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(株)毎日新聞社 (マイニチシンブンシヤ)

企業情報
企業名:毎日新聞社
まいにちしんぶんしや
マイニチシンブンシヤ
コード:620
URL: (株)毎日新聞社 http://www.mainichi-shuppan.com
      横道世之介

      吉田修一2009/09

      カテゴリー:小説、物語
      3.9
      いいね!
      • 読み終わって、自分のトホホな大学生活の日常を思い出した。恥ずかしかったことばかりなのに、なぜか大切な思い出になっていた。決して美化ではなく、しょんない(しょうがない)ことそのものが愛しいと思えるのだ。お互いを高めあう友人もいいけど、主人公のように例えば、ダサい恰好や裸足でサンダル履きでも気軽に会える奴ってのもうれしい。大学時代の友人に会いたくなった。 >> 続きを読む

        2020/01/12 by かんぞ~

    • 他6人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      手紙

      東野圭吾2003/03

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 兄弟二人きりの家族。
        勉強が苦手だったため、進学せず働き、無理がたたって身体を壊してしまい生活するのもカツカツな兄が、母が生前願っていたように、弟には大学に行ってほしいとの思いが強すぎ、大学への資金を得るために強盗に入り、家主と遭遇し誤って殺してしまいます。

        弟は、兄が重罪を犯してしまったことにより、人生が一変します。周囲の人たちの態度が一変してしまうのです。
        周囲の人たちの関わりたくない、面倒なことに巻き込まれたくない、という思いは大抵の人たちが持つであろう感情でしょう。
        当然、弟は進学するどころの話ではなくなってしまい、働く道を選ぶのですが、兄の存在が分かるのではないか、とビクビクしながら生活しています。その後、通信制の大学へ通うことが叶い、さらに全日制の大学への編入が叶いますが、その後も兄の存在が分かるたびに、色々なチャンスが奪われていくのです。

        「強盗殺人」で重い刑に服することになった兄は、弟に毎月手紙を書くのです。
        兄は弟のことが心配で、生活が気になっていますが、手紙を受け取るたびに弟は重い気持ちになります。
        そしてその手紙が原因でさらに弟のチャンスが奪われていくのです。
        兄には家族に受刑者がいることで、その後ずっと家族に悪い方向に波及する問題を分かっていません。
        何とも歯がゆくやるせない気持ちになります。
        これは小説の中での話ではありますが、実際のところ、現実世界でもきっと同じようなものなのでしょう。
        加害者家族に差し伸べてくれる手など、ほぼ存在しないに等しいのかも知れません。
        ようやく就職した先の社長が弟に言った言葉が何とも奥が深く、ここまでのことを面と向かって言ってくれる人はなかなか居ないでしょう。
        兄を恨みながらも、事件のきっかけが例え道を外れていても、自分(弟)のためだったという事実が心を大きく揺り動かし悩む姿に何とも言えない気持ちになりました。

        やはり著者の作品である『人魚の眠る家』のような、とても重いテーマの話だと思いました。
        >> 続きを読む

        2019/07/20 by taiaka45

    • 他2人がレビュー登録、 15人が本棚登録しています
      チョコレートコスモス

      恩田陸2006/02

      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 「ガラスの仮面」の北島マヤを思い出す。

        演劇を始めたばかりの佐々木飛鳥は、自分の天才的な才能を全く自覚していない。

        自意識や野心というものが全くない。
        ただ舞台の奥にあるものを見てみたいだけ。

        特になんの才能ももっていない私だが、飛鳥の演技(演出)にワクワクどきどき。

        演劇界の裏?中?の様子も興味深かった。 

        あっという間に読めた。 

        面白かった。
        >> 続きを読む

        2013/01/15 by バカボン

      • コメント 3件
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      パラドックス13

      東野圭吾2009/03

      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね!
      • SF?

