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辻信一 , Norberg-Hodge, Helena (2009/05)
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加速度的に勢いを増しているように思えるグローバリゼーションは,農薬,遺伝子組み換え,地球温暖化,社会的な繋がりの喪失といったことによる社会や人びとの心身への悪影響と引き換えに,ピラミッドの頂点に立つ数の少ない産業界のリーダーたちに権力と富をより集中させること.植民地主義とグローバル化はひとつづきのプロセス.かつては軍事力を背景にした暴力的な制度の下で第三世界の人びとは先進国のための農業に従事させられたが,現代では銃や牢屋によってではなく,おもに借金や負債によって労働を強制されている.安い労働力を使いたいという大企業の都合で.そしてさらに,より安いモノを買いたいという先進国の消費者(我々!)の都合で.搾取されているのは第三世界の人びとだけでなく,先進国の中の一般層も同じ事.選挙の投票によって私たちがものごとを決めているかのように見えるけれど,実際にはその選ばれた代表たちが,さらに大きなお金と利権によって動かされ,コントロールされている.多国籍企業という大帝国が,新聞やテレビなどのメディアと,科学や学問といった知の大元を握って,私たちを洗脳している.こうした問題に対処するために,化石燃料に頼らず,再生可能エネルギーに基づく自給的なローカルフード経済を立ちあげて,小さな町や村のコミュニティを再生させる,それがローカリゼーション.ローカルであることは地域のエゴに凝り固まることでもなく,世界から孤立することでもない.孤立どころか,ローカリゼーションは地域同士が国際的に結びついて,世界全体の流れを変えていくという動きのこと.なぜならば農薬,遺伝子組み換え,地球温暖化といった私たちが直面している危機は,地域も国境も飛び越えた世界的な脅威だから.我々一般市民が草の根で繋がって行かなければならない.そして,規制緩和や自由化こそが最大で最悪の問題であることに,我々は気づかなければならない.これまでのグローバリズムのための規制緩和(ディ・レギュレーション)を,思い切って「再規制(リ・レギュレーション)」へと転換していくことが重要.先日読んだ高坂さんの本は「システムから降りてしまって楽になろう.降りても生きていけるよ.」といった感じの内容でしたが,こちらは「グローバル経済システムではピラミッドの頂点の富裕層以外の人々は不幸になる.システムを変えなければならない.」という気概に満ちていて,勇気をもらえました.本書のタイトルだと放っておいてもローカリゼーションが進むように読めますが,実際にはそんなことはなく,少数の富裕層が強大な力をもって政府をも取り込んでグローバリゼーションを推し進めているのは,現在の政策を見れば明らか.ほんとに何とかしないと,息子が大人になるころどんな世の中になっているのか,不安です.ヘレナさんの言う「(我々を苦しめる)システムは多くの人びとの無知の上に成り立っている.」という言葉を,肝に銘じておかなければ,と思いました. >> 続きを読む
2014/09/07 by medio
蟻塚亮二 (2005/09)
患者からの視点、医師からの視点が克明に記されており、うつ病を克服する指標を教えてくれている。うつ病の対処としては、几帳面で精力的で協調的な今までの自分と決別し、少しずつ「無責任、低空飛行、手抜き、物事の相対化、行き当たりばったり」の処世術を身につけるべきと説いている。しかし、心構えとして「逃げないこと、何とかしてみせる」という決意が一番重要であり、矛盾するような思考回路、精神バランスが必要なことを教えてくれた。例えて表現すると、登山家が山頂を目指す中で、勇気ある撤退も視野に入れる必要があるということだと思う。うつ病の症状が現れると、自分のことで精一杯になって「閉鎖循環思考」に陥ってしまう。そんな時に理路整然と会話をしても全く通じない。まずは相手の話を容認し、思いを共有することが重要なのだ。著者の行為で一番驚いたのは、薬をを処方する前には、すべて自分が服用し、効果や副作用を確認しているということであった。ただ、残念だったのは、著者本人のうつ病との闘いが詳しく書かれていないことだった。 >> 続きを読む
2019/01/21 by konil
CalapriceAlice. , 林一 (1997/02)
おそらく知らない人はほとんどいないであろう、相対性理論で有名なアインシュタインの語った言葉がたくさん載っている。アインシュタインということで、やはり物理学に関する言葉が多いのかと思っていたが、そんなことはなく、実際には宗教や戦争といったことに関しての言葉も数多い。本書の構成として、言葉の内容ごとに章立てし、その章に適合した言葉が次々に列挙されているのだが、個人的には少し読みづらい印象を受けた。しかし、それぞれの言葉からアインシュタインの考えの一端を垣間見ることができ、充分に楽しめるものとなっている。願わくば、ゆっくりと時間をかけて、一つ一つの言葉をじっくりと考えながら読みたい一冊。 >> 続きを読む
