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乾くるみ (2004/03)
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大学の代打合コンで、運命的な出逢いを果たす僕とマユ。同じ時を過ごし、次第に惹かれ合う二人だったが、僕が東京勤務を命じられた事から、長距離の心と心がすれ違う物語。それは、どれだけ苦くても誰もが通過儀礼する恋。恋愛をすると盲目になると言う。気付くべきサインを取り逃してしまったり、片や相手を想った行動が裏目に出てしまったり。恋のロマンスとは時として、極めてビターな結末を迎えて、僕らに学ばせる。どんなに素晴らしい愛も永遠には続かない。その刹那の中で、何度も失敗するが、そんな失敗は誰しもが経験する物なのだ。 >> 続きを読む
2021/01/30 by ebishi
三津田信三 (2009/12)
三津田信三の刀城言耶シリーズの一編「水魑の如き沈むもの」を読了。奈良の山奥・波美盆地に、深通川に沿って開けた四つの村では、各村の神社が「水魑様」と呼ばれる水神を祀り、共同で水利を司ってきた。渇水時に行われる雨乞いの儀式では、水魑様が棲むといわれる深通川の源流・沈深湖に舟を浮かべ、歌舞と神饌・供物を捧げるが、これまでに、しばしば神職が不審な死を遂げ、あるいは姿を消してきたという。今回儀式を執り行なう水使神社には、敷地内に「一つ目蔵」と呼ばれる用途不明の土蔵があり、中に何かがいると噂されている。さらに、宮司の龍璽は、血のつながらない孫娘・鶴子に何らかの邪悪な意図を抱いているとみられていた-------。この作品は、刀城言耶シリーズ中でも、特に超自然色が強いと思う。衆人環視の湖上での死と、神職の連続殺人には、モティーフとしてはもちろん、動機などにも水魑信仰が深く絡んでいる。さらには、神々櫛の憑き物筋の血を引く、母子の能力や二重三重の呪術装置のおぞましさなど、単に信仰上にとどまらず、実際に水魑が存在するものとしての展開は、伝奇ホラーの領域であり、ミステリの部分と分かちがたく融合することで、いつも以上に特異な世界観を作り上げていると思う。 >> 続きを読む
2018/07/22 by dreamer
一田和樹 (2011/04)
サイバー空間での駆け引きが一件落着しこれで終わりかと思いきや、そこからパズルがはまりだしてストーリーが加速しだし、それすらも犯人の掌の上であったという、ビックリするような復讐劇が繰り広げられていました。サイバーものというふわっとした情報で手に取り読み始めましたが、気がつけば全く違うジャンルの作品を読了していました。「復讐劇」をより深く理解するためにも、エピローグを読むことは欠かせません。 >> 続きを読む
2015/09/15 by Mossan
芦辺拓 (2001/11)
193X年、欧州。アマチュア名探偵レジナルド・ナイジェルソープが招かれたアンデルナット城には、秘密めいた自動人形が鎮座し、怪しげな人々が群れ集っていた。やがて、そこで起こる奇怪な殺人は、歴史ある由緒正しき古城の名を、"グラン・ギニョール城"と名を変えたのだった。そして、時代は現代へ。列車の中で探偵の森江春策に「グラン・ギニョール城の謎を解いて」と言い残して、男は死んだ。作者不明・未完の探偵小説に没入していく森江は、謎の声に誘われ、山頂に建つ本物の"グラン・ギニョール城"へ-------。黄金期の欧米の本格ミステリを、現代の日本において"新作"として書き上げる、挑戦者・芦辺拓の新たな試みは、この作家ならではのメタ的展開となっていると思う。"現実"と"幻想"が、目まぐるしく入れ替わって、入れ子のように喰い合うのではなく、まず"幻想"にじっくりと没入させ、やがて、その"幻想"がじわじわと"現実"に浸み出してくる。森江春策が味わう眩暈のごとき感覚は、我々ミステリ好きが求めてやまない本格ミステリの醍醐味なのだ。しかも、作中作と現実の謎を、あくまで自立させて解決する律義さがまた、たまりませんね。 >> 続きを読む