        2016/06/22 by ゆ♪うこ

    • 他2人がレビュー登録、 22人が本棚登録しています
      ひそやかな花園

      角田光代2010/06

      カテゴリー:小説、物語
      4.2
      いいね! Tukiwami

      • 開けたいのに、押せない扉。すくんで昇れない階段。
        誰の心の中にも、ひっそりとなりを潜める暗闇の入り口があるものだ。

        見えないふりをしていても、一方で、暗闇は増長して光を塞いでしまうこともある。
        もしそうなったら、いよいよ扉に指をかけるほかない。
        身が震えても、自分自身で-------。

        角田光代の「ひそやかな花園」を読み終えて、しばし、そんなとりとめのない想念に思いをめぐらせてしまった。

        「花園」は、そのような暗闇の化身でもあろうか。
        数奇な運命を持つ七人の男女が隘路に嵌りながら希求する「花園」の場所は、父や母、家族の記憶を伴って心の最深部にある。

        「八日目の蟬」「森に眠る魚」を経て、家族をテーマに据えた角田光代の小説世界は、いっそうの確かさを見せて圧倒的だ。

        社会性のある事件や題材を扱い、言葉によって血肉を与えながら現代に寄り添う。
        その上で、心の闇も光も入念に照らし出して世界を提示するさまに、角田光代という作家の核になる本質を見る思いがする。

        七人の男女は、かつて夏の数年間、ともに別荘に集まって過ごした子供たち。
        しかし、1990年、親たちによって例年の習慣は、突然断たれてしまう。

        別天地での甘やかな記憶を共有したまま、七人は引き離され、それぞれの家庭の状況を背負って成長していった後、考え始める。
        あの夏の日々、「花園」に隠された秘密はなんだったのか、と。

        「家族とはなにか?」という問いをたずさえ、絆を手繰って再会を果たす七人の行動と複雑な心理が、七つの視点、三人称の手法で描き出される。

        そして、胸を打つのは、"自己との邂逅"を果たしてゆく七人の関係だけではない。
        私が強く衝撃を受けたのは、小説世界が展開するにつれ、角田光代自身が言葉によって聖なる力を手もとに引き寄せる、その姿だ。

        言葉を信じて新たな扉を開き、言葉を手だてに根源に迫り、言葉とともに聖地へと書き進む、その強いリアリティー。

        人間は存在しているだけで、すでに世界に祝福されている。
        たとえ家族でなくても、家族として結び合える。

        この"生の全肯定"とも言うべき聖なる光を、角田光代は「花園」にあまねく注いでみせたのだと思う。

        >> 続きを読む

        2019/01/22 by dreamer

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      海と月の迷路

      大沢在昌2013/09

      カテゴリー:小説、物語
      3.5
      いいね! ooitee
      • 昭和34年炭鉱だけで繋いでいた軍艦島。
        そこに赴任してきた警官の荒巻は異様な力関係に疑問を覚える。
        そんな中で少女が失踪し溺死という形で死亡する。

        開かれているようで閉鎖的という特殊な環境下。
        先輩刑事も炭鉱者たちも、そして住民でさえも素直に協力しようとしない。

        荒巻はいかにして信任を勝ち得ていくのか。
        また犯人は誰なのかが見どころ。

        大沢さんらしいディールの細かさと、スケールの大きさが軍艦島を舞台にどっしりと描かれる。

        かなり長尺だが、スラスラ読めるほどのめり込ませる中身で面白かったです。
        >> 続きを読む

        2020/01/25 by オーウェン

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      毎月新聞

      佐藤雅彦2003/02

      カテゴリー:雑著
      5.0
      いいね!
      • 実は二冊目、8年前に文庫本で読んでおり確かその年のBEST10入りの本だったと思います。でも古本屋でB5版の大きなのを見つけるとやはり新聞というだけ大きいので読みたくなって購入。
        良かったですな、まずは内容的に八割忘れていることと、その時気になった箇所と今回の箇所が多少違っていること。それは仕事の面から見ているのと、日々の生活から見ているのとの違いか・・・。

        昔の本も良いもんでおます。
        学生時代に読んで、このブログにもあげてないのがまだ400冊はあるので、昔を懐かしんで読み返すのも良いかもしれませんな。

