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(株)筑摩書房 (チクマシヨボウ)

企業情報
企業名:筑摩書房
ちくましよぼう
チクマシヨボウ
コード:480
URL: http://www.chikumashobo.co.jp
      思考の整理学

      外山滋比古1986/03

      カテゴリー:知識、学問、学術
      3.9
      いいね! yokoyama
      • 本書は、受験などで力を発揮するような受動的に知識を得る「グライダー」型の能力と、自分自身でものごとを発見・発明する「飛行機」型の能力を比較したうえで、「グライダー兼飛行機」になるために何を心掛けるかを考えるためのものだと宣言するところに始まります。とはいえ一冊を通して一塊の思想を伝授するといった趣向ではなく、一話完結のエッセイ形式で進行するため、目次等で気になった部分だけを抜き出す読み方に適しています。

        内容については、仮に現在の流行りの言葉で呼ぶならば、"思考のライフハック"とでも表現できる、考えることにまつわる助言やコツともいうべき情報が紹介されています。そんな数々の知見を一概に要約することは難しいですが、雑にまとめてしまうなら、力押しではなく「押してダメなら引いてみろ」に類する発想による思考法と言えます。そのような主旨である本書のなかで、たったひとつ重要な知見を挙げるとすれば、やはり複数の章にわたって最も多く紹介されている、「忘却」が結果として「思考の整理」を導くというアドバイスであり、これによって本書の位置するところを大まかにイメージして頂けるのではないでしょうか。

        本文で取り上げられる思考するものの対象としては、著者が英文学者であるだけあって論文の執筆が例として頻出しており、「ものを書くのは人間を厳密にする」という言葉にも表れるように、読者のメインターゲットは文筆を職業や学習のために必要とする、もしくは志す人々にあると言ってよいでしょう。具体的なテクニックについては、スマホどころかコンピューターも一般家庭に普及していない時代だけあって、スクラップブックやカード・ノートの利用法といった今となっては参照されがたいであろう情報も存在しますが、同時に刊行時点では未来の話である、コンピュータの普及によって従来の仕事が奪われる社会を予見するなど、いまだからこそ光る部分も存在し、見所のひとつでもあります。

        実は通読したうえで、本書の内容をさほど目新しくは感じなかったのですが、40年近く前に刊行され源流となった本書にある知恵の多くが間接的に伝わった、または常識として定着しているからこその感想かもしれません。
        >> 続きを読む

        2020/09/23 by ikawaArise

    • 他13人がレビュー登録、 65人が本棚登録しています
      現代語訳学問のすすめ

      福沢諭吉 , 齋藤孝2009/01

      カテゴリー:教育
      4.1
      いいね! tadahiko tomato ice yam
      • 流石!と思った。
        現代にも通じるものが、山のように散りばめられている。
        これまで、読もうとすることもなかったが、思い切って読んでみた。
        1回やそこらではなく、何度も読み返すべきものがここにあると思う。
        基本的なスタンスがとても素晴らしいのだ。
        だから、今にも通じるし、今後にも通じる。
        できるだけ、多くの人が読んでほしい!
        >> 続きを読む

        2015/06/24 by けんとまん

      • コメント 1件
    • 他9人がレビュー登録、 24人が本棚登録しています
      図書館の神様

      瀬尾まいこ2009/07

      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! Tukiwami
      • 清く正しく生きてきた清(きよ)。
        何事にも誠実に取り組む性格で、特にバレーボールに全てを注いでいた。
        しかしある事がきっかけで全て崩れてしまい、バレーボールを辞めて、不倫を誠実にするという不合理な恋愛をするようになった。

        不倫相手からの勧めで高校の講師となった清。
        バレーボールの顧問を希望したが任命されたのは部員1名の文芸部。

        部長の垣内君はスポーツが得意なのに、それ以上に文学にハマってしまった高校三年生。

        彼との出会いで清は少しずつ変わっていく…。

        というお話。

        特別何か大きい事件もなく、淡々と時が流れていくのだけど、生きていく上での大事なことがうっすらじんわり感じられる本。

        「のび太はタイムマシーンに乗って時代を超えて、どこでもドアで世界を回る。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく。僕は本を開いてそれをする。」