2018/11/30 by dreamer
歌野晶午 (2004/02)
エチオピア人ランナーのジェシカは長距離の有望株。高地での合宿に望んでいるが、そこには日本人ランナーのアユムと、日本人コーチの存在が。タイトル通りに7年前と7年後のジェシカが描かれる。歌野さんの本にしては随分とストレートだなと読んでいたが、終盤にあれ?と思わせる一文が。それによって隠されていた秘密が明らかになる。ただしアンフェアすれすれの題材なのは間違いない。そもそもこのトリックはある知識を持っていないと予測しようがない領域になる。世界が反転するだとかそこまで大仕掛けではないが、読んでいて感じる違和感は間違いではなかった。 >> 続きを読む
2018/03/05 by オーウェン
愛川晶 (2007/08)
落語家・寿笑亭福の助と女房の亮子、そして旦那の師匠である山桜亭馬春と三人が次起こる謎を解いていく・・・・本格落語ミステリー、これどっかで聞いたことありませんか。まるで、田中啓文さんの笑酔亭梅寿謎解噺の江戸版である。噺は、いたって落語の内容については深く、事件を解決するミステリーにはなっているが作者が、述べたいのは落語に対するあらゆる思いと、うん蓄の数々である。例えば、「壺算」の題名。水瓶を買ったなら、なぜ「瓶算」にならないのかと。土地の広さを見誤る「つぼざんよう」、そのツボは、一坪、二坪の「坪」・・・本来は「坪算用」で、「勘違い」というような意味だった。それが壺の代金をごまかす落語の題名に転用され、「壺算」になったのだと。「氷点」と「笑点」のように、シャレであること自体が忘れ去られてしまった、など。えぇというぐらい、おもしろいハナシが、あちらこちらで見あたる。この本では「道具屋」、「らくだ」、「勘定板」の三つに関わるはなしがすすむ。今読んでる二冊目は、「野ざらし」、「芝浜」、「試し酒」、これも近日読了。落語ファンには、肩の凝らないシリーズ発見でおます。(まあ、私が知らなかっただけみたいですが・・・・) >> 続きを読む
2013/06/17 by ごまめ
HerzRachel , 綾部早穂 , 安納令奈 (2012/10)
あなたはなぜ「嫌悪感」をいだくのか。レイチェル・ハーツ先生の著書。誰も感じることのある生理的な嫌悪感が生まれる背景やそのような嫌悪感をコントロールする方法について学べます。好き嫌いの感情や嫌悪感を持つこと、持たれることは人間として自然なこと、そう思うと気が楽になります。 >> 続きを読む
2018/09/28 by 香菜子
三津田信三 (2012/04)
三津田信三の刀城言耶シリーズの中の1作「幽女の如き怨むもの」を読み終えましたが、とても素晴らしい出来栄えだと思う。戦前、戦中、戦後という三つの時代に、三軒の遊郭で、同じ「緋桜」の名を持つ花魁が身を投げた。「三」という数字が付きまとう不思議な事態ではあるが、この作品で起きる事件は、ただこれだけなのだ。このシリーズが従前扱ってきた、密室などの不可能犯罪というはっきりしている謎は存在しない。真相もまた、確固としては打ち出されず、探偵役の刀城言耶が、真相と思われるものを、おずおずと提示するだけだ。しかし、ではつまらないのかというと、そんなことは全くない。まず、当時の遊郭の描写が実に艶やかなんですね。遊郭の特殊性や閉鎖性、そして、遊女たちの生き様が、我々読者の眼前に鮮やかに立ちのぼる。しかも、そこに戦争を挟み、閉じられていたはずの遊郭にも時代の影が及ぶ様を、的確に描いていると思う。このように、この作品は一篇の遊郭小説として見事な出来を示しているが、それゆえに、事件の真相の曖昧さが、絶妙な余韻に繋がっている点には注意が必要だ。伏線は、非常に綿密に計算されて配置されており、やろうと思えば、より画然とした真相を提示出来たはずだ。しかし、著者は敢えてこれを避け、悠々たる余韻と余情を優先したのだと思う。小説作りとしてはこれで正解だし、逆に考えると、本格ミステリとしては実験的かつ意欲的な試みであると言ってもいいだろうと思いますね。 >> 続きを読む