        でも、この本は、お薦めでおます。

        (追加、読み返して知ったんですが、“だんご三兄弟”の作詞、佐藤雅彦さんだったんですな)
        >> 続きを読む

        2021/03/25 by ごまめ

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      燃える闘魂

      稲盛和夫2013/09

      3.7
      いいね! momomeiai
      • 続いて珍しく仕事に関する本を紹介。

        年末、そして年初に何かしら仕事のヒントになればと買った本。

        稲盛和夫さんの本は、鈴木敏文さんのと共に私の仕事での愛読書でおますが。

        あの「日航の奇跡の再建」の後は、日本再生をと熱っぽく説く。

        そこには、いまこそ価値観の転換をはからなければ・・・・。
        量的な価値から、質的な価値への転換。
        高品質の製品とサービスを提供できる「高い付加価値」の創造が必要と。


        そして、何が何でもやり遂げるという「闘魂」をもった経営者の存在が不可欠である。

        また、利益を得るにしても人間としての正しい道を貫かねばならない。
        それは他者を思いやる「利他の心」、人間としての「仁」と「義」、すなわち「徳」である,と。

        まさに、「美しく高遇な心を羅針盤にして、激しい闘争心をもて。」と熱く語る。


        矛盾する様な提言だが、「京セラ」「KDDI」「日本航空」など
        経営の実践者だけに、重みのある言葉ですな・・・・。
        >> 続きを読む

        2013/12/04 by ごまめ

      • コメント 6件
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      女子漂流 = Girls Drift うさぎとしをんのないしょのはなし

      三浦しをん , 中村うさぎ2013/11

      5.0
      いいね!
      • 女子であるって生きづらい、できれば女子であることをやめてしまいたいのに、結局女子の王道を生きていても端っこをいきていても女子であることを根本的にやめられない、そんな毎日をしょうもないなと笑いながらも進んでいけるような1冊。三浦さんと中村さんの中間こじらせてる感じの自分には響くことが多かったかな。トリ軍団は初耳だったけどwww。女子であることにどこか恥ずかしさを感じるのに、やめる事もできない。そんなもどかしさの中で語られる二人の日常に共感できる部分が多かったり、初めて知る事も多かったり。何度も読み返す本になりそうです。 >> 続きを読む

        2018/12/31 by kaoru-yuzu

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      砂のクロニクル

      船戸与一1991/11

      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 船戸与一の第5回山本周五郎賞受賞作「砂のクロニクル」を読了。

        最初の200ページまでは、それぞれの章があまりにかけ離れた話で、全体の像を結ぶことができなかった。
        のっけから読者を食ったような緊迫した話で始まるのは、いつもの著者のことだが、序章を終えると、いきなり時代が推移し、関連のつけにくい物語が、ほとんど同時に進行を開始する。

        しかし、それが著者の手と言えば手なのだった。
        全ては、とあるクルドの町に向かって、ただただ収斂していくだけなのだから。
        また、その手腕はまさに神がかり的なのだから。

        作品全体を包むムードとしては、「伝説なき地」に似ているかもしれない。
        船戸作品に頻出する、土着民たち(ゲリラたち)の役は、今回はクルド人に当てられている。

        そして、多くの激情のシーンが生み出す多くの殺し。
        「伝説なき地」では、話がすぐに殺人に発展していこうとする臭さが、いやにしつこく感じられたのだが、この作品では、状況が歴史と深く噛み合っていることがよく伝わっているせいか、それほどでもなかったですね。

        無論、強引などんでん返しや、それと予想のつくトリック(裏切りと言ったほうがいいかもしれない)も仕掛けられているのだが、この畳みかけるような著者のプロットというのは、今に始まったことではない。
        また、それら錯綜した複数の物語が、一気に解かれていくひとときは、まさに読書の悦楽と言っていい。

        ハジ(巡礼者)と呼ばれる日本人が、二人の物語の進行に深く関わっている。
        一人は紛争の仕掛け人なのだが、もう一人は狂言回しと言うべきだろうか。
        なかなかの設定に感心させられる。

