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センセイの鞄

著者: 川上弘美

出版社:文藝春秋 (2004/09)

評価: 4.0

読了日: 2018/11/17

投稿日: 2018/12/06

人を恋ふる事とは何ぞや?
「会わないときも、センセイは遠くならない。センセイはいつだってセンセイだ。
この夜のどこかに必ずいる」
こう思うだけで心が充たされる
それが「恋」ではないでしょうか?

小さな章に分かれており、季節を追って日々折々の日常のあれこれをセンセイとのエピソードを中心に語っていく。
一見エッセイのように書き綴られた小説。
なんだか緩い文章の連続に、なぜ読書ログさんは川上弘美を推すのに「センセイの鞄」を選んだのだろう?ちっとも典型的な川上弘美ではない気がするんだけど…?と疑問を覚えながら読みました。
(疑ってすみません。やはり川上小説でしたよ。)
途中でツキコさんがセンセイに懸想し始めて、おやおや危ない危ないと思って、
…一瞬、読むのを中断してしまった…

センセイの人物像がどうしても掴めない。
ぼんやりした空気感はわかるのだけれど、核心部分が謎
しかも絶対的魅力の持ち主では全くないのだ。困ったことに
普通の恋愛小説に出てくる男は少なくとも魅力のかけらくらいはもっとある
読者に感情移入させるべく工夫されている。
素晴らしい人だったり逆に同情したくなるほど情けない人だったり。
センセイもツキコもそのどちらでもない。

センセイはアラサー女に
「キミは女のくせに一人でこういう店にくるんですね」
なんて失礼なセリフを吐いてしまう男

ツキコはつきあっていた男性と自然に疎遠になってもそのまま放置してフォローなし。結果女友達に彼氏を取られてしまうような不器用な女。
まだ若いのに、気の合う遊び友達もいない。


二人ともにいわばあまり親近感を抱かれないタイプ
――というか、言動にドン引きされるタイプ( ̄∇ ̄;)
つきあえばそれなりに個性もあっていい人なのに。自分で壁を作っているみたいっていう人いますよね。
読者としては、感情移入もしにくく、ましてや恋の応援をしようなんて気にもなれない。
だからあくまでも「他人の恋愛」としてこの小説と向き合うしかない。
でも。
だからこそ、この小説は「恋」の本質を描けているのですよ。
他人には絶対にわからないのだ。
誰かが誰かに恋したとき、その原因や訳なんて。

だってほかの人じゃだめなんだもの。

それしかないのだ。

作家は「他人の恋」…つまり「恋」そのものをそのままに書きたかったのかな。と思う。
ならば、それがかけているよ。と褒めてあげたい。
センセイは私にはまったく最後まで赤の他人でしたが。

文章の柔らかさは好みでした。
実は過去の物語であることに、気づいたでしょうか?
冒頭からすでに、この物語は終わった話だと書かれているんですよ。
なので淡々としていられるのですね。

この小説の発表当時、老境が視野に入ってきた男性諸氏から熱烈に歓迎されたそうな。
70オーバーの男性がアラサー女子から告白される話!ってことになるらしい。

それって大いなる勘違いだ。
でもありえないことではない。
恋ふる気持ちは誰にでも訪れる。
でもそれは「恋愛」とは別物なのだよ。


映画化のキャストは(役者そのものは悪くないけれど)全然方向違い
それじゃあ、「変わり者だけど魅力あるのわかるよ」な人同士のただの恋愛になっちゃうよ。
ツキコさんは安藤サクラさんにやってほしいな。
センセイは全く浮かびませんノーアイディアです。
恋愛しそうもない半端に枯れたとっつきにくい根暗な、でも背が高くて姿勢がよくて、白髪がきれいに整えられている古風で変人で唐突にお茶目さもある男性。
誰かいい方がいたら教えてください。


    コメント

    年齢などは大分というか全然違いますがセンセイ役は芸人の博多大吉さんが良いのではないかなあと思いました。背が高くて姿勢が良くて白髪ではないですが面白くてお茶目というところは合っているかなぁと思います…やはり違いますかね(^^;

    レビュー拝見させて頂いてこの事を言いたくてコメントさせて頂きました!