        垣内君の言葉で清が自分にとっての「それ」は何なのか考えたように、読後自分も物思いに耽ってみた。

        垣内君もいいキャラだが、清の弟や不倫相手も清にとって大きな影響を与える人物だ。

        今の自分を構成している周りの人達のことも思い返せる機会になった。

        序盤は少し重い内容だけど、ぼんやり読んで、ぼんやり暖かくなる、そんな本でした。

        追記
        なぜ図書室の話なのに図書館というタイトルなんだろう…
        >> 続きを読む

        2021/01/24 by 豚の確認

      • コメント 2件
    • 他8人がレビュー登録、 25人が本棚登録しています
      金持ち父さん貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学

      KiyosakiRobert T , LechterSharon L. , 白根美保子2000/10

      カテゴリー:金融、銀行、信託
      3.9
      いいね!
      • 10年以上前に読んだ本だけどあるきっかけで再読。
        驚くべき内容。バイブル中のバイブル的本。
        20年以上経っても読み継がれているのがよく分かる。
        それにしても10年前のオレ、この本読んで何感じたんだよ・・・。
        >> 続きを読む

        2020/08/29 by キトー戦士

    • 他8人がレビュー登録、 32人が本棚登録しています
      猫語の教科書

      灰島かり , GallicoPaul1998/12

      カテゴリー:家畜、畜産動物各論
      4.0
      いいね! kazuna-ri
      • “£YE SUK@NT MUWOQ” 
        Q Nab8al Dir Kottebs Dra7D abd J1/4nl4dd ca6sB7
        これが本書の正式なタイトルです。
        なんじゃこりゃ?って思うのも当然、この本の著者は猫。
        猫自身がタイピングした猫のための著作なのでした。

        人間がそれを解読しやすく「正しい英語」に書き直したのがこの「猫語の教科書」という訳。

        The Silent Miaow
        「A Manual for Kittens, Strays, and Homeless Cats」
        英語だとこうなります。
        「声を出さないにゃあお」―仔猫、迷い猫、野良猫のためのマニュアル
        ということで、この本に「猫語」は出てきませんし、猫の言葉が話せるようにもなりません。
        猫が読むために書かれたものなんですね。
        さて、その中身は――?!

        「私の取説」のような猫からのお願いということではないですし、
        「猫の飼い方」的な、つまりよくあるハウツー本ではありません。

        猫本のほとんどが猫の飼い主の、猫愛の表現であるわけで
        ポール・ギャリコ自身がいかに「自分の猫」にメロメロであるかを
        告白するあとがきからもそれが認められますが、
        それでもこの本が実用書ではなく「文学」なのは、この小説が
        猫が書いているというフィクションを素に、メタフィクションの形で完成していることがあります。
        持ち込まれた原稿を「訳す」だけで、ポール・ギャリコが書いたのではない、としつつ、前書きと後書きでは彼自身が登場し、作家自ら実名で語るという入れ子式の構成

        そして、人が猫を飼うのではなく、猫が人間の家をのっとりに来る
        という逆転の発想。
        乗っ取る=Take-over と思われますがどうかしら?

        猫の立場からすると主従は逆なのです。
        人間の家に入り込んだ猫は人間を奉仕させる主人としてその家に君臨するのです。
        しかしそれを完成させるには、猫の高い意識をもってしつけをする必要があり
        そのノウハウを仔猫のころから会得すべく、この指南書を書いたのでした。

        彼女の(語り手の猫はメス猫です)取っておきの必殺技というのが
        『声を出さないにゃあお』なのだとか。
        ここぞというときに使う必勝法で、これで墜ちない人間はいない。
        猫の飼い主さん。心当たりありますか?

        猫に見下されながらも裸の人間の本質にせまり、男と女の違いなどにも笑いながらうなずける部分が多く、
        見事な人間観察本にもなっています。

        確かに猫にやられちゃっている人はどこかしら必ずマゾです。
        猫さまにお使えする人間の風情。
        猫好きの方は、この本でショックを受けると思いきや
        自己肯定された気分になり、かつ、自分のうちの猫を尊敬し始めることでしょう

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        2020/09/17 by 月うさぎ

      • コメント 2件
    • 他6人がレビュー登録、 9人が本棚登録しています
      ねにもつタイプ

      岸本佐知子2009/12

      4.3
      いいね! Tukiwami
      • 翻訳家、岸本佐知子さんによる第二作エッセイ集。(第一作は白水社出版の『気になる部分』。)