        そして、錯綜していたかに見えるプロットが、多くの登場人物を屍に変えながら、徐々に野太い一本の流れを形成していくところは、本当に船戸作品の醍醐味だと言えるだろう。

        一人一人のキャラクターは、いつもの如く灰汁が強くて、イラン・クルド、イラク・クルド、革命防衛隊員、フェダイン・ハルクの復讐者、元サバックの工作員、私利私欲に走る防衛隊の上級職、密告を生業とする富豪、ホメイニ打倒に燃えるゾロアスター教徒やアゼルバイジャン-----と、それぞれの極端な立場と極端な性格とが、弾けるようなストーリーを紡いでいく。

        著者が最も優しい視線を注いでいるのが、クルド・ゲリラであろう。
        悩める若き隊員の運命には、思わず目頭が熱くなってしまった。
        誰が生き残り、誰が死ぬのか? 
        そんな疑問を繰り返しながら、私は読み進めていった。

        生き残って欲しい人間と、生き残りはしないであろう人間が、なんとなく想像できた。
        その意味では、時には著者は鬼にもなったし、唯一、神アッラーの慈悲の全てにもなった。
        とにかく、私は感情を振り子のように揺さぶられた。

        そし、無常感の溢れる美しい終章は、本当に胸に響いた。
        世界とか歴史とかいったものを、こうした物語として伝える力は、生半可な作家には与えられていないと思う。

        必要最低限の文体でありながら、しかも、語り部としての天性の才能、溢れ出る言霊とでも言うべきものを、最後の最後まで感じさせられる。

        読み終えてみて、とても充実感を覚えた優れた作品であったと思う。
        紛れもなく、この作品は著者の代表作の一篇だろう。

        >> 続きを読む

        2022/04/14 by dreamer

    • 1人が本棚登録しています
      レディ・ジョ-カ-

      高村薫1997/12

      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!

      • 私のお気に入りの作家のうちのひとり、高村薫の「レディ・ジョーカー」(上・下巻)を読み終えました。

        実に小説を読む醍醐味に満ち溢れている作品だったと思います。
        長編小説であるにもかかわらず、長さを感じさせず、全編に渡って滑らかな疾走感を持って走り、なおかつ細部の一行一行にも作家の命がこもっている。

        市井の人々の内奥に熟していく行きどころのない膿と怨恨を、丹念に切り開いて目の当たりに見せていく手法は、いつもながらに見事な幕開けだ。

        この作品のストーリーの題材は、今だに誰の記憶にも新しいあの企業テロ事件からとられている。
        企業をターゲットにして、ビッグマネーを奪取する男たちに悪の意識は完璧にない。

        企業テロの進行は、必然的に日本経済の高度成長の構造をも暴いていってしまう。
        総会屋などのダークサイドとの"共同"なしには発展し得なかった日本の資本主義の現実。

        当然のことながら、そこに基盤をもって政官の支配システムも円滑に機能してきたと思う。
        企業テロは、そうした表裏の支配構造に亀裂を打ち込んでいく。

        犯罪を引き金として著者の高村薫の筆は、あたかも全体小説のように、複雑な社会の構成因子に迫っていく。
        そして、様々な階層に属する人物たちが、それぞれ運命の糸に操られるごとく物語の中で躍動している。
        それでいて、そこは我々がよく知っている世界の裏側にあるかのような、野蛮な恐ろしい場所なのだ。

        高村薫は、たんにベスト作を書いたにとどまらない。
        ここには、戦後の日本人の容易に明かされなかった自画像の数々があると思う。

        そして、この作品は戦後の日本という一つの時代に対する手厳しい総括になっていると思う。

        >> 続きを読む

        2018/04/18 by dreamer

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      ボクの町

      乃南アサ1998/09

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 町のお巡りさん(見習い)のお話。

        どこにでもいる今どきの普通の若者。というか、どちらかというと軽くて、ちょっと短気なお兄さん。人間的にはまだまだって感じ。だから、お巡りさん見習いになって、色々と不満に思いながらも少しずつ人生や世の中のことが見えるようになって・・・いく? 頑張れ~!高木!

