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書肆 侃侃房 (シヨシカンカンボウ)

企業情報
企業名:書肆 侃侃房
しよしかんかんぼう
シヨシカンカンボウ
コード:9980675 902108 86385
URL: http://www.kankanbou.com
      八月のフルート奏者

      笹井宏之2013/08

      カテゴリー:詩歌
      3.0
      いいね!
      • 続けさまに、また短歌集。

        この前お伺いした、虫武一俊さんの「羽虫群」の批評会で、
        隣に座られた東京から来られたお嬢さんに、本の後ろにあった
        新鋭短歌シリーズのお知らせの中で、お奨めの作家さんはと尋ねると
        お教え頂いたのが、この笹井宏之さんのこの本。

        穂村さん以外の歌集としては、二冊目か。

        歌集を見て思ったのは、その人となりが自叙伝のごとく語られていることです。

        小説のフィクションと違って、短歌ってノンフィクションの世界。
        歌人自身の私生活までが、あからさまになるんですね。

        インターネットを中心に幅広く若者に愛された笹井さんの作品。


        またしても、・・・・・ごまめが気にとめた歌を。

        君が差すオレンジ色の傘を伝うたった一粒の雨になりたし

        気兼ねなく好きだと言えるその人の手は僕よりも少し冷たく

        他愛無い質問「好きな色は何?」答える「今日は水色でした」

        味付きの海苔が好きとか嫌いとかそんな話の出来る食卓

        携帯のカメラでは上手く撮れぬからメールに書いた「夜空を見なよ」

        わたしくは運命という者ですが実はわたくしも頭痛持ちです

        追い風に追い越されては追い付いてバトンを渡す春の真ん中

        想うとは夏の動詞か汗と汗の間にいよよ強くなりたる

        混沌を絡めて口へ放り込む パスタの白きああ白きスープ

        呼び合える名があることの嬉しさにコーラの缶の露光る夏

        マフラーのほつれにゆびを這わせつつうつつのわれにふるるゆめのわれ

        告白のはじめの言葉はらはらと落ちるゆきやなぎの散歩道

        わがうちに散る桜あり 君の名を呼ぶとき君はきらきらと風

        涙にも温度があるということを頬のあたりに記憶してゐる

        わがうではもうすぐみずに変はるゆゑそれまでぢつと抱かれてゐよ

        かなしみがほうれん草にごまをふる音のなかよりあらはれいでぬ

        前の世に出逢ひてゐたるあかしかと思ひぬ なにか君が懐かし

        あすひらく花の名前を簡潔に未来と呼べばふくらむ蕾

        ひとときの出会ひのために購ひし切符をゆるく握りしめたり

        線香も花も持ちあはせてゐないからこの歌を代はりにどうぞ

        ゆつくりと下から順にひび割れてオン・ザ・ロックの氷さやけし

        親子丼親子でたのむゆふぐれはただ訳もなく笑ひあふなり

        悲しみが痛みへ変はる瞬間の途切れさうなる我が蝉の声

        西瓜のかは白磁の皿に乾かせて真夏真昼の夢に入りゆく

        最後に

        八月のフルート奏者きらきらと独り真昼の野を歩みをり


        殆どの歌人は、新仮名、旧仮名いずれかで作歌するものらしいが、
        ここにあるように、新旧二つの仮名使いを使い分けしながらの
        笹井宏之さんは、稀らしい。

        でも、旧仮名使いって難しいものですな・・・・。

        ますます、色んな人の短歌、読みたくなりましたな。
        >> 続きを読む

        2017/08/07 by ごまめ

    • 1人が本棚登録しています
      やさしいぴあの

      嶋田さくらこ2013/12

      カテゴリー:詩歌
      4.0
      いいね!
      • 短歌集を選ぶとき、パラパラっとページをめくりながら、
        目に飛びこんでくる短歌、が、気に入るかどうか、
        私の好みに合うかどうか・・・・で決まります。

        この本も、そんな一冊。
        でも、どこか、出会ったことがあるような、気がしてたのですが。
        あとがきをみると、「うたつかい」や「うたらば」がでてきますが、
        両方とも手元にある数少ない短歌冊子でおます。

        そのなかで、好きな歌人さんは、千原こはぎさん、田中ましろさん、山田水玉さん、
        逢さん、五十嵐えみさん、七波さん、西淳子さん、濱松哲郎さん、野守風聴さん
        でおますが・・・・。、

        歌集を見つけたら、購入。


        この「やさしいぴあの」でお気に入りの歌は、

        仲直りしてあげるから買ってきて雪のにおいのアイスクリーム

        君とよく行ったドラッグストアにはまだある同じ香りのシャンプー

        誰からかわかる受信の振動がかすかに愛を伝えてくれる

        日曜のまひるあなたを思うとき洗濯ものもたためなくなる

        たんぽぽが綿毛を飛ばすつもりなどなかったようなさよならでした

        あいしてる 五文字で済んでしまうほど簡単なことが今日も言えない

        雨になるような気がして振り向くと君がいなくて泣きそうだった

        夏風邪をひいたあなたに出会いたい くしゃみの色をおそろいにする

        夏にする恋はリュックに入れたチョコみたいに背中で溶けてしまうね

        もしきみのねがいをひとつかなえたらもういちどしかきみにあえない

        雨の降る音にまぎれて開かれた傘のようですあなたの腕は

        ねえきみの声が好きだよ雨ふりの夜はいっしょに眠っていいかな

        おおきにと言う癖ついてコンビニの店員さんにおおきにと言う

        欲しいものリストから消す スプリングコート・アイフォン・カレノクルブシ

        缶の底一つ残ったドロップは夕日の色だ あしたは晴れる

        どんなことをされても生きていくためにクリームシチュ―に青菜を入れる

        改札で待ってる君に近づいていくのが好き、と遅刻の理由

        夏ですんね 空が青くていいですね あなたが元気そうでよかった

        おにぎりに指の跡残るくらいの力加減で抱いてください

        一緒にはいられなくてでもときどき君にあげたい夕焼けがある

        もう好きでない人でしたキスしたらわかった悲しい真実でした

        >> 続きを読む

        2018/06/11 by ごまめ

    • 1人が本棚登録しています
      コーヒーカップ4杯分の小さな物語

      佐藤嗣麻子 , 青目海 , 川口葉子2006/10

      カテゴリー:小説、物語
      4.0
      いいね!
      • 全部で130ページ弱の短編4本入ってます。
        4人の作家ではない方々(①監督・脚本家 ②エッセイスト ③脚本家・ライター ④詩人・ライター・編集者)が書かれていますが、各々ステキな世界観が広がっています。
        どれもコーヒーにまつわる物語です。情景が容易に浮かんでくるような、まるでどこかへ旅しているよな雰囲気にさせてくれ、どの話も甲乙つけがたく面白いと思えました。

        最初は一つの話が短すぎるかとも思い、さほど期待せずに、でもタイトルに魅かれて読んでみましたが、自分としては大当たりでした。
        電車とか、待ち時間とか、喫茶店とか‥‥そんなちょっとした時間に読めて尚且つ、物語の世界へ飛び込んでいけるような本でした。
         
        >> 続きを読む

        2016/06/23 by taiaka45

      • コメント 1件
    • 3人が本棚登録しています

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