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(株)研究社 (ケンキユウシヤ)

企業情報
企業名:研究社
けんきゆうしや
ケンキユウシヤ
コード:327
URL: http://www.kenkyusha.co.jp
      アフリカ人、イクイアーノの生涯の興味深い物語

      久野陽一 , EquianoOlaudah2012/08

      カテゴリー:小説、物語
      5.0
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      • イクイアーノは、十八世紀にアフリカで生まれ、奴隷にさせられ、その後、自分の力で自由を手にし、イギリスで奴隷貿易撤廃の運動を行った人物。
        この本は、イクイアーノが自ら執筆した自伝である。

        私がこの本を読むきっかけになったのは、去年の年末に、たまたまDVDで『アメイジング・グレイス』という映画を見たからだった。

        その映画は、ウィルバーフォースというイギリスで奴隷貿易廃止を実現した貴族出身の政治家が主人公の実話。
        その中に、イクイアーノという黒人の人物が出てきて、もともとはアフリカの王子だったが奴隷として誘拐されたことが語られ、自伝を出版し当時ベストセラーになり、奴隷貿易反対の機運を高めたことが描かれていた。

        ウィルバーフォースが苦難の末に奴隷貿易廃止を実現する以前にイクイアーノは亡くなってしまうが、映画の中で仲間のクラークソンがイクイアーノの御墓の前で勝利を祝うシーンはじーんと来るものがあった。

        それまで、そんな人物がいるなんて知らなかったので、調べてみたら、なんとつい最近、その自伝の翻訳が出版されていたので、手にとって読み始めた。

        読んでみた感想は、想像をはるかに超えてすごい本だった。

        とても細部の描写が鮮明で、生き生きとしていて、わりと長い本なのだけれど、一気に読ませる力があった。

        この本によれば、イクイアーノはアフリカのある部族の酋長の息子に生まれる。
        何不自由なく幸福な少年時代を大切に育てられて過ごすが、ある時に妹と二人でいるところを、突然対立する他の部族に誘拐され、奴隷として売り払われる。
        当初はアフリカの中で転売され、一時的に生き別れになった妹と再会したり、新しく主人になった同い年ぐらいの主人がとてもイクイアーノを気に入って兄弟のように待遇してくれることも描かれる。
        しかし、運命は暗転し、イギリスの奴隷船に突然売り払われることになった。

        悪臭と悲鳴声に満ちた奴隷貿易船の描写は、あまりのひどさに胸が詰まった。
        イクイアーノは当初、アメリカに連れて行かれるが、そこでさらに転売され、イギリスの軍艦の奴隷になる。
        そこで、同い年ぐらいの親切な白人の少年と友人になり、英語の読み書きも教わる。
        しかし、その少年も間もなく病気で死んでしまう。
        イクイアーノの主人の船長は、あまり親切でもないがそれほど白人の中では悪い人間ではなく、イクイアーノはせっせと働く。
        ちょうど、イギリスとフランスとの間に七年戦争が起こり、イクイアーノはいくつもの戦場で大砲の飛び交う中働き、何度も九死に一生を得る。
        少しずつお金も貯め、戦闘に従事した報奨金もあるので、このお金でやっと自由を買えるという寸前に来たところで、なんとその船長が、そのお金をすべて没収し、他の人にイクイアーノを売り渡す。

        イクイアーノは今度は西インド諸島に連れて行かれ、そこでさまざまな困難や苦難を経るが、地道な努力とすぐれた才能が徐々に評価され、さらに転売された先の比較的親切な白人の主人が船の仕事の合間に商売を始めて良いと認めてくれたので、ほんのわずかな金額から始めて、こつこつと商売を繰り返し、やがて大きな成功を収めて、かなり大きな金額を貯金するに至った。
        その間も、何度もひどい目にあい、物を売っても代金を支払わない白人や、さらに代金を請求すると暴力を振るってくる白人にひどい目にあいながら、イクイアーノはなおもこつこつと努力を続ける。

        そして、ついに、自分のお金で自由を買戻し、自由の身となった。
        それから、さらにいくつか困難を経て、イギリスにもどり、そこでアーヴィング博士という立派な科学者と一緒に北極探検に行ったり、西インド諸島で開拓をしたりしたが、そのあとに再び一人でイギリスにもどり、奴隷貿易廃止運動を行っていった。

        イクイアーノは数知れぬ命の危険にさらされ、白人のリンチで重傷を負ったりしながら、いつも奇跡的に一命をとりとめた体験は、読みながら本当に数奇な人生だと思わざるを得なかった。
        非常に不思議なことに、しばしば予知夢を見たことが書かれていて、イクイアーノの本を読んでいると、たしかに人知を超えた予知夢やはからいみたいなのがあるのかもしれないと思えた。

        また、イクイアーノは、こうした体験から、キリスト教の神に深い関心を抱くようになり、さまざまな教会を訪れて話を聞いたり、自分で聖書をよく読んだりし、深い祈りや瞑想を行って、最終的には非常に不思議な霊的な体験をしたことが書かれている。