        「いつか陽のあたる場所で」にゲスト出演していた高木新米巡査。

        公務員だからといって、理不尽な文句を言われても我慢しなくちゃいけないのか、みんな勝手なことばかり言いやがって・・・という君の言うことも分かる。でも、ちゃんと話の分かる人ばかりじゃないんだよね。だから、そこは自分が賢くなるしかないんだよ。自分が賢くなれば、なんてことないんだ。まあ、お互い様なんだよね。
        これから、いっぱい経験していいお巡りさんになってね。

        ・・・なんて、人生の先輩として、つい一言言ってあげたくなる。

        お巡りさんは大変な仕事です。給料の出所なんて関係ありません。
        みんな、大変なお仕事をされているんです。楽な仕事なんてありません。
        精一杯、でも気楽にやってください。
        ほんと、ご苦労様です。
        >> 続きを読む

        2013/03/22 by バカボン

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      香乱記

      宮城谷昌光2004/01

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 劉邦と項羽を始めとしたこの時代の騙し合い・殺し合いの酷さが田横の生き方をさらに際立たせることになる。それにしても人相見というのはホントにこんなにも未来を見ることが出来るのだろうか?話を面白くする存在以上の存在感を感じる。 >> 続きを読む

        2013/06/15 by freaks004

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      秘本三国志

      陳舜臣2004/02

      カテゴリー:小説、物語
      いいね!
      • 原典を調査したうえで新たな解釈のもとに構築されたユニークな三国志演義ものの小説。

        一般的な三国志演義をもとにフィクションにある「蜀」を中心とした三国志観を退け、主に「魏」の曹操に光を当ててその業績と能力を肯定的に評価した作品。物語は主に、五斗米道の教祖に拾われた陳潜という架空の人物の視点から描かれるが、後半に進むと陳潜ら五斗米道を中心とした物語の体裁は崩れていく。

        本作の見どころのひとつはほかの作品では英雄として扱われる蜀の義兄弟三人の描かれ方にある。普通なら漢の末裔である劉備を立てて世の腐敗に憤りを感じて桃園の誓いを交わすくだりが読み手を引き込む三人の出会いも、本作での彼らの関心はあくまで動乱の時代をいかに利用して成り上がり一旗揚げるかにかかっており、漢の末裔の看板もその真偽は疑わしく、彼らをあくまで戦乱をむしろ好機と喜ぶヤクザものの集まりと捉えている。

        張飛に関してはもともと腕は立つが乱暴もので短慮な性格であるとされている点に変わりはないが、終盤ではその暴力性についてはよりクローズアップされていて味方の気に入らない部下を惨殺して楽しむ極端なサディストとして表される。英雄であり序盤は劉備を助ける参謀としての役目を果たすはずの関羽も、本書では張飛に負けず劣らずの乱暴者であり、その性格は良く言えば剛直だが、悪く言えば柔軟な思考力に欠けており、人の心の機微を理解しないものであり、彼ら二人のありようは劉備をたびたび悩ませている。唯一、二人と違って他の作品よりある意味では高く評価されているのが劉備。一般的には義に厚く正義を重んじ信義を曲げない姿が多くの部下を惹きつけつつも、やや受け身な人物として、その能力が脚光を浴びる機会はなかったが、本作では前述の通り行動の基準はあくまで打算的なものである一方、単細胞のヤクザ集団にあって孔明と出会うまでは彼一人の才覚で情勢を判断しつつ組織を切り盛りする劉備の姿が描かれる。

        終盤には物語としての勢いが失われる感もあるが、蜀中心の三国志フィクションに懐疑的な方にはとくに一読をお薦めしたい、埋もれさせるには惜しい作品。蜀の三人がチンピラだったとする説は現実的な見方だと考えています。
        >> 続きを読む

        2020/07/24 by ikawaArise

    • 1人が本棚登録しています
      一瞬でいい

      唯川恵2007/07

      カテゴリー:小説、物語
      4.5
      いいね!
      • 一瞬
        出来事



        読み応えのある、毎日の出来事を考えさせられる本に出会えました。
        毎日の出来事の中で、たった一瞬、その出来事でいままでの
        描いていた未来が真っ白になりうる瞬間だ。
        あたりまえがあたりまえでなくなった時。
        どう生きるのか。どう生きたいのか。
        生涯を通じてたくさんの出来事があるのだということを
        客観的に読めました。
        >> 続きを読む