2012/06/06 by stone14
辻 信一高橋 源一郎 (2014/02)
「弱さ」と「強さ」という二元論で考えがちになるが、読みながら、そうではなくて、その中のグレーな部分こそが大切。いろんなキーワードがちりばめられている。曖昧さこそが重要で、それはいまのこの国を覆っている管理という二文字からは遠いところにあるのだろう。閉塞感を破るヒント。中で、富山型デイサービスも出てきたので納得。それから、最近読んだ本にでてきた谷川俊太郎さんの言葉ともだぶった。いろいろあるからいいのだということ。そして、それが変化していき、それに寄り添うのが丁度いいのだと思う。 >> 続きを読む
2014/12/28 by けんとまん
TeresiDick , 林大 (2005/06)
【西洋文明だけが優れていたわけではないのだよ】 現在の科学、文明の発展史を考える時、なんとな~く、それらは西洋文明に源があり、西洋文明が科学、文明の発展をリードしてきたのだと漠然と考えてしまうことってありませんか? そういう部分ももちろんあったのでしょうけれど、非西洋社会の方が西洋よりも圧倒的に早く真理に到達していた、技術を生み出していたことがかなり多くあるのだよというのが本書の骨子になります。 西洋社会の万能感など実はあまり根拠のないことなのだと説いているのですね。 本書では、数学、天文学、宇宙論、物理学、地質学、化学、技術の分野別に、まず、西洋文明史をたどり、その様々な到達点が、非西洋社会においてはいかに早く実現されている例があるかを地域ごとに検証するという構成を取っています。 例えば、数学で言えば0の発明はインドにおいてなされたと考えられていますが、実はメソポタミアでも0的な概念が用いられていたとも指摘されています。 いずれにしても、非西洋社会の方が早いわけですね。 あるいは、インドにおいては微積分の萌芽のようなものまでもが西洋社会よりも断然早く考えられていたとか。 また、宇宙論を見てみましょうか。 これは、非西洋社会では、巨大なヘビが卵を産んでどうだらこうだらとか、神が夢を見て宇宙が生まれてどうしたとか、そんなイメージではないかと思います。 これはもう、神話の世界だよねと思いがちですが、現在の宇宙論からそれらを解釈してみると、ビッグバン理論とさして変わらない考え方をしているとか、それは定常宇宙を述べているとも言える等々、それほど突拍子もない話ではなく、結構、真理を突いている部分もあるのではないかとも考えられるということが紹介されています。 う~ん、なるほどねぇ。 あるいは、地質学というのは、その文明が育った地域差があり、その地域の特性に応じて様々な分野で優れた発見をしていることがあるという指摘があります。 例えば、ハワイなんか火山が多いわけで、それに慣れ親しんでいたからでしょう。 相当早い時代から火成岩と火山岩の違いを明確に認識していたことが分かると言います。 はたまた化学の分野ともなると、錬金術が顔を出します。 化学は、優れて経験的な実験から発展した分野であり、色々な地域で様々な物質を加熱したり、混ぜたり、色々やりながら発展してきた分野だということです。 西洋においては、その名の通り、金を得るための術だったわけですが、これが中国になると目的は不老不死の薬を作り出すためとなり、南アメリカでは金や不老不死にはあまり興味を持たず、薬理学、精神薬理学、毒素薬理学の方面に知識を伸ばしていたりするそうです。 求めるものの違いにより、発展する方向に差が出て来たりもするわけですね。 このように、本書は、様々な科学分野の発展が、どんな地域でどういう足跡をたどってきたのかを見て行き、その過程で西洋文明万能主義に対する異議を唱えるという本になっています。 なかなか興味深い一冊でした。読了時間メーター□□□□□ しばらくお待ち下さい(5日以上、上限無し) >> 続きを読む
2020/10/20 by ef177
水沢都加佐 , PorterfieldKay Marie (2006/04)
大谷禎之介 , MarxKarl Heinrich , Most, Johann Joseph, 1846-1906 (2009/10)
辺見庸 (2009/04)
竹内真一 (1999/05)
乾彰夫 (2006/10)
本田由紀 (2007/05)
乾彰夫 (2013/07)
水沢都加佐 , JamiolkowskiRaymond M (2006/12)
西田美緒子 , Gingerich, Owen , EdelsonEdward (2008/04)
石井正人 , Krockow, Christian, 1927- , ReinartzDirk (1995/05)
カール・マルクス (2000/01)
岸本裕史 (1996/03)
【(株)大月書店】(オオツキシヨテン) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(出版社,発行所)
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