        これほどひどい目にあいながら、「自分は格別に恵まれた人間だった」とイクイアーノは言い切る。
        それはやっぱり、他の人間には到底わからない、深い信仰の体験があればこその境地だったのだろう。

        この本を読んでいると、多くの白人の意地悪さと冷酷さには、ただただ唖然とせざるを得ない。
        特に、アメリカの南部の白人のひどさは、ちょっと常識を絶する。

        その一方で、白人の中にも親切な人や誠実な人がしばしばいたことも、しっかりこの本には描かれていた。

        数奇なその生涯の体験として、また奴隷貿易や七年戦争やさまざまな冒険の貴重な証言として、そして人間とは何か、信仰とは何かということについても、とても多くのことを教えられる、貴重な一冊だった。
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        2013/03/05 by atsushi

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      英語リ-ディングの秘密

      薬袋善郎1996/10

      カテゴリー:読本、解釈、会話
      4.0
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      • 社会人になり英語の資料を読む機会が増え、買った本。
        あれから10数年、スラスラとは言えないけど、英文も抵抗なく読めるようになったのは、この本のお陰かと思っています。
        品詞分解をして、文の仕組みから英文を読んでいくので、時間がかかっても正確に読めるようになります。
        正確に英語の資料を読む必要がある方にはおススメできますが、
        英会話や英作文が必要な方にはおススメできません。
        あと、細かいことを言われるとイライラしちゃう方にもおススメできません。
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        2014/06/08 by che_k

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      英文解釈教室

      伊藤和夫1997/06

      カテゴリー:読本、解釈、会話
      5.0
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      • (受験英語のバイブル・英単語記憶術と英文解釈教室)

         いずれも私が、ん数十年前楽しみながら学習した本ですが、7,8年前私が高校生の家庭教師をしていた時も、この2冊は入手可能でした。それだけの定評があったということですね。

         「英単語記憶術」(光文社:カッパ・ブックス)は故・岩田一男さん作。煩瑣な英単語を分解し、接頭辞・接尾辞などの要素で、英単語を再構成して、語源から読み解くという手法を呈示した本です。岩田さんは、一橋大学教授でした。

         昔、森鴎外が(医学部なので)ドイツ語を勉強していましたが、学友が苦労して単語を覚えていたのに対し、彼は接頭辞・接尾辞から単語を暗記し、余った時間は落語の寄席に行って、おもいっきり楽しんでいたという逸話があります。その姿勢に似ているのが、この「英単語記憶術」なのです。一例を挙げましょう。

         「白」で括られる英単語。alb、alp、candなどは、白いという意味を持ちます。album:アルバム。余白が白いから。albumin:蛋白質・卵の白身から。Alps:白い雪をかぶったアルプス山脈。candle:白いろうそく。candidate:候補者(ローマで官職志願者が白い上着で街を歩いたから。)

        まあ、こんな感じで、単に英単語のみならず、英語の背後にあるヨーロッパの文化について示唆もしてくれる優れものの本です。「試験に出る英単語」とかより、はるかに優れた受験参考書かと思います。

         次に「英文解釈教室」(研究社)。著者は故・伊藤和夫さん。かれは駿台高等予備校の専任講師でした。英語という言語は、ほかのヨーロッパ言語と比べると一見簡単に見えます。たとえば名詞にドイツ語のような男性名詞・女性名詞・中性名詞などの区別はありませんし、格変化も北欧系の言語から見るとほんの僅かです。でも、ルールの乏しい英語が簡単かというと、決してそうではありません。むしろ、他の言語がこれらのルールを保持しているので、読解の手がかりが多くあります。英語は無法地帯のようなもので、読解は難しいのです。

         では、英文解釈教室では、どういう態度を英文に対して取っているかと言うと、「形を重視する」ということです。たとえば
        @1:The house stands・・・
        @2:In the house stands・・・
        の2つの文があるとき、その違いは文頭に「in」が来ることにあります。もちろん「・・・の中に」という意味を持つのですが、伊藤氏は、意味とは別に、文章構成上の留意点を挙げています。それは、「「in」によって導かれる語句のひとまとまりは、主語には成りえない」という事実です。文章の構成上、「in」を見たら、主語にはなりえないという機能的な読み方をするのが伊藤流・英文解釈術です。

         英文を解釈する際、もっとも重要なのは、主語(S)と動詞(V)をはっきりさせるのが基本だということです。それに際し、まとわりつく修飾語(M)を外していき、S,Vを炙りだすというのが重要なのですね。

        最後に:これらの参考書を勉強した結果、受験界のナンバーワン予備校の駿台予備校の模試で、私は英語の成績が理系で1位、全体でも3位の成績を収めたことがあります。(←ちょっと自慢。)

        さて、今のようなヒアリング重視の大学入試試験で今回挙げた参考書たちが有効なのか、私にはよく解りませんが、教養書としても十分読まれる価値があると思います。
        >> 続きを読む

        2013/11/04 by iirei

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