加わるなど
        漫画版の内容を補足したいという欲求のあるかたはどうぞ。
        >> 続きを読む

        2011/06/03 by RZ350

    • 1人が本棚登録しています
      ドルロイの嵐 クラッシャージョウ外伝〈1〉 (ソノラマ文庫)

      高千穂遥1986/11

      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • クラッシャージョウ・シリーズの外伝。

        ジョウの母親がダーティーペアというのは
        (ある意味)有名な話ですが、
        若き日のジョウの父親とダーティーペアとが組んだ時の話。

        実は同じエピソードがダーティーペア・シリーズからも出ていて
        あちらはWWWA目線で話が展開しますが、
        こちらはクラッシャーの目線で進みます。
        片方だけでは謎だった部分も両方読むと納得。

        個人的にはサイボーグ手術前のタロスが大好き。
        >> 続きを読む

        2011/06/13 by RZ350

    • 1人が本棚登録しています
      新外科医東盛玲の所見

      池田さとみ2005/04

      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 匿名

        前の『外科医 東盛玲の所見』シリーズから好きな本(〃艸〃)ムフッ

        視えないモノが視える東盛先生
        生きてる人間から死んだ人間?まで救います!(b^ー°)

        怖くないホラー…読んだ後は何か温かいモノが…。
        >> 続きを読む

        2012/04/17 by 匿名

    • 1人が本棚登録しています
      新外科医東盛玲の所見

      池田さとみ2005/12

      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 匿名

        出れば買う!!お約束のシリーズ!(b^ー°)

        2012/04/17 by 匿名

    • 1人が本棚登録しています
      新外科医東盛玲の所見

      池田さとみ2006/12

      カテゴリー:漫画、挿絵、童画
      4.0
      いいね!
      • 匿名

        出れば買う!!お約束のシリーズ!(b^ー°)

        2012/04/17 by 匿名

    • 1人が本棚登録しています

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