        2016/03/30 by -water-

    • 2人が本棚登録しています
      堂島物語

      富樫倫太郎2007/12

      カテゴリー:小説、物語
      5.0
      いいね!
      • 吉左は、殺してしまいたいほど継母を憎んでいた。八年前に流行り病であっけなく母が亡くなり。まだ32歳だった父親と吉左にも母親がいた方が良いと庄屋が話を持ってきたのだ。しかしうまくいくはずもなく弟が生まれると、継母の仕打ちはひどくなる一方だった。そして、厄介払いのように寺へ預けられたりもしたが、結局大阪の米問屋へ奉公にあがる事になった。この物語は、自分の境遇に負けることなく、奢ることなく自分がなりたいことを見つけた吉左が努力と運で成功を勝ち取っていく物語です。強運ということもありますが、気持ちの持ち方は、真似していきたいと思いました。 >> 続きを読む

        2014/08/25 by ゆうゆう

      • コメント 2件
    • 1人が本棚登録しています
      ミヤマ物語

      あさのあつこ2008/06

      カテゴリー:小説、物語
      いいね!
      • Amazonレビューから、

        『そこがどんな状況なのか何も説明されず、読んでいくうちに、これは人間の世界ではないのだと気づく。物語の裏では、人間の男の子の物語も同時に進行する。やがて「ウンヌ」という言葉が二つの世界を結びつけ、』盛り上がりきった所で、この第一部は終わるようです。

        これよりレビュー、

        この本はミステリーホラーという位置づけなので、曖昧な状況説明を無意識的にだんだん認識、解釈していくことで、普段感じていない類いの恐怖の意識をまざまざと見せつけられそうで読みたくなりました。

        二つの環境の差から「世界」としてフラットに見ていた(=認識、設定していた)環境を最後には「社会」(関わることでストレスをこうむる生活空間)としてみる(意識する)ことになりそうで、第一部・二部・三部全てを読み終わった時に、そのストレスや恐れを自分がどう捉えているのか、ストーリー展開の深まりが個人的に嬉しみです。
        >> 続きを読む

        2019/01/02 by 月岩水

    • 3人が本棚登録しています
      喜の行列悲の行列

      藤田宜永2008/07

      カテゴリー:小説、物語
      3.0
      いいね!
      • いや~やっと読み終わった!


        長かった~

        長編って意味もあるけど、1月初旬に読み始め気づけばGW 笑

        しかも、小説の内容が、年末から年始にかけて、お目当てのデパートの福袋を求めて並ぶ行列世界からの、複雑な人間模様のお話だっただけに、もう暑さ漂う気候に。。。

        藤田宜永さんは昨年だったか亡くなられたと思うが、そういう意味よりかは、新聞にこの作品の記事が載っていて。

        で、

        ネットで中古を買ったはいいが、よくみれば、前任者の鉛筆のアンダーラインが結構ついている。もちろんそれは書いてあったけど、よく見ずに注文してしまい。。。反省。

        で、

        単行本だけど、ソフトカバーっていうのか、表紙がペラペラの今風の単行本。自分は厚紙が好きな昔気質なだけに、テンションも上がらず、読書と無関係なようで無関係でもない、表紙のデザインも今一つテンション上がらず、極めつけは、私があまり好きではない一ページを上下段に分けて文字が・・・

        って不満ばかり書いてすみません。

        でも読書って案外とこういう感覚というか感触もまた醍醐味と言うという事で。。。

        内容は、藤田さんの作風は、いつも「なんか味わいがある」って感じで、どこか奥さんの小池真理子風でもあるし、昭和(70年代藤田さんの青春時代)の時代が必ずその作品に登場するみたいな、十八番を感じながらも、どこか安心感ある読書体験を毎回している感じで、今回もそんな感じでした。

        だから?!、だらだら読んで、時間かかったのかもしれませんね。。。

        主人公の名前が宝福幸朗って縁起いい名前だし、最後も清々しい気持ちになれた作品でした。

        案外この手は、ドラマ化してもおもしろいと思いました。映画でも。


        そして、この作品は2006ゴロ書かれたようですが、今は時が2021。

        すでに古さも感じました。多分SNSの普及やら、密になれないコロナ禍な今時分の感覚からそう思うのでしょうね。。。きっと。


        そこに高度成長期に青春を謳歌した作家さんのニュアンスが埋め込まれ、そこにタバコやらバーやらでの会話と・・・・


        やっぱ時代を感じる。色々な意味で。


        因みに、自分は元気です。!