        日常や過去の記憶から現実に対するなんらかの違和感を察知し、つぶさに観察する。
        独特の着眼点を契機として、類いまれな妄想力が描き出した異世界へと読み手を道連れにする。

        寡聞にしてこれほどユニークなエッセイストを知らない。
        そのジャンルの境界すら危うくする、異能によるエッセイ集。
        >> 続きを読む

        2020/07/24 by ikawaArise

    • 他5人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      命売ります

      三島由紀夫1998/02

      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 三島由紀夫の隠れた怪作と言われた小説。

        これといった嫌な事があるわけではないのに
        突発的に自殺を図って失敗した羽仁男(はにお)は、
        自殺の手間すら億劫な“人生にやる気のない男”。

        そこで思いついたのが、
        「~命売ります~ライフフォアセイル」
        という広告を新聞の求職欄に掲載し、
        他人に自分の命を使ってもらう事だった。

        次々とやってくる依頼人。
        ゆるりと死を望む羽仁男は
        依頼人の「死んでしまうかもしれない」要求に
        まったく恐怖を感じない。

        覚悟を決めているというより、
        生きることにしがみついていない感じが、
        この物語の不思議な雰囲気を作っている。

        星新一の小説を読んでるような奇怪な世界。

        しかし、この話の肝になるのは、
        そんな羽仁男を急激に変えていくラストへの展開。

        切ないラストに何だか安心できたのは
        こうあってほしいと願いながら読んでたからかも。
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        2019/01/28 by NOSE

    • 他4人がレビュー登録、 18人が本棚登録しています
      通天閣

      西加奈子2009/12

      カテゴリー:小説、物語
      3.4
      いいね! KEMURINO taiji
      • 単調な工場で働く人付き合いの嫌いな“俺”。
        スナックで働きながら遠距離恋愛の彼を待つ“私”。

        通天閣が見下ろす街に住む人間達の、
        なんて事ない日常を描いたストーリー。

        この“なんて事ない”というのが、
        それぞれの主人公に思い入れが強くなるほど深みを帯びる。

        “なんて事ない”と流せる日と、
        それを“ちっぽけ”と感じてどうしようもない日。
        その想いによって他人を見る目も日々変わる。

        そして“なんて事ない”日常に起きたある事件が、
        2人のストーリーと想いを繋げる。

        前半の単調さがあるから後半の熱い想いが際立った。
        最後まで二人の主人公の名前が出てこないのも効果あったのかも。
        読後はなかなかの爽快感だった。
        >> 続きを読む

        2019/01/28 by NOSE

    • 他4人がレビュー登録、 14人が本棚登録しています
      ラピスラズリ

      山尾悠子2012/01

      カテゴリー:小説、物語
      4.8
      いいね! asaki
      • 【冬眠者と人形】
         何とも不思議な味わいの作品でした。
         たいへんデリケートな作品です。構成としては5編の中、短編からなっています。

         最初の「銅販」で、この物語全体を見通すような主題が語られているのでしょうか。
         深夜の画廊で何かの物語の挿絵のような3枚の銅版画を目にします。
         1枚目は「使用人の反乱」というタイトル。
         秋の終わりの森の中、荷車に積み上げられた高貴な身分と思われる人達を、その使用人と思われる人達が投げ捨てているように見えます。
         高貴な人達はまだ死んではいないようですが、ぐったりしています。

         2枚目は「冬寝室」。
         六角形の、塔の上の部屋と思われる部屋に男性とも女性とも見分けがつかない人物がベッドに寝ています。
         そのそばには大振りな人形が描かれています。窓の外は冬の景色のようです。

         3枚目は「人形狂いの奥方への使い」。
         幾何学庭園に庭道具を手にした老人と木箱を担いだ旅装束の若者が描かれています。
         山となった落ち葉が焚かれていて白煙を上げているのですが、常緑樹で作られた庭園に何故落ち葉があるのでしょう?