    やっぱ、違うかなぁ…。

    2018/12/06 by 澄美空

    映像化されたものも観たのですか?
    水谷豊に味のある演技をしてもらう…に1票で笑

    2018/12/10 by たい♣

    澄美空さん
    私のふざけた疑問にきちんとお返事いただきありがとうございます。
    芸人さんには詳しくないので、名前でキャラクターをパッとイメージできず、YouTubeで確認してました。
    博多大吉さんは、芸人さんとしてはきちんとした社会人に見える方ですね!
    清潔感もあります。
    でも、70過ぎの役は可哀想かな〜と。(^。^)
    彼には小島孝の役をやってもらいましょう!

    2018/12/11 by 月うさぎ

    たい♣️さん
    水谷豊!!そのアイディアいいですね!
    右京さんっぽい喋り方ですよ。このセンセイは!
    水谷豊さんがもうちょっと歳で白髪になったらもっと似合いますね。
    水谷豊で脳内映像化して再読してみようかな。
    どうも、センセイの絵が浮かばなくて困った小説だったのです。

    映像化作品は観ていませんが、キャストを見るだけで、絵とかセリフとか仕草、態度がうかんでくるきがして、逆に観るまでもないと思いますね。
    映画でなくてwowowドラマだったみたいです。

    大町月子:小泉今日子
    松本春綱:柄本明
    小島孝:豊原功輔
    中田サトル:モト冬樹
    新聞紙の男:竹中直人
    石野先生:木内みどり
    大町文代:加藤治子
    スミヨ:樹木希林

    どうです?原作にない色が、こい色彩で上塗りされてるでしょ。
    キョンキョンは甘くて可愛すぎて、柄本では生々しすぎる。
    センセイの妻、樹木希林ですか?
    スゴイ面白いと思いますが、違いますよね。
    サトルさんも、もっと若いと思うし、石野先生に憧れ……られませんよ!!
    これが監督の解釈なら仕方ないですが、違いますよね。
    別物として観るならば、この人選で悪くなりようがないと思います。
    >> 続きを読む

    2018/12/11 by 月うさぎ

    キョンキョンだけは知ってましたが、センセイは柄本さんですか。
    えもっちゃん、好きです(豊臣秀吉がえもっちゃんが最高だと思ってます)が、全然違う…
    モト冬樹さんも全然違いますねえ。キャスティングって難しい&面白いですね!

    2018/12/11 by たい♣

    たい♣️さん
    役者さんが好きというのと作品に合っているかどうかは別問題ですね。
    役者さんが引き起こす化学反応のおもしろさが実写化の醍醐味であることは承知していますが。
    柄本さんは評価していますが、そうですよね、豊臣秀吉みたいにね、ああいういやらしさや人間臭さとか裏表の顔があるような役がいいですよ。
    水谷豊案はすごく気に入りましたよ!
    センセイの妻は秋吉久美子さん、石野先生は原田美枝子さんか倍賞美津子さん、
    なんてどうですか?

    2018/12/11 by 月うさぎ

    いいですね!
    石野先生は原田美枝子さんの方が、いいかな〜

    2018/12/12 by たい♣

    たい♣さん
    石野先生は原田さんで決定!(笑)
    木内さんもご本人は素晴らしい方ですが、女の子が憧れる、個性的な大人の女教師っていうのとはちょっと違いますよね。
    脳内映像化作戦は本を読みやすくするための裏ワザみたいなものですね。
    同じ配役を思い描けるということは小説を同じように読み解いているということでもありますよね。
    ご賛同いただけて嬉しいです。

    2018/12/13 by 月うさぎ

    月うさぎさんの読書レビュー 「センセイの鞄」 | 読書ログ

    プロフィール
    ニックネーム:月うさぎ
    本棚登録件数: 892 冊
    レビュー件数: 868 件

    自己紹介:
    読書ログって素敵ですね。新しい本との出会いも嬉しいし、コメントを通してのメンバーの皆さんとの会話も楽しい。
    唯一つ困るのは…積読本が増えること。
    以前読んだ本の再読もしたくなって…。
    どうぞ仲良くしてください。

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