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(株)松籟社 (シヨウライシヤ)

企業情報
企業名:松籟社
しようらいしや
シヨウライシヤ
コード:87984
URL: http://shoraisha.com
      冬の夜ひとりの旅人が (イタリア叢書 1)

      イタロ・カルヴィーノ (1981/01

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 【まさに、カルヴィーノっぽい】
         あなたは「冬の夜一人の旅人が」という本を手に取り読み始めたところだ。
         数ページ読み進んだところ乱丁に気がつく。
         どうやら途中から別の物語のページに差し変わっているようだ。
         乱丁っていう奴ですよね。

         興が乗ってきたのにとがっかりしたあなたはその本を購入した書店に行き交換を申し出る。
         書店主は「またですか。どうやら「「マルボルクの住居の外で」という本と製本がごっちゃになった版があるようなんです」と言い、ちゃんとした「旅人」と取り替えましょうと申し出てくれます。

         しかし待てよとあなたは考える。
         面白くなってきた小説というのは「旅人」じゃなくて「住居の外で」の方だということにならないか?
         あなたはちゃんとした「住居の外で」と交換してもらって家に戻る。
         そして再度読み始めるのだが、数ページするとまたもや違う小説のページが始まっているではないか。
         あなたはまたまた書店に赴き……。

         結局、私達は、どの物語も最後まで読むことはできないのですね。
         そんなのつまらないと思いますか?
         そう思ったあなたこそ、是非この作品を読んでみてください。
         絶対に引き込まれると思います。

         まったく、カルヴィーノは、こういうことを平気でやるからなぁ。
         そんなところが大好きでもあるんですけれど。
        >> 続きを読む

        2019/05/30 by ef177

    • 1人が本棚登録しています
      あまりにも騒がしい孤独

      ボフミル・フラバル (2007/12

      カテゴリー:その他のスラヴ文学
      5.0
      いいね! Tukiwami

      • 20世紀を代表する作家のひとりで、チェコの国民的な作家でもあるボフミル・フラバルの「あまりにも騒がしい孤独」を、じっくりと味わいながら読み終えました。

        この作品の主人公は35年間、水圧プレスで故紙や本を潰してきた「僕」。

        毎日トラックで運ばれてくる故紙の中から好きな思想家や作家の著作を抜き出して読んできたので、心ならず教養が身についてしまった主人公のアパートには、そんな本が三トン以上もあり、いずれ本に押し潰されて死ぬんじゃないかと怯えているんですね。

        水圧プレスが発する騒音と駆除しても増えていくネズミたち、イエスや老子や死者が現われる白昼夢。
        そうした"あまりにも騒がしい孤独"の中、読書とビールの救けを借りて、終わりのない単調な肉体労働をこなす「僕」は、ゼウスの怒りをかって運んでも運んでも落ちてしまう、岩を山頂に上げ続ける罰を科せられたシーシュポスのようです。

        でも、シーシュポスは、岩を運び続けることで運命を投げ出さない姿勢を示し、神への復讐を遂げているという、カミュが「シーシュポスの神話」の中で述べた解釈に従えば、言論の自由が弾圧された1970年代のチェコにあって絶望から免れている「僕」は、小さな英雄だと私は思うのです。

        そして、この小さな英雄は、仕事をしながらいろんなことを思い出します。
        酒場のトイレに入った時、「ほとんど床板の穴にまで達した糞便のピラミッド」に長いリボンと髪飾りをつけてしまったせいで「クソまみれのマンチャ」と呼ばれるようになってしまった初恋の少女のこと。

        下水掃除人をさせられていた二人の元科学アカデミー会員のこと。
        そして、ある日、忽然と姿を消したジプシー娘のこと。

        孤独をかこっている主人公に、かつては愛する女性がいて、その彼女は「馬肉サラミ入りジャガイモのグラーシュを作り、炉に薪をくべ、秋には天空に凧を掲げる以上のことは、本当に望まなかった」のにナチスによって、強制収容所に連れて行かれてしまったのです。

        この「僕」と彼女が凧揚げを楽しむシーンの美しさは、この小説の白眉だと言えると思う。

        物語の終盤、主人公は自分が使っているプレス機よりも巨大で効率のいい機械の出現におののき、仕事を奪われ、深刻なアイデンティティ・クライシスに見舞われます。

        そんな彼を救うのは-------。

        自由化運動「プラハの春」の夢が、ソ連の軍事介入によって潰え、非人間的な社会主義体制下におかれた時代背景を用いながら、単なる告発小説には堕さず、不条理なあまりほとんどSFとも思えるようなストーリーに、苦いユーモアと節度ある感傷を織り込んで、ボフミル・フラバルは、とても個性的な小説を完成させていると思います。

        >> 続きを読む

        2019/02/27 by dreamer

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