2019/01/11 by dreamer
山本史郎 , J・R・R・トールキン (1997/10)
「指輪物語」(「ロード・オブ・ザ・リング」のタイトルで三部作からなる映画にもなっている)の前日譚。本作自体も「ホビット」というタイトルで三部作からなる映画になる。(2013年4月時点では、その第一部のみ公開されている)「指輪物語」の知識は特に必要ないが、本作品と「指輪物語」に共通する設定があるので、それを知っておくと、さらに楽しめる。(勿論、知らなくても十分、楽しめる。)ちなみに「指輪物語」の中でも、本書で描かれた冒険のさわりだけは語られるので、両作品とも独立した作品として読む事ができる。主人公はホビット族のビルボ・バギンズ(ちなみに「指輪物語」の主人公、フロド・バギンズは彼の養子)ある日、ホビット庄に魔法使いガンダルフがやってくる。ガンダルフは、ビルボの母親のことはよく知っていたが、ビルボとは、少し話したことがある、という程度の知り合い。そのガンダルフと話をしていると、キナ臭い冒険の匂いに気が付く。そこで、ビルボは急いで話を切り上げて、ガンダルフと別れるが、翌日、ビルボの家に13人のドワーフが押しかけてくる。最後にはガンダルフまで登場。訳も分からずガンダルフやドワーフ達をもてなすことになってしまったビルボ。ドワーフ達は、なんと「邪竜スモーグに奪われた故郷と、そこにある財宝を取り戻す計画」を話しているではないか!ガンダルフはビルボの意向を全く聞かず、勝手にドワーフ達の冒険の同行者に指名してしまったのだ。しかも、ビルボは冒険とは全く縁のない生活をしていたのに、ドワーフ達には「その道のスペシャリスト」などと吹き込んでいる。これ以上ないほどの「ムチャ振り」ビルボの母親の家系には、時折、冒険に出て行ってしまう者もいた、という話はあるが、ガンダルフがビルボの何を見込んだのかは謎。強いて言えば、魔法使い独特の「勘」だろうか。当然と言うべきか、序盤はビルボには全くいい所がない。「指輪物語」で中心となるアイテム、冥王サウロンの「一つの指輪」を手に入れるくだりが唯一の見せ場と言ってもよい。(本作の中では「一つの指輪」は単に「つけると姿を消すことのできる魔法の指輪」としか扱われない)「ムチャ振り」をしたガンダルフは、通行するのに一番、危険な場所を目の前にして、「他に大事な用事がある」と言って、一行と別れてしまう。ビルボの活躍が始まるのは、ここから。魔法の指輪、という切り札を持っていたというのもあるが、「開き直り」もあったのかもしれない。「指輪物語」がシリアスな感じであったが、本作は、どこかのんびりした印象を受ける。本書の中には、様々な国で出版された際の挿絵が数多く掲載されているが、その絵柄が妙に明るい感じ(子供向けのためか?)になっているせいかもしれない。だが、全編「幼稚」という訳ではなく、現実社会でも起こりそうなシーンもいくつかあった。例えば、邪竜スモーグが死んだ後、途端に、その「遺産」をめぐる争いがおきたり、そんな状態で、にらみ合っていたのに「共通の敵」が現れた瞬間、団結したり・・・。これだけではないが、所々でオブラートに包んではいるが、「人間の醜さ」を風刺していたのかもしれない。一番、印象的だったのは、ビルボが冒険を終えて、故郷ホビット庄の自宅に帰ってきた後のこと。結局、ビルボは「元の生活」には戻れなくなってしまっていたのだ。表面上は「元の生活」に戻れたように見えるが、冒険がビルボの中の「何か」を決定的に変えてしまったらしい。そして、それは周囲のホビット族の者もなんとなく感じているようで、以前と同じように付き合っているように見えて、どこか疎遠。