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(株)毎日ワンズ (マイニチワンズ)

企業情報
企業名:毎日ワンズ
まいにちわんず
マイニチワンズ
コード:901622
      潜行三千里

      辻政信2008/02

      4.0
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      •  辻政信といえば、日本軍や日本戦史に少しでも詳しい人ならよく知っている名前ではないだろうか。

         ノモハン事件、マレー作戦、カタルカナル攻防戦など日本史にかかわる数々の重要作戦に参加して一部では作戦の神様、また一部では戦犯として批判された人物である。

         終戦とともに陸軍を抜けて野に潜伏したことも辻が非難された原因の一つである。

         戦後は国会議員(衆議院4期、参議院1期)として活動し、最後は視察先のラオスで行方不明となった波乱万丈の人生を送った。

         辻の評価に対しては肯定的、否定的な立場が分かれるけれど、ベストセラーとなった本書『潜行三千里』の評価に限ってみると、これが面白い。

         物語は敗戦直後のタイ・バンコクから始まり、英軍の逮捕を逃れるためにハノイ(ベトナム)を経て中国の重慶に渡り、上海を経由して日本に戻ったところで話は終わる。

         辻の言うことだからウソが混じっているんだろう、と言う人もいるかもしれないが、これが仮にフィクションだとしたら、辻は軍人よりも小説家に向いているかもしれない。それほど面白い「逃亡記」である。

         辻のことを「清廉潔白」と見る人もいるかもしれないが、筆者は別に辻が悪人でも構わないと思っている。むしろ魅力的な悪人は物語を面白くする最大の調味料だ。

         逃亡中の緊張感はもとより、当時のタイ、カンボジア、ベトナム、中国などの民族性や文化などが随所に感じられ、それが物語をより面白くさせている。

         軍人であるがゆえに、敗戦の責、そして戦争犯罪の責は負わなければならないだろうが、それと物語としての面白さはまた別物である。

         中国や東南アジアの占領政策の反省はしているけれど、戦前日本の国家戦略の反省をしていないあたり、一軍人としての限界があったのだろう。

         この男のせいで数多くの兵士や民間人が死んだことは事実だが、人物としては妙に憎めないところがあったのもまた事実である。だからこそ逃亡が成功し、日本に帰ってこれたのだと思うと複雑な気持ちにならざるをえない。
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        2015/08/15 by ぽんぽん

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