         その後に続く中、短編は、この銅版画のモチーフを基にして語られているようです。
         2編目と3編目はまさにそうで、特に3編目の「竈の秋」という中編ではその城のことが詳しく語られています。
         この描写が、「ゴーメン・ガースト」を彷彿とさせるのですよ。
         ええ、マーヴィン・ピークのあの奇作です。
         あれに近い感覚を味わいました。

         ところが、4編目になると、舞台はいきなり日本に戻ってきます。
         「これは?」とややとまどいを覚えたのですが、これは……人形つながりなのか?
         あるいは、季節の巡りを言いたいのか?

         そしてラストの「青金石」で静かに幕を閉じます。

         余韻の深い作品です。
         まるで夢を見ているような。でも、その夢は決して楽しい夢などではないのですけれど。
        >> 続きを読む

        2021/01/17 by ef177

    • 他4人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      多読術

      松岡正剛2009/04

      カテゴリー:読書、読書法
      3.7
      いいね! u_sukumo
      • 「ビジネス的な読書術」としての「多読」を紹介している本をイメージしていたので、良くも悪くも予想外の内容だった一冊です。

        「千夜千冊」という著者の松岡氏が運営する本のレビュー的なことをやっているサイトに関するお話や、彼が実際に読まれた多数の本から得たものについてのお話を交えながら、実践的な「多読術」の方法の説明を進めていくという流れになっています。
        両者の内容が結構複雑に絡んでいるので、私にとってはさらさらと読める本ではありませんでしたが、その分興味深い記述もありました。

        特に、「人が『黙読』できるようになったのはおそらく14世紀~16世紀で、それまでは、『本を読む』というと全て音読だった」、そして「それが無意識の領域を広げている」という話が印象に残りました。
        一方で、「多読」、そして「無意識の領域」とはいっても、決して「速読」にこだわることは勧められていないというのが、他ではあまり見ない松岡氏独自の意見だと思います。
        >> 続きを読む

        2017/06/05 by ピース

    • 他4人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      さようなら、オレンジ = Goodbye,My Orange

      岩城けい2013/08

      カテゴリー:小説、物語
      3.7
      いいね!

      • 今、初めて読んでいるこの小説は、どんな人によって書かれたのか。
        全く気にならないと言う人は少ないと思う。

        巻末の著者紹介に目を通すし、あとがきがあれば、真っ先に読んでしまう。
        これは、よくありがちなことだと思う。
        インターネット検索することだってあるだろう。

        しかし、作家の性別や国籍、年齢、略歴など各種の属性は作品の良し悪しには、本来関係ないはずだ。
        それでも私たちは、頭の片隅にインプットする。作者にまつわる情報の束を。

        今回読了した岩城けいという作家の「さようなら、オレンジ」という作品の著者欄には、「大阪生まれ」「単身渡豪」「業務翻訳業経験」「在豪二十年」とあります。
        読む者は、なるほどと納得するんですね。

        まさに、この作品は"異言語"や"異国"での生活をめぐる小説だからです。

        物語は、主人公サリマの日常を中心に展開していきます。
        アフリカの内戦状態にある国からオーストラリアらしき国の田舎町へと逃れて来た、難民の黒人女性だ。

        地域のコミュニティーにうまく溶け込めずにいる。言語の壁が大きいんですね。
        そして、早々に夫は失踪。彼女は、生鮮食品加工の仕事で、二人の息子を養っている。

        彼女は、英語を習得するために、学校にも通っている。
        教室にはさまざまな背景と条件を抱えた生徒が共存している。

        職場と学校と家庭という三つの空間。それに言語と職能という二つの変数。
        そのレベルアップは、サリマの内面と各所での人間関係に微妙な変化をもたらすんですね。
        そして、関係性の再編が彼女を前に進めて行くことになる。

        人物の描写が、この作品の最大の読みどころだと思う。
        どの登場人物にも、少しづつ著者自身の体験や見聞が溶かし込まれているんですね。

        それゆえ、読む者は説得力を感じつつも、ある違和感を抱いてしまうんですね。
        なぜ日本人が、アフリカ人の話を、それも日本語で書かねばならないのか?-----。

        この疑問に応答するように、この作品には構成上のトリックが一つ施されていると思う。
        素朴な文体に比して、その方法はかなり大胆で危うさも孕んでいると思う。

