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手島佑郎 (1993/01)
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聖書の中の『出エジプト記』について、ユダヤの伝統的な解釈をさまざまに紹介しながら、非常にわかりやすく深く解説してあった。冒頭に出てくる助産婦のシフラとプアは、ヨケベデとミリアムのことだというユダヤの古来の解釈は、非常に興味深かった。また、モーゼの養母となったエジプトの王女は、名前は出エジプト記には出てこないのだけれど、歴代誌上巻4章17節に出てくるファラオの娘ビテヤのことだというユダヤの古来の説があるそうで、伝承ではモーゼの出エジプトにともについていき、ユダヤ教徒になったという話も興味深かった。「出エジプト」はヘブライ語だと「イツィアト・ミツライム」といい、この子音の読み方を少し変えると「イツィアト・メツァリム」、つまり「脱苦難」という言葉になるという話も興味深かった。古来からユダヤ教ではこの意味もこめられていると考えるそうである。また、この本で一番考えさせれたのは、ある程度、何事も時がかかるということである。モーゼは、ミデアンの荒野に逃れてから、かなり長い期間そこにいた。それは、謙虚さと忍耐を学ぶための、充電の期間だったという。また、神の言葉を燃える柴において聴き、エジプトのファラオに告げてからも、エジプトを脱出するまでには、かなり長い時間が必要だった。 ファラオに最初の警告を発してから、少なくとも一年半から二年ぐらいかかっているそうである。モーゼも、すぐにエジプトを脱出できたわけではなかった。ファラオにしばらくの間ユダヤの人々はいじめられ続け、かなりの期間、天災が降りそそぎながらも、出発まで時間がかかった。 十の災いが降りそそぎ、それからやっと出発できた。出発してからも大変だった。 奇跡によってエジプトの軍から逃れても、今度は荒野で、ユダヤ人同士の争いや不平不満によるトラブルがしばしば起こった。自由とは、法の遵守であり、自治の秩序だという考えが、トーラーには貫かれているそうである。奴隷の境涯から脱出しても、すぐに精神まで自由になるとはいえず、長い荒野での遍歴の旅は、民が本当に精神も自由な人間になるための、長い訓練の期間だったそうである。そもそも、エジプトを脱出してから、十戒自体がすぐに与えられたわけではなく、脱出後三カ月後にシナイ山で与えられた。それは、それまでばらばらだった民の心がひとつになるためであり、奴隷の時の傷を癒し、心をリハビリするために必要だったからだそうである。十戒の文言についても、「みだりに」という意味の「ラシャヴェ」は「むなしい目的のために」という意味だということや、「妬む」と訳される「カナー」は「曲がったことを嫌う」と言う意味だということもなるほどと思った。また、出エジプト記の二十四章の、直接モーゼと七十人の長老が神と会ったという記述とその情景描写は、その後のユダヤ神秘主義の源泉になっているという話も、なるほどと思った。モーゼが、そのつど、神と粘り強い交渉や対話を行う姿勢も、とても興味深かった。他にも、ひとつひとつの文章や語句について、こういう意味だったのかととても感心することが多かった。出エジプト記やモーゼに関心のある方には、ぜひおすすめしたい一冊だった。 >> 続きを読む
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