        コロナな時代だけど、自分のペースでマイペースです。読書もそうですが!


        とても面白い作品でした。

        ☆3は、あくまで自分の読書体験中の自分の感情を考えれば!って事で、


        グッド!



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        2021/05/01 by ジュディス

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      抒情的恐怖群

      高原英理2009/04

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 見るからに怖い表紙。
        中身もやっぱり怖かった。

        最近のホラー小説は無駄に残虐なシーンが多い。
        友人が感動的な作品よりもホラーの方が書き手の技量が問われるみたいなこと言っていたけど、そうなのかも。

        でもこれは淡々とした怖さ。
        ひたひたと忍び寄るような恐怖に背筋がぞーっとします。
        >> 続きを読む

        2013/07/30 by mahalo

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      翼をください

      原田マハ2009/09

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
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      • 【高揚感を呷るなぁ】
         世界で初めて世界一周を成し遂げた飛行機とその乗組員のお話です。
         これは日本の飛行機だったんですね。
         毎日新聞社の「ニッポン号」。
         これは史実。

         この史実をベースにして、アメリカの女性パイロットのアメリア・イヤハート(作中ではエイミー・イーグルウィングという名前に改変しています)の物語を絡めたフィクションとなっています。

         アメリア・イヤハートは、一説によれば米軍がスポンサーとなり世界一周飛行に乗り出したものの、それは、米軍が対日戦争の準備のためにスパイ的な行為をさせるためだったという話もあるようです。
         作中では、エイミーはそれに気付いてしまい、その様な企みを阻止するために燃料切れで墜落したのだとされています。
         しかし、たまたま付近を航行中の日本海軍に救出され、極秘裏に日本で生活していたという筋書きになっているのですね。

         で、その後、暁星新聞社による世界一周飛行が企図され、日本海軍が全面的に支援することになり、世界一周をするための飛行機として「ニッポン号」が作られました。
         また、その際、山本五十六の密命により、世界一周飛行の難所をサポートするために、極秘にエイミーがニッポン号の8人目の乗組員として搭乗したのだという筋書きです。

         山本五十六は、米に立ち寄ったところでエイミーの役割は終わりであり、そこから秘密裏に故郷に帰してやるつもりだったのですが、エイミーは、米軍に逆らって消息を絶ったわけですから、故郷に帰ってもそれがバレてしまえば親にも迷惑をかけると考え、一度は親元に戻ったものの、ニッポン号と共に最後まで世界一周飛行に参加することを望んだというわけです。

         さて、このような物語ですので、まぁ、盛り上げてくれること、泣かせにかかること。
         重要な登場人物として、ニッポン号に乗り組んだ暁星新聞社のカメラマン山田順平がいるのですが、彼の純朴な気持ちとエイミーの心の交錯が一つの大きな幹になっています。
         
         この作品自体、ニッポン号が世界一周飛行をした70周年の年に作られたということで、毎日新聞社のサポートもあったようです(大体、出版が毎日新聞社です)。
         
         物語は、暁星新聞社の記者が、暁星新聞社135周年記念の企画の一つとして、主筆にインタビューするところから始まり、主筆の話から山田順平のことを知り、彼が現在も生活しているエイミーの故郷に訪ねていき、取材するところから始まります。
         その後、エイミーによる世界一周飛行とそこに隠された陰謀が語られ、最後にニッポン号による世界一周が綴られるという、大きく分けると三部構成になっているわけですね。

         なかなかダイナミックな作品に仕上がっており、結構読ませますよ~。
        >> 続きを読む

        2019/11/28 by ef177

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