冒険のおかげで、ドワーフやエルフ、魔法使いに自分の名が知れ渡るほどの「名誉」を得たが、その代わり、身近だった者たちとの「溝」ができてしまったのだ。果たしてビルボにとって、「冒険」に出た事は、良かった事なのだろうか・・・。ちなみに「指輪物語」でも、ラスト、主人公フロドは比類ない「名誉」を得るが、その代償として、旅の途中で受けた傷は「癒えることのない傷」となって、フロドをじわじわと苦しめる。両作品の最後が似たような感じなのは、狙ってのことだろうか。おそらく、意図的に、そうしているのだと思う。 >> 続きを読む
2013/04/27 by Tucker
柄刀一 (2000/11)
シャーロキアンたちが集まるイベントで起きた連続殺人事件。密室なのに落下したような形跡が見られる死体や、周りに食べ物が置かれているのに餓死など、不可能的な謎にシャーロキアンたちが挑む。ホームズにインスパイアしているのはタイトルでも分かる。マスグレイヴ家の儀式から取った中身でもあり、それに準えたようなトリックまで。暗号やら事件の経緯を検証する中で、なぜという足跡のトリックはなるほどと納得させるし、意外な犯人まで。なぜ離島なのかという意味も含めてよく出来ている。ただ最後には脱力させるようなオチが付いている。そのために日本人が出てたのね。 >> 続きを読む
2018/10/14 by オーウェン
SutcliffRosemary , 山本史郎 (2001/02)
【私は色々と誤解しておりました (・・;)】 本作は、サトクリフのオリジナルによるアーサー王物語です。 アーサー王伝説は、相当昔に『中世騎士物語』/トマス・ブルフィンチで読んだことがあるのですが、あれは確か物語という感じではなく、伝説にまつわる色々なエピソードを紹介するというものだったと記憶しています。 本作は、どこまでがサトクリフのオリジナルなのかはよく分からないところもあるのですが、私、色々な点で記憶違いをしていたところがあったようです。 読みながら、「えー!! そうだったっけ?」という点がいくつもありました。 アーサー王伝説自体は非常に有名で、皆さんもご存知だと思いますので、詳しい粗筋をご紹介することに代えて、私が誤解していた点をいくつか挙げてみたいと思います。〇 アーサー王が岩から引き抜いた剣はエクスカリバーではなかった アーサー王伝説の有名なシーンの一つに、若きアーサーが岩に突き刺さった剣を抜き、これによって王たる地位を得るというエピソードがあります。 本件では、剣が突き刺さっているのは岩ではなく、大理石の台座とその上に乗っている金床であり、剣はその両方を貫いているということになっています(何だかそういうのも読んだか何かの挿絵で見たような記憶もあるので、そうだったのかもしれません)。 私、この引き抜いた剣こそがエクスカリバーだとばかり思い込んでいたのですが、そうではなかったんですね。〇 エクスカリバーは湖で与えられる では、聖剣エクスカリバーはどうやってアーサーに与えられたかというと、魔法使いのニムエの導きにより、湖から突き出した腕から与えられるのでした。 そう言えば、何だか湖から剣を握った腕が突き出しているシーンっておぼろげな記憶もあるのですが……(ビアズリーかラッカムか、その辺りの絵に無かったっけ?)。〇 エクスカリバーは鞘に魔力がある そうだったのか! もちろん剣も聖剣なのですけれど、鞘にも魔力があり、この鞘を身につけていると斬られても一滴の血も流れないのだそうですよ。 でも、本作では妖姫モルガンの奸計により、アーサーは鞘を失ってしまうのです。 その後、アーサーがエクスカリバーを入れている鞘はオリジナルのものではなく、魔力の無い作り直した鞘ということになっています。〇 円卓は150人の騎士が座れるものだった そんなにでっかかったのかい! 私のイメージでは、アーサー王の枢要な騎士数名のみが座れる程度の普通サイズだと思っていたのですが、何と150人もの騎士が座れるとは! それにしてもどんだけでっかい円卓なんだ!