        その成否は、読む者の判断に委ねられていると思いますね。

        >> 続きを読む

        2018/08/31 by dreamer

    • 他4人がレビュー登録、 16人が本棚登録しています
      ないもの、あります

      クラフトエヴィング商會2009/02

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 実際ないのだけれど、ものの名前が付いた日本語って色々ある。
        鬼に金棒、とか、左うちわ、舌鼓、とか、堪忍袋の緒とか。
        「ないもの、あります」は、空想的商品カタログっていうか。
        ひとつひとつの商品に付いたイラストを見るのもまた楽しい。

        こんなところに目を付けるとは、クラフト・エヴィング商會らしいな。
        クラフト・エヴィング商會の世界観が好きな人には楽しめる。
        電車での移動中など、ちょっと読むのにちょうどいい。
        >> 続きを読む

        2017/07/21 by achiko

    • 他3人がレビュー登録、 6人が本棚登録しています
      絶叫委員会

      穂村弘2013/06

      3.9
      いいね!
      • 【「ぶははっ」というよりは「にやにや」という感じかな】
         穂村弘さんのエッセイは、これまでに『蚊がいる』、『鳥肌が』を読んできて、どちらの作品でも爆笑しましたので、今回もそのような『笑い』を期待して読んでみました。

         今回のテーマは『印象的な言葉』です。
         どこかに書かれていたり、何気に聞こえて来た言葉の中から、これはとんでもないというものを集めました。
         本書は、『ちくま』に連載されていたものをまとめたものなのですが、著者曰く、最初は名言集のようなものをやってみようという意図で始めたものの、結果的にはもう少しナマモノ的な『偶然性による結果的ポエム』のようなものになったということです。

         そうですねぇ。
         前作のように思わず吹き出してしまうというほどインパクトがあるネタはあまり無かったように感じられました。
         ちょっとにやにやするという感じでしょうか。

         また、これは強く感じたのですが、穂村さん、歌人だけあって、言葉に対する感性が鋭過ぎるのじゃないかと思うのです。
         取り上げているネタの結構な部分は、「言わんとしていることは分かるけれど、それは〇〇ということでまあ理解できるんじゃない?」というものに思えてしまったのです。
         敢えて取り上げるほどのものではないのではないかという感じです。

         感性の鋭い穂村さんからすれば、いずれもとんでもないことなのかもしれませんが、鈍い私からすると、まあ、それはそういうことで……で済んでしまい、敢えてそこに突っ込まなくてもというネタが結構あったというわけなんです。

         例えば、トイレに「いつもきれいにご利用いただきありがとうございます」なんてよく書かれているじゃないですか。
         穂村さん、これにツッコムのですね。
         「小便をこぼすな」→「一歩前へ」までは許せるけれど、「ありがとうございます」は一線を越えていると言うのですね。
         まあ、これは、命令調やお願い調で注意を促してもなかなか言う事をきいてくれない利用者が多いから、ここは絡め手で「ああ、きれいにつかうと感謝されるんだ。お店の方も苦労しているんだな。」などと思わせてきれいに利用してもらおうというテクニックですよね(と、私なんかは思う)。
         何も「一線を越えている」とまでツッコまなくても……と思ってしまうわけです。

         あるいは、貴乃花が宮沢りえと離婚した時の記者会見で「愛情がなくなりました」と答えた点について、「凄い答えだ。真実を突き抜けて、殆ど真空というか虚無というか、耳にした全員の魂が抜けるような言葉……」と評しているのですが、そこまで凄いんですかね?
         私なんか、「はっきり言ったね」程度にしか思わないのですけれど、まあ、ここが凡人と言葉に対する感性の鋭い歌人との違いなのかと妙なところで納得してしまったり。
         
         というわけで、私的には爆笑とまではいきませんでしたが、いつもならではの穂村的のほほんとしたワールドは楽しめるのではないでしょうか。


        □□      楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)
        >> 続きを読む

        2021/08/29 by ef177

    • 他3人がレビュー登録、 10人が本棚登録しています
      世にも美しい数学入門

      藤原正彦 , 小川洋子2005/03

      カテゴリー:数学
      3.8
      いいね!
      • この本も齋藤孝さんの“本には順番がある”で読もうと思った一冊。
        途中までは良かったが折り返し点を過ぎてからは一気にペースダウン、最後は足がもつれながらのゴールイン。やはり数学の分野も不向きでおました。

