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父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

著者: ヤニス・バルファキス

評価: 4.0

読了日: 2019/07/15

投稿日: 2019/07/15

売れてる本だな、くらいの予備知識。軽い経済本だろうと思って読み進めたら、この地球上で今後どう人間が生きていくべきかの、壮大で哲学的な問いにまで発展する。もちろん、著者なりの導きのヒントも書かれている。

前半は、金融の仕組みの本質を、メタファー盛り沢山で説明しているため、一般の人には にわかに信じられないのではないかと思う。
例えば、新しく事業を始めたい人に銀行がどうやって貸すお金を見つけてくるか。→ ×「預金者があずけたお金」 〇「どこからともなく。魔法のようにパッと出す。」
(ただ数字をデジタルに作り出すだけ。その数字を細かく細かく分けて、証券化して投資家に魅力的な利率で売り出すだけ。)
黒魔術の様に、未来に「信用」と言うイリュージョンを作り出す。
通貨と政府の切り離せない関係の例も、ドイツの収容所での「タバコ」と言う通貨を例に説明する。
テクノロジーが進む世界での「労働力市場」の扱いや、マネーマーケットに潜む悪魔は「人間らしさ」だと言う種明かし。

それらの説明だけで終わっていたら、まぁロマンチックな解説だなぁ、くらいで終わっていた。(実際、ギリシャの財務大臣だった著者は、ギリシャ神話を使った例えが秀逸だ。)
しかし、この本が売れる理由はその後半だと思う。
「人は地球のウイルス、そして宿主である地球を全力で破壊し始めている。」
狂信的な環境保護主義でそんな事を言っている訳ではなく、経済学者の立場から、「破壊」が市場経済を活性化させる歴史を知っているからこそだ。(一部の、富を握っている権力者たちは、敢えてその事実を知っていて、戦争を誘導して来たのでは無いかとさえ思う。)
その破壊を食い止める現実的なヒントも書かれている。
「環境の民主化」。
最近ようやく日本でもキーワードだけが騒がれているSDGsにも繋がる考え方かな。

経済活動と言っても、結局は人間(生物)が行う営み。自然の摂理のままに動くものだろうと思っている。
しかし、人類はヤワだが、地球はそんなヤワじゃないような気がするのは私だけかしら?最後にしっぺ返しを食らうのは・・・。
あっあと、映画『マトリック』も今更ながら見なくては。

以下備忘録
・1920年代スタート-1.産業革命により債権・債務が爆発的に増大 2.ローンの証券化
・利益と富を生み出す正にその仕組みが、金融危機と破壊をも生み出す
・銀行が何よりも嫌うのは現金
・また、国債は何かが起きた時の緩衝材。公的債務とはすべてのものを束ねるゴムのようなもの、危機の時には金融システムの崩壊を防ぐ網。
・銀行の黒魔術は市場社会を不安定にする。(時空を歪める)とは言え銀行はただの増幅器。根本原因は「労働力」と「マネー」
・(労働市場とマネー・マーケットについて)集団全体が楽観的なら楽観的な憶測が現実になる。集団全体が悲観的なら悲観的な憶測が現実になる。(予言は自己成就する)
・経済が社会の「エンジン」で、「借金」が「燃料」だとしたら、労働力はエンジンに点火するための「火花」で、お金はエンジンを滑らかに動かし続けるための「潤滑油」
・市場社会を苦しめている、労働市場とマネー・マーケットに潜む悪魔は「人間らしさ」
・経済が定期的に災厄に見舞われると、そのたびに人間の「労働力」は復活する
・企業が所有する機械の一部をすべての人で共有し、機械が生み出す利益の一定割合を共通のファンドへ
・通貨を民主化する
・地球の苦悩から経済は恩恵を受けている
・理性あるまともな社会は、通貨とテクノロジーを民主化するだけでなく、地球の資源と生態系の管理も民主化しなければならない
・満足と不満の両方が無ければ、本物の幸福を得ることは出来ない。満足によって奴隷になるよりも、われわれは不満になる自由が欲しいのだ
・一流の学者は見事な経済モデルを作ったが、現実の労働者やお金や借金は勘定に入れていない → 占い師のロジックへ






    FUKUchanさんの読書レビュー 「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」 | 読書ログ

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    ジャンル問わずの「乱読派」。ちょっと「毒」のあるくらいの本が好きです。

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