〇 湖の騎士ランスロットは醜男だった え゛~!! 私のイメージでは眉目秀麗な華麗なイケメン騎士という感じだったのですが、本作では醜男だと描かれています。 なんかイメージ崩れちゃうなぁ。〇 ランスロットは、以前の名前をガラハッドといった あれ? そうだったっけ? ガラハッドというのは別の円卓の騎士だとばかり思っていたのだけれど……。 ランスロットの旧名だったの? ……分かりました。 その後のエピソードに出てくるのですが、魔法にかけられたランスロットとエレイン姫の間にもうけられた子供にガラハッドの名前が与えられるのですね。 本書は、ブリテン王となったアーサーと円卓の騎士たちの様々な冒険物語が語られます。 そして、最後は、パーシヴァルが円卓の騎士となるところで終わります。 いえ、ご存知の通り、アーサー王伝説はこれで終わりではありません。 本書の最後でもほのめかされている通り、この後、あの聖杯サーガが始まるのですよ(サトクリフも三部作で最後の戦いまで書いています)。読了時間メーター□□□ 普通(1~2日あれば読める) >> 続きを読む
2020/12/12 by ef177
柳広司 (2001/02)
「ジョーカー・ゲーム」で大ファンになった柳広司の長編第一作「黄金の灰」を読了。ハインリッヒ・シュリーマンといえば、伝説の都トロイアを発見した人物として有名だが、この作品は、トロイア発見の際に殺人事件が起きていたという設定のもとに展開される、不思議な歴史ミステリだ。1873年5月、トルコのヒッサルリクの丘で、シュリーマン率いる調査隊は、伝説の「プリアモスの黄金」をついに発掘した。しかし、その直後、不審火とともに黄金は盗まれ、発掘現場では司祭の惨死体が発見される。司祭が、黄金を盗もうとして事故死を遂げたかに思えたが、今度は教会で毒殺事件が起きた。現場は、密室状態で被害者が遺したダイイング・メッセージは「猿」だった。果たして、犯人はいったい誰なのか? そしてその目的は何なのだろうか?-------。アガサ・クリスティーの作品を連想させる遺跡発掘現場という舞台で、前半は正統派の本格ミステリとしての興味で、我々読む者をぐいぐい引っ張っていく。登場人物が互いを犯人だと告発し合う、中盤の推理合戦においてそれは頂点に達するが、そこから後は、シュリーマン自身や、語り手である彼の妻のアイデンティティが、思いがけない角度から問い直され、次第に不条理な様相を呈してゆく。トルコという西洋と東洋の蝶番に当たる地で、古代と現代、政治と宗教、現世の欲望と形而上的情熱が互いに切り結んで、余すところがない。この物語が問いかけているのは、世界という混沌を、人間はいかにして論理で把握しようとするかという問題なのであり、各登場人物の世界の解釈方法が謎とその解決を構成していると思う。しかし、小賢しい人間の思惑を嗤うかの如く、いかなる解釈をも拒む「神秘」が一瞬だけ現われて、事件は閉幕する。 >> 続きを読む
2018/10/29 by dreamer
霞流一 (2003/01)
霞さんのバカミスの一つ。動物シリーズ。今作は亀に特化しているが、亀以上に映画がクローズアップされている。撮影所が舞台だし、各区切りに映画のタイトルをつける懲りよう。亀の甲羅にまたがる死体だったり、鼈甲が近くに置かれていたり。また現場から逃げ去る全力疾走の老人など、謎の提示がいかにもバカミス。犯人解決には一味練られていて、論理仕立てで明かしていく手法は納得させる。 >> 続きを読む
2019/01/18 by オーウェン
山本史郎 , J・R・R・トールキン (2003/02)