        でも数学とか哲学とか文学とかはすぐに役に立たないものなんですと、数学者で実用に役立つというのは格下で恥ずかしいことだと、後世になって役立つという奥ゆかしい学問だと。例えばニュートンが初めて天体物理学を作りましたが、彼の書いた「プリンキピア」という本は、自ら発見した微分積分ではなく、ギリシャ時代の“”ユークリッド幾何学を使っていると、逆にいえばその“ユークリッド”が役に立つまで二年三年じゃなくて、二千年経ってからというのが数学の偉大なとこですな。

        例えば「フェルマー予想」という解けない難題があるのだが、350年にわたって有名無名の人が数多く攻撃してもすべて失敗。天才と言われた人が「フェルマー予想」に一生とりかかり、結局何もしないままに死んでしまったと、著者の藤原さんも大学院の時指導教官に「フェルマーだけはやるな。数学人生おしまいだよ」って、でもそれぐらい虜にするのは、数学や文学や芸術に美と感動があるからだと、いろんなところに魔物はいてますな・・・・。

        >> 続きを読む

        2021/01/16 by ごまめ

      • コメント 3件
    • 他3人がレビュー登録、 5人が本棚登録しています
      かのこちゃんとマドレーヌ夫人

      万城目学2010/01

      カテゴリー:小説、物語
      4.7
      いいね!
      • 小学校入学を目前にした少女かのこと、かのこ宅に住み着いた猫のマドレーヌ夫人を中心に、子どもたちと動物たちの視点からの世界を織り交ぜつつ、出会いと別れを描いた心温まる日常系ファンタジー作品です。

        【主要キャラクター】
        かのこちゃん …まもなく小学校入学を迎える少女。
        マドレーヌ夫人…かのこの家に住むアカトラ猫。犬である玄三郎の「夫人」であり、その言葉を理解する。
        玄三郎    …かのこの家に住む老いた13歳の柴犬。夫人と意思疎通できる。
        すずちゃん  …小学校で出会う、かのこのクラスメイト。
        かのこの両親 …理解ある温和な両親。

        【各章について】
        プロローグ、2章、4章…マドレーヌ夫人をはじめとした猫犬たちの視点によるエピソード。
        1章、3章、エピローグ…かのこちゃんをメインに小学校や家庭でのやりとりが描かれる。
        2~4章とエピローグはエピソード内の時間が重複・前後する部分がある独特の構成が取られています。

        【所感】
        言葉の選び方への違和感や、子どもと動物たの描き方についてのあざとさを感じなくはないのですが、著者らしさが発揮された安心して楽しめるエンタメ作品です。著者の他作品に比しての特徴は、幼い少女を主人公に据えていること、かなりコンパクトにまとめられている点でしょうか。

        【補足】
        ・物語と対象とする期間は、かのこの小学校入学直前の3月末から10月上旬あたりの半年間です。
        ・かのこの父親は、同様に人語を理解する動物が登場する他の万城目作品との関連を匂わせます。
        ・猫たちが人間の言葉を常に理解できるという設定は不要だったようにも思えます。
        >> 続きを読む

        2020/07/23 by ikawaArise

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      読んでいない本について堂々と語る方法

      BayardPierre , 大浦康介2008/11

      カテゴリー:読書、読書法
      3.7
      いいね!
      • 視点がとても面白かった。
        タイトル的にギャグ的な軽い本と思いきや、少し難しめのしっかりした文章と構成だった。

        読んでいない本を堂々と語る方法というが、私はそんな勇気はない。

        世の中には膨大な本の数があり、それとともに膨大な物語の数がある。

        生きているうちに読める量はほんの一部でしかない。

        本好きとしては悲しい現実だが、でもやはりしっかりと本を読みたいと思った。
        >> 続きを読む

        2016/11/04 by snoopo

      • コメント 2件
    • 他3人がレビュー登録、 4人が本棚登録しています
      金持ち父さん貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学