「指輪物語」のトールキンによる古語で著わされた伝承物語の現代英語訳の日本語訳です。源氏物語を谷崎訳で読むようなもの?でしょうかね。アーサー王にまつわるエピソードはいろいろな文学や映画に当たり前に登場してきますね。いわゆる教養系のものでは全然なくても。「ミニオンズ」の「キング・ボォォォォブ!!」のネタも、「ナイト・ミュージアム3」のヒュー・ジャックマンのアーサー王のカメオ出演も、あげればきりがないでしょう。カズオ・イシグロの「忘れられた巨人」に登場する「サー・ガウェイン」という騎士についてあまりにも無知であったため、読むのを中断し、これをまず読んでみることにしました。本作一作だけ読んでも大したことはわかりませんが、いろいろな意味で意義がありました。でも私が抱いた「忘れられた巨人」のサー・ガウェインへの違和感がますます大きくなってしまったことも確かです。┐(´-`)┌ さて、それはさておき、本書は日本語訳なので、トールキンが訳した古語の翻訳の見事さはうかがい知れませんが、中世(14世紀ごろ)の英国の文化や慣習や価値観を想像するに大いに参考になる貴重な書物かと思います。日本に出ている一般書でそんな書籍はほとんどないと思うので。しかもこの本はすごく簡単に読めちゃいます。トールキンの考えではチョーサーが中世英国の騎士道の世界を知る唯一の手掛かりというのではあまりに貧弱だということのようです。どうやら英国では「作者」が誰かということに伝統的に重きを置かない傾向があったようです。物語の国では物語ること、つまり多くの人々による「伝承」を大切にしてきたのでしょう。シェイクスピア作品が英文学研究の分野において必須なのは、それ以前の文学が作者不詳になってしまっていてそもそも研究できないという事情もあったのかもしれません。(ストーリー)アーサー王と円卓の騎士やその家族と家臣たちが集うクリスマスの祝いの席に、全身が緑色の巨漢の騎士が乱入した。争いではなく友好を求めに来たと言いながらも、緑の騎士は宴席の騎士に向かって恐ろしい挑戦を突きつける。「勇気がある者は、わが首をこの斧で一撃のもとに打ち落としてみるがよい。ただし、王様が、その者へのお返しの一撃を拙者にお与えくださるならばの話だが……」大斧でまず自分へ渾身の一撃を加えよ。そして1年と1日後、同じ一撃を自分がその者にお返ししよう。受けて立つ勇者はいないのか?という訳です。アーサー王に対するこの挑戦に受けて立ったのは甥である若き騎士、サー・ガウェインでした緑の騎士の差し出す首に一太刀浴びせるとその首は胴体を離れながらもなお死せず、ガウェインに言い渡します。お前が恥知らずの卑怯者でないというのなら、1年後に必ず自分を探し出し、自分の反撃の一太刀を受けに来るのだぞ。と。やがて時が満ち、その約束を守るために、自分の死を覚悟しつつ、ガウィエンは緑の騎士を求めて旅に出るのでした。おぉぉ。なんだかわからないけれど、ロマンですねぇ~。この後に高潔な彼への大いなる試練が待ち受けているのですが…おいおい。これって図書館ではYAだったんですけどもぉ~~。な色仕掛けで誘惑シーンなんかも出てきますので、お楽しみに…じゃなくご用心を。(笑)確かにこのエピソードには英国人気質っていうのが現れているように思えますね。それと、この表紙絵の緑の騎士はちょっと野獣みたいですがこれはちょっと違います。猛々しくも巨大で全身(顔も髪も)緑色にも拘わらず「美しい男」とされています。着衣も豪華で長い髪も肩を覆う長さで切り揃えられているとありました。サー・ガウェインも若く美しくて謙虚で誠実で勇敢で愛情深く正直で礼儀正しい青年紳士ときています。円卓の騎士の中でも人気があるということですが、こういう人だったのですね。これぞ騎士道の鏡!私はランスロットしか知らなかったわ~(^^;)本作にはほか3篇の詩と物語と歌が収められています。真珠(パール) キリスト教の世界観を幼い愛娘を亡くした父の悲しみの姿を通して描く長編詩サー・オルフェオ ギリシア神話のオルフェウスの英国版リメイク作品 英国人がギリシア、ローマの文化の末裔であったことを信じ、誇りにしたいのかな?ガウェインの別れの歌 愛のこもった美しい惜別の歌 元々ガウェインの歌ではなく、トールキンが仕上げたものらしいです真珠(パール)にもいろいろ思うことはありますが、超長くなるので諦めます。どなたかお読みになってレビューしてください。<(_ _)> >> 続きを読む
2017/11/16 by 月うさぎ
大出健 , GuillyRosemary Ellen (2006/01)
これはすごい。聖書や、聖書外典・偽典、タルムードやカバラなどに出てくる、さまざまな天使について、実に明晰にわかりやすく解説してある。聴いたこともない名前の天使もいっぱい載っていて、ユダヤ教やキリスト教の天使に関する文献も知らないのがいっぱいあるなぁと感心。とてもしっかりした内容で、天使に限らず、カバラやユダヤ教に興味がある人にもためになる内容だと思う。 >> 続きを読む
2013/07/28 by atsushi
島田荘司 (2006/06)
幾つかの人魚のお話アンデルセンに出てくるねけど夢物語でなくいまにも朝日を浴びて海の泡に消えてしまいそうな世界に見捨てられたような人たち悲しさでは計れない命の重みを感じる >> 続きを読む
2019/11/26 by kotori
中山庸子 (2008/03)
読書の時間が何より大切な私は、夜中にずっと読み続けて朝を迎えることもしばしば。早起きは得意でも苦手でもないが、早起きして朝、有意義な時間を過ごすのはいいなと思う。ノートを書くかどうかはともかく、もう少し朝方生活にしてみようかな。たしかにドタバタした朝から始まった1日はあまり良くないきがするし・・・特に新しいことが書かれているわけでもないが、シンプルで早起きしたくなる本です。 >> 続きを読む
2013/12/03 by mahalo
愛川晶 (2008/04)
前回読んだ、「道具屋殺人事件」に続いての第二弾。自分たちの周りで起こる事件を、二つ目落語家の寿笑亭福の助と妻の亮子が、師匠の馬春に相談し、提示されたヒントで、落語を改作し高座で演じると、事件が解決・・・・すべてこのパターン。でも、この本では「野ざらし」、「芝浜」、「試し酒」の三席が題材になっているが私にとって、一番おもしろいのは「芝浜」作者は、上辺こそさりげなく装っているものの、中身は作者が考える本格推理の理想形というが、私には、深く中身を掘り下げてくれるて落語の噺そのもの、どんな落語本より楽しい。落語家の舞台裏なんぞ、師匠と弟子,落語家とその家族、何気ない日常が覗くことができたようでおもしろい。落語大好きファンは早速、読むべきですな。あと「うまや怪談」、「三題噺 示現流幽霊」とあと二冊、出版されているようなので、早速探さなければ・・・。 >> 続きを読む
二階堂黎人 , 加賀美雅之 , 大山誠一郎 , 石持浅海 (2009/06)
二階堂黎人が不可能犯罪をテーマに、6人の気鋭の作家に中編を書かせたアンソロジー。その中から個人的に気に入っている作品を。「佳也子の屋根に雪ふりつむ」雪山に足跡というトリックをいかにして逆転させるのか。トリックは予想できるが、意外な犯人は驚く。「父親はだれ?」表題通り、過去の事件とラストの落としどころが見所。「ドロッピング・ゲーム」異世界を舞台に学生の転落死の謎を解き明かす。この異世界でなければ起こりようがない動機がポイント。 >> 続きを読む
2018/01/20 by オーウェン
KleypasLisa. , 古川奈々子 (2007/05)
「春の雨にぬれても」壁の花シリーズ最終巻。胸が温かくなりますな~http://youyou-bookmovie.blog.so-net.ne.jp/2015-03-05 >> 続きを読む
2015/04/28 by youmisa
【(株)原書房】(ハラシヨボウ) | 読書ログ - 読書ファンが集まる読書レビューサイト(出版社,発行所)
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