      KiyosakiRobert T , 白根美保子2013/11

      カテゴリー:金融、銀行、信託
      4.2
      いいね!
      • ✔︎資産が何かということがわかって、それを手に入れればそれだけで金持ちになれる〜みんな資産と負債の違いを知らないから
        ✔︎せっかく買ったのに〜現金を生まない資産が含まれていることがよくある。私が考える富はそれとは異なり、所有しているお金がどれだけのお金を日々生みつつあるかを測る
        ✔︎資産から生み出される収入で毎月の支出が賄えるようになったというだけのことだ
        ✔︎自分のビジネスを持つことを考え始めることが大事だ〜買った時点で大きく価値が減少してしまうような消費財でなく、利益を生む本当の資産を買い始めることだ
        ✔︎本当の資産とは何か
        1自分がその場にいなくても収入を生み出すビジネス
        2株
        3債券
        4収入を生む不動産
        5手形・借用証書
        6音楽・書籍などの著作権・特許権
        7その他、価値のあるもの、収入を生み出すもの、市場価値のある物品など
        ✔︎「自分のビジネスを持つ」とは、本当の意味で資産を増やし、それを維持すること〜一度手にしたお金は二度と出ていかないようにする。あなたの賃借対照表の資産欄に入ってきたお金は、あなたのために働いてくれる労働者だと考えるといい。お金のいいところは二十四時間働いてくれるし、次の世代へ受け継ぐこともできる点だ。
        ✔︎親代々の資産家たちは、まず最初に資産を築く。その後で、資産から生み出された収入でぜいたく品を買う。
        >> 続きを読む

        2019/10/14 by kaho

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      高慢と偏見

      中野康司 , ジェーン・オースティン2003/08

      カテゴリー:小説、物語
      4.3
      いいね! Tukiwami
      • 舞台は田舎町ロングボーン。
        知性と才気にあふれるエリザベス・ベネットは、大地主で美男子で頭脳抜群のダーシーと知り合う。

        恋愛小説のおすすめとして、chaoさんからご紹介頂きました。
        上下巻ですが続きが気になって気になって、すぐに読み終えてしまいました。
        とてもおもしろかったです。
        本作に夢中になっていた頃、仕事もプライベートも忙しさのピークだったのですが、何とか読む時間を工面していました。
        chaoさんどうもありがとうございます!

        キャラクターが個性的。
        エリザベスとダーシー以外、ちょっと困った人ばかりです。
        父のベネット氏はことなかれ主義だし、ベネット夫人は希望的観測を、いい気になって周りにまくしたてている。
        姉のジェインはとても優しいのですが、世間知らずだと思いました。
        あとコリンズ氏。
        この人何なんだろう。笑
        コリンズ氏の何を言われてもへこたれないプロポーズと、本気で嫌がっているエリザベスの場面が最高におもしろかったです。
        自惚れが強すぎる・・・。

        -と個性豊かなキャラクターたちに圧倒され、ダーシー氏からの手紙の続きが気になって、すぐに下巻を読み始めました。
        ちゃんとした感想は下巻にて。
        >> 続きを読む

        2017/04/07 by あすか

      • コメント 6件
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      論語と算盤 現代語訳

      渋沢栄一 , 守屋淳2010/02

      カテゴリー:企業、経営
      3.3
      いいね!
      • いつかは読みたいと思っていた本だ。実業に関する渋沢氏の志の高さがヒシヒシと伝わってくる。自分自身に照らしてみると恥ずかしく思うことばかりであらためて修行し直そうと思った次第。氏が若者のことを憂いている件は明治時代だが、現代も変わらないなと思うと時代はそう変わらないのかもしれない。一読をおすすめする。 >> 続きを読む

        2018/05/26 by KameiKoji

    • 他2人がレビュー登録、 8人が本棚登録しています
      戦争における「人殺し」の心理学

      GrossmanDave. , 安原和見2004/05

      カテゴリー:戦争、戦略、戦術
      4.0
      いいね!
      • ベトナム戦争のあと、PTSDになった
        兵士が大量にいたということは未だに
        知られていないことかもしれない。
        しかし戦争をしていた日本においても
        当時の大義名分があったはずであり
        今でいうならば「心身喪失」の状態で
        あったかもしれない。
        そうした視座によってアメリカ陸軍は
        こうしたテキストを残したのかもしれず
        実際に兵士として考えるときに
        生じる

        ──自分は人を殺してもいいのか?──

        というひとつの答えにはなっている。
        この本を書いた筆者自身が軍人であり
        心理学者であったので安価でこうした本を
        読むことができるのは良いと思う。
        ぜひ一読し、文献などを狩猟すべしと思う。
        >> 続きを読む

        2013/10/28 by frock05

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